夏目漱石と修行僧
漱石は最晩年、大正三年から五年にかけて神戸の祥福寺僧堂の雲水(修行僧)二人と付き合いがありました。そのきっかけは鬼村元成が漱石に『吾輩は猫である』を読んで手紙を書いたことからでした。そのときの漱石の返事にこのようにあります。.あなたが私の本をよんで下さるのは私にとって有難いことです。私はお礼を申し上げます。薮の中で猫をよんだという事は可笑しいです。あなた方の修行の方から見たら余計な小説などをよむと定めて叱られるでしょう。まあ叱られない程度で御やめなさい。私はあなたの手紙を下さるのを読みたいと思います。夫れから私はあなたが将来座禅を勉強して立派な師家になられん事を希望します。.漱石は修行僧鬼村元成に俳句の指導をしました。「まきを割るかはた祖を割るか秋の空」でこのように手紙を書きました。.禅が鼻についているで...夏目漱石と修行僧
2025/03/10 12:13