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Love Forever http://aachan0209.blog.fc2.com/

東の国の超絶イケメンの2人の作る世界に堕ちた私。 寝ても覚めても、東方神起。

ホミン大好きです。 ホミンのブログが大好物です。 (ミンホも嫌いじゃありませんが2人が好き) 最近はいろんな人のブログを熱心に読む方が多いです。 一応、オハナシを書いています。よかったら見てくださいね。 腐女子一年生のため知らないことが多くてご迷惑をおかけするかもしれませんが仲良くしてください。

あーちゃん
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2017/02/10

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  • ご無沙汰しています

    ブログを描く時間が取れず、すっかり放置していたこの場所ですがたまに見ていてくれる人がいるんですねぇ。なんだかとてもうれしいんですが、とにもかくにも時間がない。仕事も忙しく、帰ってくると死んだように眠る毎日。そして界隈のごたごた。くだらない争いに巻き込まれて自分の好きを見失わないようにと気が付いたら毎日の生活に追いかけられるようにして、目をつぶっていました。そんな時にオハナシの二人が好きで会いに来る...

  • 東方令 vol.19

    允浩は考えながら起き上がってシャーペンを手に取った。 「針みたいなもんだけれど、今日はみんな座学の奴らはおとなしくこれをつかっていたな」 握りしめてノートを開き、考えをまとめていく。 金氏の傍若無人ぶりにはほとほとあきれたが 仙門でまとまって対抗することにはなっていた。 幼いころから高慢だった金氏の長子も 嫌いではないが、やはり邪宗に手を染めると周りを傷つけてばかり。 そんな中光州が襲われて、俺は許浚...

  • 奇譚祖師 vol.27

    許浚は苛々としていた。勝手に漢陽に行ってしまうし、騒動には巻き込まれるし、なのに師姉も宗主も允浩をかばう。俺と双傑だと言っておきながらさっさと昌珉を助けにって、また騒動に巻き込まれている。宗主は允浩が持って帰った沈宗主からの文を見ると考え込んでいた。「おそらく」沈宗主は口を開いた。「一級霊器は既にいくつか既に金氏の元にあるのだろう。四方を治める 青龍、白虎、玄武、朱雀の霊器が集まれば、麒麟が復活す...

  • 東方令 vol.18

    キュヒョンは家に帰ってチャンミンの本をひもといた。面白い。どんどんと読み進めた。しかし、気にかかかることがあった。全部読破して、自分に本を貸してくれる約束もしていた。それなのになんでチャンミンは本の世界に吸い込まれたんだ?結末はわかってるはずだし、どの辺のストーリーの中にスリップしたんだろう。きっと本の中身である允浩はその時までしか経験がないはず。ということはそのタイミングが重要。タイムリープする...

  • 奇譚祖師 vol.26

    その瞬間、時間が止まった。 自分より少し背の高い、決して柔らかくはない昌珉の身体が自分の腕の中にすっぽりとハマった瞬間、允浩はずっと探し求めていたものがわかった気がした。 幼い頃に失った両親の愛も、我が子と分け隔てなく可愛がってくれた宋宗主の思いも、優しく甘やかしてくれる師姉の優しさも、允浩は知っている。 けれどそれは允浩がずっと生きていく上で、恩を感じて無くさないように大切に持ってきていたも...

  • 奇譚祖師 vol.25

    歓喜が帰った後に宗主は周りの弟子たちを見た。宗主が行く前に何人かやられて倒れている弟子もいたので 怪我をした弟子を何人かで運んだ。 昌珉はそれを手伝いながら、唇を一文字に結んでいた。 允浩はその背中をさすりながらついて行った。 しばらく歩いて昌珉が「なぜついてくる?」と聞いた。 允浩は一瞬なぜだろう、と考えてしばらくしてから腕の髪飾りを見せた。 「これ」腕を差し出した。 「あっ」 「俺は全然このま...

  • 東方令 vol.17

    允浩は筆をみつけてノートを引きちぎるとさっさと護符を書いた。そこに指を噛んで血を垂らした。しかし、護符は血を吸い込まないで弾いてしまった。「ふむ…何故だ?」驚いたのはキュヒョンの方で、指を噛んで血を流すのもびっくりだし、そして平然としている姿にやっぱりこの人はチャンミンではないんだなと改めて感じた。でも血が混ざらないってどういうことだろう。あ…素材かな。キュヒョンは栞を注意深く調べた。この紙はなんだ...

  • 奇譚祖師 vol.24

    宗主の声と剣の音が洞窟の外から聞こえた。昌珉はハッとしたように允浩の手を掴んで一緒に霊泉の洞窟の外に出た。宗主が対峙していたのは金氏の長兄の歓喜であった。この歓喜という男は傲慢で残忍な性格で、梟を使い魔として従えており、ここのところ起きていたトラブルも全てこいつが引き起こしていた。あろうことか金氏は沈氏の漢陽にまで一級霊器を探しにきた。沈氏の霊泉の中には結界を貼り、それを封印していたのだが、金氏の...

  • 奇譚祖師 vol.23

    昌珉はそっと台座に近づいて琴を手に取った。雪のように白い、綺麗な琴だ。きっと昌珉ならば託せると思ったのだろう。昌珉は琴を膝に乗せると曲を奏で始めた。それは沈氏がよくつかう清めの曲とも違う、少し物悲しい音だった。允浩は目を閉じて聞いていた。音が体に染み渡るような、悲しみを洗い流してくれるような旋律だった。聞き終わると、先ほど感じていた寂しさがふんわりと軽くなった気がした。「いい曲だな」そういうと昌珉...

  • 東方令 vol.16

    チャンミンの部屋はなかなか綺麗なのだけれど、不思議なものがたくさん置いてある。「この箱みたいなものはなんだ?」「あーそれゲームだよ。俺とよく一緒に遊んでる」「この屋敷のようなものはなんだ?」「ああ、それ、科学部の実験に使う模型だろうな。」模型をどかすと護符が現れた。伝送符の文字が書かれている。「伝送符だ」允浩は言った。「なんだろう。なんでこんなもんを描いたんだろうな」允浩は机の上にあった本を手に取...

  • 東方令 vol.15

    朝キュヒョンと別れたところは確かここだった気が。しかしこの場所はほとんど特徴がなくてわかりにくい。キュヒョンは腕を組んで立っていたが「さて帰るか」といって允浩の腕を取った。「あし、どうしたの?」「こやつの身体軟弱で捻挫したようだ」「あー、チャンミンあんまり運動得意じゃないから」「鍛えぬのか?」「まあ、そんなところ。で、大丈夫だった?」「ああ、俺の姿によく似たやつに出会って手当してもらった」「え?誰...

  • 奇譚祖師 vol.22

    霊泉に行った宗主が気になり、允浩は気を送り続ける昌珉の手を掴んで止めた。「見に行った方がいい気がする」昌珉はうなずくと剣を取って立ち上がり、允浩の手を引っ張って立たせた。霊泉の後ろに結界があった時はまったくなにも見えていなかったのに、結界が破られたそこには洞窟のような穴が開いていた。そしてその入り口から鴉のような羽根が飛び散り、斬り捨てられたような衣もいくつか散らばっていた。その有様をみて昌珉はそ...

  • 東方令 vol.14

    一応、允浩も座学は嫌いと言いながらもしっかりとやることはやっていたみたいだった。だけど、書物よりも書き散らした護符が多かったりする。ひとつひとつていねいに護符を拾って確かめていた昌珉が、ふと一枚の護符に目を止めた。「それは?」と聞くと「伝送符だ」と答えが返ってきた。「しかし、時を超えるものではない。なぜ....」ふと思い出した。カッターで模型を削っていて謝って指を穢してしまったことを。それかも。血で描...

  • 奇譚祖師 vol.21

    「書にしたためられていたのは強い怒りと恨みです。倭の国に伝わる、死者を弔う印なのですが、これを反対に描くことによって相手を呪うことができるというしかけなのですが、詭道法を習得すれば簡単に描くことができます。 けれど...難しいですね。ほかの人に試すわけにはいきませんから」 とりあえずこの書にはりついていた邪気はその書から生まれたものだったので、允浩が受け入れたことで消えていった。 しかし、允浩は受...

  • 奇譚祖師 vol.20

    半時も探しただろうか。ふと、允浩はその書物から立ち上る邪気を感じ取った。 昌珉も手を止めて允浩の手元にある書物を見守る。 ゆらゆらと立ち上る邪気は書物をもつ允浩の腕に絡みつき、体を這うようにして巻き付いていく。 「陰の気が強い」宗主がそういうと印を結びきる。 そのまま允浩に向かって切り、からみついている書物から出る霊識を取り除こうとした。 允浩は「大丈夫です、もう少し様子を見させてください」そうい...

  • 東方令 vol.13

    さてここからはボクは「允浩」だ。覚悟を決めて師姉を探した。「あら允浩、どうしたの?」師姉は優しい声で応えて僕の肩をさすった。あー、甘えてたよなぁ、允浩は。「師姉の汁物が飲みたくて。まだある?さっき戻ってきたのだけれど、昌珉も一緒なんだ。昌珉に一口だけ汁物をのませてあげてほしいんだ」師姉はにっこりわらって「允浩が帰ってくると思ってたくさん作ったからもちろん取ってあるわ。あとで持っていくわね」そういう...

  • 奇譚祖師 vol.19

    二人は漢陽に戻り呉 世勲に遭遇したことを宗主につたえた。加えて霊泉で狙ったのも呉 世勲であり、そもそも昌珉の兄を狙っていたことも伝え、持ち帰った護符を見せると宗主は苦い顔をした。金氏の横暴は前々から問題になっていたけれど、ここまで問題になることはなかった。だが、一級霊器が現れたということはその封印が解かれたということ.一級霊器は呪物を封印し、分割して隠されてきた。宗主は「その一つはこの漢陽の裏山に封...

  • 東方令 vol.12

    チャンミンは昌珉と一緒に光州に向かった。途中何度か色々と危ない目に遭いそうになりながらも、昌珉に取ってはさほど大した敵ではなかったらしく、何事もなく無事に光州に着いた。「問題はそなたの師兄達だな。」そうだよね。ボクが允浩だとおもってるからね。夜に忍び込もうかな.でも、帰ったってこと言わなかったら宗主に怒られるだろうしなぁ。本は読んでるし、きっとなんとかやれる。そういう時昌珉は眉を顰めた。「そなたが...

  • 奇譚祖師 tol.18

    「あー、今は挨拶だけ…まだ時期じゃないから。」呉 世勲はそういうと笑って地面に伝送符を叩きつけた。瞬間、逃さぬとばかりに允浩は剣を繰り出したが、残念ながら煙に消えた後だった.「聞きそびれた」昌珉はそれだけいうと刀を鞘に収めた。チン、と涼やかな音が鳴って刀は鞘に収まった。霊力の篭った仙師の剣はそれぞれが綺麗な色を纏い、その仙師の言うことだけを聞く。いわばその仙師の一部のようなものだ。綺麗だな、、と剣を...

  • 東方令 vol.11

    コイツは確か先輩って言ってたな。允浩はチョン・ユンホと自己紹介した相手を見た。対策を練るにしてもとりあえず同級生の朝迎えにきたアイツとの方が得策か。とりあえずあまり俺が干渉するのは良くない気がする。「ありがとうございました」そう言って保健室を出た。軽く足を引き摺るが、歩けないことはない。しかしこの体は本当に弱い…霊力は全くないし運動神経もイマイチのようだ。允浩は持っていた鞄の中をあらためてみた。中...

  • 奇譚祖師 vol.17

    屋根の上に綺麗な顔をした男が座っていた。允浩と同じような黒尽くめの出立をした若い男だ。「来ると思ってた」そういうと男はひらりと屋根から飛び降りた。「呉 世勲」昌珉は感情の読み取れない声で呟いた。それがこいつの名前。「なんで昌珉を狙った?」允浩がいきなりそういうとその男はびっくりしたように「あれ?あれって君だったの?」と声を上げた。「人間違っちゃったみたいだね、てっきり君の兄上かと」いずれにせよ許せ...

  • 東方令 vol.10

    昌珉は僕を蔵書閣へ連れて行ってくれた。「そなたに読める書があるかどうかわからぬが、時に関する書があるか、端々調べてみる」昌珉はずっと座ってあちらこちらの書物をめくっていた。書物は全て漢字で書かれていたので読むことはできたが、ハングルは一切なかった。静かに書物をめくってる昌珉の姿はとても美しいが、どこかに親近感がある。僕はなにをしたっけな…あ、そうだ、護符に血を飛ばしてしまったんだった。ってことは僕...

  • 奇譚祖師 vol.16

    街の喧騒を抜けて歩いていくと、はずれのほうに小さな屋敷があった。ここであろうと允浩と昌珉は顔を見合わせた。門を叩いて見ても、反応はない。「まだ夜は更けてない」昌珉がそういうので允浩は塀を登って中の様子を伺うことにした。塀の中はひどい有様だった。あちらこちらに飛び散った血が乾き、死体こそ片付けられているものの、そこでなにがあったかは明らかだった。「さっきの奴らが言ってたけれど、やったのは本当に金氏の...

  • 奇譚祖師 vol.15

    允浩は帰らずにそのまま昌珉ところへ行った。昌珉は允浩の姿を認めるとピクリと眉を上げた。昌珉は箏を弾いていた。その調べは心を休めるものであった。允浩は片手を上げて手を振った。「どうせ問題解決のために下山するのだろ?だったら俺も一緒に行くよ。だって一緒に一晩過ごした仲だろ?」允浩のその言葉に昌珉は眉を顰めたが、何も言わなかった。「そんな嫌な顔するなよ。漢陽の先の小さな仙門のところに行こうぜ」「そこに何...

  • 東方令 vol.9

    スタスタと教室に入っていくと友人と思しき人達が声をかけてきた。「チャンミン、おはよう」「宿題やった?」宿題とはなんだろう。訝しげに声をかけてきた人を見ると、「えっ?まさかお前やってきてないの?マジかー、うつさせてもらおうとおもったのに」とガヤガヤしている。要するに課題を家でやると言うことなのだろうな。腕を組んで考えていたが、どう考えてもこのまま授業とやらに出るのは自分にとって不利だ、そう考えた允浩...

  • 奇譚祖師 vol.14

    允浩は用があると言って漢陽に戻ったが、もちろん昌珉を守るために戻ったわけだが、何から手をつけて良いやらと考えていた。漢陽の町でまずはブラブラとして酒楼に入った。酒を頼んで周りを見回す。給仕にきた人を捕まえて、最近何か変わったことがないかどうか聞いてみた。「それがね、旦那、ここをまっすぐ行ったところにある小さな仙門の一家が酷い殺されようをしたんですよ。」「なんでそんなことが?」「なんでも金氏の客卿に...

  • 東方令 vol.8

    夕食には師姉の作った骨つき肉の汁物が出た。コレは本の中で美味しそうだと思って母親に作ってくれとせがんだものだった。まさか本物が食べられるとは…チャンミンは一口食べてにっこりとした。うまい。予想を違えない味だ。「師姉の汁物はいつ食べても美味い」確かこんなふうに言ってたな、允浩は。師姉はにっこり笑ってチャンミンの手を取ると握りしめて「昌珉は本当にいい子」と言ってその手を撫でた。予想外のスキンシップにち...

  • 奇譚祖師 vol13

    それぞれの仙門では宗主が座学にきた弟子たちを迎えにきた。許浚も宗主が許浚と允浩を迎えにきた。宗主は允浩を連れて沈氏の宗主と何やら話していたが、挨拶を終えると光州に帰るぞ、と二人を促した。允浩は荷物を持って大人しくついてきたが、途中で用事を思い出したと言って一人で引き返した。「自分勝手が過ぎるぞ」許浚は允浩に文句を言ったが、こともあろうに宗主が嗜めた。「允浩だって思うところがあるだろう。あいつの性格...

  • 奇譚祖師 vol.12

    起き上がるとせっかく赤みが引いた背中にまた矢羽がが擦った傷ができていた。「大丈夫か」と昌珉の心配をする允浩。「それは私の台詞だ。私なんかを庇わずとも良い」たしかになう手の剣士であることは間違いないが、それにしても沈氏のお膝元であるこの漢陽でなぜこんなことが。「傷なんて大したことない、俺はよく叱られて怪我をしたまま湖で泳いでいたりしているから大丈夫」という允浩を引っ張るようにして、昌珉は宗主のいる漢...

  • 東方令 vol.7

    えっと、允浩ってことはあの本の主人公の片割れだよね。あまりにその本好きすぎて乗り移っちゃったのかな?キュヒョンはじっとチャンミンの顔を見ながら考えた。いや、チャンミンの友達を何年もやってるけどあいつはそんな奴じゃない。大体、キャラクターになり切るって言ったってここまで違うのはおかしい。心なしか発音も違うから同じ声でも別人みたいに聞こえる。キュヒョンは「えーっと允浩、でいいのかな?俺が知る限り、君は...

  • 奇譚祖師 vol.11

    霊泉に向かうと昌珉はすでに霊泉に身を浸していた。允浩の方に背を向けて浸かっていたので允浩には昌珉の雪のように白い背中にある紅い傷が真っ先に目に入った。その傷を見た瞬間、允浩の中にカッと火が灯ったような気持ちが生まれた。「昌珉」声を掛けるといきなり昌珉は振り返り、内衣を取って羽織った。「なんだよ、恥ずかしいのか?」自らの身体の内側に灯った火を見ないようにして、允浩はわざと揶揄うように声をかけた。「何...

  • 東方令 vol.6

    とりあえず座学、じゃなかった学校とやらに行かないといけないな。允浩はチャンミンの部屋に戻ってあちらこちら調べた。どうやら今自分が入り込んでいる身体の持ち主は「チャンミン」というらしい。允浩は机の上に置いてあった呪符に気がついた。あれは俺が考えた呪符だけど、なんでこいつが持ってるんだろう。まあいいや、とりあえずこの変な服は身体を締め付けるが仕方ないらしい。机の上にある四角い箱がブルリと震えた。なんだ...

  • 奇譚祖師 vol.10

    繰り返し打ち下ろされる錫杖に允浩の背中は真っ赤に腫れ上がった。50回の罰則が終わったところで允浩は許浚の肩を借りてなんとかよろよろと立ち上がったが、昌珉はまっすぐ前を見てそのまま立ち上がってスタスタと歩いていった。「アイツすげーな、罰を受けるのも訓練の賜物か」「お前の方がよっぽど罰はくらい慣れてるだろうに」許浚は肩を貸してやりながら悪態をついた。「だってこんなに叩かれた事ないし、宗主に怒られた時には...

  • 東方令 vol.5

    「チャンミン、ご飯よ」ゆりおこす手は優しい。ふと目を開けると優しい顔が覗き込む。「珍しいわね,ご飯の前に寝るなんて」誰だこの婦人は。むくりと起き上がると見慣れぬ景色の中にいるのに気がついた。ここはどこだ?自分の衣服を改めると見たこともない格好をしているのに気がつく。何より…腰まで伸ばしたはずの髪がなく、頭に手をやると犬の巻き毛のような感触が指をくすぐる。え?え?「制服着替えて降りていらっしゃい。ご...

  • 東方令 vol.4

    どう振る舞えばいいのか、はわかってる。そして相手の気持ちもわかってる。だけど一番の問題は僕が允浩じゃないことだ。ホントの允浩はどこにいるんだろう。まさかと思うけれど、入れ替わってる?すぐにチャンミンは自分の馬鹿げた考えを打ち消した。「だよね、そんな馬鹿なことはないはず」口に出していたのに気づいたのか、昌珉は僕の顔をチラリと見た。とりあえずしっかりしなきゃ。食事の膳に着くと見たこともないモノが並んで...

  • 奇譚祖師 vol.9

    目が覚めた時には昌珉は允浩の布団を占領し、允浩はその傍にひっくり返って寝ていた。状況をよく飲み込めない昌珉はむくりと起き上がってあたりを見回した。家訓を破ったことよりも何よりも、昌珉は誰かと寄り添って寝たことはなかった。間近で見る允浩の整った顔に吸い寄せられるように近づいていった。温かい。寝息が顔にかかるくらいまで近づいて、昌珉は我に返った。自分はなにをしようとしていたんだ?おもむろに寝台を降りて...

  • 東方令 vol.3

    昌珉はチャンミンを掴んで物陰に押し込むとぐいっと顎を掴んだ。「そなた、允浩殿じゃないな?お前は誰だ」えーー!何ですぐバレたの?でもなんて説明したらいいんだろ。ふざけた説明だよね。わかってもらえない気しかしない。けど、昌珉にとっては允浩が何より大事だから、僕なんかがその体を借りてたら不愉快だろうな。「あのね、信じてもらえないかもしれないけれど、僕は外の世界からやってきたんだけど、二人のことはよく知っ...

  • TAKE ON ME vol.22

    僕の服はユンホさんによって引きちぎられ、ユンホさんの目は赤く光っていた。犬歯のような牙が口から覗いていて、僕はユンホさんにのし掛かられて首筋に歯が当たるのに気がついた。はぁはぁと荒い息を整えようと努力してるユンホさん。「いいよ、僕を食べて」そういうと僕はユンホさんの肩を掴んで引き剥がし、首筋を差し出した。ユンホさんの我慢の糸はぷつりと音を立てて切れたみたいだった。僕の首筋に牙を当てて、ぷつり、と皮...

  • 奇譚祖師 vol.8

    アレは酷かった。あんなに酒がすごい物なのだというのは知らなかった。飲んだ途端、身体が酩酊し、一挙に眠くなる。沈氏では酒というものを禁じていたが、もちろん外で飲むのは政治的に必要なので父は酒を嗜むことはしていたが、昌珉は酒は漢陽から出たことがなかったのでそれまで飲んだことがなかった。允浩が飲ませた酒は光州の随一の酒蔵の蓮の酒であった。允浩はぐいっと水のように飲んだので、てっきり軽いのだと思った。口に...

  • 奇譚祖師 vol.7

    ずっと家訓を守ってきた。人の模範となれ、喧嘩をするな、礼儀正しくあれ。ずっと期待に応えようと努力して来た。剣術もはげんだし、仙術も箏も頑張って来た。その結果、周りからは敬遠。自分の生き方はそれで構わないと思っていた。少なくともあの日迄は。座学に来た允浩を見る迄は。とにかくはちゃめちゃで、家訓は破りまくる、酒は飲む,友人と騒ぐ。なんて奴だ、と思った。けれど、弓の腕もピカイチ、剣も昌珉と勝負がつかない...

  • 奇譚祖師 vol.6

    さてここからが勝負だ。俺は今蒙家の長子、ということは俺は蒙度勳ということになる。允浩は忙しく頭を働かせながら蒙度勳の情報を引き出した。確か結構な変わり者だったと記憶している。庶子の出で、弟がいたはずだ。 そういや俺が目覚めた部屋ってのは全くもってなにもない部屋だったっけ。 長子なのに、宗主が再婚してからいじめられてたんだっけ、確か。 一応、この体の持ち主の無念ってのはなんとなくわかった。あとはその無...

  • Take on Me.21

    イルさんが出て行ったあと、ユンホさんは僕の脇から離れようとしない。っていうかそもそも新しい君主ってなに?招待状って.....ユンホさんは苦い顔をしていた。けれど、僕の手を握って離さない。「ユンホさん、あの....」うれしさと悔しさがまじりあったような感情に包まれた俺はユンホさんの顔を見てため息を零した。嬉しい、飛び込んできてくれたのはとてもうれしい。でも、アレは断られてる。でもキスは気持ちいい。流されてく...

  • 東方令 vol.2

    どのくらいの時間が経ったのだろうか。自分が倒れていることに気が付いたチャンミンはむくりと起き上がった。「允浩兄、允浩兄」え?允浩?なんで?ここは何?「允浩兄ってば!なんでぼうっとしてるんだよ」自分を揺り起こす声に一挙に目が覚めた。起き上がると自分の恰好が目に入った。え?服?学校いって帰ってきて机に向かってたはずだよね?これ、何?韓服?ええっ?手に刀なんかもってる。見覚えのあるデザイン.....っていう...

  • 奇譚祖師 vol.5

    「皆さんたちは座学に行かれるのかな?その…話しているのが聞こえたんだが、東方老祖が死んでから何年経ってるんだい?」不思議な質問をするもんだと悠太は思ったが、尊敬すべき昌珉先輩の師弟だけあって丁寧に答えた。「今は東方老祖が亡くなってから13年経ちました。はい、私共は座学に行く途中です。そちら様はどちらかの仙門でございますか?」允浩は内心笑い出しそうになるのを堪えて澄まして応えた。 「あ?俺?そんな...

  • 奇譚祖師 vol.4

    仙門の集まりは年に一度、威州で行われる。かつては允浩も宋氏の客卿として許浚と二人してこの威州の座学に参加した。その時は漢陽の沈氏が招待状を送る、いわばホスト役のような感じで、なかなか戒律が厳しかったけれど、允浩は他の弟子たちを束ねながらこの大きな仙師の集まりを楽しんだ。人生は楽しく過ごそうと思えばどんな時にも楽しく過ごせる。魚を釣ったり湖で水遊びしたり、色んな悪戯をする時にはみんなを引き連れて允浩...

  • 奇譚祖師 vol3

    その昔、男が生前に開いたのは東方老祖。もともと宋氏の客卿だったのだが、宗主とのすれ違いから一人になった。 宗主だった許浚とは幼馴染だったのだが、何かと競い合う気持ちの強い許浚には、飄々としたこの男がつかみどころが なく、いつも悔しい思いをすることが多かった。 幼い時に両親を亡くしたこの男を引き取った許浚の父親は宋氏の宗主であり、義を重んじる竹を割ったような性格で、 親友の子供であるこの男をずっと捜...

  • 東方令 vol.1

    「はぁ…カッコいい。」 チャンミンはパタンと本を閉じた。 読んでいたのは歴史物のファンタジー。 読書と空想が何より好きなチャンミンだが、手にしていた本は、今流行りのブロマンスモノで、 「奇譚祖師」という本。 主人公二人がめちゃめちゃかっこいい。一人は黒髪でいつも黒い服を纏っている。 もう一人は白い服をいつも纏っていて、涼やかな顔をしている。戦いや人の思いや想い、それぞれのすれ違い...

  • 奇譚祖師 vol.2

    さぁっと風が吹いて、全羅北道にある大邱のある仙師の一門の構える一室に座している男の髪を揺らした。その男の身体にはペタペタと護符が貼り付けられ、なにかを封印されているようだった。男が座っている地べたの周りには結界の血文字が書かれており、男の顔には白い胡粉が塗りたくられていた。まつげがふるりと震え、男は目を開けた。身体についている護符がはらりと一枚剥がれ、血文字の上に堕ちた。それとともに男は頭を振って...

  • 奇譚祖師 vol.1

    人を大切にする、思いを大切にする。 その挙句にこれか。 正義を貫く。志を胸に抱える。友を思い、義を重んじ、自らよりも友の幸せを願ったその結果がこんな形とは。允浩は絶望感に苛まれた。 光州鄭氏の旗と清潭洞金氏の旗は入り乱れ,互いに熾烈な戦いを繰り広げていた。 漢陽沈氏、武珍宋氏の両陣も激しくぶつかり合っている。 違う、俺はこんなことを望んでいたんじゃない。 皆が優しく皆が笑顔...

  • 奇譚祖師 vol.4

    いくら想っても、いくら大切にしてもこの気持ちが伝わることは一生、ない。お前を護ることができるのはあいつだけだから。幼い日に出会った俺たちは、ずっと一生そばにいると誓い合った。お前は俺が君主になったら片腕として俺を支える、と言った。なのにお前はなぜ、俺の元から去ってしまったんだ.....------------------------お久しぶりです。。あーちゃんです。新しいお話の始まりです。よければぽちっとしてください。 に...

  • ご無沙汰しています。

    FNSも終わり、いよいよチャンミンのソロミニアルバム発売ですね。ご無沙汰してます、あーちゃんです。実はトン活どころの騒ぎでなくめちゃめちゃバタバタしておりました。きっとみんなアメンバーやらなんやら、外れちゃっただろうな、と落ち込みつつも、それはそれでその人の考えだから仕方ないと思いながらも、落ち着いてお話を書く暇も読む暇もありませんでした。けど、ふとしたきっかけでまたお話を書きたいなと思い、ひっそり...

  • 覚書

    ストーリーを作り直す。鍵記事の作り直しパスワードを変えるオハナシの見直し、ブログデザインの作り直し今のところこんな感じ。...

  • Take on Me vol.20

    「チャンミン!」ユンホさんは飛び込んでくるとイルさんのまえで立ち止まった。「なんで兄さんがここにいるんだ?」「俺はお前と繋がってるんだよ、ユノ。わからないわけないだろう?」イルさんはにっこりとほほ笑んだ。「で、チャンミン君とはまだ契ってないんだろ?匂いでわかる」ユンホさんは唇を噛んだ。「だって....チャンミンをそんな目に遭わせるわけにはいかないから」「ほう。そうなんだ。なら僕が味見してもいいよね?」...

  • Need You Right Now vol.21

  • Need You Right Now vol.20

  • Take on Me vol.19

    もし、戻ってこなかったらどうしよう。チョン・イルさんはスン、と匂いを嗅いだ。「チャンミンさん、いい匂いがしますね」ソファから立ち上がって僕の方に歩いてきた。え?え?なんだこの状況。イルさんは「チャンミン、ユノのモノなの?でも、それにしては匂いが違うね。食べられてないみたいだけど」そういいながら僕のとなりに座り、首筋の匂いを嗅いだ。え?え?食べるって。あれは食べるというよりも飲むって感じだなぁ。「驚...

  • Need You right Now vo.19

    好きってそういうことだ。ほかの人に渡したくない。そばに居たい。そういうことだな。僕はユンホさんにキスされながらそう思った。男だけど、それでもユンホさんをほかの人に渡したくない。キスってこんなに気持ちのいいものだったっけ?気が付いたらしっかり抱き着いて何度もキスを繰り返していた。これってこの先って....知識としては知ってる。けど...どっちなんだろう?やっぱり僕がアレなのかな。僕の腰にあたってるアレは......

  • Take On Me vol.18

    家に戻るまであと少し、といったところで僕は声をかけられた。「あの、すみません。ここにチョンユンホが引っ越してきたと思うのですが、ご存じありませんか」え?って思って振り返ると背の高い男が立っていた。黒髪の美丈夫、と言った感じのややユンホさんに似た感じのイケメンだった。「えっと....」その男はにっこりと笑って名刺をだした。「私、チョン・イルと申します」え、チョンさん?ユンホさんの兄弟?チョン・イルさんは...

  • Take On Me vol.18

    「あ、あの、テミンさんってかっこいいポーズするんですね」口が勝手にしゃべってる。なんか、嫌だ。ユンホさんはそんな僕の様子に気が付かず、「ああ、あの子モデルもやってるしね。自分がかっこいい、っていうのはわかってるんじゃないのかな。」そう、さらりと言った。「そうですね....」僕はなんでこんなに落ち込んでるんだ?テミンがかっこよくたって関係ないはずじゃないのか。僕がかっこよくないのが寂しいわけじゃない。そ...

  • Take On Me vol.17

    ユンホさんは「チャンミン、それってどういうことだかわかってる?今までとはわけが違うんだよ」そういって僕から視線を外した。僕は恥ずかしさに体がかっと熱くなった。男のくせにユンホさんに抱いてくれ、と言ってるわけで。「僕がチャンミンを抱くっていうのは普通のセックスと違うんだ。血の契約を結ぶってことで。僕はチャンミン以外とはできなくなるし、チャンミンは死ぬまで僕以外の人とできなくなるんだ。そして、体の負担...

  • Need You right Now vo.17

    よくよく見ているとそれは「男色の歴史」という本だった。 僕は気が付かず男女だと思っていた写真も皆、よくよく見てみると少年だったりした。 後ろの方に行けば行くほど、衣類の面積はせまくなり、絡みも多くなっていた。 ただ、あくまでも芸術的なポージングや衣類のサンプルが豊富で ユンホさんは何を考えてこれを買ったんだろう、と思った。 僕がじっと本を眺めていたのでユンホさんが入ってきたのに最初気が付かなかっ...

  • Take On Me vol.16

    それからしばらくは、僕らはのんびりと穏やかな時間を過ごした。ユンホさんは優しかったし、僕もユンホさんの傍で過ごした。一緒にご飯を食べて、一緒に映画を見て、本を読んで過ごし、夜は一緒に眠る。2日に1度は僕はユンホさんを誘った。ユンホさんは僕に負担をかけないようにしてくれているのを知っていたから自分から誘うことはない。それが僕は少しだけ寂しかった。だから、ユンホさんに甘えるようにしてベッドに誘い、ユンホ...

  • Need You right Now vo.16

    「いやー、ごめんね。荷物重くなっちゃって」ユンホさんの本の量は結構な重さで、これはとてももって歩くという量でなかった。つくづく、車で来ればよかった、と僕は自分の至らなさを感じていたけれど電車で、って言われてたからすっかりそのつもりになっていて。買い物で荷物一杯になることまで考えてなかった。やっぱり僕は気が利かないなぁ。「でも、楽しかった。おいしいものも食べたし、欲しかった本も買えたし。」ユンホさん...

  • Take On Me vol.15

    気を失うように眠っていたのだろう。喉の渇きを覚えて起き上がると、体がだるい。ユンホさんはベッドサイドで本を読んでいた。身体は綺麗に拭かれていて、パジャマを着せられていた。ユンホさんはリビングに行って冷蔵庫から水を取ってきた。「のどか湧いたでしょ、飲む?」そういってペットボトルを差し出した。僕は受け取ってごくごくと飲み干した。「身体、大丈夫?」ユンホさんは髪の毛を撫でながら尋ねた。「気持ちいいことし...

  • Take On Me vol.14

  • Need You Right Now vol.14

    最初に洋服屋に行くことになった。ユンホさんは「僕あまり洋服に興味がなくって」と言った。え、あのスーツだとか今日のパーカーだとか、何気にいいものを着てるような気がするんだけれど。それは素材がいいから、なのかなぁ。ユンホさんは笑って「だいたい親が買って送ってきたりするものを着てる」と言った。え、それってずいぶんと親御さん、甘やかしてないか?だって一人暮らし、長そうだけど。どのくらい一人暮らししてるのか...

  • Take On Me vol.13

  • Need You Right Now vol.15

    本屋さんへ回った。デザインの本なんてあんまり見たことない。カラーチャートの本だとか宮廷デザインブックだとか、とにかくいろいろあるんだなぁ。あまり大きな本屋っていったことない。ユンホさんは目を輝かせてあちこち見て歩いていた。「本にはどうしてもお金使っちゃうんだよなぁ」ユンホさんはそういって、今回は武器の本、というのを買っていた。かっこいい武器を考えるのだそうだ。VOGUEなどの女性誌も何冊か買っていた。...

  • Need You Right Now vol.13

    読み合わせはつつがなく進んだ。女神役の子が「シムさん、一皮むけましたね」というくらい、落ち着いてできた。キャラクターはほぼユンホさんだ。それがわかってユンホさんの気持ちになってセリフを読み進めた。でも、本物よりもクールにかっこよく、そして多少ドSなオーラも。無事撮り終えた。そしてもう金曜日なんですけど!その間もバイトに入ったし、ユンホさんはコーヒーを飲みに来たのだけれど意外とお客さんが多かったりし...

  • Take On Me vol.12

    ユンホさんは僕に押し倒されたまま、僕を抱きしめていた。それが僕を拒絶しているような気がして、僕はとても寂しくなった。「お願い、僕を拒まないでください」そういうと僕は自分からキスをした。いままでそんなことはしたことがなかった。けれど、なにかぽかりと空いた穴を埋めるように、自分からユンホさんの唇を奪いに行った。何度も何度も、ゆっくりと唇を味わうようにキスを繰り返した。ユンホさんは僕の頭をずっと撫でてい...

  • 閑話休題:いつもありがとうございます

    こんばんは、あーちゃんです。足を運んでくださってる皆様にはいつも心から感謝をしております。ここのブログにはほとんどコメントが付くことがないのですが笑ブログ拍手、という機能があることを失念しておりました。こっそりいつも拍手を送ってくださっているそこのアナタ。いつもありがとうございます。そうなんです。招かれないと入れないんですが、意外とこの人イイヒトなので招かれたのに上げ膳据え膳ではなくて、自分でちょ...

  • Need You Right Now vol.12

    「っていうかさ。僕チャンミンがそんな声優の仕事してるなんて知らなかったし、まさか僕の漫画をアニメにしてくれるなんて思ってなかったし、だからこんなことも想像してなかったんだよ。遠くからっていうかお店の中だから近いけど、チャンミンを見ていて、妄想できるだけで、それを漫画に描けることで幸せだったんだよね。だけど、人間っていうのは欲張りだから」ユンホさんは顔を隠したまま、僕にとつとつと告白している。「もっ...

  • Take On Me vol.11

    「チャンミンのことは好きだよ。でも、すきだからこそしばりつけたくないんだ。それに....」ユンホさんは寂しそうに言った。「チャンミンは僕を置いていくことになるんだから」嫌だ、始まる前からそんなこと言うな。ユンホさんは僕をやんわりと引きはがすと、ゆっくりとしゃべりだした。「僕がいくつか、って言ったよね。僕はもう、ずっと世の中を生き続けてる。おそらく、一番古い記憶は1600年ごろ。そこから、ずっと変わらず生活...

  • Take On Me vol.10

    習慣というのは恐ろしいものだ。気が付けば僕はユンホさんとキスすることに全く抵抗がなくなってきた。むしろ、キスをしない日はなんか物足りない気がしてきたりする。けれど、まだそこから先に踏み込むのには躊躇していた。っていうか、それってやっぱり人助けの域を超えてるだろうし。気になっていたし、聞けばいいんだろうけれど、聞けないでいた。聞いたところでどうだって話でもあるし、それってなんか僕がこだわっているみた...

  • Need You Right Now vol.11

    僕の顔が曇っていたのに気が付いたのだろうか。ユンホさんは「どうしたの?」と僕を覗き込んだ。僕は生まれていてぐるぐると渦巻いているこの感情をうまく説明ができず「よくわかりません。けれど、大したことじゃないと思うので大丈夫です」とだけ言った。ユンホさんは僕のとなりにすとん、と腰を下ろすと頭をポンポンとした。 「そうか、大丈夫って無理して言わなくていいからね。あ、でも言いたくないことは無理にいわなくて...

  • Take On Me vol.11

    「えっと、いわゆる体液ね」血じゃないんだよね。ってことは....アレか?え、ちょっと待ってでも僕男だし、ユンホさんも男だよね。そういうの、抵抗ないんだろうか。というよりも、ユンホさんは「そういうこと」をして生きてきたのかな。ちょっとそれを考えたら胸がズキン、と痛んだ。美女と...とか想像してしまったらあまりに絵になって。生きるためだもんなぁ。いわゆる生存するためって思ったらそれは食事をするように当たり前...

  • Need You Right Now vol.10

    玄関のチャイムが鳴った。 ユンホさんは「漫画読んでて」と僕にいうと玄関に向かった。 どうやらアシスタントの人が来たみたいだった。 「先生、次の漫画の絵コンテ預かりに来ました」 その人はそんな風に言って「あれ?どなたかいらしてるんですか? ならば僕をよんで下さったらいいのに。先生一人じゃおもてなしできないでしょう?」 そういうと靴を脱いですたすたと入ってきた。 僕は漫画から目を挙げると男性というには...

  • Take On Me vol.8

    ユンホさんの一日は早い。相場が早く空いて早く閉まるんでそれもあるとは思うけれどほんとにこの人、ヴァンパイアなの?ってくらい朝型だ。サプリをぐっと飲んで、カフェオレをのんで仕事スタート。僕は気が乗らないと書かないから、そんなユンホさんのルーティーンをのんびり見守る。相場は午前中で終わり、午後はうろうろと村の周りを散歩するのがユンホさんの日課だった。イケメンが引っ越してきた、という噂はすぐに広まり、ユ...

  • Need You Right Now vol.9

    「え?そうなんですか?」「いやー、僕片づけるの苦手でね。アシスタントさんにもよく怒られるんだよ。」いまのところイケメンフラグしかたってないんだけど。「あ、せっかくだからケーキ食べましょう」僕がそういうと、ユンホさんの顔が明るくなった。苺ショート、すきそうだなぁ。「コーヒーありますか?よかったら僕淹れますよ」というとユンホさんは「店じゃないのにチャンミンのコーヒー飲めるなんて」と喜んでくれた。アシス...

  • Take on me vol.7

    翌朝、ユンホさんは早起きだった。僕がリビングに出ていくと、もうソファから起き上がってブランケットを畳んでいた。「おはようございます」ユンホさんはさわやかに挨拶すると窓を開けた。えっと....朝日は大丈夫なんだろうか。僕の疑問に気が付いたのか、ユンホさんは笑って「陽の光浴びても灰にはならないよ。あれって昔の情報。今は医学も発達してるし、体質改善もしてるから。」そういって伸びをした。よく見るとすげー色白。...

  • TAKE ON ME vol.6

    ぽってりとした唇から舌が僕の唇を割って入ってきた。これって...やっぱりキス....だよな.....ちょっとぼんやりとした頭で僕は考えた。僕の舌にユンホさんの舌がからまり.....気持ちがいい。思わず体の力が抜けしがみつくような恰好になってしまった僕をユンホさんは支えてくれた。「ごめんね、いきなりこんなことさせて」唇を話すとユンホさんは耳元でささやいた。「こんなもんでいいんだったら、この程度で済むなら、提供します...

  • Need You Right Now vol.8

    「お邪魔します」オムライスを食った後にカトクの交換をした僕とユンホさんは、僕のバイトが終わるころにまたユンホさんが迎えに来た。店長は綺麗なスカートをひらりと返すと「行ってらっしゃい」といってにやりとした。しかもっ!ユンホさんさっきまでのジャージ姿じゃない。チノパンにカッターシャツってなんかさわやかじゃん。カフェにくるお客さんたちがざわざわするくらい、イケメンオーラを出していた。髪の毛もぼさぼさだっ...

  • TAKE ON ME vol.5

    その時の僕の顔はきっと世界一間抜けだったことは間違いないと思う。 「ふふ、美味しい」ぺろりと唇を舐めたユンホさんに「え?何がですか?」と返した質問も間抜けすぎる。 「もちろん、チャンミンの唇だけど?」この人当たり前のようになんかすげーおっかねーこと言ってるんだけど。 「僕男ですけど?」という僕も、女ならいいんかい、という愚問だったな。 ユンホさんはふわりと笑った。花みたいな笑顔だな...

  • Take On Me vol.4

    僕は夕飯の準備を始めた。夕飯に山菜の炊き込みご飯と鹿鍋という、ちょっとよくわからない組み合わせにしてしまったが自分だけでないのでなんか肉らしきものがあった方がいい、と思ってそれにしたんだけれど。ユンホさんは目を輝かせて、おいしい、おいしい、と食べてくれた。食べながら、僕はユンホさんと話をした。ユンホさんはこれはびっくりしたことなんだが、投資家らしい。だから、仕事はどこでもできる、と言っていた。なの...

  • TAKE ON ME vol.3

    その男はバッグ一つでこの村にやってきた。さらりとした黒髪で、色は白く、チャンミンとおなじくらいの背格好のすらりとしたイケメンだった。たまたま夕方に食材の買い物に出ていたチャンミンは見知らぬ男がきょろきょろとあたりを見回しているのをみかけた。旅行者が来るような村でもない。迷ったのか、なにか考えてきたのか。そういえば自分がここに来るときはこの村の村おこしの記事を見て決めたんだっけ。同類なのかなぁ、など...

  • Need You Right Now vol.7

    その日、僕は台本読み合わせに出かけた。相手役の声優さんもかわいい人だけれど、そこまでドジっ子じゃないんだよねぇ。僕は自分がどうしてもそこまでクールになり切れなくって、悩みながら台本を読み合わせをした。「シムさん素敵ですよ」相手役の子に慰められたけれど、どうしても僕のなかで勇者のイメージが出来上がらない。本物に先に逢っちゃったからかなぁ、って何言ってんだ僕。ユンホさんはユンホさんだし、勇者はユンホさ...

  • Take on me vol.2

    まったく、僕がヴァンパイアってなんだよそのキャラ設定。チャンミンはひそひそ聞こえてくる噂に笑ってしまった。この村に引っ越してきたのは持病の喘息の療養のため。空気が良いのが気に入って移り住んだんだけれどちょっと古い洋館を買ったのは失敗だった。噂に尾ひれがつくのは簡単。低血圧で午前中は動きが取れない。しかも小説家という仕事柄、決まった時間には動く必要もない。だからどうしても夕方に出かけることが多い。天...

  • Take on Me vol.1

    その洋館にはひっそりと一人の男が住んでいた。人目を避けて、昼間はほとんど出かけることもなく、夕方になるとそっと人里に下りて最小限の買い物をする。栗毛色のゆるくパーマのかかった髪、ハシバミ色の瞳。目にした人はその容姿に惹きつけられる。けれど、ほとんどその人が声を発するのを聞いたことがない。小さな村だから、その男が引っ越してきたときにはちょっとした騒ぎになった。女どもはこぞってその男の噂をし、男どもは...

  • Need You Right Now vol.6

    その日、ユンホさんはオムライスを頼んだ。いつもカフェオレにいやされてゆっくり飲んで帰るんだけれど今日は少し元気な感じで、そりゃ昨日あんな風にここにこれたってことは締め切りが迫ってるものはないんだろうな。でも、ならなんで来たんだろう、なんてことを考えてた僕は十分頓珍漢なんだけどね。ゆっくりとおいしそうにオムライスを平らげて、小さな口でもぐもぐしてるのをなんか見つめていたらユンホさんと目があってにこっ...

  • 閑話休題:今後のお話について

    いつもお話を読んでくださる方々には心より御礼申し上げます。こんばんは、今日は早めに出したあーちゃんです。完結しましたが、今回はほんと、本物をなぞるような感覚でしたのであまり面白みはなかったかな?もうすこし書き直しが必要だなぁ、と思う部分が結構あるのでそのうちリメイクします。メーリングリストについても久しぶりに出したのですが、お返事をいただけるととてもうれしいです。もちろん、自分が好きで描いてるのだ...

  • 黒と白 vol.63

    家に帰ると、家の前でかじかんだ手をこすりながら通りを見つめているチャンミンが居た。「なんで家にいない?」そう声をかけると「入らないつもりだったんじゃないの?」と言われた。チャンミンは俺の手を引っ張って家に押し込んだ。抱きしめられて、硝煙と血の匂いが気になった。けど、チャンミンは俺を抱きしめたまま、肩を震わせた。俺は黙ってチャンミンの背中と頭を撫でていた。「また、戻ってこなかったらどうしよう、って思...

  • 黒と白 vol.62

    扉を開けて外に出た。もう、真っ暗だった。着ていたスーツには血が付いていた。襟元についている組のバッチ。俺はそれをちぎって投げ捨てた。全てが静かだった。俺が今まで生きてきて守ろうと思ったものがすべてなくなった気がした。拾われてから、いくら気持ちが悪いと思っても、敬意は払ってきた。俺を殺そうとしてきたことも想定内だった。それでも、俺は王社長を受け入れ、俺にくれた場所を護ろうとした。組員も、キリヤマもみ...

  • 黒と白 vol.61

    「ひょぉ...」奇声ともとれるような声を上げて、王社長はテーブルに投げ返した銃を取った。弾丸は1つ。コルトは6つ。王社長が1発、俺が1発。確率は50%。王社長はまた引き金を引いた。けれどそれは引くまですこし手が震えていた。部下たちはこの命を懸けたゲームに固唾をのんで見守っていた。俺は間髪入れずに引き金を引いた。撃鉄を起こしたときの些細な音で弾は入っていないことはわかっていた。確率は6割を超えた。 銃を投...

  • Need You Right Now vol.5

    翌日のバイトはなんだかどんな顔をして出て行ったらいいか、困った。でも、バイトに行くと店長が「よう、チャンミナ。昨日はびっくりしたなぁ?」と肩をばしっとたたいてきた。今日の店長は姑娘(クーニャン)でチャイナドレススタイル。なのに昨日はフツーのカッコしてたからほんとユンホさんの姿が際立っていていつも自分がバイトしてるカフェじゃないような気がしてとても落ち着かなかった。店長はそんな僕の逡巡も見抜いていて...

  • Need You Right Now vol.4

    「小鹿君だ!」よくわからない。僕の前に立ちふさがるイケメンが急に訳の分からない言葉をしゃべりだした。っていうか、漫画家の先生なんだよね?超絶イケメンで、アニメの主人公みたいなんだけど。マネージャーさんが挨拶してる。「どうも初めてお目にかかります。チョン・ユンホ先生。こちらアニメの主人公声優を務めさせていただきます、シム・チャンミンでございます」「僕、知ってるよ、いつもこのカフェでバイトしてるよね、...

  • 黒と白 vol.60

    王社長は食事中だった。ずるずると麺をすすり、ナムルをくちゃくちゃと音をたてて噛んでいた。ユノはずっとその音が嫌いだった。嫌いと言えば王社長からもらった飴。王社長はいつも棒付きの飴をカラコロと舐めていた。きっとその音がユノを脅かす音となっていたのだろう。ユノはその音を止めたい、と思った。そうだ。俺はずっとこの粘液質な音が嫌いだった。撃鉄を跳ね上げ、王社長のこめかみを狙った。王社長は笑って両手をあげた...

  • Need You Right Now vol.3

    「シム君」マネージャーさんに呼ばれた。「このアニメの原作者さんに逢えるんだけど、今度挨拶に行こうか」えっ?マジですか?それは僕が昇天してしまうくらいのイベントを仕事の上でこなせっていうことなんですか?どんな人なんだろう。きっとおっさんなんだろうけど、僕だってオタクなんだから人のことは言えない。そしてこのアニメ原作で速攻読んで結構大好きなアニメになってるっていうのも伝えた方がいいかな。「あ、でもなん...

  • Need You Righht Now vol.2

    締切が終わって、仕事が終わるとよくいくお気に入りのカフェがある。 そこにはいつも、小鹿のような目をしたかわいい男の子がウェイターをやっている。 声は比較的低めのイケボなんだけれど、顔はかわいいんだよなぁ。 俺は目の保養によくそのカフェを利用し、そしてくるくるとよく働くその姿をぼんやりと目で追いながら 甘いカフェオレを頼む。 俺の描く漫画は実はその子をイメージしてるんだよな。 目がくりっとしてちょっ...

  • 黒と白 vol.59

    キュヒョンはステージを取材に来ていた。オーディションの情報は逐次TV番組でも放送され、早くもファンがついて推しとしてその立ち位置を獲得したそんな子もいた。イベントの主催者の中にユノの名前はなかった。スポンサーとしては東方組の名前を挙げ、王社長の名前も見当たらなかった。クリーンなイメージでしかない。ここのイベントでデビューする子たちに対する配慮もちゃんとされてる。けれど、この最終審査のイベントの途中に...

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