「もし明日世界が滅びるとしたら、今日あなたは何をする?」という問いは、自分の人生そのものを問われているようでなかなか答えにくいものです。ところでサンタクロースがそう問われたら、どう答えるのでしょう?【ただいま読書中】『アフリカの女王』セシル・スコット・フォレスター著、佐和誠訳、早川書房(ハヤカワ文庫NV191)、1979年(87年3刷)、447円(税別)私が若い頃に夢中になった「海の男/ホーンブロワーシリーズ」の作者による小説です。なんだかこちらもずいぶん評判がよいので、読んでみることにしました。サミュエルとローズの兄妹は、10年間中央アフリカでキリスト教布教を行っていましたが、1914年の夏、ドイツ軍が村を襲い、その結果サミュエルは死んでしまいます。ローズは復讐を誓います。神の名によって、そしてイギリスの名に...もし明日世界が……
今頃になって「医者に行くのは37.5度が4日続いてから、と言ったことはない」と“専門家会議”の人が言っているそうです。発熱3日間で死んだ人がいたからあわてて「なかったこと」にしたいのでしょうが、見苦しいですね。それならどうして保健所に電話した人が「4日」を理由に受診を軒並み断られたんでしょうねえ。あの世に行ったとき、閻魔様に舌を抜かれてしまえ、と私は思っています。科学の世界で「解釈変更」で逃げ切れると思っているのかな?【ただいま読書中】『南北戦争の時代』貴堂嘉之著、岩波書店(岩波新書1771)、2019年、840円(税別)アメリカの19世紀を「南北戦争の時代」と定義した上で、世界史の中でその時代を再評価しよう、とする本です。19世紀初めにアメリカを訪れたヨーロッパ人は、フランスでは暴発しがちな「民主主義」が、ア...専門家の二枚舌
自宅で優雅に寛ぐ姿を公開した安倍首相を「ルイ」とか「(西洋の)貴族」と皮肉る向きがあります。気持ちはわからないでもないのですが、私はその主張には反対です。その理由は2つ。1)安倍さんは日本人。2)西洋貴族にはあった「ノブレス・オブリージュ」の概念が彼にはない。知らない人は調べたらすぐわかるでしょうが、「ノブレス・オブリージュ」は、「特権階級に伴う特別な義務」のことです(「義務」と「権利」が表裏一体の関係であるのと似ています。「(義務を伴わない)特権」とは言っても全くの“無料”ではない、ということ)。日本の小人(ここでは「論語」の概念に従って使っています)が大好きな「役得」の対極に位置する言葉です。いや、西洋貴族ももちろん役得は享受していたでしょうが、それに伴う「ノブレス・オブリージュ」を無視することはできません...安倍首相は「ルイ」ではない
私は子供の時から、下着を着るのがあまりに当たり前なので、その意味を考えたことがありませんでした。着るのが礼儀、だとしたら、見えないのだからどうでも良さそうです。もしも下着が「上着を汚すことを防ぐもの」なのなら、パンツが短く半袖の下着のシャツがあることは不思議です。上着に触れる全身をきっちり覆ってしかるべきですから。さて、下着の意味は?【ただいま読書中】『女性下着の歴史』セシル・サンローラン著、深井晃子訳、EditionWacoal、1989年、9320円(税別)衣服の最古の歴史は、3000年前のシュメールのテラコッタ像とレリーフで、着衣の二人の女性ですが、一人は腰布を巻きもう一人はパンティを履いていて、あとはむき出しの裸です。同時代のエジプトでは、高貴な人は腰布やそれが上下に伸びたチュニックを着ていましたが、奴...下着
親戚が絵を買うのに付き合ったことがありますが、画商は「この画家は号あたり○○万円のランクの人です」という言い方をしていました。この「○○万円」の数字がでかいほどランクが上の画家、ということでした。お肉を買うのに「グラム○円」と表現するのと同じなのが、笑えましたっけ。絵も量り売り感覚なのか、と。別の画商では「額一つが○○万円」とも言っていました。「絵」ではなくて「額」の方が値打ちがある場合もあるようです。【ただいま読書中】『ならず者たちのギャラリー──誰が「名画」をつくりだしたのか?』フィリップ・フック著、中山ゆかり訳、フィルムアート社、2018年、3000円(税別)「美術品の取引は、人々がほしいと思っているが、必要ではないものを買うように説得することだ」と本書は始まります。つまり本書は、画商についての本です。古...絵と肉の共通点
「不要不急の外出」についていろいろ議論されていますが、私の頭の中には「不要・不急の政府」という言葉が浮かんでいます。緊急事態には「不急の政府」は要らない、つまり、不要「不急の政府」、です。「不急の政府」って、変?だけど「クルーズ船に閉じ込めておいたら死者が出る」がわかってからやっと閉じこめを解除し、全国に広がるのを待ってから緊急事態を宣言し、埼玉で「軽症者」が急死してから「自宅待機の方針」を変更する政府ですよ。どう見ても「不急の政府」では?【ただいま読書中】『ホワット・イズ・ディス?──むずかしいことをシンプルに言ってみた』ランドール・マンロー著、吉田三知世訳、早川書房、2016年、3200円(税別)この世には「難しい言葉」や「小難しい言葉」が溢れていますが、シンプルな1000の単語だけを用いてそういった「むず...不要・不急
「十万円支給」について、ずいぶん後出しの決定をしてからあと、毎日毎日「1日でも早く」と担当大臣が述べています。これって「何十日もあとに支給するが、それを1日くらいは前倒しができるように努力する」という意味ですか?マスクが市中に出回るようになってからアベノマスクを支給するように、お金も、犯罪や闇金の被害や首くくりが出るのを待ってから支給する気なのかなあ。【ただいま読書中】『在日朝鮮人とハンセン病』金貴粉著、クレイン、2019年、2000円(税別)「らい予防法」によって日本社会から隔離・監禁されていた「らい患者」は、「病気(後遺症)との闘い」「誤ったハンセン病政策に対する闘い」「ハンセン病患者への差別/偏見との闘い」を行う必要がありました。そして、その療養所に収容された在日韓国人・在日朝鮮人は、それに加えて「朝鮮人...1日×たくさん=たくさんの日々
もし「本」が単なる「モノ(紙とインクの集合体)」だとしたら、その値段が「グラムあたり○○円」となっても良いはずです。ではそうなっていないのは、なぜなのでしょう?【ただいま読書中】『本をめぐる物語──栞は夢をみる』ダ・ヴィンチ編集部編、KADOKAWA(角川文庫)、2014年、520円(税別)目次:「一冊の本」大島真寿美、「水曜日になれば(よくある話)」柴崎友香、「ぴったりの本あります』福田和代、「『馬および他の動物』の冒険」中山七里、「僕たちの焚書まつり」雀野日名子、「トリィ&ニニギ輸送社とファナ・デザイン」雪舟えま、「カミダーリ」田口ランディ、「解釈」北村薫タイトルの通り「本をめぐる物語」の短編集です。「本に関わる人」が多く登場しますが、中には「本そのもの」が主人公だったり(モノとしての本が歴史の中でどのよう...本の値段
疫病が社会に蔓延するのをしっかり確認してから外出自粛だの営業自粛だの、と言いだしたり検査件数をやっと増やす気になったかと思うと、マスクが市場に(高くなってはいますが)戻ってきてから(しかも外出自粛をさせてから)「各家庭に布マスクを二枚」。動くのがワンテンポもツーテンポも遅いなあ、と思っていたら、こんどは「10万円は来月まで待て」だそうです。これも「経済的に破綻する人たちが大量に出るかどうかをしっかり確認してから配ろう」という態度なんでしょうね。でもそれなら政治家の口が「1日でも早く」と動いているのは、なぜ?「1日でも早く」と言うのだったら本当に「1日でも早く」届けた方が、悲劇が少しでも少なくてすむんですけどね。【ただいま読書中】『ドライバーレスの衝撃──自動運転車が社会を支配する』サミュエル・I・シュウォルツ著...遅々として
「緊急事態宣言」を出し惜しみ、出しても“戦力の逐次投入”よろしく順次拡大という愚策しかできない政府ですが、そのあおりで私の地域の公立図書館も臨時休館となってしまいました。これまでも閲覧室は閉鎖でしたが、ネットで予約してカウンターで本を受け取ってさっと帰る、という利用ができていたのが、こんどは入館自体ができなくなってしまったわけです。まだ“借りた本の在庫”は何冊かあるからいいのですが、それを読み尽くしたら早晩このブログも“臨時閉鎖”になってしまうかもしれません。階段下収納の段ボール箱を発掘するか、青空文庫を使うか、手はあるとは思いますが……しかし、カウンターで無言で本をやり取りするだけで感染が拡大しますかねえ。入館時に体温を測るとか「咳やくしゃみ禁止」「無言」を通すとか透明アクリル板でカウンターの正面を仕切るとか...図書館閉鎖
どうして「全国民に10万円を配る」に政府与党があれだけ抵抗するのか、不思議です。だって「輪転機をじゃんじゃん回せばいくらでもお札は印刷できる」のでしょう?可能なことはぐちゃぐちゃいちゃもんをつけていないでさっさと実現させればよいのでは?ちなみにこれは“第一弾”ですよね。アベノミクスだって「三本の矢」で構成されていたのですから、「10万円」も最低「連続三箇月」くらいはやって欲しい。【ただいま読書中】『シャーロック・ホームズと見るヴィクトリア朝英国の食卓と生活』関矢悦子著、原書房、2014年、2400円(税別)ホームズ最初の事件「緋色の研究」は1881年、「四つの署名」事件は1888年頃です。「緋色の研究」ではゆで卵だけの朝食、ウィスキーは水割りでしたが、「四つの署名」での朝食はハムエッグ、ウィスキーはソーダ割りと...10万円
昨年後半に日本で大きな問題とされていたのは、「韓国からの観光客の激減」「海洋のマイクロプラスチック」でした。で、それらは現在問題とはされていませんが、解決したんでしたっけ?【ただいま読書中】『ホテルの創り方──ホテル開発の成否は「相談力」で決まる』村上実・池村友浩著、クロスメディア・パブリッシング、2019年、1980円(税別)事業者(特に異業種の人)が「ホテルを創ろう」と思い立ったとき、どうしたらよいか、の本です。ゼネコン、設計会社、デザイナーなど、各業種での「思い」にはずれがあります。また、マクロ経済との関係も重要で、すでに過当競争の所に新規参入しても倒産リスクが大きくなるだけになるかもしれません。そこで本書の共著者は「相談力」に着目しました。ホテルとマンションを造るのは相当違うそうです。私はどちらも造った...たった半年前
私が子供のころには、少年漫画雑誌と少女漫画雑誌はきっちり分かれていて、それが“普通”だと思っていました。しかし江戸時代にはそんなものはなかったわけで、ではいつ頃からそういった「少年向け」と「少女向け」のメディアが生まれたのだろう、という疑問が生じました。疑問があるのなら調べましょう。ということで、今日の読書です。【ただいま読書中】『「少年」「少女」の誕生』今田絵里香著、ミネルヴァ書房、2019年、4000円(税別)1877年(明治十年)日本で最初の子供向けメディア『穎才新誌』が創刊されました。これは「子供が自分の作品(作文、詩、短歌、俳句、絵画など)を投稿する雑誌」でした。子供時代の尾崎紅葉、田山花袋などは投稿に熱中しました。自分の作品が評価される、という喜びとともに、全国の小学生と競争ができるという競争心もこ...男女別の漫画雑誌
ユダヤ教・キリスト教・イスラムは一神教、とよく言います。だけどキリスト教には、三位一体やら聖母信仰やら聖人信仰やらがあって、まるで多神教のようじゃないです?【ただいま読書中】『台風』ジャクリーン・ディニーン著、平間あや訳、偕成社、1996年熱帯性低気圧は世界あちこちで発生していますが、北太平洋西部で生まれたものが「台風」と呼ばれます(北太平洋東部や大西洋だとハリケーン、インド洋で発生したらサイクロンです)。台風は年中発生していますが日本では日本に接近または上陸したときだけ話題になります。台風がまだ遠くにあっても、高潮による被害が生じることがあります。高潮は、強い風で海水が陸地に不意寄せられる作用と、低気圧によって海面が盛り上がる作用の両方が重なっておきます。それで高潮が堤防より高くなったら、陸には被害が生じるこ...キリスト教は一神教?
私たちはつい「イルカは」とは「犬は」とか一般化してしまいがちですが、では「ヒトは」と言った場合動物としてのヒトはどのくらい一般化ができているのでしょう?【ただいま読書中】『生まれたときからせつない動物図鑑』ブルック・バーカー著、丸山貴史監訳、服部京子訳、ダイヤモンド社、2018年、1000円(税別)前作『せつない動物図鑑』が世界でウけたものですから、満を持しての第二弾。こんどは「赤ちゃん」「子育て」に絞っての動物図鑑です。まずは「せつないほ乳類」から。子育てを群れ全体で行うのはミーアキャット、母親が単独で子育てを行う(それも最初はずっと抱っこして片時も離さない)のがオランウータン。一年間ずっと親がおんぶしているのはオオアリクイ(背中は子供一匹分の広さなので、だから出産は年に一匹だけです)。続いて「せつない有袋類...ヒト
日本政府は「最初は外出自粛だけで2週間はその効果を見極めたい」と主張しています。これって「今はこのままで、来年とりあえず入試を受けて、それで合格したらOK、落ちたらそこで真剣に受験勉強を始めればいい」と言って適当なことだけしている受験生を見ているような気分がします。「いつ努力するの?」「今でしょ!」ではなかったかなあ。危機的状況の場合には、私は「判断を安全側に倒す(最悪の場合を想定して、そういった最悪は起きないかもしれないけれど、起きないように最大の努力をしておく、そして起きた場合には対応策をすでに準備してある状態にしておく)」が好みなんですが、日本政府は「きっとこれで大丈夫だよ」とのほほーんと生きるのが好みのようです。【ただいま読書中】『お殿様の人事異動』安藤優一郎著、日本経済新聞出版社、2020年、850円...外出自粛の効果を見極める
10年くらい前、「エコカー補助金」というのがあって政府が援助するからエコカーの新車を買え、とやってました。それが今では「サポカー補助金」で、65歳以上が自動ブレーキ付きの新車を買うと補助金が出るのだそうです。するともう10年後には「自動運転補助金」(年齢制限なし)があり、さらに10年後には「空飛ぶクルマ補助金」があるのかな?【ただいま読書中】『空飛ぶクルマのしくみ──技術×サービスのシステムデザインが導く移動革命』中野冠監修、空飛ぶクルマ研究ラボ著、日刊工業新聞社、2019年、2000円(税別)「空飛ぶ自動車」として現在開発中の物で最有力なのは、ドローンの発展型の「eVTOL」です。電動の垂直離着陸機で、自動車の機能はありませんけれどね。昔のSFによく出てきた空陸両用車も面白そうです。アメリカでは移動距離が長く...○○カー補助金
CDやDVDでクラシック全集の宣伝を時々やっています。なるべくバラエティーを持たせようとするのか、作曲家や曲のジャンル(交響曲や協奏曲)、指揮者、オーケストラが「これでもか」というくらいいろいろ詰め込まれていて「これだけ入っていて○○円、お得でしょう?」感が充満している広告ですが、ではこういった全集の“ターゲット”は誰なんだろう、と思うことはあります。初心者にとってはちょっと重すぎます。すごいボリュームですからこれを全部興味を維持したまま聞き通すのは大変。でも熟練のファンにとっては不足でしょう。もう自分が好きなスタイルが確立している人は、それ以外がたくさん含まれている全集は雑音だらけに感じるはず。となると、対象は中級のクラシックファン?それだったらもう少し「ガイド」が親切な方が良いし全集の「ポリシー」を明確にし...クラシックのセット
「賄賂が横行する腐敗した社会」と聞くと、遅れているなあ、という感想を述べるのが日本人の標準的な態度でしょう。もうちょっと法と倫理が機能すれば良いのに、と。しかし日本社会では、「縁故採用」「裏口入学」なんてものは今でも機能しています。そういえば最近、東京医科大学が私立大学支援事業に選定されることとひきかえに文部科学省の局長の息子を不正に合格させました。さて、日本社会は「遅れた腐敗した社会」なのでしょうか?むき出しの現金のやり取りではないから「洗練された腐敗社会」と言う方が良いかな?【ただいま読書中】『<賄賂>のある暮らし──市場経済化後のカザフスタン』岡奈津子著、白水社、2019年、2200円(税別)冷戦終結・ソ連崩壊により、バルト諸国や中東欧の諸国は民主化や市場経済への移行を目指しました。ある程度うまくいった国...賄賂社会の洗練度
人類が変なちょっかいを出さない状態が、一番自然にとっては嬉しいかもしれません。【ただいま読書中】『英国貴族、領地を野生に戻す──野生動物の復活と自然の大遷移』イザベラ・トゥリー著、三木直子訳、築地書館、2020年、2700円(税別)フランスではコキジバトの狩猟がされていますが、イギリスでは狩猟がされていません。ところがイギリスではコキジバトが激減しています。オークの古木はイギリスの「懐かしい風景」のシンボルですが、これもどんどん減少しています。その原因は、集約農業。つまり農業は自然破壊なのです。著者は自分の懐かしいオークの古木を救おうと樹医に診てもらってそのことを知り、心の中で複雑な連鎖反応が起きるのを感じます。そのときたまたま著者らの農場経営は危機に瀕していました。断腸の思いで酪農と耕作をあきらめた著者と夫の...自然保護
今うっかり風邪を引くと「コロナじゃないか」と自分も他人も心配する、という状況です。ところが現在はヒノキ花粉が盛んに飛んでいて、これで私は盛んにくしゃみが出ます。困ったものです。おでこに「私はスギとヒノキ花粉症です」と書いておくのも変ですし。黄砂ももう飛んでいるし、PM2.5も……あ、これは中国(というか世界中)での経済減速でちょっと減っているかもしれませんね。温室効果ガスの排出もちょっと減って、経済だけではなくて地球温暖化もほんの少しは減速しているかもしれません。そう思ってもあまり嬉しくはないのですが。【ただいま読書中】『「駅の子」の闘い──戦争孤児たちの埋もれてきた戦後史』中村光博著、幻冬舎、2020年、880円(税別)「京都駅前で撮影された戦争孤児の写真」から取材が始まり、最終的に2018年NHKスペシャル...咳やくしゃみ
政治家の子が政治家になる例はずいぶん多いし、金持ちの子の方が高等教育を受けやすくてまた金持ちになる、というのも、現在の日本の風潮となっています。万人平等の民主主義国家のはずですが、「生まれ」が決定因子となる世襲制の封建国家に日本はなったんだな、なんてことを感じます。ただ、そういった世襲国家になるのだったら、それはそれでよいことがあるかもしれません。たとえば江戸時代には林業がきちんと機能していましたが、それは「自分の孫子の代のこと」まで人が考えていたからです。現在の「次の選挙のことだけ考える政治家」や「担当している2〜3年だけその分野のことをやればよい官僚」は「自分の孫子の代の日本」のことなんか考えませんからね、だから林業がここまで衰退してしまった。ならば「林業を担当する政治家と官僚は、終身制で世襲制」とするのは...現代の封建制
普通のパン屋さんでも原材料表示が当たり前にされるようになりましたが、先日そういった店の中で、一人の客が店員に質問を繰り返していました。「塩というのは天然塩か精製塩か」「卵は有精か夢精か」など、根掘り葉掘り。アレルギーがあるから気にしているのかもしれませんが、それだったら「○○は使ってあるか?(それを避けたい)」という質問になりそうです。なにか、とても個人的なこだわりがあるのかもしれません。ただ私にとっての問題は、私が買いたいパンの棚の前を二人が占領していること。買いにくいではありませんか。神経質な人は自分の行動が他人に及ぼす影響については無神経なのかな、なんてことを思いました。【ただいま読書中】『遺物は語る──化学が解く古代の謎』ジョーゼフ・B・ランバート著、中島健訳、青土社、1999年、3600円(税別)遺跡...「神経」はあるのかないのか
織田信長が立ったまま湯漬けをかっこんで、「いざ出陣」というシーンを初めて読んだとき「なんて格好良いんだ」と子供の私は思いました。ただ、実際に湯漬けを食べてみようとは思いませんでした。なんだか不味そうに感じたものですから。だけど世の中には、それを実際に食べてみた人もいるわけです。本書はそういった人が書いた本です。【ただいま読書中】『戦国、まずい飯!』黒澤はゆま著、集英社(インターナショナル新書)、2020年、840円(税別)「戦国時代に「喉を通らないくらい不味い」と記録されている「赤米」が実際にはどんな味がしたか」「良い家柄の美少年だった井伊直政が味噌汁ではなくて糠味噌汁を食べたのはなぜか」「里芋の茎を縄にして味噌で煮て乾かした「芋がら縄」は本当に戦場で「インスタントスープ」として使えたのか」などなど、“げてもの...湯漬け
醸造酒を蒸留したら蒸留酒になります。たとえば日本酒は焼酎に、ワインはブランデーに。では、醸造酒の代表であるビールを蒸留したら、何になるのでしょう?【ただいま読書中】『ぼくは蒸留家になることにした』江口宏志著、世界文化社、2019年、1600円(税別)そもそも「蒸留家」って何だ?と思いますが、著者はまず「ちょっと変わった本屋をやっていたこと」から話を始めます。「本」から「ライフスタイル」に興味が移っていった著者は、自分の手で何かを作りあげたいと思うようになります。そこでドイツの(出版社をやめて「蒸留家」になった)クリストフ・ケラーの存在を知り、そこに弟子入りをしてしまいます。そこでの作業で著者が学んだのは「蒸留のテクニック」というよりは「自然との付き合い方」でした。動物を世話し、果樹を取り入れる。そういった重労働...醸造酒と蒸留酒
私が子供のころには身近な柑橘類は「うんしゅうミカン」のみで、あとはネーブルがあるくらい。昭和40年代にアメリカのグレープフルーツ輸入自由化があり、それに続いてオレンジ輸入自由化があってバラエティーは増えました。それが今では「ミカン」だけでもまるで産地ごとのように異なる品種が売られています。実際に味わってみると確かにそれぞれが違う。柑橘類って、こんなにバラエティーが豊かなものだったんですね。【ただいま読書中】『レモンの歴史』トビー・ゾンネマン著、高尾菜つこ訳、原書房、2014年、2000円(税別)今から2000万年くらい前、アジアとオーストラリアがまだくっついていた頃、マンダリン、ザボン、シトロンという柑橘の3つの野生種が発生しました。現在私たちが知っている柑橘類(オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライムなど)...ミカンの種類
まだのどかだった時代、「開店前から行列」と言えば、人気のラーメン店やパチンコ店、と私は感じていましたが、今はドラッグストアですね。通勤途中のドラッグストア、けっこう早い時間から行列ができています。だけど、マスクは今はネットでも普通に売っています。値段は以前の倍以上になっていますが、それでも「在庫あり」が並んでいるので、以前のような「どこにもモノがない」ではなくて「時間や手間とお金のトレードオフ」の段階には回復しているようです。不要不急の買いだめさえなければ、「回復」はもっと速くなるんじゃないかな。【ただいま読書中】『オレゴン・トレイル物語──開拓者の夢と現実』天野元・藤谷聖和・藤本雅樹著、英宝社、1997年、3200円(税別)「オレゴン・トレイル」とは、基幹ルートはミズーリ州インディペンデンスを起点に、ネブラス...開店前から行列
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