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2017/11/17

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  • 50

    玄関まで双子に手を引かれながら、手入れされた庭を見る。バラのアーチも見事だったが花壇にはクジャク草やアメジストセージなども咲き乱れとても綺麗だ。そして玄関まで来るとガチャッとドアが開き、綺麗な女性が姿を現した。あれ?とつくしは思う。確か兄がいるとは聞いていたが、目の前の人はどう見ても女性。使用人だろうか?その割にはきれいな服を着ているんだけど、、、。「お帰りなさい。」「ただいま。 あのね、このお姉...

  • 49

    一週間は午前中授業だ。つくしは病院へ向かうべく、急いで大学を出た。すると大学前の花屋に秋の花のコスモスやダリアやモミジが見える。詰所の生け花もそろそろ変えようか?と思い花屋へ向け一歩を踏み出した。すると店舗から二人の女の子が花束を持って出てきたのだが、そのうちの一人が段差で転んだ。手を繋いでいた為、もう一人も引き摺られるようにバタンと地面に手を着いてしまう。後ろから祖父らしき人が慌てて出てきたが、...

  • 48

    つくしは大学が終わると大島と近くのカフェでランチを取り、病院へ向かった。今日は担当の理学療法士、看護師、言語聴覚士、ケアマネージャーと現在のリハビリ状況と今後の生活に向けての話し合いが行われた。「リハビリは真剣に取り組まれ、現在は数秒なら自力で立っていられます。ただ元々足の筋力が弱く今後リハビリを続けても杖をついての自宅生活は安全面を考えると困難と思われます。自宅内でも車いすでの移動が無難と考えま...

  • 47

    大学が始まり、つくしは類の家から大学へ向かう。もちろん電車で。大学では久しぶりに友達の大島に会う。「つくし! 元気だった? おばあちゃんの調子はどう?」「おはよう! リハビリ頑張ってるよ。」「でも丁度夏休みで良かったね。 ずっと付いていられたもん。」「うん。」つくしはSNSで祖母が骨折し入院している事を伝えている。なぜなら『買い物に行かない?』と連絡があったからだ。だが類と共に過ごしている事実は伏せ...

  • 46

    ...

  • 45

    久しぶりに葉山の自宅に戻ったつくしは、リフォームされた家を見て驚きの声をあげる。「凄い! スロープになってる!」玄関には車いすが通れるスロープが取り付けられている。その為、玄関口が狭くなっている。「もし杖を突いて歩けるようなら、ここに手すりを付ける。万が一、車いすや歩行器になるようなら手すりは邪魔だから付けない。」「ですね。 手すりの幅の分、飛び出て邪魔になるし。」中に上がり込み、居間のドアを開け...

  • 44

    翌朝、類とつくしは揃って病院へ向かう。初江の顔色はすこぶる良く、リハビリもやる気満々のようだ。既に車いすに乗り、理学療法士が来るのを待っている。「もう介助者がいなくてもベッドから車いすに自力で移れるんですか?」「えぇ。 ベッド横のL字柵を持てば大丈夫なんですよ。」類が初めて見るベッドの柵のカタチだが、確かにこれなら車いすまで安定して体を支えられると感じる。もし帰宅するころには歩けるようになっていた...

  • 43

    総二郎が去ってから約30分後につくしが帰ってきた。「お帰りなさいませ。」「ただいま戻りました。」「すぐ夕食の準備を致しますので。」「いつもありがとうございます。 お花を代えてから行きますので。」「畏まりました。」つくしの手には数本の花が握られている。もうすぐ花弁が落ちそうな花を除け、新しい花を挿すために買ってきたものだ。一度部屋に戻り花ハサミを手にすると再び玄関へ向かう。そこで正座をして花と向き合...

  • 42

    茶会の準備をしていた総二郎は、夫人からお使いを頼まれる。「総二郎さん。 今度の茶会用の草履を選びに行って下さらない?前回、鼻緒の色に文句をつけていたでしょう? 着物はこの色にしますから。」総二郎は苦笑いだ。決して夫人の選んだ草履が嫌だったのではなく、急に茶会を入れられ不機嫌だっただけだ。まだ学生だし遊んでいられるのも今しかないのにと思うと愚痴が出た。チラリと時計を見るとまだ15時過ぎ。今夜はあきら...

  • 41

    注文を終えた後、司は再び謝る。「悪かったな。 威圧するような態度を取ってよ。 あの後、ずっとタマに怒られてよぉ。車いすを粗末にするなとか、老人には優しくしろとかさ。んで、俺にきちんと諭してくれたお前に、ちゃんと謝ってこい!と言われてよ。あの場所で誰も何も言えなかった中で、勇気を出して注意する奴はなかなかいないってさ。」「もう良いです。 勇気を出して言ったつもりはなく、咄嗟に言葉が出ただけです。今後...

  • 40

    つくしが初江の車いすを押しながら病室のあるフロアに戻ると、看護師に声をかけられた。「あっ、篠田さん。 昼食の時間ですのでこのまま食堂へ行ってください。」「あっ、はい。」つくしはそのまま食堂へ向かう。するとその入り口付近の壁に背を預け、両腕を組んだ司がいた。ゲッと思うつくしだが、無視して横を通り過ぎ、初江を食堂内のスタッフに預けた。「じゃ、あたしもご飯食べて来るから。」「つくし。 そこに道明寺さんが...

  • 39

    司は、威嚇するような鋭い視線をつくしに向ける。初めて見る視線に、つくしは思わずビクッと体が震える。「坊ちゃん。 押してくれるのはありがたいが、その足癖の悪さは何とかならんのかい?」タマは前を向いているため、司が今どういう表情でどこを向いているのか分からない。ただ淡々と諦め半分という感じで注意をしている。そのタマの注意など司の耳には届いていない。何故なら見知らぬ女性が「ちょっと!」という怒りの声をあ...

  • 38

    つくしが初江の病院へ見舞いに訪れると、廊下で楽しそうに会話をしている初江の姿があった。「おばあちゃん。」「あっ、つくし! 待っていたのよ。 タマさん。 この子が孫のつくし!」「へぇ。 この子が。」タマという人もかなり年老いており、車いすに乗っている。「初めまして。 孫のつくしです。」「きちんと挨拶出来て偉いねぇ。 初江さんの育て方が良かったんだろうねぇ。その点、うちの坊ちゃんと来たら。」と、タマは...

  • 37

    翌日、7時に一緒に朝食を取る。「車を使うと良い。」「いえ、歩いて行ってみます。 ここから駅までの道も覚えたいし、大学が始まった時スムーズに行きたいし。」「大学へは車を使えば良い。 その方が帰りに病院へ直行できるしさ。」「夕方は交通渋滞に巻き込まれる可能性がありますし、電車の方が早いと思います。」しっかりとした自分の意見を持つのは良い事なのだが、少しは俺の意見に妥協してくれても良いんじゃない?と、融...

  • 36 第三章

    数日後、初江は花沢邸の最寄り駅付近の病院へ転院した。その転院先の保証人も、類の母親がなった。転院先では一日3回それぞれ40分ずつのリハビリが組まれ、担当者がみっちり行う。しかも面会時間は9時から20時までと長い。リハビリの様子も見学できる。初江を転院させた後、類とつくしは葉山の家へ向かい教科書や服などを車に詰め込むと花沢邸へ向かった。夏休みは残り10日ほど。初江が入院中に大学が始まる事は確かだ。花沢...

  • 35

    30分後、病室にケアマネージャーが入ってきた。「篠田さん。 体調はどうですか? 今回は大変でしたねぇ。」「お蔭様で何とか生きてます。」「丁度お孫さんがいる時間帯で良かったです。年配者の場合、骨折により動けず低体温症で亡くなられる方もいらっしゃるんですよ。」骨折で死亡?全く知らなかった事実に初江とつくしは共に顔を見合わせ大事に至らず良かったと安堵する。「それで今後の事なんですが、篠田さんのご希望は入...

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