日の名残り
カズオ・イシグロ(土屋政雄・訳)/ハヤカワepi文庫2001年5月31日初版、2017年12月11日第36刷。著者の作品は「わたしたちが孤児だったころ」「遠い山なみの光」に続く三冊目。書かれたのは30年ほど前の1990年頃、時代背景は更に30余年さかのぼる1956年頃のこと。ダーリントン卿はチェンバレン首相、イーデン外相、リッペントロップの三人を館に招待し、極秘の会議を開くという場面がある。なかなか意味深長な作品で、いろいろな見方があると思われる。それはともかく、主に仕える「執事」という立場から、全幅の信頼を持って職務に邁進する姿勢、職業的な高い志、名誉、品格、美徳といった人生の究極目標とさえ思っていたものが、偉大で崇高であると信じていたものが、またその出来事の中心に関わることで職業的自負と誇りを築いてきたもの...日の名残り
2019/01/30 23:33