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2014/10/11

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  • 孤独なき地

    ―K・S・P―香納諒一/徳間文庫2010年2月15日初版、2011年2月5日第六刷。著者の作品は初めてお目にかかる。警察の情報垂れ流し、権力者の不祥事、企業の業績粉飾、中国マフィアの暗躍、ヤクザとの攻めぎ合い、自分の立場を利するための画策、そして組織内の出世競争、利用できるものは何でも使う下剋上の世界。思い切り盛沢山、あまりのてんこ盛りでちょっと疲れる。主人公「沖幹次郎刑事」の泥臭さは十分に伝わって来る。しかし、新任深沢署長とのやりとりは、刑事といえども宮仕え、なかなか辛いものがある。そのストレスを幾分和らげてくれるのが同じキャリアの警部村井貴里子だった。それにしても今回のスパイナーは、なかなか意外性のある展開だった。悪意を持つものは、立場の悪いもの、弱いもの、力のないものを徹底してその弱みに付け込み利用すると...孤独なき地

  • 終幕のない殺人

    内田康夫/光文社文庫2010年6月20日初版。シリーズ17番目の作品。「旅と歴史」に馴染んでいる身としては、何だか別のシリーズを読んでいるような気がするくらい変わった作品である。とにかく古典的推理小説というイメージから逃れられない。とにかく列車にしろ、船にしろ、館にしろ「密室殺人」はミステリー&サスペンスのスタンダードだ。何でこんな形に?と思うのも無理はないだろう。著者によれば、「書いてみたかった」のであり「古典的な作品も書けるんだよ」ということらしい。「旅と歴史」に惹かれる読者としては、あまりにもリアリティに欠ける古臭い舞台劇のようで、印象がどうも今一つなのである。「ああそうですか」で終わってしまうのだが。100冊以上のシリーズな訳だから、中にはこんな作品もありなのかなと不満をなだめる以外にない。終幕のない殺人

  • アンフィニッシュト

    古処誠二/文春文庫2008年12月10日初版。珍しい自衛隊モノ。今まで、かなり広範囲にランダムに読んできたが、自衛隊を舞台にした(背景にした)作品にお目に掛かるのは初めてだと思う。社会問題を提起している部分もあり、読みどころはたくさんある。・小銃紛失・僻地の自衛隊の現状・島の窮状、緊急搬送・個人を翻弄する歴史ストーリーとしては、絶海の島の自衛隊基地で「小銃紛失」という事件が起きたことに対して、防衛部調査班の人間が、現地に赴き調査するというもの。調査といっても、殺人事件と同じで、実行犯の認否、目的や動機、現物(小銃)の発見に至るまで事細かい。日本の社会における「銃」そのものが、諸外国とはちょっと違う位置づけにあるためか、その扱いが絶妙な描写になっている。身近に経験したものでなくてもその緊張感、特別な思いは伝わって...アンフィニッシュト

  • 赤い雲伝説殺人事件

    内田康夫/廣済堂文庫1985年2月10日初版、1991年9月20日15刷。縊死の現場にあるはずの小松美保子が描いた赤い雲のある絵が行方知れずになった。縊死は事件性があるものの、例によって八方塞がり。そこで登場するのが浅見光彦。今回の相手は画家志望の小松美保子25、行方不明になった絵を探すのを口実にして事件解決に乗り出す。舞台は山口県熊毛郡大綱町(山口県熊毛郡上関町)の寿島(祝島)。古くからの海上交通の拠点であり、平家との歴史的関係も深く、現代では原発建設問題もある。その辺はできるだけ史実、現実に沿った背景を例によってうまく活用している。シリーズ3作目だが、この時点で既に浅見光彦のスタイルは確立されたらしい。小松美保子が何気に描いた寿島の上空に掛かる赤い雲は、見る人によっては「平家落人の集結の狼煙、団結のシンボル...赤い雲伝説殺人事件

  • 去就

    ―隠蔽捜査6―今野敏/新潮文庫2018年12月1日初版。このシリーズは「隠蔽捜査」「初陣隠蔽捜査3.5」に続く三冊目。最も最近の作品になる。順番はランダムだが、あまり支障は感じない。この作品で目立つところは、主人公竜崎署長の個人生活、家庭での描写である。今までも多少は描かれていたが、それは申し訳程度のものであって今回の作品のような細かさは無かったように思う。娘の仕事の事や結婚の事、息子の学業の事、妻との会話、今回ほど細かく描かれたことは無かったと思う。大森署の署長という警察組織の中の立場と主人公としての存在感をいかんなく発揮してきた隠蔽捜査だったが、家庭内のこととなると、突然堅物のオッサンになってしまうところが実に面白い。作り上げられた主人公の精悍で強靭な切れ者イメージの反動だろうか。仕事を進める上での合理性や...去就

  • 夏の名残りの薔薇

    恩田陸/文春文庫2008年3月10日初版、2008年4月15日第二刷。著者の作品は初めてお目にかかる。とにかくよく判らない作品だった。気になったのが途中で割り込む舞台のようなA氏やX氏のセリフ。「去年マリエンバートで」という作品らしいが、話の途中で割り込む何とも邪魔な存在。何のためのものなのか。せっかく盛り上がる話の腰を折る以外に何の効果があるのかわからない。結局、中ごろからは完全にスキップすることにした。沢渡伊茅子が亡くなって、あれほどパーティを嫌がっていた沢渡瑞穂が再度パーティを主催することにしたが、招待客は6人に限られていた。ここからが終章。一応、サスペンス的な雰囲気はあるもののかなり風変わりな作品で、内容と言い効果と言い、私にはどうにも消化不良。お題で思ったことだが「夏の名残り」まではよいとして、何故、...夏の名残りの薔薇

  • すべては君に逢えたから

    脚本・橋部敦子、ノベライズ・来島麦/泰文堂(RainBooks)2013年12月3日初版。人間、それに近いストーリーの一つや二つは誰しも持っていると思う。しかし、改めてそれを文章にしてみると、なかなかの感動ものだ。そして人生の不思議を感じないわけにはいかない。他人事のように「だから人生は面白い」などと言うのは簡単だけれども、当事者にとっては、何とも辛い、打ちのめされる程の衝撃と禍根を残す結果になることも度々だ。この作品はサスペンスでもドキュメンタリーでもない。複数の登場人物が互いに関係する部分もあれば、まったく無関係に過ぎる部分もある。六人の登場人物の恋の行方を、並行してクリスマス・イブに向かって疾走させる。作品の面白さはこの辺の仕組みにあるのかもしれない。何が必要充分な条件で、適合可能なのか、人の恋愛ほどあて...すべては君に逢えたから

  • 上海迷宮

    内田康夫/徳間書店2004年5月31日初版。久々の浅見光彦シリーズNo.96、圧倒的に国内の舞台背景が多勢を占める中での数少ない海外もの。舞台は中国上海、光彦の今回のお相手は日本で法定通訳などをして働いている「曾亦依28」。勿論、飛行機の嫌いな光彦は大阪から亦依と共に船で上海に向かう。最初に、上海娘の曾亦依の父(維健)に殺人の容疑が掛かったこと、そして日本で、共に来日した友人の賀暁芳が新宿のアパートで不審死したことの二つの事件が関係あるのか無いのか。名探偵による事件解決の依頼は意外なところから出てきた。賀暁芳については日本の警察にまかせて、とにかく上海へ、ということで話が始まる。「旅と歴史」の一番の読みどころは、親の世代、戦争、文革の歴史である。殺人或いは拉致、誘拐、監禁といったサスペンスはさておき、話に織り交...上海迷宮

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