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2017/11/17

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  • 80

    夢子は双子達と共に講堂に入るとスタッフから予約席へと案内される。そこには二人の老女と一人の女性が既にいた。その老女に声をかける。「こんにちは。」「あっ、こんにちは。」「おや。 美作の奥様じゃないかい。 その子供たちは娘さん達だね。もうこんなに大きくなったんだねぇ。」「はい。 小学生になりました。 タマさんもお元気そうで。」「あぁ。 まだまだ元気でいないとねぇ。」今度は初江に視線を移す。「初めまして...

  • 79

    つくしは講堂裏にある関係者出入口へ向かった。そこには幸子と彼氏の前田がテーブルの前に座り受付を行っていた。その二人もつくしに気づいた。「あっ、牧野さん。 これを付けてくれる?」前田は<生け花 牧野つくし>と書かれたネームプレートをつくしに渡す。受け取ったつくしは首からぶら下げる。「つくしさん。 頑張って!」幸子からの珍しい応援に、つくしも勇気を貰う。「ありがとう。」「じゃ中に入ったら出番まで控室で...

  • 78

    食後、総二郎はお茶をふるまう。と言っても道具は英徳からの借り物。お湯は電気ポット。唯一持参したのはお抹茶のみ。しかも部屋はテーブルと椅子が配置された会議室のような作り。床に座り込むことも出来ず、椅子に座りテーブルの上でお茶を点てている。それでも目の前の四人は、そのほれぼれする手前に魅入られる。「すごく綺麗な作法だねぇ。」「本当にすごい。 さすが次期家元ね。」「本当に凄いですね。」「こういう姿は風格...

  • 77

    初江、タマ、佳代は食事をしながら、つくし、司、類の話へと自然に移行する。「それにしても、つくしさんが花沢の坊ちゃんの許嫁とはねぇ。でも口約束で、絶対に結婚しなければならないと言う物じゃないんだろ?」「そうなんです。 花沢の奥様とは古くからの知り合いで、私が亡くなった後のつくしの心配を話したら、息子さんとの話を持ち出されて。でも結婚は本人の意思が大切。私としては、つくしの良き相談相手になっていただけ...

  • 76

    つくし達は、美術部の絵を鑑賞していた。油絵で風景画や人物画など数々ある。どれも上手だ。次の部屋には書道が展示されていた。「上手ねぇ。」「うん、上手い! あっ、今日の一芸大会に書道パフォーマンスもあるみたい。」「へぇ。 それは楽しみ。」と話しながら教室を出ると、佳代が初江に問いかける。「お手洗いは大丈夫ですか? そこに多目的トイレがありますが。」「そうだね。 行っておこうかしら。」「じゃ、私が連れて...

  • 75

    朝9時に、佳代と運転手がつくしの家にやって来た。「おはようございます。 お世話になります。」「いえ、こちらこそ楽しみでして。学園祭を見学できるチャンスなど中々ありませんから。」佳代はつくしに挨拶後、初江に向き合う。「初めまして。 花沢で使用人をしております佐藤佳代と申します。何時も類様がお世話になっております。本日はよろしくお願いします。」「こちらこそつくしが大変お世話になりました。今日はお世話に...

  • 74

    信夫とつくしが出て行った後、初江は大きなため息を吐く。「本当にダメな息子だわ。 花沢さんを見て何も感じないなんてね。仕事上の付き合いは無いし、まだ学生で表に出ていないとしても雰囲気とかで分からないのかねぇ。」「まだ俺自身、全く仕事をしていないのでそういうオーラが出ていないんだと思います。」類は信夫を庇う発言をするが、それでも見た目だけで判断するのはあり得ないと思っている。現に未だ名乗っていない。そ...

  • 73

    葉山の自宅へ戻り、すぐ荷物の片づけを始める。するとインターホンが鳴った。「あっ、宅配弁当かな?」つくしは急いでインターホンを見る。するとそこには伯父の姿。早速リフォーム状況を確認に来たんだろか?それともまたお金の無心だろうか?と思いつつ居留守を使うことも出来ない為、渋々インターホンに出る。「はい。」「つくしか? 開けてくれ。」つくしはその場で開錠せず、急いで門へと向かう。もし何か渡し物があるなら受...

  • 72

    土曜日類は9時に葉山のつくしの家に到着した。そして門のインターホンを押すとすぐつくしの声が聞こえる。『すぐ開けるから。』と同時にカチャッと鍵が開く音がした。類は門を開け中に入ると丁度つくしが家の玄関を開けたところだ。「「おはよう。」」挨拶が重なり、二人はニコッと笑みを見せる。「どうぞ、上がって?」「ん。 お邪魔します。」類は上がり込むとまっすぐ居間に向かう。思った通り初江は庭を眺めている。その初江...

  • 71

    その夜、類はつくしにSNSを送る。<今、電話をしても大丈夫?>つくしは丁度類にSNSを送ろうとしていた時だった。そのタイミングの良さに頬が緩む。それなら、、、と、つくしの方から類へと電話をかけた。類は手元のスマホからの着信に驚くものの、相手を見て微笑む。そしてすぐに電話に出た。『あっ、花沢さん?』「ん。 俺。」『あたしも丁度連絡しようと思っていたところだったの。』つくしの言葉に類は偶然を喜ぶ。『今日、西...

  • 70

    つくしが総二郎に返事を送信した後、ふと前に人が立ったのが分かり顔を上げる。そこには従妹の幸子が立っていた。「つくしさん。 あなた学園祭に行くわよね?」「そのつもりですが?」「そう。 良かったわ。あのね、私学園祭の実行委員メンバーなの。」実行委員は各学年、各学部から数人が選ばれている。そのほとんどが立候補だ。外部入学者は就職に有利になるし、内部進学者は出会いの場が増え、それがゆくゆくは仕事へとつなが...

  • 69 第四章

    数日が過ぎた。葉山での日常が戻ったつくしは、希望通りの生活を送っている。F4は約束通り声をかけて来ることはない。もちろんつくしも今まで通り近寄る事は無い。だがチラリと見る類との距離の遠さに寂しさを感じていた。当たり前に一緒にご飯を食べ、当たり前に頭をくっつけながらフランス語を習い、当たり前のように『おはよう』『おやすみ』と挨拶を交わし、当たり前のように雑談をしていたのに。それら全てが夢か幻のような感...

  • 68

    翌日、朝食を取った後、病院へ向かう準備をするつくしに類が声をかける。「牧野。 室内の監視カメラのアプリは入れた?」「うん。」「ちゃんと作動するかチェックして?」「うん。」つくしはスマホをタップする。そして『今すぐ見る』を押すと二人の姿がパッと映る。「あっ、映った。 アレ? 4画面? カメラは2台じゃなかった?」「4台に変更した。 玄関と居間とお婆さんの部屋とキッチン。」「そんなに?」「ん。 あんたが...

  • 67

    「あたしは静さんには勝てません。」「えっ? 静?」思いもよらぬ名前に類は驚く。「あたしが最初に見たのは静さんの為にバイオリンを弾いている花沢さんの姿。あの時西門さんも美作さんも、静さんが帰国していること知らなかった。花沢さんだけに声をかけ、静さんの望むとおりバイオリンを弾いた。そして何か話をしたあとキスをした。」「だからそれは、静は昔から俺の事をそういう風に扱うし、キスは挨拶で。」「確かにそうかも...

  • 66

    葉山に戻ると、門横の小さなボックスのセキュリティを解除する。そしてまっすぐ家へ向かい鍵を開け中に入る。それからすぐインターホンが鳴る。「絶対にインターホンで相手を確認する事!受話器を取らなくてもカメラには相手が映るから。」類はモニターを指す。そこには花沢の運転手の姿がある。「うん。 はっきり見える。」「それから受話器を取り話す。」つくしは言われた通り受話器を取る。「どちら様ですか?」「花沢です。 ...

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