本日の二冊:『THE TABELOG AWARD 2023』&『実録バブル金融秘史』
本日の二冊。『食べログアワード』は辞書として使うとして、『バブル金融秘史』は、85年のプラザ合意から燃え上がったバブル経済の現場の証言だ。ぼくも20代後半でバブル経済に参戦したが、崩壊後の90年代から低成長時代へと、極私的回想録にもなっている。 なにしろ当時は銀行からいくらでも「借りてくれ」と頭を下げて来るわけで、30歳の若造もちょっと舞い上がるわけ。で、4,300万を皮切りに、不思議なもので一度借りると怖くなくなり、さらに1,300万を追加融資で米国の不動産投資に参戦。これが広末の『バブルへGO!』のテーマになっている、例の大蔵省による不動産融資総量規制で見事にポシャった次第。 かくして東京地裁で千人の原告団を組織して8年戦い、最終的には総額38億の残債をすべて消して、7億5千万の和解金をゲットした。途中、オウム事件や池田先生のレイプ事件もありで、東京地裁も物々しい雰囲気に囲まれた。 ●原告団のWebに乗せた事件の解説(英語です) 相手方の裏にいた三菱信託銀行、三菱商事、長銀、日商岩井などを訴え、その前でプラカードをぶら下げてシュプレヒコールなども経験。公安に目をつけられたり、その筋では泣く子も黙る総会屋がバックアップしてくれたりと、けっこうおもしろい経験をさせてもらった次第。バブル期、銀行がいかにブラックな事を陰でしていたか、すべて見た。広末の『バブルへGO!』で劇団ひとりが将来を預けるはずだった長銀もすでにない。 恩田氏は大和証券の常務取締役として証言しているが、読み易いがなかなか読み応えがある。ノーパンしゃぶしゃぶで有名になったMOF担もしていたらしいが、大蔵官僚の接待は事実だったのだ。ちなみに高橋洋一氏は一切接待は受けなかったと。だから彼は無傷でこれたのだ(ちんけな事件に巻き込まれたが)。 何故今のニッポンはこんな体たらく状態に落ちているのか。もちろん大蔵省、そして財務省が元凶であることは言うまでもない。が、その前に、外国がジャパンマネーを恐れて、銀行の自己資本比率を8%以上に決めたいわゆるBIS規制が転換点だったことが分かる。 銀行は融資する際、現ナマから貸すのではない。たとえば100万預かり金があれば、準備率の逆数倍まで融資ができる。準備率が1%なら、100万/0.01=10,000万、つまり1億融資できるのだ。もちろん相手に返済能力がなければ不良融資となるが(与信審査)。この時、銀行のB/Sは、<