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嗣永シュウジの小説ブログ https://blog.goo.ne.jp/tsugunagashuto

主に女性目線の作風を得意としております。現実社会で生きる人たちのリアルを描写し、恋愛やミステリー的な要素を加えながら、オリジナルの話を作っております。

嗣永シュウジ(つぐなが しゅうじ)です。主に純文学の小説を書いております。

嗣永シュウジ
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2016/02/02

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  • 『凍える愛情』 XXX

    八丁堀で京葉線に乗り換え、新田くんに連れられるがまま、行き先すら告げられずに、蘇我行きの最終電車に乗り込んだ。乗った電車が終電ということもあり、車内は飲み会帰りらしき酔っ払い客で混雑しており、車内に充満している空気も、どこか酒臭さと汗臭い熱気を帯びていた。座席はチラホラ空いていたが、わざわざ酔っ払い客の隣に座りたくもなかったので(といっても私たちも同類なのだから、人のことを言える立場ではない)、私たちは、ちょうど乗客の乗り降りの際に空いた、入り口付近のスペースを陣取り、手すりの持たれかかる形で乗り込んだ。すぐ傍に居たカップル客も呑んだ帰りらしく、何を話しているわけではないのだが、互いに顔を赤らめながら、至近距離で見つめ合っているせいで、今にも何かおっ始めそうな、際どい雰囲気を醸し出している。あまりにも目のやり場...『凍える愛情』XXX

  • 『凍える愛情』 XXIX

    二人で呑んだ夜、日比谷線の終電に乗り、茅場町駅で東西線に乗り換えて、帰るつもりだったのだが、何を思ったのか、東銀座を過ぎた辺りで新田くんが、「ちょっと、今から時間ある?」と、唐突に切り出してきた。「い、今から?」意表を突かれ、思わず、声が裏返りそうになる。最初は冗談で言っているのかと思ったが、無言で頷く彼の表情を見る限り、どうやら冗談で言っているわけではなさそうだ。「い、今からって、え?ど、どっか行くわけ……?」「んー……」しばらく宙を見上げた彼が、少し考え込んでから、「ま、いいから……」と、こちらの質問には答えず、話をはぐらかそうとする。「で、時間はあるわけ?」もう一度、そう問われ、「いや、あるにはあるけど……」と渋々答えると、「じゃあ、決まりだ!」と、こちらの意思を無視して、身勝手に新田くんが何かを決めよう...『凍える愛情』XXIX

  • 『凍える愛情』 XXVIII

    連日の事件の報道もあり、まさかとは思いながらも、いつもヨーゼフ似の大型犬を散歩させているおじさんのことが、ここ数日、気になって仕方がなかった。犬を散歩させている七〇代の男性など、この新宿区だけでも相当数居るだろうが、ニュース番組の要点だけを略筆された情報だけを目にしていると、その無事を自分の目で、確かめずにはいられなかった。事件後、散歩の際は、周辺を気にしながら歩くようにしていたのだが、単にタイミングが合わなかっただけなのか、それとも、散歩自体を自粛していただけなのか、大抵はいつも同じ時間に散歩をしているはずなのだが、ここ最近は、その姿をまだ目にしていない。最後に会えたのが、先々週の火曜日だったとすると、もう二週間近く会っていないことになる。正直、散歩の理由など何でもよかったんだと思う。日課だから……。外の空気...『凍える愛情』XXVIII

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