「ダウンシフト」
若い頃から好奇心旺盛で、多くを思いつき多くをやろうとしてきた私。最難関と言われる試験を志し、短気で負けず嫌いの私は1年でも早く受かりたいと思った。最短距離を突っ走れという講師の言葉にも触発され、嫌な勉強期間を少しでも短くと人一倍急いで勉強しまくった。トイレや電車の中でも過去問を解き続け、3年の苦労で試験に受かった後も、何事も多くを急いでやるのが私の基本姿勢になった。人が立ち並ぶエスカレーターも身を細めて歩き、青信号の点滅を見れば決まってダッシュする。ホームのチャイムと共に階段を駆け上がり、ドアが閉まりかけた電車に飛び乗る。ハンドルを握れば、1台でも早く進もうと右へ左へせわしなく車線変更を繰り返す。でもふと立ち止まって考えれば、私が1分1秒を争う意味はどこにある。待ち合わせでもないし緊張、息切れ、動悸までして、数...「ダウンシフト」
2016/01/19 08:37