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  • 2022

    2022年に好きだったものの記録。 映画(見た順) スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム カモン カモン TITANE マイスモールランド セイントフランシス NOPE 秘密の森の、その向こう 四畳半タイムマシンブルース MONDAYS ケイコ 目を澄ませて 国外・国内5作ずつというバランスのよさ。 NWHは前日に過去2シリーズを一気見して一夜漬けで挑みましたが、見てから行ってよかった。いちばん感動したシーンも過去作のオマージュというか、過去作では果たされなかったことを取り戻すシーンだったし。 カモンカモンは待望の公開だった。監督のファンなので。今後の人生で何度か見返すタイプの映画だと思う。 …

  • 2021

    2021年に好きだったものの記録。 映画 『マトリックス レザレクションズ』 『リスペクト』 『あのこは貴族』 『私をくいとめて』 『夏への扉』 『映画大好きポンポさん』 『まともじゃないのは君も一緒』 『羅小黒戦記』 『ヤクザと家族』 『ドライブ・マイ・カー』 意外と映画館に行けた1年だったと思う。 年末に1年のベストを書くからどうしても新鮮な記憶のある作品が強くなってしまう自分だけど、なんとかそれを差し引くべく努めたつもりで、そのうえで『マトリックス レザレクションズ』がやっぱり良かった。前三部作も一作目しかまともに見ていなかったけど、IMAX上映の期限に駆け込む形で見た(『呪術廻戦0』の…

  • 2020

    2020年に好きだったものの記録 音楽 火傷に雨/君島大空 Siva/BBHF Me & You Together Song/The 1975 何なんw/藤井風 The Steps/HAIM Easy Breezy/chelmico アザトカワイイ/日向坂46 The Age (feat. BASI, Dhira Bongs & Keishi Tanaka) /Gotch exile (feat. Bon Iver) /Taylor Swift Good News/Mac Miller 今年はなんといってもBBHFのアルバム『BBHF1 南下する青年』なんですが、曲単位で絶対これみたいな感じで…

  • 2019

    2019年の好きだったものを記録しておきます。 音楽 真夜中のダンス/BBHF Now I'm In It/HAIM 朝顔/折坂悠太 Hold You Now (feat. Danielle Haim)/Vampire Weekend 1950/King Princess 遠視のコントラルト/君島大空 remains/井戸健人 ドレミソラシド/日向坂46 Sleepswimming/No Buses 砂漠で/長谷川白紙 https://open.spotify.com/user/sorekara/playlist/1h6eCAdch9VWL87Ej5q2Vt?si=DFZqkGUvRq21KI…

  • 夏の濃度

    正直、夏は苦手だ。なぜなら、夏は濃すぎるからだ。 生きていくだけで精根を削り取られるような思いにさせる、あの空気。むせ返るほど匂いと気配に満ちた空気。温度の高い空気は密度が小さく軽くなるはずなのに、僕の科学的知識は夏の息の前に倒れ伏すしかない。これはつまり、夏に圧倒されているということだろうか? 半死半生のヒトの傍らで、生き物の気配は濃い。目に見えるものも、目に見えないものも。なにも霊魂のことを言っているのではなくて、もっとリアリスティックに、菌とか細菌とか、そう言った類のものだ。どうしようもなく濃い、重い空気の中には、ここぞとばかりに躍起になった何某かが蠢いているように思ってしまう。霊感がな…

  • 空白を走る

    電車に乗っている。 いつ乗ったのか確かではないけれど、もうずいぶん長い間乗っているような気がする。 どこかで見たことがあるような、だけど全然知らない電車は、どこかで見たことがあるような、だけど全然知らない街の中に、きれいな曲線を描いていく。 僕は窓際の席に進向方向を向いて座り、窓ガラスに重く頭を預けている。時折何かにつまずいたような振動がこめかみを刺激する以外は、妙に静かで、どこか白々しくさえ感じる。 隣には誰かが座っているけれど、顔を盗み見るほどではない。 僕はひとりだった。 電車は時折ふと思い出したように速度を緩め、プラットホームへと滑り込んでいく。どこもだいたい同じようなものだった。最後…

  • 郷愁と臆病

    もうすぐ21になる。 ハタチになる年にこのブログを書き始めて、ハタチになるときにも記事を書いたりした。 ハタチになるのは人生においても一つの大きな区切りだし、何より「ハタチ」という言葉の持つ響きは幻想的で、幾分ファンタジーの世界に足を踏み入れるような気分でいた。 そしてまた一年は過ぎ、一つ年を取る。 ハタチが幻想なら、21はもう現実だ。 目の前に迫った現実に対する不安に負けてしまいそうな自分が時折現れるので困る。思っていた以上に臆病な自分に気づく。いつからこんなに弱くなってしまったのか。 先日、久しぶりに映画『ニュー・シネマ・パラダイス』を見た。 前に見たのは大学に入ってすぐの夏頃だったと思う…

  • 誰にも会わない日

    一人暮らしを始めて一年が経とうとしている。 僕より少し遅れて入居してきた隣の部屋の住民とは、いまだに面識がない。とはいえ、同じ大学の学生で、おそらく同じ学年、なんならあいつかなくらいの見当はついている。なぜそう思っているかは忘れてしまった。もうひとつ知っていることがある。歌が下手だということだ。毎日まいにち彼は夜中になると歌い出す。それが深夜一時とかなのだ。壁が薄いことはお互い知っているだろうに、分別というものがないのか。しかも無理のある高音でワンオクロックやユニゾンスクエアガーデンを歌うのだ。まったくもって不愉快としか言いようがない。ついに耐えかねて、数日間24時になるころに壁を叩いて、「は…

  • 知らない

    電車に乗って窓の外を見る。近くのものは速く、遠くのものはゆっくりと、後ろへ後ろへ流れていく。僕の瞳孔は必死に追いつこうと運動を繰り返す。けれどもやっぱり追いつきやしない。遠近に騙され裏切られ、休まることはない。 それでも僕は、流れる景色をどうしようもなく眺めてしまう。どうしてなのか、なんだか切ない気持ちになる。知らない、でも見慣れた町を、知らないそのままで流していく。 知らないというのは寂しいことなのかもしれない。知り得た、そして知り得る全ての可能性に、目をつむりながら気づかないふりをすることだから。でも、そうするほかないこともある。そうでないと僕らは移動できない。止まれない、と思ってしまう。…

  • 円城塔『道化師の蝶』を読む——「わたし」のメタは滅多打ち

    円城塔『道化師の蝶』を読んだ。 読んでしまった、と書いたほうがより正しいのかもしれない。 表題作「道化師の蝶」、そして「松ノ枝の記」の二本の短編が収録されており、「道化師の蝶」は第146回芥川賞を受賞している。 円城塔という名前は知っていたが読んだことがなかったから、古本屋で見つけたときに買ってみたのだ。というのも、表紙がハッとするほど美しいから。表紙の装丁、もはや背表紙の印象でその本を読むかどうか決めてしまうことが多く、そういう意味で惹かれたことは多分にある。 読み始めて数頁で、こんな文章は読んだことがない、と思う。書いてあることが、文章の組み立て方が。情感のない、翻訳体のような文体(もちろ…

  • 『大きい犬』と秋の床

    秋が来た。突然やって来た。 夜すげー涼しい。昼間も真夏の密度がどこかへ行ってしまった。 僕は夏が苦手なので秋の到来をとても喜んでいるけれども、あまりにも急に夏が去ってしまって、それはなんだか寂しい。あんなにしつこく体にまとわりついてきたじゃないか! あんなに理不尽に体力を奪ってきたじゃないか! しょっちゅうちょっかい出してくるからちょっと邪険にしてた友達が挨拶もなしに引っ越して行ってしまって、めちゃくちゃ仲良かったわけでもないのになんかすげー寂しい、みたいな気分。なんてわがままなんだ俺は。 今日は母が下宿に来てご飯を食べたり散歩したりした。なんて散歩に適切な気候なんだ。気持ちがいい。季節の変化…

  • マイ・スウィート・乳歯

    僕の永久歯は4、5本足りない。抜けたとかではなく、そもそもない。これは完全に遺伝だ。例えば上の前歯のすぐ隣が両側ないから、前歯の隣に犬歯がきている。乳歯が抜けた隙間に寄ってきたのだ。おかげで歯を見せて笑うと吸血鬼のような鋭い印象を与えることになる。吸血鬼は言い過ぎたかも。もうちょい間抜けな感じ。 永久歯の不足と顎の小ささが原因で、噛み合わせもなかなか悪い。多少矯正してもらったおかげで正面から見たら別にそんなに違和感はない程度にはなっているのでさして支障はない。そこは本当に親に感謝している。でも上下の前歯がかみ合っていないので、前歯で肉を噛み切る、みたいなことができない。これは結構不便。上の前歯…

  • どの椅子に座ろうか

    「君は何がしたいの?」 これまでにも何度もなんども問われてきた言葉だ。他人からも、自分からも。そしてずっとうまく答えられずにいる。今も。 6月に京都のカルチャーを発信するウェブメディアであるアンテナのライターになった。文章を書くのが好きだったのもそうだが、ライター募集のページを見つけた時に「ああ、応募してみるしかないな」と直感的に感じたからだった。面接を兼ねて編集長と副編集長とお茶したときは、特になんにも持っていない自分で対峙することに緊張したけれど、2人の目を見て、話を聞いて、この人たちに、この人たちがやることについていってみたいと思った。 kyoto-antenna.com ↑とてもいいイ…

  • 呪いの看板のおもひで 〔新潟〕

    この看板を見て欲しい。 犬や猫とは思えない、全てを悟ったかのような光を宿した目と、なんとも言えない口もと。角度。3色の配色と「ほんとにこのお店いまもやってる?」と思わせる色褪せ方。字体。 母の地元である新潟県のある地域でよく見かける看板なのだが、小さい頃から帰省のたびに何気なく目にしていて、なぜかよく覚えていて、なんとなく好きだった。 それを今回の帰省中、ドライブしているときにぼんやりと呟くと、母から思わぬ賛同を得て驚いた。 でも、たぶんこれ、わかる人はけっこういるんじゃないだろうか。こういう、もうなんとも言いようのない空気を纏ってしまっている変なものってすごく目を惹くし、そういうのが好きな人…

  • 夏は夜、ベランダの洗濯機の上

    どうやら梅雨が明けたようだ。明けましておめでとう。 家を出て、あれ?これ夏じゃない?と思ったらやっぱりそうで、梅雨明けの日の朝だった。 僕は梅雨が嫌いだから毎年頭を抱えながら早く前線が通り過ぎていくのを待っている。天然パーマの僕にとって、湿度は敵である。ジメジメは身体にも良くないしね。 でも今年の梅雨は案外さらっと駆け抜けていったように思う。それはどうやら間違っていないようで、ニュースでも水不足の心配があることが報道されていた。水不足という現象があることは頭でわかっているけれど、やはりどこか他人事のように思っている自分に気づく。 暑いのは苦手だ。だって暑いのはどうにもならない。寒いのは服を着た…

  • 時限爆弾は作動したか?

    先日、友人と鎌倉へ行ってきた。元来出不精である私にとっては実に久しぶりの旅行で、紫陽花を見に行くというのが口実だった。 それに際して、私はインスタントカメラを持って行った。この国民総スマホカメラマン時代になぜインスタントカメラ?と思う方もおられるかもしれないが、実はいま、インスタントカメラはけっこうな流行りを見せている。 平成生まれの私は、当然インスタントカメラがリアルタイムな世代ではない。私がインスタントカメラいいかもと思ったのは、奥山由之という写真家を知ってからだ。奥山由之はそれこそいま一番流行りの写真家で、きのこ帝国やnever young beachなどの若手バンドのCDジャケットや、…

  • シンギュラリティのその先は—サマンサとエヴァとポナンザに会って

    僕は高校二年生まで、自分が理系であることを疑わずにいた。それは、父親がそうだからだったし、数学はそんなに得意ではないけれど、理科は苦手ではなかったし、少なくとも嫌いではなかったからだった。だから進路を選ぶときも、工学部や理学部なんかを調べたり見に行ったりしていた。だけどちっとも惹かれなかった。何にも興味を持てないし、当然進路に迷った。 そして気付く。自分は理系ではなかった。 受験勉強としての理科は面白いし興味を持てた。でもそれはゲームだからだった。科学的な原理にも関心はあったしなるほどすごいと思いながら授業を聞いていたけど、そこまでだった。その先に自分の興味はなかった。というよりもむしろ、その…

  • すり込みBGM

    昔からうちはずっとテレビがついている家だった。 誰が見てるわけでもなく、ただBGMとして、テレビから音と光が垂れ流れていた。 どうでもいいバラエティ番組とか、びっくりするほど長い健康食品の広告だったりもしたけれど、うちには大好きなものを繰り返しつける、ちょっとオタクな気質があった。 感覚としては好きなCDを何度もかけるのと同じで、もう何もかも覚えているくらいなんだけど、聞いていて、見ていて、とっても心地好い。そういう意味でBGMだったんだな、といま振り返って思う。 僕が小学生の頃から好んで流されていたのは、ラーメンズの公演のDVDと『水曜どうでしょう』だった。 ラーメンズ『ALICE』より「不…

  • 完ぺきにダメな日

    今日は完ぺきなまでにダメな日だった。 11時まで寝て、お風呂入って、朝ごはん食べて、洗濯して、昼ごはん食べて、そのあとは時間を溶かしていた。 学校にも行く気になれず、みんなサボってしまった。別に嫌な授業でもないし、行きたいのは行きたいけど、体を動かせない。 あー、今日はダメな日だ。 めちゃくちゃ言い訳のような言葉だけど、ぜったいにダメな日ってありますよね。 何をどうしても何もできない、何もしたくない。 体調が悪い時もあるけど、そうじゃなくてもダメな日は突然やってくる。 しょうがないことだろうと思っています。 そういうときはもう寝転んでダラダラするしかない!開き直る!ようにしてます。 なんか急に…

  • バースデイ

    おとといは誕生日だった。 前回の投稿で書いたように、今年の誕生日は映画館で、『イット・フォローズ』というホラー映画を見ながら迎えた。 『イット・フォローズ』、めちゃくちゃ怖くて、誕生日だというのに寿命が8年縮んだような気持ちになった。もう音とかすごくてやめてくれと思った。 あまりにも救いようのない設定でなかなか辛かったな… そのあとは、グザヴィエ・ドランの『わたしはロランス』と、『オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライブ』という作品を見た(ちょいちょい結構寝た)。 オールナイトで映画を見たのは初めてだったけれど、ちょっとぼーっとしてる頭と、ふかふかの席と、見えるのはスクリーンだけ、みたいな空間で…

  • 10代に振り返って手を振る

    日付が変わって本日は5月27日。 もうどうやら2017年らしい。 2016年に比べて2017年って未来感が強い字面をしているな。 17が放つ素数感(実際2017は素数らしい)がファクターなのかしら。 奇数の持つ冷たく金属っぽい匂いかもしれない。私だけでしょうか。 普段は全く忘れているけれど、私たちは21世紀に生きるニンゲンなんだなーって。 21世紀という言葉はわりとSF感あるよね。 一応ギリギリ20世紀生まれなの、なんか嬉しい。私だけでしょうか。 SFの話をすると、昨日の夜、『メッセージ』というSF映画を見た。 めちゃくちゃおもしろいので見てください。 SFだからモチーフがぶっ飛んでたり、ビジ…

  • 小さくて弱い透明な羽虫の夜

    最近夜眠れない。そのうえ朝起きるのも苦痛。 どうにかならんもんかと思うけれど、どうにもならないらしい。 電気を消した暗い天井や壁を見たり見なかったりしながら、どうにもならないことをぐるぐる考えたり考えてるふりをしたりする。 暑いのが悪い。足の裏が火照ってたまらない。 部屋の空気がこもるので、寝るまでの間は窓を開けている。もちろん網戸は閉めてあるのだけれど、それでも法の目をかいくぐって小さな虫たちが侵入してくる。 かなり多い。でも窓を閉める方がきついので、そこは我慢している。 時たま晩御飯に飛び込んできたりするので、優しく殺す。 いくら優しくても殺しているので、ごめんね、と言う。 また殺す。ごめ…

  • 反則と罰則と変速

    僕は京都の大学に通っている。 今日は授業と授業との間の空いた時間に、自転車で三条の駅前にあるブックオフに行った。 最近なんだか物語に飢えていた僕は、古本をおもうさま買い漁ってあらゆる膿を蹴散らしてやろうと考えたのだった。 自転車を止めて、半時間ほど物色し、思った以上の収穫に満足して店を出ると、自転車がない。そこに止めてあるはずの水色のチャリンコがないのだ。あるはずのものがなくなっている時の、急に知らない世界にぶち込まれる夢にも似た絶望感。すでに次の授業まで四半時間をきっていて、焦る。さまざまな焦りが一挙に押し寄せるから、僕のもともと小さいキャパシティは即座にクライマックスを迎え、まず何をしたら…

  • 一回性と二回生

    新学期が始まった。僕は大学二回生になった。 去年はなんだかなんにもしないまま時間が過ぎていく感覚だけが痛いほど鮮明で、自分はこんなんで大丈夫なのか?と落ち込んでいた時も多かった。 kakkoii-kakko.hatenablog.jp 自分がどんどん時間を無駄にして捨てていってるという思いがぐるぐると頭の中を支配していた時期だった。 でもいま考えれば、その時期にぐるぐると考えていたことはいまのスタンスになっているし、高校生までの自分が全然気づいていなかったようなことをたくさん考えるようになった時期だったから、なんだ、全然無駄じゃなかったじゃん!と思えるようになった。 あとはその時の経験を活かし…

  • 淵に立ってる

    映画を見た。『淵に立つ』という作品。浅野忠信が主演になるのかな?エンドロールの最初の名前は浅野忠信だった。 ある家族のもとへ1人の男がやってきて、あらゆる物事が歪んで崩れていくお話。 全然ハッピーなお話ではなく、全てがスッキリする展開もない。見るものを打ちのめすタイプの映画だった。 タイトルの”淵に立つ”という言葉は自分にとってすごくしっくりとくる言い回しで、それはこの作品の物語にとって、というよりも僕自身にとって、僕がしばしばとらわれる感覚にとってしっくりとくる、という意味。 つまりはギリギリのところに自分がいるんじゃないかということなんだけれど、それはそれ以上でもそれ以下でもなく、自分は今…

  • 涙袋がほぼないせいで人相が悪い

    僕は音楽が好きで、映画も小説も大好き。そして今まで数多くの作品に心を動かされてきた。だけど僕はその感情の高ぶりが、すべて涙という形になって表出しない質というか、心と涙腺の回線の通信速度が遅い仕様になっているみたいで、涙が出るかどうかは作品や媒体、状況に左右される。でもやっぱりどうしようもなく涙が溢れてしまうこともあって、その違いはどこにあるのかとても気になってよく考える。そしてひとつ、これはあるかも、と思える説明がまとまったので、書いてみようと思う。 音楽 映画 小説 僕の大好きな、この三つの媒体の違いはなんだろう。 一つ目は、その媒体によって支配される感覚器官の違い。音楽は、(ライブやミュー…

  • 実の距離

    二日前、一人暮らしをするアパートに引っ越した。 荷物の運び入れ自体はすぐに終わって、部屋は割と短時間である程度形になった。 でもそこから足りないものを買い出しに行って整理したらもう夜も遅い時間になった。 でも頑張った甲斐あって、いい部屋、というか自分らしい、自分が落ち着ける部屋になった。 そのおかげであまり場違いな感覚にはならなかった。 でも自分の中でまだ場違いな言葉がある。 それは”実家”という言葉。 ついさっきまで自分がずっと生活をしていた家のことを”実家”と呼ぶのが、なんだかとても違う感じがした。 自分にとって家はずっとあの家だったし、そもそもインドアでおうち大好きな僕なので、家にたいす…

  • 圧力と出力

    今年度の大学の授業も終了し、家でのんびりする日々を過ごしている。とは言っても少しずつ来週の引越しに向けて準備もしている。準備というより妄想だけど。妄想しながらゴロゴロしてる。 家にこもってのんびりしてると、こうしてエントリーもサボってしまう。 書きたくて仕方がない時もあるけれど、全然気が向かない時もある。大概、書きたい時は他にもいろんなことを忙しくやってる時で、何もしていないと特に書きたい気持ちにもならない。 大学生活は微妙に忙しいだけで何かをするには時間が足りない、という思いで夏休み前半をとことん暇にした僕だったが、結局何もできなかった。八月の記憶はない。 物作りをするためには、一度完全にゼ…

  • ラはソの次の音

    今日も授業があった。今日の先生はこの一年間フランス語の文法を教えてもらっていた先生だった。専門としてはフランス思想をやっている先生で、フーコーや、ジャン・ウリという精神科医の思想を引用しながら、多様性を阻害するものについて考える授業だった。簡単に言えば、集合体に属していることが多様性の基盤にはなるけれど、集合体であるがゆえに知らない間にもその管理と操作を受けていて、多様性を攻撃する、という感じ。知らない間に画一的なレールの上に乗っていた、という感覚は誰しも抱くものだと思うし、自分も大学に入ってから、より逼迫した問題として、常々考えてきたことではあったが、もっと多くの側面で無意識なレベルでそうい…

  • 鬼と福とのリプレイスパーティ

    昨日は友人の家に泊まった。一日遅れの恵方巻きもどきを各々作って食べた。恵方も向かなければ黙りもできずに。A4コピー用紙に印刷した鬼とお多福と鈴木福のお面を各々付けてアー写を撮った。その後眠るも定期的に目が覚めてしまう。隣に眠る友人の不規則な寝息を聞いて再び眠った。起きる時刻の少し前にまた目が覚めてしまったので、そのまま起きて身支度をして、起きた友人に礼を言ってひとりアパートを出た。 大学の集中講義があり、日曜の誰もいない校舎へ向かう。授業でトルコ系ドイツ人映画監督の『おじいちゃんの里帰り(邦題)』を観た。これがとてもいい映画で、泣いてしまった。トルコから出稼ぎ移民としてドイツに渡った家族の物語…

  • バイトと配当

    一月が終わってしまう。 その前にバイトのことを書いておかなければ。 大学生になって、10月になって、 やっとバイトをする決心をして、 11月から1月半ばまで、 某大手雑貨屋チェーンの文具売り場で働かせてもらった。 最初はレジ打ちだけ、途中からは手帳担当に配属された。 これが初めてのバイトだった。 バイトとしてどういう立ち振る舞いをしたらいいのか、 従業員としてお客さんの前にどういう顔をして立てばいいのか、 本当に分からなかった。 レジ打ちも最初は自分でも驚くほど緊張して、 上手く喋れないし上手くお釣りも渡せない。 敬語も想像以上に自然に口から出てこない。 しまいには「いかがなさいましょうか」な…

  • 通学と空白

    昨年僕は大学生になった。 ここしかないかな、と思った第一志望の大学に入ることが出来、初めての大学生活というものを送っている。 受験生のときは、楽しかった。 高校は楽しかったけど、高校生としての生活はなんだか窮屈な感じがして、早く自由を手に入れたいと思っていた。 そして大学生になること、あの大学に行くこと、それがその道に違いないと思っていた。 受験勉強はゲームのようで、やればやるだけ出来ることも増えたし、周りには同じ方向を見ているように思える同級生がいたから、しんどくても、つらくはなかった。 そうして大学生になった僕は、すぐによくわからなくなる。 僕が通っている大学は、自宅から片道二時間かかる。…

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