chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
arrow_drop_down
  • ダメ母、それなら教員は?

    「ダメ母、では教員は?」5月25日読者投稿欄に、南相馬氏の主婦W氏の『本当に楽しい?』と題された投稿が掲載されました。『子どものころ、休みになると母は父をせき立て、どこかへ出かけた。たいていはハイキングをして(略)運動が嫌いな私にとって、山歩きはほんとうにつらいものだった。疲れ果てて帰りの車で具合が悪くなり、車を止めて休ませてもらうと家に着くのが遅くなってしまう。私が一番つらいのに、起こられるなんて本当に悲しかった』というW氏。『私のように無理に連れ歩かれて、心が疲れてしまう子どももいるはずだ。皆本当に楽しめているのだろうか』と、現代の子供たちの中にも、かつての自分と同じ思いを抱いている子供がいるのではないか、と心配なさっているのです。実は、私もW氏のような子供でした。W氏は、家庭でのこと、母親のこととして、善...ダメ母、それなら教員は?

  • 全部平均点以上が前提の話

    「悩ましい」5月24日『中学生に、さまざまな分野で活躍する人が語る』コーナー、『14歳の君へわたしたちの授業』は、ファッションデザイナーコシノヒロコ氏が登場しました。絵が好きで得意だったコシノ氏の話は興味深いものでした。その中でコシノ氏の、『何でもかんでもできなくてもいい。苦手なものは適当にして、好きなことを思い切りやる。一つのことを勝ち取れば、他は全部見えてきます』という言葉が気になりました。似たような趣旨の話をよく聞きます。だいたいがいわゆる成功者の口から出ることが多いように感じます。公教育、特に義務教育に携わる人間は、こうした主張をどのように受け止めればよいのでしょうか。コシノ氏の発言は、ある意味、義務教育を否定するものだと言えます。歴史が好きな子供は、一生懸命に歴史の本を読め、国語や数学なんてまじめにや...全部平均点以上が前提の話

  • その日は免責を

    「その日は免責を」5月23日『国、甘い監査改善急務知床沈没1カ月』という見出しの記事が掲載されました。知床半島沖で起きた観光船沈没事故後に発覚した国の監査の問題点を検討・分析する記事です。その中で、海洋政策をご専門とする海洋大学教授山田吉彦氏の見解が紹介されていました。『今後必要なのは、確実なチェック体制。監査も抜き打ちじゃないと意味をなさない。事前通告して資料をそろえさせていた今までがおかしかった』というものです。監査は抜き打ちでなければ意味がないという指摘には同感です。しかし、その一方で、抜き打ち監査を常態化するためには、制度上の措置が必要だと思います。観光船会社に監査員が訪れます。不備があれば処分が下され、不利益を被るのですから、全社を挙げての対応になります。そのために、予定していた運航ができなくなる可能...その日は免責を

  • 自己責任主義との親和性

    「認めてしまうと…」5月21日『「こども家庭庁」へ提言熱く』という見出しの記事が掲載されました。こども家庭庁設置を受け、当事者である子供たちが話し合う企画記事です。その中に気になる発言がありました。『子どもに関する問題で関心があること』という司会者の問いに対して、中3のM氏は、『家庭の事情も能力も違います(略)みんなが同じルールの中で、同じゴールを目指さなければならない。そういう(学校)教育に疑問を持っています』と答えていたのです。考えさせられます。さらっと読めば「そうだよね」で済んでしまいそうですが、そんなに簡単な問題ではありません。M氏の意見を「悪用」するととんでもないことになってしまうからです。例えば、能力が違うから~という指摘について考えてみます。Aさんは知能指数が低いから、分数の計算が分からなくても仕...自己責任主義との親和性

  • 遊んでいる?仕事している?

    「知らないことさえ知らない」5月21日書評欄に、文筆業清田隆之氏による、『漫画家・渡辺ペコの最新作「恋じゃねえから」(講談社)』についての書評が掲載されました。同書は塾講師による生徒に対する性暴力をとりあげたものです。私は、書評の中にある『大衆の無知や無関心は、いつだって加害者を利する結果につながってしまう』という指摘が心に残りました。教員や講師といった指導的な立場を悪用した性加害について言われたものですが、すべてに通じると思いました。この言葉から私が思い浮かべたのは、教員の多忙化問題でした。子供への性加害同様、教員の多忙化も、最近そんなことが問題になっているらしいね、という程度には認識されてはいます。しかし、ではその多忙化の実態について、知られているのかというと、そうではないと考えます。なぜなら、教員の仕事自...遊んでいる?仕事している?

  • 分からなくてもいい?

    「たしかにそうだ」5月20日『「文学」選択科目化の罪深さ』という見出しの記事が掲載されました。国語教育に造詣の深い明治大学教授斎藤孝氏へのインタビュー記事です。テーマは、『「論理国語」と「文学国語」』です。この問題については、私もこのブログで何回も取り上げてきました。ただ今回は、全く違う気付きがあり、取り上げさせてもらうことにしました。斎藤氏は、『理系の生徒が、文学国語を取らない可能性が高まりますよね。文学や詩の知識をほとんど身に付けずに卒業する生徒が、これから続出することになります』とおっしゃっています。ここまでは別に目新しい指摘ではありません。斎藤氏はさらにそのことがもたらす弊害について、物理を例に述べます。『難解さは言わずもがなだが、かつては文系でも必修科目。高校生の9割方は履修していた。それが選択制に移...分からなくてもいい?

  • 部活総括

    「総括」5月18日『「まちぐるみ」の変革を』という見出しの記事が掲載されました。部活動の在り方について、日本部活動学会初代会長長沼豊氏へのインタビュー記事です。長沼氏が語られることは、部活に関する問題をほぼ網羅しているように思えました。そこで、一つ一つについて感想を述べさせてもらうことにしました。まず、『部活には、教育的な意義があり、仲間と目標に向かって力を合わせる点で協調性も学べる』という指摘についてです。全くその通りです。しかし、だからといって部活を続けることがよいということにはなりません。大切なのは、時間的にも予算上も、投入できる人的資源も限られている中で、何に重点を置き、何を削るかという比較検討の発想なのです。意義があるから続ける、あるいは加えるという発想だけでは、学校教育はパンクしてしまいます。仲間と...部活総括

  • 丸裸はイヤ

    「データ化の難しさ」5月17日『ハウス農業「勘よりデータ」』という見出しの記事が掲載されました。『全国有数の施設園芸県・高知では、ビニールハウス内の環境をスマートフォンなどで管理する動きが急速に進む』現状を紹介する記事です。具体例として、『ハウス内に設置されたセンサーやカメラが二酸化炭素や日照量、生育状況などをモニターし、(スマホの)画面で確認できる。光合成に最適な状態もグラフで示され、天窓の開閉も自動化されている』という、ある農家の様子が紹介されていました。『担い手の高齢化や新規就農の壁』という県の農業が抱える課題を克服するために、県や地元の大学などが中心となり、『経験や勘に頼っていたあり方を見直し』てきたそうです。農家の方々からも、『代々続けている人は肌感覚で栽培方法が分かるが、新規参入組はデータが頼り』と...丸裸はイヤ

  • 言葉と意識

    「退却は転進」5月17日『「敵基地攻撃能力」→「反撃能力」改称言い換え裏に別の意図』という見出しの記事が掲載されました。『「敵基地攻撃能力」について、自民党が「反撃能力」に改称するよう政府に提言した(略)同じ武力行使を意味する言葉だが、あえて言い回しを変えるとは、裏にどんな政治的意図が隠れているのか』という問題意識で書かれた記事です。この言い換えについては、記事の中で様々な分野の識者が、『本質隠す姑息な手法』『名と実には大きな隔たり』などの批判を述べています。そして、『先の大戦でも言葉がことごとく言い換えられ、本質がぼかされた歴史が日本にはある。全滅は「玉砕」、退却は「転進」、戦死は「散華」にそれぞれ変わり、敗戦も「終戦」に置き換えられた』という例を挙げ、政治家の言葉が軽くなっていることへの憂慮が示されていまし...言葉と意識

  • セクハラではない

    「セクハラ」5月16日『薄毛男性に「はげ」セクハラ』という見出しの記事が掲載されました。『英国の雇用審判所は15日までに、薄毛の男性を職場で「はげ」と呼ぶのは性別に関連した言動で、セクハラに当たるとする判決を言い渡した』ことを報じる記事です。私は教委勤務時に視察先の幼稚園で、遠慮のない子供の「どうして禿てるの」という言葉に苦笑いさせられたことがある、薄毛の男性です。ですからこの見出しに吸い寄せられました。そして、全文を読んで、どうにも納得ができなかったのです。上司が職場で部下を「はげ」と呼ぶ、これがハラスメントであることは当然です。しかし、ハラスメントにもたくさんの種類があります。セクハラ、パワハラ、アルハラ、アカハラ、カスハラ等々です。私は、「はげ」と呼ぶことがセクハラに当たるとはどうしても思えなかったのです...セクハラではない

  • 迷惑VS配慮

    「変わる日本?」5月16日『迷惑は時代で変化』という見出しの記事が掲載されました。朝鮮日報東京特派員崔銀京氏が日本社会の『美徳の変化』について書かれたものです。その中で崔氏は、『日本人の全ての特徴は結局、他人に迷惑を掛けないという精神から出発している』としつつ、『現実には異なる』例として、路線バスの遅延をあげています。そして『「遅延バス」の背景にあるいくつかの原因のうち、高齢化の進行が特に影響している』という考えを示されていました。『昼間の時間帯に車内を見渡せば、乗客のほとんどが高齢者』『70歳以上のバス利用率がひときわ高い』という事実をあげた上で、『ほとんどが高齢者や障碍者に配慮した「ノンステップバス」『座席の半分以上が交通弱者のために確保された優先席』『車椅子利用者が乗り降りする時は、運転手がバスを降りて手...迷惑VS配慮

  • 今までは何をしていた?

    「今までは何をしていた?」5月16日『半数超「準備に課題」文科省調査道徳教科化で』という見出しの記事が掲載されました。文科省が、『学習指導要領一部改定で正式教科となった小中学校の道徳について、学校に指導上の課題などを尋ねた初調査の結果を公表』したことについての記事です。少ない字数のためか、理解することが難しい内容でした。記事によると、『半数超の学校が授業準備の時間確保が課題』と回答したそうです。授業準備とは、『教材の吟味や授業構想』のことだそうです。どういう意味なのでしょうか。教科化以前にも特設道徳の時間はありました。そのときには教材の吟味も授業構想も行っていなかったということなのでしょうか。そんなはずはありません。教科であろうがなかろうが、授業をする以上、教材を吟味し、複数の授業の流れを想定し、主な発問とその...今までは何をしていた?

  • 友のいない人生

    「友人」5月15日人生相談欄で、作家高橋源一郎氏が、40代女性からの相談に答えていました。相談内容は『友人との旅行(略)旅行後に父の手術の予定があり、私が体調を崩したら困るので今回はキャンセルさせてほしいと頼むと友人は激怒(略)それまでのようにやり取りできなくなりました。私の心が狭いのでしょうか』というものでした。高橋氏の回答は、『「友人」って何でしょうね。一緒に力する「友人」。でも、理由があっていけないというと文句をいう「友人」。その人、あなたのことを理解しようと思ってないですよね。ぜんぜん。そういう人って「友人」じゃなくて、単なる「知人」じゃないでしょうか。それ、いてもいなくてもどっちでもいい人ですよ』。正直に言うと、私は本欄の高橋氏の回答には違和感を覚えることが多かったのですが、今回はとても共感しました。...友のいない人生

  • 被害者なんだけど

    「責任?」5月14日近事片々欄に、『中学教員の74%が「過労死ライン」超え。「ブラック職場」の汚名そそげぬ学校現場』という記述がありました。とても不快に感じました。この記述をそのまま受け取れば、ブラック職場と呼ばざるを得ないような状況を許しているのは、学校現場であり、改善への方策をとることができないのも学校現場の無能ゆえであり、すべての責任は学校現場、即ち、教員にあるということになります。精々拡大解釈しても、校長などの管理職や管轄する教育委員会に責任があるということです。もちろんそれは事実と異なります。過労死ラインまで働きたいと考えている教員はいません。自分の学校の教員が過労死しても構わないと考えている校長もいません。教員は聖職なんだから過労死ぎりぎりまで子供のために滅私奉公すべきだと言う教委の幹部もいません。...被害者なんだけど

  • 構造的な問題

    「欠点を理解して」5月12日『部活動指導者の暴力教育どころか人権侵害だ』というタイトルの社説が掲載されました。『熊本県の私立秀岳館高校サッカー部でおきた指導者の暴力問題』について、悪口側の対応や体質を批判するものです。念のため、事件を振り返っておくと、『コーチによる暴力は24件確認された』『監督がミーティングで(暴力行為を撮影した)動画を投稿した部員を名指しして「加害者」と呼び、「完全な被害者は俺」と発言した』『ミーティングの後には、部員11人が並んで「迷惑をかけてしまい、申し訳ありません」などと謝罪する動画が、サッカー部の公式SNSで公開された。撮影には監督が関わっていた』ということになります。社説では、『監督が部員を使ってコーチの暴力をもみ消そうとした』『部員に対する高圧的な態度は傲慢さの表れ』『部員たちは...構造的な問題

  • 優先すべきは

    「前提は何か」5月12日『吹奏楽地域移行に難題』という見出しの記事が掲載されました。『部活動の実施主体を学校から地域に移す「地域移行」に向け、文化庁の有識者会議が文化部の活動方法を議論している。最大の焦点は、熱心な練習から「体育会系の文化部」とも呼ばれ、生徒の人気も高い吹奏楽部のあり方だ』ということで、吹奏楽部の現状や様々な課題について報じる記事です。記事では、『休日の活動場所を校外の施設に移すには、生徒たちが練習で使う楽器を運び出す必要がある』『学校に民間の指導者を呼べば、校舎の扉の開け閉めや、活動中の事故に備えて教員が出勤せざるを得ない』『生徒の力量に合わせた指導も必要だ。「土日は違う先生と練習してね」とは言いにくい』などの課題が挙げられていました。そんなことは有識者会議など開かなくても分かっていたことです...優先すべきは

  • 罰せられないならば私も

    「校則問題との関連は」5月11日『使ったマスク闇売買』という見出しの記事が掲載されました。『口紅や唾液などがついた使用済みマスクがインターネット上でひそかに売買されている』ことについて報じる記事です。記事では、中3女子の例が紹介されていました。『「JCのマスク売ります」などとツイッターに投稿(略)これまでマスク15枚が1500円で売れたこともある。連絡してきた人からの依頼で、自身の舌を写した画像などを送信し、現金を受け取ったこともあった』というものです。『漫画を買うお金が欲しくてやっている』というのが動機だそうです。昔、下着やブルマを売る女子高校生が話題になったことがありましたが、今はマスクのようです。それはなぜかと言うと、もちろん新型コロナウイルス禍でマスクの利用が増えたこともあるでしょうが、使用下着の売買に...罰せられないならば私も

  • モデルルームの風景

    「きちんと知るには」5月10日「いきものがかり」リーダーの水野良樹氏が、『ツアー先で知る街の空気』という表題でコラムを書かれていました。その中で水野氏は、ツアーで訪れた先で現地の記者から、「どこか行きたいところはありますか?」と訊かれ、『思わず全国にチェーン展開している某商業施設の名を口にしてしまった』というエピソードを披露なさっています。全国的にも知られたたくさんの名所や名物ではなく、全国チェーンの施設、そんな意外な回答をしたわけについて、水野氏は次のように語っています。『そこには観光地としての飾り気とは無縁の、その街ならではの、本当の日常があるからだ。東京の店と同じメニューを紹介する店員さん。だが彼らの言葉にはその土地の方言を反映したイントネーションがある。隣の席からは現地で生活している人たちの井戸端会議が...モデルルームの風景

  • 背に腹は代えられぬ?

    「誇りは?矜持は?」5月10日『教員不足に緊急提言現場の声発信働き方改善求め』という見出しの記事が掲載されました。『「教員不足」が常態化している問題を受け、現役教員らで作る任意団体「スクール・ボイス・プロジェクト」と有識者が9日、文部科学省でで記者会見し、関係省庁や全国の都道府県、教育委員会に対する緊急提言を発表した』ことを報じる記事です。予算増やスタッフ増強など、提言の中身は概ね妥当なものだと思いますが、一つだけ違和感を覚えたものがありました。それは『特別免許状の適用条件の緩和などの応急措置をとるよう指摘』という記述でした。「特別免許状」というのは、『教員免許がなくても、優れた知識や経験などがある社会人を任用できる』制度のことです。私はこのブログで、同制度を批判してきました。それは、教員は授業のプロ、教えるこ...背に腹は代えられぬ?

  • お国のために

    「聞いたことがない」5月9日『社会に音楽は必要不可欠』という見出しの記事が掲載されました。東京芸大学長を退任されたバイオリニスト澤和樹氏へのインタビュー記事です。その中で澤氏は、『どうすれば芸大で学んだ人たちが世の中に貢献できて、それが世の中から本当に必要なものとして受け入れられるか。それが、自分が学長である一番のミッション』と語っておられます。そして、芸術家のための予算を確保するには、『経済界の人たちが、衰えてしまった日本の国の力を取り戻すには芸術やアートの力が必要だと言ってくれない限り、認められることはないだろうと思った』とも語っていらっしゃったのです。よく分かりません。それは、教員時代、教委に勤務しているときに接した多くの芸術教科、音楽は図画工作・美術の教員からはそうした話を聞いたことがないからです。彼ら...お国のために

  • 「自由に」にまつわるいくつかの問題

    「現実には」5月8日心療内科医海原純子氏が、『持続可能な「頑張り」』という表題でコラムを書かれていました。その中で海原氏は、完全試合を達成した佐々木朗希投手について、高校時代に県の決勝戦で『投球数を理由に登板を控えたこと』、完全試合達成後の次の試合で『完全試合目前の八回で交代した』ことを取り上げ、『これまで限界を超えて頑張るのをよしとしてきた日本スポーツの伝統を別の視点から見直し』たと評価なさっています。その上で、『限界を超えて頑張り、そこで燃え尽きるということを美しく潔いとする考え方もある。限界を知り、そのぎりぎりを見据えて持続可能な試みを継続していくという考え方もある(略)どちらがいい悪いということではないが、自分の気持ちが納得できる方向を選べる自由が大切』と述べていらっしゃいます。そうなのでしょうか。もし...「自由に」にまつわるいくつかの問題

  • 悪目立ちしたくない

    「臆病になる」5月6日『痴漢NO企業、異例の連携』という見出しの記事が掲載されました。『民間企業4社が、関東・関西の店舗で啓発ポスターを張り出すなどの痴漢抑止キャンペーンをスタートさせた』ことを報じる記事です。こうした取り組みは珍しいようで、中心となった方が『メーカーなどに活動への協力を持ちかけたが、「前例がない」などの理由で断られていた』そうです。その経緯を述べる中で、気になった記述がありました。『活動を応援していた企業の社員が痴漢をしてニュースになれば、たたかれるリスクがある。その活動に協賛する企業はいない』という某広告代理店の社員の言葉です。よく分かってしまうのです。学校でも同じだからです。かつて道徳教育研究推進校でいじめが発生したとき、「道徳教育を充実させているはずなのに、いじめがあったなんて」と有識者...悪目立ちしたくない

  • ほどほどに、なんだけど

    「中道を」5月5日読者投稿欄に、兵庫県の主婦T氏による『学校は多様な個性が集まる場』と題する当初が掲載されました。その中でT氏は、『学校は多様な個性が集まる場で「周囲と違うのはすてきなこと」を学ぶ場でもあります』と書かれています。その通りです。私が教委に勤務していたときも、生活指導を担当する主任指導主事が、金子みすゞ氏の「みんな違ってみんないい」を引用しながら、個性を尊重して育てることの大切さを強調していたものです。しかし、一方で、学校とは個性を削り、剪定する場でもあるということを忘れてはなりません。チャイムが鳴ったら教室に入り席に着く、ということを強制する場なのです。もっと遊んでいたい、校庭を走り回りたい、花壇の花を見ていたい、暑いからプールに入って水浴びしたい、という思いを抑え付けるのが教員なのです。こうし...ほどほどに、なんだけど

  • 他者は止められない、

    「願う心」5月5日『「こどもの日」と平和大切さ共に考える機会に』というタイトルの社説が掲載されました。もちろん、ロシアによるウクライナ侵攻を受けてのものです。『子どもたちに、大人が伝えたいと思っていることがあります。平和の大切さです』『憎しみをかき立てるのではなく、平和を願う心を育むにはどうしたらいいのか。多くの先生が頭を悩ませています』という文章に表されているように、「心」に焦点をあてた内容になっています。紹介されている取り組み例も、『平和を祈る折り鶴を約5000羽集めました』『ウクライナの民話「てぶくろ」を読み聞かせ~』という情緒的なアプローチのものばかりです。私はこのブログで、我が国の学校教育の伝統ともなっている情緒的な平和教育について疑問を呈してきました。戦争の悲惨さ、戦禍に苦しむ子供と高齢者、肉親を亡...他者は止められない、

  • 現場は法律で動いているわけじゃないんだよ

    「知っているつもり」5月4日『無責任な観光船運航』という見出しの記事が掲載されました。知床半島沖で観光船が沈没した事故の要因を報じる記事です。記事によると、安全管理規定・運航基準を巡っていくつもの問題が指摘されているようです。『運航管理者は船舶航行中、原則として営業所に勤務』とされているにもかかわらず、『運航管理者の社長は不在』であったこと、『運航管理者を代行する運航管理補助者』の社員も不在、『船長は運航基準図に記載の地点に達した場合、運航管理者に連絡』すべきなのに実施せず、といういい加減さです。しかも、社長自身は、自身が運航管理者であることさえ自覚していなかったとも報じられています。最悪です。しかし、こうした規程・基準違反というのは、実は我が国の組織では珍しくないのではないかとも思っています。それは、かつては...現場は法律で動いているわけじゃないんだよ

  • その結婚は止めておきなさい

    「教育って言われても」5月1日ノンフィクション作家河合香織氏が、『ゲノム医療推進差別防止法と教育で』という表題でコラムを書かれていました。その中で河合氏は、『法整備や教育により、どのような遺伝を持とうとも責任を押し付けられることなく、個々の意思決定が保証されるようになることが、ゲノム医療を推進する一歩である』と書かれていました。差別に傾きがちな人々の考え方や価値観を修正していくためには教育が必要というのは、大筋では理解できるのですが、具体的にどのような内容になるのか、ということについてはとても難しいと思います。身近なところで言うと、妊娠した女性が検査の結果、生まれてくる子供に染色体異常が疑われるという診断を受けたケースでは、多くの場合中絶を選択するという現実があります。その背景には、ダウン症児に対する無知と偏見...その結婚は止めておきなさい

  • 保護者はスルー?

    「肝心なものが欠けている?」5月1日『子どものストレス長期化』という見出しの記事が掲載されました。『新型コロナウイルスの収束が見通せないことが、子どもたちの心をむしばんでいる』ことを報じる記事で、国立成育医療研究センター社会医学研究部長森崎菜穂氏へのインタビュー記事です。その中に気になるやりとりがありました。『コロナ禍から子どもたちの心を守るために、周囲はどうすべきでしょうか』という問いに対し、森崎氏は『普段から子どもに手を差し伸べている学校の教員や養護教諭、スクールカウンセラー、児童相談所などが、子どもをきちんと支援できる仕組み作りが重要になります』と答えていらっしゃるのです。子供の心を守るとき、最も肝心なものが抜け落ちていないでしょうか。家庭であり、保護者です。今年、こども庁が設立される際に、名称に「家庭」...保護者はスルー?

  • 良い教員に会う幸せ

    「インクルージョン」4月28日『「特別支援の児童・生徒授業過半、支援学級で」文科省、宣告に通知』という見出しの記事が掲載されました。『特別支援学級に在籍する小中学生の約半数が、授業の半分以上を通常学級で受けていることが文部科学省の調査で判明した』ことを受け、文科省が『障害の特性などに十分に対応できない通常学級での授業が多いと学びが保障できないとして、週の授業時間数の半分以上を目安に、支援学級で授業を受けるよう求める通知を全国の教育委員会などに出した』ことを報じる記事です。小さな記事ですが、注目すべき記事だと思います。近年、障害のある子供の教育を巡っては、障害のない子供と共に学ぶべきという考え方が強まっています。その考え方を最大限進めたものが、特別支援教育という枠組みをなくし、全ての子供が同じ教室で学ぶというあり...良い教員に会う幸せ

  • 選別OK?

    「選別?」4月24日『日本のロシア人国籍理由の差別許されぬ』というタイトルの社説が掲載されました。『日本で暮らすロシアの人々や店舗への嫌がらせが起きている。侵略は国家としての行為で、言語道断だ。しかし、国民は個人として尊重されなければならない』ことを訴える内容です。そして、具体的な事例として、『インターネット上には排除するような書き込みが目立つ』『料理店へのネット上の中傷や無言電話もあった』『ロシア食品専門店では看板が壊され~』『旅館は、ロシア人の宿泊を拒否する文言をホームページに掲載』『教授がロシア文学に関するイベントを大学側の要請で延期』などを紹介し、こうした差別を即座にやめるように訴えているのです。当然の主張とはいえ、今この時期に必要な内容であり、リベラルな全国紙としての存在意義を見せた社説だと思って読み...選別OK?

  • 立ちすくむ

    「本当は?」4月23日書評欄に、『「生皮あるセクシャルハラスメントの光景」井上荒野著(朝日新聞出版)』に対する作家角田光代氏による書評が掲載されていました。元編集者でカルチャーセンターで小説講座をもっている月島という男性が、受講生から7年前のセクハラ行為について訴えられるという話だそうです。作品の中で、被害女性は、『七年前、小説の話をしたいと彼女は月島にホテルに呼び出され、数回にわたって性行為を強要された』と訴えます。月島は、『暴力を振るったわけじゃない。脅すようなことを言った覚えもない。自然だったからだ。だが、自分が感じていることを彼女も感じていると確信していたのは間違いだったかもしれない』とコメントします。セクハラ告発の記事を見た人たちは、『告発者の勇気をたたえる』『なぜ七年前のことを今訴えるのか』『恋愛で...立ちすくむ

  • 日本では本人は会見を開かない

    「日本ではクビだが」4月22日週一回、話題や注目の映画について紹介・評価する欄の中に、『時代の目』というコーナーがあります。今回そこで、『アンラッキー・セックスまたはイカれたポルノ』という映画が取り上げられていました。ベルリン国際映画祭金熊賞を受賞した作品だということです。内容は『教師のエミと夫とのセックス映像がネットに流出、エミは釈明のため保護者との集会に臨む。筋立ては簡潔だが、語り口は挑戦的で刺激的』とのことです。山場となる『エミと保護者の対決集会』では、『保護者は差別や選民意識、宗教原理を代表し、私的空間の行為だというエミの主張は、子どもや教育を口実にした彼らの下世話な好奇心と嗜虐的な非難にかき消される』という展開だそうです。私がこの記事に着目したのは、同じような事件を知っていたからです。一つは、小学校の...日本では本人は会見を開かない

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、ヒマローグさんをフォローしませんか?

ハンドル名
ヒマローグさん
ブログタイトル
ヒマローグ
フォロー
ヒマローグ

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用