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シネマテーク備忘装置 https://callmesnake1997.hatenablog.com/

映画考古学者スネークが世界中のオススメの映画/アニメ/漫画遺産を発掘してお届けします

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2016/04/14

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  • 2023年映画ベスト10

    ①ファースト・カウ(2019) 随分と待たされて期待値MAXになっていたけれど、これはその期待を超える傑作でした。ある意味ジョン・ヒューストン的ともいえる西部劇としてはよくある一攫千金の題材が、ケリー・ライカートの手にかかるとマチズモとは真逆の印象で今まで誰にも語られていなかった未知の映画として21世紀に現出してしまう驚き。ショット/その連鎖の編集、先行する音響/アンビエントな音楽、スタンダード画面内に現れるフレーム内フレーム/フィクスとパンで被写体を的確に捉える撮影/映画館のみでしか体験できない夜の闇の黒さを再現する色彩、いずれもハイレベル且つライカートの比類無き個性が際立つ素晴らしい作品で…

  • 2022年映画ベスト10

    【第1位】『ジョン・フォード論 』(2022年) 「パリのシネマテークがまだシャイヨー宮にあったころ…」といきなり始まった2022年7月23日シネマヴェーラで行われた蓮實重彦氏のトークショーは、『プリースト判事』(1934)を見に行ったら席の隣に犬が座ってて、なんだろうと思って横を見たらストローブ=ユイレの飼犬で、一緒に見てたら皆が笑うシーンで彼(犬)も笑っててフォード見るとこんな親しい犬と出会えるのだなと感動、そして数週間後ロッテルダム映画祭に行ったら彼(犬)がいてIDカード付けて歩いてたという爆笑トークから始まり、別室トークにより本題の「何故私が執念深い敵討ちを専門とする男になったか」を挟…

  • 2021年映画ベスト10

    2021年はモンテ・ヘルマンの新作への希望が永遠に断ち切られた絶望の年であり、一方その影響下にあるケリー・ライカート作品が一般公開された希望の年でもありました。ということで早速2021年のベストです。 【第1位】『リバー・オブ・グラス』(1994年) 【第1位】『オールド・ジョイ』(2006) 【第1位】『ウェンディ&ルーシー』(2008) 【第1位】『ミークス・カットオフ』(2010) 「普通に公開されていればその年のベストに選ばれていたであろう傑作揃い」と去年書いたばかりですので、普通に公開された今年はベスト1として選ばせて頂きます(全く2021年ではありませんが...正直これ以…

  • 2020年映画ベスト(10)

    パラダイムシフトという言葉は知ってはいても、実際にそれを体験する世界が自分に訪れるとは考えてもいなかった2020年。ワンチーム!とか言って浮かれていた去年の自分に「来年は100年振りのパンデミックで世界が一変するよ!」とデロリアンに乗って警告してあげたいくらいです(まぁ、信じないでしょうけどね)。 ちなみに100年前といえばスペイン風邪が流行っていたそうですが、ドイツではポー原作、フリッツ・ラング脚本の『フィレンツェの疫病/The Plague of Florence (1919)』というパンデミック映画が作られていています(KinoLorberから出ている『FRITZ LANG: THE S…

  • 2019年映画ベスト10

    世の中の公開されてる映画は多過ぎて見れない!(某CM風)...という言い訳はさて置いて、2019年も旧作ばかりに足が向いてしまい新作は好きな監督以外はあまり見れていないのですが、それでも素晴らしい作品が色々とありましたので10本(+α)を記しておきたいと思います。 【第1位】『イメージの本』ジャン=リュック・ゴダール 7時間とか4時間とかナルシスティックな長回しの「撮影の映画」が横行する中、もはや撮影というプロセスですら主要ではないアーカイブとモンタージュを主体とする短い映像と音響の連なりが不断の刺激を生む「編集の映画」をB級映画並の85分間ガッツリ作り込む過激な映画革命家が今現在も現役で活躍…

  • 2018年映画ベストテン

    今年は小津やラングやアルドリッチやベルトルッチといった旧作ばかり見ていて、ますますもって新作チェックを怠り浮世の流れがつかめなくなってしまいましたが、数少ない新作鑑賞の中で印象に残ったものを挙げてみます。おそらく映画のデジタル化の恩恵によってもたらされたよりパーソナルな映画 — それがささやかな個人映画であれ、ハリウッドの大作であれ — どれも個人が世界と対峙する世界観をもった魅力的な映画達を選んでみました。 【番外編】サッカーワールドカップのVAR(Video Assistant Referee) いきなり番外編でしかも映画の話ですらもありませんが…。今年見た映像の中で一番印象に残った映像は…

  • 『フリッツ・ラング』鏡の国の冥界の秘密(米時代全検証レビュー)

    映画監督に著作権は無くともその刻印は存在します。フリッツ・ラングにおける鏡はこれ見よがしに演出されるのではなく、さもそこに在る事が当然のような正確さで実務的に対象を反射しています。それはアクション、サスペンス、ロマンスといったジャンルを問わず、ヒッグス場のような目に見えぬ相互作用の場を刻印して一瞬の質量を与えているように見えますが、果たしてそれが意味するものは何か。そこには何かオカルトのように恐ろしい何かが潜んでいるのかもしれませんし、映画製作上の止むに止まれぬ事情によるものなのかも知れません。 ラングにおける鏡の扱い関してはもちろん多面的なラングの一面をかいま見る一つの側面でしかありませんが…

  • 小津安二郎のサイレント時代全レビュー ~萌えモダニズムと見返り美人の韻画リズム~

    小津安二郎のサイレント時代 1927年デビューから1936年までに小津は35本のサイレント映画(音響版を含む)を撮っていますが、その内現存するものが残念な事に約半分の17本。同時期の山中貞雄に比べればマシな方だという事もできますが、これはやはり残念としか言いようがない現実です。 例えば「監督として情熱を持って力一杯仕事した」と小津自身が語っている(*1)1931年の『美人哀愁』ですらも現存しておらず、その情熱の成果を確認することができません。これでは小津映画の全貌を語る事などは偉い評論家や大学の学者先生だろうが出来はしないといっても過言ではないでしょう。 ...という事で現在小津の全貌をまとも…

  • 2017年映画ベストテン

    遅ればせながら2017年度のベスト10を。2017年は清順さんやトビー・フーパーの訃報という悲しい知らせもありましたが、ジャン・ピエール・メルヴィルやキン・フ―といった素晴らしい作家の素晴らしい作品に触れることができる年でもありました。新作はあまり見てないのですが、映画に携わる全ての人々に感謝しつつ2017年ベストテンを選ばせていただきます。では早速一位より、当時のTwitterのつぶやきも合わせて。 第1位:『アウト・ワン 我に触れるな』(1971年) こちらはまったく2017年の映画ではありませんが、2017年で最も衝撃的な映画体験をもたらくしてくれたという事実を忘れないためここに入れてお…

  • 『ブライアン・デ・パルマ』円環と錯視の王、ほぼ全作品レビュー

    今年はドキュメンタリー映画『デ・パルマ』(ノア・バームバックとジェイク・パルトローの共同監督)が公開されると言うこともありデ・パルマ作品を色々と見直していたのですがどれも面白いですね。一般的には当たりハズレが大きいと言われているデ・パルマですが(興行的な話はともかく)僕にとってはハズレ無しの高打率なイチローみたいな映画作家です。また黒沢清の「ヒッチコックだけは真似してはならない」という警句をことごとく率先して破っている印象がありますが、デパルマ映画は当然それだけではありません。映画を見れば分かることですがデ・パルマには確固たるデ・パルマの法則が存在しておりますのでその点にも注目して書いてみたい…

  • 『ミニー&モスコウィッツ(1971年)』~ 孤独な男と女を祝福するカサヴェテスのラブスプリーム

    アメリカ映画には偉大なJ・Cが二人いる。一人はジョン・カーペンター、もう一人はジョン・カサヴェテスだ。 と、引用すると誰か偉い人が言った名言のように見えるかのテストです(誰もそんな事は言ってないと思いますのでとりあえず僕が言っておきました)。 冗談はさておき今回はジョンカペの話ではなくもう一方のアメリカ映画界の偉大なJ・C、あるいは「アメリカン・インディーズ映画の父」ことジョン・カサヴェテスの作品について書きます。 しかし、カサヴェテスと言うとどの映画をみてもカサヴェテスとしか言いようのない映画ですよね。北野武がどの映画を撮っても北野武であるように、イーストウッドがどの映画を撮ってもイーストウ…

  • 『マッドボンバー(1972年)』〜 オ・ソロシ巨人B・I・G(バート・I・ゴードン)によるB級映画の快作

    最近特に何の予備知識もなくBS(シネフィルイマジカ)でやっていた本作を見てしまったのですが、これが思いのほか大変素晴らしく「ああ、これは映画だ」、とごく当たり前の感想を持ちつつもいたく感動してしまいましたのでここでご紹介させていただきます。 まずこの映画がどんな映画か簡単に一言で説明しますと、 娘を亡くしておかしくなってる説教魔の爆弾男と、 自分の奥さんのヌード写真/映画を撮って見るのが趣味の変態連続強姦魔と、 上司の命令なんてクソ喰らえなダーティハリーなポリスメン、 が三つ巴でコネクションしてマッドにボンバーする映画 です。 まぁ、上記の説明では何の話かさっぱりかと思いますが、この映画は大正…

  • 未知の映画監督ジョナサン・デミ(とフランソワ・トリュフォーとハイチの関係)

    4月26日、やけに羊たちの沈黙のツイートが多いなとぼんやりとtwitterを眺めているとR.I.Pの文字が目に飛び込んでくる。まさかと思い他のツイートを見ると同じ事が書いてある。なんてこった、嘘だろ・・・と思う。twitterはいつも最新のニュースを届けてくれるので重宝するのだが最悪のニュースでさえも最新に届けてくれる。 どうやら本当のことのようだ。#R.I.P #JonathanDemme 食道がんと心臓病の合併症により死去、73歳だという。早過ぎる、と思うと同時にそんなに年だったのかとも思う。 彼が『サムシング・ワイルド(1986年)』や『愛されちゃってマフィア(1988年)』で新進気鋭の…

  • 『キングコング(1933年)』 ~ 彼について私が知っている二、三の事柄

    いよいよ実写版『美女と野獣』が公開されますが、『美女と野獣』以上に美女と野獣をことさら言及する映画、それが1933年版『キングコング』です。しかしこの映画は映画内で一体何回美女と野獣を言及しているのでしょうか?暇な人は数えてみてください(なんと9回も言及していますよ←暇なヤツ)。 だいたいこの映画はオープニングからして「そして預言者は言った”そして見よ。野獣は美女の顔を見上げたが、その首を絞めようと伸びた手はとどまり、その日を境に野獣は抜け殻のようになった”」と古代アラビアの諺などという、いかにももっともらしい話をわざわざでっちあげて(この諺はメリアン・C・クーパーの創作です!)言及するのです…

  • 『キングコング(1933年)』 カール・デナムとは一体何者なのか? ” 華麗なるヒコーキ野郎”と”カメラを持った男”の物語

    今回のスピンオフの話はさておいて、1933年のオリジナル版キングコングを見返すとこれが今みても大層生々しいタッチ、かつ暴力的(象のように人を踏み、虎かはたまた進撃の巨人みたいに人を食らいます)で矢鱈滅多らと面白い事に驚かされます。 なぜこんなに面白いのだろうといろいろ調べてみたところ、なるほど!ザ・ワールド的とも世界不思議発見的とも世界の果てまでイッテQ!的ともいえるとにかく無鉄砲でいかれた冒険野郎達の波乱万丈な人生が垣間見えましたのでそのことに関して少し書いてみます。 ≪Merian C. CooperとErnest B. Schoedsack 写真はA Tribute to Merian …

  • 攻殻機動隊の世界が5年後に実現? ~ <今そこにある未来ニュース⑥>

    最近この人の名前をニュースで見ない日はないですね(と半年前も同じこと書いてましたが...)。若きカリスマ天才起業家”リアル”トニー・スタークこと「イーロン・マスク」。 またもやこの人のニュースです。 今度は攻殻機動隊みたいに脳とコンピュータの接続を目指す会社を起業したそうです。しかも4、5年後(!)を目指すというのですからこれはちょっとびっくりですね。まさに今そこにある未来ニュースです。とはいっても基礎技術的には既に確立されつつある話しですので単なるトンデモな与太話ではありません。イーロン・マスクはいつも有言実行の人ですからね。このニュースの意味は侮れません。 ではまず今回のニュースに関して。…

  • 『花吹雪舞う!春の鈴木清順幻の作品祭り』 ~ 具流八郎との空白の10年:怒濤編

    前回のあらすじ 1968年のいわゆる「鈴木清順解雇・封鎖事件」は学生運動のデモも巻き込んで「鈴木清順問題共闘会議」を結成し、多くの映画人を巻き込んだ日本映画界を揺るがす一大騒動と化していました。 一方具流八郎は共闘会議とは距離を置き(*1)、大島渚の「鈴木清順は二年以内に映画を作れ。作らなければ清順も敵だ」という痛烈な檄に呼応するかのように次回作の準備を始めます。 鈴木清順は内田百閒の「サラサーテの盤」を、田中陽造は泉鏡花の「陽炎座」を、大和谷竺は魯迅の「鋳剣」を企画として提案。この中からまずは「鋳剣」を進めることになりました。 鋳剣(1969年) 【主要執筆者】:田中陽造、大和屋竺、大原清秀…

  • 『花吹雪舞う!春の鈴木清順幻の作品祭り』 ~ 具流八郎との空白の10年:疾風編

    いつかその日が来るだろうとは思ってはいても実際にその日が来てしまうとやはり結構ショックだったりする清順さんの訃報(2017年2月22日)。本来であればしめやかに追悼すべきなのですが、既に発表の時点で9日もタイミングを逸している始末(同年2月13日満93歳没)。 NHKの健康番組で煙草を吹かしつつ「下らない。人間、誰でも死ぬ」と言ってクレームを受けたという伝説を残したり「やっぱり死ぬことも神様のおぼし召しだからね。その人にとっては。よく犬が自動車に轢かれるでしょ、可哀想と思いいまさぁね。可哀想じゃないって言うんですよね。それは神様のおぼし召しなんですから」というさすが戦争体験者ともいうべきシビア…

  • 恐るべし!元が何だかよく分からないポーランドの映画ポスター

    最近『モアナと伝説の海』のポスターがオリジナルと違い過ぎると話題になっているようですが、映画ポスターのデザインが公開される国によって変わるのは至極当然のことであります。もともと違っていて当たり前なのでその事に目くじら立てるより、むしろそこに表れる国民性や文化の違いを分析したり楽しむべきかと僕は思います。世界中同じポスターですと画一的でつまらないですし、お国柄の違いをツッコむのも楽しいですしね(イタリアだとなぜかエロい『七人の侍』ポスターとか)。 しかし世界は広い!。ということでここからが本題なのですが日本なんてメじゃないくらい元の映画が何なのか分からないくらい凄い映画ポスターを作る国があるので…

  • 『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(1991年)』~ 25年前の撮影風景

    よく”伝説の傑作!”とか”××年に1本の傑作!”とか映画の宣伝に使われる惹句は話半分であまり信用できないものが多いのですが、これはまさに掛け値なしに”25年に1本の伝説の傑作”といえるのが『牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件(1991年)』という作品です。 「悪魔に委ねよ」という大和屋竺さんの不吉な予言から早25年、権利上の問題でリバイバルもDVD化もされず伝説の傑作と言わてスクリーンから遠ざけられていた本作ですがマーティン・スコセッシのフィルム・ファウンデーションの尽力もあり、ようやく陽の目を見て本日公開されました。 才能ある映画作家はそのキャリアの中で一生に一度才能を全身全霊傾けた大作を撮…

  • 天才アニメーター「うつのみや理(さとる)」さんのおすすめ作品5選

    大好きなアニメーターさんシリーズでうつのみや理(さとる)さんについて書きます。その個性の強さゆえに一連のテレビシリーズの中では際立って浮いてしまい物議をかもす事もありますが、その省略されたキャラのシンプルさとフルアニメーションのようなリアルで優雅な動きは媚薬のように僕を虜にして離しません。残念な事にまとまって見れる作品数が少なく、ピンポイントの作画作品の方が多い天才アニメーターさんですが、その中でおすすめというか今のところの代表作ともいえる作品を以下5本まとめて年代順でご紹介します。 ≪以下の画像はうつのみやさんのHP「戯作三昧 Ⅱ」より≫ 『御先祖様万々歳!(OVA/1989~1990)』 …

  • 天才アニメーション作家”湯浅政明”さんのおすすめ作品5選

    2017年は4月7日に星野源さんが主人公の声を演じることで話題の『夜は短し歩けよ乙女』が、5月19日には自身初となるオリジナルアニメーション映画『夜明け告げるルーのうた』が公開と、年に二本も、しかも矢継ぎ早に二ヶ月連続という前代未聞のインターバルで劇場用映画が公開されるという、今年は湯浅政明ファンにとっては盆と正月がいっぺんに来るくらいの嬉しい年になりそうです(ん、デジャヴュ)。 ということで今ノリに乗っている日本アニメーション界でも突出してユニークな天才アニメーション作家、湯浅政明さんの作品をいくつかご紹介したいと思います。アニメーター/デザイナーとしては一連の『クレヨンしんちゃん』の映画や…

  • 『ケモノヅメ(2006年)』~ ボブ・ピークとタイガーマスクと桃太郎の延長線上にあるエロティックバイオレンスホラーラブコメディ

    今年は4月7日に映画『夜は短し歩けよ乙女』が、5月19日には自身初となるオリジナルアニメーション映画『夜明け告げるルーのうた』が公開と、年に二本も、しかも矢継ぎ早に二ヶ月連続という前代未聞のインターバルで劇場用映画が公開されるという、湯浅政明監督ファンにとっては盆と正月がいっぺんに来るくらいの嬉しい年になりそうです。 ということで今ノリにノっている日本アニメーション界でも突出してユニークな天才アニメーション作家、湯浅政明さんの監督作品をいくつかご紹介したいと思います。先ず今回はこの作品から。 『ケモノヅメ(2006年)』(原作・監督・シリーズ構成・脚本・絵コンテ・演出) 湯浅さん初のオリジナル…

  • 『祇園の姉妹/Sisters of the Gion(1936年)』〜溝口健二監督の女性ハードボイルド・和風ノワール映画

    フィルム・ノワール及びハードボイルド映画というと1941年の『マルタの鷹』を起源とすることが多いようですが、それに遡る事5年前の昭和11年の日本において女性を主人公としたハードボイルド映画が存在していたことをご存知でしょうか?。それが今回ご紹介する1936年製作『祇園の姉妹』という山田五十鈴主演の溝口健二監督作品です。 一般的には男性に翻弄される芸妓の悲喜劇的人間模様を描いた作品として扱れているかと思いますが(まぁ、その通りなのですが)、この映画は山田五十鈴がファム・ファタールとして欲望に駆られた男性達を翻弄するフィルム・ノワールであり、『マルタの鷹』のハンフリー・ボガートやダシール・ハメット…

  • 『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2016年)』 ~ ティム・バートンの奇妙な落書きたち

    「ティム・バートンの世界」のデッサン 2014年の11月1日から2015年1月4日まで行われていた「ティム・バートンの世界」展。当方はマヌケなことにちゃんと日程をチェックしておらず、ノコノコと最終日に出かけてしまったのですが、そのあまりの人の多さに驚嘆してしまいました(チケット買うのに数時間、入場で数時間待たされるはめに)。日本のティム・バートン人気はマニアックなオタク層以外にもポップ・カルチャーを担う普通の一般層にも浸透しているのだとなぁ、とまざまざと実感させられた次第です。 で、その肝心の展覧会の中身ですが、これは何時間も並んで待った甲斐のある素晴らしいものでした。中でも特に驚いたのはこの…

  • フリッツ・ラングとセルゲイ・エイゼンシュテイン 〜 『メトロポリス(1927年)』のセットより

    遅ればせながらつい最近ツイッターを始めたのですが、なるほどこれは面白いですね。毎日自動画像収集装置botとしてけな気に働いてくれて、非常に役立ってくれています(←早くも使い方間違ってるかも)。 特に映画関連ではクラシックな名作の撮影現場の監督の写真なんかを見つけると面白くてついついリツイートしてしまいます。 そんな数ある撮影現場の写真の中で非常に興味深い写真が一枚ありましたのでご紹介します。 1926年5月か6月頃に撮られたと思われるのフリッツ・ラングの『メトロポリス』のセットでの記念写真にラングと一緒にエイゼンシュテインが写っているこの写真です。 <向かって一番右がエイゼンシュティン、三番目…

  • 巨匠ヴェルナー・ヘルツォークのおすすめ作品5選

    ニコール・キッドマン主演で話題の『アラビアの女王 愛と宿命の日々 / Queen of the Desert (2015年)』の近日公開(1月21日(土)より新宿シネマカリテ、丸の内TOEIほか)を記念して、狂気を描かせれば右に出るもののいない巨匠ヴェルナー・ヘルツォークのおすすめ作品をご紹介したいと思います。 ヴェルナー・ヘルツォークに関して ヴェルナー・ヘルツォーク(Werner Herzog、1942年9月5日 - )はヴィム・ヴェンダース、ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーらと並んでニュー・ジャーマン・シネマ(主に1970年代に台頭してきた斬新で非商業的な映画を撮る若手の総称。簡単に…

  • レイア姫はなぜ銃を持つのか? ~ スター・ウォーズとリイ・ブラケットとハワード・ホークス的三角関係

    つい最近スクリーンでその"若々しい姿"を見たばかりなのにそんなことが起こりうるとは微塵も想像しておらず、未だに何か信じられないキャリー・フィッシャー(*1)、及びその翌日のデビー・レイノルズ(*2)の訃報ですが、思えばあの"若々しい姿"は何かフォースの予兆だったのでしょうか。 今の所エピソードVIIIは既に撮影済で問題無いらしいのですが、エピソードIXでは問題になるようです。想像していたよりも早く"『コングレス未来学会議』問題"が現実化していてさらに驚きです。 それはさておき、今回は追悼も兼ねてレイア姫(及びスター・ウォーズ)のルーツの一つを少し探って書いてみたいと思います。 『スター・ウォー…

  • 2016年映画ベスト10

    年末ですので2016年映画ベスト10をやっておきます。新作は見てない方が圧倒的に多いのですが、今年見れた数少ない新作映画の中から自分の好きなおすすめの映画を10本(または15本)選んでお伝えします。 では洋邦合わせて1位から。 1位:『ハドソン川の奇跡』(Sully,2016年) 劇場公開日: 2016年9月24日 監督:クリント・イーストウッド あまりにも明快かつ複雑という二律背反さゆえに3回も劇場に足を運んでしまった本作。単純な音と映像の連なりが生みだす世界を人は単純に映画と呼びますが、果たしてこれはそんな単純なモノなのでしょうか。おそらくこれを見た90%以上の人がこの映画がニュースの裏に…

  • 『北の橋 (1981年)』 ポケモンGO的AR(拡張現実)でパリの町を冒険する最高にキュートなファンタジー・ミステリー映画

    2016年を代表するヒット商品であり、あっというまに世間を席巻して、あっと言う間にブームが過ぎ去った感のあるポケモンGOですが(今だと話題はAmazon GO?*1)、これに遡ること35年前にポケモンGO的AR(拡張現実)でパリの町を冒険する最高にキュートなファンタジー・ミステリー映画が存在していたことをご存じでしょうか?。 それが今回ご紹介するジャック・リベット監督の『北の橋 Le Pont du Nord (1981年)』 という映画です。 では映画の話の前にまずは技術用語の説明です。 AR とは(ついでにVR とMRも )? AR(Augmented Reality:拡張現実)というのは…

  • 『ローグ・ワン/スター・ウォーズ・ストーリー(2016年)』をより楽しむための映画7選

    JJの『フォースの覚醒』には一ミリも心動かされずに何も覚醒しなっかった私ですが、今回の『ローグ・ワン』に関してはさすがゴジラを見事に復活させたギャレス・エドワーズ監督とあって映画的な萌えどころ、いや燃えどころを心得た、”これこれ、これがSWだよねー”と言う素晴らしい出来に十分満足しております(主に終盤部分だけですが)。 ということで期待に違わぬ素晴らしい出来だったローグ・ワンの公開を祝して、ローグ・ワン(及び『スター・ウォーズ』シリーズ)をより楽しむための映画を七本セレクトしてご紹介します。 『座頭市物語(1962年)』監督:三隅研次 『ウォーカー(1987年)』監督:アレックス・コックス 事…

  • 『ヒッチコック/トリュフォー(2015年)』と『JACO[ジャコ](2015年)』、天才アーティストのドキュメンタリー二本立て

    今月はシネマカリテで面白いドキュメンタリー映画が二本立て(別料金で続けて見ればの話ですけどね)で見れますのでご紹介します。 アルフレッド・ヒッチコック/フランソワ・トリュフォーとジャコ・パストリアスに関するドキュメンタリーです。 どちらも当時は理解されなかったにも関わらず、現在においては如何に映画界や音楽界に多大な影響を与えているかということが分かる天才アーティストのドキュメンタリー映画です。 『ヒッチコック/トリュフォー』 1962年当時、あまりにもアルフレッド・ヒッチコックの偉大さに気づいていなかったバカなアメリカ人を見返すべく(?)フランソワ・トリュフォーが一週間50時間の長大なインタビ…

  • 『ツイン・ピークス The Return(2017年)』 ~ 25年振り主要キャストの”今と昔” ー I'll See You Again in 25 years

    「あなたの好きなあのガムが、また流行りだすようだ」 25年振りに『ツイン・ピークス』が帰ってくる! 2014年10月3日、 ”That gum you like is going to come back in style !” というリンチ/フロストの突然のツイートは、体の奥深くで全細胞が快哉を叫ぶほどに嬉しい驚きのニュースでした(←この表現使い方間違ってるかも) NetFlixだろうがHuluだろうがWOWOWだろうがAmazon プライムだろうが何であろうと『ツイン・ピークス (Twin Peaks )』 より面白い海外TVドラマ?そんなものはこの世には存在しません。以上!。 と言い切っ…

  • Spotifyでおすすめの名盤を探す旅の終わり【まとめ編】 +(30日間無料試聴する方法)

    音楽ブログでもないのにやり始めたら止まらなくなってしまい調子に乗って10回も続けてしまった「Spotifyでおすすめの名盤を探す旅」シリーズ、せっかくなのでまとめ記事でまとめておきます。 その前にスマホとPC /タブレットの微妙な違い等、書いた後で気づいた補足情報等もあるので簡単にSpotifyに関してもまとめておさらいです。 ≪Spotifyに関して≫ ・Spotifyとは? 4000万曲以上を誇る音楽のストリーミング配信サービスです。 2016年現在、1億人を超えるユーザーをかかえる世界最大手です。 ≪公式HP≫ www.spotify.com ≪アプリダウンロード≫ Android pl…

  • Spotifyでおすすめの名盤を探す旅に出る【ジャズ・フュージョン編】 ~ ”主要アーティスト100選”

    Spotifyの4000万曲にもおよぶ広大な音楽の海からおすすめの名盤を探しだしておすすめするという企画の第10弾、【ジャズ・フュージョン編】です。 なんか軽い気持ちでやり始めた企画、とりあえず一通りのジャンルを横断したので今回でおしまいです。 では今回は最後を記念してどどーんとジャズ・フュージョン主要アーティスト100選をご紹介します(試聴ガジェットを張るとページが重くなりすぎましたので、アルバムの方はアーティストのアイコンをタップorクリックしたリンク先でお聞きください)。 以下アルファベット順で。 【 A B C D E F G H I J K L M N O P Q R S T U V…

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