美しい夕日を見た感動を 病む夫に語り伝える 分かると信じて 今日もまた病床に思い出紡ぐ 何時か来るその日迄 精一杯に
話す機能が衰えた夫の言葉がもう聞き取れず ただ頷いて見せ手を握る 肉が削げ細くなった夫の足を摩りつっ 病床に過ごす妻なる時間
缶コーヒーを買い夫と遊んだ白爪草の原 続く筈だったそんな日々 温もりと憂いを秘めた病む夫の 瞳の奥の優しさに また恋し始める
操られ赤子のように手足を上げる 夫の目が喜ぶリハビリテーション 手を握りあれこれと可笑しく報告し 病む夫の笑顔があればそれでいい
責任は私が取ると一滴のコーヒーを飲ます 胃瘻の夫に 病院脇のイヌフグリを名を知らぬ儘に 愛でてきたその可憐さと青の色
出先で貰ったこの菓子は 夫と食べたかった胃瘻してない元気な夫と 病む夫を見舞いし帰りの道端に 少しばかり春の息吹のスミレ草
「ブログリーダー」を活用して、すみれさんをフォローしませんか?