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  • 就職人気で新聞・民放テレビが全滅、ニトリ1位の驚き

    学生の関心事の如実な推移2023年4月15日日経新聞とマイナビ(就職情報)が24年3月卒業予定の大卒者を対象にした就職希望調査をしたところ、ニトリ(家具、インテリア)が第1位に躍りでました。上位の常連だった生損保、メガバンク、商社を抑えてのトップです。ニトリは前年も3位でしたから、実力でしょう(以下、文系男女総合)。4位にはユニクロ(衣料品)が昨年の13位から順位を上げ、トップ10に入りました。高齢世代には聞きなれないPLAN・DO・SEE(ホテル、レストラン、宴会の運営企画)が昨年の12位から10位に上がりました。若い世代がやりたい仕事が明らかに変化している。人気企業の変遷に驚かされます。創業はニトリが1972年、ユニクロが1974年と企業年齢が若く、PLAN・DO・SEEは1993年です。日本にも若い...就職人気で新聞・民放テレビが全滅、ニトリ1位の驚き

  • 黒田日銀総裁は不都合な事実は無視して退任

    再び先進国の最下位の経済成長率2023年4月8日黒田日銀総裁の退任は異例づくめになりました。先進国最長の異次元金融緩和、10年という在任期間の長さ、実質経済成長率の先進国最下位転落、他国に例をみない桁違いの国債保有残高、出口政策に背を向けた去り際といい、これほど議論を呼んだ総裁は日銀初でしょう。花束を手に日銀本店を去る映像を拝見していますと、手を振り、満面の笑みを浮かべています。タイタニック号の氷山激突に例えた財務次官がいたほど、安倍首相と組んだ異次元金融緩和の負の遺産は巨大です。この先、日本はどうするのか。この底抜けに明るい表情は何なのでしょうか。黒田氏の記者会見の報道を読んでみますと、不都合な事実への言及を避けていると感じました。もっとも大きな違和感は「異次元緩和の成果を国際的な視野で見つめ、比べてみ...黒田日銀総裁は不都合な事実は無視して退任

  • 政治的介入の有無の検証なき放送法の議論は不毛

    核心を外した国会審議と新聞社説2023年4月4日総務省が2014-15年に作成した放送法に関する行政文書を巡り、政治的公平性の解釈が変更されたのか、政治的圧力がかかったのか、文書は捏造だったのかなどが曖昧のまま、国会は後半に入りました。岸田首相や総務省が「解釈の変更ではなく、補充的な説明だ」というのも、妙な表現です。放送法第4条の運用が変わり、放送局に対する新たな圧力となっているのかどうかが問題なのです。「変更か補充か」という言葉が問題なのではない。総務省がいう「文書は総務省が作成した行政文書である」の意味が「捏造文書。不正確な文書」(高市・元総務相)に対する否定なのかどうかも、分からない表現です。問題の核心から外れた無駄な論戦です。国会は不毛な議論に時間を浪費する場であることが立証された以外、得るものが...政治的介入の有無の検証なき放送法の議論は不毛

  • 出版物にもインフレが波及し新書は続々1000円を突破

    返品率の改善で価格を抑制せよ2023年3月30日世界インフレが日本にも波及し、2月の食料品は7・8%上昇し、1978年以来、46年ぶりの伸びとなりました。知識の食品である出版物も相当な値上がりで、1000円を超す新書が急増しています。新聞、テレビは出版社が関連会社にあるのでしょうか、出版物のインフレにはまず触れず、食品やエネルギーなどのことばかり書いています。そんなことをしても、出版広告に載る書籍、雑誌の価格を見れば、インフレがここまで及んできたかと、気が付くはずです。書籍のうち、内容や頁数にばらつきがある単行本や文庫より、毎月、各出版社が4、5点、定期的にだす新書の価格を調べれば、比較しやすい。徐々に値上がりしてきた新書は4月に向け、新たな段階に入ったようです。3月の書籍広告をみて驚きました。岩波新書は...出版物にもインフレが波及し新書は続々1000円を突破

  • 日銀OBが新刊で異次元緩和の恐ろしい結末を警告

    緻密な分析で黒田氏を痛烈に批判23年3月24日黒田日銀総裁の退任に向けて、10年に及んだ異次元金融緩和を総括する出版物、解説やインタビュー記事が多数、発表されています。黒田氏自身、日銀自身が「本当のところはどうなっているのか」の検証をし、日銀もその公表に取り組んでこなかったからでしょう。異次元緩和や、これを軸にしたアベノミクスに「一定の成果」があったとする擁護派もいることはいます。一方、批判派の声があちこちで上がり、「このままでは末恐ろしい結末を迎える」という警告が聞かれます。植田新総裁は批判派の声をよく聞き、予想される恐ろしい近未来に対応し、本当のことを国民と市場に向けて語ってほしいと、私は思います。日銀OBで、シンクタンクのエコノミストである河村小百合氏が「日本銀行・我が国に迫る危機」(講談社現代新書...日銀OBが新刊で異次元緩和の恐ろしい結末を警告

  • 新聞・テレビは政治的公平性における圧力の有無を検証せよ

    本質的な問題の議論が必要2023年3月16日放送法の政治的公平性(第4条)の解釈と政治的な経緯を巡り、安倍政権時代に作られた総務省文書が波紋を広げています。与野党が対立し、高市氏の議員辞職要求、首相官邸からの圧力の有無、総務省文書の真偽、杜撰な文書管理などに争点が拡散し、本質的な問題が霞んでしまっています。結論から言えば、「当事者である放送局側がこの問題をどう考えているのか」、「政治的圧力が実際にかかり、番組編成を変更したことがあるのか」、「圧力がなくても、政権の意向を忖度する結果、番組編成が委縮してしまっているのか」、「政治的公平の当事者である政権与党が政治的公平を要求する資格があるのか」、「政治的公平をどう定義するのか」などです。報道ステーションなどで、断片的にキャスターらが「一つの番組ではなく、番組...新聞・テレビは政治的公平性における圧力の有無を検証せよ

  • 悔しさをにじませた黒田日銀総裁10年の去り際

    副作用どころでない構造変容を招く2023年3月11日植田和男氏を日銀総裁とする人事案が国会で同意されました。一方、2期10年間、総裁を務めた黒田東彦氏は、最後となる定例の金融政策決定会合後、記者会見に臨み、「金融緩和政策は成功だった」と語りました。去り行く総裁は通常なら、記者からも労いの言葉をかけられ、「力が十分、及ばないところはあった」というようなやり取りで、幕を閉じるのです。今回は全く違いました。去り行く黒田氏が随所で悔しさをにじませ、論理的とは言えない発言を何度も発しました。記者会見の要旨を読んで真っ先に感じたのは、黒田氏が政策会合での決定(大規模緩和、長短金利操作=YCCの維持)について冒頭で「全員一致で決めた」と発言したという点です。異論なく決まったといいたかったのです。ほとんどの政策会合で「全...悔しさをにじませた黒田日銀総裁10年の去り際

  • 白川前総裁が再三の異次元緩和批判、日銀史上初の異変

    「回顧録」は歴史の検証に不可欠2023年3月5日白川方明・前日銀総裁が国際通貨基金(IMF)の季刊誌で、10年も続いた黒田総裁による異次元金融緩和政策に対し、「効果は控えめ。長期の緩和は生産性向上へ悪影響をもたらす」と批判しました。「効果は控えめ」という表現にとどめたのは、古巣への遠慮でしょう。また、白川氏自身が政治の圧力に押し切られ、大規模緩和への道筋を開いてしまったことへの反省があるからでしょう。本音は異常な長期間にわたる異次元緩和政策への強い批判、政治的圧力への批判です。白川氏の異次元緩和批判は再三に及びます。総裁退任後の回顧録(18年)、英貴族院の「量的緩和に関する公聴会」での証言、そして今回のIMF季刊誌への寄稿です。回顧録、英議会での証言、IMF季刊誌への寄稿と並べると、「回顧録」「回顧」の形...白川前総裁が再三の異次元緩和批判、日銀史上初の異変

  • 政治主導の財政膨張を警告する独立機関の設立を望む

    異次元金融緩和の修正と両輪に2023年2月27日植田和男日銀総裁の就任によって、異常な金融政策は徐々に修正されていくだろうと期待します。そこに立ちはだかるのが政治サイドで、財政膨張しか念頭にないらしく、金融正常化をストップさせようとする圧力をかけてくるに違いない。日本の23年度の一般会計は総額114兆円で、11年連続で最大を更新しています。普通国債残高は1005兆円、政府短期証券や借入金を合わせると、1256兆円です。異常な規模の金融緩和とセットになった財政膨張はとどまるところを知りません。こんなに財政常態が悪い主要国は日本だけです。主要国では例をみない日本の財政膨張は、政治的な動機、時代的な背景、金融政策からの支援がセットになっています。植田新総裁に期待がかかるにしても、政治サイドが財政正常化に目覚めな...政治主導の財政膨張を警告する独立機関の設立を望む

  • 「安倍晋三回顧録」で語らなかった日本経済の国際的地位の下落

    袋小路にはまったアベノミクス2023年2月21日「安倍晋三回顧録」が発売1週間で15万部というベストセラーになっています。「憲政史上、最長政権はこうして作られた」、「36時間にわたる未公開インビューの全記録」と本の帯にあります。安倍氏は強固な保守・右派勢力の支持を受け、死後も安倍神話にすがって政治勢力を維持したい政治家、勢力は歓迎する本でしょう。右翼雑誌が安倍礼賛に近い特集を組むとよく売れる。もちろん一般の読者も多いでしょう。聞き手の記者は「安倍政治への賛否、好き嫌いはどうあれ、日本の政治に何が起きたのかを多角的に知る。歴史にはいくつもの解釈がありうる。回顧録には濃淡の違いはあれ、自己正当化が付きまとう」と、注意深い読まれ方を望んでいます。その通りだと思います。ですから、「政治家にとって必読の書」などと持...「安倍晋三回顧録」で語らなかった日本経済の国際的地位の下落

  • 「カルロス・ゴーンを歓迎したい」と言った豊田章一郎氏の経営思想

    「ライバルがいないと社員は緊張しない」2023年2月18日トヨタ自動車の社長を10年務め、米国進出を成功させ、経団連会長にも就任した豊田章一郎氏が97歳で亡くなった。私の現役時代、何度か懇談する機会があり、豊田氏の率直な経営思想に2度、驚かされました。その2度というのは、世間一般の感覚、常識とは全く違うので、鮮明に記憶に残っております。私は経済記者として、官庁のほか財界や自動車業界を担当したこともあり、お会いする機会に恵まれました。豊田氏は1982年から社長、92年から会長、94年からは98年まで経団連会長を務めました。トヨタが世界に大きく開花した時期です。その一方、日産自動車の経営停滞は深刻さを増していた。そこで仏ルノーと99年に資本提携を結び、経営危機を打開することになりました。ルノーの上席副社長のカ...「カルロス・ゴーンを歓迎したい」と言った豊田章一郎氏の経営思想

  • 日経は「日銀総裁人事の誤報」の検証記事の掲載を

    昨年末には消えていた「雨宮総裁」23年2月14日政府は14日、植田和男氏ら3人の正副総裁案を国会に提示しました。直前になって日経が「日銀総裁、雨宮氏(日銀副総裁)に打診。政府は与党と最終調整」(6日)と、スクープ風の記事を掲載しました。新聞が「最終調整」と書く時は「これで決まり」と確信した時に限ることが多い。異次元緩和政策が転換点に差し掛かっている時の総裁人事ですから、ニュース価値は稀にみるほど、圧倒的に大きい。日経はこれで決まると考えた末の記事なのでしょう。それに対し「そんな事実はない」、「観測気球でしょう」などと岸田首相、官房副長官が語りました。人事で当局者が嘘をつくことはしばしばある。と思っていましたら「総裁に植田和男氏(元東大教授)」を10日、政府筋がリークし、日経を含め各紙、1面トップの扱いです...日経は「日銀総裁人事の誤報」の検証記事の掲載を

  • 日銀総裁人事でまた大誤報をやった日経の焦り

    再三「雨宮副総裁の昇格」の失態2023年2月11日異次元緩和政策の転換がかかった日銀新総裁に植田和男氏(元・東大教授)が就任することが決まりました。事前の予想に全く挙がっていなかった金融政策の代表的学者で、サプライズ人事となりました。岸田政権として、アベノミクス・異次元金融緩和に区切りをつけていく姿勢を暗示するには、いい人選になりました。日銀審議委員を7年やり、実務にも通じており、金融論と政策論を踏まえた仕事をすることでしょう。有力視された雨宮副総裁の昇格では、政策転換のニュアンスを示唆できなし、財務省OBからの人選も避けた。植田氏は記者団に囲まれて「現在の日銀の政策は適切である」と、総裁人事に過敏になっている市場に配慮する発言をするなど、バランス感覚はあることを示しました。もう一つのサプライズは、経済専...日銀総裁人事でまた大誤報をやった日経の焦り

  • 総理秘書官の更迭にみる官僚たちの荒涼たる風景

    絶句する質の劣化が次々と噴出2023年2月5日首相を支えるべき荒井勝喜・秘書官が差別発言をして、更迭されました。機微に触れる差別問題に対するあまりにも無神経な表現といい、政権の中枢にいながら、「言っていいことと、言ってはいけないこと」の区別ができない。この官邸官僚の思慮のなさに驚きます。このよう人物に支えられる日本の政府、政治は大丈夫なのだろうかとも思います。岸田首相も絶句したに違いない。「隣に住んでいるのも嫌だ」、「同性婚を認めたら国を捨てる人がでてくる」。差別主義者だって公の席では、こんな品性を失った表現はまあしないでしょう。事務次官候補との評価だったそうです。自分のようなエリート以外の存在は認めたくないといった口ぶりです。難関の国家公務員試験をパスして主要官庁に採用されて出世し、総理秘書官にまで就い...総理秘書官の更迭にみる官僚たちの荒涼たる風景

  • 異次元緩和の修正を迫る「異次元」の日銀包囲網

    黒田総裁にとってのサプライズ2023年1月31日これほど次々に異次元金融緩和政策の転換を迫る声に包囲されるとは、黒田日銀総裁は予想していなかったに違いありません。市場に数々の「サプライズ」を与えてきた黒田氏にとって、今回の流れはご自身にとっての「サプライズ」でしょう。日銀の歴史においても異例です。令和国民会議(令和臨調)は30日、「異次元金融緩和が過度な財政支出や規制緩和の遅れを招いた」、「超低金利で財政のばらまき、ぬるま湯的な環境が生まれ、リスクに挑む企業が少なくなった。そのため日本の生産性は13年の1・1%から最近では0・5%に低下した」と、鋭い声明を発表しました。26日には、国際通貨基金(IMF)が日本の金融緩和の修正案を盛り込んだ声明(対日経済審査)を発表したばかりです。「0・5%に抑えている長期...異次元緩和の修正を迫る「異次元」の日銀包囲網

  • 何から何まで手を出す首相の施政方針は間違い

    財源が不足なのに手を広げすぎ2023年1月25日そんなに何から何まで、国ができるのだろうか。そんなにたくさんの政策を背負いこむ財源はあるのだろうか。国でできないことも多いのに、できると錯覚する。国でできることがあっても、財源が足りない。岸田首相の施政方針演説を読んで、多くの人がそう感じたのではないでしょうか。岸田氏に限らず、歴代首相の多くに感じてきたことです。「金融の大規模緩和で物価を2%引き上げられる」と信じた黒田日銀総裁の異次元緩和も、でいないことをできると錯覚した典型的な実例でしょう。首相は「われわれは再び歴史の分岐点に立っている」として、明治維新、アジア太平洋戦争の終戦(敗戦のこと)に続き、現在が大きな転換点だ」と、姿勢方針演説で強調しました。確かに何から何までが音をたてて、変わり始めています。ロ...何から何まで手を出す首相の施政方針は間違い

  • 中国の経済減速を心配する日本メディアに落胆する

    中国報道に必要な総合的視点2023年1月18日「中国人口減61年ぶり」、「経済成長率は2・9%に失速」など中国経済の不振をメディアは大々的に報道しています。私は中国経済の減速、人口減少は歓迎すべき変化と考えているのに、メディアは「経済回復に不安」、「構造改革が急務」とか、懸念ばかりしているのです。中国経済に対する日本メディアの報道にいつも、違和感を覚えています。中国経済への依存度が高い日本への影響は大きいから、そう受け止めるのでしょう。中国経済の減速は軍事的膨張にブレーキをかける一因になる。国際情勢、安全保障・軍事、地球環境問題などを総合的に考える視点が中国経済の報道から欠落していると思います。恐らく中国経済の担当記者は、中国の現地新聞、テレビなどの報道に常時、接して記事を書いているため、中国の共産党政権...中国の経済減速を心配する日本メディアに落胆する

  • 新聞・テレビ報道がつまらなくなってきたのには訳がある

    ニュースの発掘力が低下2022年1月16日新型コロナの感染が始まってから丸3年になり、第8波が進行しています。感染拡大に反比例するかのように、マスメディアの報道、特に新聞報道がこの3年で急につまらなくなってきたように思います。以前から指摘されていたマスメディアの基礎疾患に新型コロナによる疾患が重なり、経営上、編集上の病が重症化してきているのです。部数減と広告収入減で経営が悪化し、十分な人材と資金を投入し、強力な取材体制を組めない。玉石混交があってもネットの情報量、広告量に圧倒される。コロナ感染が障害になって取材源を制限される。政府権力がメディアの囲い込みを強めている。都市のマンション化が進み、販売拡張のための訪問ができない。見かけの部数を維持するために、コンビニ、ホテルなどに売れる見込みがないのに新聞を送...新聞・テレビ報道がつまらなくなってきたのには訳がある

  • 海上自衛隊司令官だった海将が明かす日本防衛の弱点

    戦うつもりなどなかった自衛隊2023年1月9日毎年5兆円だった防衛予算が来年度、一気に6・8兆円(26%増)に増え、さらに5年間で43兆円を計上、単年度ではGDP比2%まで引き上げることになりました。安全保障面の国際情勢が急速に悪化しているためです。メディアは「自衛隊が装備を購入し、訓練するだけでなく『働く時代に』に入った」とか、「危機発生時には『戦える自衛隊』にすることを目指すものだ」(読売新聞、昨年12/22)などと解説しています。「なにそれ。毎年5兆円もかけながら、これまでは戦える自衛隊ではなかったの」と絶句します。どうもそうらしい。安倍・元首相も「機関銃の弾からミサイルにいたるまで継戦能力はない」と語っていました。ミサイルは必要量の6割、戦時になったら弾薬もすぐ底をつく。海上自衛隊の現場トップだっ...海上自衛隊司令官だった海将が明かす日本防衛の弱点

  • 新刊「アベノミクス論」が示す岩波新書の質的低下

    経済理論を欠くドキュメンタリー2023年1月3日今年最も重要な経済政策は、アベノミクスの主軸であった異次元、大規模金融緩和からの転換です。それを担う日銀の新総裁(4月就任)の人選を岸田政権は年明けから急ぎます。出口に至る複雑な方程式を解き、市場の混乱を避けながら転換を担える人物の選任は容易ではありません。候補に挙げられても「困難極まる仕事で、私にはとても無理」と辞退する人物もでてくるに違いない。経済ジャーナリストとして売り出している軽部謙介氏(時事通信社OB)が執筆した「アフター・アベノミクス/異形の経済政策はいかに変質したか」が岩波新書から昨年12月に出版されました。岩波新書の重点的な著書で、軽部氏としては3点目のアベノミクス論です。俗称「朝日岩波文化人」の進歩的文化人らの著書が岩波新書から数多く出版さ...新刊「アベノミクス論」が示す岩波新書の質的低下

  • 「首相の任命責任」を問う朝日新聞に具体案なし

    メディアも識者もわめくだけ2022年12月29日秋葉復興相が公職選挙法違反などの疑惑を指摘され、岸田首相に辞表を提出、更迭されました。閣僚の辞任は10月以降、4人目で、首相が任命した閣僚19人中4人を数えます。民間会社なら役員が4人も続けて辞任すれば、経営トップの首も危ういのに、政治ではそうにはならないようです。新聞・テレビなどのメディアや識者らが「首相の任命責任を問う」と、叫んでいます。「首相の任命責任」という言葉ほど、実態があいまいなものはない。首相に「任命責任」をどういう形でとらせるのか明言しない。言葉をもて遊んでいる空疎な政治ゲームなのです。公選法違反という法的疑惑(政治資金で身内に多額の賃貸料の支払い)、反社会活動を糾弾されている旧統一教会との関わり、語るに落ちる発言(法相は死刑のハンコを押す地...「首相の任命責任」を問う朝日新聞に具体案なし

  • 財政危機なのに日本政治の根拠なき楽観論

    財政監視の独立機関の設置が必要2022年12月24日政府が決めた来年度予算案は総額114・3兆円、11年連続で過去最大を更新しました。財政赤字がこれも過去最大を更新、そんなことにはおかまいなしに、財政膨張策をとり続けているのは信じ難いことです。自民党政治は「根拠なき楽観論」に基づき、予算案にいくつもの偽装を施しています。日本を除く主要国は財政監視の独立機関を設け、財政規律が守られているかをチェックしています。日本も独立機関の設置を多くの識者が主張しているのに、その気運が盛り上がりません。新聞社説が「将来世代に対して無責任である」(日経)、「この大きな過ちの是正は国民の代表である国会の責務である」(朝日)、「長期的な財政再建の道筋について描き直し、早期に国民に提示する必要がある」(読売)との叫びは空しく聞こ...財政危機なのに日本政治の根拠なき楽観論

  • 日銀総裁がどう弁解しても異次元緩和は転換点

    黒田氏の起用が誤りの始まり2022年12月22日日銀は20日、事実上の金利引き上げ(長期金利の上限幅を0・5%に変更)に迫られました。黒田総裁は不可解な説明を繰り返しています。今回も「市場機能の改善が目的で、利上げではない」というではありませんか。苦し紛れの弁解を言い続けるのはやめたほうがよい。「市場機能の改善に焦点をあてたもので、金融引き締めではない」などと、総裁は記者会見で言い切りました。そんな意味不明の表現ではなく、「利上げ見込した投機筋の国債空売りが殺到し、それに対抗せざるを得なかった」と、分かりやすく述べるべきでした。これほど論争の的になった日銀総裁の存在は前代未聞です。貨幣数量説を妄信し「2年、通貨供給量2倍、物価上昇2%」を自信たっぷりに掲げてきた黒田氏という人選が間違いだったのです。ばくち...日銀総裁がどう弁解しても異次元緩和は転換点

  • 米中経済の逆転阻止にドル高・元安も効果がある

    ドル高容認の背景に対中政策もある2022年12月16日日銀ウオチャーの加藤出氏(東短リサーチ)が最近書いたの記事の中で、2090年代のルービン米財務長官の「強いドルは米国の国益にかなう」との政策理念を想起しています。「強い通貨」は「対外的な購買力を高め、インフレ率を低下させる。良質な投資資金も流入する」との政策理念です。加藤氏は「日本の通貨安は逆の悪循環を生む」と、日銀の金利政策を批判しています。OECDのデータでは、主要国の中で日本の名目賃金だけが過去30年間も横ばいです。米英加豪などはこの間2、3倍になっています。日本だけが世界経済の孤児になっている。異次元金融緩和、財政膨張の長期化に甘えて新陳代謝のなくなった経済構造がその要因になっている。黒田日銀総裁は「異次元金融緩和の目的はデフレ脱却であり、円安...米中経済の逆転阻止にドル高・元安も効果がある

  • ジャーナリズムと無縁の会長が6代続くNHK人事は異常

    報道をコントロールしたい政治的思惑2022年12月6日NHKの経営委員会が日銀元理事の稲葉延雄氏(72)を次期会長に任命(23年1月就任)することを決めました。企業経営者だった外部人材がこれで6人連続で会長に就任するのは異常です。政権側も認めざるをえない内部人材が育っていないとは情けない。ビール、鉄道、商社、銀行、そして今回は日銀からとなり、いずれもジャーナリズムとは無縁の人物です。中には就任挨拶で「政府が右というものをNHKが左というわけにはいかない」、「従軍慰安婦は戦時下には他国にも存在した」と発言して、視聴者を唖然とさせた人物もいました。1989年から2008年までは、生え抜きの島、川口、海老沢、橋本氏が4代続けて会長職に座りました。出身は報道局系、文化・芸能系、技術系と多様ではあっても「ジャーナリ...ジャーナリズムと無縁の会長が6代続くNHK人事は異常

  • 日経新聞に溢れる企業広告は読者無視で紙の浪費

    紙離れを自ら招く新聞経営の暴走2022年11月30日30日(水曜日)の日経新聞が分厚く、どっしりと48頁もありました。ページをめくっていくと、「ひどい。なんだこれで新聞といえるのか」と絶句に次ぐ絶句です。企業から広告費、協賛金、参加費、会費などを集めて作った企業広告、イベント広告、シンポジウム広告で膨れ上がっています。この種の企業広告の乱用、乱発には、私の周辺にいる日経読者の多くが怒っています。30日付の48頁のうち、約半分地近くが企業広告関連なのです。コロナ危機で3年ほど前から急増しています。さらに5頁相当が株価などの相場表で、一般的な読者は読んでもせいぜい数行でしょう。こんなものはネットで簡単に検索できます。相場紙面を含めると、日経は読みたい頁は半分にもなりません。他の全国紙には、こんなにひどくありま...日経新聞に溢れる企業広告は読者無視で紙の浪費

  • 汚職に続く「官製談合」で札幌冬季五輪はもう絶望的

    電通と組織委の機能停止で準備不能2022年11月27日東京五輪の贈収賄汚職で区切りがつくかと思っていたら、大会事業の受注を巡る入札談合が発覚し、大会組織委員会までが関与した官製談合事件の疑いが浮上しています。来年に決める冬季五輪開催地(2030年)が札幌になることはもはや絶望的でしょう。東京地検特捜部が増収賄事件の捜査に乗り出し、全容がほぼ明かになった段階で、私は2本のブログを書き、札幌冬季五輪を早期断念を決断するよう主張しました。関係者はなにをもたもたしているのだろうと思う。「五輪汚職の拡大で札幌冬季大会は早期の断念が賢明」(9月18日)、「五輪汚職を反省し、札幌冬季大会の誘致を断念せよ」(11月10日)です。様子を伺ってばかりいて、大きな決断をできないのが日本の特徴です。国も自治体もJOCも大局を見ず...汚職に続く「官製談合」で札幌冬季五輪はもう絶望的

  • 閣僚のドミノ辞任は異常事態でなく「常態化事態」

    政治ジャーナリズムの覚醒を求める2022年11月23日1か月で3人の閣僚が辞任し、後任の総務相にも「政治とカネ」の問題が指摘され、さらに岸田首相には「宛名のない領収書」疑惑が浮上しています。こうしたドミノ倒し現象は、自民党政治の異常事態ではなく、新常態(ニューノーマル)なのでしょう。「新常態(ニューノーマル)」というより、以前から自民党政治で恐らく常態化していたのでしょう。そういう意味では、異常事態ではなく、「常態化事態」、つまり「常態事態」といってもよい。1人ずつ単発で問題が表面化すれば、釈明し、不備を詫びれば幕引きできたのかもしれません。それが次々に不祥事、不手際が連続すると、自民党政治の構造、体質の問題に拡大し、一つ一つを切り離せなくなる。一気に「常態化した自民党政治の病巣」への対応が必要になったと...閣僚のドミノ辞任は異常事態でなく「常態化事態」

  • NHK岩田明子記者による「安倍晋三秘録」に注文する

    陰陽を書かず陽ばかり強調2022年11月18日安倍首相に食い込んだNHKのエース記者で、数々のスクープを報道した岩田明子記者(編集委員)の「安倍晋三秘録」(月刊文春)は興味深い。まだ3回目で、最終的には10回以上の連載となるはずです。いづれ出版されるでしょう。安倍氏がよくここまでジャーナリストに話したものだと思います。間違いなく安倍研究の必読の書になる一方、安倍氏の陽の部分が多く、陰の部分が欠落していると思います。安倍首相が何を考え、どう行動しようとしていたかの肉声を、詳細にレポートしています。憲政史最長の在任8年余に及んだ安倍氏を官房副長官(小泉政権)時代を含め20年、フォローしました。電話でのやり取りが多い時は一日、複数回のこともあったといいますから驚きます。時間帯は夜10時半から深夜までだったそうで...NHK岩田明子記者による「安倍晋三秘録」に注文する

  • 東大卒議員と世襲制が日本政治と日本を滅ぼす

    新しい新本主義より新しい政治を2022年11月13日葉梨康弘法相が「死刑のハンコ」発言、「法相は票とお金に縁がない」発言で、辞任に追い込まれました。失言ではなく、本音、暴言でしょう。山際経済再生相に次ぐ2人目の辞任です。「閣僚辞任ドミノ」で岸田政権の前途には暗雲が漂ってきました。岸田政権の看板である「新しい資本主義」どころではありません。それより「新しい政治」を目指してほしい。劣化した日本の政治家を中枢に据える政権が経済政策の旗を振る続けるようでは、「新しい資本主義」が成功するはずはない。政治メディアも「次に誰が辞任するかしないか」、「岸田政権の閣僚人事でまた後手」、「首相迷走、求心力低下」など、政局情報ばかり報道しないでほしい。どこに本質的、構造的な問題があるのか分析すべきです。辞任した葉梨氏は東大法卒...東大卒議員と世襲制が日本政治と日本を滅ぼす

  • 五輪汚職を反省し札幌冬季大会の誘致を断念せよ

    事件の検証に後ろ向きのJOC・都2022年11月10日東京地検特捜部は東京五輪を巡る汚職事件の捜査を事実上終結しました。今後、法廷での裁きに舞台が移るにしても、JOC(日本オリンピック委員会)、東京都は汚職を生んだ五輪の運営体制、組織の総点検を捜査当局とは別の観点から独自に検証、反省する必要があります。どうもその気配がないようです。札幌市、JOCは2030年の冬季大会の誘致に向け、活動を続けています。札幌市は大真面目で「世界が驚く、冬にしよう」とのスローガンを10月に決めました。JOC理事だった高橋治之・元電通専務一人にかき回され、収賄額は5ルートで約2億円、逮捕者15人という醜悪な結果になりました。平和の祭典の裏で、単純な犯罪をやすやすと許したことに「日本中が驚いた」のです。このタイミングで札幌市、JO...五輪汚職を反省し札幌冬季大会の誘致を断念せよ

  • 音楽教室の演奏から著作権使用料を取る粗雑な議論

    実態を踏まえず新たな標的に2022年11月6日私は音楽教室に通い、週一回(30分)のピアノのレッスンを受けています。年間50回ほどで、月謝は1万円強です。都内、近郊に40教室を持ち、ヤマハピアノとも提携している中堅の教室です。もう数年になります。数年前から、「音楽教室の練習も作曲家の著作権使用の対象になる。収益(売上)の2・5%を徴収する」と、日本音楽著作権協会(JASRAC)が要求し、音楽教室側(事業者数は全国で約250)が猛反対し、民事訴訟を起していました。東京地裁、知財高裁、最高裁まで巻き込んだ問題に発展しました。ピアノ受講生の私は「著作権問題がここまで及んできたのか。カラオケから使用料をとるのと同じ論理か」と驚くとともに、「音楽教室の実態を踏まえず、法理論ばかりが先行した紛争だ」と思ってきました。...音楽教室の演奏から著作権使用料を取る粗雑な議論

  • 消えた新聞広告「尋ね人」、増える「ペット探し」にみる世相

    人よりペットとの絆が大切2022年11月3日新聞広告「尋ね人」は世相を映す鏡でした。「太郎、連絡を待つ。父」、「花子、心配するな、すぐ帰れ。母」、「次郎、父病気、会いたし。兄」など、社会面の片隅にほんの一行載る広告には、社会の歪み、悩みが反映されていました。いわゆる「3行広告」の一つで、求人、求職を3行で載せる広告を読むと、景気のよしあし、失業者の思いなど社会の実相がうかがえました。「尋ね人」広告は多くが1行でした。スペースを取らず、格安でしたから「3行広告」に分類されていました。その「尋ね人」広告がほとんど姿を消しました。それに代わって目立つのがペット探しの貼り紙です。私の家の周辺でも店の外壁に「猫を探しています。推定5、6歳の茶トラの男の子です。名前はガブリエル。保護された方、見かけた方は下記(電話番...消えた新聞広告「尋ね人」、増える「ペット探し」にみる世相

  • 財務官の先輩、後輩に酷評される黒田日銀総裁の破綻

    「新しい資本主義」より「新しい政治」が必要2022年10月29日政府は29日、物価高対策、円安対策などを盛り込んだん一般会計で約29兆円の総合経済対策を決めました。日銀も同じ日に大規模金融緩和を維持することを決め、巨額の赤字国債の発行を支える態勢を続けます。ほとんどの国が金利を引き上げ、財政支出を引き締める方向に転換しているのに、日本だけが世界の大勢に逆行しています。経済常識に反する政策をいつまで続けるのか、財政金融の破綻という結末が待っているのか、世界は注目しているに違いありません。中央銀行としての独立性を失ったばかりか、率先してゼロ金利の死守、際限のない国債買い上げを修正しない日銀は、批判の集中砲火を浴びています。財務省財務官だった黒田氏の先輩、後輩らも黒田批判の声を上げ始めています。こんな展開はこれ...財務官の先輩、後輩に酷評される黒田日銀総裁の破綻

  • 高齢者向けピアノ教室の発表会に出演した体験記

    五感を使いボケ防止に絶好2022年10月27日ピアノなどの音楽教室は少子化による経営難を乗りきる対策として、高齢者の受講生を歓迎しています。ピアノ教室は子供向けだったのが、おとな歓迎の路線に力を入れるようになってきました。私も思い切って沿線のピアノ教室を訪ねたところ歓迎され、もう数年、週一回のレッスンを受けています。ぼさぼさの髪の高齢者が杖を突きながら通ってくる、指を一本づつ使って曲をたどたどしく弾く。様々です。私が通っている教室の掲示板に、「おとなの晴れ舞台」というタイトルで、演奏レベルが高くない高齢者がでる発表会のお知らせが貼りだされておりました。「恥を忍んで出てみるか」と思い、1万円ほどの参加費を払い、申し込みをしました。音楽教室とっても、何か所かのセンター、支店を持ち、それぞれに個室の教室がたくさ...高齢者向けピアノ教室の発表会に出演した体験記

  • 週刊誌は小室・眞子さま夫妻の報道を検証すべき時だ

    識者にも合理的良識を求める2022年10月24日小室圭さんが米ニューヨーク州司法試験に3度目の受験で合格しました。ほっとした人が多いでしょう。民間人になっているのだし、これで生活が成り立っていくのでしょうから、もうそっとしておいてあげるべきです。年収は3000万円、現在はロークラークだから600万円とか。円安が急激に進んでいますから、ドルベースでないと、比較できません。とにかく「東京の弁護士事務所の所長に『今回は合格しました。本当にうれしいです』と連絡してきた」の報道に圭さんの気持ちこもっている。逆にがっくりきている人もいることでしょう。「文春砲」の異名で勢いがある週刊文春は合格発表の直前の記事で「小室さん不合格でも、安泰の証拠写真。そして佳子様が動いた」と報道しました。そのライバル誌の週刊新潮は「小室さ...週刊誌は小室・眞子さま夫妻の報道を検証すべき時だ

  • 新聞週間の自画自賛の新聞論は世論調査の歪曲

    社説は不要か、羅針盤機能を失う2022年10月13日秋の新聞週間を迎え、各紙は自画自賛の大きな編集特集を組んでいます。「新聞報道は正確、信頼できる」(読売)、「揺れる時代の羅針盤、確かな情報に重大な責務」(日経)と、新聞の評価、役割を強調しています。新聞には他のメディアに比べると、そうした特徴を備え、重要な社会存在であるといえます。それにもかかわらず販売部数の減少に歯止めがかかっていません。「社会にとって不可欠な存在」であっても、「読者にとって不可欠な存在」なくなりつつあるのでしょうか。一日当たりの接触時間の多いメディアの首位が初めて「テレビ」から「携帯電話・スマートフォン」に交代し、新聞・ラジオなどの伝統的メディアとの接触時間も減少しました(博報堂調査)。それに対し、各紙の世論調査の紹介記事を読むと、新...新聞週間の自画自賛の新聞論は世論調査の歪曲

  • 官邸機能の地下シェルター化を考えない防衛力増強は愚策

    首相の私邸住まいも禁止に2022年10月11日北朝鮮が9日、弾道ミサイル2発を発射し、今年は25回、9月下旬以降では7回計12発という高頻度に達しています。9日は青森上空を通過し、太平洋に落下しました。精度が上がっており、その気になれば、日本を核攻撃できる能力を持ったと考えておくべきです。政府は全国瞬時警報システム「Jアラート」を通じて、警戒と避難を呼びかけました。内閣官房の国民保護ポータルサイトには「弾道ミサイル落下時の行動について」の呼びかけが載っております。「地下か建物に中に避難して下さい」、「危険物には近寄らないで」などです。北が発射してから10秒程度で日本に落下、つまり瞬時のできごとですから間に合いますか。そもそも退避できる地下施設があるのかどうか。全国で9・4万か所が退避施設に指定されています...官邸機能の地下シェルター化を考えない防衛力増強は愚策

  • 新聞・テレビが報道しない本の凄まじい値上がり

    1000円を超す新書が続々2022年10月6日読書の秋です。資源高、円安でこの秋は値上げラッシュです。主な食品、飲料メーカー105社では、6500品目が平均で16%値上げされるとのことです。企業間物価は10%も上がり、消費者物価に波及してきます。出版物はどうなのか。値上げラッシュなのに、出版物の値上げの報道にはなかなかお目にかかりません。主要な新聞社は出版部門を持っていますし、テレビは新聞社の系列会社ですし、週刊誌を持つ出版社は自社のことですから、値上げに触れません。発表もしません。他業界のことばかり報道しています。書店の店頭に行ってごらんください。最も分かりやすいのは新書の値段です。手軽に買ってもらえるように、出版社は1000円以下(税込み)の価格帯に抑えてきました。それがどうでしょう。1000円を超す...新聞・テレビが報道しない本の凄まじい値上がり

  • 有識者に欠ける防衛力強化会議の委員構成は不思議

    増税キャンペーンが狙いか2022年9月29日政府は防衛力の抜本的強化に向けて自衛隊装備、予算・財源を議論する有識者会議を設け、30日に初会合を開きます。発表されたメンバー10人の顔ぶれをみて、防衛力強化の専門家があまりにも少ないことに驚きました。10人のうち新聞関係者が3人、金融関係者が2人、技術系の学者2人でした。防衛問の専門家と言えるのは元防衛次官(三井住友海上火災保険顧問)、元駐米大使(日本国際問題研究所理事長)の2人くらいでしょうか。国際情勢を語れる中西寛・京大教授を加えても3人です。政府からは岸田首相、松野官房長官、林外相、鈴木財務相、浜田防衛相が参加し、総力をあげて「防衛費をGDP比でNATO(北大西洋条約機構)基準・目標の2%」に引き上げる体制を組みました。メンバー表を見て、10人中3人が新...有識者に欠ける防衛力強化会議の委員構成は不思議

  • 世界の実験台にされている日本の円安と金融・為替政策

    長期戦略なき小手際の対応ばかり2022年9月23日大規模金融緩和の継続と利上げ回避を日銀総裁が記者会見で発表中に、円は1㌦=146円を突破し、慌てた政府は24年ぶりの円買い介入を実施しました。140円台前半まで円は反落したものの、介入の効果は限定的のようです。鈴木蔵相、黒田日銀総裁の会見を見ていると、異次元金融緩和と財政拡張政策を10年近く続けたため、身動きがとれなくなっており、口先だけの空威張りとの印象を受けます。一斉に利上げに動いている米欧主要国とは正反対に、「孤高のゼロ金利を続ける日本の結末はどのようなものになるか」と興味深く見つめていることでしょう。「成功するのか惨敗するのか」の実験台として日本を見ているのです。結論から申しますと、国債残高の半分を日銀が保有するという異常な状況、1000兆円を超え...世界の実験台にされている日本の円安と金融・為替政策

  • 英女王国葬は大英帝国の残像、安倍国葬は戦後政治史の一断面

    比較することの意味と無意味さ2022年9月20日エリザベス英国王の葬儀が19日、ロンドンのウエストミンスター寺院で行われ、日本からも天皇、皇后両陛下が参列しました。来週の27日に非業の死を遂げた安倍・元首相の国葬が行われます。二つとも国葬(statefuneral)と呼んでいますから、二つを比較してみたくもなります。比較することには意味はあるし、無意味でもある。国による国葬の違いを学ぶことには意味があります。一方、歴史、伝統、葬儀の位置づけがまるで違うし、英国は国家元首(国王)、日本は政治家(首相)で異次元の儀式ですから、比較することに意味がありません。それでも比べたくなるのは、英女王の国葬がまるで映画でも見るかのように人々の関心を大きく引くつけるからです。これが結論の一つです。もう一つの結論は、エリザベ...英女王国葬は大英帝国の残像、安倍国葬は戦後政治史の一断面

  • 五輪汚職の拡大で札幌冬季大会は早期の断念が賢明

    IOCの却下も不可避か2022年9月18日東京五輪を舞台にした贈収賄汚職は底知れぬ広がり見せ、竹田恒和・前JOC(日本オリンピック委員会)会長、森喜朗・元首相(組織委会長)を参考人として東京地検特捜部が事情聴取しました。このトップの二人は、逮捕された中心人物の高橋治之・組織委理事(元電通専務)の職務、就任の経緯などを聞くためとされています。それにしても、竹田氏は東京大会の招致を巡る不正疑惑でフランス司法当局の捜査対象になりました。森氏はAOKIが200万円の見舞金を贈るなど、灰色であることは間違いありません。30年の冬季五輪の開催地は、来年秋にインドで開催されるIOC総会で決まります。札幌市は開催を希望しており、招致活動を始めています。開催地は札幌市であっても、JOCや政府が絡んで招致活動、大会運営に深く...五輪汚職の拡大で札幌冬季大会は早期の断念が賢明

  • 自民党の「統一教会」調査は法治でなく人治で逃げる

    企業なら第三者委、政治家は自己申告2022年9月11日自民党が所属する国会議員と旧統一教会との関係に関する調査結果を発表しました。接点があったのは179人で、「一定の関係」があった121人については氏名を公表しました。この問題の論点、視点は多数あり、どこを重視するかで見方が分かれるでしょう。それにしても、不思議な点がいくつもあります。まず「一定の関係」という不思議な表現です。「一定」とはなんのか。関係、接点には議員によって濃淡があり、濃ければ「一定の関係」となるのでしょうか。一種の社会的な制裁の意味を込めたのか。民間企業に対しても、制裁、警告の目的で行政がよく使う手です。次に、旧統一教会には、多額に及ぶ反社会的行為が多数あり、今回の安倍元首相の銃撃・死去の事件の原因になったとされています。企業が同様の不祥...自民党の「統一教会」調査は法治でなく人治で逃げる

  • 円安加速で「日本円の葬送行進曲」を奏でる日銀

    まるで「円の国葬」ではないか2022年9月5日130円台前半まで戻した円は再び下落に転じ、1㌦=140円をつけ、24年ぶりの安値を記録しました。米FRB(中央銀行)のパウェル議長は「経済に影響が出てもインフレ抑制を優先する」構えで、政策の方向性について意思を明確に示しています。欧米の金融引き締めに対し、日本は超金融緩和を継続する構えで、「日本だけが別の世界にいるようだ」(日経)です。しかも鈴木蔵相が「急激な円安は好ましくない」と発言しただけです。肝心の日銀総裁は「ちょっとだけ金利を上げても円安は是正できない」と、白々しい発言です。円の価値をさらに減価させ、政府部門の債務(国債)を軽くしようとしているのでしょうか。動くに動けなくなった状況からどう脱出するのかの、意思表示が何もない。「円の葬送行進曲」、「円の...円安加速で「日本円の葬送行進曲」を奏でる日銀

  • 新聞の夕刊を廃止し経営合理化の一助に

    朝刊以上に発行部数が激減2022年9月1日新聞の夕刊の内容が急速に劣化しているように思います。経営的にも、編集面でエネルギーを割けなくなっているんのでしょう。だらだらと、発行を続けるのではなく廃止し、経営合理化の一助にすべきでしょう。すでに夕刊を廃止している地方紙もありますし、全国紙も地域によっては、山梨県のようにやめています。夕刊全廃の先陣を切りたくないというトップの意向があるのか、部数競争という悪習があるためなのか。人口減、経済成長の長期的停滞、急激なネット化の中で、一新聞社が朝刊も夕刊も発行し続けられるはずはない。経営資源の浪費です。日本新聞協会で「夕刊問題検討会」を設け、夕刊の維持がいかに難しくなっているかの方向性を確認し、各社が独自に対応すればどうか。これなら、談合だといって公正取引委員会も動く...新聞の夕刊を廃止し経営合理化の一助に

  • 警察庁長官、県警本部長は辞職でなく解任が至当

    歴史的な重大事件なのに遅く甘い処分2022年8月26日安倍晋三・元首相が街頭演説中に銃撃、死亡した事件で、中村警察庁長官と鬼塚・奈良県警本部長は25日、それぞれ辞意を表明しました。政治史に残る国際的な大事件なのに、最高幹部の処分は遅い、甘いに尽きます。安倍政権時代に官僚を震えあがらせた内閣人事局が強大な権限を持っているのですから、事件後、即座に解任、更迭といった重い処分で対応すべきでした。事件の検証報告書は「必要な措置をとっていれば、防げた」としているのですから、重大な責任をかれらに負わせるべきです。中村長官は国家公安委員会に辞職を申し出、26日の閣議で承認され、30日付で辞職することになりました。そんな手順を踏むのではなく、政府は事件後、即刻、両人を解任すべきでした。辞職の申し出を認めず、内閣として解任...警察庁長官、県警本部長は辞職でなく解任が至当

  • 高橋容疑者とAOKIの五輪汚職を防ぐ方法はあった

    電通式のビジネスに犯罪の原点2022年8月21日参院選が終わったら、旧統一教会と政治家の相互依存、東京五輪のスポサー契約を巡る贈収賄など、尾を引きそな問題がぞろぞろと浮上してきました。このうち五輪汚職は構図は単純で、組織委員会が監査体制を整えておけば、未然に防げたはずだったと思います。電通の元専務・高橋治之容疑者をメディアは、朝日新聞も読売新聞も「スポーツビジネスの第一人者」「絶大な影響力を持つドン」などと呼んでいます。「第一人者」という肯定的な評価と、収賄で逮捕された人物の否定的な評価がどうにもつながりません。高橋を「スポーツ利権屋の第一人者」と呼ぶのが正しい。スポーツを錬金術に仕立てる悪だくみの才能には長けていたのでしょう。この「スポーツビジネスの第一人者」と「スポーツ利権屋第一人者」が同一人物である...高橋容疑者とAOKIの五輪汚職を防ぐ方法はあった

  • 大連立を仕掛けた「大物官僚」の数々の秘話が公開

    忖度官僚が学びたい仕掛けの大きさ2022年8月15日これは、官僚が与党や官邸と対等の立場で動けた、あるいは動いた時代の物語の一つでしょう。自民、民主党の大連立などを仕掛けた影の役者の動きの全体像はあまり知られることはありませんでした。ずばり「秘録斎藤次郎」(光文社)とのタイトルで出版された近著は、官僚と政治との距離を考える上で、考えさせられるところが多い。「斎藤次郎」とは、大蔵省(現財務省)で官房長、主計局長、事務次官を務め、退官後も政界工作に動き、大連立を仕掛けた人物の一人です。官僚の枠を超えた仕掛けの大きさは、最近の忖度官僚、不祥事が続く官界にとって、官僚のあり方を反省する材料にもなります。著者は毎日新聞の元政治部長、元論説委員長だった倉重篤郎氏で、経済部にも二年間、在籍し、大蔵省を担当し、斎藤氏を取...大連立を仕掛けた「大物官僚」の数々の秘話が公開

  • 改造内閣に対する新聞のスタンスの読み比べ

    統一教会問題や国葬ではもっと本音を2022年8月11日岸田首相は第二次改造内閣を発足させました。新聞各紙は「骨格維持、再登板、派閥配慮」(朝日)、「物価高、エネルギー、政策断行内閣」(日経)などと表現しています。旧統一教会問題が表面化し、内閣支持率が急落したため、改造時期を1か月、早めました。「接点を認めた7人交代」「厳正に関係見直し」の一方で、「新閣僚6人が接点」など分かりにくい。関係の濃淡に大きな差があるためでしょうか、岸田首相は込み入った対応を迫られました。旧統一教会と政治家の問題については、「両者の間には、組織的な関係があったわけではない」とされています。「だからこの問題ばかりが騒がれるのはおかしい」という強い批判が与党や保守派の識者などから聞かれます。新聞社説は「教団との関係を清算せよ」(朝日)...改造内閣に対する新聞のスタンスの読み比べ

  • 大蔵省全盛期の吉野次官の死去が物語る官僚像

    後輩の次官を怒鳴りつけた硬骨漢2022年8月4日大蔵省(現財務省)の事務次官だった吉野良彦氏が91歳で死去しました。財務省のドン(ボス)といえば、長岡実氏(事務次官を退官後、最後は東証理事長)が有名で、吉野氏はその後を継ぐドンでした。1928年の入省、86年から二年間、事務次官を務め、「吉野悪彦(ワルヒコ)」という異名がつけられていました。最近の官僚の相次ぐ不祥事が意味する「ワル」でなく、高度の駆け引きに長けた「ワル」でした。「ワルヒコ」と呼ばれても、本人は嫌な顔をしたことはありません。大蔵省が差配する財政から、寄ってたかってカネ(予算)を引き出そうとする政治に対して、譲って花を持たせる一方、財政の背骨は守り抜く。譲歩したようでも、長期的には財政規律に寄与させる「仕掛け」「悪知恵」が中途半端ではありません...大蔵省全盛期の吉野次官の死去が物語る官僚像

  • 「朝日新聞政治部」は新聞協会賞にのめり込み墓穴

    利害関係者が身内で決める協会賞のおかしさ2022年7月30日朝日新聞の記者だった鮫島浩氏が福島原発事故をめぐる「吉田調書」報道(2014年)の責任(誤報に近い誇大報道)の責任を取らされて結局、21年に退社しました。同氏は近著「朝日新聞政治部」(講談社)で朝日新聞の内情、本人の記者意識を克明に書いており、痛快でもあります。朝日新聞は「新聞界のリーディング・カンパニー」を自称してきました。部数では読売新聞に劣っても、ジャーナリズムとしては日本を代表するのは朝日新聞という自負があってのことです。一読すると、代表的な新聞社の意思決定方法、筆者の意識がこの程度なのかと、驚きもしました。ひどいなと思うのは、日本新聞協会賞の過大な評価、それに対する異常なのめり込みです。(写真は浅沼稲次郎・社会党委員長の刺殺事件、196...「朝日新聞政治部」は新聞協会賞にのめり込み墓穴

  • 金融政策の実験台として名乗りを上げた日銀総裁

    世界が注目する孤高の大規模緩和2022年7月23日欧米を始め、世界の63か国が今年前半、インフレ抑止のために、金利を引き上げている中で、日本は大規模緩和政策の維持、金利の据え置きを決めました。円安も1㌦=140円突破に向かい、消費者物価は上昇しています。孤高の異次元緩和政策を続けていくと、日本経済はどういうことになるのか。「やってみなければ分からない実験みたいなことに挑戦しているのだから」が日銀の本音でしょう。各国は異形の金融政策の結果を興味深々と見守っているに違いない。日本に「実験」をさせている。21日の金融政策決定会合の結論をみると、アベノミクスの操縦者である黒田総裁の発言は「日本は異形の金融政策の実験台になる」と宣言したに等しいと思います。主要国の中央銀行は慎重に熟慮を重ね、リスクを避ける。黒田総裁...金融政策の実験台として名乗りを上げた日銀総裁

  • 中国の経済停滞を懸念する日本メディアのおかしさ

    人口減少も歓迎すべき変化2022年7月18日中国の経済社会問題で日本のメディアが大扱いしているのは、経済成長の失速と人口減少です。いままでのペースで中国が経済成長し、人口もどんど増えていったら日本はおろか世界の脅威であり続けます。むしろ中国の経済低迷と人口減少は、日本や世界にとって歓迎すべきことです。ロシアのウクライナ侵略を傍観、黙認している中国を批判しながら、経済低迷、人口減の問題になると、日本のメディアはまるで中国政府の視点に立ったかのような捉え方をする。「ちょっと待てよ」です。中国の4-6月期の実質経済成長率は0・4%に失速し、22年度の成功率目標の5・5%の達成は難しくなりました。共産党独裁政権の長期化を目指している習近平政権にとっては、重大事です。それを日本のメディアはどうみているのか。日経新聞...中国の経済停滞を懸念する日本メディアのおかしさ

  • 与党大勝は国内、国外の巡り合わせがもたらした結果

    それにしてもおかしな朝日新聞社説2022年7月11日争点が隠され、盛り上がりを欠いていた参院選は、「与党大勝、改選過半数」「改憲4党が2/3を超す」という結果に終わりました。岸田首相は力強く胸を張り、満面に笑みを浮かべました。「検討するだけ」「参院選前までは安全運転に徹する」「語る口はあるのか」と、迫力のなさが指摘されてきた岸田首相の政治手腕で、勝利を得たのではありますまい。大雑把にいえば、「結束できず、有権者の受け皿にならない野党」「日本にも危機感を与えれているロシアによるウクライナ侵略」「安倍元首相の銃撃、殺害事件による同情票」などが勝因でしょう。岸田首相自身が作り出したわけでない勝因で参院選に勝ち、最も得をしたのは岸田首相という結果だと思います。岸田首相は、これら巡り合わせを「決められる政治」に変え...与党大勝は国内、国外の巡り合わせがもたらした結果

  • 安倍元首相殺害の銃撃事件にみる粗暴・粗雑さの連鎖

    「まさか」が容易に起きる時代2022年7月9日「安倍元首相が撃たれ出血、心肺停止」の速報がスマホに流れてきて、テレビをつけてみると現場中継をしていました。「日本ではまさかそんなことは起きまい」は通用しなくなりました。犯行の動機の解明はこれからで、すでに無数の論点、視点、解説が流されています。その多くはそれぞれポイントを突いているのでしょう。安倍氏は強気、強引、強行突破、挑発型の政治家で、それが持ち味にもなる反面、いろいろな意味で標的にされやすい。だからといって犯行が許されるわけで全くない。「民主主義の破壊を許さぬ」(朝日新聞)、「卑劣な凶行に怒りを禁じえない」(読新聞)は本質を突いた社説です。早く知りたいのは、犯行の動機です。「特定の宗教団体を恨む気持ちがあった。とのトップを狙おうとしたが難しく、安倍氏が...安倍元首相殺害の銃撃事件にみる粗暴・粗雑さの連鎖

  • 連日の日銀批判で日経紙が危機感をむき出し

    日銀に緩和政策の転換を迫る2022年7月3日日銀をめぐる報道で、これほど異様な光景はまずありません。経済専門紙の日経が連日、海外市場の波乱、一向に重い腰を上げない日銀、進む円安、2%超の消費者物価の上昇率、国内所得の海外流出などを大々的に報道しています。重大な異変の前ぶれなのででょうか。日銀が政策転換に追い込まれたら、日経、傘下のフィナンシャル・タイムズ紙の勝利です。そして日銀の敗北です。メディアによる日銀史上初の敗戦となります。「日銀敗戦」の処理費用は財政、さらに国民負担に降りかかり、海外勢は巨額の利益を得ることになるのです。日経は名門の英経済紙、フィナンシャル・タイムズ紙を子会社として買収していますから、海外経済情報にも通じています。海外ファンドが日本国債を売り浴びせ(金利上昇要因)、日銀が買い回る(...連日の日銀批判で日経紙が危機感をむき出し

  • 前日銀副総裁が回顧録で異次元緩和の出口論の私案

    異形の政策に苦悩が滲む2022年6月25日黒田東彦氏と中曾宏氏は13年2月、日銀の正副総裁に就任し、アベノミクス・異次元金融緩和政策を推進しました。中曾氏は18年3月、5年の任期が切れて退任しました。同氏による回顧録「最後の防衛線/危機と日本銀行」(日経出版)が出版されました。バブル崩壊(1990)後の金融危機対策から書き始め、異次元金融緩和の出口論に至る700頁もの大著です。難しい金融政策論を達意の文章で優しく説明しており、日銀マンの教科書にもなりうると思います。政治家にとっても、金融、政策の限界を知るうえで、有益な著書です。作家の井上ひさしが「難しいことをやさしく、やさしいことを深く・・」という名言を残しています。それに従えば、この本は「やさしく」書かれていて、中曾氏の心象風景も随所で書き込まれ、人柄...前日銀副総裁が回顧録で異次元緩和の出口論の私案

  • 「黒田日銀総裁会見」で新聞社説はみな惨敗

    パニックが起きるまで待ちの姿勢2022年6月19日世界がインフレ防止で一斉に金利を引き上げている中で、日本だけ一国が動かず、円安が1㌦=150円程度まで進むとの観測です。景気後退を覚悟しても引き締めにかかっている欧米とは真逆のスタンスです。異次元の金融緩和と財政出動を続けてきた日本は、「進むも地獄、退くも地獄」という出口のない泥沼に陥っています。黒田総裁の記者会見の写真は、身振り手振りで必死の説明する姿には哀れささえ感じます。重要な問題ほど「何も決められない日本」の姿を象徴しているのが、今の政府、日銀です。金融政策もパニックが起きないと、決断できない。そこまで追い込まれないと、動けない、動かない。総意が成立しない。大転換期を迎えているこんな時こそ、新聞社説は健筆をふるってほしいのに、主要紙を読んで失望しま...「黒田日銀総裁会見」で新聞社説はみな惨敗

  • 出口論を封じてきた日銀総裁の不作為の結末

    日銀史上で最大のミステークの恐れ2022年6月14日NYダウの1000㌦下落に続き、14日の東京市場は寄り付きで500円安、2万6500円という波乱の展開です。米国は金利引き上げ路線を走っているのに対し、日本は日銀総裁、官房長官、政策担当機関は「急速な円安を憂慮する」との発言を繰り返しているだけです。そのことこそ憂慮します。欧米は金融緩和の出口戦略を展開しているのに、日銀の黒田総裁はこの10年、出口論のシナリオを匂わせることすらしてきていません。欧米が金利引き上げに向かっているのに、日銀は「大規模な金融緩和(ゼロ金利)を続ける」と述べ、世界の流れとは真逆のスタンスです。日銀が不作為を決め込んでいる間、あっという間に一㌦=135円という98年以来の円安です。日本経済の安売りです。異次元緩和と一体になった財政...出口論を封じてきた日銀総裁の不作為の結末

  • 独立財政機関を否定する日本の非常識が歳出膨張の一因

    主要国は設立し政治を監視2022年6月9日政府は経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)と、「新しい資本主義」の実行計画を閣議決定しました。「骨太」とはよくいったもので、その中身に対しては「野放図な財政支出」(読売新聞社説)、「歳出拡大の圧力が増大」(日経社説」の悪評が聞こえてきます。中央銀行が独立性を失い、財政と一体化してしまいました。主だった国ならどこでも設けている独立財政機関が日本にだけありません。設けようという動きもありません。日本の常識は世界の非常識なのです。「骨太の方針」のタイトルには「改革」の一文字がついています。財政状態を「改革」するのかというとそうではない。低迷する経済、景気情勢を「改革」するとのが先というのが本意で、そのためには財政に犠牲を強いる。財政状態は二の次という位置づけです。...独立財政機関を否定する日本の非常識が歳出膨張の一因

  • 効果が分からない出費が急増する高コスト社会

    「費用対効果比」を黙殺する世紀2022年6月5日どの程度の費用をかけ、どの程度の効果(成果)を得ようとするのか。この「費用対効果比」の原則を守らない企業は倒産、淘汰されます。それが国家予算・社会保障、安全保障・防衛、地球環境・脱炭素など、国家や社会全体の問題になると、「費用対効果比」の原則が黙殺される時代です。必要な金額(コスト)だけが算出され、財源をどう調達するのか、どのような効果(成果)を生んでコストが回収されるのか考えなくなっています。「必要なカネは惜しまずに出す」という原則が多くの国で大手を振っています。日本が最もそれがひどい国なのです。日本は危機感が乏しく、財政状態は主要国で最悪なのに、安倍元首相は「国債は国の子会社の日銀が引き受けるから心配はない」と連呼しています。国家が消えることはないとして...効果が分からない出費が急増する高コスト社会

  • 国際情勢を直視し、岸防衛相は辞任を申し出るべきだ

    国防意識の感度の鈍さを証明2022年5月29日国会の委員会で着席のまま答弁するなど、岸防衛相の弱々しい姿を見せつけられるにつけ、日本は激動する国際、軍事情勢を乗り越えられるのかと心配になります。要するに日本の国防意識の感度の鈍さを証明しています。岸田政権はこの問題の扱いに手を焼いてはいるのでしょう。安倍家と岸家の後継者問題も絡むので、様子見の構えをとっています。国際情勢は日本の政界の思惑と無縁に展開していきます。そうした認識がないのです。安倍氏は退陣後の菅政権発足の際、実弟の岸信夫氏を防衛相に押し込みました。安倍氏も防衛相人事を主導した手前、岸氏に「身を引け」といえば、自らの責任に波及してきます。安倍家と岸家の後継者問題も絡んでいますから、健康状態を理由に簡単には辞められないのでしょうか。岸氏自身が防衛相の役割...国際情勢を直視し、岸防衛相は辞任を申し出るべきだ

  • 悪文が目立つ朝日新聞の「日米首脳会談」の社説

    苦し紛れに「だが」「だた」を乱用2022年5月24日社説の読者は減っていても、新聞社の考え方を知るのに役立ちます。日米首脳会談を扱った各紙(24日)を読み比べると、「朝日新聞がまたやっている」と改めて感じました。悪文が多いのです。今回に限らず、朝日の社説には「だが」、「ただ」がしばしば登場します。首脳会談の場合、一応その意義を評価する文章を書いておき、すぐその後に「だが」「ただ」「しかし」などと続け、せっかくの意義を否定してしまうのです。「日米首脳会談、対中、力に傾斜の危うさ」という見出しの社説も、朝日スタイルの典型的なケースです。下の段の社説「米の拡大抑止、核戦争のリスク直視を」では、「べきだ」「べきだった」がなんと6回も使われ、なんとも息苦しい。教えを垂れている感じです。これも朝日スタイルの典型です。最初の...悪文が目立つ朝日新聞の「日米首脳会談」の社説

  • 中国経済の減速は「中国経済の正常化」ではないのか

    軍事大国への歯止めになる景気後退2022年5月20日バイデン米大統領が日韓両国を訪問し、首脳会談に臨みます。インド太平洋地域で存在感を増す中国をにらみ、米国は主導権を確保しようとしています。ロシアのウクライナ侵略から学んだのは、暴虐に走る専制主義国家への備えを固めておかなければならない時代に入ったことです。日本のメディアも軍事外交面での対中政策の強化は最重要課題と考えているのに、経済面では対中依存の意識から抜け出ていない記事が少なくない。軍事、外交、経済を総合的に把握する報道姿勢が必要です。日経新聞の一面トップ(20日)は、「日本の自衛隊が運用する早期警戒管制機(AWACS)と同じ形状をした構造物(実物大の模型)を中国はウイグル自治区の砂漠地帯に設置していることが判明した」という記事です。3枚の衛星写真が添えて...中国経済の減速は「中国経済の正常化」ではないのか

  • マイナカードのデジタル対応に遅れる役所の窓口に怒り

    電子証明の更新手続きで来庁を要求2022年5月15日「マイナンバーカードに書き込まれた電子証明書の有効期限(5年)が切れたので、役場の窓口に来て、更新の手続きをして下さい」という書類が郵送されてきました。読めば読むほど腹が立ってきて、デジタル時代だというのに、役所の窓口業務に色濃く残るアナログ対応に怒りを覚えました。「マイナンバーカードを普及させる」、「デジタル庁を設置する」と政府の掛け声は大きくても、市役所などの窓口業務の刷新は時代のテンポにあっていません。デジタル庁と対峙する”アナログ庁”を刷新すべきです。ロシアの侵略に耐えているウクライナの戦いぶりをみると、デジタル技術を駆使した戦闘、情報戦に長けていることが分かります。ウクライナの電子戦略は31歳の副首相兼デジタル相が率いるチームの担当です。戦争もそうで...マイナカードのデジタル対応に遅れる役所の窓口に怒り

  • 円安でも身動きとれない日銀の本音の解明が必要

    社説も物言わぬ日本のメディア2022年5月10日連休明けから、株価が急落し、9日は680円安、10日も470円安で始まりました。輸入物価の上昇を招いている円安は1㌦=130円が続き、4月の消費者物価は1・9%という7年ぶりの大幅な上昇です。日銀の黒田総裁も、円安容認の発言をやっと「急速な円安はマイナス」と修正するようになりました。ではゼロ金利政策から転換するのかといえば、そうではなく、大規模金融緩和を継続する方針です。金利を引き上げたくても、身動きがとれない泥沼状態を自ら招いてしまっているのだ思います。米国のFRB(中央銀行)は4日に金利を0・5%の利上げに踏み切り、パウエル議長は「インフレ抑制」を明確にしています。日本でも「円安が続くと国民の暮らしが苦しくなる」、「日本の労働力の安売り」、「一人当たり国民所得...円安でも身動きとれない日銀の本音の解明が必要

  • ブログ「防衛研究所のメディア出演の急増」に集中したコメントの意味

    ネット社会における議論の難しさ2022年5月4日ブログ「ウクライナ解説で防衛研究所の突出したテレビ出演を懸念」(4月30日)を投稿したところ、たくさんのアクセス、コメントをいただきました。多くの人にとっては私と同様、無名に近い存在だった防衛研が突然のようにメディアに浮上したのはなぜだろうと思ったのでしょうか。私の問題提起の本質的な部分とかみ合わないコメントも多く、ネット論壇における議論の難しさを痛感しました。コメントはポータルサイト・goo、言論サイト・アゴラ、ツイッターなどに寄せられております。無名の私には日頃、あまりコメントはきません。ウクライナ情勢の報道姿勢に関心が集まっていためでしょう。コメントをいくつか紹介します。「懸念されていることはもっともだと思います」、「ご意見に賛同します。防衛省(機関)の方が...ブログ「防衛研究所のメディア出演の急増」に集中したコメントの意味

  • ウクライナ解説で防衛研究所の突出したテレビ出演を懸念

    防衛職員が連日のコメンテーターの異様2022年4月30日ロシアのウクライン侵略の報道で、連日連夜、防衛研究所のスタッフがテレビ番組に登場するを見て、「ジャーナリズムの一環に食い込んてしまったようで、やりすぎではないか」と、思ってきました。国家・国家機関とメディアは適度の距離を置いた存在でならなければならないのです。防衛研の存在は知る人は知っていても、私を含め、多くの人々は「そんな研究所があったのか、しかも防衛省の一組織とは」でしょう。防衛省側に「この際、防衛研の名前を売り込みたい」という明確な方針がなければ、国家公務員が専属コメンテーターのように連日、メディアへに登場できるはずはありません。ウクライナ情勢、ロシア包囲網の現状、推移、展望は国民、経済社会の最大の関心事です。防衛研の情報取集活動と分析は不可欠な任務...ウクライナ解説で防衛研究所の突出したテレビ出演を懸念

  • 不法占拠の北方領土は「ウクライナ人が住民の4割」のなぜ

    100年以上前にロシア極東に大挙移住2022年4月24日外務省は22年度版の外交青書で北方領土について「日本固有の領土であるのに、ロシアに不法占拠されている」と記述し、19年ぶりに「不法占拠」という表現を復活させました。北方領土返還を期待して、ロシアを刺激したくないとの遠慮があったのでしょう。そんな気遣いと無関係に、ロシアのウクライナ侵略で返還交渉は断絶しました。ロシアは極東で軍備増強を進め、北方領土に軍事基地を設営してます。国際情勢のよほどの激変がない限り、返還はありえません。それとの関連で「北方領土の住民(1・7万人)の4割がなんとウクライナ人(ウクライナ系)」という指摘が聞かれるようになりました。北海道新聞が「島民の3人に1人がウクライナ出身」(15年8月)という記事を書いているそうですから、以前から知る...不法占拠の北方領土は「ウクライナ人が住民の4割」のなぜ

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