明仁天皇(現上皇)がノルウェーに来た時の話は以前にも書いたが、余談がある。私はオスロの日本大使館に頼まれ、現地雑用係をしていた。一方でトロンハイム市の人々は、たまたま目につきやすい立場にいた私をなんか現地日本人の代表格みたいに勘違いしていて、取材やらお辞儀の仕方の事前レクチャーやら広報誌作成やら、やたら用事を頼んできた。そんなわけで、市長主催の昼餐会への招待状が来てしまったのである。むちゃくちゃ貧...
明仁天皇(現上皇)がノルウェーに来た時の話は以前にも書いたが、余談がある。私はオスロの日本大使館に頼まれ、現地雑用係をしていた。一方でトロンハイム市の人々は、たまたま目につきやすい立場にいた私をなんか現地日本人の代表格みたいに勘違いしていて、取材やらお辞儀の仕方の事前レクチャーやら広報誌作成やら、やたら用事を頼んできた。そんなわけで、市長主催の昼餐会への招待状が来てしまったのである。むちゃくちゃ貧...
なんと15年(?)ぶりに、パイプオルガンを弾く機会が訪れた。近所の国教会。友だちがそこの会員で、牧師さんに話してくれた。今日、初めて練習しに行ったら、いきなり「再来週の礼拝できる?」。「むり無理、いくらなんでも錆びついてますんで、しばらくお時間ください。そのうち調子出てきたらお手伝いしますよ」。というわけで週一で練習に通うことになった。むっちゃ嬉しいかも。火曜日の午前中は教会カフェみたいのをやってて...
ルカ福音書2章(エルサレムで迷子になったと思ったら神殿で偉そうに祭司達と議論を交わしていた12歳のイエスの件)48両親はイエスを見て驚き、母が言った。「なぜこんなことをしてくれたのです。御覧なさい。お父さんもわたしも心配して捜していたのです。」 49すると、イエスは言われた。「どうしてわたしを捜したのですか。わたしが自分の父の家にいるのは当たり前だということを、知らなかったのですか。」 50両親にはイエスの...
日本の友人に、シカさんってシュールだね、と言われた。私と過ごした1日や一緒にしたこと、話した内容が、自分の日常から切り取られたように浮いているという。嘘のようとかirrelevantとかではなく、異次元に踏み込んで帰ってきた感じだそうだ。言われた私は鳩豆鉄砲状態。なんなんだろう?...
セラピストSに昔の写真を見せた。30代の両親、幼い兄と私。ふむむふ‥‥とずいぶん見入った後、「なんかお母さん、あなたから聞いてたイメージと違う」。へぇ?「もっと強面の厳しそうな女性を想像してた。でも実際には、若くて小柄で頼りなげに見える」。私:東洋人は実年齢より若く見えがちだから。S:そうなの?私:白人とは歳のとり方が違うっていうか‥‥最終的には歳とるんだけどね。S:(まじまじと私を見る)それ聞いて安心し...
旧約聖書のカインとアベルの話、どう考えても無茶苦茶だよね。カインは農夫、アベルは猟師。二人とも、一生懸命働いて得たものを神に捧げた。すると神は「肉は好きだ。野菜は嫌いだ」と言い放って、アベルだけを祝福した。神の分際で好き嫌いしてんじゃねーよ! 好き嫌いすんなって子供に言う根拠が崩壊するじゃないか! 人間による肉食がどれだけ地球を破壊してきたか、知らんとは言わせんぞ!カインはブチ切れて弟アベルを殺し、...
ヨーロッパに永住している日本人の、ディープなブログです。
葬式ごっこだなんて縁起の悪い‥‥とびっくりなさった方々、ごめんなさい。私はいたって元気です。セラピストもごく正統派の心理士です。オカルトとかスピリチュアルとかには無縁です。私には、ウケを狙ってしまう傾向は確かにあります。これも子供時代、正攻法で普通に愛されるのが無理なら笑いを取ろうとしたのがクセになっちまったんで、もうやめたいんですけどね。セラピストはそれも分かってます。複雑性PTSDを飼い慣らして一応...
ただいま、お葬式を企画中。過去の喪失や悲しみや怒りを一つづつ折り紙人形にして名前をつけ、棺の中に並べる。そして悲嘆の内容を弔辞として読み上げる。例えば、父に似せた折り紙には「これは、パパに望まれず愛されなかった私の嘆き」、私を退学に追い込んだ教師の折り紙には「学歴のなさに生涯苦しんだ私の憤り」という具合に。生まれてこなかった私の子供も弔う。もちろん、自分で奏楽して葬式の形式に整える。なんせ元プロの...
1月に予定していた東京滞在を、費用がかかりすぎる+私が辛すぎるため、キャンセルした。案の定、母が超落胆・激怒している。母が主犯のトラウマによるPTSD治療中の私にとって、1ヶ月夫を置いて自分の生活を放り出して、その母に仕えるためだけに日本で過ごすことが負担だと、91歳の彼女には理解ができない。べつに私が遠い外国に永住する身でなく、日本のどこかに住んでいても、超高齢化社会の実像は変わらないと思う。昔の人は、...
このところ母ネタかセラピストネタばかりで申し訳ない。psychotherapist という単語を下手に分割してしまうと、psycho the rapist となる。わかる? わかる人だけ笑ってね。セラピストのSはおそらく60代後半、端正な白人女性。滅びつつある圧倒的な美の名残を見せつける、ベニスのような人だ。湖水地方に生まれ育った生粋のイギリス人だが、オランダ風の苗字をもつ。先祖がオランダから来たのか、配偶者がオランダ人なのか。イギリ...
11歳のあなたから、今の大人のあなたに宛てて、左手で手紙を書いてみたら? とセラピストに言われて書いてみた。読みにくいことこの上ないが、なかなか面白い手紙が出来上がった。なんか発想が違う感じがする。どうやら、科学的根拠があるようだ。逆利き手で書くと、脳のふだん使っていない部分が無理やり覚醒状態になるとか。ボケの防止にもなると書いてある。そんなら継続してやってみようかな。...
1960年代、ディオンヌ・ワーウィックのオリジナルがアメリカでヒットしたあと、リバプール出身のシラ・ブラックが歌ってイギリスでも大当たりした曲。私は数年前イギリスで製作されたシラ・ブラックの伝記ドラマを観て初めて知ったのだけど、主演のシェリダン・スミスの歌いっぷりに惹き込まれた。今、母との結ぼれをセラピストの手引きのもと紐解いて行く途上で、この歌が脳裏に甦ってくる。男女の恋愛についての歌なのだけど、子...
Any loving mother would have told them
ママ。あなたは私の人生を乗っ取った。それ、私の人生。あなたのじゃない。返して。あなたは、あなたの人生すら統制できていないのに、私のまで統制しようとした。私をつくったのは、私。あなたじゃない。私のしてきたこと、失敗も、功績も、私のもの。あなたには関係ない。私の命は、私が生成したもの。あなたが産み出したんじゃない。私の命が、自分で生まれようとして生まれた。ぜんぶ私のもの。私のせい、あなたのせいじゃない...
先日亡くなったアイルランドの歌手シネイド・オコナー。彼女の回顧録に、幼い頃からサイコな母親に姉と比較され、シネイドは「うちの綺麗な娘」、姉は「うちの醜い娘」と紹介されていたとあった。シネイドは、姉の赤毛を素敵だと思っていたので、母に自分だけが美人扱いされることに反発し「綺麗になんかなりたくない」と思った。やがて、あきらかに美しく成長したシネイドには男がいやらしくつき纏った。彼女はしまいに、綺麗であ...
エモンカケ女と呼ばれるほど肩幅の広い私。その肩で風切って生きてきた。私にはヨーロッパが合っている。肩があちこちぶつかって多少痛くても、露骨に生きられる。自分のままでいられる。流血は覚悟、みたいな。還暦を迎えて、身体と頭のあちこちに「哀しみよこんにちは」的に老齢の兆しを感じはじめた。自分が弱ってくると、里心がつく。ここ数年、日本へ行くたびに日本が好きになってきている。食べ物が美味しい、サービス業が異...
やばい、やばい、こっちが壊れてきた。親の退行と依存に潰されかけている。重い。一度でも背負ったが最後どんどん重くなる子泣き爺婆。親の勝手な“愛情”という粘液で覆われた乾涸びた腕が伸びてきて離してくれない。気持ちわるい。自分たちは親の介護など指一本動かしたこともないくせに。子どもを愛しているなどと自分の思い込みだけで自画自賛し、子どもが本当に親を必要とした時には一度として応じたことがないくせに。もう限界...
親が1年間入っていた老人ホームが川口市にあったので、何度も足を運んだ。食べなければ仕方ないので安いチェーン店に入ること数回。特に美味しくはないが全国チェーンなら大外れもないだろうと思って。ところが、ことごとく、びっくりするほど不味かった。接客、スピード、清潔感、味、どれをとっても何やこれという感じ。セントラルキッチンで調理されたものをレンチンしているはずなのに、どうしてこうも不味くできるのか。調理...
どうやら、どうにか、よさそうな老人ホームが見つかった、のかな。でも母はまだ部屋が狭いの一回の試食では食事の質が見極められないだのと、むずかっている。そりゃまあ、終の住処に妥協したくないのは分かるよ。でもそれなら、こうなる前に自分で段取りしなかったのはなぜ? 兄と私は、できるだけのことはしてあげたいけど、時間も財力も体力も心のスタミナも、ギリギリ。幼児に還った親、せめて幼児並みに可愛ければねぇ。認知...
When I see transsexual women - women who used to be men - sometimes I wonder
半生記を書け、とこれまでいろんな人に言われてきた。「あまりに妙な道を辿った私の経験なんて、普遍性なさすぎて売れないでしょ」と逃げてきた。しかし還暦。今までに大迷惑かけてくれた人々のかなりがすでに鬼籍(この言葉、コワくて好きやわぁ)に入り、彼らの行状もそろそろ時効だ。そもそも私は罪の実在は疑わないが、罰というものを信じない。仕返し、なんて意味ないのさ。ただ誰々がこういうことをした、という記録はあって...
ここ20年弱、少しずつ呪いが解けてきた。白雪姫の継母は、本来は実母だったという。鏡よ鏡、世界でいちばん美しいのは誰?親のいる老人ホームではコロナ禍で私室を訪ねることはできない。面会は談話室に限られている。なのである日のビデオ通話中、母がスマホで部屋の中を見せてくれた。見事な散らかりっぷりに感嘆していたら、「ほらほら、ここにDの写真を飾ってるのよ」と言う。見ればそこには私の夫がフォトフレームの中に鎮座...