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嗣永シュウジの小説ブログ https://blog.goo.ne.jp/tsugunagashuto

主に女性目線の作風を得意としております。現実社会で生きる人たちのリアルを描写し、恋愛やミステリー的な要素を加えながら、オリジナルの話を作っております。

嗣永シュウジ(つぐなが しゅうじ)です。主に純文学の小説を書いております。

嗣永シュウジ
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2016/02/02

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  • 『凍える愛情』 XL

    「ここだよ……」と彼が立ち止まった場所は、やはりなんの変哲もない倉庫街で、フェンスに囲まれた一角には、事務所らしき掘っ建て小屋のある敷地が広がっており、絶景の夜景が見下ろせるわけでもなければ、隠れ家的なパンケーキ屋があるわけでもなく、どこの倉庫街にもよくある、ふつうの会社の営業所があるだけだった。駐車スペースには数台の社用車が並んでおり、どれも後部に荷台スペースのあるライトバンタイプのモノで、営業用の足にも使えるし、ちょっとした荷物を運ぶにも、それなりに重宝しそうなタイプだった。「え?ここって……、まさかここに入るわけ?」「え?あー、うん、まぁ、そのまさかだけど……」彼がそう言い放ち、さも当然のように門扉をよじ登り始める。「ちょっ、ちょっと!だ、大丈夫なの!?」あまりにもふつうに彼が門扉をよじ登っていくので、心...『凍える愛情』XL

  • 『凍える愛情』 XXXIX

    新田くんに促され降りた駅は、京葉線の新木場駅で、湾岸沿いの倉庫街だった。ほとんど住宅のない駅の特色が特色なだけに、あまつさえ降りる人も少ないというのに、終電間際という特異な時間も相まって、乗り換え以外で実際に駅を降りたのは、私と新田くんの二人だけだった。駅に着くころには、彼の酔いもだいぶ醒めてきたようで、さっきまでのヘンなテンションも、心なしか治ってきたように見えなくもない。新木場駅のロータリー周辺の広場には、幾つかのチェーン店があり、ある程度光源は確保されているものの、そこを離れると途端に光源となる施設がなくなる。海に囲まれた倉庫街という土地柄もあり、全体的に薄暗く感じられなくもない。辛うじて街灯があるお陰で、それなりの視界は確保されているが、それでも駅前のような明るさはなく、街灯のある地面だけを、ぼんやりと...『凍える愛情』XXXIX

  • 『凍える愛情』 XXXVIII

    彼を傍で見ていると、つくづく何を考えているのか判らない人だと思い知らされる。ふつうに考えれば健全な男子が、わざわざ遠回りしてまで、こんな夜道を毎回のように送ってくれているのだから、それなりの下心があっても、何もおかしなことはないのだが、新田くんのほうから、そういった素ぶりを見せてきたことなど、過去に一度もない。もっと言うなら、彼の別れ際の潔さから察するに、私に対し何かしらの好意があるわけではなく、単なる習慣で送ってくれているとしか思えず、それはそれで女として、ある意味傷つくのだが。「だいぶ遅くなっちゃったね……」小川の流れる遊歩道を挟むように作られた、片側一車線の親水通りを一本路地に入ると、途端に街灯の灯り少なくなる。通りの両側に並んだ二階建ての住宅の窓には、この時間でもチラホラ明かりは点いており、それなりに見...『凍える愛情』XXXVIII

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