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Pas de Quatre http://pasd124.blog.fc2.com/

花より男子の二次小説サイトになります。特に類と 総二郎が大好きですべてハッピーエンドなります。

読むだけでもの足らず、とうとう自分で書いてしまいました。自己満足の表現不足とは思いますが、楽しんでいただけたらと思います。

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2017/02/11

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  • 君がいない風景(144)

    重ねた手は動かさないまま、類は左手で珈琲カップを持った。それをひと口飲んで、話の続きを促した。それからは遙香の強迫めいた言葉になるため、つくしは1度躊躇った。が、ここまで来たら嘘は吐けない・・・だから遙香に言われた言葉をそのまま伝えた。『もしも子供を花沢に渡さないというのなら、私にも考えがあるわ。親子無事で過ごせる保証はなくてよ?』そのぐらいの言葉は想像していた類だったが、流石に事実を伝えられると悔...

  • ハズレを引いた男と女・142

    「じゃあこれで歓迎会は終了で~~~す!二次会に行く人はお店出たら右側に集合~~~!タクシー手配しますよ~!」やっと窮屈な歓迎会が終了・・・幹事の声に一同ザワザワと動き出した。私も自分の鞄を持って立ち上がり、ここで総二郎に電話することに・・・幹事が精算してる横を通り過ぎて、店の外に出たら左側に移動した。二次会に行く涼子にジェスチャーで帰ることをアピールすると、彼女は「了解~、じゃあ連休あけにね~」と言って...

  • 君がいない風景(143)

    つくしはチャイムを聞いて玄関に向かった。ここに来てからは来客などはなく、来るとしたら宅配ぐらいのものだ。だが本郷からも何も聞いていなかったので、何かの勧誘かと思った。1度東京を離れてから、つくしは不意に来る客には用心深い。だが同階の住人かもしれないので無視は出来ないと思い、ドアスコープを覗いてみた。だがそこには誰もいない。不思議に思ったが、もしかしたら自分の足音が聞こえたかもしれないので、無視する...

  • ハズレを引いた男と女・141

    高嶋さんは社会人期間が8年だけあって、所長達との会話も上手・・・時事関係にも詳しくて、オトナだな~と思いながら1人で食べてた。私と離れてる席では涼子達が楽しそうにしてて、それが羨ましい・・・。私達の事務所の飲み会は、基本席移動しない。何故なら取り残される人が出る可能性があるから・・・今の所長の考えで、自分の席で隣同士の人とのコミュニケーションを取るように言われていた。だから気の合う連中との飲みは二次会でし...

  • 君がいない風景(142)

    3人は長い廊下を速歩で進み、本邸のとある部屋の前に行くと、そこには3人の黒服の男がいた。総二郎は中国語で話し掛け、相手の方が態度が大きく、どちらかと言うと総二郎の方が低姿勢に見えた。当然類も中国語で挨拶しているが、その様子は和やかではなく緊張感が漂っていた。藤本の眉間には皺がより、ゴクリと喉を鳴らした。花沢物産の秘書課に配属されるのであれば英語が話せるのは当然だ。だがそれ以外の外国語を使いこなせる...

  • ハズレを引いた男と女・140

    居酒屋・福ちゃんの宴会場・・・私は一般のお客さんが座る席を背中側にして、隣は高嶋さんだった。その反対側はあまり話さない家電課の野口さんと言うおじさんで、向かい側には量販課の小山君。この人もそんなに話すわけじゃないから、どうにも会話が続かない・・・。所長と部長相手に話すこともなく、1人で食べてる感じだったんだけど・・・「牧野さん、お酒あんまり飲まないんですね~」「敬語はやめてくださいよ~、高嶋さんの方が歳上...

  • 君がいない風景(141)

    真音と真利愛の誕生日の翌日。類はいつもより静かに目覚めた。隣には真利愛がスヤスヤと寝ており、それをずっと眺めていた。今日は総二郎と計画をしたことを実行する日。上手くいけば、今日こそ・・・・・・そんな事を思いながら真利愛の髪を撫でると、愛娘は薄らと目を開けた。「・・・・・・ぱっぱ?」「おはよう、真利愛」「・・・・・・ふあぁ~~~~~!ママはぁ?」「もう起きてるだろうから行ってみたら?」「あいっ!!」真利愛はムクッと起...

  • ハズレを引いた男と女・139

    「おっはようございま~~~~す♪」「・・・・・・おはよう、つくし」「今日はまたすんごいテンション高いね、牧野さん・・・」「・・・・・・・・・・・・」←麻衣更衣室に入ったら涼子達にヘンな目で見られたけど、気にしな~~い♪♪ついでに龍崎さんもいたけど、その隣に行くと超ご機嫌に「今日も頑張ろうね!」って言うと、「なんだ、もう諦めたんですか?張り合いないですねぇ~~」、だって。そんな言葉なんてどうでもよくて、私は彼女を無視して涼...

  • 君がいない風景(140)

    「みぃちゃパパ、いつできる~?」「・・・もう少し待って、真音・・・案外難しいんだよ。美来、説明書取ってくれる?」「は~~~い、どうぞ!」つくしが夕飯の御馳走を作っているとき、リビングでは真音のおもちゃが組み立てられていた。本郷は背中を丸くして説明書とプラスチックの部品を持ち、「え~~と・・・」と悩んでいる。その横では待ちきれない真音が電車を持って床の上を滑らし、美来は父親の手伝いをする気満々だ。つくしは時...

  • ハズレを引いた男と女・138

    翌朝、アラームの音と同時に目が覚めた。と言うか・・・殆ど寝られなかった///。「お、起きなきゃ・・・」今日も西門さん・・・総二郎のところに朝食を持っていかないといけない。昨日、あんな事があったからすごく気不味いんだけど・・・でも心の何処かでワクワクドキドキしていた。「可愛い下着にしなきゃ・・・」いやいやいや、今は何も起こらないって!だって仕事に行くんだもん、なにも可愛い下着じゃなくても・・・と言いながら何気にチェック...

  • 君がいない風景(139)

    「「「まぁ君、お誕生日、おめでとう~~~!!」」」「うわぁ~~~い、ありがと~~♪」町田のマンションでは真音の誕生日会が始まった。まずは食事で、つくしの作った料理が並べられている。中央にはケーキ型の寿司が置かれ、それには本郷も美来も驚いていた。それにおかずも豪華に飾り付けられ、真音は手を叩いて喜んだ。「それがね、作ってたら和洋中みたいになって・・・お寿司なのに中華スープだし、ハンバーグに唐揚げって・・・...

  • ハズレを引いた男と女・137

    唇が離れた瞬間・・・私は何が起きたのかさっぱり判んなかった。でも目の前には西門さんが笑ってるし、まだ身体はホールドされてるし・・・・・・でも意識が戻った瞬間、「ちょっとーーーーっ///!!何すんのよーーーっ!!」「えっ?!そんな反応かよ💢!!」「言葉よりも先に行動なんてズルいーーーっ!!」「いや、お前の返事がトロいからだろうが!!その前に静かにしろ!お袋が飛んでくるぞ?」「ーーーーーーっ!!」私が両手で口を押...

  • 君がいない風景(138)

    11時20分・・・そろそろ黒田夫妻と瑛翔が来る時間になった。類は面倒くさそうというよりも無関心といった感じで、どうせ数時間経てば終わることだ、ぐらいの感覚だ。が、美央の方はどんどん緊張が増していく。その表情が強張っており、類もそれには気がついていた。だが今更中止というわけにもいかず、美央に何かを話し掛けても「大丈夫」という言葉しか返って来ないのも判っている。「そろそろ降りようか・・・」「え?えぇ・・・そう...

  • ハズレを引いた男と女・136

    お稽古が終わって、このままお互いの部屋に戻るんだと思ったのに・・・何故か西門さんが私の部屋に来たので吃驚。でもここは西門さんの家なので、「入るな」とは言えない。もう21時過ぎてるし、こんな事は初めてと言うか・・・いつも分かれ道(廊下)でバイバイするのに、今日はいいのかな?と思っていたら、彼の方が先に部屋の中に入った。しかも極自然に・・・・・・居候とは言え、一応女の子の部屋ですが?!「えっと・・・何か忘れ物?」「...

  • 君がいない風景(137)

    12月24日になった。今日は真利愛と真音の誕生日・・・つくし達と花沢家では、それぞれ祝いの準備が進んでいた。「おはよう~、真音!お誕生日、おめでとう~~~!」「うんっ!ぼく、3さい~~~♪」「真音、おめでとう」「まぁ君、おたんじょうびおめでとう~~~~!あとでプレゼント、あげるからね~」朝1番、つくし達は真音に祝いの言葉をかけた。それから普通に朝食を食べたが、つくしはすぐに昼と夜の御馳走の準備に取り掛...

  • ハズレを引いた男と女・135

    冷め過ぎたお弁当はあんまり美味しくない。でもお腹が空いていたからゆっくり食べて・・・その時に西門さんが立ち上がって、ここのミニキッチンでお茶を入れてくれた。その湯呑みを受け取り、彼もひと口・・・私達は部屋の真ん中のラグに座り、西門さんは胡座かいて真剣な顔してた。ホントに悲しそうでも辛そうでもない。そして、今度は聞いてもないのに自分の結婚が決まった時の事を教えてくれた。西門さんの婚約話は今から1年半前で、...

  • 君がいない風景(136)

    23日の土曜日・・・明日は真音の誕生日なのでその為のパーティーをする予定だ。だが美来が昨日から風邪気味なので、本郷が午前中に病院に連れて行き、つくしと真音は留守番。そして午後にはつくし1人が買い物に行くことになった。それに本郷にはつくしの部屋に置くユニット家具を組み立てるという仕事があったので、子ども達と家に居ることにしたのだ。「拓篤さん、ホントにごめんね。そのタンス、なかなか組み立てが難しくて・・・」...

  • ハズレを引いた男と女・134

    「牧野様、お帰りなさいませ~~~~」「・・・志乃さん、ただいまです・・・」「どうなさったのです?お顔の色が悪うございますけど」「・・・ははは、なんでもありません。あの、ごめんなさい・・・今日のお弁当、食べられなくて・・・」「えっ?!」「ホントにごめんなさい・・・」鞄の中からお弁当箱を出して志乃さんにそう言うと、この人は目がテン・・・でもこれを夕ご飯にしても大丈夫だと思い、「部屋で食べますから」って言うと、そのお弁当箱...

  • 君がいない風景(135)

    類は浦田からのメールを見て黙り込んだ。町田市相原のマンション、そこの607号室・・・そしてその前に送られていた画像にも気が付き、美央に見えないところでそれを開いた。保育園の門から出てくるつくしと真音と女の子、そして真音をチャイルドシートに座らせている場面、つくしが運転席に乗り込む時にははっきりとその顔が見えた。別れた時は出産直後だったため、つくしは少しふっくらしていたし、身体も元には戻っていなかった...

  • 頑張れ!アレクサ 総二郎Ver.~空色様より~

    本日17時過ぎ・・・私がお仕事をしていましたら、突然LINEが♪と。開いてみると、なんと空色様からのお話がっ!!あなたは類つくじゃなかったのか?!やっぱり隠れ総つく、いやいや、もう立派な総つくじゃないかっ(笑)!!とは言え、送っていただいたからには公開するしかないっ!ってことで、空色様のお話をどうぞ~~~♥◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆頑張れ!アレクサ 総二郎Ver.桜の盛りは思いの外短い。開花宣言から1週間程...

  • ハズレを引いた男と女・133

    「西門さんって奥さんがいたんですね♪あ、ご心配なく~、今は独身だそうですよ?牧野さんと一緒ですね!」・・・・・・えっ?今、なんて・・・・・・奥さんって・・・・・・誰のこと?「何処かのお嬢様だったみたいですけど、どうして離婚したんですかねぇ?牧野さん、その理由を聞いてきて下さいよ~~~♪私、彼を狙ってるんで参考にしたいんですけどぉ~!」・・・何処かのお嬢様?離婚の理由って・・・そんなの言われても・・・・・・だって、私何も聞いてな・・...

  • 君がいない風景(134)

    木曜日、浦田は朝早くに本郷のマンション近くに来ていた。車は近くのパーキングに止め、マンションが見える喫茶店での朝食・・・そして監視しているのは当然マンションの入り口で、手にはカメラを持っていた。浦田は類に報告したあと、昨夜のうちにマンションに入り下調べをしていた。幸か不幸か、このマンションはかなり古かったためにオートロックではない。だから住人以外も出入り自由だったし、監視カメラも入り口に1台設置され...

  • ハズレを引いた男と女・132

    <side龍崎麻衣>「ここか・・・・・・すんごい古臭い家だなぁ!てか、どんだけ長いの、この塀!しかも中が全然見えないし!」ネットで調べたら出て来た「茶道・西門流」。わざわざ仮病使って会社を休み、その住所に来てみたんだけど、どう見ても武家屋敷・・・クソ長い白い壁に囲まれてて、デッカい木の門がある。塀の向こうには松の木があるのは見えるけど、家なんて全然見えない。人の声も聞こえないし、何と静かな・・・と言うか、不気味な...

  • 君がいない風景(133)

    水曜日、つくしはすっかり元通りになった。昨夜から真音もつくしの部屋で寝ており、風邪もうつらなかった様子・・・それにはつくしが1番ホッとしていた。次の日曜日は真音の誕生日のお祝いだし、その時に熱を出してしまったら可哀想だから。「今日は今度働く会社に行って、入社に関する書類とかもらってくるの」「そうなんだ・・・初出勤が年明けって不思議な感じがするよね」「ふふっ、初めましてよりも先に、明けましておめでとうござ...

  • ハズレを引いた男と女・131

    「なんだって?!龍崎さんが休んだぁ~~~っ?!」「つくし・・・声がデカい」「牧野さん、落ち着いて・・・」次の日、会社に行ったら涼子に言われたひと言・・・朝1番に当番で来ていた子が、かかってきた電話をとると龍崎さんが元気な声で・・・『あ、すみませ~~~ん!今日、お腹が痛くて立てないので会社休みま~~す!』と言ったそう・・・。当番の子が「病院に行ってね」と言ったらしいが、それを言い終わる前に電話を切られたとか・・・あの...

  • 君がいない風景(132)

    火曜日の午後、今日も真利愛は冷たい風を気にもせず、庭で若い使用人相手に遊んでいた。その様子をリビングから見ていた加代と美央が「子どもは元気ですよね~」とか、「恵子さんの方が風邪引かないかしら」などと話し合いながらティータイムを楽しんでいた。本来加代は使用人なので主家のお茶になど付き合わないのだが、美央が1人だと飲みにくいとのことで、時々一緒にその時間を過ごすことがあった。「美央様、24日ですけれど...

  • ハズレを引いた男と女・130

    なんだか1日中私に敵対心ぶつけてきた龍崎さん・・・一体なんでそんなに悪態つくの?って疑問だけど、イチイチ聞くのも面倒臭い。教育係も2ヶ月間だし、それが過ぎれば普通の先輩後輩で、私の責任も軽くなるってもんだし。それまで辞めずに頑張るかさえもわかんない子だったから、気にしないようにした。それよりも今日もお稽古だろうか・・・とブツブツ言いながら着替えていた。当然その横には龍崎さんもいて、彼女は私を無視して背中...

  • お知らせ

    おはようございます。本日ブログの不具合が起きているようで、更新が出来ません。原因もわかりませんので、復旧しましたら更新いたします。よろしくお願いいたします。...

  • 君がいない風景(131)

    15時30分になったら本郷は車のキーを持ち、「迎えに行くね」とつくしの部屋を覗いた。その頃のつくしは熱が引き、身体は幾分楽になっていたので玄関まで見送りに行き、買い物の追加も頼んだ。本郷はそのメモを持ち、戯けたような笑顔で「任せて」と言ってドアを閉める・・・それは何度も謝るつくしを気遣ってのことだろう。そして保育園に着くと美来が「パパ~!」と大喜びで出て来たが、真音はションボリしたままだ。それについ...

  • ハズレを引いた男と女・129

    <side龍崎麻衣>「はぁ・・・・・・ダルい。こんなつまんない会社、入るんじゃなかった!」まだまだ火曜だってのに会社に行きたくなくてどんより・・・。でも給料ないと遊ぶことも出来ないから、仕方なく起き上がってメイクした。それから昨日買っといた菓子パン食べて、今日の服を選んで・・・「西門さんが迎えに来ないって言ってたから、普通の服でいっか!今日は里奈でも誘って、渋谷に飲みに行こ~~~っと!」それにしても牧野つくしぐら...

  • 君がいない風景(130)

    この日、浦田は類から依頼されたことを実行するため、自分のアパートで策を練っていた。会社名は判っている。が、関東には松田商事の支店や店は数多く、出向いて調べるのは効率が悪い。しかも防犯カメラに映るのは後々面倒だし、不審者としてマークされる可能性もある。そうなると電話になるが、本郷拓篤を探す理由として、不審に思われないためには・・・「・・・ダメ元でやってみるか」そう呟くと松田商事の本社に電話をかけた。その時...

  • ハズレを引いた男と女・128

    グランピング・・・・・・豪華なキャンプなんて全然想像出来ないけど、西門さんが異様に張り切ってるから行く事にした。しかもキャンプ道具が要らないからって、車はヴァンキッシュ。この車を運転するのは西門さんOnlyだったはずなのに、この前私が運転したから「もう大丈夫だろう」って。再び5000万円のハンドルを握るのかと思ったら恐怖しかないけど、丁度高嶋さんから御守りももらったばかりだし?これは行ってみるしかないかも!...

  • 君がいない風景(129)

    「ただいま~!あぁ、寒かった~」本郷がマンションのドアを開けたのは20時30分。玄関で靴を脱いだ瞬間、奥のリビングからバタバタと走ってきたのは子ども達だ。そして出て来た言葉が・・・「パパ!早く来て!」「ママがね、ママがね!」「えっ?どうしたの、2人とも・・・」「いいから早く!つくしママが大変なの!」「うあああぁ~~~ん!」「・・・っ?!」真音が泣くのを見て慌てた本郷がリビングに入ったが、そこにはつくしの姿...

  • ハズレを引いた男と女・127

    茶筅・・・クルクル回すだけの物だと思ったのに、まさかの5万円。お茶会で使う物は新品だって言うから、その都度5万がクルクルするのかと思ったら私の方がクラクラしそうだった。しかもこれまでカルチャーセンターで2~3回やった時には見様見真似で気にしてなかったのに、それに手順があるなんて・・・しかも西門さんがやると芸術っぽいのに、私がやると料理みたい。ついついゴマ擦りの気分で力を入れたら、見事に3本穂先が折れた・・...

  • 君がいない風景(128)

    部屋に入った美央は深い溜息を吐いた。そして奥にある自分の部屋に向かうと、そこでスマホを手に取り、ベッドに腰掛けた。着信履歴には柑菜から3件・・・いずれも30分以内にかけてきている。これを無視しても再び花沢に電話をかけてくるだけのこと・・・それならさっさと用件を済ませてしまおうと、リダイヤルをした。その電話はすぐに通話になり、聞こえて来たのは・・・『ちょっと!どうしてすぐに出なかったの?私からの電話なんだか...

  • ハズレを引いた男と女・126

    「今日もお迎えが来るんですか?」業務終了後、龍崎さんがニヤリと笑って聞いてきた。その「お迎え」とは西門さんのことだろうけど、彼は2週間安静にしなきゃいけないからここには来ない。だけど、その事実を彼女に教える必要はないから「暫く来ないわよ」と言うと、見事に私を無視。自分のロッカーに向かって「面白くないなぁ~」なんて言いながらド派手な私服に着替えていた。「本当に来ないんですか~?」「来ないってば。私の...

  • 君がいない風景(127)

    次の日・・・一睡もしなかったつくしは、酷い顔で朝食の準備をしていた。顔色も悪く、目の下にはクマが出来ている。泣きすぎて瞼は腫れぼったく、身体が怠くて力が入らない・・・そんな感じだから頭が重く、本郷が起きて来て挨拶をしてもすぐには反応出来なかった。それに気が付いた本郷がキッチンに行くと・・・「つくしさん、どうしたの?」「えっ?あぁ・・・おはよう・・・」「・・・なに、その顔・・・悲惨だよ?」「あはは・・・やっぱり?あんまり寝...

  • ハズレを引いた男と女・125

    「だって私、西門さんの事が気に入ったんですもの。絶対に手に入れます♪牧野さん、彼女じゃないんだし、問題ないですよね?私、男に関しては今まで失敗した事ないんで~~~♪」本当はすぐにでも言い返したかったけど、上手く言葉が出なかった。男に関しては失敗しかない私にとって、その自信は威力が有り過ぎる・・・だから不本意だけど、目を逸らせてしまった。「・・・そんな話は仕事中にしないでもらえる?早く座りなさいよ、今から研...

  • 君がいない風景(126)

    類たちが花沢邸に戻ったのは19時で、それから夕食だった。その時には頭にカチューシャを付けた真利愛が加代に抱きつき、加代はそれを見て「まぁ、可愛らしい」と大喜びだ。美央は買って来た菓子の土産を手渡し、玄関は一気に賑やかになったのだが・・・「美央、加代、悪いけど少し頭痛がするから部屋に戻る。真利愛と一緒に食べてやって」「まぁ、類様、大丈夫ですか?」「・・・・・・・・・・・・」「ぱっぱ~~?」「少し休めば良くなるから...

  • ハズレを引いた男と女・124

    牧野がお茶を入れてくれて、それから一緒に飯を食うことに。その重箱の中には小さめのおにぎり3個におかずが少々で、俺には丁度いい量だったが牧野は若干・・・いや、相当物足りないようだ。だから俺のおにぎりを1個分けてやると、「いやいや、怪我人はちゃんと食べないと!」と言いつつも受け取ってた。「俺はあんまり動かねぇから腹が空かないんだって」「え~~?!起きてるだけでお腹空くよ?」「お前、燃費の良い身体だもんな・...

  • 君がいない風景(125)

    3年ぶりに類を見たにも関わらず、つくしは無我夢中で3階に上がり、急いでエントランスから外に出た。そして後ろを振り向かずに車を停めた方向に向かって走り、暫くしたら交差点で信号に引っ掛かったので足を止めた。恐る恐る振り返る・・・でも追い掛けてくる人はいない。それにホッとして近くのビルの壁に凭れかかり、息を整えた。そこで類の姿を思い出し、涙が溢れてきた・・・・・・何も変わっていなかった。髪型も昔のままで、類が好...

  • ハズレを引いた男と女・123

    まさか、私が鋏でちょん切った藤の花と白い花(姫林檎)が家元の宝物だったなんて・・・それを聞いて西門さんが焦っていた事に納得した。だけど今更何も言うなと言うから、それは黙っておくことに・・・申し訳なくて、家元の背中に向けて何度も謝った。その大事なお花、私の部屋で押し潰されておりますのでご安心を!!そして考三郎君は自分の部屋に戻り、家元もトボトボとご自分の部屋に向かう廊下へと・・・。西村事務長も事務所を閉めて...

  • 君がいない風景(124)

    キャラクター達がダンスしたり歌ったりする中、つくしはそれを無感情で見ていた。ステージが照らされているからその他は当然のように暗く、大勢の人達がいるが、そこには意識がいかない。ただ漫然とそのショーを眺め、全然違う事を考えていた。鞄の中のララのぬいぐるみ・・・それが真利愛に思えて仕方なかった。出来るならキキも取りたかった、と。ショーが終わりに近付いた頃、美来と真音はキャラクターに「バイバイ~~!」と手を...

  • ハズレを引いた男と女・122

    「・・・・・・・・・・・・」「牧野、もう少し肩の力を抜け・・・逆に怖い」「・・・・・・・・・・・・」「おい、少し右に寄りすぎじゃねぇか?」「・・・・・・・・・・・・」「てか、どんだけゆっくり走ってんだよ。ヴァンキッシュが泣くぞ」「少し黙っててよ!!」今は21時10分、真っ赤なヴァンキッシュを運転してるのは私・・・そして10分前、やっとこさ都内に入ったところ。それは何故か・・・西門さんが防波堤から落ちて足を怪我したからだ。しかもかなり酷い捻挫...

  • 君がいない風景(123)

    美来がトイレから戻ってきた時、真音もその姿を見て本郷のところに向かった。そして4人揃って次に向かったのは・・・リトルツインスターズ・キキ&ララの世界を体験できるアトラクションだった。・・・キキとララ・・・12月24日生まれの双子の姉弟。そこに入ってキキとララを見ると、姉のララはピンクの髪にピンク色のスカート、頭には大きなリボンがあった。弟のキキは水色の髪でワンピースみたいな服を着ている。星の子というイメー...

  • ハズレを引いた男と女・121

    「西門さん、小腹空かない~~?」「はぁ?お前、どんだけ食えばいいんだよ~~!」「きんづばは食べてないもん~」牧野の現金自動増殖祈願を済ませ、土産を買って車に乗った瞬間に言われたひと言。この時16時過ぎで、そろそろ東京に戻ろうと思ったのに・・・でも隣でずっと腹が空いたと訴えられるのも困るから、ネットで調べると・・・「おいもカフェ ってのがあるけど、どうする?」「おいもカフェ?!いくいく!!」「・・・んじゃ、ま...

  • 君がいない風景(122)

    「4階ってあんまり遊ぶところはないんだね」「1階と2階がメインみたい・・・そろそろ3階に降りる?」「・・・くすっ!」「えっ、なに?」「いや、つくしさんのカチューシャ、ホントに似合うと思って」「ーーーっ///!!」美来と真音がショップで色々見ている最中、その横でつくしと本郷はそんな会話をしていた。それを見る美来の目は、まるで年頃の女の子のよう・・・子供ながらに意味深な笑顔で父親を見上げていた。真音の方は母よりも...

  • ハズレを引いた男と女・120

    鶴岡八幡宮でまさかのスイーツ♪それを食べ終わったら駐車場に向かうことになった。その時、さっきの花嫁さん達が何処かに帰っていくのを見掛け、再び足が止まった。すごく幸せそうな笑顔・・・誰かに声をかけられ、写真を撮ったりして。「そうだよね・・・普通はあんな顔になるよね」「なにがだ?」「花嫁さん・・・あんな風に笑うよね。だって幸せな日だもん・・・」「どうしたんだ、お前」「・・・私、記念写真も捨てちゃったけどさ・・・あんな顔...

  • 君がいない風景(121)

    「ちょっとーーっ!真音、こっちにしなさいってば!」「牧野さん、大丈夫だから・・・」「つくしママ、まぁ君、これがいいってよ?」「ママ、ぼく、こえ~~~♪」「いやいや、わざわざ高いの買わなくていいからっ!」「牧野さんも付ければ?」「えっ///?!」あれだけ周囲を気にしていたのに、エントランス近くのショップではつくしの声が響いていた。何故なら美来と真音が3000円もするカチューシャを買おうとしていたから・・・流石...

  • ハズレを引いた男と女・119

    キラッキラの生しらす丼をいただき、それには大満足♪私にしては超豪華、西門さんにしてはリーズナブルのその店を出たのは12時15分で、今から本格的な観光になった。とは言え、鎌倉の名所は殆どが寺。その中でも有名なお寺に行くことにしたんだけど、それが鶴岡八幡宮。鎌倉の中心に建つ神社で、源頼朝が鎌倉幕府を開いた時に建てられ、鶴岡八幡宮を中心に鎌倉の町が整備されたとかなんとか・・・私がその話に無言でいたら、西門さ...

  • 君がいない風景(120)

    ホームセンターを出たつくし達はすぐにレストランを探した。そして見付けたのはファミレスで、躊躇わずにそこに決めた。何故ならピューロランドの駐車場がなかなか入れないから・・・少し離れた場所に停める覚悟だったため、時間が惜しかったのだ。ただそのファミレスは少しばかり値段が高く、つくしは焦った。「結構高いなぁ・・・私、今日はそこまで余分がないんだけど。お土産代に使いたいし・・・」「心配しなくていいって。言っただろ...

  • ハズレを引いた男と女・118

    「よし、こんなもので良いだろう・・・」俺が鋏を置いたのはあれから30分後。生け花が完成したので床の間に飾り、若干傾いていた掛け軸も真っ直ぐにしてやった。そして牧野のところに行こうと思ってキッチンに入ると・・・誰もいない。しかも伯母さんの声もしないし、シーンとしている。一体何処に行ったのかと不安になり、リビングに戻ったがそこにもいない。「牧野?・・・美津子伯母さん?」名前を呼んだが返事もなく、リビングを出て...

  • 君がいない風景(119)

    日曜日、つくしはいつも通りに起きたが、3人はなかなか起きてこない。だがそれを急かしたりはせず、自分の珈琲を淹れて静かに飲んでいた。その時に見ていたのは真音のクリスマス会の舞台の動画・・・本郷に頼んで、ビデオカメラの画像をスマホに転送してもらったのだ。これを類が見たら喜ぶだろうと思い、それを想像しながら眺めていた。『真音、頑張れーーっ!』『ちょっ、類ったら静かにしなきゃダメだよ///』『え?だって応援した...

  • ハズレを引いた男と女・117

    西門さんの伯母さん・・・高嶋美津子さん。その人は家元夫人のお姉さんだけあって、2人はとてもよく似ていて美人だった。歳は50代後半らしいけど、着ている服はピンク、髪は茶髪、ピアスはダイヤ、化粧はバッチリ、スタイルは抜群・・・気持ちは私よりも若いんだと思った。そしてお金持ちの親戚はやっぱりお金持ち。この家も豪邸の部類に入るし、部屋も庭もだだっ広かった。とは言え私も西門家を知ってしまったので、そんなに驚きはし...

  • 君がいない風景(118)

    日曜日の朝、今日は真利愛を迎えに行く日だ。昨日までの重たい気分はすっかり消え、どこか浮かれた感じの類・・・初めて会う美央の伯母だが、話の様子からカジュアルな服装でも良いだろうと判断し、楽な物を選んだ。そしていつも通りにダイニングに行き、朝の珈琲を飲む・・・その時に加代が来たのだが、瞬間昨日の事を思い出して手が止まった。遙香が帰った事に油断して、あの御守りを手に持ったまま寝ていた・・・その時に加代が入って来...

  • ハズレを引いた男と女・116

    よく判んないけど鎌倉に行く事になり、西門さんは荷物を取りに何処かに消えて行った。私には30分で支度しろって言い残して。「なによ、血相変えて・・・私、変な事言ったかな?」幸いここには可愛い服しかないから選ぶのには苦労しない。取り敢えず女の子らしくしようかと、ベージュのワイドパンツとピンクニットのミニ丈カーディガンに白シャツ。髪の毛はご飯に困らないポニーテールにして、メイクはいつもより少しピンクっぽく♪ア...

  • 君がいない風景(117)

    つくしと本郷が保育園に行くと、そこには沢山の保護者が集まっていた。当然だが友人はいない。だから2人はそっと端の方から中に入り、クリスマス会が行われる講堂に向かった。その途中にある子供たちの教室では、保育士が最後の説明をしているようで、子ども達の賑やかな声が廊下に漏れていた。その廊下の壁には沢山の飾りがしてあり、画用紙で作られたサンタやトナカイの切り絵もある。それに園児達が練習している写真も展示され...

  • ハズレを引いた男と女・115

    俺の部屋で2人で食べただの、それが良かっただの、俺が厨房に行くまでずっと隣を歩きながら色々言ってくるお袋。それを完全無視してんのに、「牧野さんはどうしたの?」とか「今日は何するの?」とか・・・「牧野はまだ足が完全じゃねぇからさっさと部屋に返した。今日は庭を歩いてリハビリするそうだ」「そうなの?どこにも行かないの?」「・・・・・・・・・」「こんなに良いお天気なのに、お外に出たら・・・」「天気がいいから外で遊べって...

  • ♥類誕のお知らせ♥

    2024年 類くんお誕生日チャット会のお知らせ本年の類誕イベントは、都合により開催することが難しくなりました。・゚・(つД`)・゚・楽しみにしていて下さった皆様、大変申し訳ございません。その代わりと致しまして、team Rui主催のお誕生日チャット会を開催したいと思います。開催期間:3月29日 21時~ 3月30日 23時59分開催場所:LINE オープンチャット(開催時間まではパスワードがかかっております)メンバー...

  • 君がいない風景(116)

    遊びに来てすぐに叱られた真利愛だったが、障子を貼り終えた和代がその後はずっと笑っていたので機嫌を直し、彼女に懐くのも早かった。張り替えが終わると昼になり、この日は和代が作ってくれていたクリームシチューとベーコンときのこたっぷりの洋風炊き込みご飯。それを装うのが美央で、真利愛は台所に入る事も、母がそんな事をするのを初めて見るので不思議そうにしていた。「真利愛ちゃん、シチューは熱いからお母さんに飛び付...

  • ハズレを引いた男と女・114

    朝飯だと言われてポカン・・・よく見ると部屋の真ん中のテーブルにこいつが持って来たと思われる盆が置かれていて、その上から俺の分をテーブルに移していた。何故それを牧野が持って来たのかと思って聞くと、「自分のを取りに行ったら時にあんたの分を運ぶって聞いたからだよ!」と怒りモード全開で睨まれた。だからついでにこいつが運んだらしいが、ノックしても返事がなかったから勝手に開けて入ったとのこと。それを聞いて慌てて...

  • 君がいない風景(115)

    「まぁ、よく来たわねぇ、美央」「伯母様、こんにちは!数日間、お世話になりますわ」「・・・・・・・・・・・・」日野の京極邸に着いた美央は、花沢家ではあまり見せたことがない明るい笑顔だった。それとは正反対に真利愛の方が緊張して美央の後ろに隠れ、怖々と玄関から出て来た老婦人を見ていた。京極和代は背の高い美央とは違い、小柄で細い女性だ。まだ62歳の和代は独身のせいか老けた印象はなく、髪だって茶色く染めてお洒落だった。...

  • ハズレを引いた男と女・113

    すごく良い香りで目が覚めた日曜日・・・何だろうと思ったら、昨日西門さんにもらったライラックの花だ。ベッドのすぐ隣のテーブルに置いてたんだけど、それがここまで香ってたんだ・・・・・・お布団の中からそれを眺めたんだけど、目に入るのは5枚の花びらがあるラッキーライラック・・・でもそのうち枯れるんだろうと思ったら悲しくなった。どうにかして保管出来ないかと考えたけど、思い付くのは「押し花」くらい。「ライラックって押し花...

  • 君がいない風景(114)

    翌朝の朝食時、花沢家はいつもより緊張感があった。遙香にも真利愛にも変化はないが、類と美央の表情が硬すぎるのだ。加代にはすぐに判ったが、その理由までは判らない・・・とにかくピリピリした空気の中、ベテランの加代でさえ指先を震わせながら皿を置いた。そして当然会話などない。そんな中、真利愛だけが楽しそうにパンを頬張っていた。「かよしゃ~~~~ん」「は、はい!真利愛様、どうなさいました?」「こえ、もういっこ食...

  • ハズレを引いた男と女・112

    「じゃあ稽古を始めようか」そう言われてキョトン・・・てか、それよりも私には頭が大混乱する出来事が!西門さんが私の指を舐めたーーーーーっ!!その時の感触と温度がまだ指に残ってて、そこが痛いんだから熱いんだか全然判んないっ///その指を右手でガッチリ掴んでるんだけど、もう恥ずかしくて恥ずかしくて耳まで熱いんだけど!しかもあんな事、普通に誰にでもやっちゃうの?って聞きたいけど聞けない!こんな気分でお稽古なんて...

  • 君がいない風景(113)

    その日の夜も遙香は何処かの会社役員との会食で帰宅は遅いとの事だった。先に自宅に戻ったのは類で、美央はソワソワしながら「夫」が食事を済ませて部屋に戻って来るのを待っていた。それは20時30分・・・真利愛はもう寝る時間だ。だが父を見ると眠たそうにしながらも類に近寄り、抱っこをせがむ。類は上着だけ脱いで美央にそれを渡し、真利愛を抱くとそのままソファーに座った。「ぱっぱ~~~、おかえり~~」「うん、ただいま...

  • ハズレを引いた男と女・111

    頭からすっぽり布団被って・・・マジで体調が悪いのかと思ったが、それよりも昨日泣いていたって事の方が気になる。だからベッドの端に座ると、「顔出さねぇのか?」と声を掛けた。そうしたらもっと潜ったようで、布団が山のように・・・不登校の子供か?って行動に若干笑いが出たが。「ずっとそのままに出来ねぇだろ・・・頭、痛いのか?」「・・・・・・・・・・・・」「薬はあんのか?飯食えたようだから、ちゃんと飲んどけよ」「・・・・・・・・・・・・」「返...

  • 君がいない風景(112)

    遙香の部屋に入ると、「そこに座って」とソファーを手で示された。言われたとおりに美央が座ると、遙香はその対面に座る・・・美央の緊張は最高潮に達していた。少し酔いそうな部屋の香り。若夫婦の部屋とは違い全体的に暗めな家具と装飾品。ほんの少し乱れたベッドの上にはガウンが置いてあり、コートクロークには毛皮のコートが無造作に掛けられていた。普段使わないので必要最低限のものだけ・・・ローボードに家族写真があったが、何...

  • ハズレを引いた男と女・110

    その怒声は土曜日のまだ薄暗い早朝、俺の頭上に落ちた。「ちょっと総二郎さんっ💢💢!!「ーーーーーっ!!」「いつまで寝てるの、起きなさい💢!!」「・・・・・・は?」俺はまだ布団の中で、何が起きたのかサッパリ・・・薄目を開けると真上に鬼婆がいて、今にも噛み付きそうなほど口をひん曲げ、目は見開き・・・それが自分の母親だと言うことに気がついたのは数秒後だった。いつまで寝てるのと言われて、時計を見ると5時半・・・なんの罰ゲーム...

  • 君がいない風景(111)

    月曜の朝、つくしは2人分の保育園グッズを確認するのに大忙しだった。新しい保育園は昼寝布団一式も必要だったので大荷物だ。それぞれの鞄にハンカチなどの小さなものから着替え・連絡帳まで、「あれ?何かが足りない!」と叫んでいるとき、本郷は2人の朝食の世話をしていた。「牧野さん、今日からこの子達、慣らし保育じゃないんだっけ?」「そうなんですよ、今日は16時まで預ける予定です・・・あ~~っ!美来ちゃんの歯ブラシ...

  • ハズレを引いた男と女・109

    「ほれ、着いたぞ・・・本当にここでいいんだな?」「つまんな~~~い!もう降りるなんて~!」「「・・・・・・・・・・・・」」←後部座席西門さんが素の声でそう言うと、龍崎さんは超甘えた声で文句をタラタラ・・・てか、ここまで来るのに何度も同じ道を走らされたんだけどっ💢?!マジで車酔いするかと思ったじゃん!!どうして自宅に戻るのにあんなに迷うのよ💢!!右に行ったら左だといい、曲がったらもう1つ先の交差点だったと言い、通り過ぎ...

  • 君がいない風景(110)

    「ぱっぱ~~!ママ、おかえりなちゃい~~~♪」「お帰りなさいませ、類様、美央様」「真利愛、お利口にしてた?」「・・・・・・ただいま、真利愛ちゃん」自宅に戻ると出迎えてくれたのはニコニコ顔の真利愛と、同じく楽しそうな加代だった。類はスーツを着ていることも気にせず、飛び付いてきた娘を抱き上げ、頬にキス。その後ろで顔色の悪い美央の様子に気が付いた加代は、慌ててその側に向かった。そして身体を支えて「具合が悪うご...

  • ハズレを引いた男と女・108

    グランドオープン特典のケーキ、俺の分は麻衣に譲ってやった。そうしたら仲悪そうだったのに2人でキャアキャア言いながら選び、運ばれて来たのは小さめのケーキ8個・・・・・・・・・って多くね?!「よく毎回それだけ食えるな・・・」「え~~~?だってふた口じゃん、こんなの」「牧野さん、痩せの大食いなんだね・・・」「ほ~~んと!その栄養、どこに消えてるんですかねぇ~~~?」「悪かったわね💢!」「胸に回せるようにセルフコントロー...

  • 君がいない風景(109)

    柑菜は所謂「一般家庭」で育った、極普通の女性だ。ただし両親は仲が悪く、いつも喧嘩が絶えなかった。罵り合う声、お互いの不貞行為、平手打ちの音、物が壊れる有様・・・その原因が家の経済状況に繫がっていたため、柑菜は同じ目に遭いたくないと思って高校まで過ごしてきた。父親も母親も柑菜のことは二の次で自分のことばかり・・・そんな冷えきった家族の中で育ったのだ。幸い勉強は出来る方で、なんとか頑張って奨学金を得て有名大...

  • ハズレを引いた男と女・107

    「俺と牧野のことはあんた達には関係ねぇよな?てか、恋人だって抱き合うまでは友達・・・そうじゃね?」その言葉を聞いて3人がフリーズ・・・・・・確かにそうかもしれないけど///今の流れだと、そのうち私が・・・私達が・・・///そういうコト、するって言ってるみたいに聞こえるんだけどっ!!そんな言葉を出した西門さんはシレッとノンアル飲んで、「俺、変なこと言った?」なんて私に笑いかける・・・でも、こんな雰囲気が龍崎さんのハンター魂...

  • 君がいない風景(108)

    「随分仲良く話しているのね、あなた達。いつからそんなに親密な関係だったの?」「お義母様・・・」「まぁ、花沢副社長!もう義父とのお話は終わりまして?」少しの間3人で話していたら、そこに来たのは遙香だ。妖しいまでに美しい笑顔を浮かべ、ワイングラスを片手に類の横に立った。遙香の質問に答えるのは類が妥当だと思った美央は、まるで助けを求めるかのように「夫」を見上げる・・・逆に目の前の柑菜は話したくてウズウズしてい...

  • ハズレを引いた男と女・106

    「お昼だって高嶋さんとすっごく仲良かったじゃないですか~~~」「その言い方やめてくれない?!」仲良かったんじゃなくて、極普通に接してたのよ!だって高嶋さんは大人だし、常識人だし真面目だし、誰かさんみたいに怒られるような事はしない・・・だから笑って話せるだけで、それを仲良しとは言わないっつーの!しかもさっきのはあんたが鞄をぶつけてきたからで、それも絶対ワザとだったよね?!「え~~~?ダメなんですか~?...

  • 君がいない風景(107)

    車の中でも類と美央の間に会話はなかった。とは言え険悪な空気などではなく、お互いに無口なだけ・・・運転手の方が何故か緊張し、時々バックミラーで類たちの表情を確認してしまうほどだ。ただ会話がないだけで、時々視線を向けている。今日の美央はパーティーメイク・・・それは結婚式以来で、とても美しかった。ブルーと黒という組み合わせなのでアクセサリーはゴールド・・・だが派手ではなく、トレスダイヤネックレスと言って、3つの...

  • ハズレを引いた男と女・105

    西門さんがお迎えに来てくれる・・・だから今日は何が何でも定時で帰るために自分の仕事をさっさと終わらせ、龍崎さんの研修日報も早めにチェック。ものすごくお粗末な日報だけど、そんなのどうでもいいから私までテキトーに「来週も頑張りましょう」と書いて終り。・・・と言うか、こんなに丸っこい字で書くなっつーの!これも立派な会社の書類だってのに・・・・・・マジ、宇宙人っ💢!!西門さんの小筆文字、見せてやりたいわっ!「・・・でもあ...

  • 君がいない風景(106)

    12月9日・・・黒田の新会社設立記念パーティーの日の前日になった。遙香がパリを出たという報告は既に受けており、花沢家でも女主人の帰国に緊張感が溢れていた。遙香の部屋の空気の入れ替え、遙香の好きな食材、それに新しい寝具。各部屋の掃除は隅々まで徹底して行われ、庭師達も手入れに余念がない。シェフ達も遙香の滞在期間のメニューを練り直し、この数日間は誰もが焦った顔をしていた。それを取り仕切る加代は特に厳しい表...

  • ハズレを引いた男と女・104

    会社に復帰して数日後・・・相変わらず龍崎さんは私に対してナメきった態度をとっていた。涼子達にも似たような態度だったけど、その中でも私には特に酷く、事ある毎に女としてのマウントを取られているような・・・?その理由は判らないけど、ホントに腹が立つ・・・💢でも新人を簡単に辞めさせない努力もしなくちゃいけなくて、やる気を引き出すような言葉を出しつつ、注意もしつつ・・・しかも初日には決まっていなかったんだけど、昨日正式...

  • 君がいない風景(105)

    朝食を食べ終えると、再びコテージに戻って10時前にはチェックアウト。その後、隣にある遊園地に向かい、そこで暫く遊ぶことにしていた。それはこの遊園地のフリーパスまで含まれているプランを予約したからだが、ここも4歳児までが遊べるアトラクションは然程多くない。だが絶叫系や危なっかしいものに乗るつもりはなかったので、つくしと本郷は真音を基準に遊ぶものを選んだ。「まぁ君、見て~~!アスレチックだぁ~」「のり...

  • ハズレを引いた男と女・103

    スリランカ料理・・・つまりはカレー。でも今日はカレーの気分じゃなかったから、さっぱりと「しゃぶしゃぶがいいなぁ~」と言うと、西門さんは車を停めて何処かに電話してた。その口調が「西門だけど、今からOK?」みたいなノリだったので、居酒屋みたいな場所かな?と思っていたら・・・西麻布のお洒落なお店に来てしまった。しかもその入り口・・・・・・気軽な居酒屋じゃないし!!「あの、西門さん・・・ここは?」「あ?あぁ、この店は予...

  • 君がいない風景(104)

    21時になると子ども達は眠くなり、本郷と話し合った結果、2段ベッドの下の1つに2人を寝かせる事にした。そして真音が夜泣きをしたらいけないのでつくしがもうひとつある下段のベッドに寝て、本郷は子ども達の真上のベッド。ただ大人が寝るには少し早く、着替えだけを済ませて部屋の真ん中に座っていた。そしてつくしは温かいココア、本郷は何本目かのビール・・・既に顔が赤く、少し酔っているようだった。とは言え紳士的な態度は崩さ...

  • ハズレを引いた男と女・102

    「総二郎さん、どうかしたの?何度もスマホをチラ見して」「・・・いや、なんでもない」月曜の昼飯・・・2週間だけだが俺の右隣に牧野が居たのに、今日は当然空席・・・だからなのか右腕がすげぇ寒く感じられて変な気分だった。それに何かメッセージでも入るかと思ってスマホを見るが、特に連絡はナシ。仕事が忙しいのか、それとも久しぶりで疲れ切ってるのか、将又足が痛いのか・・・そんな事を考えても判るはずもなく、俺から連絡するのもお...

  • 君がいない風景(103)

    自室に戻った類は、自分の案を美央に話した。すると美央は予想に反して「お義母様が帰国しているのに、それは出来ませんわ」と反対・・・美央が類の意見に反対することなど、これまでになかったので少しばかり驚いた。だが自分のいない時に美央と真利愛に何を言うかと思うと・・・美央は大人なので上手く対処するだろうが、真利愛はそうはいかない。しかも、もうすぐ3歳になる真利愛は周囲の物事への興味や関心が増し、好奇心や探求心も...

  • ハズレを引いた男と女・101

    「西門さんとデキてんでしょ?」「は?!」「いいのいいの、隠さなくて!私、見ちゃったのよね~~」「なにを?!」仕事復帰初日のお昼、涼子が突然そんな事を言い出し、私は心臓にバズーカ砲撃ち込まれた気分!他の人がいる休憩室だったから私の大声でみんなが注目・・・それでも涼子はニヤニヤして「いつからなのよ~~!」と、その話をやめない。「あんた、あの合コンの後も会ってたんだ・・・」「涼子!ちょっと来て!!」私は彼女の...

  • 君がいない風景(102)

    つくし達のコテージではバーベキューが始まった。子ども達は本郷が焼くのを見ながら大はしゃぎで、つくしは焼き上がったものをトングで掴んで紙皿に乗せていった。「はい、熱いから気をつけて食べてね~」「うわぁ~~い!おばちゃん、トウモロコシ、まだある~?」「ママ、ぼくのは~?」「真音の食べられるもの、すぐに用意するから待ってね」まだ2歳の真音には分厚いステーキ肉や味の濃いものは食べさせられない。それに主食は...

  • ハズレを引いた男と女・100

    野久保課長の話を聞き終わったら久しぶりの業務開始。机の上に置かれた山のような書類に目を通しながら、ふと顔を上げると涼子と目が合った。すると何故かニヤリと笑い・・・それが不気味で、小さな声で「なによ?」と言うと、向こうも小さな声で「お昼休みに話があるのよ」と言ってきた。なんだろう・・・?私、何かやらかした?・・・と考えたけど何も思い当たらない。しかも涼子のあの顔は仕事じゃない気がする・・・と、首を傾げていたら新...

  • 君がいない風景(101)

    土曜日の朝はいつもよりゆっくり始まる。でもこの日のつくしは逆にいつもより早く目が覚めた。そしてまだ寝息をたてている真音の横で、ぼんやりと天井を眺めていた。今日は本郷親子と一緒にキャンプに行く日・・・本当に今夜はあのコテージに泊まるのかと思うと落ち着かなかった。だから睡眠も浅く、頭が重い。でも子ども達は楽しみにしているので、今更中止と言う訳にもいかない。しかも予報では今日も快晴・・・土砂ぶりなら中止も出来...

  • ハズレを引いた男と女・99

    4月の第3週目、私は職場に復帰することになった。その日の朝はいつも通りに起きて朝食をいただいたんだけど・・・何故かご機嫌ナナメなのは家元夫人。何度も「本当に大丈夫?」と言われ、その度に「大丈夫です」と答えるんだけど・・・「でもお顔の端っこ、まだ少し擦り傷があるんじゃない?」「このぐらい何ともないですし、痛くも痒くもないんで・・・」「でも足だってまだ庇いながら歩いてない?」「まぁ、完全完治までは6週間って言わ...

  • 君がいない風景(100)

    つくしが東京に戻って半月が経過した。その頃になって希望していた保育園の入園許可が出て、美来と真音は12月から同じ保育園に行くことになった。それが決まると必要な物を準備するために忙しくなり、つくしは「ほんごうみらい」と「まきのまこと」の名前を持ち物に書いていく作業に追われた。そんな木曜日の帰宅後、つくしが保育園の書類に目を通していると、本郷が申し訳なさそうに隣に座り・・・「本当にごめんね、美来の事を全...

  • ハズレを引いた男と女・98

    真理子さんの爆弾発言で一同唖然・・・野久保課長は鬼のような顔で真理子さんを睨み、ワナワナと震えていた。でも言い返さないところを見ると、これは真実?そして私が着たのは・・・そんな着物だったってことーーーーっ?!西門さんもポカンとしてるし、真理子さんは俯いたままだし、私は社長達を見て震えが止まらない。多分この沈黙は数秒間だっただろうけど、私にはもの凄く長く感じた。そして低い声で「本当なのかね、野久保課長!」...

  • 君がいない風景(99)

    類が大分から戻って数日後、10月末日には別府のマンスリーマンションの契約が終了した旨の通知がスマホに届いた。その後、レンタカーも返却されて別府での調査は終了。が、その日の夕方に浦田からメールが入って来た。その内容はつくし事ではなく、本郷の引っ越しについての情報だ。それによると本郷の引っ越しは土曜で、つくしと同じ日ではなかった。そして行き先は関東・・・それを読んで、類は執務室の隣にある休憩室に入り、そ...

  • ハズレを引いた男と女・97

    お店に入って来たのは野久保課長、そしてその後ろには4人のおじさんがいたんだけど、その中には見覚えのある人もいた。でも今はそれを思い出す作業よりも、この面子でご飯食べてる状況を見られたことで大パニック!!いや、まだ真理子さんが振り向いてないから大丈夫か?と思った瞬間、真理子さんが私の視線に気が付いたのか、ゆっくり振り向いてしまった!そして当然、野久保課長も真理子さんに気が付いて・・・「・・・・・・・・・っ!!」...

  • 君がいない風景(98)

    類が東京に戻ったのは日曜日の真夜中・・・日付が変わった頃だった。本当は19時前に着く大分発羽田行きの便に乗っていたが、わざわざ北海道の最終便に合わせて帰宅したのでこの時間になった。どうしてそんな時間にしたのかと言えば、美央にも真利愛にも今の顔を見られたくなかったから・・・明るい表情で真利愛に笑いかける自信がなかったからだ。だから土産も買わず、静かに屋敷に入った。出迎えたのは加代・・・まだ寝る支度もしておら...

  • ハズレを引いた男と女・96

    赤羽のお店に着いたのは12時ジャスト!西門さんが急いでくれたので何とか間に合った。しかも真理子さんが教えてくれたお店も判りやすかった♪ただ駐車場がなかったので、近くのパーキングに停めることに・・・それを真理子さんにメールすると、『気にしないでいいよ~、お店で待ってるね~♪』との明るい返事。運良くすぐに入れることが出来たのはいいんだけど、私は急げないのでゆっくり歩いて店に向かっていたら、急に西門さんに「...

  • 君がいない風景(97)

    類と浦田が次に向かったのはひろみのアパートだった。彼女もこの土地でつくしと話している人物の1人だからだ。「でもこの女は牧野さんと関わってる本郷拓篤と言う男を狙ってた保育士ですからね・・・正直、あまり良い話は聞けないと思いますよ」「・・・・・・それ、勘違いだって言ってたよね」「まぁ、そこは俺でも判りませんよ。彼女も真実は知らなさそうでしたしね・・・ただ子供同士が仲の良い、シングルマザーとシングルファザーですから...

  • ハズレを引いた男と女・95

    金曜日、私は13時少し前に真理子さんに電話をかけた。丁度彼女はランチタイムだったようで、電話にはすぐに出てくれてラッキー♪しかも真っ先に言ってくれたのは『元気にしてますか?怪我はどう?』・・・相変わらず明るくて優しくて、こんな人の着物をダメにして本当に申し訳ないと涙が出そうだった。怪我は順調に治ってるし、すでに固定も外してサポーターだけになったことを伝えると、それにもすごく喜んでくれた。『茶道の先生も...

  • 君がいない風景(96)

    「俺が探してるから逃げたってこと?それ・・・もう最悪だよね」消え入りそうな類の呟きに、総二郎はすぐには何も言えなかった。この男とてつくしには特別な想いがある・・・それは「愛」だとか「恋」だと言うものではなく、あの道明寺司を変えた女性であり、人に心を開かない類を笑顔にさせた女性だからだ。それ故に諦めるような言葉は聞きたくない。本当は怒鳴りたかったが、その勢いは自分の胸の中に押しとどめ、総二郎も声を抑えなが...

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