長きにわたり探してきた道は、天から降りてくる梯子を 一歩一歩上っていくことだった。
青梅を 孫娘から祖母へ おくりもの。 一言そえて 「おばあちゃんに」。 まだ物足りなくて 「それだけだよーん」 と付け加えて宅配便で送った。
庭のブナの木に蝉が来て鳴きだした。ブナの木に留まるやいなや鳴きだすという唐突さに、木の近くにいた猫がびっくり仰天して、気絶して仰向けに倒れた。 気絶して起きない猫に、この家の老人が如露の水をかけた。猫は冷たい水にまたまた驚いて、完全に目が覚めた。そして体をぶるるんぶるぶ...
▼ ハンモック 白百合胸に 抱いて寝る 夕日となれば 赤々と燃え ▼
☆ ああ夏野 小石置かれて いくとせか 日のなすままに 陰を結びて ☆
☆ 街角に 一つの石が 置かれをり 何の石かと 問ふ人もなく ☆
☆ よろよろと 帰還の鳩が 地を歩く ☆
☆ 京子から生まれた 黄蝶が 僕に来て留まった 僕に来て、僕の中に入った 蝶だから もう見えない 君からは見えるはずなのに あまりにもその蝶になりきって いたのだろう だから見えないも同然だ かくして蝶は、お互いに見えない 蝶となった そして恋が生まれた その恋も、黄蝶に端...
◇ 低空には霧がはりつめて そこを天の階を昇り降りするかのように 駆け抜けている鳥がいる 引き締まった体躯の白い鳥で 翼を持ちながら、それは全く使わず 階段を昇り降りするのも、喘ぐような 息遣いはなく、滑るように走り抜けている。 何だろう、あの鳥の立ち居のすがたは。 あそこ...
◆ 行商の老婆は急ぐ この街に 初恋の 病んだ男が 潜むと聴いて 彼に海の幸を 届けたい一心なのだ それは老婆が 中学を卒業したときから ずーっといつも 男に食べさせたいと願いつつ 傍らによけてきた 大切な海の一品なのだ ◆
◆ 強風の 中を老婆は 立ち向かう 今日の海の幸 街へさばきに ◆
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