今後の作品の方向性「風前塵」
人生の折り返しをすぎると虚無感との戦いだと思っている。 平家物語の冒頭は簡潔にしてこれ以上、一語として引く余地がない。 祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理をあらはす。奢れる人も久からず、ただ春の夜の夢のごとし。猛き者も遂にはほろびぬ、偏ひとへに風の前の塵におなじ。 人の一生も俯瞰してみれば蟲の一生とたいして変わらない。100年も経てばみな骸だ。200年前の経済的に成功した人、裕福だった人、不遇を嘆いて無くなった人、自分は志高く生きたと誇りに思って寿命を全うした人、それらを誰も覚えてなどいやしない。 昨日、今日に会った人、明日に会う人。通勤電車に同乗する人も上司…
2024/04/23 07:00