母は養女に迎えられた。そのためか、我がままに育てられた。それでも、理念があった。養女に迎えられた家は富豪で、家訓があった。「人のためが仕事」という理念だ。養父の背中を観ながら、母は、大学を卒業した。母は教職を選択した。経済力のあった養父は、母の夫を養子に迎えたが、その頃から養父の会社は斜陽し始めていた。養父の会社は潰れ、私の母と父は、老後の養父と養母を引き取る。私の血の中には、教義の意味を知る時が有る。秩序や順列や理由、馬鹿げた話だが、仮想や妄想、幻覚であったとしても、何が真実で、何が人を動かすのか想いを馳せるのだ。母は、今、命を淘汰しようとしている。母が学んだものを私は受け継いだ。そして、他人である父からも、その想いを受けている。養女と養子から産まれた子供が、生まれた理由を問うことは烏滸がましいが、ただ...見つめる母の眼