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ittiのBL創作小部屋 http://itti57.blog.fc2.com/

R18有。切ないけど楽しい物語。同級生、リーマン、日常系のお話です。

オリジナル小説・イラスト・漫画など 何でも思うまま創作中

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2016/01/12

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  • あの日の僕らに No,No,No,No (237)

    _____ んんっ、_____ 熱を帯びた吐息はシーツのヒダに籠り、直の額から流れた汗が光輝の背中に落ちると、その度に湿った破裂音が部屋中に響く。 声を我慢しても漏れ聞こえる啼き声。光輝は枕に顔を埋めて堪えたが、直の手が強引に光輝の顔を斜めに向けさせるとその唇を覆った。舌を絡め合い歯列を弄ると、重なる唇の隙間を縫うように淫靡な滴は顎を伝う。 直の硬芯が深く打ち込まれると、「ひっ........」という...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (236)

    直からの甘いくちづけに、光輝の身体は震えてしまった。 食事モードになっていたはずの頭もすっかり蕩けてしまうと、呼吸を合わせる様に互いの瞳を見つめてはくちづけを交わす。 椅子に腰掛けた光輝の脚元に跪くと、直は今度は下から光輝の頬を挟んでくちづけた。その手が首にまわり、シャツのボタンを外し、少し汗ばんだ素肌に長い指先を伸ばす。「............ぁ、.......」という小さな吐息。それを吐きながら光輝の背中が...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (235)

    その日、帰りは直と一緒に車で戻って来た光輝。コンビニで買った弁当の袋を下げると車を降りて二階へと向かう。「晩飯、一緒に食おうよ。疲れてたらいいけど」 階段の途中で直に誘われて、光輝は「いいよ」と微笑んだ。疲れているのは直の方で、自分の心配をすればいいのに、と思う。 部屋のカギを開けて中へ入って行くと、先ずはエアコンのスイッチを入れる。それからジャケットを脱いで背もたれに掛けるとネクタイを緩めた。...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (234)

    終業時間ギリギリに事務所に戻って来た直。菅沼も一緒だったが、二人の表情は冴えなかった。飛び込みで入った会社の反応はいずれも薄くて、二社は内容を聞いてくれたようだが、他は社名を告げただけで門前払い。流石の直もガックリと肩を落としていた。「仕方ないですよ、本来なら製品開発の段階で販売ルートのアタリは付けておくんですから。今回は逆ですもんね。モノが出来たから販売先を探してこいったって、そう簡単に見つか...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (233)

    光輝は、河本と一緒にピックアップした会社を数社分記入すると、それを一課の栗原に見せた。一課の取引先に、新商品と関連付け出来る会社があったからで、そこへのコンタクトをとってほしいと打診する。週の半分を費やして、新規の取引先を探す直と菅沼だったが、未だ反応は薄く、谷原も他の社員も自分の抱えている仕事が遅れてしまうのは避けたいと、光輝に願い出たのだった。「宮本係長、ここは立林課長が以前担当した会社で、...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (232)

    栗原の了承を得て、資料室へと戻る途中で直と廊下で出くわした光輝。おもわず一課の資料を借りる事を告げた。「さすが光輝。オレが頼む前に気付いてくれるとは。やっぱりベストパートナーだな」「ちょ、........っと。こんな所で.....外回り行くんだろ?行ってらっしゃい」「じゃあ、な。」 直と別れた後で、自分の頬が赤くなっているのに気付いた。直が掛けてくれる言葉に、ついつい気持ちが昂ってしまう。こんな所を誰かに見...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (231)

    直が資料室を出て行った後で、光輝はいくつかのファイルを抱えると事務所へと戻った。 以前取り引きした事のある会社で、今回の商品の販売先になりそうなところがないかと、机の上に並べてはページをめくった。「河本さん、この会社って今も取り引きあったかな?」 一社の資料を取り出すと、それを河本に見せて訪ねた。「何処ですか?.........ああ、ここは今はないですね。私が入ってすぐの頃にはありましたけど、今は取り扱...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (230)

    菅沼と共に事務所へ戻った直は、そこに居た社員に先ほどの話を伝える。 話を聞いて、菅沼同様に渋い顔をしたのは河本だった。光輝は、直の性格から、受けた仕事はきっとやり遂げないと気が済まないだろうと思っていたし、その為に出来る事はするつもりでいた。「一課め.........」と、頬を膨らませる河本が、小さな声で呟く。それを横目に見ながら、谷原はがっくりと肩を落とした。残業があっても程々の時間で、家庭を持つ身と...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (229)

    * * * 月曜日。土日の疲れが少し残っているが、週の初めは営業にとっては忙しく、朝から会議が入っている直は営業部長の本田と顔を合わせた。 小会議室の中には、直と菅沼と、営業一課の課長の立林、その部下の栗原が呼ばれていて、部長の本田はテーブルに肘をつくと四人の顔を眺める。目の前に置かれたペットボトルの水を右に避けて、資料を広げるとひとつ咳ばらいをした。 直たちの顔が少し引き締まる。お小言でなければ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (228)

    翌朝、買っていた朝食を口にしてホテルを後にする二人。空は晴れ渡り、ドライブにはうってつけの天候だった。これから静岡の寮まで帰るが、二人の心は来た時とは正反対に晴れやかだ。日曜日という事で多少の混雑はあったが、無事に帰途につくと寮の部屋に入るなり全身の力が抜けた。「こんな所でも、やっぱり帰って来るとホッとするなー」 荷物を部屋に置いてソファーに身体を投げ出した直は、肘掛けからはみ出した足を思い切り...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (227)

    光輝がバスルームから出てくると、直はベッドの上でスマホを見ていた。 髪の毛をタオルで拭きながらやって来た光輝に気付くと、「あ、見てみて」とスマホの画面を向けてくる。「なに見てたの?」 そういって覗き込んだ光輝の腕を掴んだ直がベッドの上に引き寄せる。「あの家のダイニングに置くテーブル。このぐらいの大きさのがいいと思うんだよな」 見てみれば、画面に映っていたのは6人掛けぐらいのテーブルで。直の好き...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (226)

    「直、.........」 耳元で名前を呼ばれて、フッと意識が戻ると直は瞼を開いた。寝落ちしてしまった様で、光輝が顔を近付けると微笑んでいる。「あ~、寝ちゃってたな。今何時だ?」「........8時前だよ。そろそろお腹空いたから、何か食べに行かないか?」「うー、そうだな。行くか」 ベッドから起き上がり、頭をぐるりとまわしながら、直は洗面所に向かうと顔を洗った。少し寝たおかげで頭はスッキリしたようだ。髪の毛を整え...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (225)

    暫く居間で話しをすると、君枝は光輝と直に夕食を勧めた。だが、朝からの緊張で食欲のないふたり。出来ればホテルでゆっくりとしたい。「せっかくだけど、今日のところは帰るよ。ホテルも予約しているし、直も運転で疲れているだろうし。それに、.........アキラくんにも悪いしね」 部屋を出たきり顔を出さないアキラの事を思うと、光輝たちは申し訳ないと思った。気分を害されても仕方がない。「..........アキラくんも、きっ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (224)

    ピリピリとした空気が、畳に手を付いて謝る直と光輝の身体を包み込んだ。 アキラが云う事はもっともで、今更後悔しても遅かったが、今は謝る事しか出来ない。「お兄ちゃん、......青山さんも、頭をあげてください。私なら大丈夫だから」 未央は二人にそう云うが、隣のアキラは口を一文字にしている。とても許して貰えなさそうだった。「未央ごめん、俺が悪い。アキラくんの云う通りだ、妊婦のお前にこんな話、精神的にいい訳が...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (223)

    シン、と静まりかえった部屋に、「ただいまーっ」という声がドアを開ける音と共に聞こえてきて、皆は声のする方を見つめた。「あれ、いらっしゃい。どうしたんですか、やけに静かだな」 首にタオルを巻き付けて、額から汗を滴らせたアキラが居間を覗くと云った。日に焼けた顔が健康的で、その場の空気を一瞬で変えてしまう程。野球のユニフォームは泥で汚れ、それを見た未央が慌てて立ち上がる。「ちょっと、先にお風呂。泥は外...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (222)*

    寿司を口に運んでいる光輝だったが、緊張の糸が完全に解けた訳ではなかった。自分たちの関係を否定されなかった事は救いだ。でも、誰ひとり理解や厚意を示してくれてはいない。納得、してくれた、という事に過ぎないのだ。もちろん、こんな話を突然聞かされる家族の身になれば当然の事。そして、それは自分の家族にもいえる。この後で向かう実家の事を考えると、やはり食は進まない。「光輝、大丈夫か?」と、小声で直が気遣って...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (221)

    法子の頬を伝う涙を見たら、直も光輝も辛くなった。こんな風に泣かせてしまって、悪い事をしている気分になるし、自分たちの幸せばかりを考えて、家族を不幸にしてしまう事は何処かで考えないようにしていたんだと思った。「母さん泣かしちゃったよ........」という正の声が、二人に重くのしかかる。「悪いと思ってる。こんな報告をする事は、父さんや母さん、兄貴にも迷惑なんだって。だけど、こうしないとオレたちは前に進めな...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (220)

    健治と法子と正の三人から見つめられて、直も光輝も固唾を飲んだ。が、「ひょっとして、お前、会社でなんかやらかしたのか?」と訊いてくる正の言葉に力が抜ける。せっかくの覚悟が、兄の言葉によってへし折られてしまい、直はおもわず肩をガクリと下げた。「...........違うって、会社の事じゃなくて」と、直は正の顔を見上げると云い直した。「オレ、静岡で家を買おうと思ってて」「..........へ、ぇ、...............なんだ、...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (219)

    前回、この道を通った時も緊張はあった。しかし、今回は更に上を行く緊張マックスといった所。車内でも、話をしようと思うと不安ばかりが先だってしまい、覚悟して車に乗り込んだのに情けない。光輝は助手席で、只々前方をゆく車を見つめていた。「あと30分くらいか。..........取り敢えず、挨拶をしたら後はオレに任せて。親に何か云われても、オレが答えるから」 直はそう云うが、受け答えできる気がしない光輝は、初めから...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (218)

    ベッドに入っても、中々寝つけなくて、直は光輝の手をそっと握る。「手が冷たいな。緊張してるのか」「...........そりゃあ、緊張するよ。.........高校の時に見た、直のお母さんの顔が目の前に浮かんできて」「バカだな、...........オフクロだって別人みたいになってるよ。光輝のお母さんの方が変わってなかった気がする」「えっ、そんな事...................。そうか、じゃあ、今俺の頭に浮かぶお母さんは別人なのか。そう訊...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (217)

    実家に行くと決めてからの一週間はアッという間で。金曜日の夜を迎えると、二人とも落ち着かなくて、とにかく一緒に居ようと決めて光輝は直の部屋に泊る事にした。明日出発する準備をして、バッグを片手にやって来た光輝。その顔は少し血の気が引いている様にも見える。「大丈夫か?顔色、悪いけど....」と、直は招き入れた光輝を見て云った。そういう自分も多分顔色は優れないだろうと思う。職場でも、今日はなんだか口数が少な...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (216)

    仕事が終わると、直は光輝を誘って寮に戻った。車の中でも家の話になり、リビングには大きめのソファーが欲しいとか、冷蔵庫を見に行こうとか、そんな具体的な内容になってくる。 部屋に戻り、夕食を一緒にとると、更に具体的な話になって、光輝が車を購入すると言い出した。通勤にはやはり車が必要で、とにかく中古車でもいいから用意しなければいけないと思った。直と一緒に通勤するとしても、必ず一緒の時間に戻れるわけじゃ...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (215)

    * * * 翌日、直は言葉通り午後から時間を作ると銀行へと足を運んだ。 不動産会社から聞いていた銀行は、自分の口座もあるところで、住宅ローンの相談に行くと快く案内してくれた。年齢的にも経済的にも、充分ローンは組めるという事。中古物件という事で、新築に比べたら格安の値段だが、それでも生活費を考えると返済額はばかにならない。定年を迎えるまでに完済するとなると、生活も切り詰めないといけない。 相談した...

  • あの日の僕らに No,No,No,No (214)

    直と光輝は、仕事の帰りに不動産会社に立ち寄ると、大下から申し込み用紙を渡された。「いやー、青山さまに気に入って頂きホッとしました。物件としては優良ですからね。難を云えば小学校や中学校には遠いという所。あと、やはり車がないと不便かもしれませんね」 大下は、直が記入している間にそう云って話すと、隣の光輝をチラリと見た。「お二人とも、今のところは独身ですか?この先ご結婚の予定があるとか?」 そう訊か...

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