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木村 ユウ
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2014/11/24

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  • 1-6フォン

    「で、ユウさんはバンコクはいつまでなんすか?」「うーん、今回はまだ決めてないんだけどね、早めに出ようとは思ってるけど」ボクが今回バンコクに来たのは、会社を辞めて世界一周をするためだった。バンコクでインド行きのチケットを買いインドにいく。インドを一周して、その後はまだ決めていない。中国から中央アジアに抜けるか、中東を通って中央アジアに入るか、そんなところだろう。その後はヨーロッパからアフリカ、南アフリカからアルゼンチンあたりに飛びひたすら北上する。そんなイメージだ。「またあのどーしょーもない女に会いに来たんですか?」オショウの言うその女というのは、ボクが以前付き合っていたタイ人の大学生のことだ。お互い何度か浮気がバレて付いたり離れたりを繰り返していたのだが、半年前からは何度メールを送っても無視されていた。世界一周...1-6フォン

  • 1-5ラーメン

    「オショウはいつからバンコクにいるの?」特に興味があるわけではないが、話すこともないので聞いてみた。「バンコクに戻ってきたのは昨日の夜かな。それまでちょっと北の方に行ってましたからね」そういうとオショウはメガネを外し、レンズに付いた汗を臭そうなティーシャツでぬぐい始めた。オショウが北の方に行っていたというのには正直驚いた。このデブがバックパッカーのような旅をするようには見えないからだ。ぼくの表情を読み取ったのかオショウは面倒くさそうに続けた「メーサイっすよ、メーサイ」メーサイと言えば知る人ぞ知る児童買春の聖地だ。そしてこの時期にはアヘンやマリファナなど、オショウの好きそうなものが収穫の時期を迎えている。「メーサイって、ロリでも買いに行ってたの?」と聞くと、オショウは左の頬をピクピクと釣り上げて溜息をついた。「だ...1-5ラーメン

  • 1-4 水

    注文をして3分も待たないうちに、黒く濁ったスープに鶏肉を乗せた中華麺が出てきた。ここはゲストハウスからカオサンの方に少し歩いた、ビリヤード場の前の路上にテーブルを並べただけの店だ。「ユウさんねえ、水を買うやつなんてのはバカなんですよ。水なんていくらでもただでもらえますからねえ。」そう言いながらオショウは、自前のペットボトルに屋台の水を補充し始めた。「バンコクの水道水ってねえ、いちおう飲めるってことになってるんですよ。でも臭くてあんなもん飲めないですからねえ。まあ発展途上国のすることなんてこんなもんですよ。」彼の気の抜けたような話し方は、聞いているだけで暑苦しさが増してくる。「カオサンの方に行って右に曲がったすぐのところにブッカケ飯の店があるでしょ。あっこなんて最悪ですよ。前に水を補充してた時もこっちがタイ語が分...1-4水

  • 1-3オショウ

    1階のカウンターでナーに今日の分の宿代を払っていると、上から見覚えのある顔・・・・・というよりは体型、見覚えのある巨体が降りてきた。オショウだ。彼に会うのは1年ぶりくらいだろうか。彼はボクに気づいているはずなのに挨拶もせず通り過ぎ、置いてあるプラスチックの椅子に座った。そういう人だ。ぼくから話しかけるのを待っている。会計を終え、そのまま通り過ぎてやろうかとも思ったが、いつも通り軽く挨拶をした。すると彼は半開きの眠そうな目だけをこちらに向け、面倒くさそうに言った。「来てたんすか」「うん、3日前くらいからね。」「そこの黒いラーメン食べに行くんですけど」そう言うとオショウはこちらの返事も待たずに立ち上がった。このゲストハウスには2種類の人間がいる。バックパッカーと外ごもり組だ。バックパッカーの方は学生が中心で、リュッ...1-3オショウ

  • 1-2 汗

    起きてすぐにシャワーを浴びる。シャワーと言ってもトイレの横の壁に水道の穴が開いているだけのもので、あまり勢いのない水がドボドボと出るだけだ。それでも体にまとわりつく汗が流れ、そのまま拭かずに扇風機の風にあたれば、いくらかは体の温度を下げることができた。部屋には汗臭いシングルベッドが1つだけ置かれ、それ以外のスペースはリュックサックを置いただけでいっぱいになってしまう。数日前にこの部屋に来たときは、尋常じゃない枕の臭さに耐えられず、せっかく登った階段を下まで降り、フロントのナーに頼んで他の部屋の枕と変えてもらった。シーツや枕カバーは、よっぽど客から苦情でもない限り洗わないのが、この宿のやり方なのだろう。汗で湿ったベッドに腰掛け、生暖かいペットボトルを床から拾い、一口飲む。よく見ると昨日の蛾が壁に留まったまま死んで...1-2汗

  • 1-1 蛾

    天井でカタカタと音をたてて回る大きなファンを、ぼくはぼんやりと眺めていた。あと、どのくらいで日が昇るだろうか。部屋にひとつだけある蛍光灯の周りを小さな蛾が飛んでいる。夜の光に向かって飛んでいくのが蛾の本能なら、そこには何らかのエクスタシーがあるのだろう。光に集まる蛾のほとんどが、何も口にせずに活動し続けると、エネルギーを消耗して朝までには死んでしまう。死のその瞬間まで食べることも忘れて、エクスタシーを全身で感じながら飛び続ける。そんな死に方もあるのかと思いながら、僕はまた目を閉じた。ねっとりと絡みつくような暑さに、半ばうなされながら目を覚ましたのは昼のことだった。乾季の訪れたバンコクは、一年の中で最も涼しい季節だとは言われるが、それでもエアコンのないこの部屋では、毎日、昼の暑さに起こされている。カオサンロードの...1-1蛾

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