『凍える愛情』 XXVI
翌日会社に行くと、貴和子さんの旦那さんが、出張先の京都で買ってきたというお土産を渡された。「はい。これ、千重ちゃんの分……」「え?先輩、どこかに行かれたんですか?」出社早々、お土産の入った紙袋と手渡され、反射的にこちらが聞き返すと、貴和子さんも理解するのに少し時間がかかったようで、少し間を置いてから、「あ〜!」と、手を打って納得する。「何言ってんの、私じゃないわよ!うちの旦那!しばらく京都に出張で行ってたから、そのお土産……」「あ〜、そういうことですか!え?でも、いいんですか?」「え?いいもなにも、うちの旦那が、あなたのために買ってきたもんだからね〜」「あ、なんか、わざわざ、すみません……」ひとまず、そう謝罪のようなお礼をし、素直に手渡されて紙袋を受け取った。用が済んだらしく、一度は自分のデスクに戻ろうとしてい...『凍える愛情』XXVI
2019/03/25 21:55