孤独なき地
―K・S・P―香納諒一/徳間文庫2010年2月15日初版、2011年2月5日第六刷。著者の作品は初めてお目にかかる。警察の情報垂れ流し、権力者の不祥事、企業の業績粉飾、中国マフィアの暗躍、ヤクザとの攻めぎ合い、自分の立場を利するための画策、そして組織内の出世競争、利用できるものは何でも使う下剋上の世界。思い切り盛沢山、あまりのてんこ盛りでちょっと疲れる。主人公「沖幹次郎刑事」の泥臭さは十分に伝わって来る。しかし、新任深沢署長とのやりとりは、刑事といえども宮仕え、なかなか辛いものがある。そのストレスを幾分和らげてくれるのが同じキャリアの警部村井貴里子だった。それにしても今回のスパイナーは、なかなか意外性のある展開だった。悪意を持つものは、立場の悪いもの、弱いもの、力のないものを徹底してその弱みに付け込み利用すると...孤独なき地
2019/02/28 13:21