chevron_left

メインカテゴリーを選択しなおす

cancel
ただいま読書中 https://blog.goo.ne.jp/mxd00665

おかだ 外郎という乱読家です。mixiに書いている読書日記を、こちらにも出しています。

おかだ外郎
フォロー
住所
未設定
出身
未設定
ブログ村参加

2015/01/19

arrow_drop_down
  • エネルギー

    「エネルギー」って、日本語ではなんと言うんでしたっけ?【ただいま読書中】『エネルギーの科学史』小山慶太著、河出書房新社、2012年、1300円(税別)元素が出す光を分光器に通すと固有のスペクトラムが生じることが発見され、1860年代に「分光学」が確立しました。1868年の皆既日食で、太陽本体が月に隠されたとき、その周囲のコロナのスペクトラム分析で、未知の元素が発するスペクトラムが発見され、その元素は「ヘリウム」と名付けられました。地球上でヘリウムが発見されたのは1895年のことです。1852年ケルヴィンは「自然における力学的エネルギーの普遍的な散逸傾向について」という論文で、「変換によってもエネルギーの総和は保存されるが、変換によってエネルギーの有用性は減少する方向に一方通行的に進行する」と述べました。1846...エネルギー

  • 砂漠の指揮官

    2月28日に読んだ『砂漠の戦争──北アフリカ戦線1940-1943』(アラン・ムーアヘッド)はイギリス軍から見た北アフリカ戦線でした。今日の本はドイツ軍の側から見ています。というか、本書はロンメルその人が書き残し(そして散逸した)記録をまとめたものです。編者は「砂漠」「指揮官」「機動力重視」「文才がある」というキーワードから、ロンメルと(アラビアの)ロレンスを並べています。なるほど、ドイツとイギリスの違いはありますが、その「本質」は似ているのですね。【ただいま読書中】『ドキュメントロンメル戦記』リデル・ハート編、小城正訳、読売新聞社、1971年(72年3刷)、800円ヒトラーがロンメルに注目したのは、ロンメルが著した『歩兵の攻撃』という優れた本によりますが、彼はそれを書くときに第一次世界大戦時の日記以外にきちん...砂漠の指揮官

  • 地理

    私が最後に地理の授業を受けたのは、高校一年の時です。ちょっと変わった高校で、文系も理系も社会科5つ(日本史、世界史、地理、政治経済、倫理)理科4つ(物理、化学、地学、生物)を学ばされたのですが、今にして思うと学んでおいて良かった。現在、どの分野の本を読んでも、取りあえず基礎知識があるのでどれも楽しめますから。【ただいま読書中】『新しい地理の授業──高校「地理」新時代に向けた提案』千葉県高等学校教育研究会地理部会編、二宮書店、2019年、2500円(税別)h「新しい地理」と言われても、私はもう「古い地理」さえしっかり覚えていないのです。で、目次を見て驚きます。3つの章から成るのですが、「地図や地理情報システムで捉える現代世界」「国際理解と国際協力」「持続可能な地域づくりと私たち」。なんだ、これ。今の高校生はこんな...地理

  • お金で買えないもの

    「資本主義の世界ではたいていのものがお金で買えるが、それでもお金で買えないものって、何?」と聞かれて「尊敬」とか「愛情」とか答える人がいますが、こういったときに真っ先に登場する回答が「その人が欲しくて欲しくて、金で買えるものなら買いたいと思っているもの」ではないでしょうか。少なくとも「欲しくないもの」は答えないでしょう。【ただいま読書中】『三越誕生!──帝国のデパートと近代化の夢』和田博文著、筑摩書房(筑摩選書0183)、2020年、1600円(税別)明治37年(1904)合名会社三井呉服店の営業を引き継いで「株式会社三越呉服店」が設立されました(日露戦争で第三軍が203高地を占領した翌日)。三井家が「越後屋」という呉服店を創業したのは1637年のことでしたが、20世紀になって三井家の事業を銀行・物産・鉱山に絞...お金で買えないもの

  • 四つめ

    「夜目遠目傘の内」と俗に言いますが、もう一つ、そして最強なのは「ひいきめ」ではないでしょうか。これさえあれば、昼に近くでまじまじと見ても「美人だ」と心から言えます。【ただいま読書中】『ゼロ年代の想像力』宇野常寛著、早川書房、2008年、1800円(税別)https://www.amazon.co.jp/gp/product/4152089415/ref=as_li_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4152089415&linkCode=as2&tag=m0kada-22&linkId=672d5d159972da650d7c7e25b4996d23著者は1990年代の「想像力」を「古い想像力(社会的自己実現への信頼低下、「行為」ではなくて「状態」をア...四つめ

  • 巧言の巧者

    「100%」とか「完全」とかをやたら発言に散りばめる人は「(自分が)反省しなければならない」と言うときにはそういった言葉を一切使いません。【ただいま読書中】『罪刑法定主義(新訂第二版)』大野真儀著、世界思想社、2014年、6800円(税別)「罪は罰せられなければならない」「罰は法によらなければならない」は、私にとっては“常識”で、「それはなぜか?」と尋ねられると「ぼーっと生きていてごめんなさい」と言わなければならない状態です。そこで役に立ちそうな本を読んでみることにしました。「罪刑法定主義」は「マグナ・カルタ」から始まる、という説と、そうではないという説が論争をしているそうです。私自身は「罪刑法定主義」の本質がいかなるものか、がある程度わかれば良いので、マグナ・カルタをラテン語で読んだらどうのこうの、という論争...巧言の巧者

  • 掛け売り

    私は田舎にいたときに、本屋でつけで買っていました。徒歩通勤だったし、昼食は職員食堂での給食だったので財布を持ち歩かない習慣がついてしまって、仕事帰りに本屋によって「あ、財布を忘れた」「あとで良いですよ」から始まった掛け売りです。当時、毎月1冊出る全集を2種類と、月刊誌を2冊定期購買、あとは文庫本を不定期に、程度の購入だったのですが、田舎では珍しくたくさん購入する人間だったらしく、「こんど転勤するので定期購買は今月まで」と挨拶したときにお餞別をもらえました。本屋さんから餞別をもらったのはこれが最初で最後です。【ただいま読書中】『ナチス破壊の経済(下)』アダム・トゥーズ著、山形浩生・森本正史訳、みすず書房、2019年、4800円(税別)1940年5月10日「西部戦線」が急に活気づきます。ベルギーとオランダがドイツの...掛け売り

  • 奴隷制度や強制収容所

    この「労働」は給料を払わなくて良いから「安くつく」と一瞬思えますが、熱意も元気もない人たちの労働効率は悪いし、見張りの人間が余分に必要だし、脱走防止の設備投資も必要だし、飯も食わせなきゃいけないし、実はものすごくコスパが悪い労働形態なんじゃないです?そういえば昔の北朝鮮の宣伝映画で、労働者が必死に働いているすぐそばで、若い女性たちが踊ったり歌ったりして“激励”をし、さらにその隣には武装した兵士たちが見張っている、というのを見て、私は「画面に映っている30人の内働いているのは10人だけか?これでは経済成長は悪いぞ」と思いましたっけ。北朝鮮の労働者は奴隷でも強制収容所の収容者でもないのでしょうけれどね。【ただいま読書中】『ナチス破壊の経済(上)』アダム・トゥーズ著、山形浩生・森本正史訳、みすず書房、2019年、48...奴隷制度や強制収容所

  • よげん者

    予言者はけっこうたくさんいますが、その多くは間違った予言も平気でしています。預言者は予言者よりは数が少なくなりますが、その真贋がわかるのは神だけ、というのが困りものです。現実社会にはびこっているのは、余計なことだけ口走って事態を混乱させる、余言者かな?【ただいま読書中】『武士道とキリスト教』笹森健美著、新潮社(新潮新書505)、2013年、680円(税別)小野派一刀流の宗家で同時に牧師でもある著者は、武士道とキリスト教は相反するものではない、と言います。文明開化の明治初期、日本にやって来た宣教師たちに強く影響を受けたのは、主に士族でした。まだ宗教の自由が認められる前に、殉教も厭わず来日した彼らの「覚悟」に、若い士族は武士道に通じるものを見たようです。そういった中に、内村鑑三や新渡戸稲造がいました。忠節を尽くすべ...よげん者

  • 有用な人はとことんこき使う

    日本では教師には残業手当が支給されない制度だ、と聞いてあきれたことがあります。最近では医師の残業は年間2000時間まで、というとんでもない“規制”が屁理屈とともにまかり通りました。そして今回は、自衛隊員。なんと予算不足で足りなくなったトイレットペーパーを隊員が自腹で買っているのだそうです。日本って、素敵な国ですね。【ただいま読書中】『自衛隊員は基地のトイレットペーパーを「自腹」で買う』小笠原理恵著、扶桑社(新書310)、2019年、840円(税別)「自衛隊は安月給に見えるが、食費と住居費は国が持つからその分は貯金ができる」は自衛隊勧誘でよく使われた言葉だそうです。ところがこれは大嘘で、あらかじめ食費と営舎経費が天引きされているから安月給になっているだけ、なのです。しかも、食費は引かれるのに、自分が好きなものを食...有用な人はとことんこき使う

  • 本は燃える

    「焚書」で私がすぐ思い出すのは、「アレクサンドリア図書館の火災」「秦の始皇帝による焚書坑儒」「ナチスの焚書」「華氏451度(レイ・ブラッドベリ)」くらいですが、1986年にアメリカのロサンゼルス中央図書館で大火災が発生して40万冊が焼かれ70万冊が損傷を受けたそうです。個人的な体験では、学校が火事になったとき、私の教室は焼けなかったのですが、消火活動で教科書やノートが濡れて使い物にならなくなっていたのを思い出します。あれが図書館規模で起きたら、一体どんな惨状だったことか、と本と図書館が好きな私は打ちのめされたような気分になってしまいます。【ただいま読書中】『炎の中の図書館──110万冊を焼いた大火』スーザン・オーリアン著、羽田詩津子訳、早川書房、2019年、2600円(税別)子供の時に「図書館の魔法」にかかった...本は燃える

  • 貯蓄に回させない

    貯蓄に回させない「新型コロナウイルス、第三弾の緊急経済対策はどうなるか?」(ニッセイ基礎研究所)》現金給付や所得税減税なども検討の俎上にのせられるだろうが、それらは貯蓄に回りがちなため、より積極的に消費者の背中を押す仕組みが必要になってくる一番手っ取り早いのは「一箇月間消費税0%」でしょうが、これは金持ちばかりが大喜びしそうですね。貧乏人が大喜びしそうでしかも「貯蓄に回り」にくそうなのは、ベーシックインカムのようなものでしかも期限付き(「早く使わないと損をするぞ」)のもの、たとえば有効期限1箇月の10万円クーポンを全国民に一律に配布。これだったら、私は大喜びで、さっさと使います。大金持ちは「なんだ、一人10万円か」でしょうけれど。【ただいま読書中】『ソフトウェア博物誌──世界と機械の記述』マイケル・ジャクソン著...貯蓄に回させない

  • 働き方改革

    「働かせ方」を改革しない限り、変わるのは表面だけ、という嫌な予感がします。というか、「働き方改革」という言葉を選択することで「問題の所在は労働者」と主張する人の意識も改革しないと、結局改革されるのは言葉だけ、になるのではないかな。【ただいま読書中】『過労死110番──働かせ方を問い続けて30年』森岡孝二・大阪過労死問題連絡会編、岩波書店(岩波ブックレット)、2019年、520円(税別)「働き方改革」を旗印に、2018年に「働き方改革」法案が閣議決定、国会を通過して2019年4月から施行されました。しかしこの法案には「過労死」をむしろ助長する「罠」が仕掛けてあります。たとえば残業時間の「上限」設定は、「法定労働時間」の形骸化を招きます。「上限までこき使っても良いと政府が保証してくれた」と考える人間は必ず存在し、数...働き方改革

  • 結局「答弁」は?

    検察官の定年延長の理由は「社会が変わったから」で、その例として「震災で検察官が真っ先に逃げた」が森法相によって挙げられ、結局「それは事実に反する」と答弁撤回と謝罪になったわけです。で、「定年延長」の理由の「社会が変わったから」の例は、何なんです?【ただいま読書中】『黙示の島』佐藤大輔著、角川書店、2002年、1600円(税別)迫り来る少子高齢社会と経済停滞に対して、日本政府は長寿計画(ロングライフ→L2計画)を特区で試行することにしました。本土から船で2日半離れた孤島、鼎島がその特区です。「マイクロTAS」という、ナノテクノロジーを使った人体埋め込み型の検査・診断装置が登場しますが、本書はSFではありません。描写されるのは、孤島の生活、日本社会の人間関係の濃厚さ、男社会(アメリカの大学でさえ、有名研究所のボスは...結局「答弁」は?

  • 天災は忘れた頃に

    「やってくること」ではなくて「すぐに忘れてしまうこと」の方が問題、ということですよね?忘れてしまって備えを怠る、つまり被害は「天災」ではなくて「人災」ということかな。【ただいま読書中】『伊勢湾台風災害誌』名古屋市総務局調査課編集、名古屋市、1961年、800円昭和34年(1959年)9月26日、名古屋地方一帯は超大型台風に襲われ、市南部は濁水に覆われ、1800人以上が亡くなりました。この台風は、紀伊半島の潮岬付近に上陸、そのまま半島を北上して岐阜県・富山県を通過、日本海に抜けました。だから伊勢湾には強風が吹き込み、異常な高潮が発生。名古屋港で3.55m、奥ではもっとすごい高潮となり、堤防の越水や堤防の破断が生じ、広範囲が浸水被害を受けることになりました。水はなかなか引かず、一階の半ばまで水に浸かって住民が二階か...天災は忘れた頃に

  • 矛と盾

    「矛盾」のエピソードは言語的には面白いものです。で、どう答えたものか私にはわかりませんが、矛と盾のどちらが先にできたか、は私でも言えます。矛が先です。矛で殺されたくないから盾ができた。ということは、「矛」によって「盾」が生まれ、「盾」によって「矛」の進化がもたらされ、「矛」の進化が次の「盾」の進化をもたらしているわけです。【ただいま読書中】『ずかん武具』小和田泰経編、技術評論社、2013年、2680円(税別)槍は初心者でも扱いやすく「個人の武器」として人気がありました。その用法は、斬る・突く・なぎ払う・叩くなど自由自在です。だから戦場での「一番槍」は武士の誉でした。しかし戦国時代に集団戦術が主力になると、足軽の集団が長めの槍を揃えての「槍衾(やりぶすま)」を作って騎馬隊に対抗するための防御兵器となりました。縄文...矛と盾

  • ホチキスの針の転売

    ネットでは「ホチキスの針」が12000円で売りに出されていて、それに対して「女物はありますか?」などと質問が寄せられているそうです。つまり「マスク」の隠語として「ホチキスの針」が現在使われているわけ。私のような人間まで知ったので、すぐに別の単語に変更されることでしょうけれど。ところで、私が「ホチキスの針あります。一箱10000円」で売り出して、注文が来たら本当に「ホチキスの針」を送ってあげるのは、なにか問題になります?欺したわけではないですよ。「ホチキスの針を売ります」と言って、本当に「ホチキスの針を売った」のですから。【ただいま読書中】『海港パリの近代史──セーヌ河水運と港』東出加奈子著、晃洋書房、2018年、3400円(税別)タイトルを見た瞬間私は首を傾げました。パリは内陸の都市なのに、そこに「海港」をくっ...ホチキスの針の転売

  • ストレス発散

    人はいろんな行動を「ストレスを発散させるため」と理由づけておこなっています。ところで、そのストレスが発散される時間って、どのくらいです?数年?数箇月?数日?数時間?まさか数秒?【ただいま読書中】『ポテチを異常に食べる人たち──ソフトドラッグ化する食品の真実』幕内秀夫著、WAVE出版、2010年、1400円(税別)管理栄養士の著者は、ある日「ポテトチップスがやめられなくて苦しい」と相談に来た人に出会います。仕事から帰った夜中、ポテチを数袋むさぼり食う生活をやめられない、食べた瞬間脳から「何か」が出て恍惚感に支配される……まるでアルコールや麻薬の依存症のような訴えです。しかし「ストレス発散」のために食べるのに、そのあとに残るのは「罪悪感」。これは不幸です。人間が好む「味」の組み合わせは、「油」「砂糖」「うま味調味料...ストレス発散

  • 公家の戦争

    楠木正成は、足利尊氏に殺されたのではなくて、“味方"の公家に殺された、と私は思っています。絶望的な状況で、勝つのは無理にしても負けない手はないか、と考えに考えた正成の提案を公家たちはにべもなく却下し、結局正成は死地に追いやられたのですから。公家にとって大切なのは、「有職故実(前例がどうなっているかの知識のひけらかし)」と「仲間内での足の引っ張り合い」と「権力を振りかざして下の者をこき使うこと」で、身分の低い正成の主張の内容などどうでもよかったのでしょう。この「公家たちの戦争指揮」の“直系の子孫”が、昭和の大日本帝国軍の高級指揮官たち、と私は思っています。安全な後方から絶対に動かず、前例を重視し、仲間内の足の引っ張り合いには非常に熱心で、最前線のことなどどうでも良いと思っている……ほら、建武の新政の「公家」の戦争...公家の戦争

  • 暖冬の雪

    今年は暖冬で、私の住む地方ではいつもよりはるかに雪が少なくて楽に過ごすことができました。雪国の人からは「少ないとは言ってもやっぱり積もったよ」なのかもしれませんが、それでも雪かきで転落して死亡する人はいつもよりは少なかったのではないかな。【ただいま読書中】『夏井いつきの「雪」の歳時記』夏井いつき著、世界文化社、2017年、1300円(税別)テレビ番組「プレバト!」の俳句コーナーで「口の悪いおばさん」を演じている著者の本です。私は一度この人の「句会ライブ」に(妻と妻のママ友たちと)参加したことがありますが、その俳句の指導法の確かさに驚きました。本当に数分で「俳句」それも「プレバト!」では「才能なし」ではなくて「凡人」に認定されるレベルのものが作句できるのです。そしてそこに「オリジナリティー」が加味できたらすぐに「...暖冬の雪

  • まだ9年

    政府は大震災の慰霊祭を中止しました。もとから中止したがっていたので、ちょうど新型コロナが誰も反論できない良い口実に思えたのでしょう。どうして以前から中止したがっていたのかと言ったら、東北に対する無関心と、慰霊祭をやるたびに原発のことが蒸し返されることが気に入らない、という心情があるのだろう、と私は思っています。これがたとえば山口や北九州で同じこと(大地震と原発事故)が起きていたら、慰霊祭や復興事業に対して違う行動をしていたはずです。【ただいま読書中】『世界史を変えた数学──発見とブレイクスルーの歴史』ロバート・スネデン著、上原ゆうこ訳、原書房、2019年、2700円(税別)紀元前3000年ころ、古代エジプトでは10進法、メソポタミアのシュメール人は60進法を採用していました。ただ、パピルスは残りにくいけれど楔形...まだ9年

  • 西部劇

    東部劇ってないのか?と子供時代の私は不思議に思っていました。【ただいま読書中】『アメリカ西部開拓史』スコット・スティードマン著、マーク・バーギン画、猿谷要・清水真里子訳、三省堂、1994年「アメリカ西部開拓」と言われたら、私がすぐ思い出すのは「幌馬車」「インディアン」「ゴールド・ラッシュ」「大陸横断鉄道」「西部劇」です。ヨーロッパから白人がやって来るようになってから19世紀末まで「アメリカ」国内ではずっと戦いが続いていました。各国からやって来た植民者はお互いに戦い、インディアンと戦い、イギリスやメキシコと戦い、南北戦争もありました。その戦いの拠点となったのは「砦」でした。最初は、軍隊のキャンプ地だったり小さな村を木の防柵で囲ったものでしたが、やがて賑やかな町に発展するところもありました。そういえばパリも最初はロ...西部劇

  • 全部県にしたら?

    「都道府県」って、昔の「士農工商」みたいな「身分」というか「格」の違いをその文字列に含んでいません?「士農工商」では「士」が別格で「農工商」は“その他"扱いでした。で、都道府県でも「都」が別格で「道府県」は“その他"みたい。だから大阪が「都構想」なんてものを言いだして面倒な話が起きるし、「都」の住人になりたい人が一極集中の弊害を物ともせずにどんどん集中して弊害を助長しているわけ。だったら、「全部『県』」にしてしまったらどうでしょう。日本国民、どこに住んでも平等、というわけです。東京の特別区は政令指定都市にして、たとえば「東京県東京市墨田区」みたいにするの。日本文化は「平等」を心底嫌うから難しいでしょうが、でも「東京県」で、具体的に誰が何に困ります?【ただいま読書中】『絶景神社』PHP研究所編、PHP研究所、20...全部県にしたら?

  • 目にしみる

    玉葱を切ると涙が出る、とよく言いますが、私は子供時代からそれで悩んだことがありません。不思議だったのですが、よく考えたら私は子供時代から眼鏡をかけていたので、これで揮発成分が目に飛んでくるのを防げていたんでしょうね。確認するためには眼鏡を外して玉葱を刻んだらわかりそうですが、それだと手もとが危ないのでやめておきます。【ただいま読書中】『タマネギとニンニクの歴史』マーサ・ジェイ著、服部千佳子訳、原書房、2017年、2200円(税別)タマネギもニンニクも、西洋料理では日常的に使われる人気のある食材です。しかし、両者とも「脇役」であって「料理の主役」にはならないという共通点があります。タマネギとニンニクはアリウム属に属していますが、仲間にはネギ・ニラ・エシャロットなどがいます。ごくありふれた野菜ですが、その歴史を探る...目にしみる

  • どうして?

    「どうしてそんなことをするんだ」と子供を殴っている親は、理由を聞きたいのではなくて子供を殴りたいだけなのに、どうしてわざわざ「理由」を聞くのでしょう?ねえ、どうして?「殴りたいだけ」ではない、と主張します?でもその「どうして」の「理由」が正当なものかどうかの慎重な検討もせずに行動に出ていますよ。ねえ、どうして理由を聞かないのに「理由を言え」と言いながら殴るの?ねえ、どうして理由を聞いても、殴るの?ちゃんと答えられないのだったら、私もあなたを殴って良い?【ただいま読書中】『新しい「マイケル・ジャクソン」の教科書』西寺郷太著、ビジネス社、2009年、1900円(税別)製鉄会社でクレーン運転手として働くジョー・ジャクソンは、プロのミュージシャンになる自分の夢が破れたとき、自分の子供たちに音楽の才能があることに気づき、...どうして?

  • 鬼畜米英

    戦前には「いざ来い、ニミッツ、マッカーサー」という歌があったそうです。で、実際にやってきたマッカーサーは戦後にGHQで日本でもおなじみになりましたが、ニミッツって、誰でしたっけ?【ただいま読書中】『米軍提督と太平洋戦争──世界最強海軍のルーツ』谷光太郎著、学習研究社、2000年、3200円(税別)19世紀末、アメリカ海軍は世界の“三流"でした。それを改革したのが1890年代はじめの海軍長官ベンジャミン・F・トレーシー。沿岸防衛と敵商船襲撃中心の海軍を、制海権獲得を目的とする海軍に変貌させました。第26代大統領セオドア・ルーズベルト(在任1901-09)は海軍増強論者として有名で、彼の就任中に米海軍は英海軍に次ぐ世界二位となっています。アナポリス(海軍兵学校)も拡充されましたが、ニミッツは1905年組です。第一次...鬼畜米英

  • 日本文化

    日本の宮中晩餐会などで「日本文化の演し物」と言えば、たぶん能や狂言、歌舞伎などが選ばれるでしょうが、そのうちにアニメのコスプレショーなんてのが「おお、これこそ日本文化!」と喜ばれる時代が来るかもしれません。【ただいま読書中】『美術品でたどるマリー・アントワネットの生涯』中野京子著、NHK出版、2016年、1000円(税別)ハプスブルク家のマリア・テレジアは、夫フランツ・シュテファンとの間に、五男十一女の子供をもうけました。その15番目(女子としては最後)の子はマリア・アントニアと名付けられました。のちのマリー・アントワネットです。「国母」として権勢を振るっていたマリア・テレジアは、子供たちも政略結婚で活用しました。当時は、プロイセンとイギリスに対抗する必要があり、仇敵のブルボンとの融和が急務。そこで子供のうち3...日本文化

  • 障害者の見世物

    私が子供のころに「小人プロレス」というものがありました。低身長の人間ばかりが集まってプロレスをする、という興行で、一定の人気がありました。ところが「障害者を見世物にするのか」という世間の批判によって、興行は中止に。ところがそれは「プロレスラー」たちにとっては、生計の道を奪われることでした。批判者は「潰すこと」には熱心でしたが「プロレスラーたちの第二の人生」については無関心だったようです。でもそれって「口はきれいなことを言う差別主義者のきたない行動」に私には見えます(障害者はその障害を活かして働いてはならない、という差別でしょ?)ところで現在のパラリンピックを、「障害者を見世物にするのか」と批判する人はどのくらいいるのかな?【ただいま読書中】『中村裕東京パラリンピックをつくった男』岡邦行著、ゆいぽおと、2019年...障害者の見世物

  • 戦争の準備

    アメリカは日本語学校をいくつも作りました。イギリスは戦傷者のための病院やリハビリテーションセンターをいくつも作りました。【ただいま読書中】『かくしてモスクワの夜はつくられ、ジャズはトルコにもたらされた──二つの帝国を渡り歩いた黒人興行師フレデリックの生涯』ウラジーミル・アレクサンドロフ著、竹田円訳、白水社、2019年、4200円(税別)ロシア革命の嵐に追われて多数の白系ロシア人がオデッサに逃げ込んでくる緊迫した情勢から本書は始まります。その人びとの中に、スウェーデン人の妻と4人の子供を連れたアメリカ南部訛りの黒人フレデリック・トーマス氏が混じっていました。モスクワで得た莫大な財産をすべて失い、彼らは命からがら脱出船に乗り込みます。船の目的地は黒海の対岸、コンスタンティノープル。まるでアクション映画の最初の数分間...戦争の準備

  • 大虐殺ではない場合

    よく「大量虐殺なんかなかった」という主張を聞きます。それって「虐殺なんかなかった」と言っているのか「少量虐殺ならあった」と言っているのか、どうなんでしょう?【ただいま読書中】『大量虐殺の社会史──戦慄の20世紀』松村高夫・矢野久編著、ミネルヴァ書房、2007年(08年2刷)、4500円(税別)20世紀は大量虐殺の世紀でした。「1904年南西アフリカドイツ領(現ナミビア)ドイツ軍によるヘレロ人虐殺(数千人)」「1906年南アフリカ、イギリス人によるツル人虐殺(3000人)」「1909年南アナトリア、トルコによるアルメニア人虐殺(2万人)」「1915年トルコによるアルメニア人虐殺(60万以上)」……まだまだありますよ、序章には以後2ページ、31の虐殺が挙げられています。さらに日本は別扱いで日清戦争、義和団、シベリア...大虐殺ではない場合

arrow_drop_down

ブログリーダー」を活用して、おかだ外郎さんをフォローしませんか?

ハンドル名
おかだ外郎さん
ブログタイトル
ただいま読書中
フォロー
ただいま読書中

にほんブログ村 カテゴリー一覧

商用