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  • オリンピックは即時中止すべきだ(12)

    読売新聞に、驚くべきニュースが載っている。https://www.yomiuri.co.jp/world/20210731-OYT1T50168/【ワシントン=船越翔】米疾病対策センター(CDC)は30日、米マサチューセッツ州で発生した新型コロナウイルスのクラスター(感染集団)で、感染者の4分の3がワクチン接種済みだったとの調査結果を公表した。大部分がインド型(デルタ型)変異ウイルスによるもので、米政府は強い感染力を警戒している。↑↑↑↑「感染者の4分の3がワクチン接種済み」ということは、ワクチン効果がきわめて低いということである。とくに「大部分がインド型(デルタ型)変異ウイルスによる」というのは重大だ。いま、東京で蔓延しているのは「デルタ型」だ。7月上旬に同州バーンスタブル郡内で複数の大規模な集会やイベントが...オリンピックは即時中止すべきだ(12)

  • 青柳俊哉「青い馬のかげ」、徳永孝「わたしが死ぬ時」、池田清子「歯車」

    青柳俊哉「青い馬のかげ」、徳永孝「わたしが死ぬ時」、池田清子「歯車」(朝日カルチャーセンター福岡、2021年07月19日)受講生の作品。青い馬のかげ青柳俊哉枯れ木の中を風が吹きすぎて意識のわたしは一途に年輪のそよぎへ内向する波立つ木目の層から白樺の樹林が立ち上がる岸一面に夥しい花粉が風浪の形に敷かれてそれを乱す生物のかげはみえない水に映る一頭の青い馬のかげがわたしをみつめるそれはまだうまれていないわたしのそしてわすれられたわたしの像であるかもしれない………………雨がふりはじめた青いかげが揺らぐ樹林が乱れる枯れ木の水面にいくつも輪がうまれてわたしの中の雪のかげが波立ちきえる「全体が静かな感じ。白と青のイメージで統一されている」「凛とした感じ。冬の印象がある。青い馬は、エリック・カールの絵本にも出てくるので親しみを...青柳俊哉「青い馬のかげ」、徳永孝「わたしが死ぬ時」、池田清子「歯車」

  • オリンピックは即座に中止すべきだ(11)

    読売新聞のweb版。https://www.yomiuri.co.jp/national/20210731-OYT1T50296/都内で過去最多4058人感染、初の4000人超…1週間前から2930人増東京都は31日、新型コロナウイルスの感染者を都内で新たに4058人確認したと発表した。過去最多となった29日(3865人)を上回り、初めて4000人を超えた。都によると、1週間前から2930人増え、1日当たりの感染者は4日連続で3000人を上回った。直近1週間の平均新規感染者は2920人で、前週(1345・7人)の2倍以上に急増した。重症者は前日から7人増の95人だった。↑↑↑↑↑「1週間前から2930人増」とはどういうことか。一週間前は何人だったか。4058-2930=1128いったい何倍に増えたのか。4058...オリンピックは即座に中止すべきだ(11)

  • オリンピックは中止すべきだ(10)

    コロナ感染で「緊急事態宣言」に4県が追加された。私はテレビを見ていないので詳細はわからないが、対策は「①飲食店の営業は午後8時まで、②酒の提供停止」とこれまでのものの繰り返し。読売新聞(14版・西部版)によれば、「今回の宣言が最後となるような覚悟で、政府をあげて全力で対策を講じていく」と語っているのだが、対策①②を読む限り、どこにも目新しいものはなく「政府をあげて全力で対策を講じる」という気概が伝わって来ない。さらに。東京五輪については「(感染拡大の)原因になっていない」としたうえで、「五輪・パラリンピックは自宅のテレビで声援を送っていただきたい」と述べた。↑↑↑↑↑会場で観戦できないから、みんな自宅でテレビ観戦しているのではないか。でも、テレビ観戦し、声援するだけでは満足できないから、人とあって話したりする。...オリンピックは中止すべきだ(10)

  • オリンピックは中止すべきだ(9)

    毎日新聞web版によると。https://mainichi.jp/articles/20210730/k00/00m/050/219000c?fbclid=IwAR1gIDmdaucgEBm-FlFLQEZG1D15IogCMKHZQr7qV8NY1eR20xdD8yBb57E組織委は30日、新たに選手3人を含む27人が陽性者になったと明らかにした。公表を始めた1日以降、1日当たりの新規陽性者としては29日の24人を上回り最多。大会関係者の陽性者は計220人となった。↑↑↑↑↑体会関係者の「分母」が何人か若市は知らないが、10万人と仮定しても、この数ではとても大きい。24人、220人は単独で取り出すと、いまの状況からは「小さく」見えるが、「分母」を考えると、とても大きい。何よりも。220人は、今後どうするのだろ...オリンピックは中止すべきだ(9)

  • オリンピックは中止すべきだ(8)

    読売新聞(西部版・14版)が、やっと一面トップを東京五輪ではなく、コロナ問題に切り換えた。緊急事態/首都圏3県・大阪追加へ/2日から31日(見出し)政府は29日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、大阪、埼玉、千葉、神奈川の4府県に対し、新たに緊急事態宣言を発令する方針を固めた。宣言の発令地域は東京と沖縄を合わせ、6都府県に拡大する。期間は8月2日から31日で、東京と沖縄の期限は8月22日から31日に延長する。(略)政府は30日、4府県への宣言発令を柱とする案を専門家でつくる基本的対処方針分科会に示す。了承されれば、国会に報告したうえで政府対策本部で正式決定し、首相が記者会見で国民に説明する見通しだ。↑↑↑↑なぜ、即座に基本対処方針をつくり、30日の分科会で決定、30日中に発令でいないのか。発令を2日までのばす...オリンピックは中止すべきだ(8)

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(20)

    高柳誠『フランチェスカのスカート』(20)(書肆山田、2021年06月05日発行)「二重性」。指で星をなぞっていくと、動物のかたちが夜空にとつぜん広がって、それぞれの物語をかたり始める。「とつぜん」は学校文法的には「かたちが広がる」の「広がる」にかかるのだが、私は「物語をかたり始める」の「かたる」にかかっていると読む。高柳のことばは、先へ先へと進む。その推進力のようなものが「とつぜん」であり、それは「文法」を飛び越えて先へ進む。「二重星」と「にじゅうぼし」と読むのだろうか。「にじゅうせい」と読むと「二重性」になり、それは「とつぜん」の動きを説明しているようにも見える。「ひろがる」と「かたる」の二重のことばを突き動かす力をもっている。死んだら、あの二重星のそばに昇っていけるのだろうか。それなら死ぬのもこわくないの...高柳誠『フランチェスカのスカート』(20)

  • オリンピックは中止すべきだ(6)

    いったい、いつまでつづけるつもりなんだろう、と思ったのが7月29日の読売新聞(西部版)。コロナ感染が急拡大し、全国で最多の9582人。1万人目前である。緊急事態宣言も首都圏3県を追加することを検討している。それなのに、紙面のトップはオリンピックの報道。おかしくないか。読売新聞の報道によれば、新型コロナウイルスの感染者は28日、国内で新たに9582人確認され、過去最多となった。東京都の新規感染者は3177人で、2日続けて最多を更新し、初めて3000人を超えた。埼玉、千葉、神奈川の3県でも過去最多となり、政府は東京都と沖縄県に発令中の緊急事態宣言の対象を3県に拡大する方向で検討に入った。(略)神奈川県では1051人の感染が判明した。神奈川で1000人を上回るのは初めて。埼玉県では870人、千葉県では577人の感染が...オリンピックは中止すべきだ(6)

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(19)

    高柳誠『フランチェスカのスカート』(19)(書肆山田、2021年06月05日発行)「薬局」。この作品にも珍しく固有名詞が出てくる。「アガーテ」。少女ではなくアガーテと固有名詞にしたのはなぜだろう。「マックス」が「ぼく」の「鏡」(あるいは双子)であるように、アガーテは「フランチェスカ」の鏡だろう。もちろん、アガーテとフランチェスカは似ていない。似ていないからこそ、フランチェスカのなかにもアガーテが隠れていると読みたい。アガーテがフランチェスカを内部に閉じ込めているのか、フランチェスカの内部にアガーテが生きているのか、それは、このあとの詩の中でわかるだろう。ときによって大きく色を変える瞳をもつアガーテの世界は、どのようにその内部に広がっているのだろう。自分の感情のままに変化するのだろうか。あるいは、アガーテ固有のも...高柳誠『フランチェスカのスカート』(19)

  • オリンピックは中止すべきだ(6)

    7月28日の読売新聞(西部版)によれば、東京都で27日、新型コロナウイルスの感染者が新たに2848人確認された。1日当たりの感染者は、「第3波」のピークだった今年1月7日(2520人)を上回り、過去最多となった。一覧表によれば、神奈川758人、埼玉593人、千葉405人、大阪741人、私の住んでいる福岡では236人。どこも急増している。オリンピック関係でも、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は25日、ボートのオランダ選手と自転車のドイツ選手の2人を含め、新たに10人が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたと発表した。感染が止まらない。これに関連して、菅は、こう言っている。五輪中止の選択肢については、「人流は減少しているので、そうした心配はない」と強調した。「人流は減少している」とは、どういうデータに基づく...オリンピックは中止すべきだ(6)

  • 嵯峨信之『小詩無辺』再読(4)

    嵯峨信之『小詩無辺』再読(4)「時間」ということばを中心に読み返してみる。「人名」という詩のなかには、こういう行がある。ぼくはいま誰かの記憶のなかを通つているのかも知れない人の名とは時間にとらえられた人間の影ではないのか「誰かの記憶」というのは「誰かの魂しい」だろうか。人と人をつなぐもの。「時間にとらえられた人間」とは人間は時間を生きているということだろう。生きているあいだは「人の名」がある。死んでしまう、つまり「時間」の外に出てしまうと「人の名前」はなくなり、「魂しい」になる。嵯峨は「魂しい」に固有名詞を与えていないように思える。その無名の島をつつむ春の雨海は一枚のみどりの褥のようにひろがつている誰も時の行衛を知らないもういい何も考えなくてもさらによりよい時刻の国へいつかは行きつくことを(無題抄451ページ)...嵯峨信之『小詩無辺』再読(4)

  • 自民党憲法改正草案再読(18)

    第26条は、「教育権、教育の義務」。(現行憲法)第26条1すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。2すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。(改正草案)第26条(教育に関する権利及び義務等)1全て国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、等しく教育を受ける権利を有する。2全て国民は、法律の定めるところにより、その保護する子に普通教育を受けさせる義務を負う。義務教育は、無償とする。3国は、教育が国の未来を切り拓く上で欠くことのできないものであることに鑑み、教育環境の整備に努めなければならない。第一項、第二項は表記と文言の改正。「子女」を「子」に改正しているのは「子女」という...自民党憲法改正草案再読(18)

  • オリンピックは中止すべきだ(5)

    7月27日の読売新聞(西部版)によれば、①東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は26日、海外からのアスリート3人を含め、新たに16人が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたと発表した。②選手の国籍や競技については各国・地域のオリンピック委員会から同意が得られなかったとして公表していない。③また、日本オリンピック委員会(JOC)は26日、陸上競技の日本選手団の関係者が陽性と確認されたと発表した。選手団員ではないとしている。①は26日夕刊で既報。②「プレイブック」(ルールブック?)では、規定はどうなっているのか。感染拡大は予測されていたことであり、感染者が出た場合、公表をどうするかということは決めてなかったのか。決めてなかったとしたら、それは「プレイブック」の不備だろう。「バブル対策」で選手や関係者の行動は制限...オリンピックは中止すべきだ(5)

  • オリンピックは中止すべきだ(4)

    7月26日の読売新聞夕刊(西部版)によれば、①五輪関係者、選手3人含めあらたに16人陽性…計148人に東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は26日、海外からのアスリート3人を含め、新たに16人が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたと発表した。組織委が7月1日以降に公表した大会関係者の陽性者は、計148人となった。②ビーチバレー女子、チェコ代表が陽性・試合棄権…石井・村上組が不戦勝ビーチバレー女子で24日に石井美樹(荒井商事・湘南ベルマーレ)、村上めぐみ(オーイング)組と対戦予定だったチェコ代表ペアの選手1人が新型コロナウイルスの検査で陽性反応を示したことを受け、大会組織委員会は、この選手のペアが1次リーグ全試合を棄権すると発表した。石井、村上組は不戦勝となった。今朝の朝刊では「陽性者は選手2人を含め10人...オリンピックは中止すべきだ(4)

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(17)

    フランチェスカのスカート高柳誠書肆山田高柳誠『フランチェスカのスカート』(17)(書肆山田、2021年06月05日発行)「本」。この作品には、注釈をつけたくなることばがたくさんある。すべてのことばに注釈をつけたくなる。つまり「高柳語」がぎっしりとつまっている。本を「物体」と呼んだ後、こう書いている。印刷された文字を読み進めたとたん、一挙に別の世界が広がる。そんなふしぎな世界を、どうやってこんな小さな箱に閉じ込めていられるのだろう。「物体」は「箱」と言いなおされている。そして、そう呼びなおすとき「閉じ込める」という動詞がつかわれている。この「閉じ込める」は重要なことばである。高柳は、ことばで「高柳ワールド」を「閉じ込める」。そして、それは本を「開く」ときに広がるのだが、そこにはもうひとつ別の動きがある。紙に囚われ...高柳誠『フランチェスカのスカート』(17)

  • 嵯峨信之『小詩無辺』再読(3)

    嵯峨信之『小詩無辺』再読(3)謎を考えてみようカンガルウのおかしな影について遠い遠い気も遠くなるように遠いカンガルウの故郷のふしぎな曲がりくねつた木々をその影をカンガルウは妙な木々に何を習つたのか(カンガルウ459ページ)「故郷」について考えるとき、宮崎県を題材にした詩を選んだ方がいいのかもしれないけれど、あえて「抽象的」に考えてみたいと思う。嵯峨は宮崎県の出身だけれど、宮崎にいた期間は短い。嵯峨はここでは「故郷」を「不思議に曲がりくねつた木々」と結びつけている。土地の形、山の形、川の形ではなく、あるいは名前ではなく、木々。そこにあるもの。それは、ほかの土地にあるものとどんなふうに違っているのだろうか。その違いを「故郷」と読んでいる。ふるさとというのはそこだけに時が消えている川岸の町だそこの水面に顔をうつしてみ...嵯峨信之『小詩無辺』再読(3)

  • オリンピックは中止すべきだ(3)

    7月26日の読売新聞によれば、①東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は25日、ボートのオランダ選手と自転車のドイツ選手の2人を含め、新たに10人が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたと発表した。②国内の新型コロナウイルス感染者は25日、46都道府県と空港検疫で新たに5020人確認された。重症者は前日から12人増えて448人、死者は4人だった。東京都では、1763人の新規感染者が確認された。日曜日では1月17日の1595人を上回って過去最多。1週間前から755人増え、6日連続で1000人を上回った。(略)連休後半は検査数の減少に伴い、新規感染者も減る傾向にあるが、この日は前日(1128人)から635人増えた。コロナ感染者の拡大が止まらない。①の記事で問題なのは、最初の頃は選手、大会関係者の陽性が発表されたと...オリンピックは中止すべきだ(3)

  • スタンリー・キューブリック監督「シャイニング北米公開版〈デジタル・リマスター版〉」

    スタンリー・キューブリック監督「シャイニング北米公開版〈デジタル・リマスター版〉」(★★★★★)(2021年07月25日、中洲大洋、スクリーン1=午前10時の映画祭)監督スタンリー・キューブリック出演ジャック・ニコルソン、シェリー・デュバルこの映画は、冒頭のシーンの「気持ち悪さ」に圧倒される。いまでは空からの撮影でも画面がそんなに揺れないが、この映画つくられた当時はそうではなかった。まるでカメラ自体が飛んでいるような、そして自分が目になって飛んでいるような気分になる。しかも、それは私が望んでそれを見ているのではなく、何か強制的に見せられている感じがするのである。不安定に揺れる映像なら、これはだれかが撮ってきた映像という感じがするのだが、そういう感じがしない。強制的に見せられていると書いたが、その見せられているは...スタンリー・キューブリック監督「シャイニング北米公開版〈デジタル・リマスター版〉」

  • オリンピックは中止すべきだ(2)

    オリンピックは中止すべきだ(2)7月25日の読売新聞によれば、東京五輪・パラリンピック大会組織委員会は24日、海外から来日した選手1人を含め、新たに17人が新型コロナウイルス検査で陽性と判定されたと発表した。東京都では、1128人の感染を確認した。連休による医療機関の休診などの影響で、1週間前から282人減ったが、1日当たりの感染者は5日連続で1000人超となった。コロナ感染が止まらない。東京都の感染者数には、わざわざ「連休による医療機関の休診などの影響で、1週間前から282人減ったが」と注釈がついている。これは連休明け後、感染者数が一気に増えたときの「弁明」のためである。つまり、「連休中に検査できなかった分の陽性者が含まれているため急増したように見えるだけで、急増はしていない」と言い逃れるためである。連休明け...オリンピックは中止すべきだ(2)

  • 松崎義行、田原『詩人と母』

    詩人と母田原みらいパブリッシング松崎義行、田原『詩人と母』(みらいパブリッシング、2021年07月21日発行)松崎義行、田原『詩人と母』はそれぞれの母を追悼する二人の、一冊の詩集。二人の母は別人なのだが、そして詩を読むとたしかにふたりは違っているということがわかるのだが、なぜか共通のものがある。「母」だからだろうか。松崎義行の「果てしない路」という作品。この果てしのない道にも果てはあるのだこの道と呼ぶものは道ではなかったのだ吹き荒ぶ冷たい風が生まれる場所はもう温んでいるのだどこかに疲れと痛みを感じるがそれは自分ではないのだ自分がしてきたことは静かに浮かぶ花の船になったのだ争いはなかったことになり悲しみが溢れているのだ見てきたものが風景になり季節が巡り始めるのだ始まりのような終わりが風にキラキラと舞い立ち皆それを...松崎義行、田原『詩人と母』

  • オリンピックは中止すべきだ

    コロナ感染が話題になり始めたころ(いわゆる第一波のとき)、私はこんなことを書いた記憶がある。コロナが終息し、コロナ対策の検証が世界で始まったとき、日本はきっと責任を追及される。安倍政権は、クルーズ船検疫で非常に「甘い」対策を取った。甘い対策にもかかわらず、日本のコロナ感染はそれほど広がらなかった。これは世界に誤解を与えた。厳しくい対策をとらなくても大問題にはならない、と油断を産むきっかけとなった。乗船客を徹底検査し、陽性者は病院に隔離するという形で封じ込んでいたなら、それはコロナ対策の手本となったと思う。そういう手本を示せなかっただけではなく、逆に「甘い対策でも問題がない」という印象を与えてしまった。きのう7月23日に東京オリンピックが始まったが、このこともきっと事後検証のとき、絶対に問題になる。コロナは変種株...オリンピックは中止すべきだ

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(17)

    フランチェスカのスカート高柳誠書肆山田高柳誠『フランチェスカのスカート』(17)(書肆山田、2021年06月05日発行)「手紙(二)」。砂漠を旅するひとから手紙が届く。そこにはそのひとが見た「目新しいこと」が書かれている。ほかに、こういうことも書かれている。砂漠を抜けた南の密林地帯には、人間に似た恐ろしく獰猛な動物がすんでいるし、一年中素っ裸で密林を歩き回る小さな人たちもいるという話だ。できることなら、そういう人たちにも会ってみたい。実際には見ていない。聞いただけである。ことばである。語りのなかに、もう一つの語りがある。それは最初の語りと同等の「意味/価値」を持っている。つまり、ことばである限り、それは直接的な報告であろうと間接的な報告であろうと(伝聞であろうと)、同じ重さを持つ。なぜか。読む人にとっては、どち...高柳誠『フランチェスカのスカート』(17)

  • 自民党憲法改正草案再読(17)

    第25条は、「生存権」ということばで呼ばれることがある条項である。(現行憲法)第25条1すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。(改正草案)第25条(生存権等)1全て国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。2国は、国民生活のあらゆる側面において、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。第25条の2(環境保全の責務)国は、国民と協力して、国民が良好な環境を享受することができるようにその保全に努めなければならない。第25条の3(在外国民の保護)国は、国外において緊急事態が生じたときは、在外国民の保護に努めなければならない。第25条の4(犯罪被害者等へ...自民党憲法改正草案再読(17)

  • 東京オリンピック

    東京オリンピック2020がきょう7月23日開幕する。前回の東京大会のとき、私は小学生だった。6年生か、5年生かは忘れてしまった。覚えているのは「アジアで初めてのオリンピック」ということばだ。日本はアジアだった。いま、この日本はアジアである、という感覚がとても稀薄になっていると思う。あのころ、私は富山の田舎に住んでいた。中国人も韓国人も知らない。周囲にいる人も、たぶん、知らない。話題になったことはない。だから、その当時、日本人が中国人や韓国人を嫌っていたかどうか、肌で感じることはなかった。子どもだから、そういう情報に触れなかっただけなのかもしれない。情報があっても気がつかなかっただけなのかもしれない。でも「アジアで初めて」ということばをつかうくらいだから、日本はアジアであると意識が強く、アジアであると意識する以上...東京オリンピック

  • 自民党憲法改正草案再読(16)

    自民党憲法改正草案再読(16)第24条は大きく改変される。(現行憲法)第24条1婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。2配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、制定されなければならない。(改憲草案)第24条(家族、婚姻等に関する基本原則)1家族は、社会の自然かつ基礎的な単位として、尊重される。家族は、互いに助け合わなければならない。2婚姻は、両性の合意に基づいて成立し、夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、維持されなければならない。3家族、扶養、後見、婚姻及び離婚、財産権、相続並びに親族に関するその他の事...自民党憲法改正草案再読(16)

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(15)

    高柳誠『フランチェスカのスカート』(15)(書肆山田、2021年06月05日発行)「夢の種」は「一年に数回、空から夢の種が降ってくる」と始まる。雪に似ているが、雪と違ってさまざまな色を持っている。それは壊れやすい。壊れると匂いを発する。そして、その夢が美しいかどうかは、匂いが決定しているらしい。つまり、いい匂いの種はいい夢をみせてくれるというのだ。だからといって、つぶさない限りその種の匂いをかぐことはむずかしいのだが…。この困難さのなかに詩がある。困難を超えて願っていたものが実現するときの喜びが詩である。それはしかし、「だからといって」ということばが象徴するように、「論理」でもある。ことばを書いてきて、そのことばが自立して、論理を展開する瞬間の、ことばのよろこび。ことば自身のよろこびをこそ、高柳が詩と定義してい...高柳誠『フランチェスカのスカート』(15)

  • 自民党憲法改正草案再読(15)

    自民党憲法改正草案再読(15)第22条は、住居、移転、職業選択について書いている。(現行憲法)第22条1何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。2何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。(改憲草案)第22条(居住、移転及び職業選択等の自由等)1何人も、居住、移転及び職業選択の自由を有する。2全て国民は、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を有する。すでに書いたことだが、憲法の条文は大切なものを先に書き、それを後の条文で補足説明する。つまり補強する。「住居、移転、職業選択」は、第19条「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と関係すると同時に、第14条「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的...自民党憲法改正草案再読(15)

  • 嵯峨信之『小詩無辺』再読(2)

    嵯峨信之『小詩無辺』再読(2)「言葉」は、どんな具合につかわれているか。言葉の泡を消せ意味のないシラブルにピリオドを打て(港、446ページ)「泡」と「意味のない」は同じものだろう。「意味」が不明確な言葉を嵯峨は嫌っているようである。「自由がというものがあつた」には、こう書いてある。言葉は言葉以外の意味にあふれている(446ページ)ここでの「意味」は「無意味」ということ。言葉はいろいろな意味を持っているが、多くの場合は「無意味」なものの方が多い。では、「意味」とは何か。詩のすぐつづきに、笑えば白がこぼれ落ちて白いといえばさらに白くなる「白」が「さらに白くなる」。この「さらに」こそが嵯峨にとっての意味、求めている意味である。「さらに」という働きをしないことばは「泡」なのである。さきに引用した、言葉よまだ目覚めないの...嵯峨信之『小詩無辺』再読(2)

  • 星野元一『村、があった』

    星野元一『村、があった』(蝸牛舎、2021年07月01日発行)星野元一『村、があった』はタイトル通りの詩集である。かつて村があった。村と呼ばれる場があった。しかし、いまは失われてしまった。村、とはどんな場だったか。どの詩を引用しようか迷うが、巻頭の「フキノトウ」。重たい雪の布団をおしあげフキノトウが顔をだしている私も雪国育ちなので、この風景にはなじみがある。いまは九州に住んでいるので、こういうフキノトウは見たことがないが、子供のときに見たフキノトウはこういう姿である。フキノトウはオタマジャクシだ楽譜のオヒサマガヤッテクルゾォーピッコロのような声をはりあげツクシやスミレたちの目や鼻をひっぱりスズメノテッポウやキツネノボタンたちの顎や脇の下をくすぐり春の便りを村のポストに入れにいった「フキノトウは/オタマジャクシだ...星野元一『村、があった』

  • エリザ・ヒットマン監督「17歳の瞳に映る世界」

    2021年07月09日(土曜日)エリザ・ヒットマン監督「17歳の瞳に映る世界」(★★★★★)(2021年07月17日、キノシネマ天神、スクリーン1)監督エリザ・ヒットマン出演シドニー・フラニガン、タリア・ライダー「17歳の瞳に映る世界」とは、何とも奇妙なタイトルである。まるで見ることを拒んでいる。特に私のような高齢の男が、わざわざ17歳の少女に世界がふうに見えるかということは、頭では関心があっても、肉体として関心がない。そんなもの見ても何も感じないだろうなあ、と思ってしまう。しかし、「予告編」の映像が不思議に気になって仕方がなかった。あ、この映像は珍しい、見たことがないという印象があるわけではないのだが、気にかかるのである。主人公は、当たり前だが17歳。妊娠している。これも、まあ、あり得ることである。母親も父親...エリザ・ヒットマン監督「17歳の瞳に映る世界」

  • 河野俊一「そのたびに」、愛敬浩一「観念的な悩み」

    河野俊一「そのたびに」、愛敬浩一「観念的な悩み」(「潮流詩派」262、2021年07月10日)「潮流詩派」262が「短詩」の特集を組んでいる。そのなかから一篇。河野俊一「そのたびに」。同じことを何度も繰り返して話す日が来るように同じ詩を何度も書く日がきっと私に訪れるいくつかのテニヲハは違ってものの名前も似たようなものにすり替わっているかもしれないがなかみは概ね同じででも書くたびに新しい気持ちに戻りふりだしに引き返しては怒ったり喜んだりする私は、毎日同じような感想を書いているので、それでいいと思っている。特に「新しい気持ち」にならなくてもいいかなあ、とも思う。この詩の感想を書く気持ちになったのは「概ね」ということばが印象に残ったから。「概ね、か……」と、私は、ふと思ったのだ。声には出さなかったが。そうか、河野はこ...河野俊一「そのたびに」、愛敬浩一「観念的な悩み」

  • 嵯峨信之『小詩無辺』再読

    2021年07月17日(土曜日)嵯峨信之『小詩無辺』再読嵯峨信之『小詩無辺』は1994年の詩集。(テキストは「全集」をつかった。)「魂しい」という嵯峨独特の表記が出てくる。「魂しい」とは何なのだろうか。言葉よまだ目ざめないのかぼくの魂しいのどのあたりを急いでいるのか(*450ページ)「言葉」と「魂しい」は関係がある。だが、どんな関係なのか、わからない。「魂しい」をきちんと通過したら、「言葉」は「目ざめる」。もしぼくの魂しいだけが走りさつた多くの魂しいに置きざりにされたのなら夕べの川ぎしでぼくは夜明けを待つだろう(孤独452ページ)魂しいを失う日がある横糸のひきつつた絨毯のようなものだ人を憎んだことを愛したことを生命の皿の上にのせてみるぼくはぼくの現し身を離れてもまぎれもなく思いは残る(*453ページ)「魂しい」...嵯峨信之『小詩無辺』再読

  • 自民党憲法改正草案再読(14)

    信教(宗教)の問題は、「こころ」の問題。信教(宗教)は、かならずしも人には語らない。語らなければある宗教を信じていないというわけではない。「無言」でできる思想、良心の活動。語る人もいるが「無言」という表現もある。一方、思想には「無言」とは相いれないものもある。ことばであらわし、肉体であらわす「思想/良心」もある。生きている限り、人は必ずと言っていいほど、語り、行動する。第21条は「無言」ではなく、「有言」の「自由」について規定したものだ。(現行憲法)第21条1集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。2検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。(改正草案)第21条(表現の自由)1集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、保障する。2前項の規定にかかわらず...自民党憲法改正草案再読(14)

  • 徳永孝「雲と太陽」、池田清子「雲」、青柳俊哉「空の家」

    徳永孝「雲と太陽」、池田清子「雲」、青柳俊哉「空の家」(朝日カルチャーセンター福岡、2020年07月05日)テーマを決めていたわけではないのだが「雲」「空」の詩がそろった。雲と太陽徳永孝空一面にのっぺりと広がる灰色の雲太陽からのあまりにも強い紫外線から生き物を守り雨を降らしうるおいを与えるお母さん太陽の光は全ての生き物の命の元(もと)でも時にはそのはげしさが生き物を死に至らしめるそのはげしさは雲の優しさが有って始めて生きる強い陽射しをさえぎりゆるやかに流れる雲の下公園で遊ぶ数組の親子連れ互いに呼び合い走り回る子供達穏やかに見守るお母さんは廻(めぐ)る子供達のもう一つの太陽これは推敲後の作品。講座で読んだ作品は四連目までは同じだが、そのあとは、こうなっていた。お母さんはその周りを廻(めぐる)る子供達を穏やかに包む...徳永孝「雲と太陽」、池田清子「雲」、青柳俊哉「空の家」

  • 若者のテレビ離れ。

    日刊ゲンダイに興味深い記事があった。https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/291931「10代20代の半数はテレビを見ない」というのである。私もテレビを見ないが、私のような老人がテレビを見ないのと、若者がテレビを見ないのでは「意味」が違うと思う。記事には、いろいろなことが書いてあるが。私が私なりに要約すれば、これは別なことばで言えば「時間」を共有しなくなったということだね。昔は、たとえば人気ドラマがあると銭湯ががらがらになった、といわれた。銭湯も単に体を清潔にする場所ではなく、一種の「時間の共有」だった。銭湯で「時間を共有」するかわりに、各家庭で、銭湯で出会う人と「時間」を共有している。だから、次の日、前日見たドラマの話をすることで、「時間の共有」を...若者のテレビ離れ。

  • 自民党憲法改正草案再読(13)

    自民党憲法改正草案再読(13)憲法の条文は、常に前に書いた条文を説明する形で展開する。第19条思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。この規定だけでは「思想及び良心の自由」というものが具体的に何を指すか(どういうものを「思想」「良心」と定義しているかわからない。わかるのは「侵してはならない」と国に禁止を命じているということだけである。だから、こう言いなおす。(現行憲法)第20条1信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない。2何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。3国及びその機関は、宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。(改正草案)第20条(信教の自由)1信教の自由は、保障する。国は、いか...自民党憲法改正草案再読(13)

  • 新倉俊一『ビザンチュームへの旅』

    ビザンチュームへの旅:詩集新倉俊一洪水企画新倉俊一『ビザンチュームへの旅』(洪水企画、2020年07月25日発売)新倉俊一『ビザンチュームへの旅』は、「西脇順三郎が大好き」という感じがあふれる詩集である。新倉は「大好き」というようなことばでは感情(思い/思想)をあらわさないとは思うのだが、私はミーハーなので「大好き」と言いなおすのである。それがどれくらい「大好き」かというと、「あとがきに代えて」というページにあふれている。新倉はなんと、自分のことばのかわりに草野早苗の「岩礁」という作品を転写している。草野早苗というのは新倉俊一のペンネームだったのか。違うと思う。はっきりとは覚えていないが、私は「草野早苗」という名前に記憶がある。作品の感想を書いたことがあるかもしれない。もし新倉俊一と草野早苗が「別人」ならば、な...新倉俊一『ビザンチュームへの旅』

  • 自民党憲法改正草案再読(12)

    自民党憲法改正草案再読(12)第19条に触れる前に、少し復習。第10条は、国民の定義。第11条は、国民は基本的人権を持っている。それを国は侵すことができない。第12条は、国民は基本的人権を濫用できない。公共の福祉のために利用しなければならない。第13条は、しかし、「公共」(みんな)よりも「個人」が大事。「公共の福祉(みんなの助け合い)」の妨げにならないなら、何をするかは「個人の自由」。つまり「公共の福祉(みんなの助け合い)」に参加しなければならないというわけではない。第14条は、国民(個人)はみんな平等。差別されない。これは、ここには書いていないが「公共の福祉(みんなの助け合い)」に参加しなくても差別されない、ということ。「信条」によって差別されないとは、そういうことを指すと思う。そのあと、公務員、犯罪者のこと...自民党憲法改正草案再読(12)

  • 伊藤芳博『いのちの籠を編む』

    伊藤芳博『いのちの籠を編む』(ふたば工房、2020年08月10日発売)伊藤芳博『いのちの籠を編む』には詩に関する文章と憲法に関する文章が収録されている。憲法で伊藤が指摘しているのは「国民」と「何人(なんぴと)」の使い分けである。この問題を、伊藤は「英文」と比較している。英文というのは、主にGHQ草案のことである。英文そのものも引用されているが、私は英語のニュアンスがわからないので、伊藤の指摘については、それが納得できるとも、納得できないとも言うことができない。伊藤は、「国民」は日本人を指し、「何人」は「外国人を含む人間」を指していると把握している。しかし、そこには「外国人を含む」という明確な定義が言語化されていないので、結果的に、現在も根強く残っている外国人差別(中国国籍人、韓国国籍人、北朝鮮国籍人)を生み出す...伊藤芳博『いのちの籠を編む』

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(15)

    高柳誠『フランチェスカのスカート』(15)(書肆山田、2021年06月05日発行)「時の糸」。「時の流れ」は「意識の流れ」。これは高柳の詩に共通する性質のように思える。「意識」は「想像」でもあり「理想」でもある。想像と理想が同じものであることは、ふたつのことばがともに「想」という文字を抱え込んでいるところからもわかる。理想的な時の糸を常に選択していけば、ひょっとして時の糸の方で勝手にこちらを選択してくれることがないとも限らない。「選択する」という動詞が「選択してくれる(選択される)」にかわる。人間(自分)が時を「選択する」と、時が人間(自分)を「選択してくれる」というのは、能動から受動への「文体」の変化だが、「文体」を能動にととのえなおすと、時が人間(自分)を「選択する」になる。これは何を意味するか。高柳は、実...高柳誠『フランチェスカのスカート』(15)

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(14)

    フランチェスカのスカート高柳誠書肆山田高柳誠『フランチェスカのスカート』(14)(書肆山田、2021年06月05日発行)「泉」。町を潤す水脈。その水は甘い。人々は、星降る丘に降りそそぐ流星の成分が地中深くに溶けこむからこそ、泉は星空のように甘いのだと考えている。また、水の音楽自体も、もとは満天の星たちが奏でていたものの残響だともいう。これは、美しい。しかし、このままでは美しすぎて、なにかはかない感じがする。それを高柳は、こう変えていく。一方、地下に眠る死者の記憶を透過することこそ、甘さの原因だと信じる人々もいる。結晶化した記憶の成分を含むからこそ、この水を飲み続けると、死者固有の記憶がしだいに体内に降り積もって、生きている人のなかで確かな経験に析出してくるのだし、水の音楽も死者が地中でうたう歌のひそかな反響にほ...高柳誠『フランチェスカのスカート』(14)

  • 自民党憲法改正草案再読(11)

    自民党憲法改正草案再読(11)(現行憲法)第16条何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願する権利を有し、何人も、かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。(改正草案)第16条(請願をする権利)1何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、平穏に請願をする権利を有する。2請願をした者は、そのためにいかなる差別待遇も受けない。現行憲法は、一項目でおさめている。改憲草案は二項目に分けている。第18条でも同じスタイルをとっている。この「改正」の意図は何なのか。「請願」は別なことばで言えば「苦情/注文」だろう。「これでは困る。こうしてほしい」。「困る」という訴えが先にある。訴えられれば、どうしたって「反...自民党憲法改正草案再読(11)

  • ロバート・エガース監督「ライトハウス」(★★★★★)

    ロバート・エガース監督「ライトハウス」(★★★★★)(2021年07月09日、キノシネマ天神、スクリーン3)監督ロバート・エガース出演ウィレム・デフォー、ロバート・パティンソン、鴎、汽笛、螺旋階段。モノクロの真四角なスクリーン。そしてそのスクリーンには「余分」なのものが何もない。余分なものがない、というのはこんなに美しいものなのか、と改めて思う。その余分なものがない中で、ウィレム・デフォーとロバート・パティンソンの、二人だけのドラマがはじまる。北海の孤島。灯台が舞台。余分なものはないと書いたが、余分なものはある。通りすぎていく霧笛の音、そして鴎。ふたりの男以外には、それだけ。そして、その余分が二人を刺戟する。たぶん鴎も霧笛も自由だからだ。どこへでも行くことができる。けれど灯台守の二人は、交代の人間が来るまで、ど...ロバート・エガース監督「ライトハウス」(★★★★★)

  • ばかばかしい「論理」

    東京五輪の「無観客開催」が決まった。そのことを受けて、菅がこんなことを言っている。(読売新聞、https://www.yomiuri.co.jp/olympic/2020/20210710-OYT1T50099/)「大きな困難に直面する今だからこそ、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけると東京から発信したい」とも語った。↑↑↑↑菅は「安心安全」とか「努力」とか「英知」ということばが好きなようだが、もしほんとうに「人類の英知」によって困難を乗り越えようとするのなら、「英知」は観戦の危険があるときは五輪を開催しないという決断することだろう。それは「英知」というほどのものでもないし、努力というほどのものでもない。あえていえば「我慢」だろう。楽しみたい気持ちはわかるけれど、いまは我慢しよう。我慢することが、自分...ばかばかしい「論理」

  • 黒田ナオ『ぽとんぽとーんと音がする』(2)

    黒田ナオ『ぽとんぽとーんと音がする』(2)(土曜美術社出版販売、2021年06月25日発売)黒田ナオ『ぽとんぽとーんと音がする』の「バナナ日和」は短い詩だが、黒田の特徴をあらわしている。食べても食べてもバナナを食べるぽとりぽとりと落ちてくる空っぽの青い空から落ちてくる何本何本何十本黄色いバナナが落ちてくるわたしは待つ両手を大きく広げてひとりぼっちでなーんにもしないで酸っぱいわたしの胃袋のなかは甘くて黄色い匂いで満ちるそれからそれからそれからぽとりぽとりとわたしが落ちる空っぽの青い空から落ちてくる何人何人何十人ゆっくり空から落ちてきてだんだんわたしが遠くなるバナナを食べている。そのうちにバナナとわたしが入れ替わる。入れ替わるといっても、バナナにわたしが食べられるわけではない。「空から落ちてくる」という動詞をとおし...黒田ナオ『ぽとんぽとーんと音がする』(2)

  • 自民党憲法改正草案再読(10)

    自民党憲法改正草案再読(10)(現行憲法)第15条1公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。2すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。3公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。4すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。(改正草案)第15条(公務員の選定及び罷免に関する権利等)1公務員を選定し、及び罷免することは、主権の存する国民の権利である。2全て公務員は、全体の奉仕者であって、一部の奉仕者ではない。3公務員の選定を選挙により行う場合は、日本国籍を有する成年者による普通選挙の方法による。4選挙における投票の秘密は、侵されない。選挙人は、その選択に関し、公的にも私的にも責任を問われ...自民党憲法改正草案再読(10)

  • 自民党憲法改正草案再読(7の追加)

    自民党憲法改正草案再読(7の追加)現行憲法の第二章(第9条)は「戦争の放棄」。これは日本国民が、「政府には再び戦争をさせない」という決意の表明である。言いなおすと「政府は戦争をしてはいけない」という政府への禁止条項である。そのときの「主語(主役)」は国民である。改憲草案の「第二章」には「安全保障」というタイトルがつけられ第9条には「平和主義」というタイトルがつけられている。ここまでは、「主語(主役)」は国民である。しかし、新設された「第9条の2」には「国防軍」というタイトルがつけられている。そして、ここからは「主語(主役)」が国民ではなく「国防軍」にかわっている。(改正草案)第9条の2(国防軍)1我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。2国防軍は、...自民党憲法改正草案再読(7の追加)

  • 自民党憲法改正草案再読(9)

    自民党憲法改正草案再読(9)現行憲法の第13条は、第12条の「国民」という「一般概念」というか、「集団的定義」から、「個人(ひとりひとり)」に絞り込んで「言いなおしたもの」(補足したもの)と読むことができる。それは第12条でつかったことば「公共の福祉」を、そのままもう一度つかっているところからもわかる。これは改憲草案についても言える。改憲草案では「公益及び公の秩序」が繰り返されている。重複になるが「第12条」もあわせて引用しておく。(現行憲法)第12条この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。第13条すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対す...自民党憲法改正草案再読(9)

  • 自民党憲法改正草案再読(8)

    第三章は「国民の権利及び義務」。現行憲法も自民党の改憲草案も同じ。ここでは現行憲法も改憲草案も「及び」ということばをつかっている。「及びはイコール」。だから「「日本国民の権利=義務」なのである。「権利」が「広がっていく(権利から出発して、行動へと広がっていく、つながっていく)ときに、そこには義務が生まれる」。権利と義務は切り離せない。この「理念」は現行憲法も改憲草案も同じである。だが、各条項はかなり違う。(現行憲法)第10条日本国民たる要件は、法律でこれを定める。(改憲草案)第10条(日本国民)日本国民の要件は、法律で定める。いちばんの変更点は「これを」の省略である。改憲草案は、現行憲法のこの「文体」を嫌って「これを」という書き方を省略する。たぶん、現行憲法のような「文体」を日常的にはあまり用いない、日本語っぽ...自民党憲法改正草案再読(8)

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(13)

    2021年07月07日(水曜日)高柳誠『フランチェスカのスカート』(13)(書肆山田、2021年06月05日発行)「画家」。ぼくはとりわけ版画が好きだ。この世界からあえて色を抜き去り、線の力だけで白と黒の世界に還元する。「還元する」という動詞のつかい方が独特である。世界はもともとは色がなかったのか。世界には最初から色がある。そうだとすると「還元する」という動詞のつかい方は、間違っていることになる。もし「還元する」という動詞をこのようにつかうことが正しいとするならば、高柳の世界は、線と白と黒だけで構成されていたことになる。詩は、こうつづいている。なんという魔法だろう。対象となった風景にしろ人物にしろ、色彩を奪われてもなお、いや奪われたからこそ、幻想のうちに鮮明な色を得て生き生きとした生命をおびてよみがえる。「幻想...高柳誠『フランチェスカのスカート』(13)

  • 「詩はどこにあるか」2021年6月号、発売中。

    <ahref="https://www.seichoku.com/item/DS2001652">https://www.seichoku.com/item/DS2001652</a>「詩はどこにあるか」2021年6月号、発売中。1750円(税、送料別)目次とうてつ「走る名」ほか2岡部淳太郎「庭園」、金井裕美子「捨てる」6石毛拓郎「コーヒールンバ異聞」10高柳誠『フランチェスカのスカート』(1)15高柳誠『フランチェスカのスカート』(2)19徳永孝「居酒屋(2)」、池田清子「ルーティーン」、青柳俊哉「干し藁の中へ」21高柳誠『フランチェスカのスカート』(3)29高柳誠『フランチェスカのスカート』(4)32ルキノ・ビスコンティ監督「異邦人」34秋亜綺羅「人形痛幻視」37高柳誠『フランチェスカのスカート』(5)43...「詩はどこにあるか」2021年6月号、発売中。

  • 黒田ナオ『ぽとんぽとーんと音がする』

    黒田ナオ『ぽとんぽとーんと音がする』(土曜美術社出版販売、2021年06月25日発売)黒田ナオ『ぽとんぽとーんと音がする』のなかの何篇かは読んだことがある。感想を書いたことがある、のを思い出した。はじめて読む作品の感想を書くことにする。「茎わかめ三十郎」。タイトルがかわっている。ほんとうにそういう名前の茎わかめがるあのかどうか私は知らない。商品そのものの名前なのか、黒田が思いついたのか、どちらでもいい。たぶん後者だろう。いささか時代がかった名前だなあ、と思っていると。茎わかめ三十郎が鍋の中から語りかける拙者茎わかめ三十郎と申す申す申すと言いながら鍋の中で膨らんでわたしは茹でたばかりの小松菜を横目で見ながらボールペンを握りしめ背中を丸めてちまちまとチラシの裏に詩を書いている時代がかった名前なので、時代がかったこと...黒田ナオ『ぽとんぽとーんと音がする』

  • 自民党憲法改正草案再読(7)

    自民党憲法改正草案再読(7)「第9条の2(国防軍)」第9条の3(領土等の保全等)」は新設された条項である。一項ずつ、疑問に思っていることを書いていく。第9条の2(国防軍)1我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。「国防軍を保持する」の「主語」は何だろうか。「第9条」は「日本国民は」と書き出されていたが、「日本国民が/国防軍を保持する」と読むのはむずかしい。私は日本国民であるけれど、その私を主語にして「私が/国防軍を保持する」とは言えない。どうしても「日本国は」と私は読んでしまう。「日本国が/国防軍を保持する」。「民」ということばが、このとき消えてしまう。そして、そのかわりに「内閣総理大臣」がここに登場してきている。これは「日本国(内閣総理大臣)が/...自民党憲法改正草案再読(7)

  • 自民党憲法改正草案再読(6)

    自民党憲法改正草案再読(6)「戦争の放棄」は、どう変えられるのか。(現行憲法)第二章戦争の放棄第9条1日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。2前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。(改正草案)第二章安全保障第9条(平和主義)1日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。2前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。一項目目の大きな違いは「放棄する」の位置である。現行憲法は、それまでに書かれていることのすべてを...自民党憲法改正草案再読(6)

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(12)

    フランチェスカのスカート高柳誠書肆山田高柳誠『フランチェスカのスカート』(12)(書肆山田、2021年06月05日発行)「血を流す木」。幹に傷をつけると赤い樹液を流す。血に見える。その樹液をなめると郷愁を誘う甘みがあり、愁いを忘れることができる。そして記憶を失い、過去を失う。その結果、現在を失い、未来も失う。しかし、一度飲んで、愁いがきれいさっぱり消えた感覚を味わってしまうと、その蒼天のような愉悦が忘れられなくなる。かくして、もはや自我などという邪魔ものをもたない人々が、魂の奥底までを見透かせるほど澄んだ瞳で、樹木の血を求めて叢林のなかをかろやかに浮遊するすがたが目撃されるようになった。「自我などという邪魔ものをもたない人々」ということばが印象に残る。「自我」は生せ邪魔ものなのか。それは「見透かせない」ものだか...高柳誠『フランチェスカのスカート』(12)

  • 岡部淳太郎「庭園」

    岡部淳太郎「庭園」(「spirit」22、2021年05月28日発行)同人誌を開くと、5ページの左上を折ってある。いわゆるドッグ・イヤー。何か書こうと思って印をつけたのだ。しかし、そのとき書きそびれて、そのままになっていた。何を書こうとしたのだろう。岡部淳太郎「庭園」。この場所に一人私は立ちつくしているそよぐものはそよぎあらがうことなくそのままに充足されてあり池の蓮はそのままでかたく緑だむかし、新聞社の「回覧」のようなもので、読者の声を読んだ。「そよぐは漢字で書くと戦ぐ。私の印象では、戦という漢字はそよぐのイメージにあわない」というのだ。そんな苦情を新聞社に言ってきてもしようがない。新聞記事に「戦ぐ」という表記があったわけでもないらしい。読者相談室では「国語審議会に問い合わせてほしい」と応えたらしい。ああ、そん...岡部淳太郎「庭園」

  • 自民党憲法改正草案再読(5)

    自民党憲法改正草案再読(5)天皇の権能と国事行為。書き漏らしたことがあるので追加しておく。(現行憲法)第7条天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。一憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。二国会を召集すること。三衆議院を解散すること。四国会議員の総選挙の施行を公示すること。(改正草案)第6条(天皇の国事行為等)1(略)2天皇は、国民のために、次に掲げる国事に関する行為を行う。一憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。二国会を召集すること。三衆議院を解散すること。四衆議院議員の総選挙及び参議院議員の通常選挙の施行を公示すること。現行憲法に書いてある「一」から「三」、実は「国会」の仕事である。国会で憲法を改正し、法律、政令を決める(議決する)、そして条約を承認する(承認議...自民党憲法改正草案再読(5)

  • 日原正彦「ペン」

    日原正彦「ペン」(「橄欖」121、2021年06月30日発行)日原正彦「ペン」を読んだ。深夜の卓に置かれているペン置かれたままねむっているペン夢を見ているペン再び書き始められるその最初の一文字を夢見ているペンけれどこのペンを再び握る手はもうないのだペンよせめて目覚めるなこの「ペンよせめて目覚めるな」とペンの持ち主に「安らかに眠れ」と呼び掛けているようで美しい。「目覚めるな」の否定形の命令が切実である。さて。ことばは、これからどうするべきなのか。ここで終わりにするか、まだ何か書いてしまうか。日原は書いている。書かれなかった夥しい文字が星くずのように君の頭上にきらめいている「君」を登場させたのに、主役が「君」ではなく日原になってしまっている。「書かれなかった夥しい文字」を日原は読むことができると言っている。それも「...日原正彦「ペン」

  • 池田清子「離れ」、青柳俊哉「膚」、徳永孝「演歌」

    池田清子「離れ」、青柳俊哉「膚」、徳永孝「演歌」(2021年06月21日、朝日カルチャーセンター福岡)受講生の作品。離れ池田清子奥に長―い土地だった母屋に、伯母と五人の従兄姉たち離れに、私と兄と両親中庭と廊下でつながっていたきょうだいのように遊んだ楽しかった、大好きだった♪貴様と俺とは同期の桜~♪兄が歌っていると「その歌は二度と歌うな」と従兄が激しく怒った伯父は硫黄島で戦死していた戦後何年も経つのに私達はまだ軍歌を歌っていたのだ中2の時に引っ越しをした少しずつ遠くなり、淋しかった私は、生まれた時から皆なの中にいたけれど従兄姉たちにとっては、離れで生まれた小さな従妹中庭をはさんで、どんな思いで離れを見ていたんだろう私達は、父親のいる核家族だった思い出を描いているのだが、ことばの選び方に気配りが感じられる。一連目「...池田清子「離れ」、青柳俊哉「膚」、徳永孝「演歌」

  • 自民党憲法改正草案再読(4)

    自民党憲法改正草案再読(4)天皇の権能と国事行為に関する条項は、変更箇所が入り組んでいて、私のような素人にはなぜこんな複雑な「改正」をするのかわからない。(現行憲法)第3条天皇の国事に関するすべての行為には、内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。第4条1天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。2天皇は、法律の定めるところにより、その国事に関する行為を委任することができる。第6条1天皇は、国会の指名に基いて、内閣総理大臣を任命する。2天皇は、内閣の指名に基いて、最高裁判所の長たる裁判官を任命する。(改憲草案)第5条(天皇の権能)天皇は、この憲法に定める国事に関する行為を行い、国政に関する権能を有しない。第6条(天皇の国事行為等)1天皇は、国民のために、国会の指...自民党憲法改正草案再読(4)

  • ハリー・マックイーン監督「スーパーノヴァ」

    ハリー・マックイーン監督「スーパーノヴァ」(★)(2021年07月01日、キノシネマ天神、スクリーン2)監督ハリー・マックイーン出演コリン・ファース、スタンリー・トゥッチいま映画界は「認知症ブーム」である。現実の問題が大きくなってきて、それが映画に反映しているということだろう。この映画では、認知症そのものの問題は、途中で二回、スタンリー・トゥッチが愛犬とともに徘徊してしまうシーンと、パーティーで読むべきスピーチ原稿が読めなくなるシーンでのみ描かれる。「ファーザー」に比べると、とてもおとなしい。スピーチ原稿が読めなくなり、コリン・ファースが代読するシーンは、感動を盛り上げる「演出」のようで、あざとい感じがする。男性同士のパートナーというところが、この映画の新しさなのだが、周囲が寛容すぎて現実の問題が見えてこないの...ハリー・マックイーン監督「スーパーノヴァ」

  • 自民党憲法改正草案再読(3)

    自民党憲法改正草案再読(3)「第一章天皇」のなかに現行憲法にはない条項が新設されている。第3条(国旗及び国歌)1国旗は日章旗とし、国歌は君が代とする。2日本国民は、国旗及び国歌を尊重しなければならない。この条項で気になる点はふたつある。①なぜ「国旗、国歌」が「天皇」の章に組み込まれているのか。しかも、その組み込まれている「位置」は天皇の「定義」の直後である。天皇の「権能」を制限した条項よりも前に、国旗と国歌が割り込んでいる。なぜなのか。国旗、国歌は、天皇と「同列」の存在なのか。国歌、国歌を日本国の「象徴」と考えると、「天皇=象徴=国旗及び国歌」という等式ができる。天皇については、「日本国民は、天皇を尊重しなければならない」という文言はなかった。「天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、...自民党憲法改正草案再読(3)

  • 高柳誠『フランチェスカのスカート』(11)

    フランチェスカのスカート高柳誠書肆山田高柳誠『フランチェスカのスカート』(11)(書肆山田、2021年06月05日発行)「鏡」。町から鏡が消えた。排斥運動が起きたのだ。鏡とは何か。おのれの内面のおぞましさを強調して映し出す偽りの道具。見る者をたらしこんで、自己愛を肥大させる退嬰への誘惑。左右を反転させることで現実への認識力を奪う欺瞞の坩堝。高柳好みのことばが一気に書かれている。「内面」「偽り」「反転」。どれがキーワードだろうか。「鏡」以外にも通用することばがキーワードだと考えた方がいいだろう。ほかの何かを書いたときでも「無意識」に出てきてしまう高柳の肉体になってしまっていることば。「強調して」の「強調する」ということばがキーワードであると私は読んだ。そこにあるものを「強調する」。いままで見過ごされてきたものにス...高柳誠『フランチェスカのスカート』(11)

  • 自民党憲法改正草案再読(2)

    自民党憲法改正草案再読(2)現行憲法第一章天皇第1条天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。改正草案第一章天皇第1条(天皇)天皇は、日本国の元首であり、日本国及び日本国民統合の象徴であって、その地位は、主権の存する日本国民の総意に基づく。私は表記の問題、「であつて」(現行憲法)「であって」(改正草案)、「基く」(現行憲法)「基づく」(改正草案)は取り上げない。第1条で、いちばん目立つのは「日本国の元首であり」という表現の挿入である。「元首」とは何か。その定義が必要かもしれないが、草案には何も書いていない。「元首」ということばはどこから出てきたのか。「明治憲法」からである。明治憲法が戦争を引き起こしたという反省から現行憲法が制定されたと私は理解しているが...自民党憲法改正草案再読(2)

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