桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。
読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。
葛城さんが駆け足で私のところまで来て、屋根の下に入ると手で雫を払ってた。私はすぐにハンカチを出して彼に渡そうとしたけど、自分のポケット自分自分のを出してニコッと笑って・・・「雨が降ってるのに外で食べるなんて・・・寒くない?」「うん・・・もう7月だし、平気・・・」「そお?じゃあ早く食べないと・・・あと25分しかないぞ」「・・・・・・・・・うん」多分1人だったら食べなかった・・・私は自分の膝の上の袋からサンドイッチの袋を取り出...
ニコニコと優しそうな志乃さんと並んで、出勤する花沢さんを見送った。それが約束通りの7時30分。残された私は既に足が震えてる・・・今日一日、無事に終わるのだろうかと心配でならなかった。もう1回見上げれば、達筆な文字の「西門流」。どうにも場違いなところに来たもんだと思っていたら・・・「それでは牧野様、入りましょうか」「はい・・・」「そんなに怖がらなくても、住んでいるのは普通の人間ですから」「は?あぁ・・・あははは...
「6月24日、私の誕生日だったんですけど、その時に総二郎様がわざわざ自宅に来て、これを下さいましたの。家元夫人からも贈り物をいただいて、本当に嬉しかったですわ」6月24日・・・その日、西門さんはツーリングで山中湖に居たはず・・・もしかして、私に嘘をついたの?今、伽耶さんは今までで1番素敵な誕生日になったって言った?と言うことは、西門さんは伽耶さんとその日を過ごしたってこと・・・・・・まさか、23日のブルーベリ...
流石の総二郎でも1日じゃ多くの情報は入らなかった・・・それは仕方ないと思う。それでも小早川朝子に金銭トラブルがあったかもしれないと言うネタは収穫だった。徳川がそうだったように、お婆様のネックレスを金に換えようとしていたんだろうから・・・それだけでも充分な動機にはなる。「うちで調べたらお袋の耳に入るかもだから、志乃さんにも事務長にも聞いてねぇけど」総二郎の言葉に牧野がキョトンとしたから、志乃さんがこいつの...
「ご迷惑をおかけしました。営業担当者全員にもう1度指導しておきますので」「・・・管理部長、大変申し訳ありませんでした」「まぁ、自分の会社の社員を信じる気ではいるけどね。それに今回は牧野君がデータを持ち出したわけじゃないし。ただ、こんなことをされる謂れがあるようなら、それも問題だぞ」「はい、判っております」「・・・・・・・・・・・・」管理部長の前でうちの部長と私が深々と頭を下げる・・・その光景を管理課の全員が見てる。...
俺としては全く余分だった茶懐石と薄茶・・・それが終わったら、総二郎の部屋に行くと言われた。牧野は薄茶が苦かったのと、足が痺れたのでヘンな顔になってるし、総二郎は牧野の反応が面白かったのか、ずっと揶揄ってる。「なぁ、つくしちゃん。司、面白かっただろ?」「道明寺さん?はい!面白かったですよ~~」「怒鳴られなかったか?」「初めはすっごく怒鳴られたけど、すぐに慣れました。最後はお料理運んでくれて、めっちゃ助...
また数日が過ぎて、とうとう7月・・・この頃は夏休みの読書感想文やら自由研究関連の本が納品されるからお店は結構忙しい。それに伴い、私達も展示や販促でドタバタしていた。あれから例のお店には飯塚さんが行くようになり、店長さんともスタッフとも上手くやってるみたい。彼女は私より2年先輩だし、明るくて話し上手だから安心・・・そう思う反面、やっぱりあの件は解せなかった。でも考えたところでどうしようもないし、あれから営...
・・・これっぽっち?!こんなの一口で終わるじゃないのよ!しかもお味噌汁もズズッとしたらなくなるじゃん?!この小鉢も小っさ!!懐石料理ってこんなに質素なの?!・・・もっと食べてくれば良かった・・・と、自分の前に置かれたお盆(折敷)の中を見て思った。しかもヘンな箸・・・花沢さんと知り合ってからは豪華なご飯しか食べてないから、久しぶりにガッカリした。「牧野・・・・・・」「・・・・・・・・・・・・」「牧野、紹介したいんだけど」「はっ・・...
あれだけ楽しく話せたのに・・・自分のひと言であっさり電話が切られた気がした。そもそも何でもないなら初めから言えば良かったのよ・・・葛城さんがどうしてもって言ったんだって。そうしたらこんな電話の終り方じゃなかったかもしれない。それまではドキドキしながら抱き締めたキイロイトリ、それを膝の上からコロンと落とし・・・もう真っ暗になったスマホの画面を見ていた。思い切ってブルーベリー狩りに誘ったのに、それさえ葛城さん...
何処までも続く白壁・・・そこが西門邸と言われてドン引き!こんな武家屋敷が都内にもあったんだ、そう言うと「いくらでもあるって」って花沢さんが言ってた。「でもこんなに大きなお屋敷・・・お城みたいじゃないですか!」「広さは城並みだけど、総二郎の家はオール平屋。地下はあるかもだけど2階はないよ」「すごいですねぇ・・・壁の上、松の木が出てる~~」「中には梅も竹もあるよ」「おお~~~、松竹梅ですねぇ♪」そんな事を言って...
その日の夜・・・私は部屋でスマホと睨めっこしていた。時間はもう22時で、流石に西門さんも仕事中ではないだろう・・・しかも、あの人が寝る時間じゃない。だから思い切って電話してみようと思った。ただ、そう思ってからもう1時間以上、こうして座ってる。何をどう話せばいいのか判らなくて、何度も練習してみたんだけど・・・あの人がどう返事するのかがさっぱり想像出来なかった。「ううん、もうこれ以上遅くなると逆にヤバいわ・・・奥...
花沢さんがくれたプロテインBAR、美味しかったし腹持ちが良くて助かった・・・。試作品だって言ってたけど、常備食としていただきたいくらい。おかげで15時になっても16時になってもお腹が鳴らず、なんとか定時まで乗り切れそう・・・そう思った17時に、藤本さんが会議室にやって来た。そして後ろのみんなを気にしながら、私の所に来たら様子伺いのフリ・・・如何にも「大丈夫ですか?」って姿勢だけど、話したのは・・・「えっ?藤本さ...
青木さんの結婚式が終り、次の日から通常業務に戻った。この前ミスった書店にもう1度顔を出し、この日は店長さんとも会話が弾んだ。以前からの担当店にも頼まれたものを届けたり、書店の整理をしたりで忙しかった。BOOKS重田の奥さんは先週の金曜日に退院し、今は自宅療養してる。もちろんギブスで固定してて、今は週に1回の通院で、自分で歩けるようなったらリハビリの日々だそうだ。今は松葉杖で生活し、お店のレジ前に座って...
本当に梅干ししか入ってないお粥・・・それを藤本さんが持って来て、「どうぞ、ここで食べて下さいね」って。その感動するほど淋しいランチを置かれて、一応お茶も用意してくれた。その時には私の隣に座り、顔を覗き込むようにして「今日だけの我慢ですから」って言うんだけど、どうしてそんなに近くで言うのかと思ったら・・・「フロアから佐藤君がこちらを見ています。硝子張りなので丸見えでしょう?」「あぁ、そう言う事ですか。本当...
終始笑いが絶えなかった披露宴が終わった。その時には緑の森をバックに、全員で記念写真を撮った。真ん中の二人は泣くどころかずっと笑顔で、逆に先輩達が大泣きしたりして・・・私としては初めて出席した結婚式だったけど、みんなに言わせれば過去最高に楽しいお式だったらしい。披露宴もこんなに感動したことはないって言う人もいた。両家のご両親も嬉しそうだし、新郎さんのお友達もみんな笑顔で・・・本当に素敵だなって思った。今ま...
「よし、始業時間まであと7分・・・・・・行こう!」スマホで時間を確認し、スッと立ち上がって花沢物産を目指した。ビル2つなんて1分あれば通過できるから、そこからエントランス、ロビーを通過して役員専用エレベーターへ・・・その時点で残り4分。エレベーターに乗ってる時間は2分もないから、そこで降りて2分前。でも受付のお姉さんも騙さなきゃならないから、エレベーターが開いた途端にガクッと身体を倒し、腰を曲げて歩いた。...
挙式を行ったところからすぐ近くの庭、さっき横を通ったそこがパーティー会場。先に招待客達がそこに入り、時間になったらアーチフラワーの向こうから新郎新婦が入場・・・この時は室内の時のような感動というよりは、もう笑顔が絶えなくてお祭りみたいだった。何と言っても周囲は緑だし、テーブルも椅子もカジュアルで、新郎さんの親戚にはほぼ普段着って人もいたぐらい。むしろ私達、新婦側の会社仲間だけが異様に張り切ってドレス...
「牧野に西門流の門下生になってもらおうか」「そうですね。なにかまた理由をつけて、潜入捜査ですね」「はっ?!この私が着物着て茶道するんですか?!それはちょっと嫌かも~~!」「冗談だよ。西門邸に入っても意味ないじゃん」「入るなら小早川流ですね。そこのお手伝いさんになれば情報が得られるかもしれません」「えっ、お手伝いさん・・・・・・」一瞬、綺麗な着物着て和室でお茶飲む自分を想像したのに、10秒後にはお手伝いさ...
ガーデンウェディングなんて初めて見る・・・そこはとてもワクワクする空間だった。芝生の上にビュッフェ台が沢山あって、もちろん座れるような席も用意してある。ピアノは敷き詰められた板の上に置かれ、その周りには沢山の花が置かれていた。披露宴スペースはスタンド型の花で囲まれ、2人が座る席も白い薔薇で覆われてて・・・それを見ると私達のテンションは一気にあがった。「きゃああぁ!素敵ねぇ♥」「こんな感じのお式もいいわね...
「ふああああぁ~~~~~」「・・・糖分取り過ぎじゃない?」「そうなんですかねぇ~~?お昼から色々あったんで・・・」「まぁ、そうだよね」額の絆創膏も既に見慣れた・・・明日にはあちこちに青痣があるんじゃないの?と思いながら助手席で大欠伸の牧野をチラ見。夢子さんにも気に入られたようだし、司にも気に入られてるし、なんやかんや言って加代も気に入ってる・・・本当に不思議な子だ。そんな事を考えてるうちに牧野の(俺の)マンシ...
あんな風に抱き締められた後での車の中・・・なんだか気恥ずかしくて、運転席の方に顔を向けられなかった。そうしたら葛城さんが「ほんとにごめん・・・」って謝ってきて、私は照れながら「謝らなくてもいいよ」と身体を真正面に戻した。「でもさ、その服と靴で踊るの?」「えっ///そ、そうなのよね・・・だって着替える場所もないし、ガーデンパーティーだからね~」「でもピアノは用意してもらえるんだ?」「うん、それは天気が良かったら...
「じゃあ難しいお話も終わったから、ケーキの時間にしましょうか♥」「えっ?!もう20時ですけど?!」「・・・・・・・・・牧野、付き合ってあげて」想像していたよりも楽しい夕食、それにもっと頼み込まなきゃやってくれないと思ったイミテーションネックレス制作もスムーズだったから、これで帰られると思った瞬間言われた一言。まさか、この時間にケーキ?と流石の私もドン引きした。ご飯が質素ならまだしも、相当ゴージャスなイタリア...
あっという間に日曜日に・・・・・・予報通り、天気はすごく良かった。これなら青木さんの結婚式も問題なく行われそうで一安心・・・それなのに、私は起きたときから笑顔が作れなかった。**昨日のダンス練習は悲惨だった。なんたってダンス音痴の私が2日間だけ練習したんだもん、最初の30秒ぐらいはなんとかなったけど、途中から何がどうなってるのかさっぱり。自分ではちゃんと出来てるつもりなのに、先輩達から「牧野さ~~~んっ!」...
その日の終業時間、安藤さん達が珍しくこの部屋にいた。そして盛りあがってたのは道明寺さんの話題・・・いつもは花沢さんなのに、結局イケメンなら誰でもいいんだな~って横目で見ながら呆れていた私。しかも、その内容が・・・「ロビーで見掛けたって同僚が言ってたわ!マジですっごいオーラだったって~!」「どうして今日みたいな日に常務の外出が午前中だったのよ💢!」「専務と並んで歩いてたんでしょ?見てみたかった~~~!」「...
木曜日、会社に行ったら朝礼後に日曜日の話があった。青木さんの結婚式・・・ここの人は殆ど出席だから、どうやって行くかとか、向こうでの余興について。「車は原田さんのアルファードと、俺のハリアーで全員乗れる?」「集合はここで良くないですか?」「え~~!美容院に行くから表参道回ってもらえる?」「我が儘言わないの!」・・・23日の予定がなくなったから、私もみんなと一緒に・・・結果、飯塚さん達と一緒に原田さんのアルフ...
小さな傷をあちこちに付けて秘書課に戻ったのは12時丁度。藤本さんに付き添われて戻った私を見て、仕事を頼んだ課長は目がテンだった。でも道明寺さんから逃げるために植え込みに突っ込んだなんて言えず、ビルメンテナンスのおばちゃんを助けた後で、清掃用カートを動かしているときに転けたことに・・・もの凄く無理がある話だけど、それを藤本さんがたまたま見掛けたことにしてくれて、なんとかその場を凌いだ。それにビルメンテ...
ーー今はミスしない方がいいと思うよーー「・・・どう言う意味だったんだろう?」あれから1時間過ぎてもまだ残業中の私・・・飯塚さんが言い残した言葉が頭から離れず、手が遅くなってた。結果、これ以上残ってても効率が悪いと思い、私も作業中止。丁度遅くまで外出していた男性の先輩社員が戻ってきたから、戸締まりを頼んで帰ることにした。気が付いたらもう21時前で、お腹は空いてるんだけど食欲がなく、バス停までの間にあるコン...
藤本がエレベーターのパネル部分に立ち、俺達の前には道明寺の秘書達・・・藤本以外、全員180㎝越えで、藤本がまるで幼稚園児みたいだった。しかも4人共がピクリとも動かない・・・1階まで止まらないのに、妙にピリピリした感があった。「アメリカに帰ったら、次はどこ?」「・・・来週にはオーストラリアに行き、その次はイギリスに行く」「そう・・・じゃああきらに会うの?」「会ってる暇はねぇと思うけどな」「体内時計、狂いそうだね...
「はぁ?!他の出版社に平積みの場所を取られただと?!牧野、お前何やってんだ!!」「申し訳ありません!明日、もう1度行って来ます!」「当たり前だ!引き継いで早々、店長を怒らせてどうすんだよ!!」「・・・・・・はい・・・気を付けます」「もういい!他で取り返せ!!」「はい!!」夕方、会社に戻って課長に怒鳴られてしまった。帰社してた同僚の前で、それこそみんなが震えあがる声で。それも当たり前・・・青木さんから引き継いだ...
<side藤本>デッカいどんぐりが背比べしてるような会話・・・これが全世界を相手にしてる道明寺と花沢の跡取り息子達かと思うと、真っ赤な他人の俺でもガッカリすると言うか、溜息が出るというか。目糞鼻糞、腐れ柿と熟柿、鍋と釜・・・どっちがどっちだとは言わないが、マジで五十歩百歩。聞いてる方が恥ずかしくなる。「断わる。確かに変わった子だけど、あれでも年頃の女性なんだから。もしも怒って俺に慰謝料請求したらどうすんのさ...
崇子さんに話してしまった胸のうち・・・言葉を出した後で、「ごめんなさい、何言ってるんだろう」って目を拭った。崇子さんはそんな私の事を呆れるでもなく、「なんだか、わかる気がするわ」って・・・・・・・驚いてその目を見ると、少し悲しそうな笑顔に変わっていた。もしかしたら昔、同じような思いをしたんだろうかと・・・でもそんな事を聞く立場でもなく、時間もない。だから「いいんです、自分でゆっくり考えます」と言って、大きく深...
「・・・・・・・・・・・・出会うことはないよね?」藤本達が下に降りてから執務室には俺1人・・・クルンと椅子を回して、そこの窓から空を見上げていた。確か明日か明後日にはアメリカに帰ると言ってたし、俺だって暫く会わないと思ってたのに・・・そんな事を考えてたら廊下が騒がしくなり、この執務室まで足音が聞こえて来た。やれやれと元の位置に椅子を戻し、ノックを待っていると、コンコンコンとそれが響いた。「どうぞ」って言わなきゃ入っ...
西門さんと連絡をとらないまま2週間が過ぎた。あれから1度もLINEが来ない・・・23日の土曜日を空けておけと言ったのに、ブルーベリー狩りに行くということ以外なにも判らない。自分から聞いてみてもいいんだけど、あの日の冷たい声が耳から離れなかったから、それも出来ずにいた。その理由もいまだに判らないまま・・・お酒の飲み過ぎだけが原因とは思えず、悶々としていた。「・・・・・・・・・・・・」「牧野さん、青木さんの引き継ぎ、上手く...
月曜日の朝・・・激痛の脹ら脛に吃驚して目が覚めた。10㎝ものヒールを履いて半日歩いていたからだと思うけど、ベッドから降りるのも大変だった。とてもじゃないけどこんな状態で駅までなんて無理・・・なんて言ってられないので、いつもより30分も早くにマンションを出て、余裕もって出勤した。でも歩き出したら慣れてきて、思ったよりもスイスイと・・・「我ながらタフだなぁ♪」と呟きながらメトロに乗り、会社に着いたのはいつもより...
葛城さんはバスや電車を使わず、この公園の真横にタクシーを呼んでくれていた。それに乗った時に言われた行き先は浅草・・・「少し時間掛かるけど平気?」って心配そうに言われた。こんなに心配されると心苦しい・・・二日酔いなんて自分の責任だもん。羽目外して自己コントロール出来なかっただけ・・・それも楽しいお酒ならまだいいけど、弱い自分から逃げただけだ。だから優しい言葉を掛けてもらうと余計胸が痛い・・・・・・そんなの、誰にも...
「前田さんも織田さんも好きだったってことですよね・・・それに息子さんのお父さんが加わって・・・秀子さん、モテモテなんですね~、羨ましいなぁ~~~!」「いや・・・・・・2人だけかもしれないよ」その言葉にキョトン・・・・・・そんな私の横で、藤本さんがパソコンをカタカタしてる。そして「これを見て下さい」と言って、ノートパソコンを私の方向けた。上から読んでいくと、「織田建設役員紹介」・・・あぁ、織田さんの会社のホームページな...
「・・・・・・・・・・・・・・・会社に行こう・・・」軽くお粥を食べてるときも私はスマホを見ていた。何故なら・・・西門さんとのLINE、既読は付いたけど何のメッセージもなかったから。今までスルーされることはなかったし、むしろ時間に余裕があるなら電話が来ると思っていた。それなのに何もなく・・・それが何故か凄く不安で淋しかった。もしかしたら、私の言葉が軽かったのか・・・もう少し反省した感を出せば良かったのか・・・ちゃんと電話して謝れば良...
着替えた牧野と俺と、スーツ姿の藤本でマンションに戻ったのは19時。加代は「またお出掛けですか?!」と驚いていたけど、それを無視して藤本の車に乗り込んだ。俺が運転しないのは飲んでるからで、当然1番小さい牧野が後ろの席。ビートルはツードアだから俺が後ろに乗るのは大変・・・そう言うと牧野は「どうせ足が短いですよ!」って怒っていたけど。その途中で藤本がテイクアウトの店に立ち寄り、買ったのはピザにパスタにサラ...
「二日酔いの直し方・・・は、と・・・」元々お酒をあまり飲まない私には無縁の検索・・・スマホでそれを調べる時も頭痛は酷かった。そして意外にも手っ取り早い解決方法は栄養分の摂取・・・特にタンパク質、ビタミン、脂質、オルニチンなどを摂取すると二日酔いを早く治すことができると書いてあったけど、そんなの無理だと溜息を吐いた。だって何も食べたくないんだもん・・・頭痛がひどい時には、第一に水分補給。頭痛の原因の1つにアルコー...
花沢邸に着いたら、そこの玄関でソワソワしている加代さんの姿が見えた。そしてリムジンが正面に着くと、そのドアを開けて「お帰りなさいませ」と興奮気味に・・・その視線は花沢さんじゃなくて、私にだった。言われたのは「どうでしたか?教えた通りに出来ましたか?」・・・花沢さんも藤本さんも私達を無視して中に入り、私は2人が見えなくなったら、その場で「出来ましたっ!」と大嘘を吐いた。エレガントに歩くというよりは道明寺さ...
牧野のスマホに登録されていた司の電話番号・・・・・・それを見た瞬間、震えがきた。牧野の中にまだ司がいる事は判っていたが、それを否定する自分もいた。葛城に言い寄られても決断できないのはそのせいだってことも・・・・・・いくら俺がこうして会っていても、それは「男友達」以外のなにものでもないってことも。それでも・・・今、牧野と繫がってんのは俺だけだと思っていた。司に連絡をとる方法など、こいつにはないと・・・それだけは信じて...
もうパーティーも終盤。突然置いて行かれそうになった私がバルコニーから会場内に戻ると、花沢さんと道明寺さんが2人並んで中央に立ってた。そこでいろんな人に囲まれて、私は近寄ることも出来ない。老若男女問わず、みんなニコニコで「我が社をよろしく!」とか「これがうちの娘で!」とか言いながら名刺が飛ぶように舞う舞う・・・2人とも取り敢えず営業スマイルで対応してるみたいだけど、道明寺さんなんて超面倒臭そうに、花沢...
牧野のマンションに着いたのはもう23時30分・・・幸い車の中では吐くこともなく、むしろぐったりしていた。駐車場の端の空きスペースに車を停め、急いで助手席に回って牧野に声を掛けたが酩酊状態のこいつは返事も曖昧で、とてもじゃねぇが自分の足じゃ歩けそうにはない。店を出るときからそうだったからこれも仕方がない。部屋まで連れて行くしかねぇが、鍵は鞄の中だろうから「鍵を探すぞ?」と言ってその中に手を突っ込んだ。...
「はぁ~~!お腹いっぱい♪満足した~~~♥」「・・・あんな甘いもん、何個食ったんだ?」道明寺さんにそう言われて、指折り数えたら・・・デザートは8.5個。「その半端なのはなんだ?」って言うから、「道明寺さんにあげたじゃん?」って言うと、また顔を赤くして。「あはは!道明寺さんってすぐ赤くなるんだね~~」「うるせぇよ💢///!!」「そしてすぐ怒鳴る~~!もう怖くないけど♪」「なんだと?!」「花沢さんってさ、あんまり...
その日の夜、青木さんの送別会は、近くの小料理屋のお座敷を貸し切って行われた。私は飯塚さんと一緒に末席の方に座り、チビチビ飲んで沢山食べてた。主役の青木さんは部長の隣だったけど、妊婦さんだから当然飲めない。その回りには彼女と歳の近い先輩達が、結婚についてのアレコレを聞いていた。それは彼氏がいる人もいれば、募集中の人もいる。大きな声では言えないけど、みんなそれなりに将来を不安視してるよう・・・。「36の...
気が付いたらデザートのお皿が空っぽ・・・それを道明寺さんにアイコンタクトしたら、この人は怒らずに次を取りに行ってくれた。そして今度はさっきと違うデザートを持ってきてくれて、「ほら、食え!」って・・・ぶっきらぼうだけど、聞いていたよりは優しい人だなと思って笑いが出た。そんな私を見て「何故笑う?」って睨むけど、もうそんなに怖くない。だから道明寺さんにもお皿を向けて、「一緒に食べよ?」って言うと・・・「は?俺は...
青木さんのことを聞いた翌週はもう6月。その月曜日には葛城さんが北海道から戻ってきた。私はLINEでやり取りを続けていたからそうでもないけど、他の女子社員はみんな大喜び・・・朝っぱらから管理課の前では、彼を見に来た人で五月蠅かったと聞いた。「やれやれ、ホントにモテるよね~~、葛城課長」「・・・くすっ、そうだね」「やぁねぇ、余裕見せちゃって!牧野さん、食事とかに誘われてるの?」「えっ///あ、うん・・・・・・今日は青木...
「それでは奥様、5月の第二日曜日、午後3時にお伺いしますね」「えぇ、待ってるわ♪ブルーローズ、本当にありがとう、さくらさん。最後までごゆっくりなさってね」これで私の仕事は終了~~~~~っ!!しかもちゃんと情報もとれたし、大成功~~~っ!!と、1人で大満足して花沢さんのところに戻った。丁度そこには道明寺さんも戻ってきてて、私を見ると「どこに行ってたんだ!」と怖い顔・・・それには「前田夫人とお話ししてたん...
食事開始が早かったせいもあり、終わったのも当然早い19時半。殆ど酒も飲んでねぇし、会話が弾んだというか・・・続いたのもあの一瞬だ。だから料亭を出る前に女将にタクシーを頼むと、伽耶の方が少し淋しそうな表情を見せた。大方これからホテルのBARなんかに行き、そこでオトナの時間を過ごすとでも思っていたんだろう。でも俺は昼間に茶会の亭主をした上に、明日は普通に仕事・・・「生徒」相手にそんな時間を持つつもりはない。だ...
「花沢さんは私と一緒に前田さんの家に行って、ティータイムすることになりました♪」その言葉にキョトン・・・確かにネックレスを取り返すには前田の家に行かなきゃ話にならないんだけど、それが何故ティータイム?と藤本と目を合わせた。ついでに言えば前田の家には「強盗」として入る気はなかった。万が一にも見付かったらヤミ金業者のようにはいかないし、速効父さんに連絡され、とんでもないことに・・・だからそれはいいんだけど。...
「・・・・・・・・・くそっ、巫山戯やがって!」お袋達が出て行ったドアを睨み、着替える為に振り向いた瞬間、俺の指にマスコットの紐が絡んでることに気がついた。ってことは今の間、俺の右手にこの黄色いヤツがぶら下がってたってこと・・・真面に俺を見ていなかったお袋はそれに気付かなかったが、伽耶は見てしまったのかもしれない。それであの表情か・・・と納得。正直気恥ずかしいことだが、そんな事さえもどうでもいい。いっその事イメー...
前田さんの自宅にはサファイヤだけじゃなく、エメラルドもあるかもしれない・・・そう思ったら一気にテンション爆上り!でも問題はそのネックレスを取り返さないといけないと言うこと。その為には自宅に行くしかないわけで・・・・・・でもそんな理由もないし、その為だけに行くというのならまた強盗紛いの事を・・・「ねぇ、さくらさん」「・・・・・・・・・・・・」「さくらさん・・・ねぇ、ちょっと、さくらさん?」「はっ・・・あぁ、ごめんなさい!なんでし...
牧野とキャンプに行った翌週、宗家では葵の茶会が行われていた。葵茶会は5月に京都で行われる葵祭に因んで開かれているもので、初風炉の次に客を招き行われる茶会。例年西門ではフタバアオイについての話をしたり、徳川家の葵御紋との関係について講話をしたりする。徳川家の三つ葉葵はフタバアオイをモデルとしているが、徳川家は古くから京都の賀茂神社とつながりがあったことに加え、徳川家の将軍たちは賀茂家の氏子でもあった...
「実は本日、奥様にプレゼントしようと思って・・・」「えっ?!わたくしに?」「はい・・・少々お待ち下さいね」そう言って藤本さんがいる方に目をやると、そこには花沢さんも道明寺さんも立ってた。遠目に見ても目立つなぁと思いつつ、私が呼びたいのはその奥にいる藤本さん。片手を上げてチョイチョイすると、藤本さんは気がついてくれて、すぐに袋の中から豪華なリボン付きの青い薔薇を持ってこっちに向かってきた。そしてすぐ近くま...
「ねぇ、キャンプの写真、見せてくれない?」「・・・・・・あ、あぁ!うん、ちょっと待ってね」その言葉で私の心臓は速くなった。鞄の中からスマホを取り出す時には嫌な汗をかき、アルバムを操作しながらドキドキしていた。1度確認した時に気が付いた、何処かぎこちない私・・・それを見破られないだろうかと。私が準備してる時にも「キャンプ、楽しめた?」と言う葛城さん・・・その質問をされた瞬間、私の目が泳いだ。ただ素直に『怖かった...
お皿もグラスも置いて、いよいよ前田社長のところへ・・・道明寺さんは何も知らないから不思議そうな顔して、「紹介してどうすんだ?」って。「えっとね・・・私、奥様とお話がしたいから、そのきっかけ作りをしたいの。それは自分で言うから気にしないで下さい。道明寺さんは社長とテキトーに経済の話でもしてくれてたらいいから」「・・・・・・お前等、何か企んでんのか?」「まさか!なんにも疚しい事はないわよ!!・・・・・・はっ!・・・」「・・・...
その日の夕方会社に戻ると、そこから今度は事務作業。担当書店から頼まれた調べ物や販促物の手配をしたり、売上げのデータを見たりと大忙し・・・気が付けば19時30分で、ボチボチ先輩達も帰り支度をしていた。私もこのメールを送ったら仕事は終わり・・・「う~~~ん!」と背伸びをして椅子から立ち上がり、デスクを片付けて更衣室に向かった。そこの冷蔵庫を見たら私のタルトは見事になくなってて、みんなに「美味しかったよ~」と...
人の間を縫うようにして向かった先・・・そこにはグレーのスーツの女性がいる。でも俺が話し掛けるのは、その女性と一緒にいる母さんの友人でもある田邊社長・・・この人の事も知らないけれど、なんとか女性の名前ぐらいは聞き出せるだろうと近付いて行った。そして、後数歩というところで田邊社長の方が俺に気付き、「まぁ、花沢物産の・・・遙香さんの息子さんね」と。それを聞いてニコリと笑い、「田邊社長ですね?」と態とらしく尋ねて...
ゴールデンウィークが終り、今日からまた仕事・・・そして今日は珍しく自分の車で出勤することにした。何故なら苺タルトが沢山あるから。西門さんには可愛く包んで渡したけど、会社のみんなには一切れずつアルミホイルでふんわり包んだだけ。それを大きなタッパーに並べたけど、入りきれないから保管していたお菓子の空き箱とかにも入れていた。案外重たいし、それを満員の交通機関で運ぶ勇気はなかった。「仕方ない・・・駐車料金が安い...
パーティーの開始時刻・・・その時間丁度に会場にアナウンスが流れ、入り口から前田社長と、その夫人が入って来た。最近よく見ていた顔(写真でだけど)が目の前を通過し、目が合ったら彼はニコリと笑った。それに夫人も愛想良く、社長の後ろを付いて行った。その時に見たアクセサリー・・・昼間のパーティーだから派手なものではない。ドレスだって濃紺のシンプルなものに、ゴールドのダイヤ付きネックレスとピアスだった。牧野もそれを...
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桜の茶会が終わると宗家は茶会以外の行事で大忙しだった。まずは光翔の小学校入学で、英徳小学部の制服を着た光翔を囲み、庭の桜の下で家族全員の記念撮影。この時も祐子の悪阻は酷くなく、孝三郎と共に入学式に出席することが出来た。建翔の面倒は志乃さんがみることになり、嬉しそうな顔の3人を乗せた西門の高級車が走り去るのを皆で見送った。英徳の制服は有名デザイナーのもので、カバンもランドセルじゃなく共通の通学バッグ...
夏美さんが呆然としてる・・・・・・流石に自分でも不味いコトしたと思ってる。でも流れた玉子は拾えなかったし、真ん中の穴みたいなところ(ディスポーザー)にス~~~っと落ちていき・・・「どうしましょう、夏美さん・・・」「残った玉子は4個ですから、小さめのを作りましょうか💦」「ごめんなさい・・・」「大丈夫です!これも慣れですからね!」でも玉子をキレイに割ることは覚えたので、気を取り直して玉子4個を割った。そして夏美さんに...
翌日の紅葉の野点では、家元夫人のお茶席で祐子さんと一緒にお手伝いをした。まだまだ阿吽の呼吸とはいかないけど、とにかく自分の出来ることを頑張るしかない。2人とも家元夫人と色違いの着物で、それだけで周りの人達には意味が判ったようでザワザワしたけど・・・それでも笑顔を絶やさず、大失敗をしないことだけを願いながら。野点茶会が始まって2時間後にやってきた花沢類と美作さんは、何故か総二郎のお茶席じゃなくて家元夫...
「はぁ~~~~~!12時になったぁ!」「社食に行く?今日の日替わり、なんだったっけ?」「池上君、今日は13時30分には芝崎産業に行くから遅れるなよ~~」「はい、すぐに飯食ってきます!」「花沢課長、キリがいいところで食事にしませんか?」「・・・ん」・・・なんとか午前中の業務終了。俺も昼食に行こうと席を立った。他の社員のように社食に行ってもいいんだけど、俺の場合は周りにいる社員の方が気にするってことで、いつ...
1時間後・・・・・・クタクタになった私達は母屋に戻っていた。後援会の皆様への挨拶は道明寺達のおかげで滞りなく終わり、むしろ後半はこの人達によって私達の結婚が西門流にとってもこの上ない幸運だと言わんばかりに盛り上がってた。総二郎の親友なんだから特別顧問的な役割は続くのに、オマケに私の後ろ盾だなんて・・・家元ご夫妻も彼らとニコニコしながら会話し、「今日はどうもありがとうね~」なんて言ってる。そして鬼みたいな顔...
マンションに戻ったのは11時30分。ここで夏美さんが「すぐにご飯を炊きましょう」って言いながら、さっき買ってきた食料品の中からお米を取り出した。「お米を・・・たく?」「えぇ、炊飯器で炊くんです。これも忘れました?」「・・・・・・あ、あは・・・あっははははは!」「簡単ですからすぐに思い出せますよ」野菜を炊いたものなら知ってるけど、基本私達のご飯は玄米を蒸して強飯にしたり、水をたっぷり入れて煮るお粥がほとんどだっ...
「つくし様、終わりましたわ」「・・・ありがとうございます、志乃さん。うわぁ・・・私じゃないみたい///」「うふふ、よくお似合いですわ。では総二郎様をお呼びしますね。お客様もすでにお待ちのようですので」「・・・・・・は、はい!」今日は後援会の皆さんとの顔合わせの日・・・家元夫人から譲り受けた色留袖を着て、ドキドキしながら控えの間で待っていた。総二郎が選んでくれたのはすごく綺麗な袷の色留袖で、地色は象牙色、柄はすべて手...
夏美さんとホームセンターに行くと、真っ直ぐ向かったのは「キッチン○○」ってことろ。(↑○○=用品だが、まだ漢字が読めない)そこにはキラキラした(金属)ものが沢山あるんだけど、私には何のことやら・・・だから全部彼女に任せることにした。まずは”包丁”・・・「このまえ買ったかどうか忘れたんですけど、2つあっても良いと思うので」「は~~い」「ぺティナイフも買いましょうか」「・・・は、は~~い」(←わかっていない)夏美さんが...
お義母様との話し合いが終わった翌日から、私はいただいた着物を着て本邸を歩くことになった。そしてここではお義母様から家元夫人に呼び方も変更・・・自分1人では何をしていいのかわからないので、常に家元夫人にくっついていた。玄関の花を変えたりするぐらいなら緊張はしないけど、生徒さんが来たときに挨拶するのは心臓が破裂しそうになる。なんたって生徒さんの半数は名家のご令嬢・・・今はフリーの総二郎がお目当てなんだもん。...
サンルームとやらに干された3日分の下着・・・白に鴇色(ときいろ・ピンク)に空色・・・乾いたらこれを畳んだらいいとのこと。でもそれを何処に仕舞うのかしら?この部屋には唐櫃(からびつ)もないんだけど・・・。出典:e国宝「どこに仕舞っても自由だと思いますけど、確かにお部屋にタンスはないみたいですね~」「服は向こうに置いてあるんですけど・・・」「あぁ、クローゼットですね?でもこんなに広い脱衣場があるし、ここにも棚がある...
つくしと葵が退院してから1ヶ月が過ぎた。梅雨の晴れ間で、気温もそう高くない日・・・・・宗家には客人が来ていた。それは神楽木裕也夫妻で、その手には葵のための祝い着があった。淡い黄色から赤への暈かしがあり、美しい配色の毬に組紐、そして熨斗目が描かれたもので、華やかな芍薬や桜なども。金彩も施され、煌びやかさもある極上のもの。それを見るつくしや祐子は目がテン・・・お袋は涙ぐみながらそれを手に持った。その場には親父...
「まだ始まっていない・・・とは・・・?」「えっと・・・・・・つくしさん、成人してますよね?」「せいじん?」「大人・・・ですよね?」”せいじん”・・・つまりそれが大人って意味?私達の頃は男性は「加冠の儀」つまり「元服」、女性は「裳着の儀」ってのがあった。元服は帝であればおおよそ11歳から15歳まで、皇太子であれば17歳までに行われてたけど、通常14歳前後が多かったみたい。元服式には「理髪の役」と「加冠の役」の役目があって、まず...
出産がこれほどまでに大変だったとは・・・・・・光翔の時には立ち会わなかったからわからなかったし、正直美涼の苦しみや痛みまで考えなかった気がする。でもつくしの様子を見ていると、彼女も必死に産んでくれたのだと・・・・・・もう少し感謝の言葉をかけてやれば良かったと思った。と同時に、これだけの思いをして生んだ光翔を愛おしく思えなかったことに対して疑問が湧いたが・・・「・・・総二郎、どうかした?」「あ、いや・・・なんでもない。...
夏美さんが来てくれたので安心して全身の力が抜けた・・・けど、この人に色々と教えてもらわないといけないので、「よろしくおねがいします!」と元気よく挨拶♪中に入ってもらって、まずは・・・・・・何をする?「え~~~~~と・・・」「あぁ、お茶とか珈琲とかはいいですよ。仕事で来てるので気を遣わないで下さい」「・・・(あぁ、お茶を出すものなのね?そもそも炭汁(珈琲)は作れないし)・・・あはは///すみません」現代社会を知らないフリ...
5月31日は土曜日で、一颯の保育園はお休み。光翔くんの幼稚園もお休みで、子供達は朝から庭で遊んでいた。あんな風に走ったり飛んだり、しゃがんだりが身軽で羨ましい・・・と、自分のお腹をさすりながらそれを眺めて・・・・・・「・・・つくし、平気か?」「へ?あぁ~~~、うん、まだ平気」「陣痛が来る前に入院してもいいんじゃねぇの?」「そんなの病院に迷惑だよ。陣痛間隔が15分ぐらいで行く人もいるんだし」「でも・・・・・・」「そん...
「おはようございます、花沢課長///」「課長、今日も素敵なスーツですね~~♪」「・・・・・・・・・」「無口だけどそこがまた///」←ただの無愛想「ねぇねぇ、今日は少しワイルドな髪型じゃない?」←ただの寝癖「「「花沢課長、おはようございます~~~♪」」」「あぁ、おはよう・・・・・・」「「「きゃあああ🧡今日はご挨拶できたぁ🧡」」」そんな声もほとんど耳に入らず、床の大理石タイルに視線を落として歩いた。頭の中では1人にしてしまった...
墓参りから1週間が過ぎ、明日は桜の茶会。今回もつくしは準備だけで、当日は子供達の世話係。まだ後援会に何も話していないので、姿を見せないように離れで過ごすことにしていた。が、祐子は茶会終了後に挨拶するために数日前からその練習をしていた。お袋から譲り受けた着物を着て、光翔にも着物を着せて・・・その時は流石に一颯の事が気になったが、子供なのであまり深くは考えていないようで助かった。むしろ面倒くさいことをせ...
翌朝、やっぱり私はベッドから落ちて寝ていた。でも類がそこにマットレスってのを敷いててくれたので、今日は身体が痛くないなぁ~と思いながら身体を起こすと・・・もう類はこの部屋にはいなかった。「・・・あ、今日から仕事に行くって言ってたっけ・・・」いつまでも寝てるから、起こさずに出かけたのかと思って飛び起た私。その時にズボンの裾を踏んで転けそうになりなからも、ドアを開けて隣の部屋に行くと・・・・・・「おはよう、つくし」...
桜の茶会の10日前・・・彼岸の日に神楽木家に向かった。車中にはお袋の姿もあり、つくしが後部座席で一颯の相手をし、お袋は助手席。運転席の俺も少しばかり緊張するが、まだ祖母に慣れていない一颯のためにはこの方がいいだろうと思ったからだ。お袋は紫地の江戸小紋に紹巴織の名古屋帯。春らしい着物ではなかったけど、品があり、墓参りに相応しいものだった。「ねぇ、ママ。かぐらぎのおじちゃんはなんのお仕事してるの~?」「...
その日の夕ご飯も誰かが持って来てくれた物をレンジでチンして食べることになった。何度もやったから温めは完璧🧡そしてコンロでお湯を沸かすことも出来るようになった。ここでまた初めての物が出てきたんだけど・・・すごく軽くて四角くて、スカスカしてる?「類、これはどうやって食べるの?このまま囓るの?」「それはフリーズドライの卵スープだよ」「・・・・・・?」「あぁ、フリーズドライって言うのは真空凍結乾燥って意味で・・・・・・わ...
「・・・・・・・・・ママは・・・・・・まいあのこと・・・」「どうした?」「・・・・・・なんでもなぁ~い」「・・・・・・・・・・・・」小さな子どもの相手など苦手なはずの司・・・だが、それがつくしの子どもだからなのか、その淋しそうな表情が気になったのだろう。つくしが戻って来ていないのに、双子を連れて会場横にあるルーフトップテラスに出た。そこはさながら小さな公園のように仕立てられていて、芝生にはベンチが置かれていた。真音はそこに設置されてい...
梅雨が明けた7月後半。この頃は庭木の手入れで野田は忙しくなる。梅雨明けの前と後では天候が大きく変化し、新しい枝の生長も一段落。これからの暑さの備え、風通しをよくしたり、光がまんべんなく当たるように剪定していかなくてはならない。春に花が咲いた木には「お礼肥え」を与えたり、茶花でよく使うナツツバキにも肥料が必要。それまでよく雨が降っていたのに、急に降らなくなって水分バランスが悪くなることから、木が弱る...
招待客の視線が類の家族に集まった。何故なら、隣にいるのは1年と少し前に行われた類の結婚式とはちがう女性だから・・・だがその理由は既に知れ渡っているので、ここで改めて類が紹介するという形になっていたのだ。美央のことも「花沢家の被害者」というニュアンスで伝わっている。そしてすでに彼女も本来の家族と過ごしていることも、あの事件の時にそれとなく報道されていたため、ここでは説明しない。それよりも真利愛と一緒に...
「サッちゃ~~~~~ん!!」野田さんから話を聞いて、今サッちゃんがいるという母屋の一室にダッシュで向かった。どうやらそこで使用人さんの制服でもある夏の着物を準備しているとか♪その部屋の襖をパーンと開けると、目の前に年配の使用人さんとサッちゃんが!その顔を見ただけで嬉しくなって、「おめでとう~~~!」と言って両手を広げたら・・・「うわああああぁっ!つくし様、飛び付かないで下さいっ!!」そう言って、彼女も...
類の社長就任記念パーティー当日。類は朝早くから会場入りしていたが、つくし達は式典に参加しないのでパーティーが始まる1時間前に会場に行くことにしていた。その頃には真利愛もすっかり元気になっていたので、先日用意した可愛らしいドレスに着替えていた。勿論真音もスーツに着替えていたが、上着を着るのは窮屈だろうからと、シャツとズボン姿でソワソワしていた。普段は動きやすい格好で走り回っているので、蝶ネクタイが鬱...
確かに・・・・・・確かに、祥一郎は「妊娠している」とは言ってない。「妊娠してないよな?」と言っただけで、俺の早とちりだ。そう・・・俺が早とちり&勘違いしたまでだ💢!!でも、もう少し説明を加えてくれても良かっただろうに!しかもさっき・・・『つくしちゃんから聞くと誤解するだろうから言っておくけど』『は?』『あの子がスケート初心者だったから両手握って教えたけど、他意はないから』『・・・・・・・・・』『スケート靴履かせるときも...
類が帰宅したのは21時。すぐに使用人から真利愛のことを聞き、部屋に入る前に加代のところに行くと、そこでは真音がウトウトしていた。スーツのまま真音を抱き上げると、安心したのかすぐに肩に顔を乗せて目を閉じる真音・・・類はそのまま夕食後の様子を聞くこととなった。「じゃあつくしが子供部屋に?」「はい、付き添うと仰いまして・・・風邪かどうかもわかりませんから、取り敢えず真音様を私の部屋でお預かりしましたの」「主治...
「・・・・・・・・・総二郎・・・お前、ちょっと・・・」「つくしちゃんは大丈夫なの?!」祥一郎が何か言い掛けた時、同時に特別室のドアが開いて、お袋が飛び込んで来た。しかも付き人が誰もいない・・・家元夫人が1人で外出なんて普段なら有り得ないが、それほどこの人もつくしと「孫」が心配だったんだろうと・・・俺はベッドに横たわるつくしの手を握ったままで、お袋はその手前にいた祥一郎を突き飛ばす勢いで俺の横に走ってきた。そしてつくし...
「こら、真音!遊び終わったらおもちゃは片付けなさいって言ってるよね?」「うわ!ママがおこったぁ~~~~!」「もうっ!人に任せちゃダメなのよ?そんな事するならもうおもちゃで遊ばせないんだから!」「やだやだぁ~~~!」「はい、じゃあ片付けて。いくらあなた達のプレイルームだからって、散らかしたままはダメなのよ?」「・・・・・・おこりんぼ!」「なんですって?!」「うわああぁ、またおこる~~~~っ!!」1階奥のプ...
『つくしちゃんがスケート場で倒れたんだ!今から救急車で西門の主治医の病院に運ぶから、お前もすぐに来い!』つくしが・・・・・・倒れた?一瞬何のことか判らず、思考回路停止・・・でも祥一郎は冗談を言うヤツではないし、その声はマジだった。しかも電話の向こうから聞こえるのは『返事はありません!』とか『病院まで何分ですか?』とか・・・そんな雑音が耳に入った途端に背中がゾクッとした。『お連れさんですか?救急車に同乗願います...
ドレス選びが終わると本格的になったのは英語とフランス語の挨拶だ。これはつくしだけではなく真音と真利愛もなのだが、子ども達は類が教えることになった。つくしには専属の家庭教師がつき、パーティーまでの間、毎日英語とフランス語の講習を受けることに・・・勿論簡単な日常会話のみだが、それでも気が重かった。そんな梅雨の晴れ間の、とある日曜のこと。リビングの真ん中で家族が輪になり、類による子ども達へのレッスン開始だ...
ラーメンを食べたら、まずは手袋を買いに行った。この季節に手袋なんてって思ったけど、作業服の販売店に行くとカラー軍手が売られてるからって・・・「しかも250円ぐらいで買えるんだよ」って爽やかに言われ、最近”○千万円”って言葉に慣れてるせいで逆に驚いてしまった。と言うか、祥一郎さんって西門家の血が入ってるのだろうか・・・?それともあの家を出ると金銭感覚が通常値にもどるのか?じゃあもしかして・・・私の方がバグってる...
それから数日間、つくし達は大きな問題もなく過ごしていた。少しばかり増えたことと言えば、真利愛と真音にパーティーでの挨拶を教えることだった。いくらこの豪邸に住んでいた真利愛でも、ビジネスパーティーには出席したことはない。真音に至っては堅苦しい服を着ることですら初めてだ。だからと言って3歳児に完璧なマナーなど出来るはずもないので、可能な範囲でのこと。特別な講師を招くわけでもなく、加代が教えるのだが、そ...
翌朝・・・サッちゃんは早朝から仕事だから、私が目を覚ましたときにはもう部屋にいなかった。その部屋を見たら、私の荷物がドーンとド真ん中に・・・前に使っていた部屋だけど、今はサッちゃんと野田さんの部屋だから男性用品もあるし、さり気なく結婚式の写真も飾ってあるしで、私はすごく迷惑なことをしたんだな・・・と。なんたって昨日は総二郎と大喧嘩・・・それを新婚のサッちゃんに八つ当たりしまくった気がする。「頭痛いなぁ・・・身体...
その日はいつもより早く帰宅出来そうだったため、類は加代に電話をして、子ども達と一緒に食事をすると話した。すると加代から聞かされたのは今日の昼間の出来事・・・「えっ、真利愛とつくしが?」『はい。そんなに酷い喧嘩ではありませんが、つくし様を突き飛ばすような事をしてしまって・・・』「そう・・・・・・それでつくしは?」『必死に真利愛様を宥めておいででした・・・』「真利愛は?」『まだ謝ってはおられませんが、そのあとは真音...
夕食時、考ちゃんは茶道教室・夜間の部があるとのことでいなかったけど、その席には祥一郎さんが♥見飽きた顔じゃなくて、長男さんがいることを家元夫妻も喜んでるみたい♪特に家元夫人はお母さんの顔になってるし~。「どうなの?お仕事は上手くいってる?」「もうどのくらい手術したんだ?」「まだ勤務して数年だし、そんなに言えるほどじゃないって」「あら、じゃあ一人前とは言えないの?」「欧米だと一人前の心臓外科医になるに...
「つくし、何しているの?」「ん~?えへへ・・・・・・子ども達の服を縫うの。その型紙を作ってるんだよ~」「服・・・つくしが作るの?」「うん!それとね、ぬいぐるみ達の服とか、ランチョンマットとか・・・あ、類のはブルーだよ♪」「くすっ、今日は機嫌がいいんだね」「へっ///?あぁ・・・うん、まぁね~」真音と真利愛が寝てしまった後で類が帰宅し、つくしはその時もテーブルの上に型紙を広げていた。類はそれを覗き込んだが全く判らない...
なんとか巨大迷路を抜け出し、出口前で合流したのは16時。そこに道明寺さんはいなくて、私たちはアイスを食べながら待つことに・・・するとしばらくして数人のスタッフさんに連れられて、ブスッとした彼が戻ってきた。どうやら巨大迷路を破壊したことで、お説教&損害賠償の話があったらしいけど、道明寺さんは「全部立て直してやる!」と即答したらしい。スタッフさんもこの人が道明寺ホールディングスの人(経営側)だとわかり、...
その日の夕方・・・土曜だったので類は早めに帰宅できた。当然それを迎えに出たのは真利愛と真音で、「ぱっぱ~~!」と飛び付いたのは真利愛だ。真音も同じようにしたい様子だったが、真利愛の勢いに負けるのと、まだ素直に類に触れることが出来なかった。そんな真音に気が付いて、類はいつも真利愛の後で真音も抱き上げた。「うわ・・・真音、少し重くなった?」「ほんと?ぼく、大きくなった?」「まいあは~?まいあも大きくなったぁ...
巨大迷路の入り口に立つと、そこには2つのコースがあった。1つは体力勝負のアスレチックコース、もう一つは仕掛けを解いていく知力コース。迷路としての建物は1つだけど、中の通路は巧みに入り組んでいるため2つのコースが交わることはないそうだ。そのどっちに行くかってことで、再びジャンケンすることに。勝った方が好きな方を選ぶことにして、総二郎と道明寺さんがジャンケンすることとなった。「行くぞ、司!」「・・・そん...