あなたへ このまま伸びなければ良いのに。 前髪を見つめながら、本気で願っていたのに、 そんな願いも虚しく、私の前髪はいつも通りのペースで伸びて、 遂に前が見難くなってしまいました。 日々、少しずつ伸び続ける髪を見つめながら、 髪に対して、このまま伸びなければ良いだなんて、 こんな願いごとを持ったのは、思えば初めてのことでしたが、 無理を承知の上で、それでも本気で願ってしまったのは、 何度考えてみても、 あなたが切ってくれたに違いない特別な前髪だったからでした。 仕方なく、自分で切った前髪は、今回もまた、 あなたみたいに上手に切ることが出来たけれど、 やっぱり、あなたが切ってくれるそれとは違って…