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醒めない夢 http://momiji320.blog.fc2.com/

オリジナルBL小説。シリーズもの多め。物語の傾向は切な系ですが目指しているのは激甘系です。(アイコンはpicrew.meの人間(男)メーカー(仮)で作成)

麻斗 結椛
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2015/10/28

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  • 「雨宿りの恋」がKindleBLノベルズランキング無料タイトル部門2位に!

    おととい4/16にオリジナルBL小説「雨宿りの恋」をKindle電子書籍として発売したところ、本日4/18、無料タイトルの売れ筋ランキングで以下のような順位になっていました!Amazon 売れ筋ランキング: 無料タイトル - 47位Kindleストア- 2位ボーイズラブノベルス (Kindleストア)- 4位ライトノベル (Kindleストア)(2022/04/18 16:30現在)たくさんの方に手に取っていただきたくて無料キャンペーンに登録したら、まさかこんな上位にラン...

  • 雨宿りの恋、Kindle電子書籍として発売開始しました!

    つい先日、電子書籍化に伴い『雨宿りの恋』を非公開にしましたが、Kindleであっという間に審査が通りまして、無事に電子書籍として発売することができました!↓ここから入れます!https://www.amazon.co.jp/dp/B09Y327QT6Kindle Unlimitedご加入であれば、0円で読めます。そして4/17〜4/21は無料キャンペーンやってます!この期間中ならKindle Unlimited未加入でも無料で読めてしまいます。大幅に書き直して読みやすくなっています...

  • 雨宿りの恋、非公開のお知らせ

    いつもブログ『醒めない夢』をご愛顧いただき、ありがとうございます。久しぶりの更新がお知らせで、なおかつ急なご案内で大変恐縮なのですが、拙作『雨宿りの恋』を2022/04/15にいったん非公開にさせていただきたいと存じます。そして大幅改稿したものを近日中にKindleで電子書籍として公開する予定です。Kindleで公開後に、ブログのほうは最初の数話を試し読みとして再公開いたします。だいぶ書き直して読みやすくなったと思いま...

  • 遠回りの恋 66 detour to love

    休日の午後。奏多はとあるカフェに足を踏み入れた。そこで聖人と待ち合わせしていたのだ。店内をざっと見渡して店奥のテーブル席に聖人を見つけると同時に、彼の向かいの席に男性が座っていることに気づいた。聖人の知り合いだろうか? しかし聖人は首や手を横に振るなど、明らかに拒絶と困惑を表す動作をしている。 またいつものやつか。奏多は呆れながら、足早に聖人の元に向かった。「聖人」「か、奏多!」 奏多が声をかけ...

  • 遠回りの恋 65 重なる思い(※)

    R18表現が入ります。年齢に満たない方、表現が苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。...

  • 遠回りの恋 64 素直になって

    悠真から連絡がこないのは、どうしてだろうか? 不安に苛まれた週末の夜、奏多はナオの店を訪れた。「ここのところ、頻繁にうちに来てくれるから、昔に戻ったみたいでうれしいな」 美貌のマスター、ナオが頼んだビールをサーブしつつ話しかけてきた。「最近迷惑ばっかかけて、ほんとごめん」 尚憲との別れ話。聖人の恋人との対面。面倒な時に限って、azureを使わせてもらっている。「ぜんぜん構わないよ。むしろ信頼してもら...

  • 遠回りの恋 63 不器用な二人

    「まあ、いつでも会えるじゃねーか。仕事前に悪かったな。いいからしっかりやってこいよ」『……はい。行ってきます』 悠真は奏多との通話を終えると「はあ……行きたくないなあ」とため息とともに愚痴をこぼした。 四年の長期に渡る片思い期間を耐えて、ようやく恋人に昇格した今、奏多の傍からひと時も離れたくない。 なのに奏多の「今からうち来るだろ?」という魅惑的な誘いを断らなければならないなんて。自分のタイミングの悪...

  • 遠回りの恋 62 Just a kiss

    目が覚めた奏多は、一瞬自分がどこにいるのか、分からなかった。ゆっくり半身を起こしてみて、初めて自分がソファに横たわっていたのだと知る。足元を見ると、床に座り込んで座面にうつ伏せて寝ている悠真がいた。奏多が身じろいだ、その微かな振動で悠真がふっと目を開けた。「……おはよう、先輩」 掠れた声が色っぽくて胸がどくんと高鳴った。恥ずかしい動揺を隠そうと、わざと「……おす」とぶっきらぼうに返した。 昨日、悠真...

  • 遠回りの恋 61 Make me your lover

    悠真の気持ちが手のひらと言葉を通して伝わってくる。でもそれは今に始まったことではない。ずっとずっと悠真は本気だった。どれほど奏多は悠真の真摯な気持ちを茶化して、侮ってきたのか。自分の傲慢な態度をこれほど悔やんだことはない。 この誠実な男に、不誠実な自分が好きだと伝えてもいいのだろうか。再び奏多は首を横に小さく振った。「……だめだ」「……なんで?」「なんでもだ」 酷いことを言っていると思う。だがどう考...

  • 遠回りの恋 60 認めた思い

    迷った挙げ句、頼れるのは悠真しかいないと結論を出した奏多は、勇気を出して彼に電話をかけた。 悠真にしては出るのが遅いと思ったら、事務所で打ち合わせの途中だったらしい。申し訳ないと思いつつ、時間がないので乃蒼と一緒にいると事実だけを先に告げると、悠真が無言になった。たぶん、かなり怒っている。だがそれを無視して乃蒼と食事をして泥酔して困っていると続けると、三十分で行くから待っててくださいと無愛想に言...

  • 遠回りの恋 59 会いたくない人

    「先輩、俺です。開けてください」 玄関ドアの向こうから聞こえてくる悠真の息が切れている。走ってきたのだろうか。苦しそうだ。それに鋭い視線とうらはらに声が震えている。「ねえ、先輩。お願いだから、話を聞いてください」 懇願する悠真を拒絶できるはすがなかった。恐々玄関ドアを開けた。隙間からそっと外を覗く。悠真が視界に入った。「……うるせえな。何しに来たんだよ」「さっき、うちに来たでしょう? 俺、いなかった...

  • 遠回りの恋 58 Patience

    悠真が、奏多と不倫関係にあった相手、義兄の松本との別れの場に立ち会ったのは、一週間前のことだ。悠真の感触では、松本はごねたわりには別れをすんなり受け入れてくれたと思う一方で、奏多のほうが全く別れを受け入れていない状況に打つ手がない状態だ。 azureに現れた松本の第一印象は、柔和な雰囲気の人というものだった。年齢はおそらく三十代前半だろう。優しい色気を携えた既婚者ゆえに、女性に言い寄られる機会が多い...

  • 遠回りの恋 57 復調

    泣きつかれていつの間にか眠りについて、奏多は朝を迎えた。ずっと眠れなかったのに、今日は久しぶりに熟睡できたみたいで、わりあい頭がすっきりしている。本格的に目覚めると、急激に喉に乾きを覚えた。涙で体中の水分を失ったせいだろう。冷蔵庫からペットボトルの水を取り出し、一気に飲み干す。干からびた身体に水分が染み渡っていく。 シャワーを浴びようとバスルームに入った。洗面所の鏡に写った自分の顔を見て「うわあ...

  • 遠回りの恋 56 Goodbye Again

    松本と別れて、一週間が経った。奏多はあの日以来、胸にぽっかりと穴が空いたような、喪失感が拭えない状態が続いている。 松本が別れを受け入れてくれた。彼が梨花との離婚を選択しないと分かったことに、奏多はとても安堵している。出産を控えた梨花が突然の理由の分からない別れに悲しむことと、自分が失恋の痛手に多少苦しむことなんて、比べ物にならない程、たいしたことではないからだ。 大学とアルバイトと、強制的に毎...

  • 遠回りの恋 55 別れ話

    昨夜、早々にベッドに入ったにもかかわらず、奏多はなかなか寝付けなかった。久しぶりに松本に会うことへの恐れと喜び、その両方の感情が気持ちが高ぶっていた。そして悠真に恋人役を依頼したことを直前まで後悔していたのだ。夜中、何度スマホを握っただろうか。戸惑いと後悔がとめどなく押し寄せて、眠気などちっても襲ってこない。何度も寝返りをうっているうちに明け方近くになって、考えすぎて疲労困憊した奏多はうとうと眠...

  • 遠回りの恋 54 チャンス

    【明日だから。PM9時。azure】 スマホが着信したのは、悠真はちょうどシャワーを浴びて、ペットボトルのミネラルウォーターを飲んでいる時だった。 目に飛び込んできたのは、あまりにも簡潔な文章で、悠真は思わず笑みをこぼした。 文面を作るためにあれこれ考えているうちに、こんな無愛想な文章になったのだろう。 奏多の心境が伺えて、それだけでにやけてしまう。 悠真は【了解です】と手短に返信した。 すぐに既読の文...

  • 遠回りの恋 53 親友の恋

    バイトが終わったばかりの奏多に、珍しい人物から連絡が入った。ナオだった。 悪態をついて別れてから何も連絡をしていなかったので、きまりが悪かった。「あの、こないだはすみませんでした。俺、なんか、すげえ態度悪くて」『そのことはもういいんだ。その……今日は奏多に頼みたいことがあって』「ナオさんが俺に?」 電話の向こうでナオが言いあぐねて、打ち明けた内容に奏多は耳を疑った。聖人が、ナオの店で男漁りをしてい...

  • 遠回りの恋 52 Only you

    『……会わせたら……別れて……くれるのか?』 松本が突然尋ねてきた翌日の早朝。 浅い睡眠から奏多は目覚めた。寝起き直後、寝不足で朦朧とする彼の脳裏に真っ先に浮かんだこと。それは己の浅慮な行動に対する後悔だった。(どうしてあんなこと、言ったんだろ……) 撤回したい気持ちに駆られる。 だがすぐにその考えを一蹴した。 松本は奏多を全く信じていない。 別れたい。恋人がいる。全て嘘だと思われている。 後者は嘘だが、...

  • 遠回りの恋 51 Rescue me

    休日の午後。悠真はカフェにいた。テーブルを挟んだ向こう側に座っているのは、先日振ったばかりの乃蒼だ。 夜の繁華街で、酔った輩に絡まれている乃蒼を偶然見かけた。悠真は知り合いを放っておけず思わず助けたのだが、その時彼女から告白された。 思いがけない出来事にものすごく驚いたけれど、悠真は迷わず断った。 以前の悠真なら受け入れていたかもしれない。 好意を抱かない女性と恋人になるのは容易く、表面上だけな...

  • 遠回りの恋 50 苦し紛れの嘘

    突然聖人に会いたがる悠真の意図を、奏多はあまり深く考えなかった。聖人の名前を会話に時折上げていたこともあり、彼は悠真に隠す存在ではなかったからだ。 悠真からの提案にふとある考えが浮かんだ。 聖人には友人と呼べる人間は、奏多しかいない。 悠真なら年が近く、打ち解けやすいのではと、親心に近い願いもあって、試しに二人を引き合わせてみたのだが……。 予想を裏切ることなく、悠真は聖人の美貌と愛らしさに戸惑っ...

  • 遠回りの恋 49 ライバルの正体

    片思い四年目に突入した悠真は、大学入学を機に奏多の住まいの近所に居を構えたのは、物理的な距離を縮めたかったからだ。 高校入学以来、奏多一筋だというのに、奏多の誤解と悠真の傲慢さのせいで、別の女性と付き合うという寄り道をしてしまい、同時に奏多からの信頼を失った。 こんなにも奏多が好きで、一時期は奏多も悠真を憎からず思ってくれている確信があったのに、自らの愚行で全ておじゃんにしてしまったのだ。 それ...

  • 遠回りの恋 48 farewell

    夜中の突然の訪問をきっかけに、今まで殆ど叶わなかった松本との逢瀬の頻度がわずかに上がった。 慌ただしく体を重ねていた今までと違い、穏やかに話をするだけでも不思議と奏多になんの不満もなかった。 キスや手を繋ぐだけという僅かな接触でも奏多は幸せなのだ。 朝を一緒に迎えることは相変わらず難しかったけれど、これ以上欲張るつもりはなくて。 彼から伝わる奏多への執着が怖くある一方で、今まで押さえつけていた想...

  • 遠回りの恋 47 仄かな狂気

    「ああ……もうこんな時間か」 今週末、提出期限のレポートをまとめていた奏多は、肩の凝りを和らげようと首を回したついでに、スマホの時刻を確認した。ちょうど午後十時過ぎで、数時間も脇目も振らず没頭していた自分の集中力に僅かに驚愕した。 同時に、奏多の休憩を見計らったようにインターホンが鳴った。(こんな時間に誰だ?) 訝しみながらそっと玄関ドアのスコープを覗いて、己の目を疑った。 薄暗いせいで見間違えてい...

  • 遠回りの恋 46 揺るがぬ想い

    高校の頃から、奏多にずっと誰かの影を感じていた。 それでも真実を知るのが怖くて、ずっと曖昧なままにしていた。 だが先日偶然聞いてしまったアキトという名が、悠真の頭にこびりついて離れてくれない。 アキトとスマホでメッセージのやり取りをする奏多は、滅多に見ない優しい表情を浮かべていた。 よほど心を許しているのだと思い知らされ、悠真は内心相当動揺した。 それでも本人には問えないので、たまたま見かけた元...

  • 遠回りの恋 45 姉の告白

    衝撃の告白に奏多はとっさに切り返すこともできずにいると。「ごめんね、かなちゃん……突然こんなこと、びっくりするよね」 梨花は弱々しい笑みを浮かべて奏多を見上げた。「あ……いや……いいけど……」 彼女は奏多に疑いを抱いているのではない。 そう察すると、奏多は少しだけ冷静になれた。(そうだよな、まさか男と浮気してるなんて、誰も思いも寄らない) それでも疑心暗鬼は簡単には収まらない。 もしかしたら梨花はカマを...

  • 遠回りの恋 44 Premonition

    暦は変わり、奏多は大学生活三度目の春を迎えた。 自分自身は全く成長していないのに、構内で見かける多くの新入生の幼い初々しさに思わず笑みが溢れる。たった二年前の自分も同様だったはずなのに。「先輩!」 昼休み、学食でテキストに目を通していた奏多は、声をかけられ顔を上げた。すると自分に向かって歩いてくる悠真が見えた。手にはランチを乗せたトレイを持っている。テーブルを挟んだ向かいの席に悠真はそれを置いた...

  • 遠回りの恋 43 制御不能な恋心(※)

    R18表現が入ります。年齢に満たない方、表現が苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。...

  • 遠回りの恋 42 気付かぬ思い

    二月の始め、地下鉄への通り道のデパ地下で、バレンタインのポップがふと目に付いて、足を止めた。(そう言えば、先輩にバレンタインのチョコ、贈ったことないなあ) 奏多とつるんだ時期は意外と短く、高校一年生の春から翌年の年明けまで。 彼の誕生日やクリスマスはむりやり一緒に過ごしてもらったが、初めてのバレンタインを迎える前に夏菜の一件で疎遠になってしまった。 せっかく受験合格祝いのデート(?)を、悠真から辞...

  • 遠回りの恋 41 bar azure

    結局悠真との食事はうやむやに流れてしまう。 悠真が突然訪ねてきた翌日、あらためて約束を履行すべく、日程調整を含めて再提案したのだが「今回、たくさん迷惑かけたんで、罰として食事は辞退させてください」と頭を下げられ、奏多は呆気に取られた。 せっかくのお祝いなんだからと必死に説得するものの、頑なに拒まれて、次第に意地になっている自分がばかみたいだと気づく。「……じゃあもういいや」と奏多が降参すると、悠真...

  • 遠回りの恋 40 好きでいさせて

    「おつかれさまでした」「またよろしく頼むよ。悠真くん」 地元タウン誌の男性記者の労いの言葉に、こちらこそまた使ってくださいという意味を込めて、悠真は深く頭を下げて、撮影現場を後にした。 悠真は大学合格後、時間に余裕が出来たのもあって、さっそくモデルの仕事を再開している。 とはいえ、ほんの駆け出しで収入も微々たるもの。それでも籍を置いているモデル会社の社員は「悠真くんがその気なら本業で食っていけるか...

  • 遠回りの恋 39 トラブルメーカー

    (プレゼント、もう、届いたかな?) 塾の自習室。模試日程を確認するためにスケジュールアプリを眺めていた悠真は心の中で呟いた。紙をめくる音、鉛筆を走らせる音しか聞こえないそこでは、吐息すら響いてしまいそうだから。 今日は奏多の二十歳の誕生日で、以前聞き出した現在の住所宛にプレゼントを既に手配済みで、おそらく届いているはず。 小さな観葉植物にしたのは、生き物なら邪険にされることもないだろうと踏んでのこ...

  • 遠回りの恋 38 Limited Happiness

    試験を終えた八月。 奏多はお盆より少し手前の時期に帰省していた。 陽射しのきつい昼間、エアコンの効いた快適な居間のソファに寝転がりごろごろしていると。「せっついてもなかなか戻ってこないのに、今回に限ってさっさと帰ってきたりして、どういう風の吹き回しかしらねえ」 母親はらしくない奏多の行動に、何やら不信感を抱いているらしく、家事でばたばたとしている通りすがりに、ちくちく嫌味を言われていた。「可愛い...

  • 遠回りの恋 37 健気な男

    悠真の一学期が終わり、高校最後の夏休みに突入したとはいえ、受験生には最後の追い込み時期で、遊ぶヒマも余裕もない。毎日塾通いし、授業がない日でもほぼ自習室にいる。 ふと壁時計を見ると、閉館間近の時刻だ。 数時間、無心でひたすら問題集を解いていた悠真は、ぐっと伸びをする。ようやく周囲に意識がいく。辺りを見渡すと学生はすでにまばらだ。(そろそろ俺も帰ろうかな) 荷物を片付け、スマホを確認すると、ぱっと...

  • 遠回りの恋 36 執着と諦観

    奏多は硬い面持ちで、マンションのオートロックドアの前に立っている。「よし……」 ふうっと深く息を吐き、インターホンを押した。 すると待ち構えていたかのように【かなちゃん、いらっしゃい】と朗らかな声が応答した。奏多が一言も発さなくても、カメラで顔を認識できたようだ。同時に自動ドアが開いたので、無言で足を踏み入れた。 松本と和解してから二週間後の週末、奏多は松本と梨花の住まいに招待されていた。奏多の無...

  • 遠回りの恋 35 手放せない恋

    本当はチェーンをつけて、開けるべきだったのかもしれない。 だが松本が無理やり部屋に押し入る人ではない。 どこかで奏多は彼を信じていた。 ドアを開け、素早く廊下に出ると、後ろ手で静かにドアを閉じたのは、聖人に気づかれたくなかったからだ。「奏多……」 松本は外廊下に苦渋の表情で立ちすくんでいて、思わず漏れた言葉は、先程の責める調子とは一転して、弱々しい。 彼の肩越しに青空が見える。 一見爽やかそうな天...

  • 遠回りの恋 34 欲しいのは温もり(※)

    R18表現が入ります。年齢に満たない方、表現が苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。...

  • 遠回りの恋 33 二度目の、春

    大学に入って二度目の春がきた。 サークルにも入っていない奏多は、相変わらず、勉強とバイト三昧だ。 見た目が派手なせいで、遊んでいるように見られがちだが、地味な学校生活は相変わらずだ。 この日、久しぶりにナオの店に立ち寄った。 友人らとリーズナブルな居酒屋で飲むのも楽しいけれど、どちらかというと同じ飲むなら、ナオの店で酔いたい。 頻繁ではないにしても、一年通って、顔見知りも出来た。 当初は性的な意...

  • 遠回りの恋 32 bitter and secret

    八月上旬、前期試験を終えた。 試験期間前と最中は、バイトのシフトから外してもらい試験勉強に集中し、その甲斐もあって及第点をクリアし、心置きなく夏季休暇に突入した。 友人らは遠方出身が多く、試験終了とともに殆どが帰省するなか、実家が近い奏多は、急いで帰省する必要もなく、バイトを再開した。 「やあ」「……いらっしゃいませ」 先月、無理やり再会してしまった松本は、大学病院のシフトが入った日の仕事帰りに...

  • 遠回りの恋 31 自暴自棄

    もし時間を巻き戻せるなら、あの日に戻りたい。 去年の冬。保健室。見られてしまったキス。 あれからずっと、悠真は後悔の念に苛まれていた。(あいつとのキスを先輩に見られてたなんて……) あまりにも間の悪いタイミングだった。 一回目は寝ぼけていたこちらが悪いが、意趣返しのつもりで、二回目の途中から積極的に仕掛けていったのは、紛れのない事実だ。 この時ばかりは、自分の負けず嫌いな性格が口惜しかった。 夏菜...

  • 遠回りの恋 30 動き出す時間

    大学に入学してすぐに始めたカフェでのバイトは、週三日、夕方から夜までのシフトだ。 カウンターの中で注文を聞いて、ドリンクや軽食を提供する。 簡単な業務内容だが、生まれて初めての仕事に、当初は慣れずに失敗ばかりで、数ヶ月経った最近、ようやく仕事に慣れてきたところだ。「氷室、そんなせっせと働かなくてよくね?」「はい?」「客がいない時ぐらいのんびりすれば? おまえ、真面目すぎ。俺がさぼってるみたいじゃ...

  • 遠回りの恋 29 塞がらない傷

    「やっば。遅刻するって」 奏多は部屋の時計をちらりと確認すると、乱暴に足を靴に引っ掛け、リュックを鷲掴みして、家を飛び出した。 エレベーターを待てずに階段を駆け下り、マンションの駐輪場にダッシュする。 大学進学と同時に一人暮らしを始めた際に購入した自転車に飛び乗り、学校に向かう。 入学から三ヶ月。 初夏を通り越し、季節は既に夏。あと少しで初めての夏季休暇を迎える。 全速力で漕いで約十分、大学の西...

  • 遠回りの恋 28 もう、戻れない

    澤田と関係をもった翌日、奏多はラブホ前で彼と別れた。「ぐずぐず悩むことがあったら、また連絡してこいよ」 去り際、澤田は労る言葉をかけてくれたけれど、奏多は黙っていた。 一晩明けても、奏多の罪悪感は減るどころか、むしろ増しているくらいだ。 悠真は奏多の仮病を真に受けて、ストーカー並みの着歴を残すほど、心配してくれたのに、その間自分が何をしていたのかと思うと、いたたまれない。 悠真と付き合っているわ...

  • 遠回りの恋 27 すれ違い

    今日の放課後のことだった。 午後七時前に練習が終わり、部員らは帰宅する。 悠真も部室を出て、自転車置き場に近づいたところで、人影に気づいた。 夏菜だ。 向こうも悠真に気づいて、駆け寄ってきた。「悠真くん!」「おつかれ。また明日な」 懐く夏菜をするりとかわして、悠真は彼女の前を通り過ぎた。「一緒に帰ろ?」「方向違うから無理って、毎日言ってるし」「じゃあ、いつもどおり、校門まで」「うざい」「ひどーい...

  • 遠回りの恋 26 予感

    大晦日の夜にわくわくしていたのは、小学生の頃までだと思う。 普段、午後九時には就寝させられるのに、この日だけは夜中零時過ぎまで起きていても怒られない。 この特別感がますます気持ちを高揚させて、なかなか寝付けなかったことを覚えている。 中学生以降は夜更かしがデフォルトになり、大晦日に特別な意味を見いだせなくなり、高校生になると家族団らんがうっとうしくて、夕飯を食べるとさっと自室に篭もるようになった...

  • 遠回りの恋 25 クリスマス

    奏多は尚憲への恋心を再認識したところで、気持ちの整理をできないまま、クリスマスイブ当日を迎えた。「ちょっと、出てくる」「あら、おニューのコートでおめかししちゃって。もしかして、クリスマスデート?」 玄関で靴を履いていると、背後から母親にわくわくした様子で尋ねられて、奏多はうんざりした。 母親は息子の服装にいつも目ざとい。 羽織っているアウターは、先日悠真へのクリプレを買う時に一緒に購入した、黒の...

  • 遠回りの恋 24 揺れる想い

    無心に勉強をする日々は、またたく間に過ぎていき、気づけば季節は晩秋だ。 奏多の志望校は地元の難関私立大学の工学部。 公募制推薦は、万が一不合格の可能性もあるため、来年一般試験でリベンジすることも考えて、ずっと慢心せず勉強に集中した。 十一月下旬、奏多は志望校を受験し、一週間後の十二月上旬、無事、合格した。 午前十時が結果発表の時刻。 授業中こっそりとスマホで大学のサイトを見る。そこに表示された自...

  • 遠回りの恋 23 キス

    店を出た二人は、駅まで戻り、駐輪場に停めていた悠真の自転車を引き取る。 帰路を二人乗りで進んで、途中で突然奏多が「ちょっと止めろ」と言った。「どうしたんですか? あと少しで先輩の家なのに」と、悠真が不思議そうな顔をみせる。 もう俺と別れてもいいのか? 確かに数時間だけの約束だったが、引き際の良さが、にくらしい。「おまえさあ」「はい」「誕生日、いつだっけ?」「……え?」 何聞いてんの? みたいなすっ...

  • 遠回りの恋 22 誕生日

    結婚式の後、一人になりたくなくて縋った相手は、澤田ではなく、悠真だった。 ファミレスで、悠真が先に到着している姿を見た時、奏多は(救われた)と思ったのだ。(こいつは俺だけを見ている) 松本には、梨花という生涯の伴侶がいて。 澤田は奏多をかまうが、所詮、気軽に遊べるセフレ未満の存在で。 だけど、悠真は、彼だけは、奏多を一途に慕ってくれる。 つっけんどんな態度でも、気分を害した風でもなく、むしろ嬉し...

  • 遠回りの恋 21 あなたしか見えない

    奏多が披露宴に参列している頃、悠真はカラオケ店に自転車で向かっていた。 バスケ部の仲間、野崎太一から「ちょっと出てこねえ?」と誘われたのだ。 カラオケに行くと聞いて黙り込んだが「おまえに誰も歌えなんて言わないって」と宥められる。悠真は歌が苦手なのは、皆の知るところだ。歌う気はさらさらないが、暇つぶしで誘いに乗った。「古賀ーっ!」 休日の夕方、行き交う歩行者の向こうに、元気よく手を振る野崎の姿が見...

  • 遠回りの恋 20 結婚式

    その日は突き抜けるような快晴だった。 松本と梨花の結婚式は海に面した大聖堂で、披露宴は併設のブライダル専用施設で続けて執り行われる。 挙式は午後一時から。松本家、氷室家ともに親族は午前中に会場入りして、控室で和気あいあいと談笑中だ。 久しぶりに会う親戚から奏多は「男前になったなあ」「彼女はできた?」と質問攻めにされ、愛想笑いで何とかその場を切り抜け、早々に部屋を出た。 親族で一番の年少というこ...

  • 遠回りの恋 19 燻る恋の炎

    カーテンの隙間から漏れる淡い光を、ぼんやりした視界に捉えた。 次第に目覚める意識の中で、今、自分がどこにいるのか、奏多は一瞬分からなくなる。 だが、寝具から仄かに香る大好きな人の体臭に、すぐにここは松本の家で、ほんの数時間前、彼と初めてセックスしたことを思い出す。 好きな人に抱かれた夢のような時を過ごしたが、相手は既に傍らになく、ベッドには奏多一人だ。 キッチンから聞こえる水音から、松本が朝食の...

  • 遠回りの恋 18 幸せな夜 (※)

    R18表現が入ります。年齢に満たない方、表現が苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。...

  • 遠回りの恋 17 一度でいいから(※)

    R18表現が入ります。年齢に満たない方、表現が苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。...

  • 遠回りの恋 16 泣かないで

    ーー尚憲さん、好きです。 告げるつもりのなかった気持ちを伝えて、逃げ込んだ先は、当日の昼間、邪険に扱った悠真だった。 どうしても家に帰りたくなかった。 帰ったら、松本が追いかけてくるような気がして。 ダメ元で悠真を頼ったら、彼は何も聞かずに、奏多を受け入れてくれた。 好かれて、大事にされて、いつもはそれがうざかったりする。 だが、あの日だけは、悠真の過剰な愛情が、奏多の失恋の傷をとろりと包み込み、...

  • 遠回りの恋 15 もっと、甘えて。

    悠真は奏多の浮足立ちぶりに、思わず眉根を顰めた。 部活動が始まったにもかかわらず、終始締まらない顔で、気もそぞろで、チラチラと体育館の時計を盗み見して。(あんなんじゃ、後輩に示しがつかないよ) 一年生の悠真が心配になるくらいに、奏多は心ここにあらず、だ。 きっとこのあと、好きな人に会うからだ、と悠真は直感した。 悔しい。彼にあんな顔をさせるのは、一体誰なのか。 先日キスマを残した相手かと思うとい...

  • 遠回りの恋 14 溢れた想い

    澤田に快楽を与えられて。 悠真に安らぎを覚えて。 両極端な優しさに甘えて、いつかこの切ない想いが消滅すればいいのに。 松本と梨花の結婚式まで、あと一月と迫ったある日のことだった。 スマホに松本からのメッセージが届いていた。【奏多、食事に行かないか】 一方的に絶交状態のこの半年間、粘り強く彼からのメールは届いていた。 ことごとく無視していたにもかかわらず、奏多は決して着信拒否にはしなかった。 それ...

  • 遠回りの恋 13 夢のようなひととき

    奏多は決して女性っぽい容姿ではない。 美人だが、身体は骨ばっているし、仕種も言葉遣いも荒いし、どこからどう見ても男だ。 どうして男の彼を好きなのだろう、と悠真はたまに考える。 無理やり理由付けをするとすれば、彼の時折見せる、切なげな表情に囚われてしまったのかもしれない。 しかしそれは考えても詮ないことだ。 悠真は、どうあがいても、奏多を好きなのだから。(あなたにそんな顔をさせているのは、一体だれ...

  • 遠回りの恋 12 それぞれの片思い

    打ち上げが終わると、奏多は早々に家路についた。 悠真から注がれる疑惑の視線に耐えられない。 再び彼に捕まって、キスマークの真相を尋問されたくなかった。 前日外泊して疲れ切っていた奏多には、彼を適当にあしらうことすら面倒だった。 それでも帰宅して、自室に飛び込むやいなや、奏多はある人にすぐに電話を入れたのだ。「キスマはルール違反だ!」 通話がつながった途端、奏多が文句を言い放った相手は、言わずも...

  • 遠回りの恋 11 爛れた関係 (※)

    R18表現が入ります。年齢に満たない方、表現が苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。...

  • 遠回りの恋 10 意外な提案 (※)

    R18表現が入ります。年齢に満たない方、表現が苦手な方は閲覧をご遠慮下さい。...

  • 遠回りの恋 09 嫉妬

    「おまえ、尚憲、好きだろ?」(なんで分かった?) 問われてすぐに「違う」と言えば、うまくごまかせたかもしれない。 しかし咄嗟のことにうまく切り返せなくて、目を瞠って澤田を見つめることしかできない。 無言を肯定と受け止めたらしい澤田は「はっ、奏多、本当にわかりやすい。今だって、なんでばれたって思ってるの、見え見えだし?」と呆れたように奏多を揶揄う。「……何のこと、言ってるんすか?」 悔しくて、やっと反...

  • 遠回りの恋 08 暴かれた想い

    夕方、悠真の家を出た奏多は、家の玄関ドアを開けた瞬間、こんなに早く帰宅するのではなかったと、即座に踵を返しそうになった。 玄関のたたきには、明らかに父親のではない男物の靴。 奏多の家は二台分の駐車スペースがあり、そこに父親の車しかないから、あの人が来ていることに気づけなかった。 靴の持ち主は、松本だ。 いつもなら梨花とデートした後、彼女を車で送って立ち寄るのに、今日に限って車じゃないなんてだまし...

  • Days too happy

    大学生。同棲CP。幸せな朝の一コマ。祥平と樹里。初出カプのお話。1話完結。攻めが元ノンケ、受けが無自覚可愛い、という個人的に大好きな組み合わせです。書きかけて途中でやめていた下書きを短編に仕上げて、2年ぶりにようやく日の目を見ることができました。※fujossyで3話に分けて先行掲載しているものと、同じ内容です。...

  • 遠回りの恋 07 優しい彼

    奏多、高校三年生、五月。 新人戦市大会の開催を目前にして、一年生は県大会進出を目指して練習に励んでいる。 土曜日の午前中、体育館にバスケットボールの弾む音と掛け声が響いている。「調子よさそうだな」「ああ、今年はいいとこまで行くんじゃね?」 奏多はコート外から彼らの練習風景を眺めながら、副部長の阿部に話しかけた。 最初十一名だった新入部員は、今は八名。 残るべくして残った彼らは能力もやる気も高いの...

  • 遠回りの恋 06 初めてのお泊り

    奏多の泊まりが決まった途端、松本は腰を据えて飲みだした。 ソファテーブルの上には、飲み干したビール缶が数本転がっているというのに、彼はとうとうワインの封まで切ってしまった。 本当に飲み明かすつもりらしい。「飲むか?」とグラスを差し出され、奏多はブンブンと首を横に振った。「俺、未成年ですから」「見かけによらず、奏多は真面目なんだな」「どういう意味ですか?」 むっとして奏多は松本を睨んだ。「悪い意味...

  • 遠回りの恋 05 強引な彼

    おじさんたちと一緒にバスケなんてやってられるか、と行く前までは正直馬鹿にしていた。 しかし終わってみると、意外にも自分も彼らとの時間を楽しんだことに、奏多は気がついた。 社会人になると体を動かす機会が激減し、思うように体が動かないけれど、ストレス解消にはバスケの運動量はちょうどいいのだと彼らは口を揃えて言っていた。 そうやって謙遜するものの、昔取った杵柄で全員それなりのプレーが出来るのはさすがだ...

  • Rainy Love 01 prologue

    Suddenly a thick cloud came in, and the hand of Akito, who cleans up the table, became dark. Akito looked out of the window. It was cloudy from morning, but finally it began to rain. Afternoon on weekdays. Time zone between lunch and dinner.The small cafe with about 20 seats is almost fully occupied by working office workers and housewives who enjoy chatting. The name of this shop is

  • Rainy Love -Synopsis, Character introduction-

    This work is an English translation of my novel

  • 遠回りの恋 04 姉の婚約者

    居間に通された松本は、促されるままに上座のソファに座っている。 彼の隣に梨花、その向かいに父親、母親が腰を下ろした。 奏多は少しでも彼らと距離をとりたくて、ダイニングテーブルの椅子にしぶしぶ腰掛けた。 離れて座ることでこの場に居たくないアピールをを試みても、両親や梨花はそれに全く気づかないし、耳に入ってくる彼らの会話はどうやっても遮りようがない。 だから聞きたくもない二人の馴れ初めは、嫌でも耳に...

  • 遠回りの恋 03 彼との出会い

    玄関を開けた途端、楽しそうな声が居間から聞こえてきた。 奏多はぐっと眉根を顰めて無言で二階に上がり、乱暴に自室のドアを閉めた。 きっと今の音で、奏多の帰宅が家族に知れただろう。 大きな音を立てるなんて、まるで子どものヒステリーだと、ますます自分に嫌気がさす。 時計は午後七時を指している。 二階にまで届く朗らかで楽しげな声の主は、七歳年の離れた奏多の姉、梨花だ。 彼女は大手製薬会社に営業職として勤...

  • 遠回りの恋 02 一目惚れ

    高校に入学して数日後の放課後、悠真は同クラの友人に誘われて、体育館に足を運んだ。 部活動勧誘のためのデモンストレーションがあるという。 友人はバレー部に興味があるらしい。 体育館の二階に上り、生徒で混雑する隙間からコートを見下ろした。「あ、今からちょうどバスケ部のが始まるみたいだ。古賀、バスケ部に入るんだっけ?」「あー、うん。そのつもりだけど……」 何気なく見下ろしたコートに、その人はいた。 そこ...

  • 遠回りの恋 01 突然の告白

    「す、好きです。俺と、付き合ってください」 氷室奏多。高校三年生に無事進級した、新学期。 まさか男に告られるなんて、考えてもみなかった。 この日の放課後、新入生向けの部活動紹介イベントが開催された。 奏多はバスケ部の部長だ。 彼は一七〇センチという小柄な体ながら、その俊敏性を活かして、ポイントガードの役割を担っている。 素晴らしい技量を持っており、かなり目立つ存在だ。 だが奏多が人目をひくのは、か...

  • 遠回りの恋 あらすじと登場人物

    義兄x義弟。後輩x先輩。選べない恋。高校三年生の氷室奏多は、二つ後輩の古賀悠真に好意を寄せられている。どんなに邪険にしても健気に懐く悠真が気になりつつも、奏多はある男性に決して叶わぬ恋心を抱いていて――。【雨宿りの恋】の主人公、聖人の親友、奏多くんの、揺れる切ない恋物語♪エブリスタで2017/05から大幅に中味を変えて連載中です。2年近くかけて、そろそろ最終回も見えてきたので、1話から少しずつブログに移行してい...

  • お詫び(_ _)

    大変ごぶさたしてます。1/3以来、未更新のまま、2月に入ってしまい、本当に申し訳ありません。本来なら「Dear my devil」の続きを載せたいのですが、それが難しいので、苦肉の策で広告非表示を目的としてこの記事を投稿いたしました。(小説を更新したらこの記事は削除します)...

  • Dear my devil 第3話(04)

    「その……朝比奈さんが、雇ってくれるって言われたのが……社交辞令って、俺、全然気が付かなくて……まじで恥ずかしいっす……」「なんでそう思う」 言ってもいいのだろうか。 ちらりと顔色を伺うと、朝比奈は特に怒っている風でないので、言葉を続けた。「さっき、本当に来たのかって……言ったし……」 朝比奈は無言で真桜をじっと見つめている。 答えがないのが答えだと、真桜は察した。(俺ってほんと頭悪い……) 実はバイトを辞める...

  • Dear my devil 第3話(03)

    ※ ※ ※ 初出社の日。 おそるおそるオフィスの扉を開けた真桜は「あのー、すみませーん……。誰かいませんかー……」と蚊の鳴くような声で伺いを立てた。「誰だ」 てっきり隆祐が出てくるものだと思っていたら、思いがけず厳しい大男(後で神馬という名前だと知るのだが)が応対したものだから、真桜は動揺した。「あ、あの、俺、朝比奈さんに雇ってもらえるって言われて来たんすけど……篠谷って言います……」 男は真桜を見た途端驚...

  • Dear my devil 第3話(02)

    それでもいつ朝比奈が出てきても叱責されないように、社長室を隅々まで清掃している。 せっせと朝の掃除をしていると隆祐がスッキリした様子で戻ってきた。 隆祐は清潔なワイシャツにスラックスに着替えていた。まっとうな会社員に見えないのは、白に近い金髪のせいだろう。 出会いの日、真桜が隆祐をチンピラと思い込んだのは、髪の色よりも、悪趣味な服装のせいだった。 てろんとした紫のシャツに黒のトラウザーという、時...

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