searchカテゴリー選択
chevron_left

カテゴリーを選択しなおす

cancel
プロフィール PROFILE

星鼠さんのプロフィール

住所
未設定
出身
未設定

自由文未設定

ブログタイトル
星砂糖
ブログURL
http://sirukyway.blog.fc2.com/
ブログ紹介文
BL小説ブログです。長編。18禁要素入りますが、ストーリー重視です。
更新頻度(1年)

128回 / 365日(平均2.5回/週)

ブログ村参加:2015/05/18

本日のランキング(IN)
読者になる

新機能の「ブログリーダー」を活用して、星鼠さんの読者になりませんか?

ハンドル名
星鼠さん
ブログタイトル
星砂糖
更新頻度
128回 / 365日(平均2.5回/週)
読者になる
星砂糖

星鼠さんの新着記事

1件〜30件

  • 空遠く 30

    風呂を沸かし、治平は善男に入るよう言った。その間に戸津家から電話があったらしい。「熱を出したと断っておいたぞ」昼食の卓で父親はそう告げた。異存はない。こんな状態で行けるわけがない。食欲もなかったが、一口運ぶと、また次へと箸は進んだ。性欲だけではない。自分の肉体は本能に忠実なのだと善男は思う。「宇三次は お前に執心だな」「しゅうしん?」「戸津の旦那から聞いた。お前 宇三公と同じ高校に行きたいんだって...

  • 空遠く 29

    「な……ん 何だ それは」「紐だ。最初の頃 痛がって暴れたから使った」善男は揺れる紐の先を見る。催眠術に掛けられたように、知らない筈の光景が朧ろに脳裏に浮かぶ。「縛りつけて 無理矢理……?」「そん時はな。けど 今日は違うぞ」「違う 何が」「縛るのは お前のためだ。俺に弄られても お前がどうにもならんかったら ま 考えてみてやってもええ。けど暴れられて俺の好きに出来んかったら 賭けにならんだろ。じっとし...

  • 空遠く 28

    やっと正気に戻ったが、そこに待っていたのは狂気だった。善男は暴れる。上にいるのは父親ではなく、やはり鬼だ。父親の姿をした鬼だ。だが今は真昼で。自分は何も悪い事はしていない。「じきによくなる。知ってるだろ」「知らん! 知らない 知らない お前は誰だ」「おいおい」それでもまだ余裕が残っていたのか、治平は善男の身体から降りた。善男が飛び起きると、その腕を掴んだ。「逃がさんぞ」「離せ! お前は誰だ 何者だ...

  • 空遠く 27

    理由もなく夕食を残せば、鬼が出る。食べものを粗末にしてはいけない。善男は無理に口に押し込み飲み下す。味も分からないが「美味しい」と父に言う。「戸津んとこの車に乗っけて来て貰ったってな」「うん」「兄弟そろって級長とは さすが戸津の子だな」「うん」「宇三はお前の何が気に入ってんだか」「幼馴染の腐れ縁」「それだけか」「知らねえよ。宇三次はいい奴だから」父親は「さてな」と茶を啜る。片づけを済ませ風呂に入っ...

  • 空遠く 26

    城戸の目が逸れ、宇三次の肩の力が抜けた。宇三次が鎮火されたのを察し、善男も手を離した。教室内の空気を貢の声が一掃した。「荷物全部持って来ちゃったぜ? 広げたまんま どこ消えたかと」「悪ぃ すぐ戻るつもりでさ」動揺は消えていなかったが、貢と調子を合わせれば何とかなった。近づいて行って自分の鞄を受け取ろうと手を差し出す。「善男が見つかったんなら すぐ教えてくれたらよかったのに」 貢は兄に言う。それから...

  • 空遠く 25

    切ない喘ぎが雄叫びとなり、指揮者がタクトを揮ったように、ぴたりと止まる。数秒の後、善男は嗚咽めいた息を吐き、高野は荒く肩を上下させる。「おま…… やっぱ……」 呼吸が整うのを待てず、高野は言う。「お前ら やっぱ……」善男はただ混乱するのみで、何も分からない。何をされたかも。自分の身体に何が起きたかも。「お前と 戸津 やって ……ずっと やって」「何を」 掠れて声になっていなかったが、言葉で伝える必要もなか...

  • 空遠く 24

    二学期最後の委員会の日だった。図書館の隅に場所を確保すると、勉強道具を広げる。宿題を片づけた後、その日宇三次から受け取った課題を教室に忘れた事に気づく。億劫だが、残り時間を無駄に過ごすわけにもいかない。荷物はそのままに、教室に取りに行った。廊下にひと気はなく、ひっそりと静まり返っていた。馴れた場所なのによそよそしい。夕暮れの校舎は陽が落ちる前から仄暗い。身震いする。それを寒さのせいにして、勢いよく...

  • 空遠く 23

    宇三次はずっと級長を務めていたが、後期になって貢も級長に選ばれた。「仮」に指名され、そのまま続けていた生徒に代わって、である。貢は「なんで俺が」と面倒臭がったが、善男は尤もだと思い、誇りにも思った。そう言っても貢の顔は晴れない。委員会がある日は、貢が善男とふたりで下校できる日でもあった。それがなくなってしまう。ぽそりと溢した愚痴を、善男は可愛いと思う。だが級長として教壇に立てば、兄の宇三次と同じよ...

  • 空遠く 22

    『怒ってるのか』宇三次がノートの端にそう書きつけ、善男の方に差し出した。帰り道の小さな諍いの後、なんとなくよそよそしい。善男が最後に貢に言った事は、後になって考えれば皮肉だった。口にした時、善男の中に宇三次への不満があった事は確かだ。形にならないもどかしい何か。相手に突きつける事の出来ない、何か。それ以前からも、善男の中に鬱々と溜まっているものがあった。手を繋いでもいないのに、何かが堆積していく。...

  • 空遠く 21

    運動部の地区予選が終わり、修学旅行が終わると本格的に受験生となる。自分が頑張るだけ他人も頑張る。順位を上げたいならば他人の倍、それ以上やらなければ。宇三次はそう善男を叱咤する。登下校の間も無駄にしない。英単語を呪文のように口にする。貢が邪魔をする。「受験は己れを鍛え 学力を向上させる またとない機会なんだ。お前もよく見ておくんだ。現状に満足する奴に未来はないぞ」宇三次は弟に言う。貢は言い返す。「今...

  • 空遠く 20

    残り少ない三学期の日々を惜しむように、ふたりは手を繋いだ。立ち止まる事や向き合う事はなかったが、握り直したり指を絡め合う事は、時々あった。その度に善男は息苦しさと、身体のどこか分からない箇所に痛みを覚えた。何日か続くと、自分の中に何かが溜まる。善男はそれを鬼に委ねる。鬼の処罰は、つまり人を浄化する事だ。自ら納戸に入る事は、懺悔するように赦しを求める事だった。鬼は善男の業を吸い上げ、罰を与え、そして...

  • 空遠く 19

    その日、善男は自ら鬼を求めた。わざと父の怒りを買い、納戸に閉じ込められる事を選んだ。自分の中に、自分では見極められない何か、それがよくないものという事だけが分かる何か、が湧き出るのを感じたからだ。鬼に罰せられるには充分だ、と善男は思った。そうされないと自分は救われない、とも思った。納戸に入ると自ら服を脱ぎ、全裸になって床に横たわった。生贄のように四肢を広げ、目を閉じて待つ。自分の判断は間違っていな...

  • 空遠く 18

    何がきっかけになる、という事ではなかった。気づくと手を繋いでいた。どちらかが疲れていたんだろうなと、後から思う。自分が疲れていた日も逆の時も、手を繋ぐと身体は軽くなった。靴底を誰かが押し上げてくれるような、浮いた気持ちに変わるのだ。秋風が冷たくなり互いに手袋を着用する。無意識に繋いでしまうのだから、最初はそのまま握り合っていた。だがやはり感触が悪い。善男は自分のごわごわの毛糸の手袋を片方脱いだ。す...

  • 空遠く 17

    善男は宇三次に向かって、そっと手を差し伸べた。宇三次は善男の顔に、その意図を探す。葬儀の後、最初の登校日だった。通夜には善男も参列したが、葬儀には出なかった。恭二の会社関係の人間が多く来るとの事だったので、控えたのだ。下校後、戸津家に行った。手伝いの女が出て、応対した。夜遅くなる、と言う。善男は諦めて家に帰った。通夜の時は顔を見るだけだった。会話らしい会話をするのは、宇三次が母を喪ってから、その日...

  • 空遠く 16

    「あれは人じゃない」「え?」「あなた は 彼方。山のはるか向こう とでも」善男が「山のあなた って誰なんだろう」と呟いた返事だった。キャンプの夜に教師が朗読した最後の詩の言葉が頭に浮かんだのだ。「山のあなたの空遠く……」 宇三次はその詩を暗唱した。すごいと善男は感嘆する。「有名な詩だ」 善男の賞賛を打ち消して言った。「でも俺は知らんかった」 「貸した本の中に詩集はなかったからね」善男の無知を、自分の...

  • 空遠く 15

    もやもやした気分は晴れなかった。それまでは宇三次の断言を聞けばどんな事も解決できた。今回もそうすればいいだけの事だった。個人差だ。その一言で終わらせればいい。だが、ずり下げられた水着の感触は脚から消えず、いじられた乳首はいつまでもむず痒かった。うっかり、茶をこぼした。夕食後、父親は黙って納戸を指差した。たかがそれぐらいで。小さな反発が胸の奥に閃いたが、善男は従った。自分は違う。違って当たり前だ。鬼...

  • 空遠く 14

    善男のクラスも点呼をとり、プールに移動する。太刀掛と四郎丸が、いたわるように善男の両側に寄り添った。援けられなくてごめんという思いが、触れ合う腕から伝わって来る。善男は、まだ何が起きたのか分かっていなかった。いじめまがいの仕打ちを受けた衝撃より、城戸らの言動への疑問の方が強かった。「俺 よく 分からんのだけど」「俺も」 太刀掛と四郎丸が口を揃える。その外側から声が入った。「村っ子をやり込める機会を...

  • 空遠く 13

    その年もプール開きの時期になった。村にプールなどなかったから、中学生になるまで川遊びしか知らなかった。しかし自己流のフォームでも息の長い善男は誰よりも速く長く泳げた。学校で、授業中に水遊びが出来るのは嬉しい。荷物は増えるが、意気揚々と登校した。放課に入ると女子生徒だけ更衣室に移動し、男子はそのまま教室で着替えを始める。男ばかりの気安さで皆、無防備に制服を脱ぎ捨てる。着替えを終えた者は、待ちきれない...

  • 空遠く 12

    声の掠れが消えても、もとの声に戻っただけの気がした。一足飛びに大人にはなれないらしい。鬼は相変わらず善男の生活を脅かしていた。年が明けても、二年生に進級しても。「危ない」 宇三次の手が伸びた。善男が段差を踏み外し転びそうになったのだ。宇三次が支え、止めた。「ごめん」 前夜、また鬼が出た。時々脚から力が抜ける。善男は体勢を整えると宇三次から離れようとした。だが善男の腕を下から握ったまま、宇三次は坂を...

  • 空遠く 11

    夏の間、鬼は出なかった。和人が訪問する。酒と肴を持参し治平と呑み交わして泊まっていく。善男は課題で分からない箇所を教えてもらう。机の前に貼った計画表を、和人は褒めてくれた。宇三次から本を借りて読んでいると告げたら、それも褒めた。「俺も 何か貸すかな」「今度来る時 持って来てよ」和人は善男を見る。その眼差しが何を意味しているのか、善男には分からない。どうかな。和人は確約をしない。結局和人はその後一度...

  • 空遠く 10

    だから無理なんだ。善男は口の中で何度も叫ぶ。宇三次のように なんて。和人おじさんのように なんて。終業式、初めての「成績表」を貰う。決して悪くはなかったが、宇三次には遠く及ばない。宇三次はその事実を吹聴したりはしないのに、父親は聞きつけて来る。「山を越えるのも 村の小学校出なのも条件は同じだ」そう叱りつけて善男を納戸に押し込める。善男は暗闇に蹲り、来ない事を絶望的に祈りつつ、待つしかなかった。一筋...

  • 空遠く 9

    学力テストの結果が、出た。連絡帳がなくなった事で気を抜いていたが、こんな落とし穴があるのだ。村は遅れているからと言い訳したのも悪かったのかも知れない。治平は激怒した。善男はポケットに忍ばせた仏壇のマッチを握り締めた。納戸の閉じ込められるとすぐに、火を点ける。扉に背中を押しつけて反対側の隅の闇を順に照らした。壁が心許ない灯りに揺れるだけだった。鬼なんかいない。善男は教室で繰り返した言葉を念じた。指先...

  • 空遠く 8

    いよいよ徒歩での山越えが始まる。上り坂は自然と無口になる。下りに入って喋り出す。「お母さん 悪かったんだ?」「説明したとおりだよ。今度大きな発作がおこったら ……分からない」「でも」 じゃり、と靴の下で砂が鳴る。着地を間違えて足首を捻りそうになる。下りと謂えど、いや下りだからこそ、油断ならない。「でも。貢 笑ってたじゃないか」「家で泣くんだよ」 言ってから唇を噛み「内緒だぞ」と言い足す。「……うん」 ...

  • 空遠く 7

    入学式の後、クラス別に教室に入り担任と顔を合わせ、善男は気づいた。これでもう「連絡帳」はなくなった。連絡帳を理由にお仕置きされる事はない。父と過ごす時間の立ち居振る舞いに細心の注意を払うようになり、納戸に閉じ込められる発端の殆どは連絡帳である。鬼は出ない。そう思った途端、鬼を信じていた自分がひどく子どもに思えてきた。鬼なんて本当はいない。最初の頃の関節の痛みも腹痛も、全部気のせいだった。薬を塗られ...

  • 空遠く 6

    年が明けると、和人はふたりを連れて制服の採寸に行った。本来教師の仕事ではないのだが、どちらも母親を頼みに出来ない児童であるし、一方は甥っ子である。「あんま大きくても 動きづらい」成長期だから大き目を選べと言われ、宇三次は反論した。一時間かけて山を越えて行かなくてはならない。代わる代わる試着をさせ、店主の、それぞれの体格など見ながらの助言を受け、宇三次は弟もいる事だし親の経済力も考慮して一回りだけ大...

  • 空遠く 5

    ふたりでは枕投げも出来ない。ことに宇三次とふたりでは。話のネタも尽きたか黙りがちになり、和人が二回目の見回りに来た時には熟睡に入っていた。だから翌朝すっきりと目覚め、移動中に居眠りする事もなかった。貢への土産を何にするか。「あいつは子ども騙しな玩具が好きなんだ」 宇三次が面倒そうに言う。「まあな。でも 折角だ 自分じゃ選ばないようなものがよくないか」「だらしないから どうせすぐに無くすか壊すかだ」...

  • 空遠く 4

    修学旅行、といっても二人きりの6年生だが、水尾和人に引率されて本州に渡る。一日目、城と城下町を見て歩いて温泉宿に宿泊し、翌日は温泉街で自由時間を過ごした後、港施設を見学して帰る、というだけの日程だが、そんな旅行でも修学旅行には変わりない。治平は前もって善男を床屋に行かせ、新しい衣類も調達してやった。学校から出発する一行を全児童で見送る。当然、貢もその中にいる。いつも以上にきちんとした兄と、いつもと...

  • 空遠く 3

    雪解けを迎え、善男らは六年生になる。貢も四年生になって、高学年のクラスにやって来た。他に女児がふたり。憧れの和人先生にはしゃいでいる。善男らの一学年下の児童はおらず、貢らの学年が加わらなければ寂しくなるところだった。「騒がしくなるな」 早速女児と喧嘩している弟を見て宇三次は嘆息していたが、善男は教室の空気が明るくなる事を歓迎していた。貢には宇三次のような聡明さはなかったが、場を華やかにする無邪気さ...

  • 空遠く 2

    たびたび鬼が出た。鬼は納戸に出る。閉じ込められなければいいだけの事だが、些細な事、茶碗をうっかり割ってしまったり、学校で注意をされたり。祖父だったら見過ごしてくれるような事でも父は許してくれなかった。「いちいち忘れ物ぐらいで連絡帳書くかな」 学校に向かう道々、善男はぼやいた。「和人先生 善男の叔父さんだからだろう」 宇三次が宥めるように言った。善男らが通う小学校は児童数も少なく、教員は高学年を見る...

  • 空遠く 1

    その家は古い農家だった。善男は5歳からそこに住んでいた。祖父と父と。母親は善男が8歳になる前にどこかへ行ってしまった。母は美しい人だったが、家族にも家庭にも無関心で、いなくなったからといって特に寂しくも、不便にも感じなかった。大抵の家事は父親が熟したし、善男も自分の事は自分でやれる年齢になっていた。どこかに穴が空いたような、たとえばちゃぶ台の一角に物足りなさを感じる事はあったが、それだけの事だった...

カテゴリー一覧
商用