精神分裂病（統合失調症）の治療の現状（其の2）

さて、統合失調症を完治する根本的な治療法が無い事は、前回の考察に記載しました。精神医学界における統合失調症に関する認識は、抑圧された憎しみの投影こそが、統合失調症の本質であるというものですが、この事を知っていかにも精神科医が好みそうな結論だと思ったのは、決して気のせいではないと思っています。精神科医が統合失調症の治療において直面する現実は、非常に厳しいものです。治療のメインとなる投薬は、抗精神薬、抗不安剤、抗鬱剤などの薬が処方される事が多いわけですが、この薬の薬効の詳細なシステムは明らかになっておらず、経験上判明した薬効によって、対症療法の一環として治療に用いられるのであって、この治療行為が本質的に患者を救うものではありえないという事実は、個人の資質として誠実である精神科医ほど理性と心の間で葛藤を抱え込むであろ...精神分裂病（統合失調症）の治療の現状（其の2）

精神分裂病（統合失調症）の治療の現状（其の1）

現在、治癒困難な疾病のうち、比較的患者数が多いにも関わらず、治療方法が確立していない疾病のひとつに統合失調症（精神分裂病）が挙げられます。難病のように治療自体が困難で且つ患者数が少ない場合、治療の為の薬開発ひとつとっても将来回収が期待できる金額が莫大な投資に見合った金額では無いために資本主義の経済原理が働いて治療方法の確立に困難を極めているのと、統合失調症（精神分裂病）の治療方法が確立されていないのとは根本的に理由が違います。何故なら、この疾病で苦しんでいる方は多く、もし治療方法が確立されれば、投資に見合った莫大な利益が期待できるからです。この疾病の治療方法が確立していないのは、脳と感情は現状では解明されていない事象が多数存在することと、通常心を原因とする他の疾病と比しても研究が極めて遅れているのは以下に記すこ...精神分裂病（統合失調症）の治療の現状（其の1）

阪神淡路大震災で狂人が成し得た事

私は、若くして精神分裂病を患い、そのもたらす妄想が、私の考えが全ての人に全てわかってしまうという、所謂、想考化声と称される、早い話が壊れたTVアンテナのように私の思念が流れ出し、世界中全ての人を脅かし、いずれは人権もへったくれも無く、人々の排除されてしまう存在だという恐怖から逃れる事ができなくなりました。しかし、私は幸運かどうか判りませんが知性の低下と客観性の喪失という、この疾病につきものの障害からはほぼ自由であったので、理性で心を律し、論理的整合性を突き詰めていくことで、私が抱いている妄想は、私の心が破裂して、生存の危機を回避するために、幻聴や幻視を駆使して、ある時は私の心を消耗させ、そして突然救済が訪れるというような揺さぶりを幾たびも仕掛けることで、私が皆が認識している世界と異なる世界に生きていて、私が心地...阪神淡路大震災で狂人が成し得た事