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嗣永シュウジの小説ブログ https://blog.goo.ne.jp/tsugunagashuto

主に女性目線の作風を得意としております。現実社会で生きる人たちのリアルを描写し、恋愛やミステリー的な要素を加えながら、オリジナルの話を作っております。

嗣永シュウジ(つぐなが しゅうじ)です。主に純文学の小説を書いております。

嗣永シュウジ
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2016/02/02

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  • 『凍える愛情』 XXXVI

    「いや……、だから、もう一回、言って!」「え?……」予想外に、真顔で新田くんに詰め寄られ、思わず、引き気味に後退りする。まさか冗談のつもりで言った私の軽はずみな発言を、ここまで彼が真に受けるとは思わず、「いや、じょ、冗談だって……」と、慌てて訂正した。「ちょ、ちょっと、怖いんですけど……。ま、マジにしないでよ……」正直、なぜ自分がそんな発言をしたのか、自分にも判らなかった。面白がって言ったのか、本気でそう思っていたのか、意識して言ったというより、ほとんど本能的に発した言葉だった。もちろんその気がないのに、思わせぶりな発言をした自分にも非はある。ただ、それを真に受ける彼にも、問題がないことはない。お互いの中で、結婚を意識していた時期に、私から逃げるように、彼は一方的に関係を終わらせた。当時、私の中で結婚を意識する...『凍える愛情』XXXVI

  • 『凍える愛情』 XXXV

    その日の夜、さっそく貴和子さんの旦那さんからの京土産を開けてみた。箱の上の段には白い生八ツ橋が箱詰めされており、下の段には深緑色をした生八ツ橋が同じ配置で、五つずつ梱包されていた。白いほうはスタンダードな『ニッキ味』で、もう一つの緑のほうは『抹茶』と説明書きにあった。四角い生地につぶあんを包み込んだ、どちらも定番の三角形のモノだ。先に白いほうを食べてみると、シナモン似たニッキの香りが、口の中いっぱいに広がる。シナモンほど辛味が少なく、独特の甘ったるさが無い分、個人的にはニッキのほうが食べやすくて、私好みである。さっそく味変し、今度は抹茶のほうを食べてみた。言わずもがな、こちらも美味である。抹茶の芳醇な香りに、つぶあんの控えめな甘さが、お互いの存在を打ち消し合うことなく、絶妙なバランスで引き立て合っている。どちら...『凍える愛情』XXXV

  • 『凍える愛情』 XXXIV

    飲みかけの缶コーヒー片手に会社に戻ると、貴和子さんが私の姿を発見するなり、「ちょっと、どこ行ってたの?なんか携帯鳴ってたわよ!」と、私のデスクに置き忘れた携帯を指して教えてくれた。「え?」ふだんは鳴らない電話なので、どうせチェーンメールか何かだろうと思っていたが、一応携帯を確認してみると、新田くんからのメールの着信だった。「誰から?」話の流れで貴和子さんに訊かれ、「あ、ただのチェーンメールでした……」と、なぜか咄嗟に、そう嘘をついた。貴和子さんの性格から察するに、とくに深い意味があって訊いているわけではないのは判っていたが、なんとなく、あとで色々詮索されるのではないかと思うと煩わしくて、つい条件反射的に嘘をついてしまったというのもある。「てか、珍しいわね。あんたがコーヒーだなんて……」ただ、貴和子さん自身は、あ...『凍える愛情』XXXIV

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