chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • 悔し涙を流しましょう

    「素人と玄人」9月24日書評欄に、詩人渡邊十絲子氏による『「文にあたる」牟田都子著(亜紀書房)』に対する書評が掲載されました。その中で渡邊氏は、冒頭に、『文を書くことを学生さんたちに教えるときには、まず野球の話をする。日本でいちばん、自分の投球フォームについての助言や指導を真剣に求めているのは誰でしょうか。それはたぶんプロ野球の投手ですよね、という話だ。草野球の投手ならば、自分はすごい、最高だと思いながらやっているかもしれないし、その幸福を存分に味わうべきでもある。でもプロはそうではない。欠点を人に指摘してもらい直されることを、積極的に求めるのだ』と書かれていました。書評自体は、校正者について書かれたものであり、『文章を書いてメシを食っている人は自分の文章を何度でも直すのが普通だし、他者に疑問点を指摘して...悔し涙を流しましょう

  • 死んでもいい、と言われても

    「どっちからも」9月22日『優先される内心の自由』という見出しの記事が掲載されました。『旧統一教会を巡る騒動に収束の気配がない。だが、そもそも日本では国民の7割が信仰や信心を持っていない。「信教の自由」と言われても、ピンとこない人も多くないか』という問題意識の下、憲法学者で上智大特任教授矢島基美氏にインタビューした記事です。私は、記事の中で、注目させられた記述がありました。『信仰上の理由から拒否したのに、手術で輸血されて精神的な苦痛を受けた-。「エホバの証人」の信者の女性が、医療行為として輸血した医師らに賠償を基めた裁判(略)原告の訴えが認められ、2000年に最高裁で確定した』という記述です。この判決について矢島氏は、『信仰に基づくところの自己決定、人格権の行使を司法は認めている』と解説なさっています。こ...死んでもいい、と言われても

  • 多数派≠恵まれている

    「多数派も」9月22日関西広域連合有識者委員渥美由喜氏が、『少数者をいかす社会』という表題でコラムを書かれていました。その中で渥美氏は、『エジソン、ノーベルや、最近の欧米ICT企業創業者たちの電気を読むと発達障害の傾向が見られる。常識に縛られないとっぴな発想こそ技術革新の源泉だ』『地方創生の担い手として言われてきた「若者、バカ者、よそ者」を「デジタル技術に精通し、常識や慣行にとらわれない自由な人」と定義するならば、少数者との親和性は高い』などと書かれ、少数者=性的マイノリティ、発達障害者、おたくやひきこもりを生かすことの重要性を指摘なさっています。全くその通りだと思います。しかしその一方で、私は、多数派を生かすという発想も忘れてはならないと感じています。多数派というと、少数派との比較で、少数派を虐げ、優遇...多数派≠恵まれている

  • 法?

    「法?」9月22日『旭川中2自殺再調査へいじめの影響徹底解明を』というタイトルの社説が掲載されました。『いじめを受けていた北海道旭川市の中学2年の女子生徒が凍死した問題で、市教育委員会の第三者委員会の最終調査報告書が公表』されたことを受け、問題点を指摘する内容です。その中に気になる記述がありました。『いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」として対処する必要があったが、これを怠った。報告書は「法制度への理解が不足していた」と(市教委の対応を)非難した』という記述です。とても違和感のある指摘です。学校も、それを管轄する教委も教育機関です。そこに働く校長や教員、教委の指導主事は弁護士でも検察官でもなく、教育者です。その教育者がもたなければいけないのは、法制度への理解よりも、目の前で苦しんでいる子供への共感や慈...法?

  • 受験勉強

    「俗なようですが」9月20日『全国の中学生に、さまざまな分野で活躍する人が語る「授業」』である連載企画『14歳の君へ』。今回はノーベル化学賞受賞者吉野彰氏が語られていました。その中に、意外な言葉がありました。吉野氏は、『得意な教科があると、手を抜けるから、受験勉強も楽です。苦手な教科に勉強の時間を回せて有利になる。だから、得意教科を見つけることをお勧めします。後で自分が助かります』とおっしゃっているのです。私は、ノーベル賞受賞者のような一つの学問を究めたような人は、大体同じことを言うという印象をもっています。彼らについては、学校の授業を重視せず、知識より体験が大事とか、興味のないことを覚えることに無駄な時間を費やすなとか、好きなことをとことん突き詰めろ、などと言い、受験勉強など愚の骨頂とでも言いそうなイメ...受験勉強

  • 昔も今も

    「30年前」9月21日『「職場にストレス」9割スクールカウンセラー』という見出しの記事が掲載されました。『都内の公立学校で働くスクールカウンセラーを対象に労働組合が実施した2021年のアンケート調査』の結果について報じる記事です。記事によると、『ストレスの背景には、減らないサービス残業や雇用の不安定さがあるとみられ、関係者からは改善を求める声が上がっている』とのことでした。都教委が、スクールカウンセラー導入に動いたのは、今から27年ほど前のことでした。初めは都内で8校が、試験的な導入校として選ばれました。その中の1校が、当時、私が勤務していたS区のH小学校でした。指導主事2年目で生活指導を担当していた私は、先輩指導主事と共に、スクールカウンセラー事業の担当者になりました。その頃、臨床心理士の多くは就職先を...昔も今も

  • 過去の過ちを記録する

    「DV常習者?」9月20日『英・新国王愛に飢えた幼少期』という見出しの記事が掲載されました。『エリザベス英女王の死去を受け、英国ではチャールズ3世の新たな時代が始まった。改めて新国王とはどんな人物なのか。幼少期から振り返り、その素顔を追った』記事です。その中に、驚くべき記述がありました。『厳しかったのは父のフィリップ殿下だ。スポーツ万能で元海軍軍人でもある父は、幼い頃から内気で傷つきやすい子だったチャールズを厳しく育てた。父は「水泳指導」と称し、幼いチャールズをバッキンガム宮殿のプールに浮き輪なしで放り込んだこともあった』という記述です。現在73歳の新国王の幼少期というのですから、65年以上昔の話ということになります。当時と現在とでは、躾や親子関係、人権などに対する感覚は大きく異なります。30年ほど前でさ...過去の過ちを記録する

  • 丁寧な議論を

    「無責任」9月20日『「ウィズコロナ」と首相リスクを語らない無責任』というタイトルの社説が掲載されました。『首相は期間短縮の方針を公表した際、社会経済活動との両立をアピールするばかりでリスクを率直に語ろうとしなかった(略)ウィズコロナ政策を進めるのであれば、、それに伴うリスクについて、首相自身が国民に丁寧に説明することが求められている』という趣旨の社説です。『「何をしても大丈夫」という誤ったメッセージ』が広がり、また感染が広がることを恐れる高齢者の私は、本当にそう思います。と同時に、こうした無責任で一方的なメッセージは、学校教育において特に顕著にみられるということに思い至りました。小学校における英語の正式教科化について言えば、学童期に母語についての学びが疎かになることについての懸念が出されましたが、国際化...丁寧な議論を

  • 2番目が難しい

    「2番目が難しい」9月19日『包み隠さず生徒目線で』という見出しの記事が掲載されました。『性教育が避けられてきた学校現場で「セーフティーネット」としての役割を果たしてきたのが外部講師による出前授業だ(略)性教育に取り組む医療従事者は少なくない』ということで、産婦人科医高橋幸子氏の活動を取り上げた記事です。記事の中で、高橋氏のいくつかの言葉が紹介されています。私が注目したのは、『性には生殖の性、快楽の性、暴力・搾取の性という三つの種類があります』という言葉でした。私は、記事にある「性教育が避けられてきた学校現場」という認識には同意できません。それは、性教育が「性」を扱う学びであるしたとき、上記の三つの性の中で、1番目と3番目の性については、多くの教員が取り組んできたと考えているからです。その理由は、扱いやす...2番目が難しい

  • 心当たりあり

    「心当たりあり」9月16日『給食に漂白剤教諭逮捕』という見出しの記事が掲載されました。『給食のカレーに塩素系漂白剤を入れたとして、県警東入間署は16日、市立水谷東小学校の教諭、半澤彩奈容疑者(24)を威力業務妨害容疑で逮捕した。「クラスの担任を外され、悔しかった」と話し、容疑を認めている』という事件について報じる記事です。ドキッとしました。私は教員時代に、この「担任外し」に数多く関わってきた経験があるからです。といっても、「外された」方ではなく、「外された」教員の後を継いだ方の経験です。新卒7年目、5年生のときの20代男性教員が担任を離れ、私が6年生の担任になりました。10年目、私と同じ年の女性教員が替わり、私が6年生の担任になりました。翌年、また私と同じ年の別の女性教員が低学年の担任になり、私が6年生の...心当たりあり

  • 私には無理

    「私には無理」9月15日『「頼れる」安心子どもたちへ「死にたい」分かる大学生がチャット相談』という見出しの記事が掲載されました。記事の冒頭には、『<この数日間、死のうと思っていました>夜中3時過ぎ、担任の先生に送ったメールが人生を変えた。数時間後、電話で目覚めると家の前に先生が立っていた。この原体験から、無料チャット相談「あなたのいばしょ」を創設した現役大学生、大空幸星さん(23)。駆けつけてくれた先生の存在に感じた「安心感」を提供したい』という記述がありました。教え子を思う教員の行動が彼を救い、その後の人生の進む道を示唆したという話です。怖い、と思いました。正直背中がぞくぞくしました。もし、このメールを受けたのが私だったらと考えてしまったからです。夜中の3時、多分起きていません。メールには気がつかない可...私には無理

  • 傍聴人の圧力

    「昔とは逆に」9月14日『リベラル教育にノー』という見出しの記事が掲載されました。『米国で教育委員会を舞台に「親の権利」を訴える保守派の草の根運動がひろがっている』ことを報じる記事です。記事によると、『保守派の親たちには、人種や性的少数者に関して「自分たちが受けた教育と比べ、リベラル化し過ぎている」「自己判断ができない小学生のうちに教えるのは早すぎる」といった問題意識が広がった(略)「親が選択する権利」を重視する保守派の反対運動が起きた。「もう黙っていられない」との思いに駆られ、一般参加者に発言の機会がある教委の会合に保守派の市民が積極的に参加するようになった』ということです。我が国では、教委の会合に一般の参加者が出席して発言するということは通常はありません。ただ、傍聴という形で参加することは行われていま...傍聴人の圧力

  • 校則にも一分の理

    「見た目」9月14日『外国人狙って職質⇒差別です』という見出しの記事が掲載されました。『東京弁護士会の「外国人の権利に関する委員会」は、外国にルーツを持つ人約2100人を対象とした警察官による職務質問に関する調査結果を公表した』ことを受け、問題点を指摘する記事です。記事によると、『過去5年間で職質を受けたことがあると答えたのは約63%に上り、そのうち約85%が「身体的特徴などから外国ルーツとして声をかけられた」と考えていた。また、約77%は職質を法的に正当化する「不審事由」がないのに職質を受けたと認識』ということです。要するに、何も怪しいところがないのに、見た目が外国人だからということで職質されたということです。職質について法は、『合理的に判断して何らかの犯罪を犯し、もしくは犯そうとしていると疑うに足りる...校則にも一分の理

  • 僕は私

    「どうする?」9月14日『「変化が怖い」乗り越え』という見出しの記事が掲載されました。『生まれの性別が男性で性自認が女性であるトランスジェンダー女性を受け入れる動きが、各地の女子大で広がりつつある』ということで、日本女子大と奈良女子大の取り組みを紹介する記事です。記事で語られている経過や課題も興味深いものでしたが、私が気になったのは、『日本女子大が受け入れに動いたきっかけは、15年にトランスジェンダー女児の保護者から付属中受験の問い合わせがあったことだった』という記述でした。トランスジェンダーの子供への対応は、中学校入試でも課題になってきている、ということは小学校でも取り組みを迫られる課題となっているということです。正直、どう対応してよいのか戸惑います。男性として生まれてきた子供を女性として扱うということ...僕は私

  • 顔で笑って…

    「顔で笑って…」9月13日精神科医香山リカ氏が、『笑顔の女王「お疲れさま」』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、『父親とイギリス旅行をしたとき、女王ご一家を見かけた』ときのことについて書かれています。『馬車の窓からとても晴れやかな表情で沿道の人たちに手を振っているのは、どう見てもエリザベス女王(略)思わぬ旅の偶然に父親は大満足』だったそうです。そして香山氏は、『それにしても女王は即位以来、70年にもわたって、ああやって移動のたびに沿道の人たちに手を振っていたのか、と思うと気が遠くなりそうだ。体調が良くないときも気分がすぐれないときもあっただろうが、人々が見たいのは「女王の晴れやかな笑顔」。それに応えるために、笑顔になって道の左右に向かった大きく手を振り続ける』と、女王の覚悟や使命感のよ...顔で笑って…

  • 弱い子に育てる

    「弱い子供に育てる」9月12日『「無敵の人」どう向き合う』という見出しの記事が掲載されました。直木賞候補作「爆弾」の作者呉勝浩氏へのインタビュー記事です。呉氏の「爆弾」に登場するのが「無敵の人」です。記事によると、『愛する人も守るべきものもなく、自分の未来や命にすら無関心。ゆえに死刑も怖くない』という人のことだそうです。呉氏は、自身が作り出したこの「無敵の人」について、『そんな存在を倒すにはどうすべきか。そういうつもりで筆を進めてきたのですが、タゴサク(無敵の人の名)があまりに「強く」なりすぎて、倒すことはほぼ無理だ、という結論になりました』と語っていらっしゃいます。「無敵の人」は小説の中だけでなく、実際に存在します。そしてそんな「無敵の人」には歯が立たないというのもまた現実です。私は、この「無敵の人」と...弱い子に育てる

  • 根本的な問題の解決を

    「根本対応」9月10日『小学教員倍率最低更新質確保「働き方改革を」』という見出しの記事が掲載されました。『公立小学校教員の2022年度採用試験の倍率が全国で2.5倍と4年連続で過去最低になった』ことの背景と影響、問題点、対策等について報じる記事です。記事では対策として、見出しにもある通り、『長時間労働が社会問題化して教職の人気が上がらず』『教員はプライベートを過度に犠牲にしなくてはならない仕事だという理解が広がっている』『教員になれても「やりがい搾取」が続いているのではないかと不安』などの声が紹介され、『採用試験の時期や方法の改善だけでは不十分で、学校の働き方を変え先生の負担軽減を図ることが一丁目一番地』と「働き方改革」の必要性が強調されています。間違ったことを言っているとは思いません。しかし、少しずれて...根本的な問題の解決を

  • 子供は共同研究者

    「リモートで」9月8日『医学研究への患者参画対話を通じて進歩に貢献』という見出しの記事が掲載されました。『病気の原因や治療法を探る研究を、患者や市民の意見を取り入れながら進める取り組みが注目されている。欧米で先行して広まった「研究への患者・市民参画(PPI)」と呼ばれる動きで、国内でも患者の意見に基づいて新たな研究テーマが設けられるなどの例が出てきた』ことを受け、我が国での現状と問題点を取り上げた記事です。『開発中の薬を患者に使ってもらい、効果などを確かめる臨床試験をはじめ、医学研究には患者の協力が不可欠だが、PPIは、研究対象となることとは区別され(略)例えば研究内容を決める段階で意見を述べるなど、研究者との対話を通じて研究に関わることを意味する』のだそうです。言うなれば、対象から共同研究者へ、というこ...子供は共同研究者

  • 逆行する施策

    「逆行する政策」9月7日『読書離れを防ぐ使命紀伊国屋書店「店舗倍増計画」』という見出しの記事が掲載されました。『紀伊国屋書店は、創業100周年を迎える2027年までに、国内外の店舗を現在の約2倍の200店に増やす計画を打ち出した』ことについて、同書店幹部に尋ねる記事です。副社長の藤則氏は、『書店がないと日本人はさらに本を読まなくなる』と述べ、『何とかしないといけない、という使命感があります』と語られていました。日本人はそんなに本を読まなくなっているのか、そのことによりどのような問題が生じているのか、記事では、我が国の読書と読解力の現状が紹介されています。『「PISA」で、日本は数学・科学分野は上位を維持したが、読解力の分野は前回の6位から11位に順位を落としている』『蔵書数が多い児童生徒ほど各教科の平均正...逆行する施策

  • 自分へのサービスに税金を使うのはもってのほか

    「私物化」9月7日『大臣のトリセツ西村氏認める』という見出しの記事が掲載されました。西村経産相が『記者会見で、自身の出張時の注意点を記した同省の内部文書「対応マニュアル」の存在を認めた』ことを報じる記事です。記事によると、同マニュアルの内容は、『(西村氏の)土産購入量が非常に多いため、荷物持ち人員が必要』『帰京時の夕食購入について「弁当購入部隊とサラダ購入部隊の二手に分かれて対応」』等、公務遂行に直接かかわりの薄い事項もあるということです。西村氏は、『過度に私に気を使う必要はない』『気を利かせてくれたのだろう』などと語っているようですが、こんな認識では公人として失格です。学校という組織はフラットなのが特徴で、校長を上司として私的に特別対応するという雰囲気はありませんでした。教委に勤務するようになり、「先輩...自分へのサービスに税金を使うのはもってのほか

  • 当たり前のこと

    「それぞれの当り前」9月6日『通園バス内3歳死亡静岡・牧之原5時間放置か』という見出しの記事が掲載されました。『「川崎幼稚園」の近くの駐車場に止めた送迎バス内で、園児の河本千奈ちゃん(3)がぐったりした状態で倒れているのを、同園の職員が見つけた』という事件を報じる記事です。昨年も同じような放置による熱中症で死亡という事件が起きました。その教訓が生かされていなかったようです。正直なところ、どうしてこんな事件が起きるのか不思議でなりません。小学校でも、社会科見学や林間学校等、バスで移動することはあります。そんなとき、子供に下車を指示した後、教員は自分が座っている一番前の座席から車内を見渡し、子供が残っていないことを目視し、さらに一番後ろの席まで歩いて、車内が空になっていることを確認してから、降車します。死亡事...当たり前のこと

  • 痛みを甘受する改革

    「無節操」9月4日『110兆円の予算要求無節操な膨張は許されぬ』というタイトルの社説が掲載されました。『1000兆円を超す借金を抱えているのに、節度を失った財政運営を続けるのは無責任だ』という問題意識の下、来年度予算の概算要求の膨張を非難するものです。『予算内に収めるコスト管理の意識も欠如』『めりはりを利かせなければ将来への付けが膨らむだけ』『野放図な膨張に歯止めを』などの主張には全く同感ですが、一方でむなしさを感じてもいます。それはこの社説が、財政再建の必要性を訴え、バラマキを批判するというポーズを示しているだけなのではないか、つまり国民にとって耳触りの良いことだけを言って、自分たちは良識派ですよ、というアピールをしているだけなのではないか、という疑問を感じてしまうということです。財政健全化は、消費税を...痛みを甘受する改革

  • 新しいことが…

    「逆の場合も」9月2日『日傘NGなぜ?』という見出しの記事が掲載されました。『「登下校時の日傘使用は禁止」と小学校から言われ、意味がわかりません』という保護者の投稿がきっかけで、各地の状況を調べ、問題点を論じる記事です。日傘についての議論はここでは深入りはしません。気になったのは、名古屋大大学院教授内田良氏のコメントです。内田氏は、『「新しいことを取り入れるとトラブルが起きるに違いない。だったら根こそぎ禁止にしておきましょう」というのが、学校に長年染みついている思考回路です』と指摘なさっていました。確かにそうした傾向はあるでしょう。そしてそれは、学校に限らずあらゆる組織に、企業でも官庁でもあるはずです。ただ、学校には、内田氏の指摘とは真逆な面もあるのです。私が教委に勤務していたころ、学校教育改革の必要性が...新しいことが…

  • 物語を紡ぐ

    「物語の生かし方」9月2日『論点』欄のテーマは『宝くじで幸せに?』でした。『売り上げはピーク時の74%で、購入者の41%は60代以上と高齢化も進む。そもそも人はなぜ当たる確率の低い宝くじを買うのか。そして人気回復のカギは』ということで、3人の識者が語られていました。私が注目させられたのは、世代・トレンド評論家牛窪恵氏の話でした。『たとえば競馬に、若い世代はさほど悪いイメージを持っていない(略)馬という動物について、「彼らがどう手入れされているのか」や「どういう血筋なのか」など、調べれば調べるほど奥が深く、そこでまたコミュニティーができる(略)30代以下は「つながる」ことを欲している人たちだ。自分たちのコミュニティーで共通のネタにできたり、自分が知識を得てアップデートできたりすれば、当たらなくても「無駄」の...物語を紡ぐ

  • 言葉では伝えられない?

    「感覚?」9月1日『身体と共に鍛える知性「若きアスリートへの手紙」刊行』という見出しの記事が掲載されました。2冊目の著書『若きアスリートへの手紙-<競技する身体>の哲学』が刊行された元フィギュアスケーターで国学院大助教町田樹氏へのインタビュー記事です。その中に次のような記述がありました。『本書はスポーツと哲学の両分野を横断する視点で書かれている。通底するのは、深く思考し、言語化する行為(略)高度な身体技能を手にするためには、試行錯誤の思考が欠かせない。アスリートも思考する人なのです』。その後も、『行為を徹底的に言語化』『関節や筋肉など身体の知識はもちろん、行動や思考を言語化する力を持ち合わせないとできないこと』など、言語化という単語が頻繁に使われていました。思い出したことがありました。私は中高と卓球部に所...言葉では伝えられない?

  • 憲法違反

    「良心の自由」9月1日『弔意表明国民に求めず各府省庁で弔旗・黙とう閣議了解でなく「葬儀委員長決定」』という見出しの記事が掲載されました。『安倍晋三元首相の国葬を巡っては、弔旗の掲揚や黙とうなどの「弔意表明」を政府が国民に求めるのかが注目されてきた』ことに応える記事です。私は安倍氏の国葬に反対の立場ですが、そのこととは別に、この件に関しては気になっていることがありました。それは、卒業式等における国旗の掲揚、国歌の斉唱に関わる一連の問題との関連です。記事では、『自治体や学校現場には弔意表明を要請しないと明言した。一方、各府省庁については、弔意表明を求める(略)弔旗を掲揚し、葬儀中の一定時刻に黙とうすることを決定した』とあります。中央官庁の勤務する公務員は、弔旗が掲げられた建物内で勤務し、放送に併せて黙とうさせ...憲法違反

  • 怖さを教えなければ

    「宗教を教えるときに」8月30日精神科医香山リカ氏が、『同じことを目指す仲間』という表題でコラムを書かれていました。その中で香山氏は、『あまりに熱烈な信仰を持ちすぎるあまり、職場や家庭で問題になる場合もある』とした上で、『私の知り合いでも、妻がキリスト教、夫が仏教を信じている夫婦がいる。お互いに信仰の話はせず、「こっちを信じなさい」と説得することもないという。それが正しい姿ではないかと思う』と述べられています。肌感覚でストンと落ちました。とても納得できる見解です。多くの日本人が同じ感覚なのではないかと思います。では、我が国の学校で「宗教教育」を行うことになった場合、それでよいのでしょうか。最近、旧統一教会の犯罪に注目が集まるにつれ、宗教について子供や若者にきちんと教えるべきではないか、という意見が多く聞か...怖さを教えなければ

  • 偉くなって給料も上がる、それなら…?

    「飛び級」8月27日『NTT来春「飛び級」制度導入20代で課長級へ登用も』という見出しの記事が掲載されました。『NTTが社員の専門性を重視し、優秀な成績であれば年齢や在籍年数を問わずに「飛び級」で昇格できる新制度を導入する』ことを報じる記事です。記事によると、『IT業界は採用競争が激しく、優秀な人材を確保する狙いがある』とのことでした。状況は全く違いますが、優秀な人材の確保が喫緊の課題となっているのは、教職も同じです。近年は、志願者が減り、採用試験の倍率が低下しています。対策として、教員の多忙化解消への取り組みが必要とされ、部活改革もその一環であることは周知のとおりです。ですから、NTTの新制度が、人材確保につながるのであれば、教員制度の見直しも意味があることになります。そう考えて詳細を読んでみると、『秀...偉くなって給料も上がる、それなら…?

  • 孤独な人

    「孤独な人」8月26日『分断が生む「下級国民」の反乱』という見出しの特集記事が掲載されました。安倍元首相銃撃事件について山上容疑者に焦点を当てて、作家橘玲氏にインタビューしたものです。その中にとても気になった記述がありました。『報道では、中学や高校時代はともかく、社会人になってからの彼(山上容疑者)を知る友人、知人は少ないように見える。証言するのは勤務先の上司や同僚くらい。「こんな孤独な人間がいるのか、と驚きました~」』という記述です。考え込んでしまいました。この程度で、驚かれるほど孤独と言われてしまうということに、です。私が何か大きな事件を起こして、顔写真と経歴が公表されたとします。社会人になってから「関りがあった人」に、記者がインタビューに行くとして、社会人になってからの知人・友人は何人いるかと考えて...孤独な人

  • 強弁が通る

    「分けられる?」8月26日『小説掲載最多36校現代の国語都立高の教科書選定』という見出しの記事が掲載されました。『今年度新設された論理的な文章を扱う「現代の国語」では、小説が載っている教科書を選んだ学校が36校となり、最多だった』ことを報じる記事です。なぜこれがニュースのなるかと言うと、『「現代の国語」を巡っては、文部科学省が教科書会社側に当初、「小説は入る余地がない」と伝えていたが、小説が載った「第一学習社」の教科書が検定を合格し、混乱が生じていた』ことが背景にあります。小説は×と言っていたのに、文科省内部の意思統一が不十分で小説が掲載された教科書が検定を通った、通ってしまったものは仕方がないがそんな抜け駆けした教科書は好ましくない、それなのにその教科書がもっとも人気があった、という「珍現象」がニュース...強弁が通る

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ヒマローグさんをフォローしませんか?

ハンドル名
ヒマローグさん
ブログタイトル
ヒマローグ
フォロー
ヒマローグ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用