知人と会って、別れる際に、「また、会いましょう」「また、会おうね」などと互いに口にすることがある。「また」と言っても、たいていは次に会う日程を具体的に決めたりしない。「また」がいつになるかは分からないけれど、「また」と言っておくことで、人間関係を継続することに互いに合意しているのだと思う。ペク・スリン著、カン・バンファ訳「夏のヴィラ」(書肆侃侃房)に収められている短編小説「時間の軌跡」は、主人公の私の視点から、年上の女性の友人「オンニ」との人間関係の変化を描いた作品だ。主人公の私は30歳の手前で会社を辞め、学生時代から夢だった美術史を学ぼうと考えて、フランスのパリに来ていた。一方、オンニは企業の駐在員としてパリに来ており、2人はパリの語学学校で同じクラスで学んでいた。私は、韓国人の生徒は自分とオンニだけで...「また、会いましょう」と言いながら「もう、会わないだろう」と思う