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Pas de Quatre http://pasd124.blog.fc2.com/

花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。

読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。

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2017/02/11

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  • 始まらないLoveStory・134

    「さぁ、パトカーが来る前に全部聞こうか」俺の言葉で加世子が深い溜息を吐き、「今更もういいでしょ?」と開き直ったように言いやがった。確かに警察に話せばそのうち俺達にも説明があるかもしれない・・・ただ、そんなの待っていられねぇ。だから「こっちには知る権利があるんだよ!」と、低い声で脅すように言ってやった。でも喋ろうとしないので、順を追ってこっちから質問してやった。「まず・・・あんたは山本社長の義妹だよな?で...

  • As long as you love me(54)

    加代はフランスに電話しようかと思ったが、まずは田崎の部屋に行ってそれを伝え、封筒を手渡した。田崎も慌ててそれを読み・・・サッと顔色が変わったのが判った。「どうしましょう・・・田崎様、すぐに旦那様にお知らせしますか?」「・・・この時間だとパリは昼間ですからすぐに連絡がつくと思います。私が・・・・・・」そう言って田崎は一瞬怯んだ。澪の最初の怒号を聞くのは面倒だと思ったのだ。それに自宅で起きた事なので、監視役とは言え...

  • 始まらないLoveStory・133

    16日の朝・・・・・・・・・2日連続の筋肉痛。私達が恋人になって、初めて西門さんがこのマンションにお泊まり・・・そして初めてキングサイズの彼専用ベッドに寝た。広いからなのか安心したからなのか判んないけど、この男は容赦なく暴れまくり、真夜中に汗が凄くて2回もお風呂に連れて行かれるくらい・・・それなのにこの男は何故そんなにご機嫌な目覚めなの・・・?💢明け方薄暗いうちから盛ってくるから蹴り落としたのに、それでもフンフン♪言...

  • As long as you love me(53)

    雨が降り続いている。朝よりも酷くなり、それが加代の気持ちを不安にさせていた。何故だか判らないが、朝の類の様子が気になる・・・意に染まない結婚を強いられ、気の毒に感じていたのだが、それとは違う感情も読み取れた。まるで喜んでいるような・・・そんなはずはないのに、吹っ切れたように笑った気がして、その瞳が脳裏に焼き付いて離れない。「・・・無茶な事などしない人だし・・・」そうは思うが、昔から心の奥底を他人には見せない類...

  • 始まらないLoveStory・132

    時間はもう13時・・・昼も過ぎて牧野の腹は限界。これから両親を東京に連れて帰ることにしたが、その前に最後の食事を一緒に・・・と言う話になった。でもこの家の暮らしも豊かな訳ではなく、3人分を用意していただけ。だから俺が無理を言って、近くのホテルのレストランに向かうことになった。それが決まると3人が仲良く作っていた料理を夕食用にと保存中・・・「あっちゃん」「千恵ちゃん」「晴男さん」と呼び合うのを見て、本当に楽...

  • 天泣の日に・14

    その女は半分口を開けた間抜けな顔で、豪華なウエディングドレスを見上げていた。俺はそいつの後ろから近付き、背後に立った・・・それなのに気配も感じず、ずっと見上げたまま・・・「いいなぁ~」って聞こえたのは正しく牧野の声だった。今まで何処に居たのやら・・・どうしてホテルなんかに来てるのやら・・・そんな事も同時に考えたが、今はとにかく「捕獲」しか考えてない。もう逃がすものかと、もう1歩こいつに近付いて、耳元で囁いてや...

  • As long as you love me(52)

    小雨の降る中、梨沙が「クシュン!」と小さなくしゃみをした。それを見て「寒かった?車に行こうか」と、類が公園を出て車を駐車した場所に戻っていった。そんなに重いわけでもないが、こうして抱いてるとかなりの負担がある。まだ身体が完全に回復していないだろうから、つくしの負担は想像以上だったろう・・・それをひしひしと感じながら、傘を差して歩いた。車内ではシートを倒して梨沙を自分の上に乗せ、そこで指遊びを始めた。...

  • 始まらないLoveStory・131

    この世の中に司よりも信じられないヤツがいたとは・・・そんな風に思いながら話を聞いていた。そして事件の全容解明は高橋加世子に聞くしかねぇからもういいとして・・・今度は牧野がどうやって暮らしていたのかと、ここまで辿り着いた詳しい経緯を話してやった。「実は大学を辞めた時にも私達には何も言いませんでした。だからこんな事になっていたと私が知ったのは最近です。牧野は特待を維持するどころではなくなり、学費が払えなくて...

  • As long as you love me(51)

    翌日・・・不思議とよく寝た類は朝早くに起きた。もう外は明るくなっていたが、小さな葉音が聞こえた。雨が降っているのだろうか・・・そう思って両手でカーテンを開けて窓の外を見た。「・・・雨か・・・まぁ、出て行くにはいいのかもね」そんな事を呟きながらカーテンを閉め、シャワーを浴びた。それが済むとバスローブのままスマホで今後の天気をチェックし、同時に室内インターホンで珈琲を頼んだ。次にこんな朝を迎えられる日は・・・そう考...

  • 始まらないLoveStory・130

    世界規模の迷路が遊園地のお化け屋敷程度の規模に変わった・・・。これで犯人は判ったが、その後の事も聞いてみた。高橋加世子と一緒にいた男・・・恐らく高橋真人だろうが、そいつが牧野の親父さん達が寝かされた車を中尾の家まで持って来て、「絶対に捨てるのよ!」と吐き捨てて、今から社長室に戻って警察に電話すると言ったらしい。勿論社長本人は出来ないから、真人が苦しそうな声を出して演技したんだろう。どうしてわざわざ警察に...

  • As long as you love me(50)

    類の突然の訪問に驚いたつくしだが、会えて嬉しいのは当然だ。だから部屋に入ると、拗ねた顔は急に甘えたものにかわり、振り向いて類の首に腕を巻き付けた。そして重なる唇・・・それが離れると、「本当に突然なんだから」と照れたように笑った。「でも1番は普通私じゃない?2度も梨沙のことを聞く?」「ご、ごめんって・・・」「私が同じ事したら怒るでしょ?ふんっ!」「・・・で、梨沙は・・・くすっ、ホントに寝てる」「・・・もう!」つく...

  • 始まらないLoveStory・129

    巨大迷路が世界規模の迷路に変わった・・・ついでに、やはりここにいる3人も騙されていると判った。「進はあの日、家に居たわよ!私よりも先に警察に尋問されて、ビビって震えあがってたんだから!」牧野がそう言うと両親は声を揃えて「「ホントに?!」」と・・・それにクラッとしながら話を進めると、今度はまたもや爆弾発言・・・どうやら高橋加世子は、意識の無い状態の牧野夫妻を「処分しろ」と命じたらしい。でも今現在両親はここで...

  • As long as you love me(49)

    マンションの仮契約も終え、類と紗江子の新生活の準備は順調に進んでいるように見えた。だが、加代には類に幸福感も感じず、むしろあらゆる事に冷めているようにしか見えなかった。相変わらず食が細いために体重が落ち、自宅に居る時はほとんど身体を休めている状態・・・堪りかねて主治医を呼ぼうかと相談すると、類は「その必要はない」と、それを断わった。「でも類様・・・顔色も優れませんし、点滴などで少しでもよくなれば・・・」「...

  • 始まらないLoveStory・128

    自己紹介が終わった頃、中尾敦子が部屋に入って来た。トレイに麦茶を入れたグラスを乗せ、上品な茶菓子まで・・・それをテーブルに出したら、神妙な面持ちで俺と牧野の対面に座った。親父さんとお袋さんはその横に並び、同じように静かにしている。ここでもう1度、中尾敦子に牧野がこの2人の娘である事、俺がその交際相手だと伝えた。そして両親の無実と生存を信じてここまで探しに来たこと、この前も同じ件で修善寺に来て、日枝神...

  • 天泣の日に・13

    「やっぱりあの時にあの女、食っとけば良かったなぁ!」「・・・っ!!」その言葉を聞いた瞬間、俺の中で何かがブチ切れた。そして気がついた時にはこいつを殴り飛ばし、それだけじゃ飽き足らずに馬乗りになり、その首を絞めた。その時に何処かに雷が落ちたのか、凄まじい轟音と共に辺りが白くなり、三宅の顔には激しい雨が落ちていた。当然その上に乗っかってる俺の髪からも滝のように流れ落ちる・・・それで息苦しくなったのか、三宅は...

  • As long as you love me(48)

    難しい話が終わると、それからまた4人は梨沙を囲んで近況を語り合った。あきらはイギリスでの女性問題・・・とある年上女性といい感じになったと思ったら既婚者で、そのせいで裁判になるところだったとか。それを聞いて総二郎が「馬鹿じゃねぇの?」と大笑いし、類は「仕事に影響でなかったの?」と美作商事を心配した。つくしは少し呆れ顔・・・「優しいのはいいけど、不倫はダメでしょ」と眉を寄せた。総二郎は両親が勝手に決めた見合...

  • 始まらないLoveStory・127

    お父さんの話で、両親がこの事件の犯人じゃないって事は判った。私としてはそれで充分・・・東京に戻って自分から警察に行って事情を話せばいいと思ったけど、まだ判らない事が多い。どうして網代に連れて来られたのに、逃げもせず大人しく隠れていたのか。お父さんの車を落としたのは誰なのか・・・それに高橋真人って人がお父さんを網代に連れて来たのなら、加世子さんもあの家を知ってるはず。それなのに中尾敦子さんの引っ越し先を知...

  • As long as you love me(47)

    外が全然見えないガレージの中・・・つくしはここが美作邸だと言われても半信半疑だった。でも女性には「大丈夫ですから」と2度も言われ、勇気を出して指示された扉に向かってノックをしようと手をあげた。その瞬間、内側から勢いよくドアが開き、もう少しで梨沙の顔面に当たる所だった!「きゃああぁっ!!」「あっ、ごめん!大丈夫?当たらなかった?!」それは滅多に聞かない類の大声で、途端に泣き出した梨沙。つくしは慌てて梨沙...

  • 始まらないLoveStory・126

    「進君の事を気にされてますが、彼はお父さんの事件の事を忘れたくて、新しい人生を歩もうとしているようですよ?お金に苦労してるようですが、婚約者さんのご両親は理解ある人みたいで・・・」「進がお金に困ってる?」そう言うと一瞬3人共がポカン・・・てか、何故進にお金があると思ってんの?お父さんの失踪当時、我が家がどんな経済状態だったかは知ってるよね・・・と自分の父親を睨んだけど、もう私の視線さえも気にならないのか、...

  • As long as you love me(46)

    土曜日の朝、つくしはいつもより緊張しながら梨沙の荷物を揃えていた。とは言え、元々荷物がないのだからマザーズバッグに入るだけのもの・・・少しでも可愛くしたかったため、退院した時に着たベビードレスを準備した。そして自分も持って来た服の中で可愛いものと探したが、子供の世話を考えると普段着の方が良いと思い直し、一応汚したときのために替えを用意。せめて髪を綺麗にしようと、梨沙が寝ている時にサイドを編み込みにし...

  • 始まらないLoveStory・125

    腰が痛くて早く走ることも出来なかったけど、西門さんが居たから超助かった。人間離れした長い足と、ダックスフントじゃ勝負にもならない・・・お父さんはあっという間に追い付かれて、首根っこを掴まれた。そして私を見るなり「ひいいぃっ!」って情けない声上げて、側まで行ったら短い両手で頭も顔も隠して「殴らないで!」と叫んだ。「はぁはぁ・・・・・・なによ、その言い方・・・殴られるようなことをしたの?ねぇ、お父さん、何で逃げて...

  • 天泣の日に・12

    ホテルから出ると、すぐ近くにあった店の軒下に入った。そこで漸く牧野の手を離し、その顔を見たら涙でグチャグチャだった。そしてやはり手には傘を持ってない・・・予報を信じ込んで持って来なかったんだろう。色んな事にムカついたが、とにかく無事に連れ出せたことでホッとはしていたが・・・「馬鹿か!どうしてあんな男と一緒に帰ったんだ!」「い、一緒に帰ってない・・・あの人が付いてきて・・・」「表通りを歩けば連れ込まれたりしない...

  • As long as you love me(45)

    金曜日の朝、類の所に1本の電話が入った。それはあきらからで、専務執務室でその電話をとった田崎は「お世話になっております」と緊張気味に答えた。あきらが総二郎と同じく類の幼馴染みで、美作商事の跡取り息子だという事を田崎は知っているし、起業家故に総二郎よりはあきらの方に感心があって当然。だから不審になど思わずに類に繋ぐと、「スマホにかければいいのに・・・」と小声で言いながらそれに出た。実はこれは田崎に知ら...

  • 始まらないLoveStory・124

    朝ご飯を食べたらすぐにチェックアウトし、車は前にも利用した駐車場に停めた。そして玉依の花を売ってるお店の近くまで行ったのは午前9時半。お店の開店時間が10時だったから、それよりも前に来て、店の入り口が見える場所で待機した。でも今は7月で暑い・・・立ちっぱなしは流石にキツいと言う事で、近くの喫茶店に入り、店の入り口が見える席に座った。土曜日だからなのか観光客が多く、時々人の流れで店の前が見えなくなる・・・...

  • As long as you love me(44)

    5月連休も終り、類は通常業務に戻った。若干心配していた5日の行動については誰からも聞かれる事もなく、紗江子はわざわざパリに報告していないのだと思った。田崎も予定が1日延びた事など気にしていないようで、この頃は随分気が緩んでいる。これまでの類の慎重な行動が功を奏し、監視が甘くなっているのだろう。だからと言って自分まで気が緩んでは不味い・・・類は業務中も側から離れない田崎を横目で睨み、神経を研ぎ澄まして...

  • 始まらないLoveStory・123

    14日の夕方、最後の仕事を終えたら急いで部屋に戻り、服を着替えた。そして1泊用の荷物を持ち、両親に言うと五月蠅いから志乃さんに「明日の夜まで帰らない」と伝えた。「最近なんだかプライベートが忙しそうですわねぇ?」「・・・仕事もちゃんとしてるって」「あら!志乃はそんなつもりで言った訳じゃありませんわ。プライベートが忙しいなんてイイ事ですわ♪」「・・・じゃあ後はよろしく」「はい、いってらっしゃいませ♪」一体何を...

  • As long as you love me(43)

    梨沙は授乳の時だけ起きていたが、流石に長く外出していたので疲れたのだろう・・・それから昼寝が始まった。その横でつくしは久しぶりにテイクアウトの料理を頬張り、「美味しい~」を繰り返した。勿論その料理は美味しいのだが、いつもは1人で食べているからと言うのもある。大切な誰かと向かい合って同じものを食べるというのは、それだけで幸せな事なのだと今更ながら気付かされる。それは類も同じで、一昨日と昨日はずっと紗江...

  • 始まらないLoveStory・122

    休憩が終わったら、もう1回違う花で生けてみた。私は家元夫人が用意してくれたサンキライ(山帰来)という実のついた枝物と、自分が買って来たグロリオサを使って、剣山ではなく筒型の花瓶に生けた。サンキライの形が面白いから、弓形になるように生けて、その真ん中にグロリオサを数本・・・高低差が難しいけど、まずは自分1人で生けて、後から家元夫人のアドバイスを貰って長さ調整。「なかなか素敵よ♪」と言われ、ガッツポーズを...

  • 天泣の日に・11

    牧野の来ない金曜日は退屈だった。夕方までに山積みの仕事を終わらせて茶室で待っていたのに、それをしなくていいと思ったら手が止まる・・・おかげで日が暮れても俺はダラダラとその日にやらなければいけない仕事をしていた。夕食もほとんど食わなかった。それを見た親父に「具合が悪いのか?」と聞かれても無言・・・「体調管理も仕事のうちですよ」とお袋に言われて箸を置いた。そうしたら考三郎に「たまには休むこともあるって!」と...

  • As long as you love me(42)

    アパートを出た類は大通りまで走って行き、タクシーを拾った。それに乗り込んだらレンタカーの場所まで頼み、そこに着いたら車内が広めのワンボックスを借りた。それに乗って近くの店に立ち寄り、変装用のサングラスとキャップを購入。アパートに戻ったのは午前10時で、つくしは想像以上に大きな車に驚いてしまった。乗るのは3人のはずなのに8人乗りだし、他にも誰かを誘うのかと焦った。「そんな訳ないじゃん。家族水入らずだ...

  • 始まらないLoveStory・121

    西門さんに言われて、訳も判らず切り取った枝・・・それを持ってこの前華道をした部屋に行くと、そこにはもう道具類が置かれていた。それに私が用意したお花の他にも色々と。だから家元夫人も1度この部屋に来たのかな?と・・・西門さんにそう聞くと「俺達が庭に行って遅れたからかも」と、家元夫人の部屋に様子を見にいくと言ってくれた。「怒っちゃったのかな・・・」「どうだろう・・・まぁ、気にしなくてもいいさ」「ドキドキする!」「お...

  • As long as you love me(41)

    つくしが住むアパートにはタンスすらないが、それでも梨沙の布団があるから、もう1つ布団を敷くと壁際ギリギリになってしまう。そんな狭い所で並んで寝転び、薄暗い中で梨沙の動画を見せて色んな話をした。とは言えこの1ヶ月で出来るようになったことは少なく、手足の動きが大きくなった事ぐらいだ。それでも画面の中で動く梨沙を、類は目を細めて見ていた。このサイズ感は今だけのもの・・・首が据わらないのも今だけで、全体重で...

  • 始まらないLoveStory・120

    木曜の午後、私はこの前西門さんに買ってもらった芙蓉の花の着物を用意した。それを着て家元夫人に華道を教えてもらう・・・そして少しでも何かが判ればいいと思って、意気揚々とマンションを出た。そして言われたとおり、宗家近くの野田生花店でお花を買い、車を裏口に向けた。そこで彼に電話をすると、すぐに開けてくれたのは西村さんと言う事務長で、私は「今日もお邪魔します」と丁寧に一礼。事務長さんは「どうぞどうぞ」と手招...

  • As long as you love me(40)

    『今から行くから、寝ないで待っててくれる?少し離れてるから時間が掛るけど・・・あ、タクシーが来た。また後でね』突然の類の言葉に驚いた・・・が、この部屋に来てどうするんだろうかと焦った。総二郎が探したのだから、どんな部屋なのかは聞いていると思うし、自分が昔住んでいたアパートもかなり古かった・・・だが、それを考えてもこの部屋は過去最大の極貧ぶり。そんなところに自分の娘が寝ているのを見たら泣くんじゃないかと、そ...

  • 始まらないLoveStory・119

    スマホを真ん中に置き、牧野と向かい合ってスタートを押した。そうしたらあの日の会話が再生されたが、挨拶の部分は録音前だった。そこで一旦止めて、2人でその時の説明を思い出しながら話し合ったが・・・「牧野の親父さんが山本産業の事件の容疑者ってことと、今は行方が判んねぇって話したよな?」「うん。自分達で調べたら岩本加世子さんの名前が判って、離婚したことも聞いたって・・・練馬のアパートに行ったことも話したよね?」...

  • 天泣の日に・10

    桜の茶会が終わってから、牧野のことを後援会幹部達が囁き始めた。「あれはどこのお嬢様だったのか」「西門にいつから居たのか」・・・中には両親公認の、俺の「相手」じゃないのか・・・とか。それについては親父もお袋も敢えて答えることなどなく、聞かれた時には「若宗匠の弟子」とだけ話していた。それはある意味正解・・・それに英徳に居たヤツでも、今の牧野を見ても思い出さねぇだろう。そのぐらいあいつの見た目は変わった。大人っ...

  • As long as you love me(39)

    次の日、何事もなく朝を迎えた類と紗江子。ルームサービスで朝食を済ませ、その時にも会話は少なかった。紗江子は計画通りにいかなかったことで機嫌悪く、でも正面に座る男からの謝罪はない。それが面白く無くてツンと澄ました表情なのだが、それに気付いても類は平然としていた。むしろここで機嫌など取る方が後で傷付ける。それならば性格の悪い、ろくでなしだと思われた方がまだいい・・・そうすれば1ヶ月後、自分の事をスッパリ...

  • 始まらないLoveStory・118

    東京に戻ったら待っていたのは溜まりまくった仕事、しかも10日間と申し出たのは俺。1週間の朝茶事は全部俺で、その途中にある七夕の茶会の亭主も俺。昼間の空いた時間にはエッセイに講演会に、考三郎の茶道教室・特別講師代行2回。そして親父の代行で、地方支部や企業連相手の会食を3回・・・折角牧野とそういう関係になったとは言え、それ以来会う事も出来なかった。だから夜の電話とかラインとか・・・それしか連絡が出来なくて、...

  • As long as you love me(38)

    横浜のホテルのプレミアスイート、そこに紗江子と入った類はとにかく無表情だった。自分の荷物はリビングに置き、額に手を当てて疲れた様子を見せ、紗江子は自分の大きな荷物を寝室に運んですぐに類の傍に来た。そして心配そうに顔を寄せ、甘ったるい声で「大丈夫ですか?」と囁いた。類はあからさまに避ける事はしないが俯いたまま視線を上げず、「平気ですよ」と抑揚のない声で返した。それ以上近づけば睨むつもりでもあったが、...

  • 始まらないLoveStory・117

    本文中にR表現を含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので閲覧は自己責任でお願い致します。*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*「立てるか?」「・・・・・・・・・無理・・・」「じゃ、掴まれ」「・・・・・・・・・・・・」差し出した手に掴まろうとしてもカタカタ震えて、何とも言えない罪悪感・・・仕方ねぇから脱衣場からバスタオルを持って来て、牧野に掛けてやった。そうしたらそれで身体...

  • 天泣の日に・9

    それからまた1年半が過ぎ、俺は大学を卒業した。あきらも類も日本を出ていき、残ったのは俺だけ・・・でも何故か淋しいとは思わなかった。それは、今も牧野が稽古に来るからかもしれない。週に1度はあいつに会い、稽古が終われば雑談をする。俺はこいつの事を1番知ってるんじゃねぇかと思うぐらい、何気ない日常や会社の失敗までも聞いていた。好きな居酒屋の名前も、嫌いな上司の名前も、口煩い先輩の名前も、生意気な後輩の名前...

  • As long as you love me(37)

    4月が終り、5月の大型連休になった。本心なのか見せ掛けなのか、数日前に機嫌のいい紗江子から式場見学の事で連絡があり、3日と4日にピックアップしたホテルや教会を見に行く事になった。勿論それは両家両親の知るところであり、1泊することも了承済み。そこはもう婚約しているのだから、むしろ後継者を望む気持ちもあり、遙香に至っては「どうせなら連休中ずっと一緒でも」などと言うぐらいだ。それについては類が専務職にな...

  • 始まらないLoveStory・116

    本文中にR表現を含んだ部分がございます。苦手な方はご遠慮下さい。パスをかけておりませんので閲覧は自己責任でお願い致します。*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*-* -*-*-*-*-*-*-*-*-*「こうなるのを何年待ったと思ってんだ?もう我慢なんてしたくねぇし」そう言ったら牧野の目がウルウルになって、「でもいきなりお風呂で・・・///」とマジで泣きそうな顔になってた。だからクスッと笑い、「湯の中でする訳ねぇだろ?」と言...

  • As long as you love me(36)

    総二郎の車は三鷹から少し西側にあるK町に向かった。その町の中心部から外れた場所、古い民家が建ち並ぶ細い道で、初めて見る光景にオドオドしながら梨沙を抱いていた。町工場が幾つか見えその向こうには小学校・・・高層ビルのようなものは近くになく、今走っている道沿いにお洒落な店などない。それは幼い頃に住んでいた場所に似ている気がして、そこまで抵抗はなかった。それに、こんな町だと花沢は探しに来ないだろう・・・そう思え...

  • 始まらないLoveStory・115

    突然キスされて驚いたけど、隣に座って食べてる時点でなんとなくヤバいと思ってた。だから怒るでもなく、舌まで入れ込んでくる濃厚なキスにも逆らわずと言うか、自分もノリノリというか・・・気が付いたら西門さんの浴衣を強く握ってた。唇を離すと唾液の架け橋が出来て、恥ずかしくて慌ててそれを拭った。でも彼はそんなの関係ないみたいで、急に私の身体を引き寄せ、自分の膝の上に・・・!それには流石に驚いてジタバタしたら、後ろか...

  • As long as you love me(35)

    4月・・・西門流は桜の時期に行う野点茶会で大忙しだ。だが近年桜の開花が早まったせいで、4月も10日過ぎれば落ち着く。そしてこの頃、茶会続きだったために総二郎にも休日が与えられた。その休みの日につくしの引っ越しをすることにしたのだが、それに合わせて志乃も休みをもらっていた。勿論西門には何も言わずに、だ。ここまでつくしのことに手を貸した志乃だから、最後まで・・・と言う思いがあったのだろう。総二郎の依頼に対し...

  • 始まらないLoveStory・114

    「失礼いたします」お風呂のことで揉めてた時に入り口で声が聞こえ、小柄な仲居さんが入って来た。その人は上品なおばちゃんで、優しそうな笑顔の人・・・喧嘩してたのが聞こえたかと思うと恥ずかしくて、私はササッと隣の部屋に逃げた。そうしたら聞こえて来た会話・・・「こちらのお部屋を担当させていただきます、立花と申します。昨日は熱海の方にお泊まりだったのですね?」「あぁ、もしかして知り合いの仲居さんってのは・・・」「え...

  • 天泣の日に・8

    それから3年半が過ぎた。俺は英徳大学に進学し、牧野は高等部を卒業したら小さな会社に就職・・・俺と会うのは週1回の茶の稽古の時だけ。今日はその稽古日で、もうすぐあいつはこの茶室にやってくる。**あの土砂降りの日・・・司の所から出て来た牧野をタクシーに乗せて帰ろうとしたら、運転手にすげぇ嫌な顔をされた。それにムカついたのと、牧野を支えることに抵抗が無かった俺はタクシーをやめて宗家の車を呼んだ。迎えに来た弟子は...

  • As long as you love me(34)

    流石に0時を過ぎたら古川邸を出なくてはならない。類はもう1度梨沙の顔を覗き込み、そのふっくらした頬にキスをした。そしてつくしの手を取り、今後の話をした。それはこの家を出て古いアパートに引っ越すということ・・・理由は1つのところに長く留まると花沢に見付かる可能性が高いこと、西門に縁のある人の家だから迷惑をかけないこと、類と東京を離れるときにはこの家では不味いこと。1ヶ月検診がある事とつくしの身体を考え...

  • 始まらないLoveStory・113

    荷物を部屋の隅っこに置いたらドキドキ感が急上昇・・・これからどうするんだ?と悩むもまだ外は明るい。いきなりお風呂とか言わないよね?と振り向くのも恐ろしい・・・と、思ってたら西門さんが背後から「おい」と!「な、なにっ?!」「・・・・・・何をそんなにビクビクしてんだ?」「そ、そんな事ないけど・・・」「まだ飯まで1時間もあるらしいから散歩に行こうぜ」「・・・・・・・・・・・・」「どうした?」「ううん、何でもないっ!行こうっ!!」...

  • As long as you love me(33)

    三鷹についたら産婦人科の近くのパーキングに車を止めた。そこから足早に狭い路地に入り、追尾車がないかを確認する為に様子見を数分間・・・不審な車も人もない事が判ると、急いで産婦人科に向かった。以前つくしや総二郎から聞いた話では、この病院の横道を入って500メートルぐらいにある大きな屋敷が志乃の実家である古川邸。その家自体は知らなかったから、歩きながら表札を確かめていった。時間はもうすぐ19時半で辺りはも...

  • 始まらないLoveStory・112

    牧野も程良くこんがらがったところで、俺はもう1度気持ちを確かめた。それは俺が1番恐れていたことで、もしもお袋が事件に関わっていたとしたら、俺に対する気持ちがどうなるのか・・・「やっぱり許せないと思うか?」と聞けば・・・「西門さんと家元夫人は別だから。こんなに一生懸命探してくれたのに、それを憎しみに変えるとかはないよ」「でも俺を見る度にお袋を思い出すんじゃねぇの?」「確かに似てるからねぇ~」「顔じゃねぇよ...

  • As long as you love me(32)

    長いランチタイムが終わったのは13時30分。両親が居ない今、この先の時間をどう過ごせばいいのか・・・それを考えたくもなくて、類はゆっくり珈琲を飲んで紗江子が帰るのを待った。だが紗江子にその気配はない。まさか夕方までこうしているつもりかと、類はこれまで以上に苛立ちを強くした。でも傍目にはそれを感じさせないというか、深い付き合いではない紗江子には類の気持ちは伝わらないのだろう。類の感情をピリピリと感じ取...

  • 始まらないLoveStory・111

    まさかここで気持ちを打ち明けると思ってもなくて、でも止められなかったからお互い素直に(?)好きだ惚れたと言葉を出した。そして今度は俺のアシスタントになれなんて・・・西門に何の話も通してないのに簡単に言ってしまった自分に驚いた。が、もっと驚いたのは、この直後に出された牧野の言葉・・・「で、話って本当は何だったの?」。それを聞いて一瞬フリーズ。時間を少し巻き戻せば、俺が話そうとしたのはお袋の事だったと思いだ...

  • 天泣の日に・7

    それからも司と牧野は「道明寺家」と闘った。だが毎回勝者は司のお袋さんで、次第に2人には疲れが溜まり、お互いに背中を向けるようになった。同じ方向を向かなくなったら終り・・・そう思っていたから俺達も覚悟していたけど、それは突然やって来た。司の渡米・・・しかも数年間、日本には戻らない。道明寺としては「後継者としての任務」としていたが、明らかにお袋さんの策略だった。こうすれば絶対に2人は終わる・・・そう思ったんだ...

  • As long as you love me(31)

    土曜日、産婦人科に総二郎がやって来た。ここは土曜日も診療しているため患者が数人居て、急に入って来た妖美な男に視線が集中・・・それをニコッと笑ってやり過ごし、受付で牧野の退院だと告げ、病室へと向かった。そして部屋の前でノックをし、つくしの返事など待たずにドアを開けた。「よっ!準備出来てるか?」「うわっ!西門さんったら///!」「ん?なんかあった?」「も、もう!今飲ませてたから・・・・・・もう少し早かったら完全ア...

  • 始まらないLoveStory・110

    わんわん子供みたいに泣いてた牧野の顔が、今度は驚きのあまり目をまん丸くさせて大口開けてる。そして俺は腕組みして自分でもはっきり判るほど、眉間に5本の皺を寄せた・・・数えてはねぇけど。そしてもう1回、一華と俺の間に「婚約」の2文字はないと言い切った。そうしたら「ホントに?!」「マジで?!」を繰り返し、俺はその度に「何故嘘をつかなきゃならねぇんだ!」と怒鳴った。ここは静なか山里の茶庵・・・他の部屋に客が居る...

  • As long as you love me(30)

    この産婦人科は産後2日目から母子同室を推奨しており、類が帰ったあとでつくしもそれを希望した。確かに休めないかもしれないが、出産後早い段階から同じ部屋で過ごすことで、この生活に早めに慣れることができると思ったからだ。それに夜泣きでさえ愛おしく思えるし、実際想像よりも泣き方は穏やかだった。そう言う部分も父親似だと笑いが出るぐらい・・・。これが牧野家の血なら時間に関係なくギャン泣きだったろうと思ったりもし...

  • 始まらないLoveStory・109

    西門さんが見付けてくれた茶庵はすごく長閑な場所にあり、すごく落ち着ける場所だった。ただし、それは普通の観光客の場合・・・だと思う。私にしてみればこの人と2人で茶室風の部屋に入り、向かい合って和スィーツ食べるなんて・・・あの和カフェの方がまだ東京だって事で気にならなかったけど、ここはまるで「この世に2人きり」って雰囲気があって緊張した。しかも前日は同じ部屋に泊まったし、このあとのお宿もとってあると言うし、...

  • As long as you love me(29)

    つくしの出産を祝うために来てくれるのは極一部の人間だけ・・・その中の1人はハルだ。彼女からその日の午前10時、病室に来ると連絡があった。それを聞いて類に教えたのは自分の偽名。ハルには「美幸」という名前で通していると伝え、「結婚を反対されて彼氏が奮闘中である」ことにしているから、話を合わせるように頼んだ。類は会ったことがない老婦人に戸惑い、梨沙を抱っこしたまま「俺、怒られる?」と子供みたいな事を言った...

  • 始まらないLoveStory・108

    午後になって、私達は修善寺温泉街をトボトボ歩いては止まり・・・を繰り返していた。最早気が急くという事はなく、どっちかって言うと迷路の中で立ち往生してる感じ。出口は見えてるけど、そこまでの道がグチャグチャで・・・それは西門さんも同じみたいで、私よりも難しい顔して隣を歩いてた。15日にまたここに来る・・・そう決めたから東京に戻ってもいいんだけど、何故か2人ともそれを言葉にしなかった。それどころか西門さんが「橋...

  • 天泣の日に・6

    牧野が俺の稽古を受けるようになって暫くすると、司が俺を睨むようになった。そんな顔するのなら他に行けと言うのに、それはしない・・・まぁ、気心知れてる方がいいって事だろうが。その原因は牧野が茶道の稽古に真剣だったから。初めはそうでもなかったのに、数回やると何かが面白かったのか、興味が湧いたのか・・・こいつの性格を考えるとこんなジッとしている茶道なんてイヤだろうと思ったのに、意外にも覚えは早かった。勿論そう簡...

  • As long as you love me(28)

    産まれた子供はすぐに新生児処置をされ、もう1度類の所に連れて来られた。つくしは産後処置中だったために類は分娩台から離れ、新生児室の手前でゆっくり抱くことが出来た。軽いはずなのに何故か凄く重たく感じられ、優しく抱いてるつもりが腕に緊張が走る。その不安を感じ取ったように赤ん坊が泣き、慌てて強く抱き締めると看護師に取り上げられた。余程不器用だと思われたのか、類は少し不服そうにするが仕方がない。看護師には...

  • 始まらないLoveStory・107

    修禅寺について1番初めに見付けた駐車場に車を停め、そこからは温泉街を歩くことにした。そして修禅寺の隣にある日枝神社・・・中尾が御守を買った場所にむかった。牧野は俺の少し後ろを真顔で歩き、キョロキョロしてるところを見ると、親父さんかお袋さんを探してるんだろう。それに俺達は中尾の顔を知らない。だから目視で見付けられるとすればこいつの両親・・・しかも俺も親父さん達はほとんど覚えてねぇから牧野にしか見付けること...

  • As long as you love me(27)

    三鷹についても類は産婦人科の名前を運転手に告げなかった。念には念を入れての警戒ぶり・・・つくしを安全に出産させ、また隔離しなくてはならないのだから。だから予め聞いていた番地付近でタクシーを降り、ネットで調べて産婦人科を見付けた。そこに入るのも裏口からで、それは前もって志乃が手配してくれていたこと。花沢の名前は一切出さず、「牧野の身内」だと言って立ち会うことになっていた。その裏口に立ってチャイムを押し...

  • 始まらないLoveStory・106

    次の日の朝・・・目が覚めたのは随分早かった。と言うか、ほぼ寝てない・・・何故なら、西門さんのあの言葉が頭に残ってしまったから。『本当の事を話したら、もう俺とは会わねぇかもな・・・』それってやっぱり一華さんとの事が「本当」になったってことじゃないだろうか・・・だからそれを話したら、もう会えないってこと?流石に正式に婚約したのに女友達に会ってるのは変・・・いくら私と一華さんが面識あったとしても、それってたった1回の...

  • As long as you love me(26)

    つくしが病院に電話をすると、すぐに来るように言われた。歩いても数分の距離だからゆっくり歩けば自分は行ける、でも荷物を持つのは大変だと言う事で、ハルが隣の家の女性に車を出して欲しいと頼みに行った。極力他人様の車には乗らないようにと考えていたが仕方がない。それよりも類に連絡をしなければと、この時だけはメッセージではなく電話を入れた。今日は土曜日で類は休日のはず・・・そして予定日間近だからすぐに出ると思っ...

  • 始まらないLoveStory・105

    その10分後・・・牧野は見事に沈没。もう起こす事も無理だと思った俺は1人でチビチビ飲んで、それも30分もしないうちに飽きた。まだ眠くはないし、もう1回風呂に入ろうと立ち上がったが、牧野をそのままには出来ない。フロントに電話して夕食の皿を下げてくれと頼み、そのあとで牧野に「立てるか?」と声をかけたが・・・応答無し。「やれやれ・・・なんでそんなに飲んだんだ?」仕方なく牧野の身体を抱きあげ、隣の寝室に運ぶことに...

  • 天泣の日に・5

    牧野への攻撃は秋になっても続いた。でも少しずつ変わってきた。変わって来たのは司の方・・・明らかに今までの「攻撃対象人物」とは違う態度になった。気に入らないと言いながらも目で牧野を追い、五月蠅いと言いながらも口喧嘩は毎日。これを見ていて俺達が勘付かない訳がない・・・確かに司の中に牧野に対する別の感情が芽生えたんだ。牧野の方にも多少の変化はあった。相変わらず俺達には腹が立つのかもしれないが、司と話す時には照...

  • As long as you love me(25)

    澪と遙香が渡仏したあとも、気が休まらない日が続いた。毎朝類がダイニングに行くと、その手前で田崎に「おはようございます」と声をかけられる。それに返事もせずに通り過ぎ、1人で朝食をとるようになった。加代もダイニングルームの外で待機する田崎のことを気にしながら給仕をし、以前に比べて話し掛けることが少なくなった。類が勤務している営業本部の隅には田崎の席が設けられ、類が外出する時には秘書のように付き添うよう...

  • 始まらないLoveStory・104

    埃まみれの身体と髪を洗ったら幾分スッキリした。しかも風呂から上がればテーブルには料理が並べられていて、牧野が・・・すげぇ怒った顔して、俺から随分離れた場所に座っていた。それに「どうした?」って聞くと、「最低!」って返事。そんなにパーティションのことを教えなかったのがいけなかったのか?と疑問・・・・・・少し考えれば判りそうなものなのに。「あのな、1泊10万以上の老舗旅館のスイートだぞ?ラブホじゃあるまいし」...

  • As long as you love me(24)

    昨夜から降り続いた雪が庭の椿に葉に積もり、その下から赤い花が見えている。そんな中、新しい年になった。つくしは30日からハルと一緒におせちをつくり、重箱には2人で頑張った御馳走が詰められていた。五穀豊穣を願う田作り、子孫繁栄を願う数の子、金に困らないようにと願う金団、健康と仕事運を願う黒豆・・・ハルが味見のために煮物の中の里芋を差し出した時・・・「里芋は親イモになると根もとから子イモが出て育つからね、子ど...

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