つくしは大学の寮に着いた。玄関を入ると管理人のような人がいる。「こんにちは。初めまして。牧野つくしと言います。」「牧野さんね。ちょっと待ってね。」管理人の男性は紙をペラペラと捲り「えっと、牧野つくしさんは301号室だね。鍵を渡すからちょっと待って。」そう言うと一つのカギを持ち管理人室から出てきた。「はい。これがカギ。3階の301号室ね。ここは女子寮だけど3階は医学部の生徒が集まってる。だから同室の人...
9時に一階のロビーへ降りると、既に松本が待っていたそして類を見るとガバッと頭を下げる「昨夜はご迷惑をおかけ致しました。」「いや、それより大丈夫?」「はい。 もう全然大丈夫です。 それではチェックアウトしますか?朝食はもう召し上がられましたか?」「いや、食べない。 松本は?」「私は既に済ませした。 それではチェックアウトしてきます。」松本は、類のカードキーを受け取ると、まっすぐフロントへ向かったその...
ラウンジには5人の姿テーブルの上には、ほぼ同じ商品が入った紙袋が4つちなみに桜子の鞄の中には、昼間使用したSMグッズも入っているその紙袋を見ながら類が話始めた「三条。 お前に聞きたいんだけど、どうして俺がSM愛好者だと思ったわけ?」「えっ! 類がSM愛好者?」つくしは驚き類を見るそして少し距離を開ける(つ:類がSM好き? 嘘でしょ? そういえば昼間行ったSMショップでも堂々としていたよね? あたしはかなり恥...
松本は夢心地で類に抱かれていた酔っているのは勿論演技元々アルコールには強い方だそして仕事が終わったタイミングを見計らい、酔ったふりをした仕事中に酔ったふりをすれば、類さんではなく福岡支店の社員が解放する可能性があるそれでは困るその為チャンスを窺っていた酔ったと告げふらついて見せれば、サッと支えてくれた体を密着させるのはもちろん初めてで、、類さんの香りに酔いしれたエレベーター内でルームキーを問われた...
類は、ラウンジであきらと総二郎に紙袋を渡していた「これ、、」「何だ?」「お前からのプレゼント? 珍しい事もあるものだなぁ。」と言いながら紙袋の中身を覗くと同時に動きが止まった(総:これ、、、SMグッズじゃね? 昼に見たぞ?)(あ:これ、、昼に見たグッズだろ? なんで俺達に?)(類:くすっ。 欲しいと思ってたんだろ? ビックリした?)「必需品だろ?」(総:必需品、、、なんで?)(あ:ほんと類の考えが分...
福岡に到着した類は、その足で祝典に参列したその隣で松本が奮闘している福岡支社長を始め、関係者との中継ぎをし、俺を誘導しながら挨拶や雑談を交わしていく初対面の人達と挨拶を交わすときも、その企業がどの分野で貢献したかを頭に入れているようだ卒なくお礼を告げている祝典でスピーチを終えた後は、壇上から降りて各関係者へのお礼参りその俺の後を、しっかりとついてくる「今日は何時もの秘書の方ではないようですが?」田...
放課後、、桜子はつくしと落ち合いカフェに向かったつくしが桜子に渡したいものがあると誘ったからだ店内に入った二人は、コーヒーを頼んだ後向き合う「先輩。 今日はお誘いありがとうございます。 丁度良かったです。 私も先輩に渡したいものがありましたので。」「そうなの?」「はい。 私からはこれです!」桜子は紙袋をテーブルの上に置く昨日買った物を別の紙袋に入れ替えている「ありがとう。 なんだろう? あたしから...
麗の力強い発言を耳に入れながら、夢子は小声で顔を近づけて告げる「それがね、、類君好みに徹底しているらしいの。」「えっ?」「フランスとアメリカに留学経験があり、フランス語と英語が堪能らしいわ。真面目に勉強に励み、仕事もキチンと熟しているらしいの。」留学はある程度の上流社会の人なら行っているそれは、自分の経歴に箔をつけるため例え一か月であろうとも、『海外留学経験あり』と言う謳い文句が出来るその為、現地...
類とつくしはドキドキする鼓動をどうすることも出来ず、足早に非常階段へ向かった「びっくりした!」「俺も!」「まさか、西門さんと美作さんがそっちの気があるなんて! 桜子も興味津々みたいだったし!」「あいつら昔っから遊んでたから、やり尽くしたのかも? で、新たな方面へ?」「かもね。 でも、、痛くないのかなぁ? 西門さん、美作さんに鞭で思いっきり叩いてたよ?」「凄い音だったよな。 しかもロウソクまで垂らし...
あきらは美作が贔屓にしているデパートへ、つくしを連れて行ったそこには化粧品やアクセサリー、服などいろいろな物が揃うそれに地下には葉山ブランドの商品も展開しているつくしの担当先ではなかったが、一度見ておきたかったという事で、二人は真っ先に地下へと向かった「そうそう。 これ美味しいんだよねぇ。生野菜はもちろん、パスタにかけても美味しいし万能なんだよねぇ。へぇ。 こっちの商品は、こういう使い道もあるんだ...
翌日、、桜子はラウンジで二人から報告を受けていた「それらしいグッズは無かったわ。」「部屋に木馬とかも無かったしよぉ。」「と言うことは、他の部屋に隠されているのでしょうね。」あきらと総二郎はウンウンと頷く「ただ、、やっぱり類のイチモツは大きいぜ。 避妊具があったんだが、XLだったしさ。」XLと聞き、桜子は思わず息をのむ(桜:それって外国人並みじゃないですか! トウモロコシサイズですよ!! トウモロコシ!...
類は空港のロビーで松本と合流する何時もはパンツスタイルが多い松本だが、今日は珍しくスカートだしかも少し高いヒールのパンプスを穿いて、控えめなスイングタイプのピアスをつけているだが華美と言うほどでもないし、祝典のホストの立場としては許容範囲だ「遅れて申し訳ありません。」「いや。 まだ集合時間前だから。」「じゃあ検査場に入って、中でゆっくりしましょう。」「あっ、もう少し待ってくれる?」「何か用事でも?...
昼休みになり、桜子はラウンジへ向かったもちろん今朝仕入れたつくしの話を、二人に報告するためだその話を聞き、二人は驚愕する「まじか?」「ホントに類が、牧野を縛ったのか?」「はい。 花沢さんが器用に縛ったそうです。 チャチャッとあっという間だったそうです。」「と言うことは、かなり練習していたんだろうなぁ。」「あいつ、、どういう趣味してんだ? ちょっと信じられねぇんだけど。」「私も同じです。 ノーマルだ...
それから三週間が経った田村との仕事は阿吽の呼吸と言うか何も言わなくても全てが揃い、やはりやりやすい環境だったその田村がいない今、かなりの負担を強いられているだが一生懸命な松本を見れば、何も言えない「松本。 去年の資料は?」「あっ、すみません。 すぐ用意します。」時間は既に18時を回っているこれ以上拘束する訳にもいかない「いや、俺がやる。 松本はもう帰ってくれていいから。」「いえ、最後までやります。...
月曜日、、桜子は再び大学の門の前でつくしを待っていた土日に類と、、、を聞き出すためにだそしてつくしの姿を見つけると、大きく手を振った「せんぱ~~~い」「あっ、桜子!」つくしも桜子に気づき、大きく手を振りながら駆け付けた「おはよう。」「おはようございます。」そして歩きながら話を始める「先輩。 土日は花沢さんと過ごされたんですよね?」「うん///。」つくしは頬を染めながら小声で告げるその恥じらう姿に桜子...
月曜日、、類が出社するとパソコンに向かい田村が松本に指示を出しているそして類の姿を見ると、田村は立ち上がる「おはようございます。」「おはよ。 何かあった?」「類様。 突然ですが、今日から私はフランスへ行ってまいります。」「えっ?」初耳の類は驚く「ブルゴーニュ地方の穴埋めを、どの地方で補うかの話し合いに参加してまいります。丁度ブドウの収穫時期に入りますので、生育状況を見て決めるそうです。本来ならば類...
つくしと別れた桜子は、講義も上の空で昼休みになるとラウンジへ足を向けた「よぉ! 桜子! 元気がねぇなぁ。」「何かあったのか?」桜子は悩むものの、二人なら類の性癖を知っているかも?と思い話し始める「あのですね。 お二人は花沢さんの事をよくご存じですよね?」「あぁ。」「まあな。」「それではお聞きしますが、花沢さんはSMの気がありますか?」「「はあ?」」二人は桜子の前で素っ頓狂な表情を見せる普通の女性がこ...
日曜日、、田村は、社長である聡からの突然の電話に驚いた「それは、すぐにですか?」『悪いが明後日には来て欲しい。 類に頼んでも良いんだが、今からスケジュールを調整するのは大変だろう?丁度第二秘書もいる事だし、多少お前が抜けても大丈夫だろう。明日午前中に指示を出し、それからすぐにこちらに来てくれ。』「畏まりました。」田村は電話を切ると急いで出張の準備とフライトと宿の手配を始める類の秘書になり一年半ほど...
翌日、、桜子は門の前でつくしを待っていたなぜなら、、、総二郎やあきらよりも先に二人の情報を知りたいからだつくしLOVEの桜子にとって、最新情報は誰よりも先に手に入れたいと思っているその桜子の目につくしの姿を捉えた「せんぱ~~い!」桜子は大きな声でつくしに手を振るそれに気づいたつくしも手を振り返し、桜子に向かって駆けてきた「おはよう。 桜子!」「おはようございます。」(桜:ふふっ。 一番にご挨拶が出来、...
花沢邸に着いた類とつくしつくしは使用人にペコペコと頭を下げながら挨拶を交わす「こんな遅い時間にお邪魔して申し訳ありません。」「いいえ。 それより楽しめましたか?」佳代は類が人混みが嫌いな事は百も承知以前の類なら、花火など以ての外始めは機嫌が良くても途中で不機嫌になる事も十分考えられただがそれは杞憂に終わったようだ「凄く楽しかったです。 花火を見ながら、一緒にたこ焼きとか食べたんですけど、いつもより...
桜子はつくしの講義が終わるのを待っていたそして教室から出たところで声をかける「先輩!」「あっ、桜子! どうしたの?」「西門さんから先輩が肩を回し腕を振っていたとお聞きしましたので!」「あぁ。 うん。 でもだいぶ良くなったから。」(つ:心配してくれたんだ。 優しいよね、桜子って。)(桜:私の口技を使われたんですよね? しっかりご奉仕されたんですよね?)「ごめんね。 これから類の家に行く事になってるん...
待ちに待った土曜日類はつくしの家へ迎えに行くと、千恵子に「お預かりします。」と挨拶をして仲良く出かけたつくしは浴衣も考えたが、ランチも食べるし類の家に泊まる事を考えた時、普通の洋服の方が無難と判断した類はつくしが手にしているボストンバックに目が行くまるでどこかに旅行にでも行くような荷物だ「それ、、、」「あっこれ? お泊りセット!」「お泊りセット?」「うん。 寝間着と明日の着替え!」類は親友達の家で...
つくしは右腕をぐるぐる回したり、大きく振ったりしながら中庭を歩いていたその姿を、総二郎が見つけた「おい! 牧野! どうしたんだ?」「あっ、西門さん! こんにちは。」まず挨拶をするつくしに、総二郎はコイツらしいと思う「あぁ。 それより腕をどうにかしたのか?」「えっと、、昨日、張りきっちゃって。」(総:張りきる? それって、、アレか? でも腰が痛いとかなら分かるが、なぜ腕? あっ!そういえば桜子から口...
「今日の稽古は、これで終わり!」「ありがとうございました。」つくしは両手を畳につけ頭を下げる一通りの流れを教え、今はその所作の向上を目指しているところだ一度注意したところは次回には気を付けながら行う事に、向上心がある事が分かる総二郎としてもやりやすい生徒だ稽古が終わったと同時に、つくしは足を崩す「痛いけど何とか我慢できたし、以前ほど痺れてない。 進歩進歩♪」と呟きながら足をさする向上心は認めるが、...
つくしと類を見送った後、桜子がラウンジへ向かったなぜなら、あきらからSNSで<ちょっと来い>と連絡が入っていたからだ「お待たせいたしました。 どうかされたのですか?」「あぁ。 類の事だよ!」「花沢さんですか?」「あぁ。 類の奴、いつも1時間は繋がってるらしいぜ。」1時間!!それってかなりの遅漏じゃないですか!!でも、先輩の話では超早漏だと、、「それが栄養ドリンクのせいで6時間も繋がっていたんだとよ。」...
類とつくしは順調な交際を続けている日曜日はデートとしてどこかに出かけていたのだが、梅雨に入り天気が悪い日はどちらかの家で過ごすようになったつくしの家では、つくしの手料理で舌鼓を打ち、晴男とトランプに興じ一喜一憂した類の家では、シェフが作る料理を、教わったマナーで頂く練習に充てたもちろんつくしのマナー教室と茶道教室も続いているマナー教室はあきらの家で行われるが、たまには気分を変えたいと言う事と、美作...
「お待たせ。」カフェの入り口につくしと桜子が立っており、類の姿につくしは嬉しそうに手を振るその姿を見て、桜子はにこりと笑うやはりつくしの嬉しそうな姿は、桜子にとっても嬉しいだからこそ、不安や心配の種は早々に摘んでおきたい「先輩をお借りして申し訳ありません。」桜子はとりあえず謝る類と帰宅する予定を無理やり開けてもらったからだ「いや。 じゃ帰ろう?」「うん。 じゃまたね、桜子!」「はい。 またお茶しま...
8時ごろ、類が先に目覚めたそして腕の中の温もりに目を細める安心しきった表情で眠っている愛しい人は、既に普通の可愛い彼女に戻っている昨夜の妖艶で高揚し、俺を煽りまくった表情はどこにもないベッドサイドのテーブルには、避妊具の包みがすべて開封されている牧野と付き合うようになり、念のために3つだけ持ち歩いていた物その全てを初めての女性に使い切るとは、どれだけ盛っていたのだろうか?牧野の蕩ける熱い中に夢中に...
類は時間潰しの為にラウンジへ寄ったするとそこに総二郎とあきらがいた2人は一心不乱にスマホを弄っている「おっ、類!」「えっ? 牧野は?」「三条のお悩み相談中? 終わったら迎えに行く事にした。」「へぇ、、三条が、、」(総:行動が早ぇなぁ)「それで時間潰しか?」「まあね。」類はソファに寝転がると足を伸ばし目を閉じたその類の股間に二人の視線が集中する(総:もっこりしてねぇよな?)(あ:トウモロコシならもっ...
二人はホテルの日本料理店で食事を楽しんでいたつくしはもっぱら茶道教室やマナー教室の事、そして親友とGWは過ごしていた事を話す類はブルゴーニュ地方の現状や仕事の愚痴を話す美味しい食事で腹を満たした類は、つくしの前に袋を差し出す「はい。 お土産。」「えっ! 良いの?」「ん。 空港で時間があってさ。 ぶらぶらしていたらそれが目に留まって。 牧野が喜びそうだなと思ってさ。」「何だろ? 開けても良い?」「どう...
桜子は午後の講義が終わるつくしを待っていたそして教室から出てきたところで目の前に立つ「先輩!」「あっ、桜子。 どうしたの?」「先輩。 ちょっと付き合てもらっても良いですか? こちらです。」「えっ? ちょっ、、」桜子はつくしの返事を聞く前にその腕を掴むと、ズンズンと歩き始める「今日のバイトは16時からですよね?」「あぁ。 それはキャンセルしたんだ。」「キャンセル?」(桜:アルバイト命の先輩がキャンセ...
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つくしは大学の寮に着いた。玄関を入ると管理人のような人がいる。「こんにちは。初めまして。牧野つくしと言います。」「牧野さんね。ちょっと待ってね。」管理人の男性は紙をペラペラと捲り「えっと、牧野つくしさんは301号室だね。鍵を渡すからちょっと待って。」そう言うと一つのカギを持ち管理人室から出てきた。「はい。これがカギ。3階の301号室ね。ここは女子寮だけど3階は医学部の生徒が集まってる。だから同室の人...
つくしは卒業式に臨んだ。そして卒業生代表として答辞を読み上げた。これでつくしの英徳生活は終止符を打つ。色々あった三年間だ。その中で最も濃い時期を過ごしたのが一年半前。司に宣戦布告してから目まぐるしく人生が変わった。もちろんそのおかげで沢山の人達と知り合い、今も交流が続いている。それは自分の人生にとってプラスになる事は間違いない。ただ大学生になる事で、そこにも一線を引くつもりだ。つくしは最後に非常階...
年が明け、つくしは共通テストを受ける。それを自己採点したうえで、国公立大学医学部の二次試験の願書を出した。それは寮が完備されている九州の大学だ。寮費と食事代で月4万円ほど。水道光熱費込みで二人部屋。だが大学から近く交通費がかからない。今住んでいるアパートの家賃と水道光熱費、食費を考えると十分賄えるしお釣りも来る。そのお釣り部分を医学部の施設使用料に回せば奨学金の額を減らせる。特待生になる事を期待し...
つくしは英徳の経済学部、都内の医学部の私学を受験する。すると両方とも合格を勝ち取った。だが特待生になるには、入試試験の上位10人で入学した者のみだ。つまり自分がその特待生になるかどうかは入学手続きをするまでわからない。しかも特待生と言っても授業料の250万円が免除されるだけ、残り施設使用料を合わせた400万円近くはかかる。「凄いな。無事合格できたじゃないか。」「はい。」「英徳は特待生間違いない。こ...
類はあきらからの報告を受け驚いていた。てっきり就職、あるいは専門学校へ行くと思っていた。ところが医学部を受験するとは想定外だ。でも、、、何となく牧野らしいと思ってしまう。いつもいつも自分の前に大きな壁を作りそれに登ろうと必死にもがいていた。実際、それを登り切っていたし、時には俺が引っ張り上げた事もある。でも今度は自分一人。俺に出来る事はここから応援するのみだ。頑張れ!!牧野!!「類君?何かいいこと...
一学期も終わろうとしていた。つくしは個人面談の為担任と向き合っている。「成績は申し分ない。よく頑張っているな。」「ありがとうございます。特待生なので必死です。」「TOEICも786点は流石だ。これなら一流企業にも十分入れる。」「ありがとうございます。」「それでなんだが、、、このまま英徳大学へ進学するのはどうだろう?英徳大学も特待生制度がある。充分特待生になれると思うんだが。」担任は学園長から頼まれてい...
類は母親と共に本屋に来ていた。平日に読む本を選ぶためだ。「電子書籍とかも出始めてるけど、やっぱり紙の本の方が目が疲れなくて好きだわ。」「確かに。」「類君は何系が好き?」「推理小説かな?」「推理小説は一気に読みたくなるのよね。こういう文庫本は文字もこんなに小さな文字で、なかなか読めなくなってきたのよね。認めたくないけど確実に老眼になってきているわ。」「こればかりは仕方ない。いやかもしれないけど老眼鏡...
つくしは高校三年になった。進は終業式後に北海道へ行った。突然家族がいなくなり寂しい気持ちはあるが、逆に言えば自分のペースで勉強が出来る。夜も進に気を遣って明かりの位置を調整する必要はない。その為、のびのびと勉強に打ち込んだ。そしてGWになり、桜子に誘われ久しぶりに総二郎、あきら、滋と食事会をした。「牧野。お前、一回り痩せたんじゃねぇか?」「そうかな?」「うん。やつれてるように見える。ちゃんと食べてる...
プロムから帰宅すると、そこには母親の犬である三沢が待っていた。司は身構える。「お帰りなさいませ。」「なんだ?」「お迎えに参りました。これからNYへ向かいます。」「はあ?」突然の事に司は呆けた声を出す。そして隣の海を見る。海もどういう事?という気持ちだ。「海も一緒か?」「いえ。司様お一人です。」「どういう事だ?」「初めからその約束でございました。日本へは一時帰国でございます。ですが司様が暴漢に刺された...
司と海が出口へ向かうのを見て、二組もダンスが終わると直ぐにフロアの隅へ移動する。あきらと総二郎は、滋と桜子にドリンクを渡す。「ありがとう。」「すみません。」喉を潤した後、、、「あったね。」「ありましたね。」「くっきりとあったな。」「あんな目立つ場所につけるなよな。」四人は海の胸にくっきりと点けられたキスマークをチェックしていた。「という事は昨夜も張り切ったという事だね。」「ですね。」「チェリーだっ...
英徳の卒業式そこにF4の姿はない。類はもちろんだが司、あきら、総二郎もサボった。既に卒業は決まっているし、堅苦しい式は元々参列するつもりはなかった。そして夕方からのプロム。ここには卒業生がドレスアップして参加する。もちろんパートナーは誰でも構わないし、一人で出席してもOKだ。そこに総二郎は滋を、あきらは桜子を同伴して現れた。その姿に生徒達は黄色い声を上げる。卒業式に参列しなかった為、プロムも欠席とばか...
つくしは桜子に連れられ英徳のラウンジに居た。そこであきらの驕りでランチを食べている。「牧野。本当に参加しねぇのか?」「うん。桜子と滋さんを誘ってよ。元々あたしはそんな場所に行きたくないし。」「先輩。お二人のどちらかと参加して道明寺さんの鼻を明かすという方法もありますよ?」「ううん。そんな事したくないし会えば必ず嫌味を言われるでしょ?そうなったら折角のプロムが台無しになるじゃない?だからあたしの分ま...
つくしは相変わらずあまり寝られなかった。そして勉強をつづけた結果、思いのほか好成績を残すことが出来た。それは自分でも信じられない成績だ。その日、担任に呼ばれたのだが、それは特待生に推薦するという話だった。思いがけない話につくしは驚くが嬉しくて仕方ない。英徳には特待生制度がある。つまり一年間の授業料が免除される。ほとんどの学生は特待生に推薦された時点で辞退する。お金持ちの子息ばかりでお金に困っていな...
「類君。ありがとう。」「いや。これくらいどうって事ない。」類は花瓶の水を入れ替え病室に置いたところだ。母親が病気で手術をすると聞いたのはNYから帰国後すぐの事。急いで帰って来いという雰囲気ではなかったが、日本では大河原主導の元、司と牧野の恋を応援するプロジェクトが立ち上がっていた。早々に参加するつもりはないと告げていたが、あのまま日本にいたら二人の状況を逐一報告される。それが嫌でとりあえずフランスへ...
「姉ちゃん。もう勉強は良いから寝よう?」「ごめん。眩しかった?」つくしはライトの角度を変える。「大丈夫。でもあまり寝てないよね?」「あぁ。ちょっと眠れなくて。勉強していたらそのうち眠くなるからもう少ししたら寝るね。」つくしは目の下に隈が出来ている。ずっと眠れない日々が続いている。なぜなら、司がつくしの記憶だけを忘れたから。それだけではなく司は海という女性を傍に置き、つくしに向けていた笑顔を彼女に向...
おはようございます。新連載の『違う、あんた誰?』を一旦引き下げます。もう一度再考してみますが、そのままお蔵入りするかもしれません。今の所、他にストックが三作ありますのでそちらをアップさせていただきます。それで終了かな?と思っています。と言うのも書いていて他作品に似ている部分や同じ展開だよなぁ、、、と思う事が多々あり、しかも最近は思っている事がなかなか文字にならないんです。既に類つくを書き始めて10...
自宅に入ったつくしは扉に体を預ける。これで類との関係は終止符を打つ。もちろん友人関係はこれから先もずっと続くが、休みが合えば二人で行動したりは出来ない。ほんの散歩程度の事でもボディガードのような物がつくと聞いている。それも仕方ない事。それだけの地位のある人と結婚するんだから。でも、かなり不安がある事に間違いない。その不安を口にできるのは類の前だけだった。『結婚は誰でもそんなもんじゃないかな? それ...
送別会もお開きの時間となり、類がつくしを送る事になった。「じゃあ、元気でな。」「まあ一週間後のお前たちの結婚式には出席するんだけどよ。」「その時に、先輩の一世一代の晴れ姿を目に焼き付けますので。」「つくし。 元気でね。 式の後に写真だけでも送ってね。」優紀だけは仕事があり出席できない。だが他のメンバーは出席することになっており、一週間後には再会する。それでも著名人が集まる式ではあまり会話も出来ない...
類、総二郎、あきら、桜子、優紀はつくしの送別会を行っていた。今日はつくしの大学卒業式があったばかり。だが明日にはNYへ行くことになっている。そして一週間後には結婚式が行われる予定だ。そんな中、既に仕事を始めている類、総二郎、あきらも駆けつけた。四年の約束はつくしが大学を卒業するのを待ってとなり、一年延び五年になっている。遠距離もやっと実を結ぶ事となり、皆安堵していた。「しかし、、、いよいよかぁ。」「...
類とつくしは片づけをしながら話をする。「牧野。今の仕事なんだけど、年が明けたら止められる?」「やっぱりアルバイトというのはヤバイ?」「いやそう言うんじゃないけど、どうせなら花沢物産で働いて欲しいかな?と思ってさ。」「大卒でもないしスキルも何もないのに花沢物産で勤まるとは思えない。もちろん類の彼女である事は嬉しいしこれからも一緒に居たいとは思ってる。」(つ:類と一緒に居たいと思うけど不安が大きい。あ...
類はリビングに置いている写真立てを手に取る。そこには袴姿のつくしの姿。場所はどう見てもここフランス邸の玄関だ。そこに使用人がやってきて急いで窓を閉め倒れた写真立てを戻し始めた。『ちょっと教えて欲しいんだけど、この写真は何時撮った?』『約二週間ほど前でしょうか?』二週間前?という事は、牧野はここに居た?袴を着ているが卒業式か?いや、フランスには卒業式という物は無く、卒業の許可が出たら大学に卒業証書を...
フランスに着いた類は、その足で家へ向かった。「いらっしゃい類君。」「ただいま。」ニコニコした笑顔で出迎えた麗だが、類の表情がイマイチであれ?と思う。予定ではニヤニヤした笑みが押さえきれず、ルンルンとした足取りで開口一番『牧野ともう一度付き合うことにした!』と報告すると思っていた。それが全く違い、サッサと自室へ入っていった。つくしちゃんがここに来たとき、類君と会ってみると言っていた。その為、フランス...
つくしは電車を乗り継ぎお台場まで来た。そして自由の女神に向かって歩く。一年半前もそうだが、この付近はやたらとカップルが多い。みんな仲良く手を繋いで歩いている。自分も以前は同じように温かい手をしっかり握っていたのに、、と思うと、今更ながら辛い。ただあの時の自分の選択を後悔したくない。あの気持ちのままでは類に向き合えないし笑う事すらできなかった。けど今の気持ちになるまでに時間がかかりすぎた。西門さんも...
茶道の後、蕎麦屋で昼食を取り、つくしはロバートとレオを連れ葉山の家へ向かった。今、どういう状態になっているのか見たかったからだ。すると管理をしてくれる人が待ってくれていた。麗に任せっきりでどういう人が管理しているのか知らなかったが、気さくな女性で安心する。家も雨戸を開け空気の入れ替えやこまめに掃除をしてくれていた。「ありがとうございます。」「いえ。 どこか気を付けて欲しい所とかありましたらおっしゃ...
道明寺邸に到着すると、タマに出迎えられる。「お帰り。 つくしさん。」「タマさん。 お久しぶりです。 お元気でしたか?」二人はしっかり握手する。つくしの目には、また一回り小さくなったように見えるタマだが、まだメイド服を着て現役のようだ。「あぁ、なんとかね。 それにこんなかわいい子供たちを見られたし、まだまだ長生きしないとね。」「はい。 是非是非。」つくしは客室に荷物を置くと、早速庭からバラの花を数本...
つくしとロバートが羽田空港に到着した。『日本は治安が良くて助かる。 ずっとつくしを気にすることなく観光が出来たから。』『確かにその点は良いよね。 それに親切な人が多いし。』と言いながらゲートを出る。するとそこには椿とレオ、そして椿の腕の中にはアイラがいた。『つくし! こっち! 待ってたよ!!』『つくしちゃ~ん。』手を振る三人の元へつくしは駆け寄る。『お久しぶりです! 椿お姉さん。 レオ君、元気にし...
9月になった。類は、フーと大きく息を吐き、首をコキコキ鳴らす。既に20時を超えそろそろ帰ろうかというところだ。一週間後にフランス出張がある。それまでに国内の仕事を片付けておきたい。その前に北海道出張もある。約三年前にオープンした施設の現状把握だ。既に数店舗空きが出ており、これ以上の撤退は避けたいところだが、新たなテナントは何を誘致すれば良いか、それが纏まらない。とりあえず現地へ行って考えるつもりだ...
つくしは麗と共に花沢邸へ。その車中もロスでのつくしの生活を麗が聞きまくる。椿とその夫によくしてもらい、子どもたちに癒され楽しい日々だと分かりホッとする。言葉の壁も楓が家庭教師を雇い、大学が始まるまでにとりあえず何とかなった事。その大学には留学生が多く、同じように英語に不慣れな学生たちもいた事。その学生たちにアメリカのクラスメイトが手を差し伸べ充実した学生生活が送れ、無事卒業できた事などを伝えた。麗...
フランスに着いたつくしを出迎えたのは麗だ。「つくしちゃん! 久しぶり~!」その声にボディガードがサッとつくしをガードするように前に出る。今回は初めての海外巡り。治安が良くない地域もあるし、少しずつ人気が出てきたつくしのファンが押し寄せる可能性もある為、ロバートは二人のボディガードを同行させた。『大丈夫です。 危険人物じゃありませんから。』それはロバートにも分かる。相手の女性もボディガードが付いてい...
ただいま公開しているイベントですが一部の方で読めない状況となっております。iPhoneを使用している方が多いようなのですが取り急ぎ下記を参考をしてください。お手数をおかけいたします。類誕イベントサイトにお越しの皆様へイベントサイトにお越し下さり、ありがとうございます。今回読者の方より「サイトが見られない」というお話を伺いました。幾つかの原因が考えられますので、下記に方法を記載致します。ご対処いただいたう...
つくしとシンディが友達となったことで、口調は打ち解けた物に代わり、目の前の三段トレーのケーキやスコーンを摘まみながら話は弾む。年齢を聞くとつくしより三歳年上。つまり司より二歳年上だ。だが会話をしていても偉そうな口調は無く、フレンドリーで話しやすい。『つくしは司の友達と付き合ってて別れたと言ったけど何があったの? 浮気?』『浮気というか、、、シンディと同じような感じ?類や道明寺の幼馴染の女性が類と仲...
つくしはロバートと共に、サンフランシスコ、シアトル、ソルトレイクシティ、ミネアポリス、シカゴ、アトランタ、ワシントンと周りニューヨークに着いた。そしてニューヨークのメープルに入った時、司が出迎えた。「よぉ! 牧野! 卒業おめでとう!」手には花束を抱えており、それをスッと渡す。「ありがとう。 それよりどうしてここに?」「三日前に仕事でここに来てよぉ。 その時、お前が来ると知ってさ。何時もレオとアイラ...
今年もこの季節になりましたね。是非楽しんでください。この企画が進行中はまさにWBCで日本が賑わっている頃でした。大谷選手を見ていると我が家のお話の空君を思い出しました。(『青い空』『空は青色』の空君です)まるで大谷選手=空君と言う感じに思え、準決勝、決勝とハラハラドキドキしながら見て拍手喝采を贈りました。久しぶりに明るいニュースで嬉しかったです。今年こそ明るい年になって欲しいですね。boîte à cadeautea...
7月。つくしは大学を無事卒業した。友達も大勢出来、その人達との別れを惜しむ。留学生が多い事から卒業後はそれぞれの国に帰りなかなか会えない。皆はハグしあい涙を流すものまでいる。それ位仲の良い学年だった。『つくし! 絶対ドイツに来たら連絡してね。』『インドに来たときもな!』つくしはウンウンと頷きながら三日後からの予定表を取り出す。そこには日付、国、場所、ホテル名が書かれている。今まではアメリカ国内だっ...
4月になり、類は正式に花沢の社員となった。肩書は取締役課長という物。取り締まりが付くことから会社登記にもしっかり類の名前が記載され、一般社員とは違い責任も伴う。もちろん管理職となる為労働基準法が適用されない。それは仕方ないと受け入れている。とにかくしっかり仕事を熟し、自分の結婚に誰からも何も言われないようにしたい。その為には仕事もしっかりやるのみ。何より優秀な田村という秘書が付いているのはありがた...
2月。椿が元気な女の子を出産した。その二日前から椿は入院しており、レオはつくしと留守番をしていた。夫は立ち合い出産の為、ずっと椿に付きっきりだ。こういう点もつくしは良いなと思う。日本でも増えてきたが、まだまだ立ち合い出産は少ない方だ。生むのは女性しかできないが、生まれたばかりの子供は夫と共に見て感動を味わいたい。ふと自分がベッドに横になり強く手を握り励まされている場面を想像する。その握られている手...
12月。つくしは大学の友達にクリスマスパーティーに誘われ向かった。思えばこうして友人とクリスマスを祝う事も、パーティーをすることも初めてだ。英徳時代は祖母が居た事も有りすべて断っていたからだ。だが日本のパーティーとアメリカのパーティーは違うと思っている。何故ならアメリカの方がフレンドリーというかボディタッチが激しいからだ。『つくし! 待ってたよぉ。』『呼んでくれてありがとう。』つくしはキャシーとハ...
つくしはレオとロサンゼルス動物園に来ていた。椿が悪阻で思うように外出できず、レオも家の中か庭で遊ぶ日々が続きストレスも溜まっているだろうとつくしが申し出た。もちろんボディガードも連れている。レオは動物園に到着した時からハイテンションだ。一歩中に入るとつくしの手を引っ張り動物の檻へと連れていく。そして名前を連呼し次の檻へ向かう。最近浮かない顔の多かったレオだが、今日は笑顔いっぱいでつくしも安堵する。...
フランスの家に着いた類は、真っ先に母親に問う。「牧野から連絡あった?」「来て早々つくしちゃんの話? まずは挨拶でしょう?その次に母親を労わる言葉じゃない?」類は小さく舌打ちをした後、、「ただいま。 今年の夏は暑いけど元気そうで何より。 それで牧野から連絡来てる?」早口でとりあえず挨拶をし、すぐ本題に入る類が面白く、麗はクスクス笑う。そんな麗に類は苛つく。「母さん! 連絡は? 牧野は元気にしてる?」...