あの家に暮らす四人の女
三浦しをん/中公文庫2018年6月25日初版。2014年7月3日「まほろば駅前便利軒」でお目にかかって以来の二度目。あれから5年、作品の書き筋に変化はあったか、など少なからず興味を抱きながら読む。背景は杉並区の古い洋館で暮らす四人の女たちの話。読んでみると、筆の進め方、調子は以前に読んだ「まほろば駅前便利軒」と変わらないように思うが、内容は全く異なる。話のターゲットが違うのだから当然だが、女ばかりのかしましい話の裏側に「父親不在」という無意識的な問題がある。問題というよりも「在りようの不在」への問と言うべきか。実はこの作品は谷崎潤一郎没後50年という節目を迎えて創作されたものらしい。「細雪」の現代版である。「細雪」を読んだかどうか、記憶は定かでないが、「四人の女たちと朽ちてゆく名家」という設定は同じらしい。場所...あの家に暮らす四人の女
2019/03/30 22:09