上州の「寅」(25)貴重なハチ
上州の「寅」(25)「こんなひろい庭。手入れするだけでかるく3~4年かかる。やるだけ無駄さ。そうじゃない。わたしたちの目的はハチ。ここには特別なハチが住んでいる」「特別な蜂?。人をチクリと刺す、あのハチか?」「そう。そのハチ。貴重なハチが住んでいる」「貴重だって?。別にめずらしくないだろう。たかがハチだぜ」蜂と聞いて寅が苦笑する。「なんだよ。ハチのため、九州のこんな山奥まで俺を呼び寄せたのか。冗談じゃないぜ。まったく。大前田氏も君もいったい何を考えているんだ」寅があらためて周囲を見回す。目にはいるのは荒れ果てた日本庭園、ところどころにそびえる造園の木々。その向こうにうっそうと森が広がっている。どこにいるというんだ。貴重なハチとやらは・・・「あなたの言っているハチは、外来種の西洋ミツバチのことでしょ。西洋ミツバチ...上州の「寅」(25)貴重なハチ
2020/08/31 08:02