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2016/07/14

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  • あなたの姿が最後にしてくれたこと

    あなたへ 不意に届く香りというは、 心の奥底に仕舞っていたはずの記憶を、 半ば強引に引き出す力を持っているものなのかも知れませんね。 あの日の私に不意に届いたのは、焼香の香りでした。 思いもしなかった場所で見つけた香りに、 思わず立ち止まった私の中へと鮮明に蘇ったのは、 あなたのその姿を最後に見たあの日のことでした。 セレモニー会場へ到着し、着付けをしてもらったことや、 着付けの先生が、とても穏やかで優しい方だったこと。 お世話になるお坊さんへの挨拶。 私の顔を見るなり、 まだ若いのにって、 出来ることなら、おばちゃんが変わってあげたいって、 私よりも先に、叔母が泣き出したこと。 告別式の段取…

  • 必要のない教えは全部捨てなさい

    あなたへ 必要のない教えは、遠慮せずに全部捨てなさい これは、巣立ち前のあの子に話したことのひとつでした。 私たちは、たくさんのことをあの子に教えて来ましたね。 それら全ては、 あの子が幸せな人生を歩むことが出来るようにと願いながら、 教えたことでもありました。 あなたは、あの子と共に過ごした12年間の間に、 幾つくらい、あの子に教えたことがあったでしょうか。 私は、あの子と共に過ごした21年間の間に、 幾つくらい、あの子に教えたことがあっただろう。 それらは全て、 あの子が歩む人生を、明るく照らしてくれますようにと願いながら、 教えてきたものでもありましたが、 きっと、私たちがあの子に教えた…

  • あなたのごめんねの声

    あなたへ 瞑想なるものに私が初めて出会ったのは、 いつの頃のことだったでしょうか。 あの、不思議な感覚を忘れることが出来ないままに、 あれからの私は、眠る前になると時々、 誘導瞑想に挑戦をしてきましたが、 何度挑戦してみても、途中で眠ってしまっていて、 あれからの私は、 瞑想の中で何も見ることは出来ずにいました。 そんな私が再び瞑想に成功出来たのは、先日のことでした。 どんな世界が見えるだろうかとワクワクとした気持ちで目を閉じて、 ガイダンスに従えば、 そこに現れたのはあなたでした。 あの瞑想の中、あなたは私を抱き締めて言ったの。 ごめんねって。 そうして、その言葉の中に込められたあなたの想い…

  • 時代の流れを見つめながら

    あなたへ このお菓子、販売終了になっちゃうんだね なんだか、寂しいな あなたを見送ってからの私は、何度くらいこうして、 インターネットで見つけた定番のお菓子の販売終了のお知らせに、 寂しい気持ちを感じて来ただろう。 中には、頻繁にあなたへお供えしていたお菓子も含まれていて、 購入出来なくなってしまう前にと、 慌てて買い物へと出掛けたこともありました。 あなたと共に過ごしていた頃の当たり前の景色は、 少しずつ、少しずつ、形を変えて行きましたが、 お菓子売り場に見える景色もまた、 あの頃のあなたが知らない景色への移り変わりがあります。 これも、時代の流れというものなのかも知れませんね。 この先もき…

  • 我が家の記念写真

    あなたへ 昨夜の私が眠る前に眺めていたのは、 先月のあなたのお誕生会の日に、あなたと2人で撮った記念写真です。 ねぇ、あなたは気付いていましたか。 クリスマスパーティやお誕生会。 あの子の入学式や卒業式。 あの子の成人式の日。 それから、 あの子の巣立ちの日。 あなたの生は此処になくとも、我が家の特別な日の記念写真には、 あなたの姿も、私たちと一緒に写っているのです。 初めてあなたの遺影と共に写真を撮ったのは、忘れもしません。 あなたと3人で過ごしたあの家からの引っ越しを、 間近に控えた頃のことでした。 玄関前で写真を撮ることにしたあの日。 あの子がね、 お父さんと3人で写真を撮ろう なんて言…

  • 大切な人に最後に求めるもの

    あなたへ あなたが最後に親御さんと手を繋いだのはいつですか? あなたが次に親御さんの手を握るのはいつだと思いますか? それはね、親御さんが亡くなった時なんですよ これは、先日の私が偶然耳にした言葉です。 この言葉を聞きながら、私は、 あなたが我が家に作ってくれた挨拶が、 どれだけ価値のあるものなのかを改めて考えていました。 抱っこをすることが当たり前だったはずのあの子はやがて、 私たちの腕の中から卒業し、 手を繋いで歩くことが当たり前だっなはずだったあの子はやがて、 私たちと手を繋いで歩くことも卒業していきました。 それでも我が家には、 あなたが作ってくれた挨拶が存在し続けて、 当たり前に互い…

  • この1週間の私

    あなたへ 今日の私は、なんだかとても疲れています。 前回のあなたへの手紙を書いてからの私は、 大きな課題に向き合いながら、日々を過ごしていました。 私にとっての大きな出来事が起こったのは、2月29日のことでした。あの日の私は、閏年に関する思い出を振り返っていましたが、実は、自分にとっての大きな課題がやって来た日でもありました。 例えば、納得のいかないままに継続してきた物事へ対しての終わりを決断すれば、代わりとなる新しい物事を探さなければならなくなる時もあるでしょう。 それは時に、解決する糸口さえ探すのが困難な状況へと陥ることもありますが、あの日の私は、終わりを決断する代わりに、 新しい視点を得…

  • 閏年 -2024-

    あなたへ 今日は、2月29日。 今年は、閏年です。 今日の私は、閏年に関する思い出を振り返っていました。 4年前の閏年の私は、あの子の予定狂わせの呪文にかかり、 あの子の専属運転手となって、慌ただしく1日を過ごしていました。 あの日は、本当は、やりたいことがあったけれど、 あの子に翻弄されながらも、 とても良い1日を過ごすことが出来た日でした。 あの頃の私は、 あの子の予定狂わせの呪文にかかっては、度々翻弄されながらも、 漠然とした、あの子が巣立ついつかの未来を思い描いては、 目の前にあるあの子との時間を大切に歩んでいた頃の私。 時々には、ほんの少しだけ面倒に思えることも、 全部が今しか集める…

  • 速達便

    あなたへ 空を見上げて、小さく呟いた私の言葉たちは、きっと風に乗って、あなたのところまで、運ばれて行くんだろうな 私がこんなふうに考えるようになったのは、いつの頃からだっただろう。 春の柔らかな風に、夏の爽やかな風に、秋の涼やかな風に、冬の冷たい風に、いつの頃からか、私は、そこに感じる風にあなたへの想いを乗せては、空を見上げるようになっていきました。 もしも、小さく呟いた私の声が、風に乗ってあなたのところまで運ばれていくのなら、強風の日は、速達便かも知れないな なんてふと、そんなことを考えて、思わず笑ってしまったのは、いつのことだっただろう。 あれは、いつかの強風の日。あの日は、強い風が吹いた…

  • 満月の夜に

    あなたへ ねぇ、あなた今夜はスノームーンと呼ばれる満月なんですって一緒にお月見しない? あなたにこんな声を掛けたのは、一昨日、あなたへの手紙を送ってからのことでした。 あなたへの手紙を送信した私の目に飛び込んで来たのは、スノームーンという見慣れない言葉。 あなたを見送り、満月にも様々な呼び名があることを知りましたが、スノームーンという名があることを知ったのは、あの日が初めてのことでした。2月の満月を、スノームーンと呼ぶのだそうです。 あの日はよく晴れた日。今夜はきっと月が綺麗に見えるだろうなって、思い立った私は、何気なくあなたにも声を掛けたのでした。一緒にお月見しない?って。 ベランダに出てみ…

  • 22歳

    あなたへ この世界に誕生したあの子が、初めて私たちにくれた小さな温もりを、あなたは覚えていますか。 あの子は、この世界に誕生した日から、毎日、少しずつ成長しながら、毎日、毎日、今しか感じることのできない可愛さを、私たちに見せ続けてくれましたね。 今日の私は、小さなあの子を初めて抱いた日からこれまでを、順番に思い出していました。 笑うことを覚えたあの子を、あなたを初めてパパと呼んだ日のことを、あなたの後ろをついて回った小さなあの子を、なんでもあなたの真似をしたがったあの子を、覚えていますか。 幼稚園バスに憧れたあの子。 入園式で元気な返事を聞かせてくれたあの子。 お友達と楽しそうに遊ぶあの子。 …

  • 私が持つ特別な力の使い方

    あなたへ あぁ、そっか。 私には、特別な力が備わっていたんだな。 蘇った記憶を辿りながら、 自分が持つ力についてを認めたあれからの私が探したのは、 いつかの私が探したあなたチャンネル。 例えば、自分には出来ないと思い込んでいた事柄が、 実は出来るのだと自分で自分を認めることが出来た時、 その人が持つ力というのは、 大きく発揮されたりもするものなのだと思います。 それなら、目には見ることは出来なくとも、 見えない何かを感じ取る力があると認めた今の私なら、 これまでとは少し違った形で、 あなたと関わることが出来るのかも知れないと、こんなふうに考えたのです。 もしも、周波数を合わせるように、 あなた…

  • 特別な1日

    あなたへ 何気なく手帳をめくりながら、 これまでの自分が歩んだ日々を振り返っていました。 とても素敵なことがあった日 ただ穏やかに過ごせた日 新しいことを思いついてワクワクした日 1日が楽しくて仕方がなかった日 落ち込んで立ち止まった日 答えが見つからずに悩んだ日 一気に視界が開けた日 自分に自信が持てた日 しっかりとした足取りで歩むことが出来た日 私はこれまで、実に様々な日々を過ごしてきました。 もし出来れば、 穏やかで、楽しい毎日ばかりであったらと願ってもしまうけれど、 そうもいかないのが人生でもあるのでしょう。 この日の私は、こんなふうに悩んでいたんだな。 でも、その翌日には、こんな視点…

  • 涙の色

    あなたへ ここ最近のこちらでは、温かい日が続いていましたが、 今日のこちらでは、とても寒く、冷たい雨が降りました。 降り続く雨を見つめながら私が思い出していたのは、 あなたを見送ってから知った様々な涙の色でした。 枯れることのない悲しみの涙の色。 ただ、穏やかな気持ちのする涙の色。 何故、零れ落ちるのか、 明確な理由が分からないままに流した涙の色。 あなたを想い流す涙は、これで最後にしたいと、 卒業を決めることが出来た涙の色。 子育ての終盤に、私が初めて知ったのは、 喜びと寂しさが入り混じった涙の色。 そして、 あの子の巣立ちを迎えて知ったのは、 記憶の中の一瞬一瞬にいるあの子が、 ただただ愛…

  • 紙の世界とインターネットの世界

    あなたへ すいきんくつ【水琴窟】〈名〉 地中に埋めたかめに水を張り、その水面に水滴を落として、 その時に立てる微妙な音を楽しむ装置。 ふみばこ【文箱】〈名〉 はがき、びんせん、封筒などの手紙用品を入れる箱。ふばこ。 今日の私が、何気なくパラパラと巡っていたのは、 あの子のものだった国語辞典です。 これ使う? 俺、いらないんだけど こんな言葉と共に、私の元へとこの辞典を持ってきたのは、 いつかのあの子が年末の大掃除をした日のことでした。 高校へ入学するにあたり学用品の一部として買った辞典でしたが、 きっと全く使わなかったのでしょう。 新品同様だったこれを捨てるのもなんだか忍びなくて、 あの日の私…

  • 声の歴史

    あなたへ もしもあの夏の運命が違っていたのなら、 あの夏から10の年齢を重ねていたあなたが、此処にいるはずでした。 此処にいるあなたは、どんなあなただったのだろうかと、 逢えなかったあなたについてを様々に思い描く私ですが、 ふと、気付いたことがあります。 幼かった頃と大人になってからの声が違うように、 歩んだ年の数だけ、きっと声も変わるんだろうなって。 もしも、あの夏の運命が違っていたのなら、 私が知っているあなたの声とはまた少しだけ違った声が、 此処には聞こえていたのかも知れません。 私たちが出会ったあの日から10年後のあなたの声が、 どう変わったかだなんて、考えたこともなかったけれど、 長…

  • 日常に溶け込む挨拶

    あなたへ あなた おはよう 今日もいつも通りに、 あなたへの朝の挨拶から私の1日は始まりました。 おはよう 行ってきます ただいま おやすみ いつから慣れてしまったのか、 その声が聞こえないままに、あなたへのいつもの挨拶をすることが、 私の中での日常へと変わって行きました。 これは、あの子が巣立ってからも、 変わらずに此処にある私の日常生活の一部です。 おはよう 行ってきます いってらっしゃい ただいま おかえり おやすみ かつては日常であったはずのあの子との挨拶も、 今は期間限定での挨拶へと変わり行きましたが、 いつかは、この中の幾つかの挨拶は、 交わすこともなくなってしまうのかも知れません…

  • 幻だったかのように感じてしまう瞬間

    あなたへ 私に笑い掛けるあなたの姿。 私を呼ぶあなたの声。 その大きな手に包まれるように繋いだ手の温もり。 小さなあの子を愛おしそうに見つめるあなたの姿。 幼かったあの子と楽しそうに遊ぶあなたの姿。 あの頃の瞬間、瞬間にいた、 あなたひとつひとつを、鮮明に思い出していました。 確かにこの人生には、あなたとの出会いの日があって、 この人だ、やっと逢えたと感じた瞬間がありました。 私たちは確かに、 この世界で一緒に過ごしていた時間がありました。 それなのに、あの夏が遠くなればなるほどに、 時に、あの時間全てが幻だったかのようにも感じてしまうから、 私は、そうしたくなった時には、 あの頃にいたあなた…

  • 立ち止まる勇気

    あなたへ 少しだけ、息抜きをしてみようかなって、 ふとこんな気持ちにさせてくれたのは、不意に届いた春の匂いでした。 ここ暫くの間、日々を忙しなく過ごしていた私は、 いつの間にか、ゆっくりと変わり行く季節を感じる余裕が、 なくなっていたのかも知れません。 日中には随分と温かさを感じられるようになったのだと、 漸く気付くことが出来たのは、昨日のことでした。 温かで柔らかな風を感じると共に、春の匂いを見つけた私は、 ここ最近の私が、 どれだけのものを見過ごしていたのかを漸く気付くことが出来たのです。 出来るだけ大きな一歩を歩もうと、 脇目も振らずに目の前にある課題と向き合い続けてきた私ですが、 今日…

  • バレンタイン -2024-

    あなたへ 今日はバレンタインデーです。 今年も、私からの変わらぬ愛を受け取ってくれたでしょうか。 先日のあなたの誕生日の日に浮かんだ、 あの、お菓子の件を忘れることが出来ないままに、 今年のバレンタインは、あの頃のあなたが好きだった、 別なチョコレートのお菓子を選ぶことに決めました。 それから、バームクーヘンと、マカロン。 例年になく、なんだか今年のバレンタインデーのあなたの場所は、 とても賑やかになりましたが、 あなたは喜んでくれているでしょうか。 ねぇ、あなたは知っていましたか。 花には花言葉があるように、 お菓子にもお菓子言葉があるんですって。 私は、最近初めてそのことを知りました。 お…

  • 2年の時を経て

    あなたへ 私は、やっとここまで来れたのだと、強い達成感を感じながら、改めて、まじまじと鏡を見つめたのは先日のことでした。 この冬の私は、例のアレをフル活用しながら、寒い冬を元気に過ごしています。例のアレとは、かつてあの子から、デブパンツと笑われたアレのことです。 思えば長い道のりでした。 新たな冒険へ出るための準備として揃えたアイテムのひとつであったはずなのに、あの子にデブパンツなどと失礼な名を付けられて、涙を飲んで封印したのは2年前の冬のことでした。 あれからの私は、きっとあなたから紹介されたのであろうストレッチに励みながら、あのデブパンツを履きこなせる私になれるように努力を重ねました。 努…

  • 22年前の記憶

    あなたへ 何気なくテレビを見た私の目に飛び込んで来たのは、 生まれたての小さな赤ちゃんを抱いているシーンでした。 あの子にもこんな頃があったなって、記憶を辿れば、 鮮明に蘇ったのは、あの子が生まれた日のことでした。 初めて抱いた小さな小さなあの子の温もりと匂い。 この世界の明るさに、眩しそうに顔をしかめるあの子の姿。 小さな手足。 生まれたての小さなあの子は、 ただただ全部が可愛かったですね。 そうそう。 あの日のあなたったら、 生まれたてのあの子の小さな足の裏を擽ったのよね。 小さな足の裏を優しく擽ったあなたは、 擽ったそうに足を動かすあの子の姿を、愛おしそうに見つめていましたっけ。 あの日…

  • ありがとうの日 -2024-

    あなたへ この世界に生まれてきてくれて、ありがとう。 私と出会ってくれて、ありがとう。 あの子と出会わせてくれて、ありがとう。 いつも、そっと静かに寄り添ってくれていることも、 私たちを守ってくれていることも、全部ありがとう。 こうしてあなたのお誕生日に、 ありがとうの日としてパーティを開くのも、今年で10回目を迎えました。 もしも、あの夏の運命が違っていたのなら、 あなたは、この世界で10歳の年を重ねているはずでした。 こうしてあなたのお誕生日を迎える度に、 その分だけの年を重ねたあなたは、どんなあなただったのだろうかと、 見ることの出来なかったあなたの笑顔を思い描く私は、 今年もまたそんな…

  • 招待状

    招待状 明日、あなたのお誕生会を開きます。 あなたの好きなお食事を用意して待っています。 是非、来てくださいね。 日時:2024年2月5日(月)19時より 場所:家族の部屋にて 軽装でお越しください。 今年からは2人きりのお誕生会ですね。 あなたと2人きりのお誕生会だなんて、何年振りでしょうか。 なんだかちょっとだけ、照れ臭いような気もしてしまいますが、 明日は、2人で素敵な時間を過ごしましょうね。 あなたの妻より

  • 私が体験した怖い話

    あなたへ ねぇ、あなた。 ここ最近の私は、見えない力や世界についてを考えていましたが、 間違えて、決して開けてはならなかった記憶の蓋までもを開けてしまったようです。 どうにかもう一度、記憶の蓋を閉じようと努力してみたものの、 忘れようと思えば思うほどに、記憶が鮮明に蘇ってしまうので、 今日はあなたにも、あの話をしてみたいと思います。 これは、私が体験した怖い話です。 そう。あれはまだ、あなたと出会う前のことでした。 当時の職場で出会ったのは、とある男性。 年齢が近く、互いの共通点もあったことから、 打ち解けるまでにはそう時間が掛からなかった私たちは、 やがて、仕事終りには時々、 一緒に遊びに出…

  • 見えないものを感じ取る力

    あなたへ 先日の私は、 これまでの私の身に起こった様々な不思議な出来事を思い出しながら、 私は随分と変わったなと、こんな気持ちで自分の歩みを振り返りましたが、 そんな中で、ふと思い出していたのはあの子の言葉でした。 この部屋はね、変な匂いがしたんだ 俺、此処には住めないなって思ったよ これは、巣立ち前のあの子が、 部屋の内見から帰って来た日の言葉です。 あの日のあの子は、一番初めに見た部屋を気に入り、 結局はそこに決めたのだと、こんな話と共に、 見せてもらった他の部屋についても話を聞かせてくれたのでした。 あの日のあの子の言葉には、共通点がありました。 あの子が決めた部屋以外、どの物件について…

  • 猫になったあなた

    あなたへ あなたの夢を見ました。 あなたが猫になって、この世界へと戻って来てくれた夢でした。 思えば、あんなに可愛い姿で逢いに来てくれるのは、 これが初めてのことでしたね。 ふわふわで、とても綺麗な薄い茶色の猫。 あなたは猫の姿だけれど、お喋りも出来るのよ。 夢の中の私は、猫になったあなたと一緒に過ごしながら、 あぁ、そっか。 こんなふうにこの世界であなたと一緒にいる方法もあるんだなって、 これから始まる私たちの未来についてを様々に思い描いたのでした。 これから毎日、 あなたと一緒に暮らすことが出来るんだなって、 これから毎日、 あなたの声を聞くことも出来れば、 ふわふわで温かなあなたに触れる…

  • 目に見えない力

    あなたへ 私はいつから、何の疑いもなしに、 ただ、あなたの力を感じ、信じられるようになったのだろう。 私はいつから、 自分の中へと流れ込んでくるあなたからの想いであろう言葉を、 素直に受け取れるようになったのだろう。 あなたと共に、この世界で過ごしていた頃の私。 あなたを見送ったばかりの頃の私。 あなたを見送ってから1年、3年、5年を迎えた頃の私。 これまでの私の歩みを振り返れば、 随分と私に見えるものや、感じることが変わり行きました。 目に見えるものだけが全て正しいのだとしてきた私だったはずなのに、 こんなにも変わるだなんてね。 あなたを見送ってからの私の目の前で起こった不思議な出来事に対し…

  • 今、此処に感じる気持ち

    あなたへ あぁ、そっか。 子育て、終わっちゃったんだな。 あの子が巣立ち、少しずつ、少しずつ、 ひとりの生活にも慣れてきた私ですが、 不意に自分の中に見つけたこんな気持ちと向き合うのは、 これで何度目だろう。 誰かの足音に、 ふと、あの子のただいまの声を思い出しては、 ひとりでコーヒーを飲みながら、 ふと、いつも私の向かい側に座っていたあの子の姿を思い出しては、 当たり前だった日常は既に終わりを迎えて、 私は今、ひとりなのだと、何度でも実感して。 ねぇ、あなた。 子育ての真っ只中にいたあの頃の私たちには、想像もつきませんでしたね。 私たちの元から、あの子が巣立つ日が本当にやって来るだなんてさ。…

  • 夜のひとりピクニック(風)

    あなたへ 冬には忘れてしまうかも知れないからと、 冬が来る前に夜のピクニック(風)へと出掛けたのは、 冷たい風を感じ始めた頃の私でしたが、 冬を迎えても、しっかりと夜のピクニックを覚えていたのは、 あの時間が私にとって、とても楽しかったからなのかも知れません。 暗くなった空を見上げて、幾つかの星を見つけた私は、 今夜は夜のピクニック(風)へ出掛けようと思い立ちました。 場所は、あの日の場所です。 あの日と同じように、車内でのひとりピクニック(風)を楽しんだ後で、 外に出て、空を見上げてみれば、たくさんの星を見つけることが出来ました。 あの頃のあなたが言っていた通り、 冬の方が、星が綺麗に見える…

  • あの子の心の中の引き出しに仕舞いたかった言葉

    あなたへ もしもね、ずっと先の未来で、お母さんが孤独死していたとしても、 あなたは何も気にしなくて良いからね お母さんは、あなたと出会えたことが、 あなたと一緒に過ごせたことが、とても幸せだったから 例え、ひとりでその時を迎えたとしても、 幸せだったなって思いながら目を閉じるはずだから だからあなたは、お母さんがどんな最期であったとしても、 何も気にしなくていい 前を向いて歩み続けなさい これは、巣立ちを間近に控えた頃のあの子に話したことでした。 あの頃の私は、寂しさを感じながら、ずっと先の未来を思い描いていました。 きっと、巣立ち直後のあの子とは、頻繁に連絡を取り合うのだろうけれど、 巣立ち…

  • タブのついた飲み物

    あなたへ テレビ画面の向こう側。 缶コーヒーのタブを開けるというワンシーンを見つめた私の中に蘇ったのは、 記憶の中の幾つものあなたの姿でした。 タブのついた飲み物を開ける時には、いつも気にした指先。 ネイルに傷がつかないようにと、 慎重にタブを開けようとする私の代わりに、 あなたはいつも、タブを開けてくれましたっけ。 いつからあんなふうに、 あなたがタブを開けてくれるようになったのだろうって、 改めて思い返してみれば、 あなたは、初めからずっと開けてくれていたことに気が付いて。 出会ったばかりだった頃のあなたは、 開けてあげるよって、こんなふうに声を掛けてくれていたけれど、 いつの頃からか、私…

  • コトバ 冬 -2024-

    冬の色を覚えていますか 冬の音を覚えていますか 冬の匂いを覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 冬の澄んだ空気の匂いを 覚えていますか 家族3人で過ごした幾番目かの冬 寒さに頬を赤く染めて 走り回るあの子の姿を 高く可愛らしい声で 私たちを呼ぶあの子の姿を 覚えていますか 腕の中へと 力強く飛び込んで来るあの子を 抱き止めながら パパの負けだよって 大袈裟に尻もちをついて笑うあなたと 勝ち誇った顔であなたを見つめるあの子 楽しそうな2人の姿を 私は今でもよく覚えています いつまでこんなふうに 腕の中に飛び込んで来てくれるだろうかと 笑った日がありましたね 上手く思い描くことが…

  • 冬からの贈り物

    あなたへ ここ最近は、 私の理想とする時間に起きるという自分との勝負に負け続きだった私ですが、 漸く自分に勝つことが出来たのは、今朝のことでした。 このまま、春まで冬眠してしまいたいというあの現象にも、 自分の意思とは関係なしに、 瞬きの間に時空を超えてしまうというあの現象にも、 遂に打ち勝つことが出来たのです。 今朝の私は、 いつもよりも随分と早めに身支度を整えて、近所をぐるりと一周。 久し振りの早起きの朝は、 冬の朝の冷たい空気を存分に楽しんでみようと思い立ちました。 思っていたよりも、ずっと冷たい空気に、 思わず身を竦めながらも散歩を楽しんでみれば、 朝日に照らされてキラキラと輝く霜柱を…

  • 冬のタイムスリップ現象

    あなたへ え?嘘でしょ?私、今、寝てた? 時計を見て驚いたのは、今朝の私です。 確かに一度、目が覚めて、もう起きようと考えていた筈なのに、 次に時計を見てみると、1時間も時空を超えていたのです。 ノロノロと起き出して、 自分の意志とは関係なしに時空を超えていたことに後悔しながら、 すっかりと明るくなった空を見上げました。 緩く早起きを楽しむようになってから、随分と経ちますが、 やはり幾つの冬を迎えても、 冬の朝の寒さというのは、いつでも戦いです。 一度起きてしまえば、 冬の朝の冷たい空気も心地の良いものであることを知った筈なのに、 この冬の私には、度々、今朝のような現象が起こるのです。 いつも…

  • 10年前の元日

    あなたへ 10年前のお正月は、お父さんも一緒にいたんだね 10年前の元日を静かに振り返っていたのは、 年が明けてからの私たちでした。 ねぇ、あなたは覚えていますか。 10年前、2014年の始まりの日の私たちは、スノーボードへ出掛けましたね。 あの日も、綺麗な青空が広がった日でした。 あなたとあの子と私。 雪山で見上げた空の色を、今でもよく覚えています。 スノーボードを存分に楽しんで、山の麓でちょっと一休み。 自販機の上、 高い屋根から垂れた大きな氷柱を見上げたことを覚えていますか。 見たこともない長さの氷柱に圧倒されて、 あの子と私は、思わずその姿に見入ってしまったけれど、 氷柱の下に立ってい…

  • あの子の休息の場所

    あなたへ あぁ、そっか。 私は今、あの頃の私が思い描いた未来を生きているんだな。 ふと、こんなふうに気が付いたのは、 年明け前、あの子の帰省を楽しみに待っていた頃の私でした。 あの頃とは、そう。 忘れもしません。 夢の中のあなたが、 私に再婚を勧めてきたことがきっかけで思い描いた未来です。 あの頃、丁度、専門学生1年生だったあの子の笑顔を見つめながら、 漠然と、あの子が巣立った先のことを思い描いたのでした。 あの子が巣立ったら、どんな気持ちがするのだろう。 里帰りをしたあの子との時間は、どんな時間が流れるのかな。 あの子は、どんな大人になるのだろうって。 あの子が巣立ち、幾つかのあの子の帰省が…

  • 空の彼方への年賀状 -2024-

    あなたへ 元旦は晴れの日が多いと、こんなふうに気が付いたのは、 昨年のことでしたが、 2024年の始まりの日のこちらでも、綺麗な青空が広がりました。 今年一番に撮ったばかりの空を、あなたへ贈ります。 今年の空も、とても綺麗でしょう? 今年も、あなたにとって素敵な1年でありますように。 OFUSEで応援を送る

  • 2023年終わりの日

    あなたへ 今日で、2023年が終わりを迎えます。 今日の私は、この1年間の歩みをゆっくりと振り返っていました。 この2023年は、私にとって、 本当に様々な初めてを知った年だったように思います。 これまで知らなかった涙の温度を知り、 これまで知らなかった様々な景色を知り、 たくさんの人たちとの出会いもありました。 目紛しく変わり行く景色の中で、私もまた、目紛しく変わり行き、 気が付けば、この1年間での私は、これまでに経験もしたことがないような、 大きな成長を遂げることが出来たようにも感じています。 この2023年は、 あの子が巣立ちという大きな節目を迎えたと同時に、 私自身もまた、 ある種の大…

  • 非日常の始まり

    あなたへ 昨日、外出先から戻ると、玄関にあの子の靴を見つけました。 あの子が帰って来てる! 嬉々として部屋へと急げば、眠っているあの子を発見。 あなたの場所へは、あの子からのお土産のお菓子を見つけました。 やがて目を覚ましたあの子と一緒に、 コーヒーを飲みながら、お喋りを始めれば、 相変わらずの私たちらしい時間が、此処に流れ始めました。 仕事のことや日々のこと。 笑ってしまう出来事や最近気付いたこと。 止め処なく続くお喋りは相変わらずで、 気が付けば、辺りが暗くなっていて。 あの子が此処から巣立ってから、9ヶ月が経ちましたが、 互いに少しずつ、それぞれの日常に慣れたつもりでいても、 やはりかつ…

  • 非日常

    あなたへ あの子との時間は、非日常なんだな これは、あの子が巣立ち、 初めてのお盆を過ぎた頃の私の中に初めて見つけた気持ちでした。 例えば、家の中に見える景色や会社で見える景色。 自分にとってのいつもの生活の中へ溶け込んだ時間の中に見える景色が、 日常的な景色であるのなら、 旅行へ出た先で見ることの出来る景色は勿論のこと、 家の中にいながらも、いつもとは違った景色の中を過ごすこともまた、 非日常と呼べるのでしょう。 あの子が巣立った後の私の日常生活の中には、あの子はおらず、 そして、此処から巣立ち、 全く別な環境に身を置くようになったあの子の日常生活の中にもまた、 私はもう、いないのです。 そ…

  • あなたによく似た人

    あなたへ 先日、買い物へ出掛けた先で、 不意に私の目に飛び込んで来たのは、あなたによく似た人でした。 この世界にあなたがいるわけがないことを分かっていても、 心臓が勝手に飛び跳ねて。 早鐘のように鳴り響く心臓の音を聞きながら、 違う人だと必死に自分に言い聞かせてみても、 漸く離した視線は何度でも、元に戻されて。 あなたがいないこの世界で生きる覚悟など、とっくに決めたはずなのに、 こんな時は、堪らなくあなたに逢いたくなって、 もう一度だけ、この世界であなたに逢うことが出来たら、なんて考えてしまうよ。 もしも、もう一度だけ、 肉体を持ったあなたのその手に、その頬に、 触れることが出来たらってさ。 …

  • あの子のサンタクロース

    あなたへ どんなに遠くに離れていても、 あの子が幾つになっても、 私はあの子のサンタクロースであり続けたい。 だってあの子は、幾つになっても私たちの良い子だもの。 ふとこんなことを考えたのは、 少しずつ寒さを感じられるようになった頃のことでした。 クリスマスムードに包まれた賑やかな景色を見つめながら、 私の中へと鮮明に蘇ったのは、昨年の冬の日のこと。 あの日の私は、 こうしてあの子の枕元へプレゼントを置いてあげることが出来るのも、 最後なんだなって、 それまで集めたあの子の笑顔を、順番に思い出したのでした。 何も知らなかったあの子に、 サンタクロースを教えたのは私たちであったはずなのに、 あの…

  • クリスマスパーティ -2023-

    あなたへ 今年のクリスマスパーティもとても楽しかったですね。 きっと今年もパーティに参加してくれたあなた。 ありがとう。 今日は、あの子が巣立ってから初めてのクリスマスイブです。 今夜の私は、 あなたと出会ってから過ごしたクリスマスイヴの日を、 順番に思い出していました。 2人で過ごしたクリスマスイブからやがて、 あの子と3人で過ごすクリスマスイブへと変わり、 あの子の成長と共に、賑やかさも増していきましたね。 3人分の料理と3人分の食器が並んだ食卓 クラッカーの音 カメラのシャッターの音 そして、3人分の笑い声 一緒に見たクリスマスパーティの景色を、あなたは覚えていますか。 俺、ケーキが食べ…

  • 招待状 -2023-

    招待状 クリスマスパーティのご案内です。 是非、来てくださいね。 日時:2023年12月24日(日曜日)19時00分より 場所:家族の部屋にて 軽装でお越しください。 今年もあなたとの素敵な時間を過ごせることを、 とても楽しみにしています。 ここ最近のこちらでは、 急に厳しい寒さを感じられるようになりました。 いつもよりも部屋を暖かくして待っていますね。 あなたの妻より OFUSEで応援を送る

  • 寒さに身を竦めながら

    あなたへ さっ寒い!! 寒いよーー!!! あまりの寒さに身を竦めながら、思わず叫んでしまうのは、 ここ最近の朝の車内での私です。 ここ最近のこちらでは、 急に厳しい寒さを感じられるようになりました。 今朝もまた、車に乗り込み、寒さに身を竦めながら、 日課ともなりつつある言葉を叫んでみれば、ふと私の中へと蘇ったのは、 バイクに乗っている時は、ヘルメットの中という空間を楽しんでいるのだと、 いつかのあの子が聞かせてくれた話でした。 この時期のあの子はきっと、 私と同じ言葉を叫びながらバイクに乗っていたんだろうなって、 私が見たことのないあの子の姿を思い浮かべてみれば、 自然と笑みが溢れて、 ほんの…

  • 逃げ場のない痛みが私に教えたこと

    あなたへ どんなに前を向いて歩んでいても、不意に胸の奥がギュッと締め付けられて、 苦しくて堪らなくなる瞬間は、これまでに何度経験してきただろう。 あなたを見送るまで知らなかったこの痛みに、 一生向き合い続けるのだと不意に覚悟を決めた瞬間が訪れたのは、 いつのことだっただろう。 あなたに逢いたいとしながらも、 あなたのその温もりに触れたいとしながらも、 どんなに痛みを感じようとも、 この生を大切に生きる覚悟は私の中へと確かに根付いた筈なのに、 不意に胸の奥を強く掴まれる感覚を感じれば、 本当はまだ知りたくはなかった痛みなのだと、胸の奥が私に訴えて。 もう!あなたは私に何を教えてくれてるのよ!って…

  • 素敵な女性との出会い

    あなたへ 私の目の前に準備されたふたつの道の前で立ち止まり、 どちらの道へ進めば良いのかと思い悩んでいたのは、 秋を感じる頃のことでした。 あの時、ふたつの道の前で悩んだけれど、 私はきっと、この人に出会うためにこの道を選んだんだろうなって、 一歩を踏み出した先では、 そんな気がしてしまう女性との出会いがありました。 彼女は、私よりもずっとずっと年上の女性ですが、 人が人に魅力される時、 生まれた年代も、生きてきた時代も、全く関係ないのかも知れません。 彼女のその内側に秘められているのは、繊細で、とても深く穏やかな愛情。 それなのに、一見すれば非常に厳しく、荒い一面さえもを感じてしまうのは、 …

  • 子供の頃に体験した不思議な出来事

    あなたへ 先日の私の中に突然に蘇ったのは、 子供の頃に体験した不思議な出来事でした。 今日はあなたにも、 あの不思議な出来事を話してみたいと思います。 あれは私がまだ、小学生の頃のことでした。 あの日は、当時の私のお気に入りだったリボンのブローチがついたスカートを履いて、 お出掛けをした日でした。 家を出る時も、お出掛けをしている時も、 確かにスカートにはブローチが付いていた筈だったのに、 家に帰り、ふとスカートを見下ろすと、 そこにあったはずのブローチが無くなっていたのです。 あのお気に入りのスカートは、私にとって、 リボンのブローチが付いているからこその完成形であり、 全てが整った形となっ…

  • 長く暮らす場所

    あなたへ いつもの公園。 入り口の直ぐ側にある広場を覚えていますか。 そこで小さなお子さんを連れた3人家族が楽しそうに遊んでいるのを見かけて、 そこにある笑顔と、かつての私たちの姿を重ね合わせていました。 小さなあの子と一緒に3人で遊んでいたあの頃の私たちも、 誰かの目にはきっと、こんなふうに映っていたんだろうなって。 いつもの公園は、ずっとずっと昔からある公園です。 思い返してみれば、 子供だった頃の私もまたあの公園で遊びながら育ちました。 思えばこの人生と、いつもの公園とは、 ある種の深い縁があるようにも感じています。 いつもの公園での私の歴史を辿ってみれば、 子供時代には、友人たちと遊ん…

  • あの頃の通勤ルート

    あなたへ 長く勤めた会社の直ぐ側まで出掛けたのは、 先日のことでした。 あの頃の通勤ルートを辿るように運転をしながら、 そこに見える景色に懐かしさを感じたり、 以前にはなかった新しい建物を発見したり。 かつての私が毎日見ていた景色を眺めながら、 あれから歩んだ日々を振り返りました。 思いも寄らなかった自分なりのひとつの答えを見つけたのは、 実は会社を辞めましたと、あなたへのこんな手紙を書いてから、 どれくらいの時間が経った頃だっただろう。 衝撃的過ぎる答えに大きく落胆したけれど、 然程時間が掛からずとも、次の一歩へと歩みを進めることが出来たのは、 ゆっくりと休んだ後でのタイミングであったからだ…

  • 堕ち切った先のあの子

    あなたへ 先日、あの子が電話をくれました。 あの子の沈んだ声が聞こえて以来、数週間振りです。 それまではメッセージを通して時々やり取りをしながら、 あの子がまた前を向いて歩んでいることを確認していましたが、 やはり電話である方が、文字よりも更にリアルに、 あれからのあの子を知ることが出来るものなのだと思います。 あれからどう?もう悩んだりはしていない? こんな私の声に返って来たあの子の言葉は、想像もしていなかった言葉でした。 堕ちて堕ちて、堕ち切る時というのは、 実は大きくジャンプするチャンスの目前にいたりもするのでしょう。 ひと回りもふた回りも成長するという表現がありますが、 あの日のあの子…

  • ペアリング

    あなたへ それは彼氏とのペアリング? へぇ、翼のデザインか その翼を広げて、彼氏は何処かに飛んで行ってしまうかも知れないね 冗談めかしたこんな先輩の声に、私は笑って答えました。 何言ってるんですか 対の翼があるから飛べるんですよ 飛ぶ時は、2人一緒ですよって。 これは、かつての私の日常生活の中の一部を切り取った時間。 私たちが結婚する前の記憶です。 私の部屋の机の上の飾り棚。 あなたとのプリクラを飾った段の下の下に位置する一番下段に飾ってあるのは、 いつかのあなたがプレゼントしてくれた、きのこの形をした小さな小物入れ。 その中へ大切にしまってあるのが、 私たちが出会ってから2番目の冬に、 あな…

  • 一旦休憩の日

    あなたへ 大きな成長期の中を過ごす私は、日々、新たな視点が見つかることや、 別な自分に会えることを楽しんでいますが、 時々には、脳がパンクするのではないかと、 こんなことを感じてしまう日もありました。 脳内だけが忙しい日々を送るというのも、長期間に渡れば、 疲れてしまうものなのかも知れません。 今日の私は、今回の成長期を振り返りながら、 短期間での自分の大きな成長に驚きながらも、 時々書き留めた、少しだけ疲れたという文字を見つめました。 成長期という時期にいるからこそ、 意図的に何も考えない時間を作ることも大切なのかも知れません。 脳内へ余白を作れば、 また新たな成長がスムーズな形で訪れるとい…

  • 私を褒める日

    あなたへ 大丈夫。 どんなにあの夏からの記憶を辿ろうとも、 私はもう、泣いたりはしない。 目を閉じて、大きく深呼吸をして、 胸の奥がギュッと掴まれる感触をちゃんと感じたら、 しっかりと目を開けて、 何度でも必ず此処に戻って見せるから。 これは、今年の3月の私が、あなたへの手紙として綴った文字です。 改めて、あの日の私が綴った文字を辿ってみれば、 私は、これまでとは全く違った視点から自分を見つめることが出来ました。 私はいつの間に、こんなに強くなったのだろうって。 あなたが側に居てくれなければ大丈夫ではない私だった筈なのに、 本当は、全然自信がない私だった筈なのに、 いつの間にか、心からの言葉を…

  • 止まらない成長期

    あなたへ 今の私は、人間の成長期にいますと、 こんな手紙を書いたのは、先日のことでしたが、 あれからの私も相変わらずに、脳内だけが忙し過ぎる毎日を送っています。 やがては、この成長期も緩やかなものへと変わり、 一旦の終わりがやって来る日が来るのだろうと、 先日の私はそんなことを考えていましたが、 あれからの私の中では、 更に大きな成長期のような時間がやって来て、 全く緩まる気配すらありません。 これまでの私には全く見えていなかった景色がどんどん広がっては、 その景色を楽しむ前に、また新たな景色が見えてきて。 日々溢れ続ける視点の展開を、 必死で追いかけ続ける時間の中を過ごしています。 そんな私…

  • 得体の知れない不安な気持ち

    あなたへ あの、得たいの知れない不安な気持ちを思い出していました。 あれは、あなたと結婚し、どれくらいが経った頃からだっただろう。 あの頃の私は、あなたが側にいることも、 家族3人で歩む時間がずっと続くことも、当たり前に信じていましたが、 そんな日常の中、 あの、得体の知れない不安な気持ちは何の前触れもなく、 いつでも突然に私の中へと現れました。 あなたがこの世界からいなくなってしまったら、どうしようって。 得たいの知れない不安な気持ちが突然に襲い掛かってきたのは、 いつでもあなたが家にいない時間。 どうしようもなく不安な気持ちでいっぱいになってしまった私は、 明確な理由も記さないままに、唐突…

  • 夜のピクニック

    あなたへ 夜のピクニックに出掛けよう こんな遊びを思いついたのは、いつのことだっただろう。 そう。あれは確か、あなたがあの子に、 天体望遠鏡をプレゼントしたことがきっかけで思いついた遊びでした。 庭に出て星の観察をするだけでは飽き足らず、 もっと広い場所でたくさんの星を見てみたいとこんな気持ちから、 夜のピクニックを思い付いたのは、いつかの夏の季節。 お弁当を持って、星の観察に出掛けようよ こんな提案をした私に、あの時のあなたは、言ったのよ。 夏よりも冬の方が星が綺麗に見えるから、冬になったら出掛けようって。 あの夏の中にいた私たちは、 確かに次の冬を待ち遠しく思っていたはずなのに、 慌ただし…

  • あの子の沈んだ声が聞こえた日

    あなたへ あの子が巣立ったばかりの頃は、毎日掛かってきていた電話も、 数日に一度、一週間に一度、数週間に一度と、 少しずつ間が開くようになりました。 今日の俺は病んでるよ あの子からのこんな連絡が入ったのは、 前回の連絡からあまり日が経たないうちのこと。 あの子からの着信に、あれ?と思いながら出た電話の向こう側では、 これまでに聞いたこともないような沈んだ声が聞こえました。 話を聞けば、仕事に関する悩みを抱えている様子でしたが、 様々な部分へと目を向けることが出来る様になったのは、 社会人生活に慣れてきた証拠。 目を向けた先に見えるものは時として、 思ったものとは違うものであることもあるでしょ…

  • 何も考えない時間

    あなたへ 朝起きて、窓を開ければ、 部屋の中へと届くのは、身震いするほどの冷たい空気。 気が付けば、金木犀の香りが届く時期も終わりを迎え、 ここ最近のこちらでは、急に寒さを感じられるようになりました。 あまりの寒さに、先日、ホットカーペットを出して冬支度を整えましたが、 今日は風もなく、とても穏やかで温かさを感じられる日中でした。 ベランダに出て、柔らかな日の光を浴びてみれば、 私の中に浮かんだのは、 そうだ。散歩に出掛けよう!ってこんな気持ち。 これまでずっと、脳内だけが大忙しだった私ですが、 今日は、何も考えない時間を作ってみようと思い立ちました。 早速、いつもの公園へと出掛けてみると、 …

  • 我が家のコーヒーの歴史

    あなたへ あぁ、そっか また2つに戻ったんだね あなたと私。2人分のマグカップを並べて、不意にこんな言葉を呟いたのは、 いつも通り、夕方にコーヒーを淹れていた時間のことでした。 2つ並んだマグカップを見つめてみれば、 私が今、何を見ているのかに気が付いて、 あなたがくれたものの大きさに改めて気付かされたのでした。 あなたへのコーヒーを淹れること。 これはあなたが、この世界にいる私に遺してくれた唯一の、 あの夏からも変わらずに続く時間。 いつもの時間になると、あなたの分と私の分のコーヒーを淹れ続けた私の瞳に、 やがて映るようになったのは、3つのマグカップが並ぶ景色でした。 そこに見える景色を見つ…

  • 人間の成長期

    あなたへ 例えば、あなたと過ごした時間の中に、新たな視点を見つけたり、 例えば、あの子がくれた言葉から、 これまで見えていなかった自分自身に気が付いたり。 ここ最近の私は、これまでにはなかった新たな視点ばかりが見つかって、 毎日、毎日、脳内だけが大忙しの日々を送っています。 私の中に蓄積され続けてきた様々な出来事と全く別な場面で感じたことが、 まるで初めからひとつのものであったかのように引き合わされて、 そこにひとつの新しい答えが導き出されて。 見えてきた視点に驚きながらも、それを咀嚼し続けてみれば、 より明確な輪郭が見え初め、 それはこれまでの私が見たこともないような形へと変化をし続けるので…

  • あの子が見せてくれる景色

    あなたへ 相変わらずに楽しそうなあの子の声を聞けたのは、先日のことでした。 たったの数週間、話をしないだけで、 そこに見つけるのは、あの子の著しい成長です。 私はもう、あの子の直ぐ側で、 毎日少しずつ成長する姿を見守ることは出来ませんが、 会えた時や電話で話す時、 前回からそれまでのあの子の成長が凝縮された形で私のところに届くのが、 今の新しい形となりました。 最近の出来事や、あの子が見つけた新しい視点。 学びたいことや学んだこと。 次々に飛び出すあの子の話に耳を傾けながら、 県外へと移り住んだからこそ、吸収できる物事の量が多いのかも知れないと、 先日の私は、こんなふうにも感じていました。 学…

  • コトバ -秋- 2023

    秋の色を覚えていますか 秋の音を覚えていますか 秋の風を覚えていますか その瞳に映った景色 その耳で感じた季節 その肌で感じた温度を 覚えていますか スケッチブックを持って出掛けよう あの子が生まれてから幾番目かの秋 我が家の中に 新しい遊びが生まれた日を覚えていますか 3人分のスケッチブック 3人分のお弁当 レジャーシートの横に並ぶ3人分の靴 いつもは騒がしいあの子が作った静寂な時間 クレヨンを持つ小さな手 描き上げた絵を見せて満足そうに笑うあの子 私たちとは違った視点から描かれた あなたの絵を見て笑う私たちに見せた あなたの楽しそうな膨れ面 3人分の笑い声 初めて絵を描きに出掛けたあの日の…

  • 前世の恋人

    あなたへ 私たちはきっと、前世では恋人だったね 何の前触れもなく突然に蘇ったこの言葉は、 あなたと出会う前の私が、友人とよく言い合っていた言葉です。 長い間、封印されていた記憶を突然に思い出したのは、 あの子が巣立ち、大掃除と奮闘していた頃のことでしたが、 またもや何の前触れもなく突然に蘇った記憶を辿りながら、 やはり私はチグハグな過去を歩んできたのだと、 その証拠をまたひとつ、見つけたような気がしました。 前世の恋人。 こんな言葉の表現に、あなたは言うのでしょうか。 俺以外の人に対してもそんな感情を持っていたの?って。 記憶が蘇ってみれば、 あなた以外にも不思議な繋がりを感じる人と出会ってい…

  • 16年間に詰め込まれた課題

    あなたへ え?そういうことなの? ねぇ、あなた あの頃のあの意味って、そういうこと? あの頃の私にとってはネガティブにしか思えなかった出来事に対して、 漸くその意味を理解することが出来たのは、先日のことでした。 あなたを見送ってからの私は、幾つくらい、 こうしてあの頃のネガティブな出来事に対する答えを見つけてきただろう。 どんなに考えてみても、 その糸口すら見えては来なかったはずのそのことに対する答えは、 あの頃の私が見ていた場所とは、全く別な場所にありました。 そっか あの時間の中には、そんな意味が隠れていたんだね 初めて納得出来る答えに辿り着くことが出来た私は、 あの頃のあなたに、またひと…

  • 死別後9年目に見える景色

    あなたへ 今の私に見える景色を眺めていました。 今、此処に見えるのは、あなたを見送ってから、 9年と、間も無く3ヶ月を迎えようとしている私に見える景色。 今の私が過ごしているのは、あなたを見送ってから、 最後の1桁の数字の1年間です。 最後の1桁。 こんなふうに見てみると、この1年間は、 何か、ある種の節目の時期であるようにも感じながら、 改めてあの夏から此処までの私が歩んだ道のりを振り返りました。 新しい明日など、もういらないと、 こんな気持ちで眠りに就いた幾つもの夜。 あなたがいないこの世界では、 きっと私は長くは生きることが出来ないのだろうと、 漠然と考えていた幾つもの時間。 あの夏から…

  • 最近の私が考えていたこと

    あなたへ 人との出会いって、 その人がその人生の中で培ってきたものを、 学ばせてもらうことでもあるのかも知れないな。 最近の私は、こんなことを考えながら日々を過ごしていました。 私は私の人生しか生きていないから、 自分がこれまでに学び培ってきたことしか持っていません。 長く生きれば生きるほどに、知識も経験もどんどん増えていくけれど、 ひとつの人生しか知らなければ、学びには必ず偏りがあると、 こんな見方をすることもできるかも知れません。 だからこそ、人生には様々な出会いがあって、 様々な視点から、学ばせてもらう機会が訪れるものなのでしょう。 出会った様々な人たちが見せてくれるもの、聞かせてくれる…

  • 数字の王様

    あなたへ ねぇ、あなた。 あれはいつのことだっただろう。 まだ結婚する前の私たちの時間を思い出していました。 何気なく、2人でデジタル時計を見つめながら、 数字に関する話をしたあの日のことを、あなたは覚えていますか。 あの日の私は、 4と9はあまり好きではないなって、こんな話をしたけれど、 あの時のあなたは言ったのよ。 そうかな 俺は、49なる 良くなる、だと思うよって。 死を連想させる4という数字と、苦を連想させる9という数字。 いつの頃からか、こんなふうに見ていた数字に対して、 あなたは、全く別な視点から見える景色を教えてくれましたね。 あの時、あなたが聞かせてくれた言葉は、 私に見えるそ…

  • 秋の景色の中で

    あなたへ こちらでは、朝晩には肌寒さを感じるようになり、 窓を開ければ、金木犀の良い香りが部屋へと届く季節になりました。 久し振りに、近所の公園へと出掛けてみると、 景色の色が変わり、足元には、 たくさんのどんぐりの実を見つけました。 秋の景色をゆっくりと楽しみたくて散歩へと出掛けたはずの私でしたが、 気が付けば、考えごとと向き合いながら、 不意にこれまで漠然としていたことへの答えに辿り着くことが出来ました。 帰宅早々に、一気に頭の中の整理を終えた私は、 ふと、公園へ出掛けたにも関わらず、 いつの間にか景色を楽しむことを忘れていたことに気が付いて、苦笑い。 公園へと着いた時には、確かに秋の景色…

  • あなたがこの世界で過ごした最後の日

    あなたへ ねぇ、あなた。 どうしてなの? あなたに問い掛け続けたこの声を、 あなたは何処かで聞いていたのでしょうか。 ねぇ、あなた。 どうしてなの?って、 何度もあなたに問い掛けたこの声を、 もしも、何処かで聞いてくれていたとしたのなら、 あなたはどんな気持ちで聞いていたのだろう。 病床時のあなたが使っていたノートをこうして開くのは、 あの夏から何度目になるのだろう。 入院した日からの治療内容の記録から始まるノートを、 1ページずつ巡っていけば、やがて、空白のページが訪れて、 そこから更に数ページを巡ると、 あの、なぞなぞみたいなあなたの言葉へと辿り着きます。 1日1ページを使い記録されていた…

  • 私の未来予言

    あなたへ 先日の私が偶然目にしたのは、 未来予言なるオカルト的な動画でした。 それは、その日を迎えることが、 恐ろしく感じてしまうような内容のものでしたが、 ついつい見入ってしまうのは、 怖がりでありながらも、一度、怖い話が目に入れば、 最後までその話を知りたくなってしまうあの感覚と、 よく似た感覚が発動してしまうからなのかも知れません。 予言。 こんな言葉を聞くと、私が一番初めに思い出すのは、 あの、1999年の大予言。 それを初めて耳にしたのは、私がまだ幼い頃のことでした。 ずっとずっと先の未来の自分の姿など、全く想像がつかないままに、 未来にはどんな恐ろしい日が訪れるのだろうかと、 友人…

  • 全部が楽しかった週末

    あなたへ 全部、楽しかったな 今日の私は、こんな気持ちで、 この週末の時間を振り返っていました。 あの子の枕元にハロウィンのお菓子を準備したのは、土曜日の夜のことでした。 慌ただしく出掛けて行ったあの子を見送ると、早速に、 あの子の枕元へ、 少し早いけれどとメッセージを付けたお菓子を準備しました。 今年のハロウィンのお菓子は、 あの子の家へ送ろうかと考えていましたが、 まさかこうして、 今年もまたあの子の枕元へ置くことが出来るだなんてね。 翌日には、嬉しそうに笑うあの子の姿までもを見ることが出来て。 昨年のハロウィンの日の私は、あの子の枕元へお菓子を置きながら、 これがきっと最後なのだと思って…

  • あの子との僅かなひととき

    あなたへ ここ数日間の私は、 ワクワクとした気持ちいっぱいで過ごしていました。 実はね、今日、あの子が帰って来てくれました。 あなたに手を合わせたあの子のただいまの声は、 あなたのところまで届いたでしょうか。 今週末、用事が出来たからそっちに帰るよ あの子からこんな連絡を貰ったのは、先日のことでした。 あれからの私は、 今日の日を指折り数えて過ごしていました。 今日のあの子は、どんな笑顔を見せてくれるのかな。 どんな話を聞かせてくれるだろうって。 買い物へと出掛ければ、買い物袋の膨らみと重さに思わず笑みが溢れ、 日常の中のほんの少しだけ面倒な作業も軽快に熟しながら、 ふと眺めたいつもの景色は、…

  • お菓子売り場で聞こえた声

    あなたへ 先日、スーパーマーケットへ買い物に出掛けた時のことでした。 お菓子売り場の前を通ると、私の耳に届いたのは、 あの子と同じ名前を呼ぶ声でした。 名前を呼ばれたのは、まだ小さな男の子。 高く可愛らしい声で、 名前を呼ぶお父さんの声に返事をしている様子を横目に見ながら、 私は、そこに幼かった頃のあの子の姿を重ね合わせていました。 あの子にも、あんな頃があったなって。 幼かったあの子の姿を思い出してみれば、 今、私が見ている瞬間は、 いつかの私が思い描いた未来なのだと、 こんなことに、ふと気が付いて。 いつかの私は、ずっとずっと先の未来。 もしも、あの夏の運命が違っていたのならと、 おじいち…

  • 笑って生きる

    あなたへ 笑った方が良いよ。 楽しくなくても、笑っていた方がいい。 笑っていれば、 やがて楽しいことが向こうからやって来て、 本当に笑えるようになるから。 これは、先日の私が偶然耳にした言葉でした。 見つけたばかりの言葉たちが、妙に鮮やかな色を放ちながら、 私の奥の奥へと浸透する様子を眺めながら思い出していたのは、 あなたを見送ってからの私が抱えていた気持ちでした。 何も楽しくないし、笑いたくもない。 こんな気持ちを抱えたままで、 私は、あなたがいなくなった夏からを、どれだけ歩んだだろう。 無理に笑顔を作って、周りに合わせる自分が嫌で仕方がなくて、 笑顔を作った瞬間には、 同時に泣き出しそうに…

  • あの子がくれた貴重な時間

    あなたへ ねぇ、あなた。 子育てとは、本当に奥が深いものですね。 あの子が生まれた日から歩んだ道のりを、 視点を変えて見つめてみれば、その分だけ、学びや新たな視点を、 どんどん与えてくれるような気がするのです。 今日の私は、あの子が生まれて初めて持った夢から順番に辿りながら、 改めて、あの子には、本当にとても貴重な時間を見せてもらったなって、 こんな気持ちで、あの子を育てた日々を振り返っていました。 あの子が生まれて初めて持った将来の夢は、忍者になることでしたね。 可愛らしい夢を持ったあの子は、その夢を叶えるべく、 あなたと一緒に日々、修行に勤しみました。 壁抜けの術を取得することは難しかった…

  • あの日のあなたに惚れ直した瞬間

    あなたへ もしもし?今、何してた? これから会いに行ってもいい? うん 良いけれど、もう、メイク落としちゃったよ 全然良いよ 少しだけ出ておいでよ 今から迎えに行くね これは、私の中に鮮明に蘇った、 あの日の私たちの電話でのやり取りです。 何気なく手に取って見つめていたのは、 いつかの私が掃除をしながら見つけた、私たち2人のプリクラ写真。 それ専用の小さな写真立てに貼ったこれは、 見つけて以来、私の部屋の机の上にある飾り棚に、収めていたものでした。 私の部屋の一部として、当たり前に収まっていたこのプリクラ写真を、 こうして手に取って、まじまじと見つめるのは、いつ以来だっただろう。 随分と久し振…

  • 幸せが続く道

    あなたへ ねぇ、あなた。 あの頃は良かったなって、 こんなふうに人生を振り返る言葉があるけれど、本当は、 あの頃も良かったな なのかも知れませんね。 こうして手紙を書くのも、気が付けば7年が過ぎました。 あなたへの手紙として残った私が歩んだ足跡を辿ってみれば、 暖かで柔らかなものが胸いっぱい満ちて、 この人生を生きることが出来て良かったなって、 こんな気持ちを見つけることが出来ました。 あの夏のあなたの手を、とても頑張って離したあの瞬間を思い出せば、 胸が痛くて、苦しくて、仕方がないのに、 あれから先の未来で私が見つけた幸せな時間たちは、 それらを振り返った私に、キラキラと輝いて見せた後で、 …

  • そちら側での今のあなた

    あなたへ そっか 今のあなたはきっと、そちら側で、 やりたいことを見つけたんだね これは、昨夜の眠る前の私の小さな独り言です。 夢の中でのあなたの声を反芻しながら、私が思い出していたのは、 いつかの夢の中で、あなたが話してくれたことでした。 ここでは、自分の好きなことが出来るんだよって。 あの日のあなたは楽しそうに、 そちら側の世界を案内してくれましたっけ。 そうそう。それから、また別な夢の中では、 乗馬を始めたよって、 馬を連れて逢いに来てくれたこともありましたね。 夢の中のあなたが、そちら側での様子を伝えてくれる度に、 きっとあなたは、そちら側で、 のんびりと、その時々の好きなことをして過…

  • 昨夜の素敵な時間

    あなたへ ねぇ、あなた。 私の我儘を聞いてくれて、ありがとう。 あなたに逢いたいと、昨夜の私はこんな手紙を送ったけれど、 私の我儘を聞いて貰えるだなんて、思ってはいなかったから、 とても驚いたけれど、とても嬉しかったよ。 昨夜は、あなたが電話をくれる夢を見ました。 忙しいから逢いには行けないけれど、電話をしたよ こんなあなたの声から始まった夢でした。 私が寂しくならないようにと、 電話の向こう側のあなたは、気遣ってくれましたね。 目が覚めた私のありがとうの声は、 あなたのところまで届いたでしょうか。 昨夜の夢の中の私たちは、なんだか、あの頃みたいでしたね。 あれはまだ、結婚する前の私たち。 あ…

  • 夢の中で逢いたい

    あなたへ 最後にあなたの夢を見たのは、いつだっただろう。 夢の中で、久しくあなたとの時間を過ごせていないことに気が付いて、 寂しさを感じたのは、先日のことでした。 あなたの夢を見ていないと言うよりは、 なんの夢も見ていないと言った方が正しいのかも知れません。 いつも様々な夢を見るはずの私ですが、ここ最近は、 夢を見た記憶が全くないのです。 本当は毎日、夢を見ているけれど、 覚えていないだけだという話を聞いたことがあります。 もしかしたら、 目を覚ました私が覚えてはいない時間の中に、 あなたとの時間もあったのかも知れません。 ねぇ、あなたが最後に私に逢いに来てくれたのは、いつですか。 もしも、目…

  • あなたが持つ力

    あなたへ 今のあなたって、本当に不思議。 あの夏からの私は、何度こんなふうに思ったでしょうか。 目の前に掛かった霧が晴れて、 スッキリとした気持ちで先を見つめながら、 改めて、これまでにあなたが見せてくれた、 不思議な出来事の数々を思い出していました。 あたかも偶然の出来事であるかのように装って、そっと助けてくれたり、 絶妙なタイミングで、その想いを伝えてくれたり。 そして、私にだけ分かるようなやり方で、 すぐ側にいることを教えてくれたり。 あなたはその姿を隠したまま、様々な場面で、 不思議な出来事の数々を見せてくれました。 今のあなたって、本当に不思議。 きっと、今のあなたは、 私には想像も…

  • 立ち止まっていた数日間

    あなたへ 自分にとって、真っ直ぐであろう道を歩んでいたはずだったのに、 此処に来て道に迷ってしまうだなんてと、焦りながらも立ち止まり、 迷走し続けていたのは、ここ数日間の私でした。 目の前に見つけたのは、2つに分かれた道。 探せばきっと、他にも隠された道があるのかも知れないけれど、 通過点に過ぎない道をこれ以上に探すのは、 人生においての時間ロスだと言えるでしょう。 今、私の目の前に準備されたどちらか片方の道を通って前に進むことがきっと、 最善策なのだろうと思いました。 それなのに、どちらの道へ進むのかを決めかねて、 立ち止まり悩み続けてしまったのは、どちらの道を選んでも、 私にとってのメリッ…

  • ひとりで生きて行くためのテスト

    あなたへ あれは、一人暮らしが始まった私への、あなたからのテストだったのでしょうか。もしもそうだとしたのなら、追試では合格点を貰えたでしょうか。あれは、お盆期間中のことでした。丁度、あの子と一緒に寛いでいた時間に、突然、警察官の訪問があったのです。 対応時間は、ほんの僅かな時間。巡回のために、一件ずつ訪問しているとの説明を受け、一通りの対応をして、ドアを閉めましたが、私の対応を静かに聞いていたあの子から、お叱りを受けてしまいました。 誰が来たの?その人、本当に警察の人?警察手帳は見せて貰ったの?家の情報、話したよね?詐欺だったらどうするの?見た目だけで信用しちゃ駄目だよもしも、もっともらしい理…

  • あの夏から抱えてきた願いごとの重さ

    あなたへ あれからの私は、あの日に置いた願いごとを見つめながら、 もう、何度くらい、ため息を吐き出しただろう。 あなたは、幸せだったんだね 良かった 本当に良かった 小さく呟きながら、私が吐き出すため息は、 ただただ安堵に満ちたため息なのです。 そして、手放した願いごとの代わりに、 あなたがくれた想いをこの両手に感じてみれば、 あの夏からの私が、どれだけ重いものを抱え続けていたのかを、 初めて知ることが出来たのでした。 その気持ちを抱えたまま歩んでいる間というのは、 自分にとって、どれだけの負荷が掛かっているものであるのかを、 感じることは出来ないものなのかも知れません。 抱えてきた想いを初め…

  • あなたと私だけに見える景色

    あなたへ あなたと2人で過ごした時間や、家族3人で過ごした時間。 そして、あの子と2人で過ごした時間。 私が歩んで来た道のりを振り返った時に、 胸の中へと鮮明に蘇った記憶を見つめる私ですが、 それら全ては、私の感覚で捉え、集めた記憶たち。 例えば同じ場所から同じ景色を見ていても、 感じ方や視点が人それぞれ違えば、 一緒に過ごした時間を振り返った時に見える景色も、 人それぞれに違っているものなのでしょう。 今日の私は、あの子と共に過ごした時間を2人で振り返った時に、 新たに私に見えた景色を思い出していました。 同じ時間を過ごしながらも、 あの子はあの子の持つ感性の中で、 そして、私は私が持つ感性…

  • コトバ -心が結ばれる瞬間-

    何気なく見上げた空に またひとつ 空に描かれた 大きなハートを受け取った 広い空を見上げた瞬間に ハート型を見つけた時はきっと 遠く離れた彼と 心がひとつに結ばれた瞬間なのだろう 足を止めて見つめた形は やがて 風と共に緩やかにその形を変えて 見慣れた空へと 戻りゆく姿を見守ってみれば まるで 私が空を見上げる瞬間を待って 描かれたようにも 形が完成された瞬間に 空を見上げさせられているようにも 感じてしまうよ 見上げた空に見つけた形は 温もりとなって心に満ちる もし出来れば 描かれた形の隣に 彼への返信を書いてみたいけれど とんなに手を伸ばしても この手が届がないままに 今日もまた 彼への想…

  • 25年の恋

    あなたへ ねぇ、あなたは気付いていましたか。 今年の夏で、私たちが出会ってから、25年を迎えました。 25年前の今頃の私は、 あなたと出会ってから20日を迎えた私でした。 この20日間の間に、私は、何人の友人に報告をしただろう。 実はね、好きな人が出来ちゃったって。 恋の話って、いつだって楽しいものです。 溢れ出る笑みを隠せないままの私に、 次々と飛んでくるのは、あなたに関する質問。 どんな人? どこで出会ったの? 幾つの人? 写真見せて? えぇ?写真持ってないの? 一緒に撮りなよ 今度見せてね あなたに関する質問に答えながら、 まだ真新しい記憶を振り返って、そこにあるあなたの笑顔や声を思い出…

  • 夜のアイスクリーム

    あなたへ アイスクリームが食べたい! 眠る前の時間であるにも関わらず、 こんな衝動に駆られたのは、先日のことでした。 突然に湧き上がってきた欲望に、 臨戦態勢だったはずの私の中に浮かんだのは、あなたの声。 たまにはいいんじゃない?って。 いやいや、でもさ・・・ 浮かんできた言葉を掻き消すように、時計を見つめていた私ですが、 やがて冷凍庫へと足が向いてしまったのは、 これはきっと、あなたからのお導きであると、 良いように解釈をしてみたからでした。 ひとくちアイスクリームを頬張れば、私の中に蘇ったのは、 あなたとのこんな幾つもの夜でした。 あなたが側にいてくれた頃は、あの子が眠った後で、 時々2人…

  • 本当の夏の長さ

    あなたへ 夏って、こんなに長かったかな 連日、夏の暑さを感じながら、 初めてこんな気持ちを見つけたのは、 あの子が生まれてから、何番目の夏のことだっただろう。 夏の季節になると毎年、高熱を出し、数日間を寝込んで過ごすことが、 いつの頃からかの恒例だった私にとって、 夏という季節はとても短く、 あっという間に過ぎ去ってしまう季節なのだと感じていましたが、 あの子が生まれ、 1日足りとも休むことの出来ない子育てに向き合いながら、 体調管理の面において、真剣に考えさせられるようになり、 気が付いてみれば、あの夏の私は、 体調を崩すことがないままに、夏を過ごすことが出来たのでした。 夏って、本当はこん…

  • マスク生活

    あなたへ 長きに渡り、外出の際にはマスクの着用が必須だったこちら側ですが、 ここ最近では、屋外を歩く時はマスクをせずに、 屋内へ入る時だけ、マスクの着用へと変化して来ました。 そんな生活にも漸く慣れて来た私ですが、 慣れるまでの間には、 これまでに感じたこともなかった気持ちを感じることとなりました。 マスクをしないで外に出ることに違和感を感じるんだよね マスクをしていると、安心するって言うかさ あの子にこんな話をしたのは、 あの子が巣立ってから、どのくらいが経ってからだっただろう。 初めて見つけたこんな気持ちを話してみれば、あの子も共感してくれて。 あの子もまた私と似たような感情を持ちながら、…

  • ひとりでお盆を迎える予行練習

    あなたへ 未来を思い描きながら、 小さな胸の痛みを感じた日のことを思い出していたのは、お盆の前日。 提灯を組み立てていた時のことでした。 未来には、いつでも想像を超えた素敵な景色があるものなのだと、 これまでの私は、様々な出来事からこんな視点を集めてきましたが、 今年のお盆を迎える準備を整えた日の私も、そんな瞬間を感じることが出来ました。 今日は、私が新たに見つけた気持ちを、あなたにも話してみたいと思います。 あなたを見送ってからの毎年、 お盆の提灯の組み立ては、あの子が担当してくれていました。 提灯の組み立て方を知らないままに歩んできた私が、 初めて提灯を組み立てたのは昨年のことでした。 出…

  • お盆の思い出 2023

    あなたへ 楽しい時間というのは、 いつでもあっという間に過ぎ行くものですね。 楽しみにしていた時が過ぎ去り、またこの家に1人になった私は、 このお盆に過ごした時間をゆっくりと思い返していました。 お盆の初日に目が覚めると、いつもとほんの少しだけ違う空気に、 あなたが帰って来ていることが直ぐに分かりました。 おかえりなさいと声を掛けた私に、 今年のあなたは、どんな言葉を返してくれたのでしょうか。 昨年のお盆の頃よりも、一段と逞しい姿になったあの子には、 どんな言葉を掛けましたか。 今年のゴールデンウィークと同様に、 出たり入ったりと忙しなかったあの子でしたが、 一緒にお出掛けをしたり、遅い時間ま…

  • お盆 -2023-

    あなたへ 今頃のあなたは、何をしているところだろう。 もう、そちら側を出発したのかな。 それとも、出掛ける準備を整えているところかしら。 ねぇ、あなた。 明日は何時頃、こちらに着く予定ですか。 今日の私は、ソワソワと落ち着かない気持ちで、 何度、空を見上げただろう。 こちら側の時間が僅かに刻まれる度に、 今頃のあなたが気になって仕方がないままに、1日を過ごしながら、 何度も今頃のあなたを思い描いては、時間が経つに連れて、 ソワソワとした気持ちから、 やがてワクワクとした楽しみな気持ちへと変化して。 私にとって、 1年の中で、最も落ち着かない気持ちになるのが、 この8月12日なのかも知れません。…

  • あの子からの2つ目の贈り物

    あなたへ いつにしようかと考えながらも、 なかなか、その日を決められずにいましたが、 今日の私は遂に、アレを使いました。 アレ、とは即ち、母の日にあの子がくれた、2つ目の贈り物です。 あの日のあの子が、電話を切った後で私に贈ってくれたのは、 ドリンクのチケット。 あの子からの贈り物だからこそ、大切に使いたいと考えて、 メッセージ画面を開いては、チケットを見つめるばかりのままでいましたが、 思えばあれから3ヶ月が経ち、春から夏へと季節も変わりました。 ここ最近の私は、バタバタと忙しない日々を送っていましたが、 漸く一息つける時を迎え、あの子から贈られたチケットを使うのなら、 今なのかも知れないと…

  • あなたを想う日 -2023-

    あなたへ あなたのその手の温もりを最後に感じたあの日から、9年が経ちました。 今日の私は、静かに空を見上げながら、あなたを想いました。 今日のあなたは、どんな景色を見ていましたか。 あなたを見送ってから、何番目のこの日からだっただろう。いつの頃からか、毎年のこの日は、必ず予定を空けて、あの子と2人で1日を過ごすのが、私たちの当たり前となりましたが、今年からは、あの子と私、別々な場所から、それぞれの形の中で、あなたを想う日になりました。 今日の私がそうであったように、きっと今日のあの子もまた、私とは別な空を見上げながら、そっとあなたを想ったのでしょう。今日のあの子はね、会社の人に誘われて、仕事帰…

  • 最後の献立表

    あなたへ これは、ずっとここに貼っておいてね いつかのあの子の声を思い出しながら、 暫くの間、私が見つめていたのは、我が家の冷蔵庫のドア。 長きに渡り、 もはやそれが我が家の冷蔵庫のドアの色の一部であるかのように馴染んでいたのは、 あの子が中学3年生の時の、最後の月の給食の献立表です。 あの子が幼稚園へ上がった頃から、 給食の献立表を冷蔵庫のドアへ貼っていた我が家ですが、 あの子が中学校を卒業し、同時に給食からも卒業となって、 もう、此処に貼るものは何も無くなったのだなと、 冷蔵庫のドアから最後の献立表を取り外そうとした日に、あの子が言ったのです。 これは、ずっとここに貼っておいてねと。 あの…

  • 時間を戻すことが出来ない理由

    あなたへ そっか。 だからきっと、この世界では、 時間を戻すことが出来ないんだね。 あの日届いたあなたの想いを反芻しながら、 この夏に置いていくと決めた私の想いを、改めて見つめてみました。 どうしても、やり直したい日があります あの夏からの私が抱えた想いを手放して、此処から先は、 あなたから届いた想いを大切に歩んで行こうと、 こんなふうに思えたのは先日のことでした。 手放したばかりの想いを改めて見つめてみれば、 どんなに願っても時間を戻すことが出来ない理由を、 見つけることが出来たような気がしました。 例えば、テレビドラマや映画では、 過去に時間を戻して、やり直せるストーリーが描かれたものが多…

  • コトバ -夏の音 2023-

    今年もまた夏が来たよ 空の彼方へ小さく呟いて 本格的に聞こえ始めた夏の音に 耳を傾けながら 彼がいた夏の記憶を順番に辿ってみる 出会った日の彼の声と笑顔 彼の大きな手に包まれた感触 彼と家族になって初めて迎えた夏 あの子の成長を見つめる彼のたくさんの笑顔 「パパの負けだよ」 夏の音に紛れて聞こえた彼の楽しげな笑い声に 思わず微笑んで 足を止めた記憶の中を見渡してみれば 小麦色の肌をしたあの子と笑い合う彼の笑顔を見つけた あの子との力比べに 彼はいつでも負けを認めて笑っていたんだ あの子を見下ろして笑う彼は そこからずっと先にいるあの子の姿を どんなふうに思い描いていたのだろう あなたを見送って…

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