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ギャンブル依存症患者が綴るノンフィクション。 https://gambling-addiction.hatenablog.com/

大学1年生から約15年間、ギャンブル依存症に苦しめられた日々を綴ります。毎日更新しています。

私は大学1年生から約15年間、筋金入りのギャンブル(パチンコ・パチスロ)依存性であり、そのことを誰にも話さずに生きてきました。借金もあります。しかし私に借金があることは、誰も知りません。巧妙な嘘や隠蔽工作で、それらを隠しとおしてきました。

森田
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2016/02/29

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  • 引きこもり。

    引きこもり。 それから数日、気持ちが沈んでいました。なんのやる気も起きず、廃人のように、自宅で固まっていました。 何故彼女に電話をしようなどという暴挙に出たのか。まさか、本当に彼女が私のことを待ってくれているとでも思ったのでしょうか。自分はなんてダサいことをしたのだろう。自分はなんて恥ずかしいことをしたのだろう……。 この、馬鹿さ加減。まったく救いがありませんでした。

  • 元彼女との電話。

    元彼女との電話。 「ごめん、聞こえる?」 彼女は、あまり声の聞こえない場所に移動しているようでした。私は彼女の声をもっと聴きたくて、感情が高鳴りました。 「いや、なんか、なんとなく、なにしてるのかなって」 「なにしてるって、そっちこそ、いまなにしてるの?」 お互い、少しドキドキしているのが伝わりました。彼女の声は、口調は、なにひとつかわっていなくて、私の涙腺は少し緩みました。

  • 懐古。

    懐古。 バイトして、パチスロして、バイトして、パチスロして、バイトして、パチスロして。 留年後の生活は、いままでとなにも変わりませんでした。負けては「今日でパチスロをやめよう」と誓い、翌日またパチスロし、また負けて…… 私の場合、パチスロ依存が極まり、交友関係まで絶ってしまったのがまずかったのかも知れません。もともと、1人でいることは嫌いではなかったですが、ずっと1人でいることに耐えられるほど強い人間ではなかったのです。

  • 終わらない偽装。

    終わらない偽装。 テレビではじめて、大学の卒業式シーズンを知りました。私のことを気の毒に思ってくれた吉田は無事、就職先が見つかったことを報告してくれました。 私はすずめがさえずる音で目が覚め、窓を開けました。とおく先にある公園から運ばれてきたのか、時折、桜の花びらが宙を舞っています。

  • 卒業旅行の季節。

    卒業旅行の季節。 とても寒い日でした。 真夏のアスファルトにまだら模様を描いた葉はすべて抜け落ち、キャンパスに貼りつく樹々の影はすべて針になってしまいました。 《受信1》『元気? サークルのみんなで3月に卒業旅行にいくことを計画したんだけど、行こうよ。最後くらいは、全員一緒に。お前の参加待ってるから!』 《受信2》『先輩が結婚するんだって。3月に二次会呼ばれてるんだけど、行く? ってかここ半年くらい返信ないけど生きてる?(笑)』 メールボックスには何通かメールがきていましたが、誘いのメールはいつものように無視しました。

  • 留年へのチケット。

    留年へのチケット。 その週の日曜日の夕食後、父親と母親を呼びました。 この日を迎えるにあたり、意外にも緊張や恐怖はありませんでした。借金が完済できた時点で、こころの負荷がだいぶ減っていたからでしょう。 仮に、話がこじれて、父親に「お前最近、金使いが荒いらしいな。まさか借金してるわけじゃないよな、いますぐ財布の中身を見せてみろ!」と追求されたとしても、私が借金をした証拠など、もうどこにもないわけです。

  • 止まらない空虚感。

    止まらない空虚感。 「ええ……いきなりそんなこと言われても……まったく準備してないし」 「ごめん」 母親は財布のなかをくまなく探し、お札を一枚一枚数えていました。足りないと言われたらどうしようとは何故か考えもしませんでした。 「ああ、あったわ。はい。……じゃあこんど、ちゃんと話してね」 「ありがとう。……ありがとうね。」

  • 最後の要求。

    最後の要求。 結局、ずっと言い出すことができず、話をしたのは翌日の朝でした。 前日は一睡も眠れず……と言いたいところでしたが、こういうときでさえも私はいつもどおりの時間に寝ていました。途中で目が醒めることもありませんでした。 しかし、いつもと違い、寝覚めは最悪でした。

  • 私はもう十分嘘をつきとおした。

    私はもう十分嘘をつきとおした。 意識が沈殿したまま、最寄駅に着きました。最後にパチスロをしてから3日経っているはずなのに、右のまぶたがピクピク痙攣を起こしています。 のぼせたときのように頭が重たく、息を吸っても胸が膨らむだけで、肺が酸素を取り込んでいない感覚がしました。 駅前の、いつものATMが見えました。 『嘘だよな、本当はまだ使えるんだよな…』 誰もいないことを見計らって、ATMにクレジットカードを投入します。 「このカードはご利用になれません」 もう一回、投入しました。 「このカードはご利用になれません」 「……」

  • ドスのきいた男の声と最終通告。

    ドスのきいた男の声と最終通告。 『うまく切り抜けている、さすが俺だ、あと一週間、時間稼ぎをすれば自分の力で完済できる……』 スーツに着替え、看板持ちのバイトをしに新興住宅地の駅へと向かいます。 夜中、電話線に細工をしてきました。母親は夜まで帰ってこない。『馬鹿め、延々と誰もでない電話を鳴らし続けるがいい』カラフルな新興住宅地の屋根を車窓から眺め、私はほくそ笑んでいました。

  • 自宅へのコール。

    自宅へのコール。 勝った瞬間がないわけではないんです。 最期の勝負。一時的に、手持ちの一万五千円が、二万三千円くらいになったときがありました。でも、そこでやめようとは思いません。こんな重要局面でさえ。 二万三千円までいけたのなら、せめて元本割れしない八千円だけ勝負すればいいのに、結局はゼロになるまで打ち続けます。 まるで、ゼロになって、自分がどうなってしまうかを楽しんでいるかのように。

  • 破綻へのカウントダウン。

    破綻へのカウントダウン。 『いやいや嘘だろ……』 明細が信じられなくて、見ては一呼吸して、また見ては一呼吸していました。記憶を辿りながら、6回ぐらい見直しました。 こんな使ってない。使ってない。

  • カードによる借金の限界。

    カードによる借金の限界。 留年プランは、結局まだなにも行動を起こせずにいました。 何故か? 単純に、怖かったからです。 本能的に、「それをやってしまったら私という人間は本当に終わる」ということを自覚していたからでしょう。

  • 乖離していく感覚。

    乖離していく感覚。 「お振込みが確認できませんでしたが」 「あ、すいません、ちょっと、諸用がありまして。さっきまでどうしてもお振込みできませんでした、すいません、本日これから振込みますので…」 (「返すお金がありません」とはさすがにいえなくとも、何故「今日」振込みますと言ってしまうのか…) なけなしのカネをまたパチスロで全額使ってしまった私は、その日の晩に母親からカネをせびり、返済に回しました。

  • なぜギャンブル依存を隠すのか?

    なぜギャンブル依存を隠すのか? 結露に覆われたグラスの一点を見つめて話す吉川さんは口だけ笑っていました。割り箸の袋をちぎり、ボール状になるまで駒結びを繰り返しています。 「まあ俺も、なんのために大学行ってたのかよくわからなかったし、大学を辞めたことはそんなにショックじゃなかったけど」 「やめて、必死でバイトして、とか」 「まあ、必死でってこともないけど、借りた金は返さないといけないからねぇ」 箸の袋は小指の先ほどにちいさくなり、端が破れました。吉川さんは破れた紙を丸め、テーブルのうえに置きます。

  • 150万の借金と吉川さん。

    150万の借金と吉川さん。 「吉川さん、もう一回」 吉川さんの地元駅で私は、久々の格闘ゲームに興じていました。 (ストリートファイター2、ストリートファイター3。主にこのゲームが好きでした) 吉川さんは100円2枚のメダルを交換し、台の上に6枚積んでいましたが、私はまったく勝てないので吉川さんのメダルは減りません。

  • 翌々月、私はブラックリスト入りをします。

    翌々月、私はブラックリスト入りをします。 翌々月、私はブラックリスト入りをします。 ** 私が母親に講じた手段は「無言」でした。行為行動の説明を一切省き、相手を不安にさせる。 足繁く就活に行っていた偽装をやめました。常に黙ってどこかにいく。一切就活のことを口に出さなくしました。目を合わせなくなりました。会話をよそよそしくするようにしました。笑顔をぎこちなくしました。あれ、最近どうしたんだろう。あまり調子がよくないのかな。いつも笑顔を絶やさない私に慣れた母親は、当然ながらそう感じているはずです。 もちろん、いきなり無言になるのは不自然なので、ゆっくりと、時間をかけてそのようや状態に持ち込みました…

  • ヒラメキ

    ヒラメキ 「いや、もしかしたら、ああいう情報に一度ふれたからこそ、最近はそこまで俺の就活に介入してこないのかもしれない。もしかしたら、父親にもそういう話をしているのかもしれないな。父は、母の言うことは余程でない限り認めるからな…」 推測でしかありませんが、あのときたまたま就活に思い詰めて心を病んでしまう若者の番組を見たことは少なからず影響を与えている可能性があるのではないかと私は考えました。

  • 終わろうとする、大学生というモラトリアム。

    終わろうとする、大学生というモラトリアム。 手伝いをする回数が増えました。無償でなにかをすることがなくなりました。 すべてはご機嫌取りと見返りのため。誰も知らない悪行の罪滅ぼしのため。将来的にするであろう要求をとおしやすくするため。 「なにもせずカネだけかかる息子」 よりも、 「手伝いをするけどカネがかかる息子」 のほうがまだ救いがあると思ったからです。

  • パチンコ中毒の行く末。

    パチンコ中毒の行く末。 「みんな働いている、とかですか?」 私の質問を吉川さんは嫌がっていないか、慎重に表情を追いますが、相変わらず顔のパーツ全体が皮膚に張り付いているような、変化に乏しい顔でした。 「んー、そういうわけじゃないけど、1人、そうだね、1人だねぇ」 あまり深掘りしないところから、実家でもひとりでもない家に住んでいる身分をあまり言いたくないんだろうな、と思いました。

  • パチンコで大学中退の吉川さん。

    パチンコで大学中退の吉川さん。 ただ、一期一会の関係だからこそ、そんなことを聞くのははばかられました。 「中退の理由って? あんたと俺とは無関係なのになんでそんな失礼なことを聞くんだ!」次はもう会わないかもしれないからこそ、いい印象のままでいたいと私は思ってしまうのです。 「そういえば…今日来るの早かったですけど、吉川さんはどこに住んでるんですか?」

  • バイト仲間の境遇。

    バイト仲間の境遇。 私は今月の支払いに備えて、また日雇いバイトに精を出していました。 何回も現場で同じだったひとがいます。 そのひとは、吉川さん(仮)と言いました。 きれいな二重の目はギョロリと特徴的で、真っ黒な髪はいまどき珍しいスポーツ刈り。 服装はいかにも安っぽく、量販店で売っていそうなスウェットと無地の目立たないトレーナーを好んで着ていました。 年齢を知ったのはあとのことですが、30代半ばというにはひどく若く見えました。

  • ニュースが示唆するもの。

    ニュースが示唆するもの。 テロップに容疑者の名前と年齢が表示されました。26歳無職。私は食洗機の近くに放置された袋入りのクッキーを食べながら画面を見ていました。 「男はおおかた犯行を認めており、金に困ってやった、などと話しているということです」 画面は現場の映像に切り替わり、被害者宅のひとつと思われる白い壁の一軒家を映していました。

  • 間一髪、窮地を脱する。

    間一髪、窮地を脱する。 食事を終えた母親は、皿を片付け、水洗いをしようとしていましたが、私はすかさず「あ、いいよ、やるよやるよ」と遮りました。 はやくいけ、はやく洗濯物を取りにいけ… 「じゃあ洗濯物取り込んでくるわね」 私は階段下に張りつき、母親が3階まで上がりきったことを確認しました。洗濯物を取り込み、たたみ終わるまでだいたい10分ほどの猶予……

  • 煩い

    煩い しかしこんなところで立ち止まるわけにはいきません。私には成し遂げなければならない構想があり、志半ばでそれを断念することなどできないのです。 「さて、続いてのニュースです。O県I市で、連続して空き巣被害が出ております」 女性アナウンサーがニュースを読み上げています。 空き巣。カネ。不在時。盗難。 母親はこの事件が報道されることを見越してこの番組をセットしたのだろうか? 母親は私が父親の財布からカネを取ったことに気づいているのだろうか? いや、絶対そんなはずはない……私の今朝の行為と関連性のある言葉がならべられているようで、やり場のない怒りを感じました。

  • 蝕み

    蝕み 「松永さんという方から電話だよ」 夕食どきに、電話が掛かってきました。 母親は私との繋がりが想像できない声だったのか、顔にハテナマークを浮かべていました。嫌な予感がしました。 「はい、森田ですが」 「森田様、◯◯の松永と申します」 無機質な女性オペレーターの声。すぐ状況を察すると同時に、私の顔は一瞬にして青ざめました。『しまった、今日電話取れなかったからだ…』

  • 友人の不幸を望む自分がいる。

    友人の不幸を望む自分がいる。 「じゃあまた!」 佐伯を見送る私は、感情を抑え、佐伯が見えなくなるまで曇った表情を見せませんでした。 不幸になればいいのに。そう思いました。 不幸になればいいのに。 不動産とOA機器。どちらが不幸になるだろう。不動産のほうに誘導してやればよかった。

  • 破産は目前、歪む人生。

    破産は目前、歪む人生。 深夜2:00。 両親が深い睡眠にはいるこの時間帯は、お金を抜くには最適でした。 4回目。もう手慣れたものです。財布とその周りのものの位置を正確に記憶し、皮脂がつかないよう直前に石鹸で洗った手で、慎重に、財布の小銭入れを空けます。 100円玉を2枚抜き、財布についた白い糸くずの位置も正確に再現しました。

  • 楽しいひと時、宴会の終わり。

    楽しいひと時、宴会の終わり。 時計は23時を過ぎていました。 過去の話で盛り上がり、今現在の話でも盛り上がりました。 佐伯は、「時期はまだ早いけど、」と断ったうえで、卒業旅行はサークルの企画で毎年海外に行くんだ、みんなでタイに行くかもしれない、それが楽しみだと言いました。 私は、「まだみんなで構想中だけど、」と断ったうえで、佐伯と同じで卒業旅行はサークルのみんなで沖縄に行こうと考えている、と言いました。 佐伯は、卒論の一環で、企業の人に対して統計調査のプレゼンをしなければいけない、それがとてもキツいけどいろんな人脈ができてとても面白いんだ、と言いました。 私は、卒論は個人でやるものだけど、いま…

  • ヨダレの様に流れ出ていく嘘八百。

    ヨダレの様に流れ出ていく嘘八百。 「ああ、いまバイトしてる広告代理店で働くことになるかも」 私は持っていたグラスを置き、答えました。グラスにはまだ一杯目のビールが三分の一残っていました。 「おお、そうなんだ!すごいね!」 佐伯は身体を仰け反るようにして反応します。右手に持ったおちょこを一度置き、すぐにまた少し口に含みました。私は、「いやいや、」と手を横に振り謙遜したニュアンスを込めて言いました。 「いやいや、いろいろ会社見たけどさぁ、結局そこにしたというか、若い人が多いから刺激があるんだよね。社長は40代だし」 「ってことはベンチャー?」 「そうだね、そんなとこだね、まあ、ベンチャーっても売上…

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