柚月裕子の『ミカエルの鼓動』
◇『ミカエルの鼓動』著者:柚月裕子2021.10文芸春秋社刊『孤狼の血』、『暴虎の牙』を読んで男性的感性が横溢したストーリーに感動した者の一人であるが、同じ作家柚月裕子の作品である本書は医療分野の中でも先進性が高い心臓外科のロボット支援下手術を主題にした内容で、如何に専門家の協力を得たにしろ心房中隔欠損症弁置換手術の圧巻的なシーンの叙述は詳細を極め、感動的であった。この小説での主役は西條泰巳45歳。ロボット支援手術の第一人者として評価が高い。一方ライバル的存在として登場するのは真木一義44歳。心臓の開胸手術では心臓外科界のエースと言われていた。何がライバル的かと言えば先々所属の北中大病院長として嘱望されている西條の前に突然招聘されて現れた同じ心臓外科の開胸手術のエースだからである。西條の医療に関する基本スタンス...柚月裕子の『ミカエルの鼓動』
2022/05/28 10:11