影無し

「影の無い世界？」「そう、どこから見ても影が無いんだよ」「変な事考えるのね」ヒカリさえ無ければ、影が出来ない。無理して押さえたシャレたホテルはいたるところにヒ…

南武線 上り

夕方6時を過ぎて、帰りの南武線は混んでいた。結局雪は降らず小雨になった。分倍河原で降りて京王線に乗り換えるのだが、その間溝口、登戸、府中本町は乗降が激しい。そ…

南武線 下り

7時は小雨混じりの雪。なによりも安全体質のオレはバイクも車もヤメた。コートにマスクを2枚詰め込んで、いつもより20分早めに家を出た。聖跡桜ヶ丘のホームは「海運…

梨女

深夜の府中街道は通い慣れた道だった。この時間だと40分もあれば自宅に着くはずだ。しばらく走っていると前の車が信号もないのに急停車した。「道路を直しています。舗…

ローザンヌ

ローザンヌ。ペットポトル人形を勝手にそう呼んでいた。通勤で車を走らせると川沿いの土手に道がつながる。宿河原を超えて、ゆるやかに坂道を登ると多摩川が二カ領上河原…

かけっこ

「かけっこ早かった？」美佳はなんの脈絡もなく、呻くような声で言った。俺は背後から乳房を掴かみ、首筋から唇を離した。「え？、何？」「早かった？」あまりにも突飛な…

広島へ

85歳になる母が危篤になって品川駅から新幹線に乗って故郷の広島に向かった。10年前に脳梗塞を煩い、デイケアでリハリビを行ったが、喋ることはできなかった。2カ月…

明日もし、、。

子供の頃、こんな会話をしました。「もし、明日地球が滅びるとしたらで、松井は何する？オレは学校休んで、一日好きなことするで。好きなもんも食べるんじゃ。松井は？」…

縮む家

玄関ドアを開けると2度の外気がGパンを一気に冷やす。車のフロントガラスには霜が降り、白く凍っている。洗面所で入れた常温のペットボトルの水をフロントガラスに掛け…