#208「さらば昴よ」 昨年の10月、谷村新司さんが亡くなりました。生前、ヒット曲「さらば昴よ」を何度も聴いていましたが、特に思い入れがあったわけでもなく、ただ心地良いBGMのような存在でした。しかし、亡くなってみて初めて、この歌詞はどういう意味なんだろうかと、思ったわけです。そこで調べたところ、深い意味があることがわかりました。昴はおうし座の星団で、物質的な豊かさのシンボルだそうで、谷村さんの書...
#208「さらば昴よ」 昨年の10月、谷村新司さんが亡くなりました。生前、ヒット曲「さらば昴よ」を何度も聴いていましたが、特に思い入れがあったわけでもなく、ただ心地良いBGMのような存在でした。しかし、亡くなってみて初めて、この歌詞はどういう意味なんだろうかと、思ったわけです。そこで調べたところ、深い意味があることがわかりました。昴はおうし座の星団で、物質的な豊かさのシンボルだそうで、谷村さんの書...
#207「ため息の結晶」人間というもの、そもそもが好戦的なのだろうか。世界でも、日本でも、大きなもの、小さなもの、あちこちでイザコザが絶えません。人間にはそれぞれ違いがあって当たり前であって、それが面白いのであって。みんなが平和・繁栄・幸福な社会を望めばいいのに、実際は目の前にある通りです。ため息が出ます。多くの人がため息を漏らしているのに、それが見えないから伝わらない。もしため息が世界の隅々まで...
#206「予感」世の中がAIに席巻されそうな時代になってきました。いずれ人間は自分で何も考えなくてもAIに意思決定をしてもらうようになるかもしれません。それこそホラー小説の世界です。誰もがAIに操られ、誰もがフェイクで頭がバグ状態になるのでしょうか。最悪です。私はできるだけAIは利用すれども依存せず、自分の理性と感性を信じたい。今作のタイトルは「予感」としました。予感力(イメトレ)を磨けるような舞台を設定...
#205「パンドラの箱」 神から「パンドラの箱」をもらった人間が好奇心から箱を開けたところ、禍や不幸や悪が世界に広がってしまい、そして、箱の底に希望だけが残された。この希望はホンモノでしょうか。なにやら日本の昔話にもありそうな話です。 考えてみたら、今の今までずっとパンドラの箱は開きっぱなしのような気がします。いっぱいのカオスが飛び出していて。今年は、誰か、箱を閉じてくれる人が出てきてほしいです...
#204「荒城の月」 和城ブームが長く続いています。TVや雑誌でよく城の特集がされています。都内だけでも「城」の名前がついている城址が60もあります。近所には石神井城址があるし、先週は世田谷城址に立ち寄りました。ちょっと意識していればご近所に城址があるかもしれません。城巡りなんて、以前はマニアックな男の趣味みたいなイメージでしたが、最近は若い歴女や外国人観光客がたくさん訪れているので、ずいぶんとカ...
#203 タイトル「無意識の穴」 人が行動するとき、その9割以上は無意識に行っているそうです。意外です。後先をよく考えて、計算して、行動していると思っていました。実際には、目に見えない、おぼろげな何かにコントロールされているとは。そういえば、自然に、無意識に動いているようでも、例えば、国民性、地域・業界・企業の風土、家風、人間関係、などに影響をうけているのかもしれません。 イメージとしては、そ...
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#206 タイトル「ゴットランドの妖精」ゴットランドはスエーデンにある島です。魔女の宅急便の舞台としてテレビ番組で紹介されました。この島ではたくさんの妖精がいると信じられています。題材として描いた妖精は、ある家の庭の片隅にありました。その家の母親が娘に見立ててご自分で作ったものだそうです。そのものを描いても妖精の世界のイメージが伝わらないので、妖精の雰囲気を活かしたまま、ほかのモチーフは創作しまし...
#205「沈黙は金」テレビ番組の出演者の間では沈黙は厳禁とされています。特にバラエティ番組がそうです。視聴者として見ていればすぐにわかります。1秒たりとも沈黙がありません。私たちの日常からすれば、異常な世界です。でも最近は、周囲を見回していると、沈黙に耐えられず、不必要にしゃべり続ける人がいたり、沈黙が気まずくて、スマホを見続けて時間を過ごす二人連れがいたり、沈黙が怖い人が多いのでは。昔は、「男は...
#204 タイトル「縄文パラダイス」縄文時代は人類史上特異な時代です。平和な時が1万2千年も続いたからです。その要因として、女性中心の大家族と平等主義的な社会構造にあったと言われています。竪穴住居が集まる環状集落のネットワークなど権力を生まない工夫もあって、人間同士の殺し合いが少なかったそうです。現代の人間社会が学ぶべき点がたくさんあると思います。今作では、こうしたユートピア的な縄文社会のイメージ...
#203「ひとり多様性」国家や企業、個人でも、お互いの外見上の違いがあることを「多様性」といいますが、外見に限らず、宗教、学歴、文化、ライフスタイル、価値観など内面上の違いにも「多様性」があります。こちらとあちらの関係性における違いではありますが、よく考えてみると、自分の中にも多様性があって、何か非日常的な対人関係や出来事があるとき、ふと違う自分がでてくることがあります。そういうひとりの中の多様性...
#202 タイトル「しわわせな雨」いや~な梅雨の季節になりました。窓を開けたら暑いし、冷房を付けたら寒いし、傘をさして外に出てみようか。などと、非生産的な思考を繰り返しています。そんなとき、雨の絵を描いてみたくなりました。それも、ジメジメした雨ではなく、思い切り明るくて優しい雨を描いたら、きっとしあわせな気分になるでしょう。サイズ:39.5x52.5cm(F10)制作:2022年6月...
#201 タイトル「ゴブリンモード」英国オックスフォード辞典の2022年度ワード・オブ・ザ・イヤーに選ばれた言葉です。新型コロナによるロックダウンの規制が緩和されて、人々の活動が活発になってくるとともに、この言葉の人気が上昇してきました。ゴブリンとは暗い場所で見かける妖精の名前です。パンデミック期間、外見を気にする必要がなくなった生活への慣れから、普通の生活に戻ることを拒否したり、反発したりするム...
#200「てっぺんで笑う人を見ながら別のてっぺんを目指す人」人にとって、人生のてっぺんにはどんな意味があるのでしょうか。人生のピーク?寿命の真ん中?てっぺんを実感するのは人によって違うでしょうし、てっぺんを実感できないまま死んでしまう人もいるでしょう。なかには、何度もてっぺんを実感できた人もいるかもしれません。いずれにしても、てっぺんの感じ方は、極めて心の持ちようなんだと思います。そんな心象風景を...
#199 タイトル 「斜め45度の人生」ムリに向かい風に向かってがむしゃらに進むより、向かい風をそらしながら、それでも前に進んでいかなければならないのだから、45度くらいの方向に進むのがちょうどいいのかもしれない。ある中国の先生が、若者事情を、そんな言葉であらわしていました。 辛いときや落ち込んでいるとき、顔が下を向いてしまいがちですが、そんなとき、真上ではなくて、斜め45度くらいで空を見ると、気...
#198 タイトル「分かり合えぬものたち」そもそも「私」と「他者」は異なる生物です。この隔たりは、ときに手の打ちようのない距離を感じることもあります。たとえ身近な家族の間においても、また友人との間においても、ときに分断が生じます。米国内の赤と青の分断も、民主主義と権威主義の分断も、決して他人事では済まされません。このように、互いを分かりあう作業は、とてつもなく高いハードルなのです。人間の知恵が試さ...
#197 「Kind of Blue」NHKの「classic TV」でビル・エヴァンスさんをフィーチャーした番組を見ました。彼が参加して作ったマイルス・デービスの楽曲「Kind of Blue」が、当時全盛だったビバップが技法を競い過ぎていたことから、もっと自由でありたいと、アドリブ要素の多い演奏を目指した、いわゆるモードジャズのきっかけになりました。そのことから、「Kind of Blue」は、現代音楽の最高傑作のひとつといわれています。意...
#189 タイトル「レッテル貼られました」人は無意識のうちに相手にレッテルを貼ってしまいます。口に出さないまでも、「細かいことにこだわる人」「ていねいな人」「自分勝手な人」「運がいい人」などと勝手に相手のイメージを決めてしまいがちです。多様な人間関係を構築する上で、レッテル貼りするのは合理的な行動ではあるものの、貼られた側は、枠にはめられて苦しむこともありえます。例えば「女だから」「男だから」とレ...
#188「風に吹かれて」ボブディラン大好きの桑田佳祐さんが、「blowing in the wind」を邦訳しています。アーティストらしい感性溢れる訳ですが、こんな感じです。「先の見えぬ海を『日本』という船が行く」「茶番や下司な争いのために明日を捨てないで」。この訳にインスパイアされて描いてみました。世界という大海原で戦うには、ナイーブすぎる日本。方向を失い、風任せの日本人と小舟が漂流している画です。画面いっぱいに...
#187「白日夢」今年の夏も嫌になるほど暑い日が続きました。あらゆるものがゆらゆら揺れて、頭までぼーっと揺れていたこと、季節が移っても思い出します。年中真夏の国もあるのですから、わがままは言えません。その昔、摂氏50度、湿度100%の中東を旅したとき「こんなに暑いのに、よく仕事ができますね」と聞いたら、笑って「だめですよ仕事なんかしたら。死んじゃいます」。作品は、頭がぼーっとして、椅子に寝そべる男...
#198 タイトル「分かり合えぬものたち」そもそも「私」と「他者」は異なる生物です。この隔たりは、ときに手の打ちようのない距離を感じることもあります。たとえ身近な家族の間においても、また友人との間においても、ときに分断が生じます。米国内の赤と青の分断も、民主主義と権威主義の分断も、決して他人事では済まされません。このように、互いを分かりあう作業は、とてつもなく高いハードルなのです。人間の知恵が試さ...
#197 「Kind of Blue」NHKの「classic TV」でビル・エヴァンスさんをフィーチャーした番組を見ました。彼が参加して作ったマイルス・デービスの楽曲「Kind of Blue」が、当時全盛だったビバップが技法を競い過ぎていたことから、もっと自由でありたいと、アドリブ要素の多い演奏を目指した、いわゆるモードジャズのきっかけになりました。そのことから、「Kind of Blue」は、現代音楽の最高傑作のひとつといわれています。意...
#189 タイトル「レッテル貼られました」人は無意識のうちに相手にレッテルを貼ってしまいます。口に出さないまでも、「細かいことにこだわる人」「ていねいな人」「自分勝手な人」「運がいい人」などと勝手に相手のイメージを決めてしまいがちです。多様な人間関係を構築する上で、レッテル貼りするのは合理的な行動ではあるものの、貼られた側は、枠にはめられて苦しむこともありえます。例えば「女だから」「男だから」とレ...
#188「風に吹かれて」ボブディラン大好きの桑田佳祐さんが、「blowing in the wind」を邦訳しています。アーティストらしい感性溢れる訳ですが、こんな感じです。「先の見えぬ海を『日本』という船が行く」「茶番や下司な争いのために明日を捨てないで」。この訳にインスパイアされて描いてみました。世界という大海原で戦うには、ナイーブすぎる日本。方向を失い、風任せの日本人と小舟が漂流している画です。画面いっぱいに...
#187「白日夢」今年の夏も嫌になるほど暑い日が続きました。あらゆるものがゆらゆら揺れて、頭までぼーっと揺れていたこと、季節が移っても思い出します。年中真夏の国もあるのですから、わがままは言えません。その昔、摂氏50度、湿度100%の中東を旅したとき「こんなに暑いのに、よく仕事ができますね」と聞いたら、笑って「だめですよ仕事なんかしたら。死んじゃいます」。作品は、頭がぼーっとして、椅子に寝そべる男...
#186「一線を越える」人それぞれ、長い人生では一線を越えるときがあります。一度しか越えなかった人もいれば、数えきれないほど、たくさんの一線を越えてきた人もいるでしょう。振り返って、どちらが幸せだったかはその人次第ですが、どちらが豊かな人生だったかといえば、後者だと思います。「一線」というのは観念的であり、その尺度も画一的ではありません。これを具象化して絵にしてみたのが今作品です。画面には7人がそ...
#185 「鈍色の刻」人生山あり谷あり。人は日々刻々と人生の坂を上ったり下ったりしています。それを色で表現してみたいと思いました。山は例えば萌色、谷は例えば鈍色(にびいろ)。鈍色というのは濃い灰色で、古くから凶色として嫌われていました。この鈍色の世界にいる男女を心象風に表現してみます。山の上から谷底に向かって木製の階段があります。階段は崖からせり出したまま、途切れていて、まるで谷底へのジャンプ台の...