滝口悠生 『高架線』 西武池袋線 アパート
在野の近代史研究者である渡辺京二氏が92歳、老衰で亡くなった。近著『小さきものの近代Ⅰ』(弦書房2022年7月刊)では続巻への意欲もみせていたのにとても残念だ。僕にとっては『逝きし世の面影』から受けたインパクトが強く、江戸時代の封建的で遅れた社会というイメージが、文化や芸術、技術が発達し人々が幸せに暮らしていたという認識に一新された。ある面、これはそれまでの蒙昧だった文明が明治年間で進歩、発展してこの国の基礎が築かれたという司馬遼太郎史観批判なのだ。『高架線』(滝口悠生著講談社2017年刊)西武池袋線アパート僕は小説をほとんど読まないのだが、滝口悠生氏の『水平線』が書評で評価されているので近くの図書館へ。案の定、人気があって貸し出し中だった。代わりに、同氏の『高架線』を借りる。読み始めるとなぜか一気に読ま...滝口悠生『高架線』西武池袋線アパート
2022/12/28 15:32