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  • 星宿神の谿[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<107〉]

    この渓谷のどこかに、真昼でも星が見える場所があるという。そこは、峡谷の一地点で、崖と崖とが狭まり、巨樹が枝葉を広げて、山嶺と青空とがぽっかりと切り取られて、仰ぎ見ると星が一つ二つと見えるのだというが、私はまだそこに到達したことはない。その青みを帯びて静まる淵には、ヤマメの大物が潜むという。鉤にかかって引き上げられる魚の後を追って来るその巨魚はこの淵の主と呼ばれるが、誰も鉤をかけたものはいないのだという。*本文の続きは作業中。星宿神の谿[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<107〉]

  • 竹林が切り払われ、建物の全貌が見えてきた [宮崎自然素材アート展2021〈7〉]

    *本文は作業中。 竹林が切り払われ、建物の全貌が見えてきた[宮崎自然素材アート展2021〈7〉]

  • 年寄りが流される時――知っておくべき大切なこと・・・米と水と老農の関係[森へ行く道<86>]

    野村慶太郎氏の8月17日のフェィスブック記事から転載しました。☆豪雨の中を川や田んぼの様子を見に行って流されて亡くなるお年寄り。「なんでわざわざそんな時にそんなことするの?頭おかしくない?」「捜索隊の人達に二次災害が出たら迷惑。まさに頑固な年寄りの老害」と若い人たち。そんな声がネットに多く見られる。そんな口調の若いタレントのコメンテーターまで居たりする。あのね。おじいちゃんだってね、安全な所でテレビ観ときたかったと思うよ。豪雨の中をずぶ濡れになって川や田んぼ観に行きたい物好きなんかいません。でも、行くお年寄りが後をたたない。それが農家の仕事だから。泥水が田んぼに入ると米がダメになるから、それを確認したり修理したりしに行ったんだよ。80歳過ぎた高齢でも、定年退職なんか出来ず、今も現役で働いてるんだよ。あなたたちが...年寄りが流される時――知っておくべき大切なこと・・・米と水と老農の関係[森へ行く道<86>]

  • 「コロナ」が目の前で交錯し、通り過ぎて行った[森へ行く道<85>]

     雨が降り続く寒い夏がやっと終わり、夏が戻ってきた。まぶしいばかりの青空が嬉しい。昼過ぎから、なじみの渓谷へ行ってみよう。まだヤマメを釣るには水量が多すぎるだろうが、谷風に吹かれ、冷たい流れに身を浸し、清々しい気持ちで帰って来るだけでよい。 一週間前、コロナウィルス感染者が当館に立ち寄っていたことが判明。その人は、その一週間前に感染者と接触し、発症していたのだ。誰も気づかないうちに、恐るべきウィルスは私たちの住む森に持ち込まれていたのだった。翌日から、私は当人の入院する病院・所轄の保健所に対応してもらうよう要請し、その後の接触者全員に連絡して、様子を見守った。PCR検査の手続きが済み、検査を受けたのが、接触から一週間を経過した日で、「陰性」が確認されたのが、8日目だった。その間、子どもたちや障碍者たちが暮らす石...「コロナ」が目の前で交錯し、通り過ぎて行った[森へ行く道<85>]

  • 荒れ地がアート空間に返還される時 [宮崎自然素材アート展2021〈6〉]

     竹林に囲まれた荒れ地の奥に空家が埋もれている。その空家へと続く道を切り開き、竹を切る作業が開始された。枯れた竹や切ったばかりの青竹を燃やす。真夏の空に煙が立ち上ってゆく。この煙に含まれる二酸化炭素は森の樹木たちの養分として吸収されるという小学校5年の理科の学習を復習しておく。「環境」についてうるさい人たちは、この単純な自然界の原理を忘れていることが多いのだ。熱い。真夏の太陽と焚火の熱が全身を灼く。「焼畑」の時に感じる熱波と同じ暑熱だが、この熱さはむしろ心地良い。熊本・三角から駆けつけてくれた若い二人が加わって、作業がはかどる。念のため、全員にコロナ感染症への対応がしっかりできていることを確認しておく。というのは、二週間ほど前に立ち寄ってくれた客が感染者だったことがわかり、三日前に接触者全員がPCR検査を受け「...荒れ地がアート空間に返還される時[宮崎自然素材アート展2021〈6〉]

  • ヤマメを祀る村/天竜川源流の秘儀[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<105〉]

    九州では聞いたことがないが、ヤマメを釣り、山の神に捧げる神事を伝える村があるらしい。私は、この8月15日に73歳になり、いつ死んでもいい年齢となったが、すぐに死ぬつもりはないので、もし、来年とか再来年とか、あまり遠くない将来まで生きていることができたら、機会を作ってこの祭りを見に行きたいと思っている。そこは、南アルプスの山岳を源流とし、静岡市を貫流して駿河湾に注ぐ大井川の最上流部の谷である。「やまめ祭り」は、中村生雄著「祭祀と供犠―日本人の自然観・動物観」(法蔵館/2001)に記録されている深山の秘儀である。同書の表紙には『神と人を結ぶ供犠儀礼が稲作以前/以外の多様な民俗と信仰――狩猟と稲作、供養と供犠、殺生肉食論と植物の供養など、多彩な比較文化的視座と豊富な事例により、日本人の自然認識の特質を探求する――』と...ヤマメを祀る村/天竜川源流の秘儀[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<105〉]

  • 詩人の国で

    【詩人の国で①】アフガニスタンは詩人の国。吟遊詩人たちが詩を作り、歌を歌い、旅したところ。東西・南北の文明がクロスする土地。5万年の歴史と文化を持つ小さな国。ここで起きたことを私たちは忘れてはいけない。小野寺雅之氏のフェィスブックから転載。アフガニスタンでタリバンの攻勢により、首都カブールが陥落、ガニ大統領が隣国タジキスタンに脱出して現政権が事実上崩壊した。20年にもわたって「対テロ戦争」や「抑圧からの解放」を唱えて介入を続けたアメリカの目論見は失敗に終わった。アフガニスタンで住民と苦楽をともにしてきた中村さんは、「対テロ戦争」や「抑圧からの解放」などは「虚構に満ちた演出」と見抜いていた。中村さんはこんな手記を残している。作業地の上空を盛んに米軍のヘリコプターが過ぎていく。彼らは殺すために空を飛び、我々は生きる...詩人の国で

  • 茶臼原「生活学校」の物語 [宮崎自然素材アート展2021〈5〉]

    茶臼原「生活学校」の建物のARTによる再生と活用プロジェクト 茶臼原小学校に隣接する古民家(現在は空家・石井記念友愛社所有)は、築後およそ70年。第二次世界大戦後、石井十次の没後約20年間中断していた友愛社の事業を再興した児島虓一郎(石井十次の孫で友愛社・先代理事長)が設立したものです。設立当時は「生活学校」として運営されていました。友愛社に所属した子供たちが中学校を卒業した後の職業指導を目的として、当初は農業技術を指導する「愛農塾」として出発し、その後木工、機織り、和裁、生け花等を習い、隣接する茶園でも実習する施設として機能しました。茶園は、石井十次時代にこの土地を開拓して事業化したものでした。その後、戦後の高度経済成長時代に入り、友愛園を卒園した子どもたちがすぐに実社会に出て行く例が増え、「生活学校」は「茶...茶臼原「生活学校」の物語[宮崎自然素材アート展2021〈5〉]

  • 「糸をつむぐ」ワークショップのご案内 [宮崎自然素材アート展2021〈4〉]

    《宮崎自然素材アート展2021》ワークショップのご案内木城町「石井記念友愛社・茶臼原自然芸術館」と同「森の空想ミュージアム・染織工房」で自然布・森の草木染め・天然の繭「天蚕」から糸を紡ぎ、織る仕事を続けている横田康子とスタッフ右下友子・黒木彰子が出かけ、実施します。▢第一日9月24日「繭」から糸をつむぐワークショップ/養蚕の「繭」(白と草木染めで染めたもの)を、準備し、その繭から直接糸を紡ぎ出します。定員5名バスタオルを1枚ご持参ください。▢第二日9月25日「天蚕(てんさん)」の真綿から糸をつむぐワークショップ/天蚕とは自然界にいる天然の蚕のことです。この天蚕の繭を灰汁で焚き、叩くと真綿状になります。この真綿状態の天蚕繭から糸を紡ぎます。定員5名バスタオルを1枚ご持参ください。▢第三日9月26日ウールの糸つむぎ...「糸をつむぐ」ワークショップのご案内[宮崎自然素材アート展2021〈4〉]

  • 尾鈴山系・西林山麓に吹いていた緑の風/会場案内&スタッフミーティング③[宮崎自然素材アート展2021〈3〉]

    「西林」は「道の駅とうごう」の交差点を左折し、若山牧水の生地に隣接する「牧水の里公園」、師走祭りを伝える「神門神社」方面を目指して10分ほど走った所にあるが、その存在を知る人は少ない。が、昨秋「オーガニックフェスタ西林」が企画された一日には、多くの人が訪れていて驚いたものだ。そして、その中心となる施設を訪れ、木立に囲まれた小径を歩くと、点々と置かれた石や配置された樹木、苔や草花、域内を流れる沢、背後にそびえる西林山などが一体化して、まるで「盆栽」の中にまぎれ込んだ小人のような感覚を覚えるのだ。それもそのはずで、この広大な敷地全体の所有者は、盆栽のコレクターであり、この里山の森一帯を大きな盆栽に見立てた植栽をしてきた人だというのである。100年単位の庭づくりと言ってもいいだろう。そしてその中心に立つ建物で、一日一...尾鈴山系・西林山麓に吹いていた緑の風/会場案内&スタッフミーティング③[宮崎自然素材アート展2021〈3〉]

  • 会場案内&スタッフミーティング②/日向市東郷町「山陰キッチンKECAK」[宮崎自然素材アート展2021〈2〉]

    「宮崎自然素材アート展2021」のスタッフミーティングの第二回(8月5日)で「天の糸/糸をつむぐワークショップ」(会場/山陰キッチンECAK)の内容について確認されたのでお知らせします。日向市東郷町へ。耳川沿いの道を遡上する。耳川は増水してどうどうと流れ、川霧が立ち込めていた。諸塚・椎葉の山脈は霧と雲に隠れて見えなかった。九州地方を襲っている豪雨の影響である。被害が出るほどの雨量ではないと見切り、出かけた。東郷の道の駅は良く知られている。日向から諸塚を経て椎葉へ向かう国道沿いにあり、西は神門・大河内方面へと通じる分岐点にあたる。この「道の駅とうごう」の交差点を右折すると、すぐにT字路に突き当たる。そこを左折すると道は深い山の中へと続く。あまり高くはない峠を一つ越えると、ぽっかりと開けた空間があり、まるで隠れ里の...会場案内&スタッフミーティング②/日向市東郷町「山陰キッチンKECAK」[宮崎自然素材アート展2021〈2〉]

  • 鉤〈ハリ〉を研ぐ時/一万年の時空に遊ぶ旅[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<104〉]

    少年期から現在に至るまで、半世紀以上となるヤマメ釣りを俯瞰したうえで、私たちの間では、書家の草炎君が達人、音楽家で小鹿田焼ミュージアム渓声館・館長の渓声君が名人、そして私が仙人という分類がなされていた。ただし、私の「仙人」という位置づけは、単に源流域の誰も踏み込まない山奥の地点まで行って釣るという習性からきたもので、仙人のような枯れた釣りをするという意味ではない。達人も名人も仙人より数を多く釣るのであるから、どれがどれでも構わないのであるが、最近、私は渓声君を超名人に昇格させるのが適当な配置ではないかと思い始めている。というのは、渓声君は、昨日の記事にも書いたように、0、175という極細の、ヤマメにも私どもの眼にも見えないような糸で釣るし、ヤマメを三匹も釣ったら「鉤を研ぐ」というのである。そんな面倒なことをする...鉤〈ハリ〉を研ぐ時/一万年の時空に遊ぶ旅[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<104〉]

  • 釣糸〈テグス〉について[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<103〉]

    釣竿に取り付けられた釣糸のことを「テグス」という。一般的には、「道糸」と「鉤素(ハリス)」がある。どちらもテグスであることに違いはない。たとえば、ヤマメ釣りにおける道糸が0,8号であれば、ハリスは0,6号となる。道糸は、竿から伸びた糸であり、その先にハリスが結び付けられ、その先端に鉤が付く。すなわち道糸は、釣糸全体を遠くへ飛ばす役割と、一定の強度を確保するためのものであり、ハリスは魚の眼に見えにくくするためになるべく細い糸を使うものである。が、私たちは、そんな面倒なことはしない。「通し」と言って、竿先から鉤まで一本の糸を使う。「0,6号の通し」といえば、竿から鉤を経て魚に至る釣糸のすべてが0,6号のハリスで仕掛けられているのである。なんとなれば、大きな魚がかかった時や、水中の岩に引っ掛かったり、木の枝に絡まった...釣糸〈テグス〉について[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<103〉]

  • 「夏ヤマメ」を食べながら、「九州派」と「現代美術」について語った熱い一日[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<60>]

    雨が降り続く寒い夏。釣りに行く機会もないので、一年前の記事を再録します。アートの企画はこの間も継続中。  釣ってきた魚を美味しく食べる。あるいは、来客にふるまう。これが釣り師の基本であり、楽しみの極まるところ。今回の大物ヤマメは、紅色がかった美しい魚体だった。そろそろ婚姻色が出る頃だが、時期としては少し早い。同じ谷筋で黒っぽいヤツが釣れたので、この渓には在来種の子孫がまだ生き残っているとみていいだろう。九州脊梁山地の渓では、時々この手の虹色に輝く個体が釣れることがある。このヤマメにかぎり、釣れた瞬間、その周辺に良い香りが漂う。今日は、古い友人が来る。遠来の客を「夏ヤマメ」でもてなそう。☆夏ヤマメとは文字通り、盛夏のヤマメである。梅雨の出水や洪水を乗り切って、激流を泳ぐ彼らは逞しい。滝のような落ち込みや流心近くの...「夏ヤマメ」を食べながら、「九州派」と「現代美術」について語った熱い一日[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<60>]

  • [宮崎自然素材アート展2021]森の空想ミュージアム〈1〉

    本日8月10日、当館にて、第一回スタッフミーティングを行い、各参加会場の企画内容・スケジュールなどを確認しました。「森の空想ミュージアム/友愛の森:里山再生RTプロジェクト」は次の企画で参加します。◇石井記念友愛社ゆかりの古民家(空家)をARTする。・ゴミはアートである――室内に放置されているゴミを分別し、資源・肥料・燃料等に分け、一部は竹林に展示する。その一連の工程が記録される。・屋根をARTする――雨漏りのしている屋根を剥がし、骨格だけにして農業ハウス用のビニールシートを張り、空が見える屋根にして、竹組みで押さえる。これにより建物がオブジェ化する。・壁を剥がす、塗る—―子供たちも参加したワークショップ形式で。・竹の空中回廊――建物を覆っている竹林の竹を切り、一部を残して回廊を作る。◇高見乾司:仮面とドローイ...[宮崎自然素材アート展2021]森の空想ミュージアム〈1〉

  • 「風景を釣る」ということ[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<102〉]

    山中の小さな湖が、青い水を湛えている。湖に流れ込む沢の水が「銅」の成分を多く含んでいるため、水が青く澄むのだ。水そのものも青いが、深い森に囲まれ、真夏の空を映してさらに碧く、静まっているのである。作家の伊藤桂一氏(1917-2016、三重県生れ。1938(昭和13)年、徴兵により騎兵第15連隊に入営、のち騎兵第41連隊に転属、中国山西省へ。1941年に内地へ帰還するも、1943年に再召集され上海近郊で終戦を迎えた。1962年に「蛍の河」で直木賞を受賞。戦記文学の他、時代小説にも健筆を揮い、詩人としても活躍。1984年、『静かなノモンハン』で芸術選奨文部大臣賞、吉川英治文学賞を受賞。2016年没)は、釣りも愛した。釣りに関する含蓄に富む著作もある。それによると、釣りは、戦後の虚脱感、無力感を慰め、脱出することに大...「風景を釣る」ということ[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<102〉]

  • 「合わせ」の極意[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<101〉]

    *昨日の記事の続き。「極意」と言ってしまうと大げさになる。「合わせのタイミング」、あるいは「合わせの呼吸」と言い換えても良い。ヤマメ釣りでは、ヤマメが餌=鉤に喰い付いた瞬間にぴしり、と竿先を捻り、鉤に魚をかけるその一瞬の手技を「合わせ」というのである。「合わせが遅れる」とはこの時の一瞬の遅れをいう。釣り損ねや釣り落としはこのケースが多い。「早合わせ」とは、このポイントでヤマメは餌に喰い付くはずだと読み、手ごたえがある前に竿をひねる、または上げる行為。これが機能すると、良く釣れるのだが、「空合わせ」となって結局は何も釣れていないという結果も招来する。季節ごと、餌ごと仕掛けごとに変化するこの「合わせ」の呼吸をつかむことが、ヤマメ釣りの第一歩であり、上級者への道なのである。江戸期の本草学者が歩いた道に沿った峪では、合...「合わせ」の極意[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<101〉]

  • 本草学の道、渓流の音[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<100〉]

    九州脊梁山地の中央部に、豊後・院内(現在の大分県安心院町)の本草学者・賀来飛霞(かくひか)が歩いた道がある。江戸時代後期のことである。飛霞は、日向・延岡藩の招きによって来訪、険しい峠を越え、山岳の村々を歩き、同地の薬草類を調査して名著「高千穂採薬記」を著した。賀来飛霞は、約2ヶ月をかけて34地点を踏査し、同書に、168科842種の草木類を記録した。精密な写生により、当時名も知られていなかった新種の草木も描写され、動物160種余りに加え、現在では絶滅したとされる月の輪熊や日本狼なども記録されている。さらに、焼畑農耕や稗・粟などの雑穀を主食とする山深い村の食生活、古代から伝わる民話なども聞き取り、詳述されている。村人は遠来の学者であり、医者でもあった飛霞を歓待し、特産である山茶、椎茸や川ノリ、エノハ(ヤマメの地方名...本草学の道、渓流の音[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<100〉]

  • 森のカボチャ②/満月の森に南瓜がぶら下がっている(昨年秋の記事)[森へ行く道<84>]

    昨年秋の記事を再録しておこう。満月の森を歩く。この森には、一個だけ南瓜がぶら下がっている。「自然栽培」などという時流に乗ったものではなく、ハロウィーンという近頃流行りだしたおふざけでもない。実景である。半ば野生化した南瓜である。私たちは、台所で出た生ごみや焚き火の灰、草刈りをした後の草の束、掃き集めた落ち葉などを森の木々の根元に運び、土を肥やすように心がけているが、その捨てた生ごみの中から、毎年、南瓜が芽を出し、蔓を長く地面に這わせて、たくさんの実を稔らせる。「鶴首かぼちゃ」、「ひょうたんかぼちゃ」などと呼ばれるように、頸部が細長く、胴部がぽってりと膨らんだ愛嬌者だ。昔からこの地にあった在来種の「日向かぼちゃ」である、という人もいる。生命力旺盛な南国の南瓜である。 今年の夏は、伸びてきた蔓の何本かを、森の木に向...森のカボチャ②/満月の森に南瓜がぶら下がっている(昨年秋の記事)[森へ行く道<84>]

  • 森のカボチャ[森へ行く道<83]

    昨年、我が家の生ごみ捨て場から一本のカボチャの蔓が生え出て、森の奥へと延びてゆき、たった一個だけ、実を実らせた。それが森の木の枝にぶら下がり、ぶらりぶらりと揺れるさまは、なんとも長閑で良い景色だった。それはスイカほどにも大きくて、採集して抱えるとズシリと重みがあり、甘味の濃い美味しいカボチャだった。今年、同じ場所から二本の蔓が出た。それで多数のカボチャが森を装飾する風景を期待したのだったが、周囲の草伐りをしている時に、一本の蔓を切ってしまった。ちょっと惜しかったので、土や焚火の時にできた灰などをかぶせておいたところ、先端の方は生き延びていて、小さな花を咲かせた。健気なその生命力に感嘆し、大事に見守っていたのだが、次の草伐りの時にまたその先の蔓を切ってしまった。しまった、もう助からないだろう、と思ったが、念のため...森のカボチャ[森へ行く道<83]

  • 山郷の涼味、夏ヤマメの冷や汁を食す[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<99〉]

    「夏ヤマメ」の大物が揃ったので、家の者たちが山郷の珍味「冷や汁」を作ってくれた。大物3匹の内2匹は、釣友・渓声君からのいただきもの。大漁のおすそ分けである。釣り師の粋なはからいと、一片の友情。半世紀近く、ともにスポーツを楽しみ(二人は中学・高校のバスケ部に所属)、事業(「小鹿田焼ミュージアム渓声館」を設立・運営)、釣りの旅を重ねてきた仲である。1匹は10年をかけて復活した谷での釣果。なかなかに得難い食材というべきであろう。ガスコンロのグリルで焼く。本来は、焚火の熾火または炭火で焼く、または囲炉裏の端でじっくりと焼き上げたものが好ましいが、今回は準備が整わなかった。焼き上げた魚をほぐして身と骨とに分ける。すでに良い香りが漂っている。ゴマとクルミの実(ピーナッツを使う場合もある)を擂鉢ですり潰し、ヤマメの身と味噌を...山郷の涼味、夏ヤマメの冷や汁を食す[九州脊梁山地:ヤマメ幻釣譚<99〉]

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