住所
-
出身
-
ハンドル名
読書の森さん
ブログタイトル
読書の森
ブログURL
https://blog.goo.ne.jp/airport_2014
ブログ紹介文
物語を読むのも書くのも大好きです。読書感想、創作、エッセイなど綴ってまいります。
自由文
更新頻度(1年)

24回 / 964日(平均0.2回/週)

ブログ村参加:2016/06/04

読書の森さんの人気ランキング

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読書の森さんのブログ記事

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  • 守屋英一 『ネット護身術入門』

    著者は日本IBM勤務の傍、警察庁経済産業省のセキュリティ関連研究員を勤める。つまりセキュリティ管理のバリバリの現役である。本著の中で、個人情報が侵されるあらゆる実例が出ていると見てよい。パスワードの管理の仕方、SNSの安全な使用方法、ストーカーへの対応、サイバー犯罪の実例が非常にリアルで理解出来る。ただ、絶対漏れないパスワードなどありえないし、いつ誰にでも見られているなど意識し出したらSNSは危険極まりない。又クラウドなどに載せる個人情報はその客の責任において対応する。SNSもクラウドもネットバンキングも、使用している人が生活の為、生活の潤いの為の必要に迫れて使用している。便利だ、面白い、と気を緩めて喜んでいると恐ろしい落とし穴が待っている事が多い。私自身も落ちた穴である。気づかないのは自己責任だ。「せめて、事...守屋英一『ネット護身術入門』

  • 悲劇(°▽°)

    私は、現在SNSをしていない。電話の連絡先にも友達の名前を出していない。個人的な電話も友達の電話番号も直ぐに消している。ひとえに友達が大事だからである。勿論パソコンも使用して、5年前まではツイッターもフェイスブックも堪能して友達も多く、夢の様に楽しかった。LINEの機能も知っているし、便利だと思う。良い気になって写真をupし、良い気になって呟いて、脇を100%甘くしていたら、ハッカーの餌食になってしまった。頭が真っ白になり、先ず退会削除をしてしまった。SNSをやめたのは自分からであり、友達登録しないのも自分からである。早まったと思う。いつでも消息を知る事が出来、お喋り出来た友達たちをネット上から見る事も出来ない。迷惑をかけたくないという気持ちがある。母を介護してた時に本音を出せず、外出もままならず孤独地獄に陥っ...悲劇(°▽°)

  • 池田利道 『23区格差』

    私は東京23区のいずれの区も足を踏み入れた事がある。感じるのはそれぞれの区が持つ多様性である。山手と下町という括りを抜けた23区それぞれの特徴がある。個性を持つ街は、確かに人を惹きつけるだろう。著者、池田利道は社団法人23区研究所所長である。実は豊富な経験を持った彼が起こした研究所なのだ。彼は国勢調査や商業集計を分析して、かつ自身が歩き触れた東京の23区の特徴を描く。「格差」というより、街の個性が面白く述べられている本である。経済的に豊かでない街が住み心地が悪いのではない、気楽に暮らせる格安料金の街である実例が挙げられているのだ。常識で測れない勝ち組負け組の実態が存在しているのも東京23区だろう。私は非常に興味深く読んだ。到底一つ一つ紹介出来ないが、23区内に住みたい人の参考になると思った。お好みの多様性に合わ...池田利道『23区格差』

  • 過去への旅路

    昼の光が燦々とカーテン越しに降り注ぐが、今は寒い冬である。同じ季節の星の降る夜、ビルの谷間に佇む紅い薔薇を持っていた愛しい男を思い出す。未だ残る若さのカケラが男の頬を輝かせていた。皆酔っていた。あれは忘年会か新年会か?私は思い出を反芻する事で、お腹も心もくちくなっていく。過去のカレンダーは何時でも自由にめくれて、寒ければ夏にも春にも行ける。私の過去はたっぷりあって、記憶の襞の中から出たそうにしている。まだ、あの冬の夜の頬の輝きがリアルな頃に私は別の場所に昭和の思い出のブログを始めた。リアルに反応してくれる仲間がいた頃だ。口幅ったく言えば、この平和な社会が永続する為にも昭和の歴史の記録を紹介したかったのである。正直、今の私にとって未来への架け橋を渡るよりも、過去に戻る旅をする方がずっと楽になった。そして大義名分以...過去への旅路

  • 村上由美子 『武器としての人口減社会』

    著者村上明子は国連に勤務後、2013年よりOECDセンター長を務める女性である。国際結婚をし海外生活も長い。極めてアグレッシブな考え方をしている。しかも本著は2016年に出版された。これは、以前の社会の夢物語ではなく、今現在日本が取るべき姿勢をきっちり考えたという事だ。豊富な統計を駆使して世界の労働人口の推移、日本人の学歴と職業との関係など、細やかに現状を分析している。本の骨子は、相対的に見て、日本人の学力は高く、中高年の職業能力は抜群で、日本のイノベーションの実力は非常に高いという事だ。それでも、世界に先駆けて少子高齢化の崖っ淵に立った日本の希望が、実質どこにあるのか、私には分からなかった。条件的に見て良くても活かせる場所がないと思った。そして最終章を読んで成る程と思った。同時に今社会全体で進められる風潮につ...村上由美子『武器としての人口減社会』

  • 元気でいてね! 最終章

    その年の秋、千紗は障がい者雇用で職を得る事が出来た。そして、都内のアパートに転居して、杖をついて通勤している。例の、室井のなりすましが作ったHPは、由井に訴えた翌日には消えていた。鈍麻した心と身体のリハビリ訓練はきつく辛かったが、千紗は乗り越えた。もっときつく辛いのが、ありのままの体験を誰にも打ち明けられない事だった。打ち明けても誰も信じてくれないだろうし、狂った人として扱われるのがオチだろう。千紗は訓練所の仲間と他愛ない話題で盛り上がっても、寂しさが込み上げた。おそらく不都合な事実を隠蔽する為に、千紗も室井も世間から遠ざけられたのだろう。室井は過去と決別する為に顔まで変えた。彼女にとって隠された真実を知る事は目的でもなく、望みでもない。ただ、自分が自分でなくなった底冷えする寂しさだった。。この寂しさを分かてる...元気でいてね!最終章

  • 元気でいてね! その4

    あの時、眉を顰めて覗いた男の顔を千紗はハッキリと覚えている。あれは確かに政財界の後ろ盾と言われるY氏だった。そして華奢な若く美しい異国の女性が車に乗っているのが見えた。目立たぬセダンに乗ってお忍びのデートだったのか?室井が近寄って男に詰め寄った。男は懐から札束を出して室井に渡そうとした。室井はそれを振り払って、「弾き逃げ」と罵った。掴み合いになったのか、覚えていない。気がつくと室井のこめかみから頬にかけて血が流れていた。千紗は叫び声を上げた。その後は記憶の他にある。千紗は目を瞑り、頭を振った。千紗が目を開けると、由井は瞬きもせず、見つめたままである。千紗は咄嗟にポケットスマホを出した。「誰かに電話するんですか?」由井は嘲るように言った。どうせ、かけてもお話中になるか、話が通じないか、どちらかだ。「いえ、ごめんな...元気でいてね!その4

  • 元気でいてね! その3

    「いつもきちんとしてるのね。洗濯もお掃除もしなくても大丈夫な位」ふくふくとした優しい顏の由井は明るく千紗に話しかけ、用意した1日分の食料をテーブルに並べた。「煮物はチンするだけで大丈夫。お魚とお汁は火を通してね。戸田さんすっかり良くなって、お料理も出来るしね」いつもの甘い言葉と共に、由井はビーフサンドと野菜サラダの昼食を出した。上質の材料で出来ている。千紗は作り笑いを浮かべて食べた。食べ終えると、いつもの薬が出る。透明なシートに包まれた薬を千紗が飲み終える迄、由井は微笑みを浮かべて見守る。そして、夕食まで由井はこの部屋で何くれとなく千紗の世話をしてくれる。天気の良い日は、由井が用意した車椅子を押して公園を散歩してもくれる。その時、千紗は白い大きなマスクを付けられる。菌を防ぐ健康の為だというのだ。「由井さん、正直...元気でいてね!その3

  • 元気でいてね! その2

    「整形した?「でも、何故?」室井の顔に欠陥はない。ごく平凡な顔立ちだが、俊敏な表情をしていた。写真の顔は以前より整っているものの、その俊敏さがまるで消えていた。「とすると整形する理由は、人に元の室井を知られたくないのか、それとも顔に怪我をしたのか?」千紗の脳は久しぶりに忙しく回転してきた。あの自動車事故に遭った記憶が、薄皮を剥く様に鮮やかに蘇ってきた。「そうだった。私はあの日室井君と会っていたのだ!何故それを忘れていたのだろう」室井も千紗も30代、同じゼミだった仲間の集まりで再会した。話が弾んでお互い惹かれ合ったが室井には婚約者がいた筈である。室井は身寄りを亡くした千紗に同情を寄せた。その同情が愛情に変わったと千紗は信じている。千紗は大手電機メーカーの下請け会社の事務員で、室井はその電機メーカーの社員だった。そ...元気でいてね!その2

  • 元気でいてね! その1

    今日も朝一番に、千紗はスマホを見る。「お早う。室井君!」二人だけが知ってる暗証番号を入れて二人だけのHPを見るのだ。HPは必ず応答してくれる。昔、二人が会ったあの海岸通りや、小さな喫茶店が画面に出てくる。そして懐かしいBGMが流れる。千紗は目を細める。自動車事故で千紗が外出出来ない体になって三年経つ。身寄りもなく財産もない千紗は、公の世話を受けている。与えられた小さなアパートの窓から、冬枯れした景色が見える。それでも、千紗にはそのHPから柔らかい春の風が吹いてくる気がした。昔馴染みの室井からそのHPを一緒に見ようと連絡があったのは、動けなくなって間もない頃だった。千紗には室井の少年の様なイタズラっぽい笑い顔が見える気がした。「いいの?」と聞く間もなく、その日の内にHPが開設され、千紗に届けられた。二人が通った学...元気でいてね!その1

  • ブラックボックス

    「世をあげてブラックボックスの時代に突入している」とは阿刀田高の言葉である。これは大震災後の原発の崩壊について言ったものだが、この便利な世の中が一体何に囲まれているか、無知な人が多いと思う。水も電気もガスも自然に無限に供給されるものではない。水を汲み、火を自分でおこした不便な時代はあったのだ。おそらくその時代の人々は身の回りにある事物の中身を熟知していた事だろう。昔が良かったと言う訳では全然ない。便利で生活し易く豊かな方が勿論良い。ただ、何が便利で豊かにしているのか、何が私たちを動かしているのか、考えようとする人が皆無に近いのが怖い。ブラックボックス

  • 阿久悠『昭和と歌謡曲と日本人』

    寒い一日である。しかし、戦後間も無い昭和はもっと寒かった。阿久悠は銭湯帰りにタオルがカチンコチンに凍る寒さと言っている。私も昭和30年代の冬の朝、霜柱の地面を踏みしめて登校した思い出を持つ。取り上げた本は阿久悠の出世話でも華やかなスターの物語でもない。晩年にめくる思い出のカレンダーの様なものだ。事実阿久悠はこのエッセイを書き終えた2007年に他界した。天才作詞家の奢りなどカケラも見せずに、ただ昭和への思いを綴ったものである。「無意識の懐かしさが人間を救うために呼びよせたのが、昭和のある時期なのだろう」懐かしさの虜になった私は頭で納得する事で、やっと昭和を俯瞰出来る気がする。「ああ、阿久悠もそう感じていたのだ」と胸を抉った言葉がある。阿久悠の子どもの頃、「ごくごく特定の悪人以外は、すべて善人であった。ところが今は...阿久悠『昭和と歌謡曲と日本人』

  • 幸福

    「人間の幸福というものは、時たま起こる素晴らしい幸運よりも、日々起こって来る些細な便宜から生まれるものである」(フランクリン自伝)アメリカ合衆国建国の父とも言われるフランクリンの言葉である。私は若い頃、この時たま訪れる幸運こそが幸福だと思っていた。恋の成就や一流と言われる学校や企業に入る事、経済的な成功。幸福は明確な形をとって現われると思い込んでいた。それを目指して努力する人生を、若い頃、周りの仲間も歩んでいた気がする。私自身、ときめく幸せを得た時期があった。それは、確かに充実した素晴らしい幸福感があった。しかし、永続するものではない。そして例えば永続する地位を得られたとしても、本当の幸せを得たのとは違う気がする。高揚した喜びは心を休めるものではないからだ。日々の小さな便宜、例えば暖かく使い易いストーブ、家族が...幸福

  • 時代を超えて会いに行く

    私が時代を超えて会いに行くのは、新しい年である。明治、大正、昭和、平成、も過ぎ新しい時代が来るからだ。何かロマンチックな思いで胸をときめかしていそうだが、本当は年の扉の前で息切れを起こして戸惑うばかりである。ただ、年の扉は開かねばならない。過去の部屋に入り浸っては生きていけないからだ。私はずうっと、新しい年は向こうから待っていてくれて、手を広げて迎えてくれると思っていた。自分で用意する彩られた正月料理や湯気の立つお雑煮と共に、ふわりふわりとその年がやって来ると幻想していたのである。かなり能天気だったが、この能天気さを保っていれば日干しになってしまいそうだ。ともかく、「ふわりふわり」は無いと覚悟していく。平成の初めのインタビューで、宇宙飛行士の向井千秋さんが好きな言葉は「ケセラセラ」だと言ったそうだ。彼女にして「...時代を超えて会いに行く

  • 平凡

    暮れの書店の文芸誌のコーナーは隅に追いやられ、『オール讀物1月号』だけ元気そうに積まれていた。平岩弓枝の特集がある。エッセイが出ていて、80代も後半の作者の筆の確かさに驚く。平岩弓枝は自身で言う様に平凡さと物書きを両立させた人である。そして物書き故に自分の平凡さに苦しんだと言う。平凡でない事に苦しんだ挙句、物書きになれない人間からは意地悪く低く見られているかも知れないしかし、彼女は子供時代に戦争という平凡ならざるものを経てきている。戦禍の中で、人々は自分達が「平凡」だと信じてきた世界が危険と悪意に満ちている真実を突きつけられた。それを、代表作『御宿かわせみ』の中で起こる事件になぞらえたと私は思う。主人公のるいと東吾は事件を解決して、人々を平和で平凡な日常に返すのである。しかし、相思相愛の二人はなぜか「平凡」な普...平凡

  • 1978年冬

    若い頃は誰もそうだが、その頃私は冬の寒さも冷たい風も殆ど気にならなかった。だから、1970年代末の冬の休日の寒さは忘れ、晴れていた事しか覚えていない。その日向かったのは、東京の下町、占い師の処である。初めて降りる駅の周辺は、ちゃちな建物が並び、場末に見えた。約束の時間には間があったので、近くの喫茶店らしき店に入って、薄汚いピンクのソファーに驚いた。おまけにカウンターの近くでヤーさんの様な男がジロリと見た。ひょっとして夜はパブになる店かも知れない。私はコーヒーを頼み、慌てて半分飲んで火傷しそうになり、退散した。占い師の住む小さなマンションの前に、竹が植わっている。ボンヤリ見てると、わざわざお金を払って占ってもらう自分が馬鹿に思えた。折角得た正規の仕事が辛い、そんな時現れたあの人との未来は有るのだろうか、早く親の家...1978年冬

  • 虹を見た時期

    もう直ぐクリスマス、そして新しい年が来ます。毎年、花を買い、料理を工夫して張りを持って迎えた時期も、母の居ない今はただ過ぎていくのを待つだけの気持ちになっています。災害の多かった今年を離れて、来たる年に希望を持って、新しい明日を迎えたい。ともすれば倒れそうになる身体を立て直し、大きな流れにのって行きたいです。私この10年間程、綺麗で大きな虹の橋を歩く気分になっていたのです。きっかけの一番大きなものは、歯止めをかけるべき所が上手く機能しなかった事だと思えます。それ以上は説明出来ません。ただ、この時期私はとてもアクティブになれました。母の世話の合間に自由に出かけて、見る物は美しく、食べる物は美味しかったのです。いつかは幸せを得られるのだという希望が有りました。ずいぶんいい気なものです。現実には、無理せずに受け身で処...虹を見た時期

  • 巡り会い 後編

    優佳とトシエは共に横浜に住み、20年前に市民大学の法律講座で知り合った。優佳は知的で明るい40代の主婦で、同じ年頃のトシエは会社を途中退職して母を介護し在宅の仕事を模索していた。その頃トシエは恋をしていた。相手は家庭持ちの幼馴染である。実る筈の無い恋の苦しさを優佳に打ち明けたら、「男は他所の家に咲く花に惹かれるのよ」とアッサリ言われたのを思い出す。優佳は何時も恋愛については、真剣に取り合わなかった。それは冷たさからでなく、相手の自由な意志を尊重したいからだとトシエには分かった。思い出に耽るトシエの頬に冷たい風が当たった。「でも、優佳さんどうしてあんな寒い時期に東北の浄土ヶ浜に迄出かけたの?」「主人と大ゲンカしたの。それで一人で旅に出たくなって、たまたま浄土ヶ浜の民宿を知っていたから。衝動的過ぎたわね」優佳は、ト...巡り会い後編

  • 巡り会い 前編

    その公園に冬の陽差しが柔らかく差していたが、ベンチで憩う人は誰も居なかった。誰も寒い冬に何もない場所で、馬鹿みたいにのんびりしてられないのだろう。裏山に遮られて、人に見られる心配もない。此処まで、追ってくる声もしない。トシエはコートの襟を立て、厚いマフラーに顎を埋めてベンチに腰掛けた。脚の病気が急に悪化して杖をつく様になってから、トシエは酷く敏感になった。自分だけが変わったのではなく、世の中全体が沈滞して、皆自分の事でいっぱいで人には優しくなれない気がする。どうして、こんなに刺々しい世の中になってしまったのだろう。自分自身の心にも一杯棘を付けて、ひとを刺している様だ。フーッと息を吐くと涙が込み上げてきた。「どうしたのよ。仲治さん」目を上げると、トシエは思わず声を上げた。あの大震災で津波に呑まれて行方不明のままの...巡り会い前編

  • ひとり終活

    「ひとり終活について、もっと老人に優しいガイドをして欲しい」などと言ったら、内心甘えるなと怒る現役は多いのではないか?特に福祉関係の機関で、高齢者の現実の厳しさを知ってる職員はそうだろう。毎日うんざりする程の相談者が来て、勝手な事を言い、気が休まる暇がないからだ。市のガイドを読めば、相談する所の目安はつく。地域の自治会はあるし、民生委員は活動してる。安全サービスはあるし、見守りサービスもあって、本人が依頼すれば、いざと言う時心強い。又動けなくなったら、知り合いに伝えて病院に行けば良い。しかし、こんな至れり尽くせりだったとしたら、何故孤独死がジリジリ増えていくのか?二つの問題がある。個々の特殊なプライバシーの問題と経済的な問題である。有り体に言えば、お金が無いから病院に行かない人がいるのだ。2014年の総務省家計...ひとり終活

  • 夢でさよなら

    夜半、締め付けられる様な胸の痛みがトシコを襲った。眠剤をもう一錠飲んで眠ってしまおう。未だ暖かい毛布にすっぽり覆われて、このまま全てが消えてしまえるなら、それでいい。弱った心と身体が、深い眠りを求めていた。トシコは震える手を伸ばして枕元のスタンドを付けた。淡い明かりがついた時、そこにユメトがいた。最後に会った時そのままの懐かしい姿だった。心配そうにトシコを見守っていた。(ユメト!やっと会えたのね。最後に神様がユメトの姿を見せてくれたのね)トシコの声は枯れきっている。ただ潤んだ目で恋しい男を見た。ユメトはいたわしそうに首を振って、ゆっくり言葉を選んだ。「もう少し生きろよ、トシコ。俺は俺らしく生きてるしかないけど。もう会えなくても君は元気でいて欲しいよ」トシコは無理して大きく息を吸った。「嫌だ。ユメトと会えない世界...夢でさよなら

  • 芥川龍之介 『トロッコ』

    芥川龍之介というと、鋭い機知に富んだ風刺や人間心理の深層を抉る作品を思い浮かべる。それよりも、自死を選んだエキセントリックな文豪というイメージが強い。しかし、岩波文庫の一冊の中には少年の心が潜む純潔な作品ばかりが収められている。あまりにも、真っ直ぐな子供の心を持っていたが為に、皮肉の鎧を着て、自らがその鎧の重さに押し潰された人ではないかと、私は余計な想像をしてしまうのだ。さて、表題のトロッコは無蓋の箱に車輪が付いたものだ。作品の描かれた当時、大正9年鉄道工事の機材の運搬に使われていた。暖かい海沿いの村に住む8歳の良平は、毎日村外れの工事現場に、土を運ぶトロッコを見に行った。身軽にトロッコに乗って、気持ち良い風に吹かれてみたい。土を載せ、登りは線路沿いに押して下りはトロッコに乗って悠々と広がる景色を見る。ちょっと...芥川龍之介『トロッコ』

  • 冬の日

    寒い日が続きます。ついこの前まで、春の様な陽気だったので、余計身体に応えます。この所のブログ記事、老いとか死に関連した内容が多く、まさに冬のムード。私は本来恋バナが好きで、その春らしいふわふわ気分(現実が伴いません)を頭の隅にいつも持っていました。多分それが生きるエネルギーになっていたのかも知れません。さて、これからそれが持てるか、ポワポワの恋心が消えた今は疑問です。夢が消えると、現実の条件が悪く、先の見えない状況に戸惑ってます。ただ、懲りずに栄養とか睡眠とか考えているので、未だ命の終わりは見えていない様です。先のブログの佐野洋子さんの潔い性格とは全く異なるので、「助けて、助けて」と言いたげな情けない顏してます。役に立たない人が生きていけない世の中だと逆に困ります。今の世の中、現実に役に立ちたくても立てない人は...冬の日

  • 佐野洋子 『役に立たない日々』

    「あと何年もちますか」「ホスピスを入れて二年位かな」「いくらかかりますか死ぬまで」「一千万」「(高い!止める)わかりました。抗がん剤はやめてください。なるべく普通の生活が出来る様にしてください」「わかりました」この会話の癌患者は作家の佐野洋子である。彼女は当時70歳、年金が無いので貯金を取り崩す生活をしていた。文筆も行き詰まったし、90歳まで生きていたらどうしようと思っていたと言う。離婚して独り身、子供はしっかり自立している、介護状態だった母親も2年前に他界して、何の責任も無い身である。なんと彼女は2年の命の宣告を受けた後、十数年苦しんだ鬱病が殆ど消えたそうだ。そして毎日がとても楽しくなった。これは私が勝手に想像したのでなく、佐野洋子が書いた通りの話だ。癌でもないのに、私は彼女の気持ちが非常によく分かる。積極的...佐野洋子『役に立たない日々』