山形市の桜の名所、霞城公園の桜です。お堀に映る桜が夜ライトアップされるととても風情があります。ただしお堀沿いに線路はあるのですが、道がありません。だから歩きながら見ることはできないのです。しかし電車に乗ると見ることができます。ライトアップしている時間は電車もスピードを落としてくれます。山形市霞城公園の桜です
下村博文氏には恨みしかない。言葉が悪くなるが容赦願いたい。下村博文氏は教育改革の名のもとに受験産業との癒着し、教育改革を台無しにしてしまった政治家である。英語の民間試験の導入の失敗、国語、数学の記述式試験の導入の失敗はすべて彼の暴走によるものであった。受験生がどれほど被害を被ったか、議員を辞職すべき大失態である。そんな下村氏が自民党の政調会長になった。このこと自体許しがたいことである。しかしそれでとどまっていなかった。奴は自民党の総裁選にまで立候補しようとした。バカじゃねえか。さすがに立候補をとりやめたという。この立候補をやめさせたのは菅総理だと言う。菅氏は自分の票のためにすごんで見せたのであろう。それに対して下村氏はヘコヘコと従うしかなかった。腰抜け野郎。情けないにもほどがある。下村氏は「出馬するために政調会...下村博文氏はすぐに政界から去りなさい。
菅義偉氏の実像にせまるドキュメンタリー『パンケーキを毒味する』を見ました。ドキュメンタリーとは言え、視点はあきらかに菅義偉氏に対して批判的なものであり、偏りは感じられます。しかし菅義偉氏のこれまでの言動とそれに追随するマスコミを見る限り、これで公平なのかなと感じます。なぜ安倍政権、菅政権が許されるのか本当に疑問に感じます。おもしろかったのは菅義偉氏は実ははったり屋であったという視点です。一か八かの博打に出る。負けるときもあったが、それによって鍛えられてきたということがよくわかります。実直そうに見えながら意外に武闘派で、冷静な判断よりも強引に物事を推し進めるタイプだったのです。記者会見や国会答弁での逆ギレしやすいのももともとの彼の資質であったことがわかります。つまり頭はあまり回らない人間だったのです。もうひとつ。...映画『パンケーキを毒味する』をみました。
菅総理が記者会見、ワクチンはインド由来の変異ウイルス「デルタ株」にも効果があると強調し、接種率が向上していることから「明かりははっきりと見え始めている」と言ったそうだ。2か月前ならばその言葉に納得したであろう。感染者が落ち着き始め、ワクチン接種もなんだかんだ言いながら進んでいった。秋になれば「日常」が戻ってくるような期待をみんなが持っていた。しかしその後の感染が爆発的に拡大したために今日の状況が起きたのである。デルタ株の感染力は日本人の常識を超えたものであり、ワクチン接種者も感染し重症化する危険性さえ心配されるようなものだったのだ。「明かりが見えていたのに、その明かりが消えてしまった」のだ。しかもそのオリンピックの開催によって感染拡大に輪をかけてしまった。その結果、みんなが慌て、いらだち、落胆しているのだ。菅総...「明かり」を消してしまったのが菅総理だ。
高畠町文化ホール「MUSIC FOR THE FUTURE」に行きました。
8月21日(土)に高畠町文化ホールで開催された「MUSICFORTHEFUTURE」に行きました。前半が、吉田美奈子さんがピアノとベースの「譚歌duo」の演奏でジャズのスタンダードを歌うステージ、後半は「日野皓正クインテット」の演奏でした。ジャズのすばらしさを体感するコンサートでした。私は吉田美奈子さんの大ファンで、近年山形市によく来てくれていたので毎年のように聴きに行っていました。日本で一番のシンガーだと思っています。山形のライブは狭い場所で吉田美奈子さんの曲を歌うものでしたが、今回は少し広いホールで、ジャズのスタンダードを歌うライブでした。やはりうまい。表現力が豊かで心に響いていきます。いいものを聞かせてもらいました。後半の日野照正さんの演奏は、フリージャズのすごさを体感するものでした。日野照正さんは78歳...高畠町文化ホール「MUSICFORTHEFUTURE」に行きました。
オリンピックの基本理念は平和です。世界各国がスポーツを通じて世界が平和になることを目指しているはずです。だからオリンピックに出場する選手に対しては平等に応援すべきはずです。しかし明らかに私たちは自国の選手を応援します。それが悪いことだとは誰も思いませんし、誰も批判もしません。日本人を日本人が応援するのは「当たり前」です。「当たり前」過ぎて何も意識していません。よくよく考えてみれば、「国家」の枠組みは人間を分けるものではないはずです。たまたまその国で生まれただけです。その国を好きになる必要はないし、その国に忠誠を誓う必要もありません。しかし人間は自分の国に固執します。政治はその国家所属意識を利用します。国家的一体感という幻想を利用して政治的圧力を使うことができるのです。そしてオリンピックというのはナショナリズムを...オリンピックの意義
日本人は新型コロナウイルスを甘く見ていた。確かに去年や今年の初め、日本人は他国に比べて感染することが多くなかった。それに安心してしまったのか、新型コロナウイルスをあまり恐れなくなっていた。私もこのまま収束するものと何度も考えてしまっていた。しかし、今回のデルタ株の感染拡大はそれが幻想にすぎないものということがわかった。おそらく日本の政治家もそう考えていたのだろう。だから間違った対応をとった。この判断ミスは大きな問題であった。多くの専門家が異を唱えていたのにもかかわらず、「経済優先」のかじ取りをしていたのである。菅総理は口では「安全・安心」と言っていたが、彼の「安全・安心」は経済の「安全・安心」でしかなかった。言葉の意味を意識的に取り違え、国民の目をくらましていたのである。その結果もっと慎重であるべき時期にまった...本当の意味の「安全・安心」を
北村有起哉さんと高野志穂さんが出ているアマゾンプライムのCMが気になっています。北村さんも高野さんが夫婦を演じている。とは言え実際も夫婦だと言うことだ。ふたりとも忙しくてすれ違いの生活になっている。一緒にいる時間がすくなくおそらく「夫婦の危機」なのであろう。そんな時、北村さんが若かったころに作った手作りの「あの頃にもどれる券」を見つけて、高野さんが仕事終わりのところに行き、その券を見せる。そして「まだ使えるかな。」と言って、高野さんがにっこり笑って、夫婦が夜の港を歩くというCMです。なんとなく見ているとちょっと感動的なCMです。しかし、よく見てみると本当に感動していていいのかなと思ってしまいます。このラストシーンで二人が家に帰るとアマゾンの段ボールが置いてあります。そして「その特別な時間が、きっといちばんの特典...amazonprimeのCM
張本勲氏が東京五輪のボクシングで金メダルを獲得した入江聖奈に対して問題発言を行ったことについて、インターネットで大きく騒がれている。問題発言であることは事実であり、それに日本ボクシング連盟が抗議したことももっともである。しかしこのことを重大事件のように扱うのは行き過ぎである。そもそ張本氏の発言なんていつでもこんなものだ。昭和の頑固じじいが自分勝手なことを言ってみんな辟易しているよ、と視聴者はみんな張本氏の意見につっこみを入れながら見ている。とは言え、最近聞かなくなったような言動に時には考えさせられることもある。面倒くさいけど聞いてやるかと言った程度でみんな見ているコーナーなのではないか。一昔前まではそういう昭和のおっちゃんが普通にそういう話をしていたのだ。もうそういう時代ではないというのはもっともなことではある...いまさら張本さんの発言にああだこうだ言ってもしょうがない
自民党が衆議院解散の前に総裁選をしようとしているようである。自民党議員の思惑はこうであろう。菅総理では衆議院選挙で勝てないのはあきらかだ。だとすれば菅総理を交替して、新しい総裁で選挙をするしかない。解散前に総裁選をするしかない。総裁選がニュースでも取り上げられ、自民党がクローズアップされることによって、衆議院選挙にも有利に働く。問題は菅総理が総裁選で勝ってしまったら困るということである。菅氏が絶対に負けるような状況を作り、菅氏に立候補をあきらめさせるしかない。そして衆議院選挙で勝てそうな候補を担ぎ上げる。勝ち組につきたい自民党議員は政治なんて後回しにしたドロドロとした駆け引きを繰り返すことになるだろう。一番の問題は衆議院選挙勝てそうな候補がいないということである。というよりもまともな政治家がいないのだ。人気があ...解散前の総裁選
中米からの移民が住むニューヨークの街ワシントンハイツで厳しい現実に直面しながらも夢を追う人々を描く。ブロードウェイのミュージカルの伝統の上に、新たな要素を加え、とても素晴らしい作品に仕上げています監督ジョン・M・チュウ原作リン=マニュエル・ミランダ作詞作曲リン=マニュエル・ミランダ振付クリストファー・スコット出演アンソニー・ラモス、コーリー・ホーキンズ、レスリー・グレイス、メリッサ・バレラ、オルガ・メレディスニューヨークは「人種のるつぼ」と言われながら、現実には移民には厳しい街です。そんなニューヨークで夢を持ちながら生きていく若者たちの姿が描かれています。人間のパワーを感じます。日本では若者は夢を持つことさえやめてしまいました。単純な「夢」を持つよりも、現状のまま無理をしないで生きていくことだけを考えている高校...映画『イン・ザ・ハイツ』を見ました。
政府は新型コロナウイルスで、「中等症」であっても「症状が軽い」あるいは「重症化リスクの少ない」患者に関しては、「自宅療養」を可とする方針を出した。これまでは原則的にコロナ患者は入院、無症状や軽症の場合は宿泊施設に入るという方針で進めていたが、その方針を転換したことになる。この方針転換は新型コロナウイルスが蔓延し、医療崩壊が進んでいることを認めたことになる。それならば、もっと低姿勢に政府の判断ミスを謝罪するところから始める必要がある。それもしないで、医師会会長などに方針転換を偉そうに説明するこの国の首相はもはや頭が崩壊していると言っていい。あまりにひどい。いまや緊急事態である。新型コロナウイルスの拡大も緊急事態であるが、それに対応する能力がなく、錯乱して自分勝手なことを始めている菅義偉氏率いる政府が緊急事態なのだ...菅義偉氏こそが緊急事態
菅総理大臣は新型コロナウイルス拡大の理由をデルタ型のせいにした。しかし、以前からデルタ型は感染力が強く拡大する危険性があると、専門家は強く指摘してきたのである。尾身会長もそれを懸念してオリンピック中止をほのめかしていたわけだし、その危険性を総理が知らないはずはなかった。それなのに菅氏は知らんぷりを決め込んでしまったからこういう結果になったのである。なぜこの人は専門家のいうことをもっと素直に聞けないのだろう。その道の人の意見を尊重しながら政治を行うことは当たり前のことである。それなのに聞く気がない。さらには学術会議に対する人事介入を平気で行う。自分は専門家よりも正しい判断ができると思っているのだ。思い上がりもはなはだしい。明らかに菅氏は迷走している。何も見えていない。そして暴走を始めている。目はうつろになり、口は...菅氏も日本も崩壊してしまう。
菅義偉氏に総理大臣を任せていることは本当に危険なことなのではないか。菅義偉氏の記者会見がまともではないのは今に始まったことではないが、7月30日の緊急事態宣言発令に関する記者会見はさらにひどいものであった。こんな人に総理大臣を任せているということは、国益に反することであり、できるだけすみやかに交替させなければいけない。菅総理の自身からの発信は次のようなものだった。「新型コロナウイルスの感染予防対策は、ボクちゃんは」はちゃんとやっているよ。切り札のワクチンをたくさん打ったよ。すごいねボクちゃん。緊急事態宣言も頑張って発令したからみんな外に出なくなったよ。ボクちゃんが調査したんだから間違いないよ。ボクちゃんはがんばったんだよ。でもね、デルタ株のせいでうまくいかなかったんだよ。ボクちゃんのせいじゃないよ。デルタのせい...これ以上菅義偉氏に総理大臣を任せていることは危険だ
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山形市の桜の名所、霞城公園の桜です。お堀に映る桜が夜ライトアップされるととても風情があります。ただしお堀沿いに線路はあるのですが、道がありません。だから歩きながら見ることはできないのです。しかし電車に乗ると見ることができます。ライトアップしている時間は電車もスピードを落としてくれます。山形市霞城公園の桜です
東京芸術劇場シアターイーストでフロリアン・ゼレール作『LaMère母』を見ました。現実と幻想の狭間の人間を描く、緊張感あるすばらしい舞台でした。家族のために人生をささげてきた母。しかし大切に育てた息子は自分で暮し始め、彼女もでき次第に母から離れていきます。愛情過多の母が次第に鬱陶しく感じてもいるようです。夫にも愛人がいるようです。夫の嘘が心を突っつくように感じます。母は自分が生きがいとしていた家族に去られ、いつしか精神を病み幻想を見始めます。演劇はその幻想と現実の狭間を描き、事実がどこにあるのかがわかりません。観客は追い詰められていく母の姿を見詰めることによって、家族という不思議な存在を考えざるを得ません。非常に悲しく残酷な演劇です。主演は若村麻由美。愛情過多であり、孤独を怖れる女性を見事に演じています。...フロリアン・ゼレール作『LaMère母』を見ました。
NTLというのは、イギリスの国立劇場ロイヤル・ナショナル・シアターが厳選した名舞台を映像化して映画館のスクリーンで上映する「ナショナル・シアター・ライブ」のことです。毎年数本が上映されます。その最新作『ディア・イングランド』を見ました。サッカーを題材にしているので、試合の場面など処理をどうするのか心配だったのですが、見事に処理され、逆に演出の手際のよさが目立つ作品に仕上がっていました。映画ファンも、演劇ファンも必見です。サッカーの実在のイングランドチームを描くドキュメンタリー的な要素ももつ作品です。長い間低迷していたイングランドチームに、ガレス・サウスゲートが代表監督に就任します。サウスゲートはかつてイングランド代表チームの選手でした。彼はワールドカップでPKを外し、戦犯のような存在となっていました。サウ...NTL『ディア・イングランド』を見ました。
作:別役実、演出:加藤拓也、出演:堤真一、溝端淳平、藤井隆、野間口徹、小手伸也、中谷さとみ、高田聖子という豪華絢爛の公演『カラカラ天気と五人の紳士』を見ました。笑いながら、怖い世界に突き進む作品でした。傑作です。昔、NHKの「おかあさんといっしょ」の中で、週1回「おはなしこんにちは」というコーナーがありました。その中で不思議な童話が読まれます。子供のころ私はそのコーナーが大好きでした。中学生か高校生になり、図書館に行くと『淋しいおさかな』という童話集がありました。そしてその童話集に「おはなしこんにちは」の童話が載ってのっていたのです。そしてその本の作者が別役実さんでした。そこから私は別役実さんのファンになりました。別役さんが劇作家で、不条理劇を書いていることも後から知りました。別役さんの不条理劇は難解なも...シスカンパニー公演『カラカラ天気と五人の紳士』を見ました。
世田谷パブリックシアターで上演された舞台『善き人』を見ました。ナチに取り込まれていく過程が自分にも同じようなことがあるのではないかと思わせ、ラストシーンのすごさに圧倒される作品だった。ただし、準備不足を感じさせる舞台でもあった。ベルリンの大学で講師をしているジョン・ハルダーは、過去に書いた安楽死に関する小説を、ヒトラーが気に入ったことからナチスに取り込まれていく。彼はナチスに入党せざるをえなくなり、ユダヤ人の友人モーリスとも次第に溝が深まっていく。モーリスの国外逃亡を支援するが、彼は捕らえられて収容所に送られる。ジョンは、職権を利用してモーリスが送られたとされる収容所に向かう。そこでユダヤ人たちの悲惨な状況を目にする。そしてユダヤ人たちの奏でる美しい音楽に遭遇する。このラストシーンがすばらしい。人間が生き...舞台『善き人』を見ました
映画『ブルックリンでオペラを』を見ました。アメリカ映画の題材探しの苦悩を感じてしまいました。アン・ハサウェイ、ピーター・ディンクレイジ、マリサ・トメイら私の様な特別な映画好きでないものでも何度か見た事のある有名俳優をそろえた映画です。登場するのは修道女にあこがれる精神科医、オペラを書けないオペラ作曲家、恋愛依存症に苦しむ船舶士、なんでも法律で解釈してしまう速記師など、一癖ありそうな人たちばかり。こんな人たちが困難を乗り越えていくというプロットの映画です。この映画、私にはコメディなのか、シリアスドラマなのかわかりません。無理やりに筋を作ってしまったというような苦しさが感じられてしまいます。現代のアメリカの問題をつまみ食いのように取り上げ、とりあえず一本の映画を作ってみましたという感じしかないのです。従来の映...映画『ブルックリンでオペラを』を見ました。
第五章画工は床屋に行く。この床屋の鏡が歪んでいて鏡の役に立っていない。今余が辛抱して向き合うべく余儀なくされている鏡はたしかに最前から余を侮辱している。右を向くと顔中鼻になる。左を出すと口が耳元まで裂ける。仰向くと蟇蛙を前から見たように真平に圧し潰され、少しこごむと福禄寿の祈誓児のように頭がせり出してくる。この鏡は歪んでいて、光が乱反射して事実を映してはいない。これは那古井の世界のいびつな空間を象徴している。つまり那古井の内部では真実が見えないのである。那古井の内部では人々は共同幻想に支配されているのだ。狭い村社会ではよくありそうな、噂をみんなが信じ込む社会である。みんながゆがんでいるのであるが、歪んでいるのが当たり前になっているのでその歪みにだれもが気付かない。たまたま外部の人間がそこに来ると気が付くの...夏目漱石の『草枕』を読む。5
第四章夜中の侵入者はおそらく衣類を持ち出したようである。写生帖を見ると明け方に作った俳句に句がつけられている。この付け句の存在は注目すべきものなのかもしれない。昼近くふたりの足音が聞こえる。部屋の前につくと、一人は引き返す。もう一人が入って来る。小女郎である。食事を持ってくる。その小女郎との会話から、この宿にいる若い女が、出戻りの娘つまり那美であることがわかる。その女の部屋が画工の泊っている部屋であることもわかる。夜中に部屋に忍び込んだのも、付け句も那美の仕業であろう。食事が終わり、しばらくたつと那美がお茶を出しにくる。画工は茶人がきらいなようだ。画工と那美の会話が進み、興味深い会話がなされる。「ここと都と、どっちがいいですか」「同じ事ですわ」「こう云う静かな所が、かえって気楽でしょう」「気楽も、気楽でな...夏目漱石の『草枕』を読む。4
ビクトル・エリセの31年ぶりの長編映画『瞳をとじて』を見ました。静かな緊張感が胸を揺さぶる名作でした。私が学生時代、「ミツバチのささやき」が公開されて大ヒットとなりました。六本木のシネヴィヴァン六本木という映画館で私も見ました。非常に衝撃的でした。内容は刺激的なものであったのにもかかわらず、抑えた演技で、淡々と描写していく映画でした。しばらくして『エル・スール』という映画も公開されました。こちらも衝撃を受けました。ところがエリセ監督はその後あまり映画を作っていません。『マルメロの陽光』というドキュメンタリー映画は公開されましたが、それ以外の映画は作っていなかったのです。おそらく引退したんだろうなと思っていました。ところが今回、本当に久しぶりに新作が公開されたのです。驚きました。同時に期待しました。さらに同...映画『瞳をとじて』を見ました。
今日、関口宏さんが「サンデーモーニング」を、林家木久扇さんが笑点を卒業した。お疲れさまでした。そしてありがとうございました。関口さんは、批判精神を発揮して番組を進行していらっしゃいました。平和主義の立場から権力に対しては厳しいことも言うこともありました。とは言えあくまで普通の批判精神を発揮していただけでした。現在でも特別左寄りだとは感じません。ところが近年の右寄りのネットユーザーから目の敵にされて、かわいそうな形での引退となってしまいました。もちろん年齢的なことから、進行にたどたどしい場面なども見受けられ、卒業の時期としては適当だったのだとは思います。しかしネット記事の扱われ方はあきらかにおかしいものでした。関口さんが「サンデーモーニング」でこういう発言をしたというネット記事が出て、それに対してネットの一...関口宏さん、林家木久扇さん、ありがとう
アメリカの株式投資を描いた映画『ダム・マネーウォール街を狙え!』を見ました。巨大マネーに抵抗した個人投資家たちの夢を描いた気持ちのいい映画でした。2020年の実話をもとにして作られた映画です。主人公はキースという平凡な会社員。キースはゲームストップ社というビデオゲームメーカーに投資しており、自身の投資する姿を動画配信もしています。キースの動画は多くの人に支持され、ゲームストップ社の株は徐々に上がっていきます。みんながキースの夢を支援し、それを自分の夢にしたのです。金融業界のヘッジファンドは、ゲームストップ社の株は絶対に下がると踏み、大量の空売りをします。ところがゲームストップ社の株は逆に急騰します。大富豪たちは大損してしまい、社会問題に広がります。この映画は株式市場を舞台と下大金持ち対一般庶民の構図の物語...映画『ダム・マネーウォール街を狙え!』を見ました。
2023年のカンヌ国際映画祭でパルム・ドールを受賞した映画『落下の解剖学』を見た。真実とは何かを考えさせる深く重い名画だった。人里離れた雪積もるフランスの山荘に一組の夫婦とその息子が住んでいる。夫はフランス人で妻はドイツ人だ。息子は目が見えず、盲導犬がサポートしている。夫婦は作家だ。その夫が不可解な転落死をする。妻が殺人容疑で逮捕される。妻は否認する。裁判となり、夫婦の冷めた関係が次々とあばかれていく。妻にとって都合の悪い証言や証拠が次々に出てくる。妻はそれに反論する。夫によって録音されていた夫婦の激しい言い争いが法廷で流される。その中では暴力を使ったかのような音もある。妻にとっては絶体絶命の展開です。最後に息子が証言する。果たして真実とは何か。判決はでる。しかし実は真実はわからないままだ。芥川龍之介の「...映画『落下の解剖学』を見ました。
画工は宿につく。内部の構造が迷路のような宿である。那古井という土地自体も山の中の閉ざされた場所であり、しかもこの宿も迷路のようであり、異空間に幽閉されているような感覚をおこさせる。通された部屋は普段使っている部屋だという。客がないので他の部屋は掃除をしていない。突然の客であったために普段使っている部屋に通されたのだ。食事をとって風呂に入る。そして寝る。夢を見る。長良の乙女が振袖を着て、青馬に乗って、峠を越すと、いきなり、ささだ男と、ささべ男が飛び出して両方から引っ張る。女が急にオフェリヤになって、柳の枝へ上って、河の中を流れながら、うつくしい声で歌をうたう。救ってやろうと思って、長い竿を持って、向島を追懸けて行く。女は苦しい様子もなく、笑いながら、うたいながら、行末も知らず流れを下る。余は竿をかついで、お...夏目漱石の『草枕』を読む。3
第二章山道の途中雨に降られた画工は茶屋に入る。誰も出てこないので、画工は火にあたり休んでいる。婆さんが出てくる。しばらくすると雨は止む。漱石の作品では意図的に雨が降る。漱石作品の中の雨は要注意である。雨が止むと遠くに山が見える。天狗巌だ。この天狗巌がこの那古井という村の象徴のような場所である。そこへ馬子の「源さん」(源兵衛)があらわれる。「那古井の嬢さま」の話題になる。嫁入りのときに裾振袖を着て、高島田に結って馬にのっていったのである。「那古井の嬢さま」とはこの小説の中心となる登場人物、那美のことであるが、まだ画工は会っていないので顔がわからない。画工はミレーのオフェリヤの面影を当てはめてみる。するとすっぽりとはまる。夏目漱石は「薤露行」でもオフェーリアのイメージを描いている。「薤露行」と「草枕」は明らか...夏目漱石の『草枕』を読む。2
夏目漱石の『草枕』を読む。章ごとに気付いたことを書いていく。今回は「一」。『草枕』の冒頭を引用する。山路を登りながら、こう考えた。智に働けば角が立つ。情に棹させば流される。意地を通せば窮屈だ。とかくに人の世は住みにくい。住みにくさが高じると、安い所へ引き越したくなる。どこへ越しても住みにくいと悟った時、詩が生れて、画が出来る。多くの人が知っている文である。この小説の語り手は画工である。この画工は「人の世が住みにくい」ので、引っ越したくなるがどこへ越しても結局は同じように住みにくく、住みにくさから逃れるために詩や画ができるのだという。ここで見逃してはいけないのは、結局はどこもが住みにくいということである。引っ越し(これは旅も含めていいのだろう)は、一時の気休めにしかならないのだ。ではなぜこの世は住みにくいの...夏目漱石の『草枕』を読む。1
政治家は本当に国のことを考えているのだろうか。裏金問題を見ていると、どうひいき目に見ても選挙に勝つことしか考えていない。選挙に勝つために領収書の必要のない金が必要になり、だから裏金が必要になる。選挙に勝ち続ける自民党はそうやって当選者を増やしてきたのだ。自民党は否定するだろうが、そう疑われてもしょうがないのである。彼らの理屈は「政治は金がかかる」である。しかし違う。「選挙に金がかかる」のだ。私設秘書をたくさん雇って選挙民の陳情を処理したり、後援会組織の拡大をねらったり、さまざまな選挙対策を金の力でやっている。ルール上認められているからいいと反論するのだろうが、こういうことばかりするから、本当に政治を志す若者は政治家になれず、二世議員だらけになってしまうのだ。お坊ちゃま議員は態度だけはでかいけれども、「先生...政治家はいらないのでは?
ショーン・ホームズが演出、段田安則が主演を務める『リア王』を見ました。斬新な演出で、緊張感が持続する舞台でした。幕が上がると白い背景、舞台の上には蛍光灯が点灯し、不思議な現代的な空間が現れ意表をつく幕開きとなりました。登場人物も現代的な衣装を着ています。人物の区別がつきやすく、大げさな歴史性が捨象されているために、セリフの意味がストレートに伝わってきます。人物関係もわかりやすくなっているような気がします。おそらく後半のごちゃごちゃした箇所が省略されていたので、すっきりしているのではないかと思われます。いろいろな考え方はあると思いますが、私はシェークスピア作品をそのままの形で、現代に、しかも日本で上演するのは無理があるように思います。とくに『リア王』はあまり上演されることがなく、観客も準備ができていません。...ショーン・ホームズ演出舞台『リア王』を見ました
KERA作品をさまざまな演出家の手で立ち上げる「KERACROSS」。そのラストをKERA自身が演出するので、KERAMAPと何が違うんだろうと疑問には感じるものの、まあそんな細かいことはどうでもよく、すごい役者が勢ぞろいして楽しみにしていた「骨と軽蔑」を見ました。やっぱりすごい舞台でした。内戦が続くある国が舞台です。会社経営をしているその町のお金持ち家族と、その関係者が登場人物です。ただしその家族の主は途中で死んでしまい、結局舞台には現れません。その家族の娘に小説家の姉がいます。その姉と妹の仲が悪い。常に喧嘩しています。お互いに相手が先に悪いことをしたからいけないんだと主張して、常に水掛け論になってしまいます。この関係が戦争が頻繁に起こる現在の国際状況と重なります。この芝居の特色は「異化」が頻繁に起きる...KERACROSS「骨と軽蔑」を見ました。
13年前の今日、東日本大震災だった。高校入試の採点の日だった。突然大きく揺れ始めた。最初は冷静だった。大きな揺れも何度か経験していたので、しばらくすれば止むだろうと思って状況を見ていた。しかし揺れが収まらない。これは普通ではないと思い始めた。入試の採点をしているわけだから、まずは対応を考えなければならない。おそらくすぐに答案をすべてしまって、試験の本部にあずけ、外に出た。外はみぞれまじりの雪だった。かなり寒かったことを記憶している。異常事態であったので採点の処理などは落ち着いてからとなり、まもなく解散となった。採点日だったので生徒がいなかったのが幸いだった。生徒がいたら、全員を返すまで家に帰れなかった。多くの学校がそうだったと聞く。とは言え、そこからが大変だった。自動車で帰宅したのであるが、すでに停電して...東日本大震災の記憶
4『焦点人物』「語り」についても大きな変化がある。これまでの漱石の作品は語り手が一人称であれ、三人称であれ、焦点となる人物は特定していた。例えば『吾輩は猫である』は「吾輩」が語り手となる一人称小説であり、焦点はもちろん「吾輩」にある。それに対して『三四郎』は三人称小説であり、語り手は小説内の世界の人物ではない。だから本来ならば誰に焦点をあててもいいのであるが、基本的には「三四郎」だけに焦点があてられる。つまり「三四郎」の心の中だけは描かれるが、他の登場人物の心の中は描かれないのである。大きな変化が現れたのは、後期三部作である。後期三部作の作品に於ては、語り手が交代するという方法がとられた。例えば『こころ』では、上と中の「私」と下の「私」は違っている。つまり一人称小説でありながら、語り手が交代することによっ...夏目漱石の『明暗』夏目漱石4焦点人物温泉場
映画『小さき麦の花』を見ました。人間が生きることの意味を考えさせる、静かだが強い作品でした。感動しました。舞台になっている時代はほぼ現代なのだと思われます。しかし中国の貧しい農村は何十年も前と同じような生活をしています。テレビもありません。時々描かれる都会とのギャップから貧富の差の大きさを感じます。主人公は農家の息子ヨウティエと、その男と政略的に結婚させられた女クイイン。ヨウティエは兄にいいように使われていますが、文句も言わずに兄に命じられたままの生活をします。クイインは障害をもっているのか、歩き方がたどたどしく、時々失禁してしまいます。しかし自分では失禁していることに気が付きません。そんな夫婦ですが、お互いがお互いを理解しはじめ、静かに愛が深まっていきます。彼らはお互いのために真面目に生きます。家を作り...映画『小さき麦の花』を見ました。
「倫敦塔」は明治38年1月雑誌『帝国文学』に発表された。同じ月に『吾輩は猫である』の第一回と「カーライル博物館」も発表されている。『吾輩は猫である』が戯作調であるのに対して、「倫敦塔」は写生的であり、時には美文調である。内容はエッセイ風である。自信がロンドン留学中に「倫敦塔」を見物に出かけたことを語り聞かせるとう内容である。おそらくその時の感想を書いたものであろう。だから語り手は「余」である。「余」とは漱石自身であるように読者は読む。しかし後で加えた解釈によって虚構の部分も多く含んでいる可能性もある。語り手は、「『塔』の見物は一度に限ると思う。」と言う。なぜか。おそらく語り手が「倫敦塔」の歴史の悲惨さを想像し、その想像した情景に苦しめられたからであろう。語り手はこうも語る。「倫敦塔は宿世の夢の焼点の様だ。...夏目漱石作「倫敦塔」読書メモ
市川左團次さんが亡くなった。豪快で器の大きな歌舞伎役者らしい役者だった。残念だ。私が歌舞伎を見始めたのは大学生のころ、1980年くらいからである。左團次さんを襲名したのは1979年なので、私にとってずっと「左團次さん」だった。もうこんな人はめったにいなくなってしまった。左團次さんの演技は豪快だった。役になりきるというよりは、左團次さんがそのままその人になってしまうという印象だった。それがいい。器用さは少しかけていたかもしれないが、左團次さんそのものがいいのである。貴重な役者だった。裏表がないのでみんなに慕われたのだろう。テレビのバラエティに出ても、特に何かをするわけではないのに、やはり話がおもしろい。人柄がよかったのだ。私が見てきた歌舞伎役者はだんだん年をとり、亡くなる人も多くなった。若い役者はいい役者が...市川左團次さんのこと
NBAのスーパースター、マイケル・ジョーダンと契約するためにナイキがどういう努力をしたのかを描く映画『AIRエア』を見ました。現代的な攻めのビジネスが刺激を与えてくれる映画です。当時のナイキは陸上のシューズには強いがバスケットシューズに関しては3流企業でした。コンバースやバスケットに関しては新興のアディダスに後れをとっています。そんなナイキがバスケットシューズでシェアを獲得するために、新人の一流選手と契約しようとします。まずはそこでマイケル・ジョーダンを選ぶ目を持っていたことが成功の第一歩でした。次にナイキを快く思っていなかったジョーダンと契約するために、シューズの色のルールを逸脱し、違反してもその罰則金をナイキが支払うという手にでます。これには賛否両論あるだろうと思われます。日本人ならばルールはルールだ...映画『AIRエア』を見ました。
三谷幸喜作の演劇『笑の大学』を仙台市・電力ホールで見ました。戦時下だからこそ、権力に屈せず笑いを描こうする喜劇作家の心意気が、見るものを泣かせ、感動を与える素晴らしい芝居でした、戦時下の日本。国民の娯楽である演劇は、警察に台本の検閲を受けなければならなかった。瀬戸康史演ずる劇作家、椿一は、内野聖陽演ずる担当警官・向坂睦夫に無理難題を投げかけられ何度も書き直しを命じられる。しかし椿はその無謀な条件をクリアしつつ、より笑える芝居へと書き上げることで自己の心意気を示す。しだいに向坂は椿の姿に共感を覚えるようになる。しかし、向坂には召集令状が届いてしまう。真摯に議論を重ねて次第にお互いを尊重していく二人の姿が感動を呼びます。国家の力よりも人間の共感のほうが強いものであり、そんな人間の力こそが戦争よりも大きいと感じ...三谷幸喜作『笑の大学』を見ました。
9.11アメリカ同時多発テロの被害者遺族への補償金を分配するという仕事を引き受けた弁護士を描く映画『ワース命の値段』を見ました。苦しい仕事であるのは予想がつく。しかしそれは大きな価値のある仕事です。それを成し遂げる人間の苦悩がいたいほどわかる映画でした。弁護士のケンは、同時多発事故の被害者遺族への補償金を分配する困難だとわかっている仕事を引き受けます。対象者は約7000人。ケンはこの困難な仕事をできるだけ公平におこなうために、例外を認めないという方法に固執します。私がそういう仕事をするとしてもそうしているでしょう。例外はひいきです。そんなひいきをしてはいけないと考えるからです。しかしうまくいきません。被害者遺族は納得しません。自分の個別の事情を訴えます。ケンは最初はそれを無視しようと努力していたのですが、...映画『ワース命の値段』を見ました。
トムハンクス主演映画『オットーという男』を見ました。老後の孤独への向き合い方を導いてくれる、感動的な名作です。この作品は2015年のスウェーデン映画『幸せなひとりぼっち』のハリウッドリメイク作品だそうです。『幸せなひとりぼっち』は見たことがないのですが、リメイクであろうがなかろうが、すばらしい作品に仕上がっています。オットーは頑固者で嫌われています。仕事も首になり、いよいよ頑固も本物になります。しかしオットーが頑固になっていったのは、死んだ妻との歴史があったからだったことがわかります。妻との出会い、そして結婚、妊娠、幸せな生活がバスの事故で崩れてしまいます。妻は一命は取り留めるものの、お腹の中の子供は失ってしまいます。年老いて妻はなくなり、孤独になったオットーは自殺を試みます。私も気が付いたら年をとってし...映画『オットーという男』を見ました
NHKラジオで1年間ずっと1組(1人)のアーティストを掘り下げて特集する「ディスカバーシリーズ」を放送している。昨年度はカーペンターズが取り上げられた。4月2日が最終回だった。とても楽しく、学ぶことが多く、そして懐かしい曲をたくさん聞くことができノスタルジックな気分にもなる素敵な番組だった。カーペンターズは私が小学生ごろ流行した兄弟グループである。カレンカーペンターの優しさを感じさせる透き通った声と、リチャードカーペンターのアレンジがすばらしく、印象に残る曲が多くある。私自身は中学、高校とロックに走ってしまい、しばらく遠ざかっていたが、最近は再びよく聞くようになっていた。古さをまったく感じさせない。きれいで優しいサウンドや声が、ストレスを和らげてくれる。カーペンターズはポピュラーミュージックの代表と言って...『ディスカバー・カーペンターズ』に感謝
『吾輩は猫である』を読んで、メモしていく。今回はその12回目。第十一章で「探偵」をきっかけに近代の個人主義についての論争が巻き起こる。これは作者の思想の表明であり、こういう思想を取り入れることができるのが、「小説」というジャンルの自由さを示している。【探偵】まずは苦沙弥が「探偵」という言葉にかみつく。「不用意の際に人の懐中を抜くのがスリで、不用意の際に人の胸中を釣るのが探偵だ。知らぬ間に雨戸をはずして人の所有品を盗むのが泥棒で、知らぬ間に口を滑らして人の心を読むのが探偵だ。ダンビラを畳の上へ刺して無理に人の金銭を着服するのが強盗で、脅し文句をいやに並べて人の意志を強うるのが探偵だ。だから探偵と云う奴はスリ、泥棒、強盗の一族で到底人の風上に置けるものではない。」小説家というのは「探偵」のようなものだ。心を読...『吾輩は猫である』の読書メモ⑫「第十一章の2」
『吾輩は猫である』を読んで、メモしていく。今回はその11回目。第十一章。この章が最終章である。【寒月は結婚していた!】迷亭と独仙が碁を打っている。そこに寒月と東風も苦沙弥のそばで話をしている。寒月は鰹節を三本持参する。鰹節は少々ネズミにかじられている。船の中でヴァイオリンと一緒に袋の中に入れていたらかじられてたのだ。そこから寒月がどうやってヴァイオリンを手に入れたのかなどヴァイオリンの逸話が語られる。夫婦の話になり、東風は次のように言う。「僕の考えでは人間が絶対の域に入るには、只二つの道があるばかりで、その二つの道とは芸術と恋だ。」急展開がある。この小説は寒月と金田嬢との結婚話で進んできたのだが、突然寒月は他の女性と結婚したことが明かされる。鰹節はそのお祝いとしてもらったのだという。そろそろこの小説の連載...『吾輩は猫である』の読書メモ⑪「第十一章」
『吾輩は猫である』を読んで、メモしていく。今回はその11回目。第十一章。この章が最終章である。【寒月は結婚していた!】迷亭と独仙が碁を打っている。そこに寒月と東風も苦沙弥のそばで話をしている。寒月は鰹節を三本持参する。鰹節は少々ネズミにかじられている。船の中でヴァイオリンと一緒に袋の中に入れていたらかじられてたのだ。そこから寒月がどうやってヴァイオリンを手に入れたのかなどヴァイオリンの逸話が語られる。夫婦の話になり、東風は次のように言う。「僕の考えでは人間が絶対の域に入るには、只二つの道があるばかりで、その二つの道とは芸術と恋だ。」急展開がある。この小説は寒月と金田嬢との結婚話で進んできたのだが、突然寒月は他の女性と結婚したことが明かされる。鰹節はそのお祝いとしてもらったのだという。そろそろこの小説の連載...『吾輩は猫である』の読書メモ⑪「第十一章」
坂本龍一さんが亡くなった。病状が思わしくなく厳しい状態が続いていたことはわかっていたので覚悟はしていたが、やはりショックは大きい。坂本さんの音楽をよく聞いていた。YMOの時代はそれほど聞いていなかったが、その後のソロ活動、あるいはコラボレーション活動で作り出した曲は、本当に繰り返し何度も聞いていた。ソロ活動では、「SELFPORTRAIT」は永遠の名作である。この感覚は他にはない。唯一無二の曲だと思っている。映画音楽もいい。大貫妙子さんとのコラボはすばらしい。初期の大貫さんの作品の数多くのアレンジを坂本さんが手掛けており、透明感のある魅力的な曲に仕上げている。2010年の発表された『UTAU』というアルバムでは、坂本さんのピアノで大貫さんが歌っていて、透明感とともにノスタルジーを感じさせる名作となっている...坂本龍一さんのこと
この3月を持って、高校の教員を定年退職しました。現在再任用という制度があります。年金が支給される65歳までの5年間、給料は3割ほど減るのですが働くことができる制度です。現在8割以上の人が再任用するので、当初は私も再任用するつもりがありました。しかし思うところがあり、今年で退職することにしました。4月からは大学院で勉強することになっています。主として夏目漱石の初期作品について研究していきたいと思っています。その外にも日本語文法やナラトロジーについても勉強していきたいと考えています。趣味としては戯曲や小説を書いてみたいという欲も持っています。健康のための水泳や軽いジョギングも続けていきたいと思ってます。ただしやりたいことがあまりありすぎて、ストレスになってしまいそうなので、心を整えることも大切にしていきたいと...教員を定年退職しました
『吾輩は猫である』を読んで、メモしていく。今回はその10回目。第十章。やっとここまで来た。【ばぶ】警察が来たその翌日、苦沙弥先生は警察に盗難品をとりに行くために早起きしなければならない。しかしなかなか起きない。ようやく起きて朝ご飯を食べる。三人の娘も一緒にご飯を食べる。この様子がほほえましい。頑固おやじとかしまし娘である。明るい家庭小説になっている。三女は雑巾で顔を洗う。それをやめなさいと姉に言われると「いやーよ、ばぶ」と口ごたえする。いくらちゃんの得意技「ばぶー」は昔からあったオノマトペだったことがわかる。【警察嫌い】苦沙弥先生は探偵が嫌いである。この場合の探偵は警察官のことを言っている。「探偵というものには高等な教育を受けたものがないから事実を挙げる為には何でもする。あれは始末に行かないものだ。」犯人...『吾輩は猫である』の読書メモ⑩「第十章」
今期のドラマは期待外れのものもあったのですが、逆に期待以上のものもあり、結局たくさん見てしまいました。今期のドラマで最後までみたものは5つです。中でも私が一番好きだったのは『リバーサルオーケストラ』と『リエゾン』です。『リバーサルオーケストラ』はドラマの王道を行くようなドラマで、いつも癒されていました。楽しくて心がかるくなる作品でした。門脇麦さんの魅力が伝わってきます。『リエゾン』は発達障害をテーマにしたドラマです。発達障害はそんなに単純なものではありません。個性と障害の境目はあまり明確ではないし、発達障害の子供とどう接するべきか、明確な解答はありません。特別扱いしすぎてもうまくいかないし、かと言って他の子と同じに接してもうまくいきません。むずかしい障害です。しかし誰もがしっかりと目を向けなければいけない...今期のドラマ
2021年・第74回カンヌ国際映画祭のグランプリ作品『コンパートメントNo.6』を見ました。生きることのつらさをぶち破る映画でした。おそらく30年ほど前という時代設定なのだと思われます。ウィンランドからの留学生ウララは恋人と一緒にムルマンスクのペトログリフを見に行く予定だったが、恋人が突然キャンセルして一人で旅することになる。おそらく恋人はほかのパートナーができ、二人の関係は終わったのです。ウララの旅は絶望の旅です。恋人と一緒に乗る筈だった寝台列車の部屋にロシア人の労働者リョーハが乗っています。彼は酒を飲み、ウララに粗暴で猥褻な態度で接してきます。最悪な旅になってしまいます。しかし、彼らは次第に打ち解けていきます。本音で迫るリョーハは実はまっすぐで嘘がない人間であり、人を大切にしてくれる優しい人間であるこ...映画『コンパートメントNo.6』を見ました。
『おみおくりの作法』の監督ウベルト・バゾリーニの作品、『いつかの君にもわかること』を見ました。淡々とした映像が感動を呼ぶ映画でした。不治の病を患っていて死期が迫っている父親と一人息子が二人で生活しています。父親は息子を養子縁組してくれる家族を探します。様々な家族がいて父親は悩みます。仲介役のソーシャルワーカーの献身的な努力にもかかわらず、父親の悩みは深まり、そしていよいよ体も思うようにいかなくなります。父親の苦しむ姿が胸を打ちます。いつか父親も息子も「死」を受け入れるようになります。息子は父の死後も父を忘れることなく、大人になっても父親とつながり続ける、そう見ている人は感じます。父親が選んだ受け入れ家族も、心の痛みがわかり、父親の気持ちがわかる人だったと思います。余計な説明はありません。説明は登場人物を描...映画『いつかの君にもわかること』を見ました。
WBCはすごかった。もちろん日本が優勝したから言えることだが、こんなに楽しませてもらった大会はめったにない。もちろん問題もある。組み合わせや試合日程が日本やアメリカが有利にできているように見えたし、アメリカの試合日程が直前に変わったり、きちんとした大会とはなっていなかったのは事実である。もともとはメジャーリーグが開幕前のちょっとしたイベントとしてやっていた大会という位置づけだったので、そういう出鱈目な部分が残っているのだと思われる。しかし、回を重ねるたびにアメリカも本気になってきた。そして今回はかなり本気で戦いを挑んできた。出場選手もレベルアップしてきた。この大会の意義が上がってきたからであり、そうなるようにアメリカ以外の各国が努力してきたからである。だんだん本物の大会になってきた。そんな中で日本はマンガ...WBCはすごかった
藤井聡太五冠が渡辺明棋王に挑戦した棋王戦五番勝負で藤井五冠が勝利し、棋王位を奪取しました。これで史上2人目にして最年少での六冠を達成したとのことです。「異次元」というのは、こういう場合に使う言葉なのだろうと思います。藤井六冠は当たり前のように勝っているような印象ですが、決して必ず勝っているわけではありません。勝率は高いのですが、もちろん負ける場合もあります。渡辺名人との直近の対戦では終盤に勝ちを見逃してしまい負けてしまったということでした。勝っても負けても紙一重なのです。それでいながらこれだけタイトルを取れるというのは、単純な強さを超える力がある気がします。私は今回インターネットで時々生中継をのぞいていました。将棋のレベルが違いすぎて何がいい手なのかはわかりません。だから見ても意味がないなとは思いながら、...藤井聡太は本当にすごい
【鏡】「哲学者」の意見に感化された苦沙弥は書斎に立てこもる。おそらかう心を自由にする修行ををしているのであろう。しかし苦沙弥が何をしているかというと、鏡を見つめているのである。つまり自分に執着しているのだ。これでは自由になれるはずがない。「吾輩」は、「鏡はうぬぼれの醸造器である如く、同時に自慢の消毒器である。」と評す。結果として苦沙弥先生の自慢の鼻は折れたようなので、少しはよくなったのかもしれない。結局は自分に執着するのはやめられないから人間なのかもしれない。【迷亭の叔父さん】迷亭が叔父さんを連れてやってくる。叔父さんは次のように言う。沢菴禅師の「不動智神妙録」の一説を紹介する。「心をどこに置こうぞ。敵の身の働きに心を置けば、敵の身の働に心を取らるるなり。敵の太刀に心を置けば、敵の太刀に心を取らるるなり。...『吾輩は猫である』の読書メモ⑨「第九章」