花弁と亡霊
春の嵐は、遠くから桜の花弁を運んで来た。おはようございます。強風から逃げるように足早に社内へ向かう途中、水溜まりに、小さな花弁が3枚落ちているのを見つけた。私の勤める会社の近くには、桜の木は見当たらない。「ああ、川沿いに桜の木があったはずだ。あんな遠くから、風に飛ばされてきたのか。」せっかく花が咲いたというのに、風は何を怒っているのやら。私は、私の髪をもぐしゃぐしゃにする風が憎らしくなって、見えぬ風を睨んでやろうと目を見開いた。すると、小さな花弁が、荒れ狂う風をからかうように、ひらりひらりと舞っているじゃないか。春の花は、なんとしたたかなのだろう。実家のかずこも、春の嵐だ。芽時枯れ時は、精神的に不安定になる。特に認知症を患う人は影響を受けやすい。爽やかな朝だというのに、起き抜けに、「お前も、ジジィも、ぶち...花弁と亡霊
2024/04/12 06:56