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  • 街から本屋さんをなくさない=官民一体の書店振興策に期待

    高すぎる返本率=書籍33%、雑誌44%2025年2月8日出版大手の講談社、新聞大手の読売新聞が「書店活性化に向けた共同提案=官民で書店振興」を発表し、読売新聞は一面トップ、詳報2㌻(2月7日)という力の入れようです。書店数は03年度2万800店だったのに、20年間で1万900店に、つまりざっと半分になってしまいました。新聞1面下は伝統的に出版広告が並んでいます。広告量は減り、恐らく広告単価はどんどん落ち、新聞界にとっては一大事です。本の販売額は紙と電子を合わせ2024年、1兆5700億円(紙は1兆円)で、ピークの1996年の2兆6500億円の4割まで落ちています。雑誌は1兆5600億円が4100億円で、ピークの4分の1です。食品や健康グッズなどの通販広告が大量になり、恐らく低価格で掲載されています。本の値...街から本屋さんをなくさない=官民一体の書店振興策に期待

  • 批判を浴びる黒田・前日銀総裁は沈黙を破ってほしい

    異次元緩和批判本が続々と2025年2月2日安倍政権下で日銀総裁を務め、異次元金融緩和策(アベノミクス)を10年も続けた黒田東彦氏は、いつまで沈黙を守り続けるつもりでしょうか。異次元緩和・財政膨張策への検証、批判が噴出しています。前任の白川方明総裁は分厚い回顧録を残しました。黒田氏には証言する責務があると思います。日銀は異次元金融緩和を含む過去25年間の金融政策の検証(多角的レビュー)を昨年末に発表し、10年という長期化の代償が極めて大きいと、批判的に総括しました。さらに2014年後半の金融政策決定会合の議事録が先月末に公表され、同年10月の追加緩和(国債買い入れ拡大、ETF=上場投信の購入など)は「反対意見が多く、5対4の薄氷の決定だった」ことが明らかにされました。そんな際どい票差と知り驚きました。「多角...批判を浴びる黒田・前日銀総裁は沈黙を破ってほしい

  • インフレ長期化に対する小幅利上げで語られていない狙い

    財政金融の一体改革が必要2025年1月25日トランプ米大統領の就任演説、石破首相の施政方針演説、それと日銀の0.25%利上げが続きました。大統領、首相、中央銀行総裁らの言動は大々的に報じられている。メディアでは表面的なことばかり詳細に報道され、腹の中ではかれらが何を考えているのかが伝わってこない。彼らは自分に都合のいいことは大声で言います。トランプ氏は「米国第一で黄金時代が始まる」と、大言壮語しました。すでに米国は最強の国であることを知っているのに「米国は間もなく、過去にないほど偉大で力強く、特別な国となる」と。自分の手柄にしたいのです。テレビのワイドショーのようです。企業の実力を計る株価時価総額の世界ランキングは、上位5社は米国、上位10社中、9社が米国、上位50社中、35社が米国と、圧勝です。ドルは世...インフレ長期化に対する小幅利上げで語られていない狙い

  • 日銀副総裁がまたも守秘義務違反まがいの発言

    そこまで言って委員会2025年1月17日植田総裁になってから日銀役職者から、守秘義務違反まがいの発言が飛び出すようになりました。日銀の金融政策は金融政策決定会合(今回は1月23、24日)で決めることになっているのに、それに先立ち氷見野・副総裁が追加利上げを示唆するような発言をしました(14日)。虚を突いた「サプライズ」で市場を驚かすことを好んだ黒田・前総裁と打って変わって、植田総裁になってから「市場との対話」を重視するようになってきました。「市場との対話」ならともかく、金融政策決定会合に先立って、政策変更を示唆するような発言です。これは日銀役職者に課せらている守秘義務(日銀法29条)違反に相当すると私は懸念します。氷見野副総裁の発言(講演と記者会見、14日)は「金融政策決定会合では追加利上げの是非を議論す...日銀副総裁がまたも守秘義務違反まがいの発言

  • 英明な宰相が不在の現代には凡庸な宰相でよい

    権力者の暴走より人畜無害がよい2025年1月10日世界の現状をみると、「英明な君主」はどこかにいないものだろうか、というはかない希望を持ちます。「君主制」の国は中東の一部にすぎないでしょうから、「英明な君主」を「英明な宰相、政治的リーダー」とおきかえることにしましょう。トランプ、プーチン、習近平氏らは「君主」であっても、「英明」とはほど遠い。欧州では次々に政権交代、与党の敗北が続き、「英明な宰相」は不在です。野心や権力欲を持ったリーダーは多く存在しても、「英明」とはいえないでしょう。権力の座につけば、全権を握ったと錯覚し、多くが無謀、乱暴な政治に走ります。プーチン露大統領はウクライナを侵略し、習近平中国国家主席は絶対君主のように振る舞い、トランプ次期米大統領はグリーンランドという他国の領土を買収したいと言...英明な宰相が不在の現代には凡庸な宰相でよい

  • カネでは買えない米国の歴史的シンボル・USスティール

    経済学から政治経済学になった時代2025年1月4日バイデン米大統領は、日本製鉄によるUSスティールの買収計画に対する中止命令を出しました。不満の日本側は法廷闘争も選択肢に含まれると言い、引き続き闘うつもりのようです。米株式市場では、USスチール株が急落し、「再建困難」で、製鉄所の閉鎖、本社移転が不可避とか言われています。「米国内で所有・運営される強固な鉄鋼産業が不可欠」(バイデン氏)と言った手前、どうするのでしょうか。政府の支援を受けながら、他の売却先をさがすのでしょうか。「米国の歴史的なシンボル」を買収して再建するという夢が破れ、ほっとする日がくるような気がしてなりません。大統領選におけるバイデン氏とトランプ氏の大統領選でに闘いが示すように、経済問題は「経済学」や「経済理論」ではなく、「政治経済学」の時...カネでは買えない米国の歴史的シンボル・USスティール

  • 日銀による異次元緩和政策の自己検証は「後の祭り」

    第三者機関抜きの自己弁護2024年12月28日日銀はアベノミクスの異次元緩和を中心に、過去25年間の「政策多角的レビュー」をしました。安倍首相・黒田総裁が2013年から始めたアベノミクスは10年に及ぶ前例のない冒険であり、開始してから2、3年後には検証しておかなければいけなかった。今ごろになって公表しても「後の祭り」です。アベノミクスは安倍政権、その同調者は「壮大な実験」ともてはやしていました。一方、当初から「こんな無謀なことを続けたら、足を抜けなくなる」と指摘する専門家もおりました。結果は批判派の指摘の通りになりました。「実験」であるなら、早期に検証し、軌道修正をしておくのが常識なのです。さらに日銀当局による自己検証ですから、都合の悪い部分に触れたがらない。企業の不祥事でも、外部の専門家で構成する第三者...日銀による異次元緩和政策の自己検証は「後の祭り」

  • 「紙媒体の帝王」の読売主筆の亡き後の負の遺産は部数激減(終)

    新聞の浮沈を握ったネット情報2024年12月26日30年間もトップの座にあった読売新聞主筆のナベツネさんに対し、毀誉褒貶、記者と政治家の一体化などの批判がある一方で、言論界、政界、スポーツ界などに残した足跡の大きさを、ライバル紙までが大々的に報道するという異例の波が起きました。ほとんどのナベツネ論に欠落しているのは、紙媒体がネット媒体に主役を譲っていく歴史の流れの中で、新聞経営者としてどう対応しようとしてきたのか、どう対応していこうとしていたのかという視点です。このままでは、新聞はやせ細り、命運が尽きる新聞社が地方紙から増えてくるかもしれない。全国紙の中には、地方紙の部数にレベルに落ち込んいく社もあるでしょう。「紙媒体の帝王」はどうしようとしていたのか。「紙の新聞の社会的使命(取材・事実の発掘、ニュースの...「紙媒体の帝王」の読売主筆の亡き後の負の遺産は部数激減(終)

  • ③マキュアベリを愛した読売新聞主筆の人脈作り

    歴代大蔵次官との懇談の場も2024年12月22日98歳で死去した読売新聞主筆のナベツネさんは、政界、官界、政治部を中心とする記者仲間、野球界、相撲界と人脈は幅広く、私が見聞したのはそのごく一部にすぎません。単に交友関係というより、戦略的に人脈を広げていく姿を垣間見ることができました。ナベツネさんが重視していたことの一つは、大蔵省官僚に対する人脈作りだったに違いない。歴代事務次官複数との定期的な会食の場を設けていたはずです。私は財政研究会(大蔵省記者クラブ)に何度か在籍したことがあり、親しかった元事務次官もおり、時々、その様子を聞くことができました。次官側が1人、2人というのではなく、かなりまとまった人数のようで、ナベツネさんの政治情報の広さを知れば、大蔵省側もそれに応じるだだけ価値があると考えていたのでし...③マキュアベリを愛した読売新聞主筆の人脈作り

  • マキュアベリの君主論を実践していた読売ナベツネさん②

    社内では異論を封じる2024年12月21日98歳で死去した読売新聞主筆の渡辺恒雄さんは、マキュアベリの君主論を愛読していたということを第一回目で書きました。君主論の「君主は愛されるより恐れられるほうがよい」の箇所を、社内にいる記者たちは何度も聞かされました。私も主筆に怒鳴りつけられた経験が何度かあります。中曽根氏が固執した大型間接税(売上税)の導入構想(82年)が持ち上がって、大蔵省(現財務省)の主税局長を講師に招いて勉強会が開かれました。ナベツネさんはもちろん、政治、経済部などから記者が参加しました。ナベツネさんは「独裁者」でありながら、憲法問題にせよ、税制の問題にせよ、多くの場合、この種の勉強会を招集し、専門家の意見を聞いて結論を出すというプロセスを踏みました。「独裁者」であっても、「独断」で方針を決...マキュアベリの君主論を実践していた読売ナベツネさん②

  • マキュアベリを愛読していた読売主筆ナベツネさん①

    恐れられる君主になれと2024年12月20日読売新聞主筆の渡辺恒雄氏が98歳で死去しました。すでに人物の大きさ、政界に対する影響力の大きさ、ジャーナリストとしての評価の仕方など、評伝が溢れかえっています。読売新聞社でナベツネさんに直接、接する時期がありました。ナベツネさんは活動領域が広く、その全容を追うことは私はできません。印象に残ったごくわずかエピソードをお伝えすることも、なんらかのお役に立てると思い、書くことにしました。読書家だった同氏は書店にいくと、関心のあるコーナーに行き、しばらく本のタイトルを眺めています。選んだ1、2冊を買うのではなく、店員さんを読んで「両腕を広げ、ここからここまで買いたい」と告げ、用意された台車の手押し車に何十冊も乗せ、地下の駐車場まで運び、トランクに積むのです。店員さんも手...マキュアベリを愛読していた読売主筆ナベツネさん①

  • USスティール買収失敗なら日鉄トップの辞任必至

    政治的リスクへの感度が欠如2024年12月14日日本最大の鉄鋼メーカーによる米国の歴史的象徴・USスチールの買収は、ほぼ絶望的になりました。日鉄の副会長は「年内に買収完了できる」と、楽観的な見通しを語っていました。社運をかけて2兆円を投じる一方、政治的なリスクに対する備えが不足していました。米国の歴史的象徴を買収し、日鉄の成長戦略の一角にしようとした経営計画が失敗したとなれば、経営トップは辞任し、経営責任を明確にするよう迫られるでしょう。米政権は経済的合理性に欠けていると批判できても、それが今のアメリカなのですから、日鉄は免責されません。任期がごくわずかとなったバイデン大統領が、買収阻止の方針を改めて固めたと報じられました。今月23日が審査期限です。トランプ次期大統領はさらに強硬な反対派で、審査期限を延ば...USスティール買収失敗なら日鉄トップの辞任必至

  • 三菱銀の貸金庫事件で連想する日銀は政府の貸金庫

    巨額の国債が詰まっている2024年12月9日三菱UFJ銀行で行員が4年半にわたって、貸金貨から顧客の現金や貴金属を盗んでいた事件が起きました。被害総額は時価10数億円だそうです。60人分の資産で、減っていることに気づいた顧客の問い合わせで発覚しました。まあ、盗まれていることに気が付かない富裕な利用客が大勢いるのに驚きます。その後、続報らしい続報がないところをみると、被害額の確定、証拠固め、法的な解釈などに手間取っているのでしょう。貸金庫には銀行が損害保険をかけているにしても、貸金庫の管理責任を担っていた行員の犯行ですから、頭取以下10数人のトップらに1人平均1億円、計10数億円を弁償させたいくらいのとぼけた事件です。よくある「役員賞与30%を6か月、返済」などという甘いものでは済まない。現金は預からないと...三菱銀の貸金庫事件で連想する日銀は政府の貸金庫

  • 右派の雑誌2誌の驚くほど大きい新聞広告のなぜ

    chatGPTに聞いてみた2024年11月29日月末になるといつもびっくりするのは、右派雑誌のHANADA、WILLの新聞広告の大きさです。雑誌広告としては、特に産経新聞が破格の扱いで、今月号(26日発売)はHANADAは全㌻(1㌻)広告、WILLは全5段広告でした。全㌻広告はいつものことかどうかは知りません。とにかく超ベストセラー並みです。私は月刊誌も出している出版社に一時、出向していたもあり、この右派雑誌がなぜ毎号、こんなに大きな広告を出すのか、出せるだけの収益をあげているのか不思議に思っていました。この2誌は日本雑誌協会が発表するデータにも見当たりません。雑誌の正確な発行部数、実売部数はもともとよく分かりません。日本雑誌協会に加盟している場合は、発行部数(印刷部数)が分かっても、雑誌は返品(発行部数...右派の雑誌2誌の驚くほど大きい新聞広告のなぜ

  • 経済どころではない戦時優先に入った世界情勢

    第三次世界大戦の予兆2024年11月21日日本を含め、各国は財政・経済の健全性を考えるどころではない戦時体制優先の時代に入ってしまったようです。ある統計によると、世界の紛争件数は23年が59件で、戦後最多になったそうです。トランプ氏が米大統領に勝利し、世界情勢はますますその危険度を増していくでしょう。米国は世界最大の民主主義国でありながら、トランプ氏の政治手法は権威主義(権力を元首、政党が独占して統治する政治体制)に相当するとみられています。民主主義国家を離れ、それと独裁国家の中間の権威主義国家に米国は流れていく。多国間協議の枠組みも嫌い、2国間の交渉(ディール)で圧力をかけてくる。「トランプ独裁」の時代が来そうです。日本政治では、キャスティング・ボートの握った国民民主党に、少数与党の自公政権は振り回わさ...経済どころではない戦時優先に入った世界情勢

  • 大接戦どころかトランプ圧勝で世論調査も惨敗

    日本メディアも米国情報を丸呑み2024年11月6日大統領選に対する米国の世論調査では、「全米では僅差(誤差の範囲という)ながらハリス氏優勢か。激戦7州は終盤まで激戦」(リアル・クリア・ポリテイクスによる多数の集計値)でした。結果はトランプ氏の圧勝でした。数日を要する可能性もあるとされていた開票結果も一日で終わりでした。ハリス氏は完敗し、世論調査も敗北したのだと思います。世論調査を信じ、開票が始まった段階でも「大接戦」の報道を流していた日本のメディアも惨敗に値します。今朝の新聞、テレビの報道には、「世論調査も惨敗」という視点での指摘が欲しかった。「激戦7州が勝敗の分かれ目」という世論調査結果も、ほぼ全州をトランプ氏がかなりの差で勝ち取り、激戦にはならなかった。大統領、上院と下院も過半数が共和党となれば、「レ...大接戦どころかトランプ圧勝で世論調査も惨敗

  • 衆院内のねじれ、衆参のねじれで政治は長期停滞

    安倍政治がもたらした敗北2024年10月30日衆院選で自民党が歴史的な大敗を喫し、立憲民主党、国民民主党が躍進し、自公政権が過半数割れをしました。メディアには「安倍政治の負の遺産」(政治学者・牧原出氏)が自民の敗北を招いたという視点が不足しています。政局舞台裏の情報が溢れていても、長期的な分析が足りないように思います。メディアは石破氏の失策の数々を責めることに懸命で、「安倍政治が民主党から政権を奪還して、アベノミクスのゼロ金利・財政拡張で最長の政権を維持した。その間、旧統一教会との癒着、安倍派を中心とする政治資金・裏金事件、円安と物価高などの遺産で、政権を失う瀬戸際に追い込まれた。安倍政治は勝って負け、結局、ご破算になった」という指摘があまり目につきません。異次元金融緩和と巨額の国債発行という遺産で、金融...衆院内のねじれ、衆参のねじれで政治は長期停滞

  • 「森羅万象を司る」の幻想に染まる総選挙公約の錯覚

    政府万能論を担ぐ首相ら2024年10月18日衆院選が始まり、世論調査では、早くも自民過半数割れか、自公は過半数維持かなどの予想が報道されています。新聞紙面1㌻を埋め尽くす主要政党の選挙公約を読んでみると、政府が何から何まで手をだす、さらに政府ができないことまで背負いこみ、失敗しているようにみえます。ノーベル経済学賞などは、細かな課題より、大きくなりすぎた政府が経済をゆがめている現状打開の研究、その打開に与えた方がよい。「大きな政府と市場との関係」をもっと研究すべき時期です。世界の公的債務(国債、借金など)は100超㌦(1・5京円)を超えるそうです。気候変動、国防費、産業政策などで増え、財政が悪化しています。公的債務の膨張は世界的傾向で、中でも日本は群を抜いています。石破首相は10兆円を超える補正予算を検討...「森羅万象を司る」の幻想に染まる総選挙公約の錯覚

  • 私も塩野義製薬の効かないコロナ治療薬の被害者

    薬効なく急性肺炎、厚労省も「効かない」2024年10月11日(写真は、よく効くと医者が言ったゾコーバの錠剤)私は5月にコロナに感染し、高熱を発し、近所の医院で診察を受けました。医師は「コロナにかかり、喉がやられている。よく効く薬が開発されている。1週間飲んでください」と、処方されたのが塩野義製薬が開発した新薬(22年11月)のゾコーバでした。1錠が7000円以上、10錠分、払ったのに、全く効かない。服用開始から、2、3日で急性肺炎になり、肺で血液に酸素が供給されないのか、真夜中、手足などが動かせなくなりました。肺炎の重症度は10段階のうちの8、9というレベル(後の専門医の判定)に達し、1、2日遅れていれば、死去していたかもしれません。救急車で病院に搬送され、2週間入院、2か月も自宅療養を強いられました。自...私も塩野義製薬の効かないコロナ治療薬の被害者

  • マネー市場の抵抗にあって挫折する石破新首相の改革

    2024年10月6日金融財政の正常化を嫌う市場石破茂氏が新首相に選ばれ4日、国会で所信表明演説を行いました。新聞の見出しを拾うと、「生産性を上げ賃金増」、「成長経済目指し投資に力点」、「防災庁へ準備」などです。所信表明演説は新政権の願望に過ぎず、公約でもなく、簡単に実現できそうにない多くの項目が並んでいます。政治家、特に首相の演説、発言は注意して聞く必要があり、語っている部分には嘘(実現困難な願望)が多く、語っていない部分に真実があると、考えた方がいいと私は思います。「国民を守る」の項目では、「物価上昇を上回る賃金上昇を定着させる」とあります。物価高の大きな要因は輸入物価の上昇で、円安、資源高、海外情勢不安などです。このうち日本がてきるのは、金利引き上げによる円安阻止です。円安対策については何も語らず、語...マネー市場の抵抗にあって挫折する石破新首相の改革

  • 自民総裁は上位3人の中では石破氏がベストの選択

    高市氏では新たな混乱の始まり2024年9月28日自民党総裁選の決選投票で、石破茂氏(67)が高市早苗氏(63)を破り、10月1日召集の臨時国会で首相に選出されます。一回目投票で高市氏が議員票、党員票でトップにつけ、決選投票でも勝つのではないかとのムードを感じた人もいははずです。それが石破氏の議員票が初回(46票)より130票近く増え、逆転勝利となりました。私は、最終段階で絞られた3人の中では石破氏という選択がベストだと、思っていました。特に高市氏による安倍流の保守、タカ派路線は時代の流れに逆行し、また安倍路線に戻ってしまう。小泉氏は人気が高くても、まだまだ政治経験が未熟ですきだらけです。高市氏は「経済成長をどこまでも追い求め、日本をもう一度世界のてっぺんに押し上げたい。成長、成長、成長ですと」と。掛け声は...自民総裁は上位3人の中では石破氏がベストの選択

  • 大谷「50-50」で日本のプロ野球人気が下がる一方の危機

    はぐらかし野球はを止めよ24年9月22日米大リーグ・ドジャーズの大谷翔平(30)がやりました。メジャー史上初の「50本塁打、50盗塁」の快挙です。仕上げは3連続本塁打ですから、米国の野球ファンは狂喜しました。日本ハム出身ですから、日本でもメディアは、新聞紙上、いまだかつてない大展開で沸きあがりました。テレビ、新聞を見ていて、スポーツメディア、球界関係者は大谷に狂喜するばかりで、日本のプロ野球の将来に微塵も危機感をあらわにしていません。太田の身体の能力、運動神経が超人的であることに加え、米大リーグという舞台があったからこそ、信じがたい記録が生まれた。ここで必要なのは、「日本野球はどうなるのだ。ますます一流選手の米国脱出が増え、日本の野球は衰えるのではないか」という危機感です。新記録達成を伝えるNHKのニュー...大谷「50-50」で日本のプロ野球人気が下がる一方の危機

  • 自民総裁選の上位2人は公開討論を経て決選投票に臨め

    政策論争を避けるな2024年9月14日自民党総裁選は12日に告示され、過去最多の9人が立候補し、上位2人の決選投票にもつれ込むと、予想されています。これまでの決選投票では、派閥の領袖らの密室の駆け引きが行われ、順位の逆転もあった。閣僚、党の主要ポストは論功行賞のような形で配分された。派閥解消が進んだ今回は、どのような形で決選投票が行われるのだろうか。改革派と保守派の2人が残った場合は、改革志向の議員らは改革派を推し、保守志向の議員らは保守派議員に投票するでしょう。2人が改革派だった場合はどうするか。私は上位2人が決選投票に入る前に、米大統領選のように、公開討論をすべきだと思います。両氏の政策をじっくり聞き、議員らは投票に入る。上位2人が27日の投開票日で決まったら、どちらを選ぶべきか議員らに考える時間を与...自民総裁選の上位2人は公開討論を経て決選投票に臨め

  • USスチール買収にみる経営トップの国際感覚の低さ

    大統領選という最悪のタイミング2024年9月8日日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収計画について、バイデン大統領が中止命令を出す方向だと、報じられています。すでにトランプ氏は「日本に買わせてはいけない。我々の製造業の遺産を取り戻す」と断言し、ハリス副大統領(民主党大統領候補)も「米国が所有し、米国が運用する企業であり続けるべきだ」と、述べています、日鉄による買収計画の破綻は必至の流れです。つくづく思うのは、日鉄が買収計画を発表したのは、大統領選が始まる直前の昨年12月で、なぜこのような最悪のタイミングで発表したのかです。大統領選に絡んで、直ちに政治問題化する。それくらいのことを経営のトップは分かっていなければならない。期限内(25年6月まで)に交渉がまとまらなければ、880億円の違約金を取られる。2...USスチール買収にみる経営トップの国際感覚の低さ

  • 大谷「43発-43盗塁」で分かった日本野球のダメな理由

    真っ向勝負を逃げる2024年9月1日米大リーグ・ドジャースの大谷翔平(30)がメジャー史上初の「43本塁打、43盗塁」を達成しました。全国紙が一面トップの扱いをした快挙です。この調子が続くと、ベーブ・ルースをしのぐがメジャー史上最高の選手という歴史的な格付けを得ることになりそうです。大谷の並はずれた身体能力、緻密なデータ分析を生かす明晰な頭脳の結果でしょう。米メジャーよりレベルが劣る日本(日本ハム在籍)で達成できなかったのに、レベルの高い米国で、度肝を抜くような記録を打ち立て、米国人のハートをつかみました。なぜそんなことができたのか。大谷の活躍でますます霞む日本のプロ野球です。日米の違いを考えるヒントが隠されているように思います。このままでは、超一流選手はさらに米メジャーを目指し、日本はメジャーの2軍とな...大谷「43発-43盗塁」で分かった日本野球のダメな理由

  • 日銀に「市場との対話」を促すことの虚しさ

    市場にサプライズするのは日銀2024年8月24日植田・日銀総裁は23日、国会の閉会中審査に出席し、「市場は引き続き不安定な状況で、極めて高い緊張感を持って注視する」と述べました。「高い緊張感」は言わずもがなの表現で、ほとんど意味がない。日銀は常時「高い緊張感」を持っていてくれなければ困るのです。日銀は異次元緩和の「負の遺産」で身動きが取れず、そうでもいうしかないのでしょう。黒田・前総裁は「市場に衝撃を与えるバズーカ砲」「市場をサプライズに陥れるショック療法」で有名になりました。最近は、どうやら日銀が市場の反応にサプライズする側に回ってしまったようです。7月末に利上げ(0・25%)したところ、株価が暴落し、内田副総裁が「金融資本市場が不安定な状況で、利上げすることはない」と述べ、沈静化を図りました。その直前...日銀に「市場との対話」を促すことの虚しさ

  • 歴史の意味をぼかす「終戦の日」「先の大戦」という呼称

    次世代にはピンとこない2024年8月16日天皇、皇后両陛下、岸田首相らは15日、全国戦没者追悼式に参列し、310万人の犠牲者を悼みました。新聞、テレビはみな「79回目の終戦の日となった15日」、「終戦から79年を迎えた15日」など、「終戦」という呼び方をしています。「終戦」というと、戦争に勝ったのか負けたのかが分かりません。「国民の9割が戦後生まれとなり、衆院においても終戦以前に生まれた議員はわずか8名」(額賀衆院議長の追悼の辞)となり、戦争の記憶が風化していくでしょう。実際に、「えっ、米国と日本が戦争したことがあるの」という世代も増えているそうです。はっきり「敗戦の日」というメディアがあってもいいはずです。朝日新聞、読売新聞、毎日新聞、日経新聞も「終戦」という呼び方です。「終戦の日(敗戦の日)」と書くか...歴史の意味をぼかす「終戦の日」「先の大戦」という呼称

  • 株暴落が示した日銀に対する「マネー市場の報復」

    市場機能を封印してきたつけ2024年8月11日7月末の日銀の利上げ、植田・日銀総裁の「さらなる利上げ」示唆、それが契機になったような株価の大暴落、慌てた内田・副総裁の火消し発言と、続きました。日銀史上、まれにみる「日銀執行部の動揺」です。黒田・前総裁の時は、相次ぐサプライズで市場をきりきり舞いさせました。今度は、日銀が市場にきりきり舞いさせられるという展開です。長く市場機能を奪ってきたことに対する「市場の報復」のような気がします。日銀は2013年からのアベノミクス(異次元金融緩和と財政膨張政策)以来、市場機能を停止状態に置くことに全力を挙げてきました。その結果、政策変更(異次元緩和の方向転換)に対する市場の反応を見極める能力を、日銀は自ら低下させてしまったのです。私はアベノミクスの修正、金融財政政策の正常...株暴落が示した日銀に対する「マネー市場の報復」

  • 株暴落はアベノミクスの清算と経済正常化への道

    日銀が最大の株主の異常2024年8月6日史上最大の暴落となった株価は、6日に若干戻したものの、しばらく方向感覚が定まらないでしょう。欧米の株価の下落幅(2-3%)に対し、日本株の下落は12%、先月の最高値からは25%という大幅な下げです。日本が突出しており、日本固有の原因がありそうです。日本株は世界市場で最も「仮装相場」の色彩が強いと、私は思ってきました。2013年から始まったアベノミクス(金融財政の異次元的な膨張政策)によって、日本株は「2本の竹馬」でかさ上げされた「仮装相場」だったからです。日銀がETF(上場投信)の7%(時価総額74兆円)を買い、日本最大の株主になり、日本の株高を支えてきました。さらに国債発行残高の半分以上(588兆円)を日銀が保有するという世界に例をみない異形の国債政策を続けてきま...株暴落はアベノミクスの清算と経済正常化への道

  • 岸田首相の圧力もあり7月の利上げは先送りとみる

    グランドデザインを書き直せ2024年7月26日日銀は30、31日に金融政策会合を開きます。日経新聞は「追加利上げを会合は支持する。政策金利の0・25%上げが有力」と強気な書き方をしています。読売新聞は「そうした見方がある一方、賃金や個人消費の動向の見極めが必要との声もある」と、曖昧で自信のない表現をとっています。7月の利上げは、日銀がやりたくても、先送りされると、私は思います。先送りしつつ、金融財政の正常化に転換していくとの姿勢は市場に疑われないよう、国債購入額を減額(現在の月6兆円程度を半減)し、「いつでも追加利上げをする用意はある」との説明はするでしょう。なんとも煮え切らない金融政策が続くのです。その背景として、岸田政権が「物価高に跳ね返る円安が進むのは困る。巨額の国債の利払い費が増える利上げも困る」...岸田首相の圧力もあり7月の利上げは先送りとみる

  • トランプ氏銃撃=劇場化と分断化で自壊する民主主義社会

    候補者自ら危機を呼び込む2024年7月15日米大統領選の最中、共和党のトランプ氏が銃撃を受け、「民主主義の根幹を揺るがす暴挙であり、断じて容認できない」、「民主主義の土台を支える選挙が暴力で脅かされている状況を深く憂慮する」という声一色です。異論はありません。岸田首相は「民主主義に挑戦する暴力には毅然と立ち向かわなければならない」との談話を発表しました。異論はありません。「ではどうしたらいいのか」。日本でも安倍・元首相の銃撃死事件、岸首相の銃撃事件もありました。警備の強化だけではどうにもならない。世界で最も厳しい米国の警備体制でも、隙があり、そこを突かれた。「毅然と立ち向かう」と発言したところで、暗殺、狙撃、銃撃を防げるわけではない。銃撃を受け、耳から血を流しているトランプ氏が拳を突き上げ、警護官が必死に...トランプ氏銃撃=劇場化と分断化で自壊する民主主義社会

  • (終)コロナ闘病記=全快するまでにボンベ生活3か月

    急性肺炎を起こした憎きウイルス2024年7月9日新型コロナが感染症法の5類の分類(インフルエンザ並み)に移行し、すっかり安心していましたら、「地震と重病は忘れた頃にやってくる」でした。5月下旬にコロナウイルスが無断で私の体内に侵入し、重度の急性肺炎を起こしてくれました。救急車で病院に搬送され、10何年ぶりかの入院生活です。入院そのものは2週間で終わり、自宅療養に移りました。肺の7割に炎症が広がっていたため、回復に時間がかかり、その間、酸素補給器で酸素を肺に送る必要がありました。体力回復を兼ねて散歩する時は、酸素ボンベを台車に乗せ、ガラガラと引く無様な姿です。今日7月9日(発病から数えて3か月)に入院していた病院に行き、担当医の最終検診を受け、「順調に回復し、酸素補給はもう必要ありません」と言われました。ボ...(終)コロナ闘病記=全快するまでにボンベ生活3か月

  • 政治ジャーナリズムが衝撃を受けた石丸氏のネット選挙

    報道の変革が迫られている2024年7月8日東京都知事選でテレビ、新聞は小池知事の3選を大きく取り上げています。私は都知事選における最大の注目点は、人口3万人弱の広島県安芸高田市の前市長で、立候補表明時は「その人誰?」の扱いだった石丸伸二氏が、人口1400万人(有権者数986万人)の東京都の知事選で165万票をわずか2か月で獲得、第2位になったことです。「小池対蓮舫の闘い」とのありきたりの読みは外れ、蓮舫氏は第3位の128万票に沈みました。都議補選で自民党が8区のうち6区で敗れたところをみると、政治資金の裏金疑惑への批判は続いている。小池氏勝利選は自民党の協力があったからではなく、「現職の強みとおばさんスタイルの安定感」という持ち味が勝因だった。ともかく石丸氏の情報戦術、ネット戦略をみて、政治ジャーナリズム...政治ジャーナリズムが衝撃を受けた石丸氏のネット選挙

  • 円安による税収増=インフレ税を歓迎する政府

    投機を呼ぶのは政府・日銀側2024年7月2日1㌦=160円が防衛ラインだと思っていたら、あれよあれよと、161円台まで円安が進みました。市場関係者から「1㌦=200円もありうる」という声まで聞かれます。プラザ合意(1985年)の時の235円のレベルに言及する人もおります。林官房長官は1日、「為替市場はしっかり注視し、過度な変動には適切な対応をとる」と発言しました。財務官は「投機による激しい異常ともいえる変動が国民経済にもたらす悪影響は看過しがたいのものがある」と、繰り返し発言してきました。新聞社説までが政府の考えていることの本質を探らず、「投機的な動きは容認できない。投機的な動きと判断したならば、毅然とした措置で対応してもらいたい」と、右へならえの指摘しています。政府、日銀のトップが「看過しがたい動き」と...円安による税収増=インフレ税を歓迎する政府

  • 政権支持率の低下を招いているのは岸田首相より自民党

    メディアも右往左往2024年6月27日連日、岸田降ろしの風が吹きまくっています。こうなると何が正しい選択なのかより、岸田首相がいつ退陣するか、だれが後継首相になるのかに関心が移ってしまうのが政治ジャーナリズムの悪習です。政治の底流より、表層雪崩の動きばかりを報道する。かりに次の総裁が決まったとっしても、日本の政治がどう変わっていくのかが分からない。スローガンだけで、思い切った手も打てそうにない。そこを見透かされ、円売りが加速し、1㌦=160円まで下落するのです。ある著名評論家は「岸田首相は引き際を誤った。政治責任をとっていない」と発言しました。政治資金の裏金疑惑は安倍派の罪が最も重く、しかも裏金継続を指揮したあのは、誰でもが予想する「ある人」であるのに、誰も口を割らない。小沢一郎衆議院議員(立憲)が「岸田...政権支持率の低下を招いているのは岸田首相より自民党

  • 都知事選の広報騒動で見た間抜けな選挙管理委員会

    出し抜いた候補者たち2024年6月24日東京都知事選の選挙公報が配られてきました。唖然、茫然です。回を追うごとに違和感のある候補者の広報が増えてきており、今年は一挙にタガが外れた感じです。14㌻もあるこんな広報紙を都民722万世帯に配布し、都内1万4000か所にポスターを貼る掲示板を設置した都選管は間抜けとしかいいようがありません。候補者の方は狙いを定めて悪計を練り、選管が気がついた時には、「時すでに遅し」で防ぎようがなかったか。民主主義の基盤である選挙の精神を踏みにじった候補者を責めるより、こんな広報を722万世帯に配った都選管の間抜けぶりに、愕然とします。事前情報はたくさんあったはずで、想定外では済まされない。最もひどかったのは「NHKから国民を守る党」です。立花孝志党首ひとりに選挙公報がハイジャック...都知事選の広報騒動で見た間抜けな選挙管理委員会

  • 国際情勢は重大なのに政治部は空疎な記事を乱造

    駆け引きより政策論争を2024年6月21日イタリアでG7(先進国首脳会議)が先日開かれ、7人の首脳のうち6人が来年も参加できるか分からないと指摘されました。岸田首相、バイデン米大統領、マクロン仏大統領らです。G7が1975年に開かれ約50年経ち、国際情勢の力関係は様変わりとなり、G7のすっかり力量が低下しました。大波乱の世界史の時代です。日本の一人当たりのGDP(ドル建て)はG7最下位クラスで、先進国というより、中進国レベルの扱いです。黒田・安倍ラインが積み上げた国債残高、日銀保有高のお陰で、円安に手の打ちようがない。翻って日本の政局をみますと、政治資金規正法を巡る与野党、あるいは与党内のもめごとが最大のテーマになってきました。政治資金の不正流用、適正な運用はもちろん大切です。それより重要なのは、正しいカ...国際情勢は重大なのに政治部は空疎な記事を乱造

  • 異次元金融緩和の最終的な出口は2、30年先か

    国債減額は出口の入り口2024年6月16日日銀は金融政策決定会合で、長期国債の買い入れを減らしていく方針を決め、7月に規模を決めることにしました。その規模は「市場参加者の意見を確認しながら計画を作る」、「1-2年程度の減額計画を決める」と、植田総裁は述べるにとどめました。慎重というか、市場への地ならしというか、自信がないのでしょう。新聞は「マイナス金利の解除に続き、『量』の面でも正常化を進める」(日経)、「大規模な金融緩和政策からの正常化を慎重に進める構えだ」(読売)と、「正常化」に向っていることを強調しています。正常化の終着点があるとすれば、いつを想定しているのかについて、記者団も聞かないし、専門家も終着点まで何年かかるかを語らない。分からなければ、何通りかのケースを想定して、現実的な想定はどれなのかと...異次元金融緩和の最終的な出口は2、30年先か

  • 第4回コロナ闘病記=退院後初の検診で朗報「7月上旬解放」

    携帯ボンベでバス初乗り2024年6月12日コロナウイルスによる重症の急性肺炎にかかり、立川相互病院に救急車で搬送され、丸2週間入院していました。退院したのが6月1日で、昨日の11日に退院後初の検診にいってきました。結論は「次回検診の7月9には、酸素補給器と酸素ボンベが不要になり、普通の生活に戻れます。そのつもりでいてください」という朗報でした。「あとひと月も酸素補助か」という気持ちと、「それに備え自己流リハビリで、体力回復に努力しておこう」という気持ちの交錯です。コロナとは知らず、自宅で寝込んでいたのが数日、急性肺炎で体が動かなくなり、救急車で病院に搬送されの入院生活が2週間、自宅療養が1か月と10日です。合わせて2か月の闘病生活という計算になります。行きはタクシーに乗り、帰りはバスでした。携帯ボンベを引...第4回コロナ闘病記=退院後初の検診で朗報「7月上旬解放」

  • (続々)コロナ闘病記:慢性の誤嚥性肺炎が重症化の引き金?

    ウイルスが突かれた弱点2024年6月6日私は毎朝、朝刊社会面の死亡記事に目を通します。何歳くらいの誰が亡くなったかを知るためです。死因に誤嚥性肺炎という表記がしばしば目につくようになりました。以前は、あまり見かけなかった表記です。特に80代前後に人の死因に目立つ。急に誤嚥性肺炎が増えたのではなく、医療記事などでも誤嚥性肺炎が題材になることが多く、死亡記事で漠然と、肺炎、心不全という表記ではなく、誤嚥性肺炎と明記する。いいことです。私がコロナウィルスによる急性肺炎で救急車で搬送され、緊急入院し、治療を受けていますと、医師、看護士が「この人には、誤嚥性肺炎の兆候があったのかもしれない」と、話をしているのを耳にしました。「えっ、私が誤嚥性肺炎なんて。違うな」と、思いました。10年以上も前、会社の会長が誤嚥性肺炎...(続々)コロナ闘病記:慢性の誤嚥性肺炎が重症化の引き金?

  • (続)コロナ闘病記:肺損傷で酸素不足、せん妄、無声状態

    酸素補給器が必携に2024年6月3日5月19日(日)の未明に救急車で病院に搬送され、2週間、入院しました。退院できたものの、自宅ではしばらく酸素補給装置付きの不便な生活です。私の場合、コロナウィルスが急性肺炎を起こし、その肺機能が元通りになるには、2か月ほどかかるという宣告です。感染症法5条に移行して、公式の発表も報道もあまり見かけなくなりました。私もすっかり安心していたところ、不意を突かれた感染、発症となりました。治療中に体に起きた異変、今後の生活に影響がでる後遺症について書きました。若い世代は発症率も低く、回復も早い。高齢者はその逆です。救急車で隣接市の立川相互病院に搬入され、医師から「治療中に不測の事態が起きるかもしれない。あなたは延命治療を希望しますか、どうしますか」と、真っ先に聞かれました。以前...(続)コロナ闘病記:肺損傷で酸素不足、せん妄、無声状態

  • コロナ闘病記=重症化、急性肺炎、救急搬送、緊急入院、2週間

    肺破損で酸素供給生活の後遺症2024年6月2日コロナウイルスが感染症法第5類に移行し、油断していたら、感染し、重度の急性肺炎(後で判明)になりました。ある晩、身動きが取れなくなり、もがいていても、もがいても手足が全く動かない。そのうち朝になり、救急車の出動を要請しました。5月12日(日)の未明から早朝にかけ、ベッドから何度も立とうとしてあきらめ、うとうととし、また立とうと、何度もトライした記憶は残っております。一生、世話にはなるまいと思っていた救急車を呼ぶことにしました。コロナが全盛をふるっていた当時と違い、10分ほどで救急車が到着、搬送先の病院も間もおかず、決まりました。隣接市の立川相互病院です。入院は2週間でした。苦しかったのは2、3日で、ピークを過ぎ、「これで死ななくって済んだ」と、思いました。この...コロナ闘病記=重症化、急性肺炎、救急搬送、緊急入院、2週間

  • NHKニュース編成が示すG7最下位の報道の自由度

    大谷選手、能登震災、那須町殺人の3点セット2024年5月12日NHK「ニュース7」(夜7時定時)は毎晩、ほとんど見ています。11日は「能登半島震災、那須町の夫婦殺害事件、大谷選手の活躍」に加え、北朝鮮による日本人拉致問題を巡る国民集会が主なニュースでした。最初の「3点セット」は、多くの視聴者は「またそのニュースか」と、うんざりしているでしょう。拉致事件も被害者家族の集会、陳情などがあると、進展があろうとなかろうと、欠かさず報道されます。いずれも日本、日本人にとっては軽視できない問題であることは間違いありません。報道することに意味があります。問題は報道の姿勢、内容です。NHKはあまりにも安易にこれらを報道している。失望しています。「報道の自由」以前の問題です。「国境なき記者団」が発表した「報道の自由の世界ラ...NHKニュース編成が示すG7最下位の報道の自由度

  • 「こどもの日」はこどもでも読める社説を書こう

    工夫する新聞は増える2024年5月5日5月5日の「こどもの日」の大きなニュースは、子ども(15歳未満)の推計人口が1401万人(総務省推計)だったことです。前年より33万人減り、43年連続の減少です。12-14歳は317万人に対し、0-2歳はコロナ危機の影響で結婚、出産が減ったこともあって235万人と、大幅な減り方です。今後も子どもの人口がさらに減り、日本全体の人口も減っていきます。政府は昨年「こども基本法」を施行し、国や自治体が施策に子どもの声を反映させ、遊び場の確保についても、子どもの声を反映させるよう求めました。新聞も社会全体の活字離れに加え、人口減少で購読者人口が減っていくことに危機感を覚えています。私は何年も前から、「こどもの日」くらいは、こどもに読んでもらえるやさしい記事を掲載したらどうかと希...「こどもの日」はこどもでも読める社説を書こう

  • 立憲全勝、自民全敗も政策思想を欠く空白の争い

    政治空白と円売りの連動を懸念2024年4月29日衆院3補選で立憲民主党が3勝、与党の自民党が3敗しました。「岸田首相の政権運営に打撃」、「自民1党優位体制に崩壊の予兆」、「岸田首相では次期衆院選を戦えない」との声が強まっています。日本の政治は長い空白期に入ると思います。立憲民主党と含む野党に、「厳しさの増す国際環境の中で、日本をどうしていくのか」という統一された政策思想があるとは考えられません。「全勝万歳」をした後、どういう政治をするというのか。「打倒自民党体制」を叫んでばかりが政治ではないはずです。他方、経済面をみると、超長期にわたる大規模金融緩和・財政膨張政策の「負の遺産」が背景にある円安・日本売りが止まりません。財務省が1㌦=160円という34年ぶりの円安に対し、円買い介入をしても効果に限界があり、...立憲全勝、自民全敗も政策思想を欠く空白の争い

  • 日本経済は八方塞がりで身動きに苦しむ

    「新しい資本主義」は空念仏2024年4月25日円安が止まらず25日、1㌦=155円台後半にまで下落、株価も3万8000円割れの大幅安になりました。日銀が25、26日の金融政策会合で0・25%程度、緊急に金利を引き上げ、財務省が為替介入(円買い・ドル売り)すれば、一時的に円安は止まるとしても、その効果は限定的でしょう。あまりにも長期にわたる金融緩和・財政拡充策の負の遺産が響き、日本経済が「あちらを立てれば、こちらが立たず」の泥沼状態に陥ってしまい、思い切った手を打てないのです。日米金利格差は4%程度、ありますし、日銀が年内に0・25%引き上げを4回、やったとしても、合計1%に過ぎません。さらに、このところの円安は国際的なドル独歩高の一環のようで、日本だけがもがいても限界があります。米国の景気が強く金利下げが...日本経済は八方塞がりで身動きに苦しむ

  • 1㌦=155円に政府の本音は「円安のほうが心地よい」

    「断固たる措置」は口先だけ2024年4月19日円安が進むたびに、財務省は「行き過ぎた投機的動きには断固たる措置をとる」と強調してきました。財務省所管の為替介入というげんこつ(断固たる措置)を振り上げたものの振り下ろさないのです。政府がけん制する「投機的動き」を誘っているのは、日本の超低金利です。日本で資金を調達して海外など運用すれば、儲けることはたやすい。自国の金融財政状況が根源的な原因です。日本は自らに牽制球を投げたほうがいいのです。今週末、ワシントンで開かれた主要国・G20財務相・中央銀行総裁会議では、為替問題は議題にされなかったため、日米韓だけで財務相会議を開き「最近の円安・ウォン安への日韓の深刻な懸念を認識する」といった声明をまとめただけで終えました。「断固たる」ではなかった。円安は輸入物価の上昇...1㌦=155円に政府の本音は「円安のほうが心地よい」

  • 「被害者・大谷」なのに愚劣な発信が多すぎた情報化社会

    情報もなく思い込みを垂れ流し2024年4月13日米メジャー・リーグで活躍するスーパースター、大谷選手の通訳を巡る事件で、米連邦捜査局は12日、水原一平を銀行詐欺容疑で訴追しました。連邦検事は「大谷氏は被害者とみなされる」と明言、私はほっとしました。3月末に事件が明るみになって以来、思い込み、伝聞、想像などに基づく情報、発言、コメントが飛び交いました。米国での事件、スポーツ賭博、法律問題などが絡み、知識が不十分な日本のファンは「一体、何が真相なのか」と、翻弄されました。捜査中の事件で、大谷選手は反論をできない立場にあるため、無責任な発言、コメントを乱発、乱造しやすかったのです。事実関係の検証もせずに気軽に発信できるネット社会の断面をみました。新聞・テレビなどのメディアもいかにも「訳あり」との印象を与える情報...「被害者・大谷」なのに愚劣な発信が多すぎた情報化社会

  • 就職人気でまたニトリが1位、新聞・テレビは全滅

    学生が読まない、見ない2024年4月9日学生の就職人気ランキングの文系総合で、家具・インテリアのニトリが昨年に続き第1位を維持しました。日経新聞と就職情報大手・マイナビが来年3月卒予定の大学生を対象にした調査の結果(3・9万人回答)です。メガバンク、大手商社、著名メーカーを抑えて、北海道発のニトリがトップに2年連続で躍り出たことは驚きです。国内690店舗、海外100店舗の大企業に成長し、さらに「IT(情報技術)コース」も備え、「製造物流IT小売業」というビジネスモデルを築き上げました(日経)。在学中に学生に職場体験を積んでもらうインターンシップも本格的に実施し、学生に親近感を与えているようです。私の居住地に近い立川駅前の高島屋はデパート業をやめて、フロアを貸す賃貸業に転換したのか、ニトリが入居しました。ニ...就職人気でまたニトリが1位、新聞・テレビは全滅

  • 自民党の資金疑惑の「本丸」に遠吠えする新聞

    解散・総選挙は遠のく24年4月5日自民党は派閥の裏金事件を巡り、安倍派、二階派の計39人の処分を決めました。新聞各紙をみると、表現にかなりの違いがあり、新聞社のスタンスが反映されています。朝日は「自民裏金」、毎日は「裏金事件」と表現したのに対し、読売は「不記載」としています。読売は関連記事でも「自民党派閥の政治資金規正法違反事件」という表記です。意図して「裏金」という表現を避けたのでしょう。自民党自体が「裏金」という言い方を避けているのは、「裏金」と言えば、犯罪に相当すると考えているからです。読売は、遠慮深すぎる。迷ったのは日経でしょう。1面4段の地味な扱いで、見出しは「39人処分決定」とし、文中にも「裏金」は出てきません。社説の見出しでやっと「党の処分で裏金問題の幕引きは許されず」と書きました。各紙の対...自民党の資金疑惑の「本丸」に遠吠えする新聞

  • 安倍派が自民党離脱・新党結成というエイプリルフール

    安倍派追放の屈辱で居直り2024年4月1日毎年4月1日は嘘をついていい「4月馬鹿」の日です。新聞をみていたら、やはりそれらしきニュースが見つかりました。「政治資金問題を巡る安倍派幹部の離党処分などを不満として、旧安倍派の最大100人が自民党を離脱し、新党を結成する」というのです。安倍元首相が死去し、後継の会長が決まらないうちに、政治資金の裏金疑惑が発覚し、安倍派が最も悪質ということで、座長、事務総長ら4人が離党勧告、他にも党員資格の停止、選挙における非公認などを合わせ40人に重い処分が今週、決まります。岸田首相が政権支持率のあまりの低さ(20%台)に危機感を強め、じわじわと安倍派追放を選択せざるを得なくなってきた。旧安倍派は離党勧告・非公認という屈辱を味わうくらいなら、自民党を飛び出し新党を結成する。この...安倍派が自民党離脱・新党結成というエイプリルフール

  • 円安投機を招いているのは政府・日銀の不用意な言動

    市場は疑心暗鬼の状態がよい2024年3月28日日銀が異次元金融緩和の枠組みを転換したのを、あざ笑うかのように円相場は27日、1㌦=152円目前まで下落(28日は寄り付き151円30銭)し、34年ぶりの円安水準を記録しました。鈴木財務相は「行き過ぎた動きにはあらゆる手段を排除せずに断固たる措置をとる」と発言し、政府関係者も「投機的な動きがある」と指摘しています。投機筋を敵に回し、けん制しているつもりでしょう。私は「政府・日銀の言動が円安投機を招いている。そこをもっと意識すべきだ」と、思います。円安の原因はかれらの言動によるところは大きく、投機筋のせいにするのは本末転倒です。最近、「日銀は市場との対話を重視し、市場に対する丁寧な説明、コミュニケーションが必要である」が決まり文句になっています。そんなことを続け...円安投機を招いているのは政府・日銀の不用意な言動

  • 神話と伝説にすがる皇位継承は女性軽視で安定を損なう

    時代の流れを取り込みたい23年3月24日連日のように能登大震災、政治資金の裏金疑惑の報道が溢れている中で、先日、「皇族数確保の具体策を検討/自民懇談会」という地味な扱いのニュースを見つけました。とくに適齢期の秋篠宮佳子様が結婚するようなことがあれば、若い皇族は秋篠宮悠仁様くらいしかおられなくなります。両陛下の長女愛子様も大学を卒業され、いつかご結婚される。小泉首相の20年前から、皇位継承対策は急を要するとされてきたのに、旧勢力の発言力が大きく、議論は進みませんでした。「日本の伝統」を強調する旧勢力の抵抗が強く、自民党を支えている部分が大きい。記事を読むと、「結婚後の皇族女子を皇室に残す」、「旧皇族の男系男子を養子縁組で皇籍に復帰させる」、「皇位の安定的継承を掲げ、皇室典範の改正を図る」の方向で議論をまとめ...神話と伝説にすがる皇位継承は女性軽視で安定を損なう

  • 異次元金融緩和策の本当の出口は2、30年先か

    たどり着いたのは出口の入り口2024年3月20日日銀は、2013年から始めた大規模金融緩和政策の骨格を修正しました。植田総裁は「大規模な金融緩和は役割を果たした」としつつ、「緩和的な環境は維持する」と、矛盾するような発言をしました。アベノミクス、黒田・前総裁の金融政策の遺産があまりにも大きく、一気に正常化できない。そう言いたかったのです。「自分がやる金融政策は、黒田氏の継続ではない。区切りをつける」という意味です。とにかく異次元金融緩和(大規模金融緩和)を転換し、出口には向う。私は「異常な金融財政状態を正常化する出口には差し掛かったものの、その出口は途方もなく長い。出終えるのに20年ー30年はかかる。数十年かかるという意見もある」と思います。何をもって正常化というのでしょうか。「人為的な異常な低金利はやめ...異次元金融緩和策の本当の出口は2、30年先か

  • アカデミー賞司会者の「トランプ氏に一撃」にみる日米格差

    政治権力批判に及び腰の日本2024年3月17日米ハリウッドで10日に行われたアカデミー賞受賞式で、著名な司会者のキンメル氏がトランプ前大統領を痛烈に皮肉る一撃を放ちました。「そこまで言っていいんかい」「そこまで言うのが米国メディアか」と思いました。同時に、米国の政治、社会環境、メディア環境は日本と大きく違い、比較は難しいにしても、「日本のメディアは政治権力に対して及び腰でありすぎる」というのが私の感想です。キンメル氏は米国の人気のテレビ司会者、コメディアン、プロデューサーーです。ABC放送の「ジミー・キンメル・ライブ」の司会者で、様々なゲストを招き、トークショーをしていると紹介されています。恐らく大統領選を始めとする政治を含め、自由で辛辣な発言も多いのでしょう。トランプ氏はアカデミー賞については、「政治的...アカデミー賞司会者の「トランプ氏に一撃」にみる日米格差

  • 米国のシンボル・USスチール買収は日鉄経営陣の浅慮

    政治リスクの懸念を軽視2024年3月15日日本鉄鋼メーカー、日鉄による米国のシンボルともいえるUSスチールの買収は案の定、トランプ、バイデン両氏の反対で暗礁に乗り上げました。日鉄の経営陣が政治問題化のリスクを甘くみた結果でしょう。日鉄が2兆円という巨費を投入するというので驚きました。今の流れからすると、すでに政治問題化しており、買収が成功するか否か、大統領選の影響を受け、かなり危うい状況でしょう。政治的リスクに対する経営感覚が甘かったと思います。日鉄経営陣はまず、買収を発表したタイミング(昨年12月)の悪さを反省すると同時に、少なくとも「大統領選の期間中は買収交渉を中断する」という決定を早期にし、公表すべきでしょう。円安で買収金額が膨大になりましたから、政治的側面はクリアしているのかなと想像しましたら、そ...米国のシンボル・USスチール買収は日鉄経営陣の浅慮

  • 日米とも深刻な政治危機の中で株価は最高値の怪

    政治不安がマネーばらまく2024年3月8日泥沼状態にはまった米大統領選、岸田政権の支持率の急落といい、日米ともに深刻な政治危機に陥っています。その中で株価は両国とも史上最高値を更新しました。政治的安定がマネー市場の安定に欠かせないという常識がもう通用しないようです。政治不安から財政金融の膨張策が長く続き、大量のマネーが市場に供給された結果なのでしょうか。金価格まで史上最高値を更新しています。今年の実質経済成長率は米国2・1%、日本1%(OECD見通し)と低調です。経済のファンダメンタル(基礎的条件)と比べてマネー市場が肥大化する一方、それが必ずしも実体経済に流れていかない。各国政府、中央銀行は一度、立ち止まり、世界的規模のマネー休戦(金融軍縮)に踏み込めないものなのでしょうか。日本の株価は4日、4万円台に...日米とも深刻な政治危機の中で株価は最高値の怪

  • 野党は政治刷新戦線を組み自民党に圧力をかけよ

    稀にみる政治改革の好機到来3月2日自民党派閥の裏金事件を巡り、2日間わたる政治倫理審査会が行われ、日本が政治を刷新する好機がきたのに、虚しく時間を空費しています。新聞、テレビも説教調の報道を続けていれば、自民党が自ら改革に動きだすとでも思っているようです。岸田政権支持率も自民党支持率も20%台に低下し、「支持政党なし」は50%台まで上昇しています。こんな時でもないと、自民党は本当の危機感を覚えません。自民党改革、政治改革の滅多にないチャンスがきたはずです。自民党は守勢に回り、野党は攻勢にでられる絶好の機会です。目先の自民党追及ではなく、日本に政治改革をもたらす戦略を描いてみるべきです。私は野党が政治改革戦線を組み、選挙に臨むよう期待します。各種の政策の違いを捨て、今回は政治改革という一点で連立を組んだらど...野党は政治刷新戦線を組み自民党に圧力をかけよ

  • 本当の姿が見えにくい「史上最高値の株価」の虚実

    筆頭株主が日銀という奇形な市場2024年2月23日株価が3万9000円台をつけ、34年ぶりに最高値を更新しました。4万円超えの強気論も浮上しています。全国紙はどこも1面トップの扱いで、日経新聞の1面は紙面のほぼ全部を占める「全段ぶち抜き」、関連記事に何ページも割く力の入れようです。日経は「ついに天井を突き抜けた。もはや『バブル後』ではない。株価は上がらないものというマインドセット(思考様式)に変化を迫るに違いない」(1面解説)と、相当盛り上っています。34年ぶりの高値更新ですから、大きな節目ではあります。肯定的に評価する一方で、「34年もかかったのはなぜ」、「この間、米国株は10倍以上、EU株(ユーロストック指数)は4倍以上も値上がりしている。日本は1倍に過ぎない」と、「最高値」といっても実感が沸いてこな...本当の姿が見えにくい「史上最高値の株価」の虚実

  • インフレ率を加味した「史上最高値の株価」は5万7千円のはず

    3万8900円の実質価値は2万700円2024年2月16日日本の株価が34年前につけた史上最高値3万8915円の圏内にまで高騰しました。過去34年間の平均インフレ率0・6%を加味すると、実質的な最高値は5万7000円になるはずです。チャットGTPに質問しましたら、そういう回答でした。そこまで高騰しないと、通貨価値が同等にならない。株価は景気動向、インフレ率、企業決算、内外金利差、為替レート、国際情勢など、様々な要因で決まります。遊びのつもりで、株価がインフレ率にスライドして変動すると仮定して、チャットGTPに聞いてみたのです。逆に最高値の3万8915円がインフレ率にスライドして目減りしていると仮定すると、実質価値は2万700円だそうです。大雑把な計算ですし、株価の名目価値と実質価値を比べることにどの程度の...インフレ率を加味した「史上最高値の株価」は5万7千円のはず

  • 文春砲「五輪汚職・高橋被告の激白」が暴露する政治家の狡猾

    罪は民間人に押し付ける2024年2月9日週刊文春は「五輪汚職、高橋被告が独占7時間」というインタビュー記事(2月15日号)を掲載し、五輪組織委員会に高橋被告を理事として招き入れた安倍、森元首相に憤懣をぶちまけています。「なぜ俺が全ての罪を被るのだ。政治家はどうなのだ」との怒りを文春砲は伝えています。スポンサー契約を巡り、約2億円の賄賂を受け取ったとする事件で、高橋被告は無罪を主張し、一方の贈賄側は罪を認めて有罪が確定したという奇妙な展開になっています。ですから高橋被告が自分に不利な情報を語るはずはなく、インタビュー記事を鵜呑みにできません。鵜呑みにしていいのは安倍、森両元首相への憤懣で、それは事実だと想像します。政治家の狡猾さにいいように利用されたとの思いでしょう。民間人、民間企業の責任をきっちり追及する...文春砲「五輪汚職・高橋被告の激白」が暴露する政治家の狡猾

  • 日経「私の履歴書」で知る財務省OB「日銀・黒田と五輪・武藤」の優劣

    2人の高官の去り際のドラマ2024年2月1日日経新聞で定期的な購読者が最も多いと思われる連載コラム、著名人による「私の履歴書」(1か月)に異変がありました。昨年11月に財務省財務官OBで日銀総裁を務めた黒田東彦氏、今年の1月には事務次官OBで東京五輪組織委員会の事務総長だった武藤敏郎氏が登場したからです。黒田氏(1944年生まれ)は国際金融、武藤氏(1943年生まれ)は国内財政の事務方のトップで同世代、財務省OBの二人が間を置かずに紙面をにぎわすとは、異例のまた異例のことです。どういうことだろうか。そう思った読者が多いに違いない。準備期間も必要ですから、執筆の依頼は相当早くするのでしょう。退任後、1年半の武藤氏の登場は順当としても、黒田氏の場合は昨年4月にお辞めになってからわずか半年です。黒田批判、異次元...日経「私の履歴書」で知る財務省OB「日銀・黒田と五輪・武藤」の優劣

  • 大きな政治論を欠いた資金疑惑の追及の虚しさ

    小さな政治論の各論が優先2024年1月29日連日、自民党の派閥の解消、裏金事件の追及が新聞、テレビ、ネットでにぎわっています。この1、2か月、同じようなニュース、コメントばかり溢れ、もう飽き飽きしている人が多いでしょう。私もそうです。「派閥とカネの悪弊を今度こそ断ち切れ」(日経社説、1/26日)、「規正法の罰則強化も欠かせない」(読売社説、同)、「政治資金の流れをガラス張りにする制度改正の実現が不可欠だ」(朝日社説、1/27日)と、各紙は論陣を張っています。政治資金の流れを透明化し、派閥主導の人事もなくしていくことは必要です。異論はないでしょう。「政治とカネ」の歪んだ関係を正常化することは、それそのものが目的ではない。正常化を前提にどのような政治をするかが最終的な目的のはずです。その議論がなかなか聞かれな...大きな政治論を欠いた資金疑惑の追及の虚しさ

  • 派閥解消を引き金に自民党の世代交代を進めたい

    時代の中核的世代が政治を担え2024年1月20日政治資金の還流疑惑事件で、東京地検特捜部は安倍、二階、岸田派を立件したものの、会計責任者らだけを起訴し、幹部議員は見送りという尻切れトンボの幕引きになりました。検察も自民党も正体を見せたのです。予想された通りの結末になる一方で、安倍派(96人)、二階派(38人)、岸田派(46人)の3派が派閥解消を決めるという予想外の決定が飛び出しました。政治の流れとしては、こちらのほうがはるかに大きな重みを持つことになるかもしれません。「派閥は解消しない」と言っている麻生派(56人)、茂木派(53人)はいつまでもちますか。そういう態度を取ってくれたいたほうが問題の根深さを理解するのに役立ちます。「どうせ派閥は復活してくるさ」かもしれません。私は、今回の展開は政界の激震の始ま...派閥解消を引き金に自民党の世代交代を進めたい

  • そこまで書くのか日経新聞の「相場あおり運転」を憂う

    証券業界紙的な体質の修正を2024年1月11日日本の株価が9日に33年ぶりの高値、終値は3万3763円をつけました。11日も3万5000円の高値でした。年内には1989年12月のバブル期の史上最高値3万8915円を更新すると、はやす声も聞かれます。能登の大地震災害、羽田空港の航空機衝突事故、国会議員の相次ぐ逮捕と、暗いスタートを切った2024年にとって、株高は明るい話でしょう。一方、株高の背景は単純ではなく、手放しで喜べる話ではない。株価の見通しは証券専門家に任せるとして、私は新聞報道のあり方、特に日経新聞の報道姿勢を論じてみたいのです。10日付の1面トップの記事を読んで、「まるで相場の煽り運転みたいな記事ではないか。経済専門紙というより、業界紙のような体質だ」だと、感じました。しかも筆者には『本社コメン...そこまで書くのか日経新聞の「相場あおり運転」を憂う

  • 異次元緩和をめぐる「中公新書」対「岩波新書」の優劣

    ドキュメントと経済理論の対決2024年1月4日植田・日銀総裁の下で異次元金融緩和からの転換が始まろうとしています。タイミングよく中公新書から「財政・金融政策の転換点」(飯田泰之・明大教授)、岩波新書から「ドキュメン異次元緩和」(西野智彦・元TBS報道局長)が出版されました。筆者も主張も好対照です。ジャーナリストの手による岩波新書では、安倍・元首相が主導した異次元金融緩和政策の意思決定の舞台裏が活写されています。ドキュメントであっても、筆者の論評が随所に挿入されている。マクロ経済理論を駆使している中公新書では、財政金融政策の理論的な考察に努めています。優劣をつけるとすれば、岩波新書の筆者が優れており、中公新書の筆者は学説にとらわれすぎ、敗色濃厚のリフレ派に分類されるという印象を受けます。リフレ派の安倍氏自身...異次元緩和をめぐる「中公新書」対「岩波新書」の優劣

  • 「歴史をご破算に願いまして」の逆回転が世界で多発

    資金疑惑が集中する安倍派の再評価2023年12月29日21世紀に入り、特にこの10-20年、世界的に多次元の分野で歴史の歯車の逆回転が加速しています。世界も日本も、外交、政治、経済、社会もそうです。大きな問題から身近な暮らしの問題まで、われわれは「歴史をご破算に願いまして」の時代にほんろうされている。これが今年1年の総括です。既存の枠組みが無残に崩壊し続けています。まずメディアが連日、報道している自民党安倍派の醜悪な政治資金規正法違反事件です。東京地検特捜部の捜査対象を安倍派に絞っています。「安倍晋三回顧録」(中央公論新社)が出版されたのは23年2月です。「未公開インタビューの全記録」と本のカバーに書かれ、聞き手が「日本憲政史上最長の政権を徹底分析する。記憶が生々しいうちにより真実に近づくことを考えた」と...「歴史をご破算に願いまして」の逆回転が世界で多発

  • 世界的規模の高負担時代における国家予算のあり方

    何もかも政府頼みだから危機が来る2023年12月23日政府は総額112兆円もの来年度予算案を決めました。2年連続で110兆円台を超え、6年連続で100兆円を超えることになりました。異次元金融緩和はやっと「出口の入り口」にたどり着いたようです。予算編成を見ていると、財政は先進国最悪の状態からの「脱出」、「出口」はまだまだ先です。いつ起きても不思議ではない大震災が実際に起きたら、日本の金融財政の脆弱性が世界のマネー市場で一気に警戒され、危機に発展するに違いない。政界も政治資金疑惑で大混乱し、何も決められない状態です。政治危機と経済危機が重ならないよう祈るのみです。世界的規模で様々な分野で高負担に時代に入っている。それに加え、特に日本の場合は、なにもかも政府頼みですから、税収に見合わない歳出が増え、それに伴い財...世界的規模の高負担時代における国家予算のあり方

  • 大規模金融緩和を修正しても経済停滞は止まらない

    アベノミクスでぬるま湯に浸かった23年12月17日日銀は18、19日に金融政策決定会合を開き、10年以上続く大規模金融緩和(異次元緩和)政策の方向転換をさらにどう進めるか議論します。植田総裁が「年末から来年にかけて一段とチャレンジングになる」と発言(12月7日)した直後の会合です。「本当に本気なの」と注目されています。安倍派の裏金疑惑で政局が大混乱しているので、金融政策も様子をみることになるのかどうか。逆に政府は日銀に圧力をかけるどころではなくなっているので、日銀の独立性を取り戻す機会がきたと思うべきです。安倍氏が故人になってから、旧統一教会と自民党との因縁に満ちた関係、安倍派の政治資金の還流疑惑(息を吹き返した地検特捜部)が明るみになり、さらに修正に向った大規模金融緩和など、潮目が大きく変わり始めていま...大規模金融緩和を修正しても経済停滞は止まらない

  • マネーロンダリングもどきの派閥の政治資金の還流

    政界版の資金洗浄に相当か23年12月9日自民党最大派閥の安倍派で中枢幹部6人がパーティー券収入から多額のキックバック(還流)を受けていた疑いで、東京地検特捜部が捜査しています。捜査対象はもっと大勢の議員です。次々に情報がリークされ、更迭は松野官房長官にとどまらず、岸田内閣は空中分解するでしょう。空席となった閣僚ポストを受ける議員は、岸田内閣という泥船に乗ることになり、人選が難しい。内閣総辞職に踏み切り、新しい首相による新内閣で出直さないと、局面を打開できそうにありません。様々な視点からの情報、論評が飛び交う中で、私が思うのは「政治資金の不透明な流れは、やばい人たちや犯罪組織が使うマネーロンダリング(資金洗浄)の手口に通じるところがある」という点です。マネーロンダリングは、犯罪などによって得た収益を、その出...マネーロンダリングもどきの派閥の政治資金の還流

  • 異次元緩和の出口を黙殺した黒田・前総裁の「私の履歴書」に失望

    日本経済の国際的地位の低下も無視2023年12月1日黒田東彦・日銀前総裁が11月、日経新聞の人気コラム「私の履歴書」に登場し、驚かされました。「退任後、1年も経たないのに登場したのは異例すぎる」、「巨額の国債発行を日銀のファイナンス(大量購入)で助長したつけは大きい」、「円の通貨価値(ドル建て)が円安で下落し、日本経済の国際的な地位の低下を招いた」など、論点はたくさんありました。11月末に黒田氏(元財務官僚)の「私の履歴書」は終りました。私の感想は「失望」の一語に尽きます。ご自分の仕事ぶりを丹念に説明した「私の職歴書」という印象です。「都合の悪い問題には触れない。自分の誤りも認めない」という多くの官僚に共通するスタイルを守り切りました。1か月の連載の冒頭で、「誰かがデフレを止めなければならない。総裁指名を...異次元緩和の出口を黙殺した黒田・前総裁の「私の履歴書」に失望

  • 池田大作氏は宗教家というより稀代の大衆運動家

    宗教家の枠での評価には限界23年11月20日11月18日の新聞朝刊を開きましたら、創価学会の全段1㌻のカラー印刷の広告が掲載され、驚きました。「かつての発射口はいま、平和へ向けられている。人を信じ、世界と進む。創価学会」とあります。「米軍統治下の沖縄には1300発もの核兵器が置かれていた。核ミサイル発射台跡が残っている創価学会沖縄研修道場。核があった場所は、『世界平和の碑』として平和を発信する地へ生まれ変わった」と、写真も添えてありました。1㌻を使った突然の広告に、いったい何だろうかと。「創価学会にとって最も重要な日は、学会の創立(1930)記念日『11月18日』」と聞かされたことがあったような気がします。それかな。さらに驚いたのは、広告が掲載された日の昼、「池田大作氏死去」とテレビが速報しました。「そう...池田大作氏は宗教家というより稀代の大衆運動家

  • 任命責任を問うどころではない日本政治の質的低下

    トップにも中堅にも人材が不在2023年11月14日9月の内閣改造後、政務三役の更迭は3人目となりました。NHKの世論調査でも内閣支持率は29%(7ポイント下落)で瀬戸際の30%を割ってしまいました。普段は高目の支持率が出るNHKでさえこの有様ですから、今後、さらに支持率の下落は続くでしょう。最近、はやりの「持続可能な開発目標」(SDGs)にちなんで言えば、「持続可能な民主的統治」を考えてみる必要があります。SustainableDemocraticGovernace(SDG)ですか。将来、閣僚にでもなって、日本の民主主義政治を支えるはずの中堅レベルにもまともな人材が少ない。岸田首相が狙っていた解散・総選挙を強行していたら、自民党は大量の落選者がでて、首相への痛撃になったに違いない。だからほっとしているので...任命責任を問うどころではない日本政治の質的低下

  • 解散断念の「首相の誤算」は有権者にとっては朗報

    世論調査は6割が反対2023年11月11日岸田首相は年内の衆院解散を見送ることにしました。主要新聞は「首相の誤算」とか「支持率低迷で追い込まれた」などと書いています。首相にとっては誤算であっても、物価高対策としては無益な定額減税、選挙目当ての浪費とみて、6割が解散に反対(世論調査)していた有権者にとっては「勝利であり、朗報」であると思います。日本の政治ジャーナリズムは、権力者の政治戦略、舞台裏の駆け引きなどの「政局記事」で多くが占められ、有権者の目からみたら「進行中の政治がどのような意味を持つのか」は二の次になっている。そのこともあって読者は新聞からどんどん離れていっている。目覚めてほしい。各紙とも世論調査を定期的、精力的に行っているのに、それを政治記事のあり方に生かしていない。解散見送りは「世論の勝利、...解散断念の「首相の誤算」は有権者にとっては朗報

  • 財政金融の共同作業なくして異次元緩和の出口なし

    反対方向を向いている政府と日銀2023年11月3日日銀が金融政策決定会合で、長期金利の1・0%超えを容認することを決めました。7月に続く長短金利操作(YCC)の修正で、市場関係者は「徐々に異次元金融緩和の出口に向かう」とみています。朝日新聞に1面トップのそで見出しが「また緩和修正」でした。まづいことをしているような印象を与える。よくない見出しです。「修正」の繰り返しつつ日銀は出口に近づこうとしているというのが正しい解釈です。植田日銀総裁の発言の歯切れの悪さは今回も同様で、異次元緩和の段階的な軌道修正の意味を分かりにくくしています。アベノミクスによる大量国債の発行、それを可能にした日銀の異次元金融緩和の後始末が容易でなく、曖昧な言い方しかできないのでしょう。同情はします。金融の正常化は「日銀の単独ではできな...財政金融の共同作業なくして異次元緩和の出口なし

  • 中東危機再来なのに経産省が石油部をなくしていた拙速

    エネルギー政策の主柱が脱炭素化では2023年10月27日イスラエルとイスラム組織ハマスが激突し、中東危機で世界が激震に襲われています。今年は第4次中東戦争を契機(1973年10月)とする第1次石油危機からちょうど50年あたりにます。石油危機が再現し、物価高騰、経済停滞が再来するのかが懸念されています。第1次石油危機の時は、通産省(現経産省)はタイミングよくその直前の7月に、組織改革を行い、資源エネルギー庁を新設していました。鉱山石炭局を公益事業局を統合して資源エネルギー庁に改組し、石油部、石炭部などを新設しました。この組織改正が的中し、原油の輸入削減、トイレットペーパー騒ぎもあったオイルショックを乗り越え、それを機に日本は省エネルギー構造に大転換し、高度経済成長へと進みました。今回の危機勃発で、当時の花形...中東危機再来なのに経産省が石油部をなくしていた拙速

  • 円安・物価高にはまったのは安部・黒田氏の失政による

    日本窮乏化の為替政策との酷評23年10月21日岸田首相の経済政策が酷評を浴びています。内閣支持率が政権発足以来の最低を続け、衆参の補欠選挙(長崎、徳島・高知)の情勢も厳しく、焦った挙句、1年限りらしい所得減税(対象者は同じ金額の減税)をすることを表明しました。経済理論的にも矛盾だらけです。物価上昇が続いている時に減税すれば、需要が刺激され、物価が上がる要因になる。財政が赤字の時は、税収増を国債減額に充てるべきなのに、減税に回してしまったらいつまでも財政状態は改善しない。物価対策減税をするのなら、本当に困っている対象者を絞ってやるべきです。景気が悪ければ、財政の出番だといって財源として国債を発行する。景気が好転し税収が増えれば、国債減額に回さず、使ってしまう。20年も30年もそんなことを続けてきた結果が今日...円安・物価高にはまったのは安部・黒田氏の失政による

  • 官僚と記者の合作「石油危機50年の回顧録」完成の日に中東危機再発

    危機は姿を変えて来襲2023年10月13日50年前の1973年10月、第4次中東戦争を契機とした世界的な石油危機が勃発しました。当時、通産省・資源エネルギー庁の担当官僚は連日連夜、情報収集、危機対応に追われ、それを伝える記者らも寝食を忘れる日々でした。記者クラブに在籍していた私もその1人でした。戦後最大の経済危機と闘っているという意識から、危機対応の官僚と記者の間に連帯感が生まれていきました。石油危機が収束した後、担当官僚と記者は「お互いは戦友みたいな間柄。これからも有意義な対話を続けていこう」ということになり、以後、年1回、会合を持ちました。OPEC湾岸6か国は73年10月16日、「石油価格を70%引き上げる。石油生産量を前月比で5%削減する。イスラエル軍がアラブの占領地から全面撤退し、パレスチナ人の合...官僚と記者の合作「石油危機50年の回顧録」完成の日に中東危機再発

  • 札幌冬季五輪の断念にみる優柔不断による大誤算

    国も自治体も動きだしたら止められない2023年10月6日札幌市は2030年冬季五輪の招致を断念しました。東京五輪における増収賄事件で「平和の祭典」というイメージに泥を塗り、さらに国、自治体に大型プロジェクトを運営する能力がない。予算総額も発表当初は小さく見せかけ、最終的には2倍程度に膨れ上がり、「済みませんでした」と謝る手口が国民に通用しなくなったのです。市は2034年以降の誘致を目指すといいます。30年はストックホルム(スウェーデン)、34年にはソルトレークシティー(米国)が最有力候補と言われています。34年以降もあきらめないというのは、そうした素振りが政治的に必要で、招致派の市長の面子を保つためのポーズです。東京五輪を巡り大手広告会社の電通を軸とする贈収賄、入札談合事件が発覚すると、「札幌五輪にも悪影...札幌冬季五輪の断念にみる優柔不断による大誤算

  • 「コストカット型からの歴史的転換を」の首相発言は乱暴

    企業経営の基本を否定したも同然2023年9月28日岸田首相は26日、10月にまとめる経済対策の策定を閣議で指示しました。首相官邸で記者団に「物価高に苦しむ国民に成長の成果を還元し、コストカット型経済からの歴史的転換を図る」と述べました。記者説明では「コストカット型の経済から30年ぶりに転換」と書いたパネルを持ち出しましたから、言葉の上滑りからでた発言ではなく、首相、官邸官僚が練りに練ったスローガンで、本気でそう思っているのでしょう。首相の経済思想を考えるうえで、これは重大な問題です。それを各紙、各社の社説が取り上げ、問題視しているようには見えません。新聞はいったい、どうなってしまったのでしょうか。「歴史的な転換」といっているのですから、メディアはものをいうべきです。コストには金融費用(金利)もあります。政...「コストカット型からの歴史的転換を」の首相発言は乱暴

  • ジャニーズ事件で警察・検察を叩かぬメディアや識者ら

    司法の怠慢を問わない内ゲバ論争2023年9月23日ジャニー喜多川元社長による性加害事件を巡り、ネット、ワイドショーばかりでなく、街のうわさ話でも連日、大論争が続いています。広告スポンサー企業の社長、財界人まで巻き込み、ピント外れの意見、叩きやすいところを叩く類の主張もあふれ、とどまるところを知りません。ジャニーズ騒動で最も欠けているのが4、50年近くにわたって広く知られ、数百人の未成年の被害者がおり、告発本も複数出版され、04年には最高裁が被害者に対する賠償金の支払いを認める判決を下したのに、動きがなかったことに対する批判です。警察、検察は捜査に乗りださなかった。今年7月に施行された改正刑法でやっと、未成年男子を含め、性加害に対する処罰が厳しくなりました。早く措置しておけば、被害をもっと少なくすることがで...ジャニーズ事件で警察・検察を叩かぬメディアや識者ら

  • 世襲議員の再生産で政界がたどる縮小均衡を示す内閣改造

    民間企業なら倒産している別世界2023年9月15日岸田首相が内閣改造と自民党役員人事を行いました。「女性抜擢、刷新感アピール」(朝日新聞1面)、「女性登用、首相が転換。支持率上げ衆院解散」(同3面)、「年内でも衆院解散できるよう狙う」と、朝日新聞までが岸田内閣の広報担当紙の印象です。世論調査をみると、内閣改造は評価されていません。読売新聞(15日)は「支持する35%、指示しない50%」(読売新聞、15日)で横ばいです。日経新聞は「支持する45%、支持しない51%」で、「支持する」は横ばい、「支持しない」は1㌽の上昇です。岸田首相が「政権浮揚効果」を狙ったのは明らかでも、朝日の見立ては外れました。「年内解散」はこのままでは、無理でしょう。「女性抜擢5人」のうち、3人は世襲議員だったことが不評を買った。土屋復...世襲議員の再生産で政界がたどる縮小均衡を示す内閣改造

  • 50年ぶりの円安と40年ぶりの物価高によるインフレ税

    異次元緩和策の「目的外使用」2023年9月9日円の実力(実質実効為替レート)は「50年ぶりの低水準」、円安と海外資源高で消費者物価は「40年ぶりの高騰」です。歴史的な異変と言えましょう。物価は11か月連続で3%超(政策支援をなくすと4%台)です。ガソリン価格まで円安で1㍑=180-190円で「15年ぶりの高値」です。円安阻止のために、政策金利を上げていくべきなのに、それができない。植田総裁は読売新聞との単独インタビュー(9日朝刊)で、「マイナス金利の解除後も、物価目標の達成が安定的に可能ならば、(解除を)やる」と述べました。つまり、「いずれはやるにせよ、まだマイナス金利は解除する時ではない」と、市場に宣言したのに等しい。また円安が進みそうです。どうも政府、日銀は大規模金融緩和の「目的外使用」に足を踏み入れ...50年ぶりの円安と40年ぶりの物価高によるインフレ税

  • 政治家にこそ「学び直し・リスキリング」を課すべきだ

    民間にばかり要求する無責任2023年9月2日成長分野への円滑な労働力の移動などを促すための「学び直し(リスキリング)」を岸田政権は重要政策と位置づけ、5年間で1兆円を投入するという。衰退産業から成長産業への人材移動が必要なことは間違いない。日経新聞が「リスキリングサミット2023」を開き、岸田首相、茂木自民党幹事長がメッセージを寄せています。二人の発言を聞いて、「学び直しは政治家にも求められていることを自覚していない」と失望しました。日本経済が2、30年も停滞しているのは、適切な財政・金融政策を取らず、ポピュリズムの政策を連発してきた政治の責任も大きい。政治家の政策判断の間違い、政治倫理の軽視、政治家そのものの人的な劣化が目に余ります。一般企業は様々な研修の機会を設けているのに、政治家にはそうした場がまず...政治家にこそ「学び直し・リスキリング」を課すべきだ

  • あらゆる分野で秩序と規範の崩壊が進行する世紀

    何が真実かを問う意味も失う23年8月27日この7、8月ほど歴史の実相が集中的に姿を現した年も珍しいと思います。あらゆる分野でこれまでの行動規範が急激に変わり始め、何を信じてよいのか、何が真実なのかを問うことが虚しくなる夏になりました。これから列挙するのはほどんどがこの夏の出来事です。「規範」とは何か。「判断、評価、行為などが依拠する規則、基準である。法規範、社会規範がその典型であり、道徳、倫理も規範の一種である。人間の社会集団におけるルール、慣習も一つでもある」との説明、解釈が一般的なようです。学校教育では「人は正直でありなさい。正しいことをやりなさい」と、教えます。そんな教育がバカバカく感じられる時代になってしまいました。むしろ「見破られない嘘のつき方」、「嘘をついてでも人との論争に負けない弁論術」を教...あらゆる分野で秩序と規範の崩壊が進行する世紀

  • 解散などするな、多すぎる国政選挙は民主主義を破壊する

    政策を乱造し財政が悪化2023年8月18日岸田内閣の支持率が政権発足以来の最低を更新しています。世論調査では毎日新聞が28%、時事通信が26%、読売新聞が35%など、目を覆うばかりです。もう解散できる政治的状況ではないし、頻繁に総選挙をやるべきではないのです。解散できないし、やるべきでもない。それにもかかわらず、政治ジャーナリズムは「支持率下落で年内の解散は困難」とか、逆に「野党の準備が整う前の秋解散を推す声も」とか、政界の目先の動きを追っています。そんな記事を書いているから、新聞は売れなくなる。もっと本質的な問題点に絡めて報道したらどうなのでしょう。書くべきは「岸田政権が望んだ解散はほどんど無理になった。日本の将来のことを考えると、衆院選、参院選、地方統一選挙が毎年のように繰りかえされることは有害だ。支...解散などするな、多すぎる国政選挙は民主主義を破壊する

  • オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(下)

    原発回帰に立ちふさがる難題2023年8月10日(下)(2)防潮堤を甘くみた報い、福島原発事故で全て台無しオイルショック当時は、官僚が力を発揮できた時代で、通産省、資源エネルギー庁の活躍で、日本の省エネルギーの経済構造への転換に成功し、経済成長率が高まっていく時代でした。それがオイルショックからざっと40年後の2011年3月、福島第一原発の事故で全てが台無しになりました。事故に至る過程には多くの原因が混ざりあっているでしょう。私は、防潮堤の高さを内部で指摘があった「最大の津波み備えて15・7㍍」にしておけば、こんな大惨事にならなかったと、信じています。押し寄せた津波の高さは14,15㍍でしたから、かろうじて全電源喪失、原子炉の冷却不能という事態を防げたに違いない。東北電力の女川原発は海面から14・7㍍の高さ...オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(下)

  • オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(中)

    原発回帰に立ちふさがる難題2023年8月9日(中)便乗値上げ分析の産業連関表をスクープ当時の新聞の縮刷版をみると、「ついに石油割り当て立法」、「石油耐乏生活スタート、緊急対策決まる。暖房温度20度、テレビ、車自粛」、「灯油1缶288円。モノ不足、物価加速」などという見出しの記事が連日、第1面に載っています。年が明けて1月、山下英明・事務次官が記者会見で「便乗値上げが目に余る。製品コストにしめる石油、電気のコストを計算して、便乗値上げの実態を明らかにしたい。原油は2倍(最終的には1年で4倍)になっていても、製品の製造コストにしめるエネルギーコストは6-7%程度のものも少なくない。それをはるかに上回る率の値上が行わている」と、発言しました。ゼネラル石油で「石油危機は千載一遇のチャンス(便乗値上げでボロ儲けでき...オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(中)

  • オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(上)

    原発回帰に立ちふさがる難問2023年8月8日(上)(1)官僚の力、新聞の力があった頃の石油危機(2)防潮堤を甘くみた報いから原発事故起こす(3)脱炭素政策で原発回帰を目指すも課題山積今年の10月は、第4次中東戦争を契機とする第1次オイルショック(1973年)から50年になります。私は当時、通産省の記者クラブに在籍し、石油危機に揺れる激動の時代を取材記者として経験しました。OPECのペルシャ湾岸6か国が10月16日に原油を1バレル3・01㌦から5・12㌦に引き上げ、翌17日には原油生産の段階的削減を決定、12月23日には価格をさらに11・65㌦に引き上げると通告してきました。1974年の物価上昇率は23%になり、狂乱物価と言われる年になりました。未体験の経済危機に官僚も記者も翻弄され、経済界、民間企業も右往...オイルショック50年、揺れた原発政策に対する一記者の回想(上)

  • 市場の声でなく世論の声・社会の声に押された利上げ

    物価高で国民の悲鳴が聞こえる23年7月29日日銀は28日、長期金利の上限を「0・5%」から「1・0%」に事実上、引き上げることを決めました。植田総裁は市場機能の低下という副作用を減らすための「金融政策の柔軟化」が狙いだと、記者会見で表現しました。日銀関係者にしか意味が分からない悪文の典型です。新聞の社説は「これまで以上に丁寧な説明が求められる」(朝日)、「市場が混乱しないよう、丁寧な情報発信に努めてもらいたい」(読売)、「市場との対話を尽くしてもらいたい」(日経)と、どこも同じような要求です。日銀が財政金融政策の正体(財政ファイナンスと円安誘導)を隠しておきたいから、こういう悪文を乱発しているに違いない。私は「円安・物価高に国民は悲鳴を上げており、金融市場の声より、世論調査に見られる国民や社会の声に押され...市場の声でなく世論の声・社会の声に押された利上げ

  • 中国の経済減速を本気で懸念する日経新聞の時代錯誤

    民生より軍拡優先を批判すべきだ2023年7月20日中国の4-6月のGDP(国内総生産)が前年同期比6・3%にとどまり、中国経済の回復が鈍い。日本の新聞も大きく報道し、「世界経済の成長にも波及」と懸念しています。懸念すべきことなのでしょうか。軍拡路線と対外的な膨張政策を続け、米国との覇権争いに勝とうとしている中国の経済が減速し、経済力の面から軍拡にブレーキがかかるようになれば歓迎すべきことなのです。日本を含む西側諸国、軍事的支配が及んでいる途上国にとっても、憂慮するすべきことではないと思います。米国に次ぐ世界2位の規模の中国経済の動向に注視することは必要です。2013年ー21年の世界全体の経済成長に対する寄与度は39%で、日米を含むG7(主要7か国)の合計を上回る(読売新聞)そうです。事実は事実として、報道...中国の経済減速を本気で懸念する日経新聞の時代錯誤

  • 日銀は副総裁を使って金融緩和の転換を示唆したとみる

    日経のインタビューに登場した背景2023年7月8日日経新聞の一面に7日、内田・日銀副総裁が応じた不思議なインタビュー記事が載りました。10年以上にわたる長期の異次元金融緩和の修正(出口)を示唆したと受け取るしかない発言内容です。日銀総裁のインタビューならともかく、単独インタビューとはいえ、副総裁の発言が一面で目立つように扱われ、さらに中面で紙面の半分以上を使って日経は解説を載せました。新聞編集の常識から推測すると、このような破格の扱いは明らかに意図がある時です。しかも解説記事の第一行目は「日銀は10年間続けてきた異次元緩和の出口が近づきつつある」との書き出しでした。これは何かが裏にある。総裁ならともかく、副総裁のインタビューの解説で、ここまで踏み込むのは、日経側には、日銀の意図を知って確信するものがあった...日銀は副総裁を使って金融緩和の転換を示唆したとみる

  • タイタニック号潜水艇事故にみる巨大リスクを恐れぬ欧米人

    ひたすらゼロリスクの日本人2023年7月2日西大西洋で沈没したタイタニック号の見学ツアーに向った米オーシャン・ゲート社の潜水艇「タイタン」が深海で水圧につぶされ、5人全員が死亡しました。米当局が「水圧で破壊。主要部分の破片を発見」と発表すると、「なぜ大金をはたいて、危険なツアーに参加するのだろう」と、多くの日本人は息をのんだことでしょう。このツアーには、潜水艇の運営会社のCEO、英航空業の大物で冒険家の経営者、パキスタンの実業家親子(英国在住)、タイタニック号探査の専門家が参加していたと言います。これまでの成功で巨額の富か資産を築いた人たちです。知人の会社経営者と話題にしたところ、「安全が保てるかどうか分からないこのような深海ツアーには絶対に参加しない。大きなリスクがあり、一瞬にしてこれまでの蓄積を失うか...タイタニック号潜水艇事故にみる巨大リスクを恐れぬ欧米人

  • 異次元緩和の狙いは二転三転し国民の暮らしに重圧

    円安と物価高で税収増を図る2023年6月26日円が1㌦=143円(26日現在)まで下落し、為替安もあり、5月の消費者物価は3・2%まで上がりました。9か月連続で3%を超え、政策効果(物価抑制の補助金政策)がなければ実質4・3%というインフレ状態です。引き締めを続けている米国の4%を上回ります。それなのに日銀は動きません。メーカーは商品の容量を減らし、見かけの価格上昇を抑えていますから、単位容量当たりの価格動向で考えると、実質4・3%を超えるでしょう。第2次石油危機(1981年)以来、41年ぶりのインフレ到来です。物価高はまだ進み、高止まりし長期化するとの指摘が聞かれます。そうなる前に緩和縮小・利上げに動き、経済が失速するようなら、金融緩和に戻せばいいのです。金融政策は本来短期的で、柔軟性があるべきです。そ...異次元緩和の狙いは二転三転し国民の暮らしに重圧

  • 解散見送りでよかったと言わぬ朝日新聞のやせ我慢

    頻繁な国政選挙は財政悪化の元凶23年6月20日岸田首相が今国会での解散見送りを表明したと思ったら、メディアはまた自民党のペースに乗せられて「首相は解散カードを温存し、10月に衆院議員の任期の折り返し(2年)迎えることから、解散に踏み切りやすい」などと、解散風をもう書き始めています。日本の政治ジャーナリズムを担うはずの新聞、テレビの政治部は、もっぱら目先の政界の動きを「政局部」にすぎないと、批判されています。読者も踊らされる。解散総選挙の本質な問題をもっと掘り下げてほしい。報道機関にとって、特に衆院選は政界の動き、解散時期の特定、立候補者の事前調査、票読み、世論調査の実施などに周到な準備が必要です。多額の選挙広告も得られますから、「政局部」が必死になるのも当然です。そのことと、本来あるべき選挙報道の展開には...解散見送りでよかったと言わぬ朝日新聞のやせ我慢

  • 株価のバブルは日銀の保有株を売却する絶好のチャンス

    動かない植田総裁に催促の声2023年6月13日東京株式市場で週明けの13日、株価はさらに上昇し、終値は580円高で3万3000円台でした。3万円を超えた頃から、外人投資家が主導するバブル発生との見方もあり、高値警戒感が急速に強まってきました。それにもかかわらず、株価は3万1000円台、3万2000円台と上昇し、32年ぶりの高値を記録しました。年初から17%も上がり、さすがに3万3000円台は無理だろうとの予想が強まっていたのに、警戒線を突破しました。知人の元財務省高官は「日銀が保有する巨額のETF(上場投資信託)を売り、売却益を国家予算に回す絶好のチャンスだ。膨張を続けるバブルを冷やす効果もある。日銀はなぜ動かない」のかとの説を聞きました。現在の3万3000円という水準はバブルではないという見方もありまし...株価のバブルは日銀の保有株を売却する絶好のチャンス

  • 池上彰氏もChatGPTも著作権侵害を気にしない点で似る

    規制しようにもグレーゾンが多い2023年6月11日人間が作ったような文章、画像を作成する生成AI(人工知能)フィーバーが起きています。AIは人々の暮らしに浸透し、技術、社会、経済、政治を含め、時代を変える「100年に一度の衝撃」になるかもしれないそうです。雑誌「プレジデント」や「ダイヤモンド」が「ChatGPT仕事術大全」、「ChatGPT完全攻略」という大特集を組んでいます。ざっと目を通していましたら、10日午後8時の「池上彰のニュースワイド」(テレビ朝日)で「話題の生成AIの仕組み」という番組を放映していました。池上彰氏はどんな問題でも消化し、分かりやすく解説するのが特技です。テレビ、新聞、出版、教育など多くの分野にでて、なんでもこなす。この番組を見ながら感じたのは、「著作権侵害に鈍感な点では、池上氏...池上彰氏もChatGPTも著作権侵害を気にしない点で似る

  • 「藤井七冠」も喜べない主催社・朝日新聞の経営状態の悩み

    紙面は踊れど進む空洞化2023年6月2日将棋の藤井聡太竜王(20)が20歳10か月でが渡辺明名人(39)を破り、名人位を獲得、史上最年少で七冠を制覇しました。20歳の青年がこのような偉業を成し遂げられることに多くの国民が喝采しました。名人戦の主催者は朝日新聞、毎日新聞で、朝日新聞は1面トップ、紙面の大半を使いました。第2面も「進化した将棋AIが盤上の技術を変革した。人工知能による技術革新が社会を変え始める中で新名人は台頭した」などと、全ページを使って大展開しました。時代を変えるAI技術が将棋も変える。社会面でも「泰然20歳」と様子を伝え、「こどもの頃からのあこがれ。名人になっても、終わりでなく、先がずっとある」との談話を紹介しました。主催者でありますから力の入れようがよく分かります。読売は1面準トップの3...「藤井七冠」も喜べない主催社・朝日新聞の経営状態の悩み

  • 国債発行額の上限を法律で定める米国を日本は見習おう

    財政再建は財務省の謀略とみた安倍氏との違い2023年5月29日米国の国債発行額の法定上限を引き上げることで、バイデン大統領と野党・民主党が基本合意に達しました。日本のメディアは交渉が決裂すれば、米国債が債務不履行(デフォルト)に陥り、マネー市場が大混乱に陥るため、大々的に報道してきました。市場は交渉結果を好感し、日本の株も29日、500円高の3万1400円で寄り付きました。メディアは「またも土壇場の合意」、「デフォルト回避へ」と報じています。この問題は米議会では政治的駆け引きの材料にも使われ、与野党が「痛み分け」で終幕することが繰り返されてきました。米国債の発行残高の法定上限(31・4兆㌦)を超えることを25年までの時限措置として認めることになりました。この法定上限が野放図な財政悪化に対する一つの歯止めに...国債発行額の上限を法律で定める米国を日本は見習おう

  • チャットGPTの衝撃を直視しない日本の新聞は衰退する

    大新聞から個新聞への転換2023年5月21日人と会話しているような文書を生成する対話型AI(人工知能)サービス「チャットGPT」などに対して、議論が沸騰しています。なかでも紙の新聞に頼っている新聞界の危機感にはただならぬものがあります。生成AIの技術を駆使すれば、個人の志向、嗜好に合わせた新聞を個人ごとに編集することさえできるようになるに違いない。「大新聞」ではなく、「個新聞」です。読者の傾向が分かる「個新聞」なら広告もとれる。記者の手作業を減らし、AIを駆使するデータジャーナリズムを重視する。人材を他業界からも集め、大変革期を迎えた新聞作りに向け、組織改革し、予算、人材を重点的に投入する。失敗すれば、新聞社の序列も一気に変わるでしょう。新聞各紙の中で、大々的にキャンペーンを張っているのが最大手の読売新聞...チャットGPTの衝撃を直視しない日本の新聞は衰退する

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