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そしがや読書日記 https://sosigayax.hateblo.jp/

読んだ本のことを書いていきます。好きな作家は、司馬遼太郎、山本周五郎、岡本綺堂、村上春樹などです。

そしがや
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2015/10/11

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  • 英国一家、日本を食べる マイケル・ブース

    日本料理というといま世界的に人気である。 ヘルシーというイメージがあって、どの国でも日本料理店が増えているという。 この旅行記は、英国人のフードライターが一家で日本料理を食べつくした記録である。懐石料理からラーメンまで幅広く日本料理を取り扱ったものである。 著者のマイケル・ブースは、フランスのゴルドン・ブルーという料理学校に通っていたくらいだから、料理には造詣が深い。そんな著者が、北海道から沖縄まで日本料理を食べ歩いたものである。 この本を読んで感じたのは、日本料理の多様性である。一見では入れない高級店からB級グルメまで食べられ、地方によっていろいろなものがある。ラーメンだって、札幌と博多では…

  • 旗本の経済学 小松重男

    お庭番だった川村修富の手留帳(日記)をもとにして彼の人生を追ったものである。 時代劇の影響で、お庭番というと何か忍者のイメージがあるが、実際は、幕府の役人の一人である。だから、スーパーマン的な活躍が無論あるわけでもなく、淡々と事務をこなして出世していく侍の姿が描かれる。それは、現代で言えば、国家公務員が入所してある程度の地位を得て、退職する姿にも似ている。 お庭番の家の次男に生まれ、普通なら部屋住みの厄介叔父で終わってしまうのに、新たに召しだされるところから日記は始まる。新規召しだしは、江戸時代の武家には珍しいことだから、よっぽど優秀な若者だったにちがいない。最初は、兄の家に住み、妻もそこで迎…

  • ぼくは猟師になった 千松信也

    「りょうし」というと魚を獲る漁師のほうを思い浮かべる人が多いにちがいない。 わたしもそうであった。だが、この本の著者は、山中のイノシシやシカを罠で獲る猟師である。なんか猟師というと、いまどき猟師なんかやっている人がいるのかな、という半信半疑な気持ちで読んだ。 だが、この本によると有名国立大学を卒業し、猟師に魅かれ、運送会社に勤めながら、冬場の狩猟期にしているということである。なんかしっかりしているなあ、という印象だ。それに具体的に猟のやり方や肉の裁き方が書かれていて面白い。子供のころに読んだロビンソン漂流記や15少年漂流記を読んで、わくわくしたころのことを思い出した。暖房が薪ストーブで周りの倒…

  • 健康に生きる覚悟 森村誠一

    ここしばらくは、森村誠一の小説をずっと読んでいる。 そんな中、小説以外のものも読んでみた。「健康に生きる覚悟」という高齢者になった作者自身の健康管理の本である。 高齢者による健康管理の本は、いろいろあり、今までも何冊も読んだことはあるから、あまり目新しさはない。内容も今までの類書に書かれたものと大差はない。ただ作家である著者の表現は、さすが48年も現役の作家でやってきたということで、読ませるものである。一晩で読んでしまった。 例えば、老後は、「余生」(余った生)ではなく、「誉生」(誉ある生)にしなくてはいけないとか。便利さになれてしまう「便奴」になっては、だめだとか。ユニークが言い回しが多く、…

  • 考証要集 秘伝 NHK時代考証資料 大森洋平

    時代考証の本である。 時代考証というと江戸期以前のものという印象があるが、昭和の戦争期のもののように比較的最近のものもある。NHKの時代考証の担当者の書いた職員向けのものがベースになっている。 これを読むと江戸時代のものが一番多いが、現在使っている言葉が比較的最近のものだということに驚かされる。例えば、「遺体」とか「印象」といった言葉が現代語だということがわかる。明治期以降に大量に生まれた漢語である。ほかに有名な例だと、「演説」も今の意味で使うようになったのは、福沢諭吉の発案だという。 確かに江戸期が舞台のドラマで以上のような言葉が出てきたら、ちょっと違和感を感じるかもしれない。だが、反面、「…

  • 退職金貧乏 塚崎公義

    退職金貧乏というネーミングが読んでみるきっかけになった。 なかなか読者をひきつけるタイトルである。内容はというと、退職金を減らさないための運用術とでもいった内容だ。読んでいると、今までの類似の資金運用の本と基本的には、内容はそんなに変わらない。 ただいくつか私の考えるところと違う点があるので、それを挙げてみたい。 例えば、公的年金の受給年齢をできるだけ遅くする、ということだ。これに関しては、いろいろ異論があるだろう。私自身も年金の受給年齢は、本来の年齢で受け取りたいと考えている。今現在の平均余命からすると65歳で受け取る公的年金を70歳で受け取った方が、統計的にいうと得だというものだ。確かにそ…

  • 人間の証明 森村誠一

    森村誠一の小説である。作家生活50周年フェアで刊行されたものである。 いまは、作家としてデビューするチャンスは、いろいろと多いから、作家になることは、簡単だが、あり続けることは難しいといわれている。そんな中50年も第一線の作家であったということは、大変なことだ。才能もあるだろうが、日々の努力もあっただろう。 また、大分前に角川映画で映画化されたことがあり、そのときの大々的な宣伝の記憶はあるのだが、実際に小説を読んだのは、今回が始めてである。 長い長編だが、一気に読むことができた。読んだ最初の感想は、松本清張の「0の焦点」に似ているな、ということだ。第二次世界大戦後の米軍占領時の因縁が犯罪の元に…

  • 坂本龍馬の「私の履歴書」 八幡和郎

    坂本龍馬といえば、幕末でももっとも有名な人物のひとりである。 いろいろな本が書かれているが、この本は、この虚像の多い人物の実像に迫ったものである。履歴書風に年代に沿って、真実の龍馬を確実な資料で追っていったものである。ただ、龍馬英雄史観に反する、こういう視点の本は、無数に書かれているので、正直あまり新鮮さはない。だが、年代順に描かれているので、虚像の部分と真実の部分とが整理されることは間違いない。 このような本を読むたびに思うことは、司馬遼太郎の「竜馬がいく」の影響の大きさである。すべてはここから始まったといってもいいだろう。この本がなければ、龍馬を英雄視する風潮もなかっただろうし、逆にアンチ…

  • 色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年 村上春樹

    村上春樹の一番新しい長編である。もう二年近く前に出版されているが、図書館の予約の順番を待っていたので、こんな時期になってしまったのだ。 読んでみると相変わらず、面白い。一晩で一気に読んでしまった。高校時代の四人の友人から付き合いを断られた理由を探るという出だしである。本人は、その理由がわからず、死をも考えたほどである。最初から引き込まれてしまった。 村上春樹は、初期の「風の音を聞け」からずっと読んでいるが、途中からは、ストーリーの面白さに引かれて、読み続けている。物語を作るうまさをいつも感じてしまう。ストーリーテラーであろう。ジャンルとしては、彼は、純文学になるようだが、エンターテイメントの分…

  • 女のいない男たち 村上春樹

    東京奇譚集以来の短編集である。 珍しく書いてある「まえがき」をみるとビートルズのサージェントペパーやビーチボーイズのペットサウンドのようなコンセプトアルバムを念頭に置いたとあった。だから「ドライブ・マイ・カー」とか「イエスターデイ」といったタイトルがあったのか、と推測した。 だったら、全編ビートルズやビーチボーイズの曲のタイトルにしてほしかった。二つのグループの曲には、他の短編のタイトルにぴったりのものは無数にある。例えば、ビートルズなら「イン・マイ・ライフ」とか「テル・ミー・ホワイ」とかいくらでもある。ビーチボーイズも同じだ。 さて、この作品集の中で一番気に入ったのは、正直悩むけど、「シェエ…

  • 遊郭医光蘭闇捌き1 土橋章宏

    暗い過去を持ち、医者をしている主人公が、吉原界隈で起きる事件解決を手伝うという物語だ。 何かテレビでやっていた必殺仕事人的な物語である。そういう意味では、既視感のあるものなので、あまり新鮮味を感じられないかもしれない。 だが、結構物語の展開に意外性があって、楽しめる。花魁が雪隠で斬られたり、やはり花魁が爆発したり、と面白い。何かテレビ的でその映像が浮かんでくる。 書店に行くとこのような文庫書き下ろしの時代物が多数平積みになっている。これもその中の一つだが、他の作品との違いを出すのは大変だろう。読者は、そういう時代物に慣れた層だろうから、時代物のベースは守りつつ、新しさを出さなくてはいけない。 …

  • 西周夫人升子の日記 川嶋保良

    西周というと幕末期から明治の人でいくつかの西洋の概念を翻訳したことでしか知らなかった。 例としては、芸術、理性、科学、技術などである。明治期にそういった今までになかった概念を日本語に翻訳できたから日本が発展できたというのはよく言われることである。日本では、その後学問をするときには、日本語だけでできるようになった。当たり前のことのように思えるが、他のアジアやアフリカの国では西洋語でしか学問はできないという。だから日本人の英語ができないのはむしろ誇るべきではないか、ということを耳にしたこともある。実は、わたしも同感である。といって、英語の勉強をしなくていいということではないが。 西周については、そ…

  • 天下の副将軍 長山靖生

    天下の副将軍というと水戸黄門を思い出す人が多いだろう。 だが、幕府の役職には副将軍というのはなくて、副将軍というイメージが定着したのは、江戸の中期だという。御三家とは言われながら、尾張、紀州に比べ、石高が少なかった水戸は、将軍を狙わない代わりに、副将軍という立場になり、キングメーカーとしての地位を得たようだ。8代将軍選びのときに、その地位が固まった。 水戸というと黄門として有名な光圀のほか、名の知られた藩主としては、幕末の斉昭がいる。実際他の藩主は、ほとんど知られていない。この本もこの二人を中心に書かれている。 幕末に興味があるので、幕末当初は、活躍していた水戸藩が途中からすっかり歴史の動きか…

  • 日本史の謎は「地形」で解ける 竹村公太郎

    歴史の本を読むのは好きだが、英雄史観とでもいうのだろうか、歴史上の人物にスポットライトを当てたものがほとんどである。 戦国時代も幕末もそうだ。そういう本は、読んでいて本当に楽しい。 だが、今回の本は、歴史というのは、地形という環境から影響を受けているというものだ。以前、ジャレッド・ダイアモンドの「銃・病原菌・鉄」を読んだときに感じた、環境が大事だというこということに似ていると思った。 この本は、日本史の歴史上の出来事を地形という面から分析したものである。関が原の勝利のあと家康はなぜすぐ江戸に戻ったかとか等、面白いテーマが詰まっている。無論、なるほどと納得できるものもあるが、ちょっと眉唾と感じる…

  • 軍師の境遇 松本清張

    以前大河ドラマでやっている黒田官兵衛を主人公とした物語である。 松本清張まで黒田官兵衛の小説を書いているとは思わなかった。推理小説だけでなく、歴史ものも得意の松本清張だから書いていてもおかしくはないのだが、それだけ黒田官兵衛は、松本清張にとっても魅力的な人物だったのだろう。 播州御着の小寺政職の家老だったころから始まり、織田方に付き、秀吉の軍師になり、山崎の合戦で明智光秀を打ち破ったあたりで、小説は終わっている。中には、小寺政職の娘との淡い思いも描かれていて、フィクションとしても面白い。 大河ドラマが始まる前は、黒田官兵衛のイメージは、ダークなもので、正直あまりいいものではなかった。だが、大河…

  • 潮鳴り 葉室麟

    葉室麟の小説を読むのは、初めてである。九州の小藩の藩士の物語である。藩校でも優秀で剣の腕にも優れていたが、勘定方に勤めていたときに仕事のことでしくじり、弟に家督を譲り、漁師小屋に寝泊りするまでに落ちぶれてしまった男の話である。結果はハッピーエンドになるのだが、何か一昔風の時代物を読んだような気がした。別に悪く言っているのではなく、ほめ言葉である。一気に読んだ。面白いのだ。予定調和的なストーリー展開には、安心感がある。エンターテインメントとしての時代劇の魅力は、その結末がわかっているのを知りながら、その過程の物語の面白さを楽しむところにある。いまは、テレビでは、もう時代物の放送は少なくなったが、…

  • 臆病者のための億万長者入門 橘玲

    橘玲の本は、何冊か読んでいる。 お金に関したものが多いが、読むと作者独特の言い方に引かれる。この本でもそんな作者の言い方は健在である。 たとえば、「宝くじは、愚か者に課せられた税金」とか「不幸の宝くじ、生命保険」とか。宝くじを金融商品としてみると、「宝くじの購入には、リスクがあります。1等の当選確率は、1000万分の1で宝くじは毎回3万円分、0歳から100歳まで購入したとしても99.9%の購入者は生涯当選することはありません」「宝くじには、購入代金に対して50%の手数料がかかります、等々」金融商品取引法の理念に照らすとリスクとコストを以上のような文面ではっきり書く必要があると作者は、言っている…

  • 今古探偵十話 岡本綺堂

    岡本綺堂は、好きな作家で半七捕物帳はよく読んでいる。 推理ものとしては偶然性に頼り、どうかと思う部分はあるが、江戸情緒は、昨今の時代物では、味わえないもので、当時の雰囲気が出ているので、何度も読んでしまう。 さて、今回は、そんな岡本綺堂の探偵小説をまとめた短編集を読んだ。今まで岡本綺堂の小説は、ほとんど読んだつもりでいたが、ほとんど今まで読んだことのない短編が並んだ。時代も戦国時代から現代まで、と言っても大正時代に出版されているので、平成の世に生きる今の読者にとっては、現代ではないだろうが。 探偵ものといっているが、物語は、ほとんどが動物による怪異談が多い。それは半七捕物帳でも同じだった。この…

  • 朝鮮戦争論 忘れられたジェノサイド ブルース・カミングス

    朝鮮戦争に関して書かれた本はいろいろあるが、アメリカ人によって書かれたアメリカ人のための本だと序で著者は語っている。 朝鮮戦争は、第二次世界大戦やその後のベトナム戦争に比べても印象が薄くて、アメリカ人にとっては、忘れられた戦争だと思われているようだ。だが、実際には、推定300万人もの命が失われた戦争であって、現在まで戦争は終結していなくて、単に休戦しているだけである。 国連側に立てば、共産側の残虐行為がアメリカを中心とした国連介入の理由になっているが、実際には、韓国側による残虐行為も共産側以上にあったようだと著者は、いくつかのエピソードを紹介している。この本では、主に韓国側からの資料によって、…

  • 皇帝フリードリッヒ二世の生涯 塩野七生

    塩野七生の本は大体読んできた。 あの長い「ローマ人の物語」全15巻も読んだ。なぜ読み続けてきたかと言えば、自分の歴史好きということが一番大きいだろう。普段は、日本史の本を読むことが多いが、彼女の著作は、見知らぬ国の歴史を書いたものでも何か違和感なく読めるのだ。外国の歴史ものだと何か、読みにくさを感じてしまうのだが、塩野七生の本には、それを感じることはまずない。何か日本史の本を読んでいるのと同じような感覚で読めるのだ。それは、日本人の読者に読みやすいように基本的なことを説明しながら書いてあるということが大きいかもしれない。 今回読んだのは、神聖ローマ帝国皇帝でシチリアの王でもあったフリードリッヒ…

  • 落花は枝に還らずとも 会津藩士・秋月悌次郎 中村彰彦

    秋月悌次郎といってもほとんど知られていないのではないか。私も以前大河ドラマを見て、司馬遼太郎の歴史エッセイの中で取り上げられていたのをどうにか思い出したくらいだ。幕末には、いろいろな有名人がいるが、会津藩というと藩主の松平容保が一番知られていて、会津藩本体よりも新撰組の方が幕末ファンには、なじみがあると思う。そんな秋月悌次郎を主人公にした中村彰彦の本を読んだ。司馬遼太郎のエッセイでは、京都での公用方(諸藩との対外関係を扱う外交官)に彼が抜擢されたのは、会津藩には珍しく、幕府の昌平坂学問所に長年在籍していて、他の西国の諸藩では当たり前の他藩との交友関係が秋月にあったからだと書かれていた。この小説…

  • ビブリア古書堂の事件手帖5 栞子さんと繋がりの時 三上 延

    最初にこのシリーズの第1作を読んだときには、古書をめぐる謎解きということですごく新鮮だったことを覚えている。 ミステリーというと殺人事件が起きなくてはいけないというイメージを持っていたので、古書を題材にした、殺人事件の起きないミステリーということで面白く読んだ。 そして、このシリーズも第5作になった。主人公の二人の恋愛関係もかなり進んでいて、二人の恋愛模様もストーリー上の面白さになっている。だが、ずっと読んできた読者としては、あくまでも探偵と助手という関係のままでいてほしいという気もする。シャーロックホームズとワトソンのように友情関係のままでいてほしいのだ。何か恋愛が進行してしまうと読者として…

  • 実践 日本人の英語 マーク・ピーターセン

    英語の学習は、日本人にとっては、永遠の課題のようである。 英会話学校の看板は、どこに行っても目に付くし、相変わらず、英語が話せるとカッコいいと思っている日本人は、多い。その割には、英語のうまい日本人は、以前と比べて多くなったとは思えない。 そんな中、「実践 日本人の英語」を読んだ。 マーク・ピターセンの本は、これが最初ではない。 「日本人の英語」が最初である。 そのときは、月並みな言い方だが、目からうろこが落ちた気がした。 一つ一つにエピソードが新鮮だったのだ。 それに著者の日本語が実にうまい。 今回の本も、そんな著者の本で、最初の本を読んだときの新鮮さを感じた。 最初のエピソードは、MY F…

  • 刑務所わず 堀江貴文

    獄中ものである。 獄中ものは、好きで佐藤優や山本譲治のものも読んだことがある。子供のころには、モンテクリスト伯が面白かった記憶がある。 なぜ獄中ものに惹かれるのだろうか。絶対に自分が体験することのない世界を垣間見ることができるのが、その理由かもしれない。だが、著者に言わせれば、ちょっとした間違いで誰でも経験するかもしれないと書いている。 これは、まさに著者の本当の気持ちであろう。 刑務所なんかに入るとは、思っていなかったにちがいないのだから。 「刑務所わず」は、刑務所シリーズの第3作目である。 1,2作とも読んできて、面白かったので、楽しみにしていた。本の形式は、今までと同じで文章の間に漫画が…

  • 虚像の道化師 ガリレオ7 東野圭吾

    ガリレオシリーズの短編集である。 テレビでも小説でも楽しんでいる。今回のシリーズを読んでいて、以前放映していたのと内容が同じだと気がついた。ただテレビと小説とは内容が多少違うのはやむをえない。小説とテレビとは違うものだと思っているので、それについてとやかく言うつもりはない。たとえば、テレビでは、ほとんど大学時代の友人の草薙が出てこないとか。 小説にはない、女性の刑事が登場するとか。 小説は、小説として楽しめればいいと考えている。推理小説の基本どおり、突拍子もない非現実的な事件が起きて、それをガリレオが解決するという設定は、とても面白い。松本清張ふうのリアリズムとは別の世界である。これが実に楽し…

  • 小栗上野介忠順と幕末維新 「小栗日記」を読む 高橋敏

    小栗上野介といえば幕末時において、幕府の主戦派として、有名である。 勝海舟などの恭順派からは嫌われていたが、横須賀造船所創設を決意したり、幕府を最後まで支えようという姿は評価されている。 彼の成し遂げたものが維新後に明治政府の発展に役立ったものも多い。 今回、小栗日記が発見されたということでそれを元に小栗上野介に新しい光を当てようというものである。この本を読むと能吏であったことは間違いない。 何度も罷免されながらまた復活している。 はっきりと物事を言うから嫌われてしまうが、仕事が出来るからまた声が掛かるといった具合のようである。 だが、上司である最後の将軍慶喜とは、相性がわるかったようで、最後…

  • 持たない暮らし 金子由紀子

    いつの間にか部屋の中に物があふれる生活を送っていると、いつかは捨てなくてはと思うのだが、なかなか捨てられないのが現実である。 そんな中、いろいろな「捨てる」ことのアドバイスの本があるが、これもその中の一冊である。確かに読んでみると、なるほどと思う点は、ある。 たとえば、冠婚葬祭用は除いて、一年間着なかった服は、もう着ることはない。 だから処分した方がいいとか。 日本の家が物であふれているのは、和洋の生活をしているので、二重に物が必要だからとか。 捨てることにもダイエットと同じようにリバウンドがあるから、一端捨てたら、また物が増えないすることが大切だとか。 だが、反面、物があふれているのが、悪い…

  • 江戸300年「普通の武士」はこう生きた 八幡和郎 臼井嘉法

    武士というと特別の倫理観を持った人間のように思われるが、小説等で描かれる武士は、特別な存在であろう。 実際の武士は、やはり現代人と同じ生身の人間だったことは、間違いない。 小説やドラマで描かれる武士像は、ある意味では、ファンタジーの主人公である。剣豪だとスーパーマンのようでけして負けることはない。戦いに望んでは、けして逃げることはないし、主君のためには命をも捧げる。 だが、現実は、そうではなかった。江戸時代は、斬りあいなんて、めったになかったというし、戦いでも負け戦になれば、逃げるものが続出したという。誰もが、よく考えれば、それが当たり前だと思うのだが、昔の話だと何となく特別の武士像を持ってし…

  • もう一つの維新史ー長崎・大村藩の場合ー 外山幹夫

    幕末期の諸藩の動きというのは、いろいろ興味深いが、この本の舞台になった大村藩は、よくドラマや映画の幕末ものに出てくる薩摩藩、長州藩に比べるとなじみがないものでしょう。だが、この本によると尊王派と佐幕派との争いが大村という2万7千石の小藩を震撼させたことが描かれています。 それは、イデオロギーの争いだけではなく、私怨も混ざったものだというのが、この作者の書きたいところです。尊王派の中心は、渡辺昇で、この物語の主人公でもあります。 剣客としても有名で、維新後は大阪府知事にもなった人物です。この本も彼を中心に進行します。 しかし、注意しなければならないのは、渡辺昇に対しての作者の見方が少し偏っている…

  • 三屋清左衛門残日録 藤沢周平

    以前、ヤフーブログで読書日記を書いていたが、中断したままになっていた。 いつか再開したいと思っていたが、今回、はてなブログで再開することができた。 まずは、時代物の古典の三屋清左衛門残日録から。 時代小説の主人公には、なかなか老人はなりにくいものだが、この小説の主人公は、隠居した老人である。 老人といっても五十二だから、今の感覚でいれば、老人ではないだろう。 だが四十が初老と言われた江戸時代では、すっかり老人である。 用人という役職までに上り詰め、世間的には、出世したと言われているが、主人公の心は何か満たされない。 そんな主人公の物語である。 ある地方の小藩で起きるいろいろな出来事を元用人の清…

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